著者
松村 博文
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、東南アジアの人々と縄文人の起源と成り立ちを、古人骨の歯と頭骨の形態学的研究により明らかにするものである。この問題では、新石器時代以降の中国からの北方アジア系集団の拡散により、先住のオーストラロ・メラネシア系集団と混血し、現代東南アジア人に至ったとする「混血モデル」と、東南アジアにはもとよりいわゆる古アジア系集団が居住しており、現代に至るまで遺伝的に連続しているという「地域進化モデル」が提唱されている。これらの二大仮説のどちらが正しいのかを、形質人類学の立場から検証するための鍵となるのが、一つには歯の形態の解釈である。もう一つの重要なアプローチは、新石器時代以前の古人骨の形態分析であり、その頭骨などの形態がオーストラロ・メラネシア系集団の特徴を持つか否かが鍵となる。本研究による歯の形態学的データの解析からは、混血モデルを強力に支持する結果が得られた。Sundadontと称すべき歯列をもつ集団は、後期旧石器時代のスンダランドに起源をもつオーストラロ・メラネシア系集団と中石器時代の東南アジア先住民に限られ、現代東南アジア人の歯の形態は、後に移住してきたSinodont型歯列をもつ北方アジア人との混血により生じた両者の中間型歯列にすぎないという見方がなされた。現代東南アジア人と類似する歯の形態をもつ縄文人の成り立ちも、同様の解釈がなされた。一方、頭骨形態の分析からも、東南アジアでの新石器時代以前のマレーシアのグアグヌン遺跡、タイのモキュウ人遺跡やベトナムのボアビン文化期の遺跡などから出土している人骨は、オーストラロ・メラネシア系集団と強い類縁関係が示唆された。また新石器時代の東南アジア人や縄文人の頭骨は、これらのオーストラロ・メラネシア系集団と北方アジア系集団の中間的特徴をもっており、両者の混血の初期段階の集団と位置づけられた。
著者
山本 由喜子 松村 多紀子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.106-109, 1993-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

Total iron and non-heme iron contents of meats and fishes were determined. A colorimetric non-heme iron assay method modified by Rhee and Ziprin was used to determine the non-heme iron content. Non-heme iron, expressed as percent of the total iron in raw beef inside round, pork inside ham, chicken thigh, and chicken breast was 20,48,44, and 39%, respectively. The percentage of non-heme iron in sardine (all of edible portion), sardine (dark meat), sardine (white meat), pacific saury, flatfish, and bastard halibut was about 42,51,20,66,40, and 58%, respectively. The effect of roasting on nonheme iron contents in these foods was also studied. Roasting meats at 100°C did not increase the nonheme iron contents of the meats. Heating at 170°Creleased a significant amount of non-heme iron from bound heme pigments in meats exceptp pork inside ham. Roasting fishes at 100°C released a significant amount of non-heme iron from heme pigments, and the non-heme iron contents in fishes increased as the temperature rose and the period of the heat treatment increased. The destruction of heme pigment in meats and fishes was observed when the internal temperature of these foods was above 60°C, except pork inside ham.
著者
松村 秀一 前田 秀一 高橋 淳 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.317-324, 1988-04-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
11 29

ポリピニルアルコール (PVA) の生分解について詳細な検討を行い, 活性汚泥により生分解を受けることを認めた. 細菌としてPseudomonas sp. M1及びPseudomonas putida M2などがPVAのポリマー部分分解菌として単離された. これらを用いた試験からポリビニルアルコールの優れた生分解性が確認された. さらに, ビニルタイブの生分解性を有する高分子電解質の分子設計としてポリアクリル酸ナトリウムの主鎖中に生分解性を有するポリビニルアルコール単位を有するポリ [(アクリル酸ナトリウム) -co- (ビニルアルコール)] [P (SA-VA)] を酢酸ビニルとアクリル酸を共重合させることにより合成し, 得られたものの生分解について検討を行った. その結果P- (SA-VA) は土壌で生分解を受けることが見いだされた. また, 共生的に働いているPseudemonas sp. C1及びC2の2菌株がP (SA-VA) のポリマー部分分解菌として単離, 同定された.
著者
松村 葵 建内 宏重 永井 宏達 中村 雅俊 大塚 直輝 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Aa0153, 2012

【はじめに、目的】 上肢拳上動作時の肩関節の機能的安定性のひとつに肩甲骨上方回旋における僧帽筋上部、下部線維と前鋸筋によるフォースカップル作用がある。これは僧帽筋上部、下部と前鋸筋がそれぞれ適切なタイミングでバランスよく作用することによって、スムーズな上方回旋を発生させて肩甲上腕関節の安定化を図る機能である。これらの筋が異常な順序で活動することによりフォースカップル作用が破綻し、肩甲骨の異常運動と肩関節の不安定性を高めることがこれまでに報告されている。しかし先行研究では主動作筋の筋活動の開始時点を基準として肩甲骨周囲筋の筋活動のタイミングを解析しており、実際の肩甲骨の上方回旋に対して肩甲骨周囲筋がどのようなタイミングで活動するかは明らかとなっていない。日常生活の場面では、さまざまな運動速度での上肢の拳上運動を行っている。先行研究において、拳上運動の肩甲骨運動は速度の影響を受けないと報告されている。しかし、運動速度が肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響については明らかになっておらず、これを明らかにすることは肩関節の運動を理解するうえで重要な情報となりうる。本研究の目的は、上肢拳上動作の運動速度の変化が肩甲骨上方回旋に対する肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響を検討することである。【方法】 対象は健常男性10名(平均年齢22.3±1.0歳)とした。表面筋電図測定装置(Telemyo2400, Noraxon社製)を用いて僧帽筋上部(UT)・中部(MT)・下部(LT)、前鋸筋(SA)、三角筋前部(AD)・三角筋中部(MD)の筋活動を導出した。また6自由度電磁センサー(Liberty, Polhemus社製)を肩峰と胸郭に貼付して三次元的に肩甲骨の運動学的データを測定した。動作課題は座位で両肩関節屈曲と外転を行った。測定側は利き腕側とした。運動速度は4秒で最大拳上し4秒で下制するslowと1秒で拳上し1秒で下制するfastの2条件とし、メトロノームによって規定した。各動作は5回ずつ行い、途中3回の拳上相を解析に用いた。表面筋電図と電磁センサーは同期させてデータ解析を行った。筋電図処理は50msの二乗平均平方根を求め、最大等尺性収縮時の筋活動を100%として正規化した。肩甲骨の上方回旋角度は胸郭に対する肩甲骨セグメントのオイラー角を算出することで求めた。肩甲骨上方回旋の運動開始時期は安静時の平均角度に標準偏差の3倍を加えた角度を連続して100ms以上超える時点とした。同様に筋活動開始時期は安静時平均筋活動に標準偏差の3倍を加えた値を連続して100ms以上超える時点とした。筋活動開始時期は雑音による影響を除外するために、筋電図データを確認しながら決定した。筋活動のタイミングは各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を求めることで算出し、3回の平均値を解析に用いた。統計処理には各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を従属変数とし、筋と運動速度を要因とする反復測定2元配置分散分析を用いた。事後検定として各筋についてのslowとfastの2条件をWilcoxon検定によって比較した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には研究の内容を十分に説明し同意を得た。なお本研究は本学倫理委員会の承認を得ている。【結果】 屈曲動作において、slow条件ではAD、UT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfast条件では全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られ(p<0.01)、事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTの筋活動は有意に早く開始していた。外転動作において、slowではMD、UT、MT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfastでは全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られた(p<0.05)。事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTとLTの筋活動が有意に早く開始していた。【考察】 本研究の結果、運動速度を速くすることで屈曲動作においてMTが、また外転動作においてはMTとLTの筋活動のタイミングが早くなることが明らかとなった。また運動速度を速くすると、肩甲骨の上方回旋の開始時期よりもすべての肩甲骨固定筋が早い時期に活動し始めていた。これは運動速度が肩甲骨固定筋の活動順序に影響を及ぼすことを示唆している。拳上動作の運動速度を増加させたことにより、速い上腕骨の運動に対応するためにより肩甲骨の固定性を増大させるような戦略をとることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果、運動速度に応じて肩甲骨固定筋に求められる筋活動が異なることが示唆され、速い速度での拳上動作では、肩甲骨の固定性を高めるために僧帽筋中部・下部の活動のタイミングに注目する必要があると考えられる。
著者
松村 成暢
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.231-235, 2018

<p>油脂を多く含む食品は魅力的なおいしさ (嗜好性) を持つ。我々はこれまでの研究により脂肪酸結合タンパク質CD36が舌の味細胞に発現していることを見出し, 油脂が受容体を介して味細胞を刺激することを示してきた。本研究ではGタンパク共役型の脂肪酸受容体GPR120が舌の味細胞に発現していることを新たに発見した。次に油脂の嗜好性の脳内メカニズムについて検討を行った。嗜好性の高い食品の摂取は脳内で<i>β</i>エンドルフィン分泌を促進することが知られている。そこで, マウスに油脂を摂取させ検討したところ, 脳内で<i>β</i>エンドルフィンニューロンが活性化されることが明らかとなった。<i>β</i>エンドルフィンは快感を生み出す神経ペプチドであることから, 油脂はCD36とGPR120を介して味細胞を刺激し, 味覚神経を介して脳内で<i>β</i>エンドルフィン分泌を引き起こす。これが快感を生み出し, 油脂の高い嗜好性の発生に関与する可能性を示した。</p>
著者
伊藤 恵造 松村 和則
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.77-88, 2009-06-30 (Released:2009-11-05)
参考文献数
58
被引用文献数
6 3

Much attention is now being paid to the concept of “Community”. Not only in the field of urban sociology but also in the sociology of sport, “Community” is a key concept for understanding and resolving structural problems faced by both urban and rural residents.Discussions on the “public sphere of sport”, however, have run into deadlock when dealing with certain concrete structural problems. Furthermore, sports sociologists working on how sports practice can develop in communities have never been part of cumulative discussions in the field of urban sociology.The scope of studies on “Sport and Community” should involve a time-axis (historical-cultural) perspective to counterbalance the ideal and spatial frameworks. Apart from discussion on sport in relation to “human rights” and the “public good”, we must pay much attention to sites at which sport can create a new community by contributing to the resolution of structural problems. We will then be able to enter into a discussion on the “public sphere” created by sport practices.Urban sociology in Japan acknowledges sport as a medium that gives people a chance to meet each others in an urban setting. However, it has never been acknowledged as a public benefit that can contribute to creating an “autonomous community” for urban dwellers. We in the field of sports sociology should focus on places where people have tried to create “autonomous communities” through sports practices.
著者
山下 清海 尹 秀一 松村 公明 杜 国慶
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.503, 2008

1.問題の所在<BR> 1970年代末以降の改革開放政策の進展に伴い,中国では,海外への留学や出稼ぎなどの出国ブームが起こり,これは現在でも継続している。今日,世界の華人社会は,ダイナミックに膨張と拡散を続けており,従来の伝統的な「華僑像」ではとらえきれない新しい局面を迎えている。日本においても,1980年に52,896人であった在留中国人(中国籍保有者)は,2007年には606,889人となり,韓国・朝鮮人(593,489人)を抜いて,国籍別で初めて第1位となった。<BR> 本報告は,中国の改革開放政策実施後,日本において急増した華人ニューカマー(いわゆる「新華僑」)の日本への送出プロセスの解明を目的に進めている研究プロジェクトの中間報告である。今回の発表では,中国東北地方,特に吉林省延辺朝鮮族自治州での現地調査の成果を中心に発表する。現地調査は,遼寧省の瀋陽・大連,黒龍江省のハルビン,吉林省の長春・延辺朝鮮族自治州(州都は延吉)で,2006~2008年の毎年夏に実施し,特に延辺朝鮮族自治州での調査に重点を置いた。各調査地では,日本語学校,大学の日本語教育機関,海外留学・労務斡旋会社,日本渡航経験者,日本在留者の留守家族,日系企業などを対象に聞き取り調査,資料収集を行った。また,並行して,日本国内の華人ニューカマーからの聞き取り調査も実施した。<BR><BR>2.日本における東北出身者の増加<BR> 在留外国人統計に基づいて,日本在留中国人人口の推移をみると,華人ニューカマーが増加したのは,1978年末の中国の改革開放政策実施後,とりわけ1980年代後半以降である。在日中国人人口が増加する過程で,非常に興味深い特色は,出身地(本籍地)の変化である。<BR> 日本政府は1983年に「留学生10万人計画」を打ち出し,就学生の入国手続きを簡素化した。一方,中国政府は1986年,公民出境管理法を施行し,私的理由による出国も認めるようになった。このような日中両国の規制緩和により,中国から就学ビザや留学ビザで来日する者が急増した。<BR> 当時の中国人就学・留学生の多くは,上海市と福建省の出身であった。しかし,2007年には在日中国人(606,889人)のうち,_丸1_遼寧省16.1%,_丸2_黒龍江省10.3%,_丸3_上海市9.5%,_丸4_吉林省8.5%の順となり,遼寧・黒龍江・吉林の東北3省(東北地方)を合計すると全体の34.9%(211,951人)を占めるまでになった。<BR><BR>3.東北地方出身ニューカマーの中国における送出プロセス<BR> 2000年の中国の人口センサスによれば,中国の55の少数民族のうち,朝鮮族は人口順で13位(1,923,842人)であり,その大多数は東北地方に居住している。朝鮮語は文法や発音などで日本語と類似しており,朝鮮族にとって日本語は,外国語の中で最も学び易く,大学入学の外国語科目の試験では得点が取り易い外国語であった。1980年代後半から,就学ビザを取得して日本へ渡航できるようになると,東北地方では,特に日本語能力の高い朝鮮族の間で,日本への留学ブームが起こった。朝鮮族にとっては,最も身近な外国は韓国であるが,韓国より多くの収入が得られ,子どもの時から学校では,英語でなく日本語を外国語として学んできた朝鮮族にとって,日本は渡航希望先として第1の国であった。先に日本へ行った親類や友人を頼り,チェーン・マイグレーションにより日本へ渡航する朝鮮族が増加していった。東京の池袋駅や新大久保駅周辺には,朝鮮族が開業した中国東北料理店や中国朝鮮料理店などが集中している。延辺朝鮮族自治州の延吉郊外の朝鮮族の村では,若者の多く(男女とも)が,日本や韓国に渡航したまま帰国せず,海外からの送金によって高齢者ばかりが生活している村がみられる。<BR> 東北地方における外国企業では,韓国企業の進出が最も目覚ましいが,日本企業も韓国に次いで重要な地位を占めている。特に大連には日本企業のコールセンターやソフト関連施設が多数設けられ,日本語能力が高い人材が求められている。東北地方は,中国国内でも日本語学習者や日本留学希望者が多い地域である。日本語を習得して大連,さらには上海,深圳などの沿海地域の大都市に進出した日系企業への就職を志望する者が多い。<BR> 近年の中国国内の留学ブームを反映して,大連,瀋陽,ハルビン,長春,延吉など東北地方の主要な都市には多数の外国語学校・留学斡旋会社がある。2003年に発生した福岡一家4人殺害事件(犯人の3人の中国人留学生のうち2名は吉林省出身)以後,日本留学のビザ申請に対する日本側の審査が厳格化したため,外国語学校や留学斡旋会社では,主要な渡航先であった日本から,重点を韓国への留学や出稼ぎに切り替えている
著者
内田 早紀子 松村 敦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-147, no.9, pp.1-5, 2018-11-24

2020 年度から小学校でプログラミング教育が必修化される.暗記型のプログラミング教育では,小学生がプログラミング的思考を習得することは困難とされている.そこで,小学生にとって身近な日常の活動を題材としたプログラミング的思考育成ツールを開発した.小学校 2 校で利用実験と評価を行ったところ,プログラミング的思考の向上の効果が異なった.これは,プログラミング的思考の評価方法の違いが大きく影響している可能性がある.また,ファシリテーターの教え方に差があったため統制された評価になっていないことも一因と考えられる.アンケートでは,参加者の約 8 割の子供から楽しく学習でき,ツールは使いやすかったと回答があり,本ツールは小学生が利用するのに適している事がわかったが,約 3 割が難しいと感じていた.子供たちの理解に合わせた動きや事象と問題のレベルの設定については,再度検討する余地がある.
著者
朴 炳順 松村 秀一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.553, pp.147-153, 2002-03-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
21

To clarify the characteristics of Rental Wooden Multiple Dwellings (RWMD) in the early Showa era, 7 buildings of the present RWMD built in the first half of 1930s were investigated. The characteristics specified from this investigation are as follows; l) the design of exterior appearance and main entrance is semi-European style-Types, 2) the dwelling units are located at the both side of indoor corridor. 3) the manager who habitually resides plays an important role in the management of RWMD, 4) the size of dwelling unit for rent is six or four half-Tatami mats, 5) a gas range and closet are furnished for exclusive use, and a washroom, toilet, and kitchen are for common use.
著者
松村 敦 岡本 穂高 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.93-96, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究では,子どもの視点を考慮した絵本推薦システム構築のための基礎的準備として,子どもの好みと絵本の主題との関係性を捉える方法を検討した.実際に,34組の親子による絵本の読み聞かせ場面をビデオで撮影し,子どもの反応を記録した.次に,ビデオを分析し,反応の強弱によって子どもに好まれる絵本のページを特定した.最後に,各ページの主題を抽出し,子どもの好みと主題との関係性を分析した.その結果,21.4%のページには反応がなく子どもの好みとは無関係であることを示した.また,ページ毎に子どもの好みと主題とを結びつけて分析することで,より詳細な関係性を捉えられる可能性を示した.
著者
家中 茂 興梠 克久 鎌田 磨人 佐藤 宣子 松村 和則 笠松 浩樹 藤本 仰一 田村 隆雄
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

中山間地域の新たな生業として自伐型林業をとりあげた。技術研修や山林確保など自治体の支援を得ながら新規参入している地域起こし協力隊の事例や旧来の自伐林業者が共同組織化しつつ地域の担い手となっている事例など、産業としての林業とはちがう価値創造的な活動がみられた。典型的な自伐林家の山林における植物群落調査では、自然の分布を反映した地形に応じた分布がみられ、自然を活かす森林管理の手法として注目された。
著者
喜馬 佳也乃 猪股 泰広 曽 斌丹 岡田 浩平 加藤 ゆかり 松村 健太郎 山本 純 劉 博文
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究で対象とする筑波山は,茨城県つくば市と桜川市との市境に位置する山であり,日本百名山の一つに選定されている.筑波山は二つの嶺を有し,西側の標高871mの嶺が男体山,東側の標高877mの嶺が女体山と称される.南の山麓には男体山と女体山とをご神体とする筑波山神社が鎮座し,門前町が形成されている.本研究では筑波山における来訪者の特性や交通媒体の変化に伴う筑波山門前町の観光空間としての性格の変容とその過程を明らかにした.<br> 筑波山は古代から文献に登場しており,万葉集には歌垣の地として紹介されている.古くから人々に親しまれる筑波山には筑波山神社が古代,知足院中禅寺が781年には建立された.しかし,中世には神仏習合が進んだ.江戸時代には,都の鬼門を守護する山として幕府の保護を受け,中禅寺の南方に門前町が整備された.それによって旅籠や遊女屋,茶屋や土産物屋が集積し,現在まで続く門前町が形成されることとなる.明治時代に入ると,廃仏毀釈によって中禅寺が取り壊され,中禅寺本堂跡地に現在の筑波山神社拝殿が造営された.これにより中禅寺の門前町であった地域が筑波山神社の門前町となった.<br> 門前町は明治時代に一時衰退するも,東京と水戸や土浦とを結ぶ鉄道が整備される中で,再び賑いをみせた.1925年にはケーブルカー,1966年にはロープウェイが設置され容易に登頂できるようになった.また1914年から1987年まで運営していた土浦と筑波山を結ぶ筑波鉄道,1965年に完成した筑波スカイライン,2005年に開通したつくばエクスプレスのように道路や鉄道の整備が行われ筑波山域内および筑波山への交通の利便性が向上した.<br> 筑波山は都心から70 kmという立地もあり,戦前は宿泊を伴う参拝客や,講組織のような団体客が多かった.それが戦後になると,道路交通網の発達や自動車の普及により,バスを利用した団体ツアー客や自家用車による個人客が増加した.しかし,この頃には日光を代表とする関東圏の他の観光目的地へのマスツーリズム形態が進展したことにより,筑波山の観光地域としての相対的地位が低下した.モータリゼーションの進展は,旅館から土産物屋に転向する店舗をもたらしたとともに,筑波鉄道などの公共交通の衰退に繋がり,筑波山門前町の観光地域としての地位をさらに低下させた.<br> 観光地として低迷していた筑波山門前町に新風をもたらしたのが2005年のつくばエクスプレス開通と近年の登山ブームの到来である.2001年に開湯した筑波山温泉も,多くの登山者に利用されている.しかし,登山ブームによって創出された来訪者は交通の結節点となる門前町に食事等で滞在することが少なく,観光地内での門前町の実質的な中心性はそれほど上昇していない.<br> このように門前町では登山ブームにより創出された来訪者を十分に取り込めていない.その背景には,門前町の観光関連施設経営者の高齢化といった地域内部の課題も少なからず関係している.しかし,門前町の活性化には筑波山神社を主目的とする来訪者の存在も必要であり,その意味では御朱印帳などの新たな取り組みは注目される.<br>
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.16, pp.145-157, 2016-12

PCやスマートフォンの汎用化と、多様なSNSの登場によるインターネット社会の広がりとともに、インターネット上の個人情報に対する意識や評価が変化した。2000年から2016年8月までの新聞記事を分析し、その変化の経過をたどる。スパイウェアによって個人情報が抜き取られることは危険であると問題視されていた時代から、個人情報は、同意の上で収集するものであるとの個人情報保護法制を経て、匿名化すれば同意がなくても二次的に活用される時代になった。個人情報の利用とプライバシー保護との関係は、法律上で検討されるだけではなく、監督する政策側、利用する企業、提供する個人それぞれが、インターネットの仕組みを技術的に理解したうえで議論されることが望ましい。すなわち、同じ技術的理解の基盤に立ち議論をすることで、次の時代を創ることができるのである。