著者
谷本 能文 泉 俊輔 古田 耕一 鈴木 友恵 藤原 好恒 平田 敏文 山田 外史 伊藤 喜久男
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.61-67, 2000-02-29 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19

ミドリムシに対する強磁場の影響について研究した。生きているミドリムシは,水平方向の勾配強磁場(380T2m-1)中では,高磁場方向に移動する(正の走磁性)。一方,EDTAで殺したミドリムシは,低磁場側に集まった。8Tの均一磁場では走磁性は見られなかった。強磁場中のミドリムシの顕微鏡観察の結果,ミドリムシは磁場とほぼ垂直方向に配向して泳ぎ,また殺したミドリムシも磁場配向していた。ミドリムシの正の走磁性は,ミドリムシの磁場配向とミドリムシにかかる不均一な磁気力の2つを考慮することにより説明された。
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬 荒牧 英治 服部 一樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.981-993, 2017-05-15

本論文では,2つの調査に基づいて,うつ病患者の家族介護者を支援するための知見を述べる.1つ目の調査では,患者の気分の上下や予期せぬ振舞いなどに対処する家族介護者の介護活動の現状とニーズを把握する.その調査結果をふまえて介護記録Webアプリケーション「みまもメイト」を開発する.2つ目の調査では,家族介護者がみまもメイトを6週間にわたって利用することによって,家族介護者のうつ病患者に対する関わり方や患者との人間関係がどのような影響を受けたかを調べる.利用後のインタビュー調査から,家族介護者がみまもメイトを利用することによって,自身の介護活動を客観的に見つめ直す効果がある(第三者視点の導入)ことが分かった.さらに興味深いことに,みまもメイトは患者,病気,家族介護者の間の関係を変化させ,これによって,家族介護者とうつ病患者間のコミュニケーションを改善する効果があることも分かった.具体的には,みまもメイトを用いることによって,家族介護者単独で病気をかかえる患者に対処するという構図(家族介護者vs.患者+病気)から,患者と家族介護者が協調しながら病気に立ち向かうという構図(家族介護者+患者vs.病気)へと変化した.
著者
山田 クリス孝介 平田 華奈子 野村 忍
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.26, pp.237-237, 2010

感情喚起時の脳の活動メカニズムを明らかにすることは、うつ病や不安障害などの精神障害を理解するために重要な問題である。脳の前頭前皮質は感情の制御に重要な役割を担っていると考えられ、大きな注目を集めている。本発表では、感情と脳に関する先行研究を概観し、我々の研究について紹介する。我々の研究では、健常な大学生を対象に、感情喚起時の前頭前野活動を近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy: NIRS)により測定した。NIRSは大脳皮質の血流量を非侵襲的に測定できる装置である。感情喚起にはInternational Affective Picture System(IAPS; Lang et al., 1995)を使用し、IAPSの中から不快、中性、快画像をそれぞれ15枚ずつ選定した。各画像(不快、中性、快)をブロック計画で提示し、各ブロックにおける前頭前野活動を比較した。
著者
平田 典子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

岩澤p進対数関数は通常の局所的なp進対数関数と異なり、解析的に良い性質を持つ.すなわちp進体の代数閉包の完備化である全平面において定義されている,この事実に着目して、岩澤p進対数関数の楕円関数上のアナロジーを構築し、それを用いてp進楕円対数の一次形式の下からのディオファントス近似評価を与えるということが今回の課題の目標であった.p進楕円関数もp進楕円対数関数も局所的な関数であるが、実際には楕円でない場合のp進対数関数の場合と異なり、p進楕円対数関数のもつ代数的な性質が良くなかったため、岩澤p進対数関数の持つ非常に良い性質の楕円版は得られなかったが、最終的な課題である2個のp進楕円対数の一次形式のディオファントス近似の下からの評価については、一次形式の係数である代数的数の高さに関する最良の評価を得ることが出来た,これが高田里奈氏との共著としてKyushu Journal of Mathematicsに出版されたLinear forms in two elliptic logarithms in the p-adic caseの主結果である.これにより、先行結果であったJournal of Number Theory 57巻(1996年)133-169に出版されたG.RemondとF.Urfelsの評価を改良して最良評価に達することが出来たことになる.しかしながら評価の定数部分が大きくなってしまったので、定数の改良も行うことが今後の課題である,なお、代数体上で定義された楕円曲線のS整数点はC.L.Siegelの定理より有限個であることが分かっており、その全ての座標を計算することはS.Langらの論法を用いれば可能であるが、上記の仕事はそのための具体的な評価不等式を与えたことに相当する.
著者
千代 章一郎 田中 貴宏 平田 直人
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.285-290, 2015 (Released:2015-04-30)
参考文献数
6

This paper aims to consider the Kansei of the fourth graders of the elementary school to the public space through the analysis of the environmental estimation and the proposal by means of the use of Five Senses' icons and Thanks icons. The method can be categorized into three stages, the first being the conduction of the fieldwork and workshop about security in their school route and around school. In the workshop, students make suggestions about the security of a well-known city. The second being the collection of the result data discriminated in quantitative terms in order to understand their tendency and the third stage being the qualitative consideration of the proposed typical.According to the analysis during the estimation phase by the fourth graders of the elementary school, it is revealed that Thanks icons bring about the positiveness of the children.
著者
平田 未来
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.217, 2012 (Released:2013-09-18)

【目的】20世紀初頭、イギリスで婦人参政権運動が盛んとなった。1903年にマンチェスターでエメリン・パンクハーストによって結成された女性政治社会連合(Women’s Political Social Union:略称WPSU)では、1908年頃より衣服問題が生じた。これまでの研究では、女性史や教育史の中で婦人参政権運動の政治的な動きが注目されており、近年では消費社会と関連していたとの見解もある。本発表では、20世紀初頭のイギリスで起きた婦人参政権運動で着用された衣服の社会的文化的役割と意義を明らかにする。 【方法】分析の中心となるのは、1907年10月にローレンス夫妻によって刊行されたWPSUの機関紙『婦人に参政権を!』(Votes for Women)である。また女性参政権協会全国連合の『コモン・コーズ』(Common Cause)と比較検討する。さらに、同時代の新聞、雑誌、自伝や現存する衣服を用い、衣服の機能や役割を検証する。研究の対象期間は、1908年から第一次世界大戦がはじまる1914年である。 【結果】婦人参政権論者たちは、エドワード朝時代の白いブラウスに裾の長いスカート、それにつばの広いピクチャー・ハットを取り入れ、女性らしさを保持しつつ、活動に参加していた。さらに「紫、白、緑」という「純潔、希望、それに威厳」を意味するカラーズのついたバッジ、ブローチそれにバナーズが運動の団結心を高める機能を果たしていた。これらの衣服やアイテムは、彼女たちの自立心を育て、団結心を与えると共に、婦人参政権運動への実現を果たす役割を担っていた。
著者
平田 利晴
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.23-32, 1985-11-10

萩原朔太郎と短歌の問題は、詩作品や詩論にくらべて論の対象となることが少なかった。それは稀有の口語自由詩人の側から資料的に扱うという我々の享受姿勢にも一因がある。そこで、『恋愛名歌集』の「新古今集」の部を可能のかぎりそれそのものとして検討することが先決の課題となる。<憂鬱>・<無為のアンニュイ>といった『青猫』系列の詩篇の詩想が朔太郎の新古今評釈には深く根ざしているが<技巧>と詩想とのめでたい芸術的一致を式子内親王の歌に見た彼は、『氷島』においてそれを我がものとすることができなかったと察せられる。
著者
桂 有加子 平田 光司
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-13, 2010-12

By analyzing a TV program on the vulnerability of the Y chromosome and the possible extinct of human beings, it is shown that the program took a scientific evidence (the vulnerability of the Y chromosome) and put it in a context different from the original and academic one. The extinct of humans is not a subject of the normal science and is a type of trans-science question. Among many entertainment tools, this type of deconstruction is useful to make the program quickly understandable for non-experts. It is quite possible that the deconstruction reveals the context owned by the society. This can be unavoidable and the academy should not have right nor obligation to stop it. On the other hand, the scientists should be aware of the deconstruction mechanism of the media and the society and try to coexist with it as a different culture.
著者
平田 治 土井 進
出版者
信州大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
信州大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.9, pp.145-154, 2008-12-26

土井は平成4年7月の読売新聞紙上で竹内隆夫に出会い,平成4・5年度の「教育実践研究の基礎」の授業に竹内を招き,それぞれ4回にわたって「自問清掃」の講義を受けた.この講義を受講した学生たちによって,平成6年度から「信大YOU遊サタデー」が実施され15年目を迎えている.平成19年3月に三重大学の齋藤昭名誉教授から,平田が「自問清掃」の実践を通して多大な教育成果を上げていることを紹介された.これを受けて両者が講義の構想を練り, 「自問清掃」を「生活科指導法基礎D」 の授業において,平田が3回にわたって講義することになった.受講した学生達は, 「自閉清掃」の教育的価値や内発的動機付けの重要性について理解を深めることができ,教員養成における「自問清掃」指導の意義が確認された.さらにこうした講義による学びが,具体的な体験を通して学ぶ場とリンクすることの必要性が再認識された.
著者
平田 昌弘 HIRATA Masahiro
出版者
食品資材研究会
雑誌
New Food Industry
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.65-73, 2011

前号Vol.53 No.6に引き続き,インドの都市と農村での乳製品の種類とその製造法,そして,乳製品の利用のされ方について紹介する。本稿では,乳のみの乳製品に様々な添加物を付加して加工した「乳菓」を概説する。そして,インドの乳加工体系の特徴を分析し,複雑なインドの乳加工体系の本質に迫ってみたい。http://www.newfoodindustry.com/information/cn11/cn17/pg260.html
著者
落合 知美 綿貫 宏史朗 鵜殿 俊史 森村 成樹 平田 聡 友永 雅己 伊谷 原一 松沢 哲郎
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
2015
被引用文献数
2

The Great Ape Information Network has collated and archived information on captive chimpanzees within Japan since 2002. As of July 1<sup>st</sup>, 2014, a total of 323 chimpanzees were housed within 52 facilities across Japan, all registered in the Japanese Association of Zoos and Aquariums (JAZA) studbook. JAZA has recorded information on captive chimpanzees within Japan since the 1980s. However, for individuals unregistered and/or deceased prior to this period, JAZA holds scant information. There are very few surviving reports on living conditions and husbandry of such individuals, particularly for the years preceding the Second World War (WWII) (up to 1945). Here we present the first detailed history of captive chimpanzees in Japan before WWII, following a systematic investigation of disparate records. The first record of any live chimpanzee within Japan was a chimpanzee accompanying an Italian travelling circus in 1921. The history of resident captive chimpanzees in Japan began in 1927 when a chimpanzee, imported into Japan by a visitor, was exhibited in Osaka zoo. In the 1930s, many chimpanzee infants were imported to Japanese zoos until in 1941 imports were halted because of WWII. By the end of WWII, there was only one single chimpanzee still alive within Japan, "Bamboo", housed in Nagoya. In 1951, importation of wild chimpanzees into Japan resumed. In total, we identified 28 individuals housed within Japan before 1945, none listed previously in the JAZA studbook. Of these 28 individuals: 6 entered Japan as pets and/or circus animals, 21 were imported to zoos, and one was stillborn in zoo. Of the 21 zoo-housed individuals, 7 died within one year and 9 of the remaining 14 were dead within 5 years of arriving in Japan. Four individuals are recorded to have lived 7-8 years. Only one male individual, the aforementioned "Bamboo", lived notably longer, to about 14 years.
著者
大角 洸平 大塚 敏之 平田 光男 塩谷 政典
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.275-282, 2013 (Released:2013-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

In this paper, a control problem of temperature dispersion in steel cooling is formulated as model predictive control (MPC) of a probability density function (PDF). The input of MPC is optimized for dynamics of the PDF approximated by the Monte Carlo method, which is called particle MPC (PMPC). Simulation results of PMPC are presented to show the potential effectiveness of dispersion control.
著者
平田 佑也 稲葉 通将 高橋 健一 鳥海 不二夫 大澤 博隆 片上 大輔 篠田 孝祐
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究ではコミュニケーションゲームとして知られる「人狼」をプレイできるエージェントの構築を目指している.人間同士での人狼プレイログから,プレイヤー自身がどのように振る舞うか,他プレイヤーに対してどのような判断を下すのかといった情報を取得し,任意のゲーム状況における行動の選択確率を求めた.これを用いて人狼エージェントを作成し,人間同士でのゲーム結果と似たものとなるか,シミュレーションを行った.
著者
平田篤胤 講
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3], 1800
著者
平田 由美 成田 龍一
出版者
大阪外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

研究の目的:本研究は、「毒婦物」と呼ばれる、1880年代前後の日本に出現した、実在あるいは架空の女性犯罪者を主人公にした実録風読み物の一群を近代国民国家成立期の規範的な女性像からの逸脱に対する抑圧的言説、否定的規定による女性のカテゴリー化とみなしてその表象行為じたいを分析対象として、近代におけるジェンダー編成を歴史的に考察することを目的として行われた。研究の経過:研究の基礎となる対象資料を文学テクストに限定することなく、新聞・雑誌などのジャーナリズムや錦絵、演劇脚本などの視角的メディアにまで及ぶ広範囲の資料調査を国内外で精力的に行った。この基礎調査をもとに具体的なテクスト分析の対象となる資料となる近世戯作・明治戯作、近代小説・近代戯曲、芝居絵・錦絵・錦絵新聞などを絞り込み、カード形式による整理を完了した(デジタル形式によるデータベース化は技術的、財政的困難のために将来の課題として残った)。テクスト分析の作業じたいは対象全体の7割程度まで進んだ。19世紀についていえばそのほとんどをカバーすることができており、報告書執筆におおむね差支えがないだけの作業が完了している。研究の成果:以上の作業結果として、歴史研究と文学研究、文化研究の如何を問わず、従来の「毒婦」に関する言説の多くが、二次資料や典拠不明の記述に依拠していたこと、そしてそのことによってステレオタイプ的な毒婦イメージが再生産されてきたことが実証的に明らかにされたと考える。研究成果の一部はすでに論文等として発表されているが、代表者による論考をさらに増補して、女性表象に関与するジェンダー力学の政治性に関する総括的論集として刊行する予定である。
著者
中村 隆之 横見瀬 裕保 磯和 理貴 平田 敏樹 福瀬 達郎 水野 浩 乾 健二 池 修 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.7, pp.817-821, 1996-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例1は45歳,女性,症例2は50歳,男性,いずれの症例も検診で肺野に孤立性銭形陰影を発見された来院した.その他の諸検査で異常を認めなかったが,肺癌を否定できないため肺部分切除を行った.病現組織で壊死を伴う肉芽腫様組織中に犬糸状虫の虫体を認め肺犬糸状虫症と診断した.肺犬糸状虫症の報告は近年増加しているが,特異的所見に乏しく非観血的診断が困難である.銭形陰影を呈する肺病変,特に肺癌との鑑別診断に肺犬糸状虫症を考慮する必要がある.