著者
村上啓作編述
出版者
陸軍大學校將校集會所
巻号頁・発行日
1925
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 冨永 典子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.154-162, 2006

A questionnaire survey was conducted to identify the regional variety of Japanese New Year's dishes and how they are prepared.<br>Questionnaires were sent out to students of universities and colleges throughout Japan in December 2001 and 2608 questionnaires were collected in January 2002.<br>Japanese soba was eaten by 74.8% of Japanese on New Year's eve, while Okinawa soba was eaten by 58.8% in Okinawa. Osechi dishes were eaten by 79.6% during the New Year period, most being homemade although some were bought from shops. Kuromame was most commonly eaten, followed by boiled fish paste, cooked herring roe, cooked sweet-potato paste, cooked vegetables, cooked sardines, fried eggs, rolled kombu and vinegared dishes. The cooked vegetables and vinegared dishes were mostly homemade, while fried eggs and boiled fish paste were mostly purchased from shops. The popularity of Japanese New Year's dishes varied according to the region although it has decreased compared to that of 23 years ago.
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。
著者
中川 育磨 村上 正晃
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.160-168, 2017 (Released:2017-07-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

脳や脊髄など中枢神経系の血管は,血液脳関門という特殊な構造を形成することで,血管系から中枢神経系への病原体や化学物質,免疫細胞の侵入を防ぎ中枢神経系の恒常性を極めて高度に維持している.しかしながら,中枢神経系においても病原体や免疫細胞の侵入に伴う疾患が実際に存在し,それはすなわち血液脳関門の破綻に伴う侵入口(ゲート)が形成されていることを意味する.近年までこのゲート形成の分子機構はほとんど明らかになっていなかった.著者らは,中枢神経系の難病疾患である多発性硬化症のマウスモデルを用いて,血液脳関門におけるゲートの形成部位と形成機構,及びその分子基盤として局所においてNF-κB経路とSTAT経路の同時活性化により炎症を誘導・維持する機構である「炎症回路」を明らかにした.
著者
江木 伸子 平尾 和子 廣瀬 理恵子 斎尾 恭子 村上 昌弘
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.225-235, 2016-05-15 (Released:2016-06-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

分離大豆タンパク質(SPI),酢,大豆油,水の乳化により調製した大豆タンパク質添加エマルションのレオロジー的性質を酢の添加量および添加順序を変えて調べた.その結果,部分的加水分解したSPIは,乳化後,酢を添加することにより,元のSPIに比べて,高い保形性および安定性と滑らかな物性を持つエマルションを調製できることがわかった.SPI,大豆油および酢と水の適当な配合比を調べるために,Schefféの単純格子計画法を適用して,10種類の配合比で作られるエマルションの物性を検討した.安定した保形性を持つ混合比は部分加水分解SPI ; 4.0∼16.7%,大豆油 ; 36.0∼55.0%,酢 ; 5.0%,水 ; 36.0∼45.5%の範囲にあり,これらは擬塑性流動を示した.チキソトロピー特性値,降伏値,粘稠性係数,流動性指数などの値は混合比により変わり,ホイップクリーム様,マヨネーズ様,クリームチーズ様などの乳化特性を示した.混合比が部分加水分解SPI ; 10.4%,大豆油 ; 42.3%,酢 ; 5.0%,水 ; 42.3%のエマルションは,それが大豆たん白利用食品として相応のタンパク質含量を持ち,平均粒子径や流動性指数など物性値が適当なことから後の実験に選択した.このエマルションに砂糖を添加すると,砂糖の添加量が多くなるに従いニュートン流動を示すようになり保形性は失われた.しかし,砂糖を加えて乳化してから,酢を添加することによりエマルションの形状の変化を抑制することができた.またこのように調製したエマルションは焼成することが可能になったので,焼成菓子やマヨネーズ様食品を試作した.これら実験を通じて,著者らは食材を添加する順序が顕著に,かつ,微妙に調製後のエマルションや食品の物性に影響することを認めた.
著者
荒井 智大 藤尾 淳 島岡 理 望月 泉 宮田 剛 臼田 昌広 井上 宰 村上 和重 手島 仁 中村 崇宣 中川 智彦 中西 渉
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.12-18, 2018
被引用文献数
1

急性虫垂炎の発症については季節性変化を報告した論文がみられ,特に高気圧時の化膿性疾患の増加を指摘した報告もある.2012年1月1日から2014年12月31日までの3年間に,当院で手術を施行した急性虫垂炎450例について,診療録をもとに後方視的に発症時期を調べその季節性変動を検討した.対象の平均年齢は38.3歳で,男女比は1.5:1であった.手術症例は7-9月が11-12月に比べ有意に多かった(p<0.05).気候要因としては,気温が高いほど発症が多い傾向があるが,気圧には先行研究で示されたような化膿性疾患の増加との関連性は認められなかった.急性虫垂炎の病因は複合的であり更なる検証が必要だが,この季節性変動の情報が急性虫垂炎の発症機序解明に僅かながらも寄与する可能性があると考えられた.
著者
村上 圭子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.2-28, 2020

本稿は、通信・放送融合時代の放送業界と放送政策の動向を中心に、メディア環境の変化を俯瞰して今後の論点を提示するシリーズの第5回である。本稿は2019年8月から2020年4月までを対象とする。本稿ではまず、新型コロナウイルスに関する放送事業者の取り組みや課題に触れたい。日々刻々と変化する状況を冷静かつ客観的にどう伝えていくか。一斉休校によって教育を受ける機会が奪われている小中学校の生徒たち向けにどのような役割が担えるか。置かれた状況が大きく異なる人々に対して、どのようなメッセージを発信していけるか。現在も状況が変化し続けているため、分析や認識は不十分であるが、状況が深刻化した4月に入ってからの動向を記録しておきたい。本稿のメインはNHKを巡る動向である。4月17日、「放送を巡る諸課題に関する検討会」の下に「公共放送の在り方に関する検討分科会」が立ち上がった。今後は、「業務」「受信料」「ガバナンス」の「三位一体改革」と共に、受信料制度の議論が本格的に行われることになるという。本稿では、4月1日にNHKの放送同時配信及び見逃し配信サービス「NHKプラス」が本格開始したのを機に、常時同時同時配信を巡る議論を、議論が開始された2015年にさかのぼって検証した。またこの半年のNHKを巡る動向を、"三位"の3点に分けて振り返った。以上の作業を通じて、今後NHKに関して重要だと思われる論点を筆者なりに提示した。
著者
前田 慶明 加藤 順一 東 祐二 糸谷 圭介 村上 雅仁 嶋田 智明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.160-166, 2010
参考文献数
31

【目的】本研究の目的は,脳血管障害患者(CVA者)を対象に,非転倒者と転倒者の患者基本情報や入院時の下肢Br.stage,入院時FIM,Berg Balance Scale(BBS),Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いて,転倒予測を判断するための判断基準について検討し,臨床現場に則した実践的な指標を確立することである。【対象】対象はCVA者53例(男性30例,女性23例,平均年齢67.0 ± 11.1歳)とした。【方法】入院時記録から,入院中の転倒有無,年齢,性別,病型,発症から入院までの期間,入院期間,麻痺側,入院時の下肢Br.stage,入院時FIM,MMSEを抽出し,また入院時にBBSを測定し,これらの患者特性と転倒との関連性を検討した。【結果】少なくとも1回転倒を経験したCVA者は19例,転倒者率は36%であった。非転倒群と転倒群の比較において年齢,入院期間,入院時FIM,入院時Br.stage,入院時BBS,MMSEに有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果では,入院時BBSのオッズ比のみが有意であった。ROC曲線において有効なcut-off値は31点であると判断した。【結論】入院時のバランス能力がCVA者の転倒リスクと密接に関係しており,転倒予測を数値化することが可能となり,転倒予測する上でBBSが有用な指標である可能性が示唆された。
著者
村上 亮 Ryo Murakami
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.133-159, 2020-02-28

第一次世界大戦の直接的な契機となったサライェヴォ事件の犯人,セルビア人青年ガヴリロ・プリンツィプの評価については「英雄」と「テロリスト」のあいだで一致をみていない。これは、長年にわたり続いている第一次大戦の開戦責任問題に深く関わる問題といえる。本稿は,このようなプリンツィプの捉え方の変遷をたどるとともに,近年,開戦責任論争において批判的に論じられるセルビアの動きを分析するものである。
著者
村上 一博
出版者
明治大学法律研究所
雑誌
法律論叢 (ISSN:03895947)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.135-176, 2013-10-31
著者
村上 洋 瀬古 亜紀子 安積 真澄 上嶋 夏子 吉栖 肇 中野 博文 北畑 寿美雄
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.117-120, 2003
被引用文献数
4 37

ラクトビオン酸(LA)はラクトースから合成されるアルドビオン酸で,ビフィズス菌増殖活性をもち,溶解性の高いミネラル補給剤として利用可能であるなど,用途に富んだ糖質素材である.しかし,現在までは,実用に耐える大量生産方法がなく,日本では化学合成法により試薬として少量市販されているのみであった.筆者らは,ラクトビオン酸の安価な大量生産方法の開発をめざし,Burkholderia cepaciaの1菌株を用いた発酵生産条件を検討した.その結果,回分培養では,4日間の培養により,2009/Lのラクトビオン酸が生成した.また乳糖と炭酸カルシウムの逐次添加を行う流加培養では,10日間の培養により,培養液中に4009/Lのラクトビオン酸を蓄積した.いずれの場合も,原料の加水分解や副生成物の生成を伴わず,収率は100%であった.得られた発酵培養液上清にエタノールを加えエタノール濃度75%とすることで,純度100%のLAが収率98%で得られた.
著者
村上 隆
出版者
東京音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02861518)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-25, 1991-12-20
著者
村上 仁之 渡邉 修 来間 弘展 松田 雅弘 津吹 桃子 妹尾 淳史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0561, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】近年,PETや機能的MRIなどのイメージング技術により,随意運動や認知活動の脳内機構が明らかにされている.しかし,随意運動遂行中に密接に関連する触覚認知の脳内機構に焦点化した研究は極めて少ない.触覚認知がどのように行われ,どのように学習されるのかを明らかにすることは,脳損傷後の理学療法の治療戦略を立てる際に,重要な示唆を与えると考えられる.そこで本研究は,触識別時の脳内機構および学習の影響を明らかにすることを目的に,機能的MRIを用いて麻雀牌を題材として,初心者と熟練者を対象に,触識別に関する脳内神経活動を感覚運動野(sensorimotor cortex: 以下,SMC)と小脳に焦点化して定量的,定性的に分析を行った.【対象】対象者は健常者16名である.内訳は,麻雀経験のない初心者が10名(対照群)と、5年以上の麻雀経験を持ち,母指掌側のみで牌を識別できる熟練者6名(熟練者群)である.【方法】GE社製1.5T臨床用MR装置を用いて,閉眼にて利き手母指掌側での麻雀牌の触知覚時および触識別時の脳内神経活動の測定を行った.データ解析はSPM99を用い,得られた画像データを位置補正,標準化,平滑化を行い,有意水準95%以上を持って賦活領域とした.加えて,両群間の差の検定をt‐検定を用いて分析した.【結果】対象者16名中,触知覚時では,対側SMCが14名で賦活した.さらに触識別時では,SMCの賦活のなかった2例を加えた16名で,SMCの賦活領域の増大を確認した.加えて,同側SMCが12名と同側小脳が11名の賦活を認めた.また,全脳賦活領域をボクセル数として定量化した平均値は,対照群は触知覚時467.0ボクセル,触識別時4193.0ボクセル,熟練者群は触知覚時408.5ボクセル,触識別時2201.8ボクセルであった.両群とも触知覚時に比べ,触識別時では有意に増加した.また熟練者群は対照群に比べ,触識別時に全脳賦活領域が有意に減少した.【考察】触知覚時は,対側SMCの賦活が認められ,触識別時は,対側SMCだけでなく,さらに同側SMC,小脳でも賦活が認められた.つまり,単なる触知覚に比べ,触識別という認知活動時には,両側SMCや小脳などの広い領域が関与していると考えられる.しかし,熟練者においては,全脳賦活領域が減少し,限局したことから,“学習”により,全脳賦活領域の縮小,限局をもたらすことが示唆された.触識別という認知的要素が脳内機構として明確化され,学習により縮小,限局するという脳内の可塑的現象は,脳損傷者に対する理学療法において,認知的要素が中枢神経系になんらかの影響を及ぼす可能性を示唆しているではないかと考えられる.
著者
村上 雅仁 加藤 順一 高橋 健太郎 前田 慶明 山本 千恵子 細川 晃代 永田 安雄 古川 宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.155-157, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

片麻痺を伴う脳血管障害患者200例(男性146例, 女性54例:61±11歳)を対象に,麻痺側と非麻痺側の脈波伝播速度を測定し,運動麻痺が脈波伝播速度に及ぼす影響をみるとともに,機能的自立度評価法(FIM: functional independence measure)による身体活動量との関連について検討した。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は非麻痺側と比較して有意に高値を示したが(p<0.0001),脳出血と脳梗塞による病型別および左右麻痺側別では有意差を認めなかった。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は年齢と有意に正相関を示し(r=0.56,p<0.05),FIMと負相関を認めた(r=-0.29)。これらの結果より,片麻痺を伴う脳血管障害患者の麻痺側では,非麻痺側と比較して血管の伸展性が低下しているだけでなく,加齢および運動麻痺により身体活動量が低いほど,動脈スティフネスの低下と関連していることが示唆された。
著者
田中 薫 王 冰 古橋 舞子 村上 正弘 尚 奕 藤田 和子 大山 ハルミ 早田 勇
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.243, 2007

mitigatorは、事故によって放射線にさらされた後、明らかな生物学的結果が出てしまう前に与えると有効であるものをいう。新たなmitigatorの研究は、より効果的で安全な臨床治療法を開発するためだけでなく、被爆者の予後の改善に有用である。一方、生まれる直前に子宮内高線量被ばく(6.5Gy)を受けたことによって引き起こされる新生仔死亡(骨髄死)には、cell killing effectが重要な役割を演じている。そこで、本研究では、照射後に複数のアポトーシス阻害剤を併用投与し、新生仔死亡が軽減されるかどうか検討を行った。<BR>妊娠18日目のICRマウスに、1.8Gy/minの線量率で、6.5GyのX線を全身照射した (これは、離乳前の新生児の約40パーセントが死亡する条件である)。照射5分後に妊娠マウスの腹腔内にオルトバナジン酸ナトリウム(Na<SUB>3</SUB>VO<SUB>4</SUB>, VD)15mg/kgを単独、あるいはカスペース阻害剤(Z-VAD) 1mg/マウス とともに投与した。妊娠マウスは自然出産させ、新生仔の生残と発育状況(体重)を調べ、さらに、子供の(7週齢)末梢血血液象と大腿骨の骨髄をそれぞれ、自動血球計数装置と小核試験法を使って調べた。<BR>VD単独投与により、新生仔の生残と発育状況への影響が有意に軽減され、さらにVDとZ-VADの併用によって、いくつかのendpointにおいてより大きな効果が認められた。これらのことは、アポトーシス阻害剤の併用投与が、高線量放射線被爆の治療法として将来に大きな可能性を持っていることを示している。
著者
船曳 康子 北 徹 石井 賢二 日下 茂 袴田 康弘 若月 芳雄 村上 元庸 横出 正之 久米 典昭 堀内 久徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.274-278, 1999
被引用文献数
10

症例は83歳男性. 1996年12月末より徐々に喀痰, 咳嗽, 全身倦怠感, 食欲低下みられ当院受診. 肺炎と診断され1997年1月7日入院となった. 入院時血圧70/48mmHg, PaO2 55.5mmHg, CRP20mg/dl, ラ音聴取, 黄色膿性痰みられ, 抗生剤を開始した, 血清抗体価の上昇より (入院時4倍→2週後128倍), インフルエンザA感染症の合併と診断した. 発熱, 呼吸困難は抗生剤治療に抵抗性であった. 血中よりアスペルギルス抗原を検出し (2+), 抗真菌剤治療により抗原は (1+) と改善したが, 2月20日, 喀血をきたし永眠された, アスペルギルス症は免疫不全患者が罹るとされているが, 本例では入院後数日間白血球数が低下しており, インフルエンザによる一時的免疫力低下がアスペルギルス症の発症に関与したと考えられた. また高齢者のインフルエンザ感染症の合併症の重篤さが示唆された.