著者
三枝 英人 愛野 威一郎 岩崎 智治 粉川 隆行 中村 毅
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.155-160, 2004-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

胃食道逆流症 (GERD) により咽喉頭異常感を呈した小児3例 (8歳女児、8歳男児および16歳男児) を経験した。全例とも特記すべき既往歴、家族歴を認めなかった。しつこい咳払いや異常感を訴えており、当初、心因性咽喉頭異常感症やチックとの鑑別が難しかった。しかし、喉頭内視鏡所見で披裂間部粘膜の発赤、腫脹を認め、さらに喉頭内視鏡の先端で同部位の触診を行うと、異常感を訴える部分と一致した。そこで、GERDにより咽喉頭異常感が発現している可能性を疑い、食道透視検査、上部消化管内視鏡検査を行ったが異常は認められなかった。このため、プロトンポンプ阻害剤 (lansoprazole 10-15mg/day) による診断的治療を行ったところ (8週間継続投与)、全例、喉頭内視鏡所見ともに症状の改善を認めた。小児においても、GERDにより咽喉頭異常感を呈することがあることが判明し、今後注意が必要であると思われた。
著者
岩崎 和代 齋藤 益子 木村 好秀
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.225-233, 2013-11-30 (Released:2017-01-26)
被引用文献数
2

20歳女子大生,小学生保護者,勤労女性の3群62名を対象に子宮頸がん検診行動の影響要因をフォーカス・インタビューで明らかにした.過去2年以内の子宮頸がん検診率は,保護者群90.5%,勤労女性群66.7%,女子大生群0%で,住民検診の利用が多く,きっかけは年齢的な動機や自治体からの案内であった.検診行動への影響要因として8カテゴリーが集約され,「必要性に対する情報不足・知識不足」「検診方法のためらい」「受診行動の相互影響」「受診アクセスの不便」「受診環境への不満」「きっかけ不足」「皆で受ける安心感」「教育不足」であった.このうち,検診行動を高める要因は「皆が受ける安心感」に集約され,連帯意識や待ち時間が少ない巡回検診車の利用,集団検診が支持された.保護者群や勤労女性群でも検診目的の理解は不十分で,検診環境への不満や検診時に痛みや出血を経験し,医師への技術不信を抱いていた.大学生群は子宮頸がん予防行動への教育機会の不足が伺われた.物理的な検診促進の要件として夜間・土日の検診を求めていた.
著者
高宮 啓彰 永田 見生 後藤 博史 薗田 恭輔 井本 浩樹 真島 武 吉松 弘喜 岩崎 敏展 富田 勝郎 河原 範夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.1056-1060, 1999-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We present four cases of primary spinal tumor in adolescents. Two patients had aneurysmal bone cyst, and two osteoblastoma. These tumors were found in the thoracic spine in one patient, and lumbar spine in 3. The patients consisted of four men, and their average age was 19 years old. Following resection of their tumors, spinal instrumentation was used in two patients because of massive destructive change in the lumbar spine. Average duration of the follow-up was 9 months. Although there has been no recurrence in all cases, further observation is necessary.
著者
岩崎 聡 宇佐美 真一 髙橋 晴雄 東野 哲也 土井 勝美 佐藤 宏昭 熊川 孝三 内藤 泰 羽藤 直人 南 修司郎
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.149-155, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
8
被引用文献数
1

平成28年2月下旬に日本耳鼻咽喉科学会に登録している人工内耳実施施設109施設を対象に日本耳科学会人工聴覚器ワーキングループによるアンケート調査を実施した結果を報告する。85%の施設で平均聴力90dB未満の患者が人工内耳手術を希望されていた。48%の施設で一側の平均聴力90dB未満の患者に人工内耳手術を行っていた。82%の施設が1998年の適応基準の改訂が必要と考えていた。人工内耳手術を行った最も軽い術側の平均聴力レベルは91dB以上が20. 7%、81〜90dBが51. 7%、71〜 80dBが14. 9%であった。93%の施設で適応決定に語音明瞭度も重要と考えていた。67%の施設が両側人工内耳を実施したことがあった。本アンケート調査結果を踏まえて、成人人工内耳適応基準改訂が必要と考えられた。
著者
高山 真 岩崎 鋼 渡部 正司 神谷 哲治 平野 篤 松田 綾音 沼田 健裕 楠山 寛子 沖津 玲奈 菊地 章子 関 隆志 武田 卓 八重樫 伸生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.275-282, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

古くからヨーロッパでは自然療法を取り入れて健康を保つ方法が一般的に行なわれてきており,特にドイツでは統合医療に補完・代替医療が積極的に導入されている。ドイツでも有名な4つの施設,ミュンヘン大学麻酔科ペインクリニック,TCM Klinik Bad Ko¨tzting, Immamuel Krankenhaus, ZenHaus Klinik を視察し統合医療の現状を報告する。各施設では,慢性疼痛に対する4週間プログラム,中国伝統医学中心の治療,自然療法主体の治療,日本伝統医学にアロマテラピーを加えた治療など,各々の施設で特徴的な治療方法が行なわれていた。ドイツでは多くの病院,クリニックで補完・代替医療が盛んに行なわれているが,その広がりの一つにドイツにおける医療保険制度が挙げられる。公的保険では治療の一部,プライベート保険では広い範囲で補完・代替医療に対する保険償還が行なわれる。歴史的背景に加え,このような制度も統合医療の広がりに影響を与えていると考える。
著者
米澤 保雄 長野 忍 岩崎 唯史
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.117, no.12, pp.1802-1810, 1997

In this paper, we propose an algorithm based on Thymus Learning System (TLS) for elucidating an emergence of complexity generation which an elongation system generates with the self-nonself recognition mechanism. TLS has the immunological tolerance as an incorporation of non-self. TLS shows various interesting features from the viewpoint of the information engineernings such as immunological memory and tolerance, pattern recognition. We present that our immune system provides a suitable methology for a complexity emergent problem of the self-defense process in evolution.
著者
水野 恵理子 岩崎 みすず
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.157-164, 2010-01-31 (Released:2017-12-28)
参考文献数
19
被引用文献数
4

本研究では,発症後長期経過している統合失調症の子供をもつ母親の体験を明らかにすることと支援の方向性を見出すことを目的として,12名の母親へ半構成的間接を行い質的に分析した。その結果,母親の生き方,子供への向き合い方,病気や治療についての思い,人々との閔係についての思い,母親の気持ちの支えと気がかりなことの5つのテーマが抽出された。母親は,過去,現在,これからも子供が生きていく上での伴走者としてともに生きることを覚悟していた。その背景には,親としての責務,病気になったことへの哀れみ,他の家族員への配慮があった。母親が語るこれまでのケア体験をうけとめ,それらの体験を価値あるものとして母親の中に根づかせることは,母親の生き方を支えるここになりうると考えられた。
著者
藤井 隆太朗 向井 克容 細野 昇 坂浦 博伸 石井 崇大 岩崎 幹季 菅本 一臣 吉川 秀樹
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.763-769, 2005-07-01

In vivoでの3次元腰椎回旋運動解析は,従来の方法では高精度な解析は困難であった.今回,われわれは3D-MR画像を用いた新しい非侵襲的3次元動態解析システムを使って,体幹回旋時の腰椎3次元運動を解析したので報告する.各椎間の平均回旋角度は片側1°~2°であった.腰椎の回旋運動はL1/2~L4/5において回旋と反対方向の側屈,T12/L1とL5/S1において回旋と同方向の側屈を伴っていた.また腰椎の回旋はL1/2~L5/S1で前屈を伴い,T12/L1で後屈を伴った.われわれの解析結果はin vivoでの2方向X線撮影を用いたPearcyらの報告と同じ傾向であったが,in vitroでの新鮮屍体を用いたPanjabiらは下位腰椎(L4/5,L5/S1)では回旋と同側方向への側屈を伴ったとしており,L4/5においてPanjabiらの結果とは異なっていた.
著者
岩崎 学 阿部 貴行
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.49-60, 2006-07-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
8

打ち切りとトランケーションは,共に不完全データをもならす要因として,実際のデータ解析で遭遇することが多い.本論では,観測値xがある値c以下でのみ値が観測される場合について,切断点cを変化させることによる推定値への影響を考察する。cがパラメータの推定値に及ぼす影響を,尤度方程式から導かれる陰関数を用いて評価する.特に,応用上重要な指数分布および正規分布について,数値例を交えて詳しく議論する.陰関数の吟味により,打ち切りとトランケーションでは切断点cの影響が逆向きであること,およびトランケーションの場合にはcの影響が観測データ数に依存しないことを示す.
著者
斉藤 貴宏 黒沢 規宏 渡辺 正義 岩崎 泰彦 石原 一彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.200-206, 1998-04-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

グルコースセンサー用生体適合性高分子メディエーターを実現する目的で, 側鎖にリン脂質類似構造を有し, その重合体が優れた生体適合性を示すことが知られている2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) とレドックス活性モノマーであるビニルフェロセン (VFc) の共重合体 (VFc-MPC) を合成した. 本共重合体表面にウサギの血小板多血漿 (PRP) を接触させて血小板粘着挙動を観察したところ, 本共重合表面への血小板の粘着は少なくMPCユニットの導入による血小板粘着抑制効果が顕著に現れた. さらに本共重合体をグルコースオキシダーゼ (GOD) を用いた酵素電極の高分子メディエーターとして適用し, グルコース溶液中で本共重合体のメディエーター特性について検討した. メディエーション反応による触媒電流が観測され, VFc-MPC共重合体はGOD/電極間の電子移動反応を媒介する高分子メディエーターとして機能することが見いだされた.
著者
岩崎 亘典 スプレイグ・ デイビッド
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.24, no.Special_Issue, pp.S1-S6, 2005 (Released:2007-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

The aim of this study is to evaluate the relationship between land use change and the habitat expansion of the Japanese macaque in central Bousou Peninsula. In the 1880's, about 30% of the study area was occupied by grassland and coniferous forest, while broad-leaved forests were fragmented. This means suitable habitat for Japanese macaque was fragmented and habitat expansion was obstructed. From the 1880's, 1960's, to the 1980's, the area of broad-leaved forest expanded rapidly. With this land use change, the habitat of the Japanese macaque also expanded.
著者
吉田 正章 佐々木 武 岩崎 克則 三町 勝久 松本 圭司 趙 康治 花村 昌樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

超幾何関数に関する以下の結果を得た。1)塩山積分に付随する捻表・裏路地群の交叉数を算出し塩山関数に新たな組み合わせ幾何的意味を発見した。またこの結果を共形場理論に応用し、共鳴する場合も調べた;これは単なる定理の改良でなく、応用上の要求に答えるためであった。2)共変関数論を創設した。河童関数を発見;従来保型関数・形式は第一種狐群のみを対象としてきたが、ここに第二種でも面白い物が(身近に)あることを例によって示した。従来の超幾何多項式とは異なる、3つの整数で径数付けられる新しい超幾何多項式系を発見。3)楕円芋蔓関数の乱舞だ関数の新しい無限積表示を発見(手多のそれとは全く異なる)。4)超幾何的黒三角形の内角が一般のときにその形を調べた。被覆面の表示法を工夫した。5)白頭絡補空間に入る又曲構造を又曲空間上の保形関数を構成して具体的表示に成功。6)超幾何的測多価群が一寸来群のとき堆肥村空間と係数空間の関係を調べた。7)超幾何的黒写像研究は百年以上続いてい、前世紀は高次元化がなされたが、ここに新たにより自然な的を持つ又曲黒写像を考案して、(特異点的微分幾何的)研究を始めた。8)3次元李群の働く曲面を調べた;特にSL(2,R)が働く曲面を詳しく調べた。知恵備匠多項式の超幾何的補間から生じる李代数が3次元になる条件を求めた。