著者
宮地 護 木村 義則 尾上 篤
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.73-78, 2007-02-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

We developed a wafer-level integration process for multiple-wavelength laser diodes. This integration process allows highly accurate and proximal alignment of emission spots, as well as high mass-productivity. Using this process, we fabricated blue/red and red/infrared two-wavelength laser diodes. In these laser diodes, the distance between two emission spots was approximately 3μm. Furthermore we fabricated blue/red/infrared three-wavelength laser diode whose emission spots were aligned within 10μm distance. Such a short spot distance allows the optical components of the pickup to be substantially simplified.
著者
木村 紀子
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
vol.13号, pp.25-35, 1984-12
著者
木村 紀子
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.22, pp.p55-71, 1994-03

日本語は、擬声作用―感覚的に把握される諸現象を、直接コエの感覚に擬え表現する作用の活発な言語であるとみられている。そうした特徴の根底には、分節されたひとつひとつの言語音-日本語の場合いわゆる五十音として認識されているもののそれぞれについて、少くとも日本語を母音とする者の間で音感を共有していることが必要である。音感は言語修得過程においてもっとも原初的なものであるが、個々の言語によって音の分節構造が異なる以上、母語とする言語の違いによって異なる部分も多いものであろう。日本語独自のそのような音感を、すでに音韻観念として根づいている五十音の一音一音について、生理音・表情音や二音節畳語擬声語をもとに検証し、悉曇や近代音声学的分析以前の日本語本来の言語音感の全体構造を明らかにし、音と意味との関係の根源にせまりたい。
著者
木村 直弘 KIMURA Naohiro
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.8, pp.37-66, 2009

日本人はいったいいつ頃から大声をあげて突くことを慎むようになってきたのであろうか。 現代日本の葬儀において,たとえば「働芙」といった言葉からイメージされるような大仰に声を挙げる突きを見聞きすることはあまりない。一方中国人や韓国人の悲哀の表現には依然として声を張り上げた「突き」が存する。こうした差異は,短絡的に情緒面の民族的差異へと還元されがちである。しかし儒教社会における葬儀で「突き」は必須の儀礼的アイテムであり,それは単に感情的に悲しいから自然と号泣するというレベルではなく,「突」すなわち意識的に大声を発することが必要となる。それは単に声を出すだけに留まらない。『礼記』檀弓篇下に「騨踊,哀之至也」とあるように,胸を叩く「騨」や足踏みをする「踊」は,葬儀における最も深い哀悼の意の表現とされた。しかし,それに続けて「有算,為之節文也」とあるように,その表現の度合いは必ず適切に調節されねばならない。母が死んだため子供のように泣く者を見ての孔子の言「哀別哀臭,而難馬纏也。夫薩,為可博也,為可継也,故実踊有節」(『礼記』檀弓篇上)からもわかるように,巽も踊もあくまでも後々まで伝えられるべき礼であるため節度が必要とされた。しかし日本においては,節度ある(あるいはコントロールされた)「突き」は却ってわざとらしいものとしてネガティヴに捉えられる。それはあくまでも表出されることを慎まれる,つまりは音声として公に発せられない方が節度があると見倣されるのである。 民俗学者柳田囲男は,昭和15年8月7日「国民学術協会公開講座」での講演をもとに昭和16年8月に上梓されたエッセイ「沸泣史談」で,日本人が近年大人も子供もめったに泣かなくなったことに着目し,その原因について考察している。柳田によれば,言語を唯一の表現手段と考えがちな「学問の化石状態」下にあって,「泣く」という行為が言葉を用いるより簡明かつ適切な自己表現手段であったことが忘れられ,このような思考は「新たに国の進路を決しなければならぬ当代に於ては,殊に深く反省して見るべき惰性又は因習」(1)である。この国で少なくとも人前でおおっぴらに泣くことが悪徳であるかのように言われ始めた時期を柳田は中世以降と推察し,こうした行為が社会から排斥されるようになったのは,江戸時代の義太夫等に聴かれる働笑の声のように,泣くことが表現方法として非常に有効であり「乱用の弊」があったからとも考えられるとした。そもそも「男は泣くものではない」といった教訓は逆に「女ならば大人でも泣くべし」という理解が人口に胎灸していたからだというのである。大人による表現としての泣きの用途として柳田が挙げているのは,「デモンストレエション(demonstration)」と「ラメンテエション(lamentation)」である。前者は,夫婦喧嘩の際等で,大きな声を立てることによって周囲の注意を喚起し,第三者の公平な判断を味方につけようとする用途であり,後者は神や霊を送る時の方式で,いわゆる儀礼的泣きである。たとえば三月の節句での雛送り(流し雛),盆の十五日の魂送り,あるいは葬式における「泣き女」といった風習からも看取されるように,泣きは,行事に欠かせない慣習的約束事であった。盆や葬式においては,死者との別れといった感傷を伴うため,実感がこもった心からの泣きとの区別がしにくいわけだが,柳田によれば,そこに言語的混同が生じた原因がある。つまり,忍び泣きと呼ばれるナク(「涙をこぼす」「悲しむ」「哀れがる」等)と,表現手段としてのナクとは単語が同じでも全く別種のものであるとされる。
著者
木村,晴
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, 2004-06-30

不快な思考の抑制を試みるとかえって関連する思考の侵入が増加し,不快感情が高まる抑制の逆説的効果が報告されている。本研究では,日常的な事象の抑制が侵入思考,感情,認知評価に及ぼす影響を検討した。また,このような逆説的効果を低減するために,抑制時に他に注意を集める代替思考方略の有用性を検討した。研究1では,過去の苛立った出来事を抑制する際に,代替思考を持たない単純抑制群は,かえって関連する思考を増加させていたが,代替思考を持つ他3つの群では,そのような思考の増加は見られなかった。研究2では,落ち込んだ出来事の抑制において,異なる内容の代替思考による効果の違いと,抑制後の思考増加(リバウンド効果)の有無について検討した。ポジティブな代替思考を与えられた群では,単純抑制群に比べて,抑制中の思考数や主観的侵入思考頻度が低減していた。しかし,ネガティブな代替思考を与えられた群では,低減が見られなかった。また,ネガティブな代替思考を与えられた群では,単純抑制群と同程度に高い不快感情を報告していた。代替思考を用いた全ての群において,抑制後のリバウンド効果は示されず,代替思考の使用に伴う弊害は見られなかった。よって,代替思考は逆説的効果を防ぎ効果的な抑制を促すが,その思考内容に注意を払う必要があると考えられた。
著者
杉田 昭 小金井 一隆 辰巳 健志 山田 恭子 二木 了 黒木 博介 荒井 勝彦 木村 英明 鬼頭 文彦 福島 恒男
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.66-72, 2012 (Released:2012-04-24)
参考文献数
18

痔瘻癌は痔瘻の症状が併存するため早期診断が困難で,進行癌で発見されることから予後が不良な疾患である.本邦ではCrohn病症例に合併する肛門病変として痔瘻が最も多い.Crohn病に合併する大腸癌のうち,痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が半数以上を占めるのが本邦の特徴であり,合併する痔瘻癌の特徴は基本的に通常の痔瘻癌と同様であるが,自験例の痔瘻癌診断までの罹病期間は平均20年,癌診断時年齢は平均39歳と通常の痔瘻癌に比べて罹病期間に差はなかったものの,若い年齢で発症していた.痔瘻癌発見の動機は粘液の増加,肛門狭窄の増強,腫瘤の出現などの臨床症状の変化であることが多く,長期に経過した痔瘻を合併するCrohn病症例では痔瘻癌の合併があることを念頭に置き,痔瘻の症状の変化,肛門所見に留意して定期的な指診,大腸内視鏡検査,積極的な細胞診,生検を行うことが早期診断と長期生存に重要である.直腸肛門管癌(痔瘻癌を含む)に対する癌サーベイランスプログラムの確立が望まれ,その可否の検討が必要である.
著者
松本 大樹 木村 容子 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.325-329, 2012 (Released:2013-02-14)
参考文献数
17

更年期女性の動悸に対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった症例は報告されているが,冷えに対する効果に言及した報告は認めない。今回動悸と冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した症例を経験したので冷えを中心に考察を加え報告する。症例は48歳,女性。2-3年前より動悸,手足の冷えが出現し,X 年5月8日当院を初診。虚証で動悸と不眠を訴え,腹診所見の腹部動悸から,桂枝加竜骨牡蛎湯7.5g/日を投与したところ,服用2週間で動悸,手足の冷えが改善した。1年後に5g/日と減量したが,症状は落ち着いている。今回の症例では,臍上悸を伴う動悸と手足の冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した。桂枝加竜骨牡蛎湯はのぼせを伴う上熱下寒型の冷えに限らず,のぼせの訴えがない場合でも,動悸や臍上悸などの気逆によると考えられる所見を伴う手足の冷えには,桂枝加竜骨牡蛎湯を応用できると考えられた。
著者
田山 二朗 弓削 忠 二藤 隆春 木村 美和子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.158-162, 2007-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

アテロコラーゲンは, 異種タンパクであるためアレルギー反応等のおそれや, 吸収率が高いことから複数回の注入が必要になるなどの短所があるが, 注入手技が多彩で簡便であるため使用しやすく, 全身状態の低下した症例, 全身麻酔不能例や外来治療を希望する例に対する局所麻酔下日帰り内視鏡手術に適している.咽喉頭の麻酔が十分なされていれば, ほとんどの症例において本手技が施行可能である.手術効果は声帯の状態によって異なる.主に筋層に萎縮が見られる声帯麻痺例 (特に正中固定例) については, 筋層のvolume増加が得られるために音声改善効果が高くなる.声帯溝症では振動部位である粘膜の病変が主であるため, 術後声帯のvolume増大により発声時の声門閉鎖不全が改善されたとしても, 音質の改善に関しては不十分となる.なお, 吸収率が高いため安定した効果を得るには3~4回の注入が必要である.合併症としては, 術時の局所麻酔中毒や喉頭痙攣, 術後の嚥下性肺炎や喉頭浮腫, 粘膜層への注入による声帯振動障害などが挙げられる.われわれの音声外来では, 高齢者の声帯萎縮性病変が増加しており, 声帯内注入術はこれらに対して十分活用できる音声外科的治療法としてもっと普及してよい術式である.そのためには, 声帯内注入術や注入材料に対する正しい理解と, 安全, 簡便かっ安定した, さらに粘膜内注入にも適した注入材料の開発が望まれている.
著者
木村 健修 千田 敏之
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.148, pp.44-46, 2002-02

「高齢者も医療費の負担を応分にすべき」、「医業経営に市場原理が導入されると医療ミスが増える」——。北海道保険医会が昨年5月、医師(歯科医師含む)、患者それぞれ9500人を対象に行った調査では、医師、患者ともに過半数がこのような共通の認識を持っていることが明らかとなった。同会副会長の木村健修氏に調査の狙いと分析結果について聞いた。
著者
戸祭 由美夫 平井 松午 平川 一臣 木村 圭司 増井 正哉 土平 博 澤柿 教伸 小野寺 淳 財城 真寿美 澤柿 教伸 宮崎 良美
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

幕末の蝦夷地には、ロシア帝国をはじめとする列強の進出に備えるため、幕府の箱館奉行所をはじめ、東北諸藩による陣屋・囲郭が軍事施設として沿岸各地に建設された。本研究は、そのような軍事施設を研究対象として、歴史地理学・地図学・地形学・気候学・建築学の研究者が共同研究チームを組んで、古地図・空中写真・数値地図・気象観測資料といった多様な資料や現地調査によって、とりわけ蝦夷地南西部に主たる焦点を当てて、それら軍事施設と周辺部の景観を3次元画像の形で復原した。
著者
望月 悦子 木村 洋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.647, pp.35-41, 2010-01-30 (Released:2010-04-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3 1

The purpose of this study is to identify the visual effects of the difference of spectral power distribution of luminaires in office space. Subjective experiment was conducted in two experimental chambers with different kind of ceiling luminaires - LEDs and fluorescent lamps. Visual fatigue of the subjects was evaluated by three methods, ART (Accommodation Response Time) and CFF (Critical Fusion of Flicker) as objective test and questionnaires for evaluation of subjective symptoms of fatigue as subjective test. The results showed that there was no significant difference between the variation rate in ART and that in CFF caused by VDT works within one hour under LEDs and those under fluorescent lamps. Also the subjective evaluation on fatigue was not significantly different among different kinds of the light source.
著者
和田 春樹 木村 幹
出版者
シノドス
雑誌
SYNODOS
巻号頁・発行日
2013-09-16

本原稿は、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」の収録をもとにシノドスが編集したもの
著者
木村,学
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集
巻号頁・発行日
no.47, 1997-04-24

北海道は千島弧と東北日本弧の会合部にあり, 白亜紀以降の日高造山運動によって形成されてきた。白亜紀はじめから始新世にかけてアジア人陸の北東縁に平行な古海溝に沿って, 沈み込みに伴う付加が起こった。オホーツクプレートの南縁に位置した古千島弧が暁新世にアジア人陸縁と衝突し, サハリンや北海道北部における沈み込みが終了した。その後, サハリンと北海道地域は右横ずれ断層帯(日高剪断帯)へと変化した。北海道の東半分はその右横ずれ断層帯に沿って南へ動き, 断層帯に沿っては中期中新世のプルアパートベーズンが形成された。その右ずれ断層は日本海盆と十島海盆の拡大と, そして日高変成帯の変成・火成作用と同時に起こった。これらの事件はお互い密接に関連していたようである。日本海盆と十島海盆におけるアセノスフェアの上昇は, 右ずれ収束している日高剪断帯の下におよび, それによって同時に火成・変成作用が右ずれ変形とともに起こった。こうした出来事を通して, 北海道では厚い大陸地殻が成長した。中新世後期から太平洋プレートが千島海溝に沿って斜めに沈み込み, 千島前弧スリバーを南西へ移動させた。北海道の島弧会合部で前弧スリバーが衝突し, その結果日高変成岩が上昇・露出したが, これは上述した造構過程を通して形成された下部地殻である。北海道におけるこの大陸形成過程が新しく定義される「日高造山運動」である。日本列島同様, 島弧会合部における衝突は環太平洋造山帯のほとんどの島弧会合部で進行しており, それは沈み込み帯において新しい大陸地殻を急速に造るための重要なプロセスである。
著者
保阪 由美子 木村 琢磨 鈴木 亮 鄭 東孝 荘司 路 青木 泰子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.592-596, 2010-09-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
15

A 64-year-old man with prostate cancer and bone metastasis admitted for nausea, left abdominal pain showed no abnormal, and fever, abdominal ultrasound or chest X-ray findings. Despite antibiotics, left abdominal pain persisted for several days. Abdominal computed tomography (CT), showed splenic infarction. Transesophageal echocardiography suggested infectious endocarditis (IE) as a possible infarction cause, and roth spots were found on the retina. Gemella morbillorum was detected from blood culture. IE commonly causes Fever of Unknown Origin found by infarction. G. morbillorum, an anaerobic grampositive, viridans group streptococci, is indigenous to the oropharynx, upper respiratory, urogenital, and gastrointestinal tracts, and is thought to have weak toxity and pathogenicity in the body.

2 0 0 0 OA 教育お伽噺

著者
木村小舟 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1908
著者
藤原 聖子 奥山 史亮 江川 純一 久保田 浩 木村 敏明 宮嶋 俊一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、(a)1990年代までの宗教現象学の成果とその突然の消滅の原因、さらに(b)日本を含む各国で宗教現象学がどのように受容されたかを解明することを全体の目的とする。初年度である28年度は、国内の宗教現象学世代に対して聞き取り調査を行うとともに、関連文献を収集、整理した。また、海外の研究者と現地で行う調査計画を具体的に詰めることができた。聞き取りを行うことができたのは、華園聰麿氏(東北大学)、澤井義次氏(東北大学・天理大学)、土屋博氏(北海道大学)、小田淑子氏(京都大学・東京大学・シカゴ大学)、金井新二氏(東京大学)、永見勇氏(シカゴ大学・立教大学)、棚次正和氏(京都大学・筑波大学)、長谷正當氏(京都大学)、氣多雅子氏(京都大学)に対してである。宗教現象学の国内での受容の状況、自身の宗教現象学観が聞き取りの内容の中心となった。また、2017年に刊行100年を迎える『聖なるもの』の著者、ルドルフ・オットー(宗教現象学者の草分けとされる)の研究が国内でどう受容されたかについても聞くことができた。後者の情報は、日本でのオットー受容に関する英文論文を執筆する際に用いた。聞き取り調査と同時に、どのようなデータベースが役立つかについて検討を重ねた上で、博士課程の院生の協力を得て、国内の関連文献のデータベースを作成し、必要なものを収集した。海外に関しては、宗教現象学者の詳細な一覧を作成した。海外については、ヨーロッパ宗教学会のヘルシンキ大会に合わせて、フィンランド宗教学者による宗教現象学の受容について、Veikko Anttonen氏とTeuvo Laitila氏から聞き取りを行った。さらに、スウェーデン宗教学会会長のDavid Thurfjell氏と現地調査方法、論文集の刊行について計画を進めた。
著者
藤原 有子 藤塚 千秋 米谷 正造 木村 一彦
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.186-193, 2013

本調査では,月経期間中の水泳は可能であるという事実に基づき,女子中学生61名を対象とした知識提供の介入指導を行った.知識,意識,行動の変容の3点について検討することを目的とした.先ず,1学期の水泳授業終了後に事前調査として,知識調査と月経期間中の水泳についての考えと水泳授業時の行動を調査した.次に2学期の水泳授業開始前に直接介入指導を行い,その直後に自由記述による感想を求めた.最後に2学期の水泳授業終了後に再度,知識調査と月経期間中の水泳についての考えと水泳授業時の行動を調査した.結果を要約すると以下のようであった.1.介入指導前後の知識は,設問に対する正解率が29.5%から94.1%と有意に高くなった.2.介入指導直後の意識は,自由記述感想から80.3%が月経期間中の水泳について肯定的な考えを記入した3.月経期間中の水泳についての肯定的考えは,介入前に14.7%だったのが介入後37.2%と有意に増加した.4.介入指導前後の行動について,月経期間中に水泳授業へ参加した者の割合で比較したが,有意な 差は得られなかった. これらのことから,介入指導は知識や意識への肯定的働きかけとして寄与したが,行動変容を促すことはできなかった.