著者
小林 果
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究課題ではもやもや病の多発家系を用いて家族性もやもや病の責任遺伝子を特定すること、細胞生物学的解析と遺伝子改変動物の作成により遺伝子の機能を明らかにすることで発症機構の解明を行うことを目的とする。24年度は、昨年度もやもや病感受性遺伝子として同定したmysterin(RNF213)遺伝子のノックアウトマウスの作成と形質の評価を主に行った。近年のもやもや病と糖尿病の合併性を示す報告より、mysterinの機能を明らかにするために、mysterin欠損が糖尿病モデルマウスに与える影響を検討した。具体的にはmysterinを欠損するノックアウトマウス(mysterin-/-)を作成した後、小胞体ストレスによる糖尿病モデルマウスであるAkitaマウス(Ins2+/C96Y)と交配を行い、mysterin KO/Akitaマウス(mysterin-/-,Ins2+/C96Y)を得て糖尿病に関連する形質の解析を行った。その結果、mysterin欠損はAkitaマウスの血清および膵島インスリン量を増加させることで、摂食量の低下、小胞体ストレスの低下を通じて糖尿病を改善することが示された(Biochem Biophys Res Commun 2013)。小胞体ストレス応答の1つとして、異常タンパク質の分解を促進する小胞体関連分解(ERAD)がよく知られている。Akitaマウスの膵β細胞ではERADにより異常プロインスリンのみならず正常プロインスリンの分解も促進していることが報告されており、mysterin欠損はERADによるプロインスリン分解を抑制する可能性がある。本研究は、mysterinがERADに重要な役割を果たす可能性を示唆しており、今後さらに検討を重ねることでmysterinの機能の一端が明らかにできることが期待できる。
著者
山中 由里子 池上 俊一 大沼 由布 杉田 英明 見市 雅俊 守川 知子 橋本 隆夫 金沢 百枝 亀谷 学 黒川 正剛 小宮 正安 菅瀬 晶子 鈴木 英明 武田 雅哉 二宮 文子 林 則仁 松田 隆美 宮下 遼 小倉 智史 小林 一枝 辻 明日香 家島 彦一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世ヨーロッパでは、辺境・異界・太古の怪異な事物、生き物、あるいは現象はラテン語でミラビリアと呼ばれた。一方、中世イスラーム世界においては、未知の世界の摩訶不思議は、アラビア語・ペルシア語でアジャーイブと呼ばれ、旅行記や博物誌などに記録された。いずれも「驚異、驚異的なもの」を意味するミラビリアとアジャーイブは、似た語源を持つだけでなく、内容にも類似する点が多い。本研究では、古代世界から継承された自然科学・地理学・博物学の知識、ユーラシアに広く流布した物語群、一神教的世界観といった、双方が共有する基盤を明らかにし、複雑に絡み合うヨーロッパと中東の精神史を相対的かつ大局的に捉えた。
著者
荻原 庸平 小林 辰至
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.43-56, 2010-03-03
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,初等教員養成課程の学生を対象として,新しく開発した月の運行モデル教材と観測を組み合わせた実践を行い,月の見え方の理解への効果を検討したものである。実践の内容は2つである。1つは月の定時観測の記録であり,学生自身に月の満ち欠けの様子を2週間にわたって記録させた。もう1つは新しく開発したモデル教材を使用した学習である。実践の前後で月の見え方の理解を問う質問紙調査を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)「見える月の形が,日によってちがっている理由」について,「月の公転」及び「太陽光の反射」の2つの観点を含めて記述できた学生の割合は,実践前に比べ有意に増加した。(2)「日没後,満月が見えるのはどの方角か」「日没後,三日月が見えるのはどの方角か」「日没後,上弦の月が見えている時の太陽と月の位置関係」の正答率は,いずれも実践前に比べ有意に増加した。(3)新しく開発した月の運行モデル教材と観測を組み合わせた実践を通して,初等教員養成課程学生の月の見え方に関する理解を改善できた。
著者
鈴木 豪 志賀 剛 木原 貴代子 大熊 あとよ 西山 寿子 小林 清香 鈴木 伸一 西村 勝治 石郷岡 純 萩原 誠久
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.381-381, 2011-10-25

第6回東京女子医科大学メンタルヘルス研究会 平成23年6月23日 東京女子医科大学総合外来センター5F 大会議室
著者
小林 宏 橋本 卓弥 山崎 和広 平井 義和
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.76, no.764, pp.922-929, 2010-04-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

There are many cosmetic companies and visual appreciation is undertaken by human expert though, skin texture has not been investigated quantitatively and automatically so far. In this study, image processing method for analyzing skin texture is proposed. Since sulci is very important for expressing skin texture, we apply cross binarization method for extracting sulci and by matching short lines onto sulci extracted, sulci is expressed by short lines. By analyzing short lines in terms of number, direction, and so on, quantitative indices are suggested for displaying feature of sulci. We then investigate whether it is available or not to predict visual appreciation score by quantitative indices. By using multiple linear regression analysis, we find that visual appreciation score is predictable in high rate by using quantitative indices we have proposed. This method comes into practical use since January 2009.
著者
野家 啓一 座小田 豊 直江 清隆 戸島 貴代志 荻原 理 長谷川 公一 原 塑 北村 正晴 村上 祐子 小林 傳司 八木 絵香 日暮 雅夫 山本 啓
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

討議倫理学に基づく科学技術の対話モデルを作るために、科学技術的問題をテーマとする対話を実践し、そこから理論的帰結を引き出す研究を行った。その結果、以下の成果がえられた。1. 高レベル放射性廃棄物の地層処理に関する推進派と反対派の対話では、合意にいたることは困難だが、対話を通じて、理にかなった不一致に至ることは重要性を持つ。2. 推進派専門家と反対派専門家が論争を公開で行った場合、その対話を一般市民が聴いて、めいめい自分の見解を形成することがあり、このことが対話を有意義にする。3. 対話を成功させるためには、信頼や聴く力、共感のような習慣や徳を対話参加者がもつことが重要であり、このような要素を討議倫理学の中に取り込んでいくことが必要である。4. 対話では、価値に対するコミットメントを含む公正さが重要で、追求されるべきであり、それは、価値に対する実質的コミットメントを持たない中立性とは区別される。
著者
小林 雄一郎
出版者
関東甲信越英語教育学会
雑誌
関東甲信越英語教育学会研究紀要 (ISSN:09112502)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.11-21, 2009

The purpose of this paper is a corpus-based error analysis of a subordinator "because," using two kinds of electronic learner corpora: The Japanese EFL Learner (JEFLL) Corpus and the Japanese component of the International Corpus of Learner English (ICLE-JP). The former is a collection of argumentative and narrative essays by Japanese junior high school and senior high school students, and the latter is a collection of argumentative essays by Japanese college students. The analyses were made exploring the following three questions: (1) How is "because" distributed according to academic years? (2) How are sentence-fragments with "because" distributed according to academic years? (3) What are causes of learners' misuse of "because"? The following results were obtained: (1) Frequency of "because" was in inverse proportion to academic years. (2) Most of "because" in the sentence-initial position brought sentence-fragments which lack its principal clauses. (3) The misuse of "because" may be caused by L1 transfer, the confusion of spoken and written English, and the influence of junior high school textbooks.

1 0 0 0 阿部一族

著者
森鴎外原作 小林勝脚色
巻号頁・発行日
1954
著者
小林 正裕 中山 英久 Ansari Nirwan 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.221, pp.131-136, 2007-09-13
参考文献数
17

IPマルチキャストに代わるストリーム配信技術として,各ノードのストリーミングアプリケーションに依存してマルチキャストツリーを構成するApplication Layer Multicast(ALM)技術に注目が集まっている.ALMでは配信ツリーを構成し,そのツリー構造に従ってストリームを配信する.そのため,ツリーの上位に位置するノードの離脱により,そのノードよりも下位に位置するノードヘストリームが配信されない場合が生じる.そのような問題点に対して,Topology-aware Hierarchical Arrangement Graph(THAG)を利用してALMを実現するストリーム配信手法が提案されている.THAGでは,Multiple Description Coding(MDC)により,ストリームを複数の部分ストリームに分割しそれぞれの部分ストリームに対して,Arrangement Graph(AG)から独立にツリーを構成して配送する.しかし,THAGではすべて同じサイズのAGを用いるため,ネットワーク帯域が不均一な環境では帯域に適したストリームを配信できない可能性がある.本稿では,ネットワークの利用可能帯域に応じてAGのサイズを動的に変更する方法を提案する.提案手法は,THAGをネットワーク帯域が不均一な環境に適応させた手法である.ns-2を用いたシミュレーションにおいて,トータルスループットとBandwidth Satisfaction Rate(BSR)による評価では,THAGよりも提案手法が優れていることを示す.
著者
菅野 了次 園山 範之 米村 雅雄 田村 和久 山田 淳夫 鳥飼 直也 小林 弘典 山田 淳夫 小林 弘典 鳥飼 直也
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では,新規なイオニクスデバイスの開発を目的として,新規材料開発と新規反応開拓を目指した.全くのブラックボックスである電気化学界面での反応挙動の解明のためにモデル電極を開発し,電気化学界面での反応の詳細が明らかにできるようにしたことが,本研究の大きな成果である.また,最高のイオン導電特性を示す固体電解質材料にたいする純理学的な知見は,今後の材料開発の指針を示すものである.
著者
浦 雅春 石光 泰夫 小林 康夫 杉橋 陽一 河合 祥一郎 高橋 宗五
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は既存の国や文化の枠を超えてますますクロスオーバー化する現代の演劇の諸相を歴史的淵源にさかのぼって分析するとともに、近年著しい成果をあげているインターディシプリナリーな分析装置を手がかりに多角的に演劇の表象システムを再検討することを目指したものである。年度ごとの研究成果を記せば、以下の通りである。平成9年度においては、まず研究の端緒として広くヨーロッパ近代演劇の成立にかかわる各国の演劇理論を再検討し、個々の演劇理論が具体的にどのような舞台表象とつながりの中で発展してきたかを解明した。平成10年度には、「身体論」と「空間論」の観点から演劇の表象システムを考究した。おのおの文化に固有な身体観や空間意識がいかなる形式を演劇に与えるか、また逆に演劇という表象システムが演劇固有の身体や空間を形作ってきたか、その相互のダイナミズムを理論化した。平成11年度には、精神分析の立場から演劇に分析を加えた。たんに戯曲というテクストを精神分析的に解剖するのではなく、演劇と精神分析がきわめて類似した表象システムであることを分析し、演劇の中でヒステリー的身体がいかに抑圧され、また解放されてきたを歴史的に解明した。最終年の平成12年度には、これまでの研究成果の取りまとめの段階として、演劇という表象システムの歴史的変遷を総括した上で、演劇と他のメディアの相互作用、個別身体論や空間論との交叉から演劇のインター・カルチャー的本質を抽出し、演劇理論の新しいパラダイムを構築した。
著者
小林 久峰
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.71-75, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1
著者
小林 正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1243-1247, 1991-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

インスリンの構造異常によりそのインスリン作用が低下するため,代償的にインスリン分泌が亢進し,このため高インスリン血症をきたす異常症は世界で12家系発見されているが,糖尿病は軽症であることが多い.最近の遺伝子解析の手法の進歩により簡単に構造決定されるようになり,インスリンの構造と作用, NIDDM発症の機序などこれらの症例から学ぶことが多い.