著者
廣森 直子
出版者
青森県立保健大学研究推進・知的財産センター研究開発科雑誌編集専門部会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-11, 2012-12

現在、高い専門性が求められつつも、十分な労働条件や社会的地位が得られていない「専門職」も多く、そのような傾向は女性が多くの割合を占めている専門職でより顕著ではないかと考える。本研究では、司書と栄養士を事例として取り上げ、専門職として女性がいかにキャリア形成しているのか、またそれを支える専門性とは何かについて、専門職として働く女性と、資格を取得しながらも専門職として働いていない女性(潜在専門職)を対象にインタビュー調査を行い、実証的に明らかした。キャリア形成過程の分析からは、資格の社会性の低さや職場における職業能力形成の重要性、非正規化によるスキルアップやキャリアアップの困難といった状況がある。専門性についての分析からは、専門性が発揮できる職場であるかどうかという職場に規定される側面、組織内や周辺からの認識によって規定されている側面があり、あいまいで相対的な専門性であるといえる。個人の、または集団としての専門性を保障するためのフォーマル/インフォーマルな専門職集団の役割も重要である。In recent years, there are many "professional occupations" which are lacking in labor conditions and social status in spite of being an occupation which requires a high level of expertise. This trend is more distinct in occupations which are dominated by women. In this study, conducted through interviews of a librarian and dietician, it is explained how women in these occupations develop their careers and their expertise which supports it. An analysis of their career development process shows that the workplace qualifications of women in "professional occupations" have low social status and importance of career skill development in their workplace is not recognized. In addition to the above, non-regular staff have fewer opportunities to improve their skill set and have fewer chances for career advancement. An analysis of their skills shows that procedures implementedby the workplace and a lack of understanding of their skills by colleagues and fellow professionalslimits skill development. Therefore, formal and informal groups of "professionals" within theseoccupations are very important to reinforce both skill and career development of women in these "professional occupations".
著者
古茂田 恵美子 森田 幸雄 田村 真理 山本 茂貴 野田 雅博 小澤 邦壽 木村 博一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.721-725, 2011-11-15 (Released:2013-09-05)
参考文献数
36

We examined the prevalence of three foodborne organisms, Arcobacter, Campylobacter and Salmonella, in 50 samples of retail ground chicken meat. Arcobacter spp. was isolated from 26 (52%) of these samples, A. butzleri being detected in 21 samples, A. cryaerophilus (group 1B) in 3 samples, both A. butzleri and A.cryaerophilus (group 1B) in 1 sample, and A. skirrowii in 1 sample. C. jejuni was isolated from 11 (22%) of the samples, and Salmonella was isolated from 6 (12%) of the samples. Serovars S. Infantis was detected in 5 samples and S. Yovokome in 1 sample. These findings suggest that retail ground chicken meat may be a potential vehicle for transmitting Arcobacter, Campylobacter and Salmonella infectious diseases.
著者
森下 諒一 松本 哲也 竹内 義則 工藤 博章 大西 昇 石崎 隆志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.467, pp.15-20, 2010-03-05
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究は,屋外で鳴らされる緊急自動車(救急車,消防車,パトカー)のサイレン音を検出し,その情報をドライバーに提示することによる安全運転支援,緊急自動車の円滑な走行支援を目的としている.また,従来研究での課題である,高雑音環境下での検出性能の向上を目指す.サイレン音の検出方法は,サイレン音のスペクトルが倍音構造をとるという特徴を用いた基本周波数推定処理,過去数フレームで推定した基本周波数からどのサイレン音が鳴っているか判定するサイレン音識別処理の2つからなる.ホワイトノイズと実際に録音した交通雑音を付加したサイレン音を用いた評価実験から,SN比0dBの雑音環境において,サイレン音の基本周波数を正しく推定し,サイレン音の識別が正しく行われることを示した.
著者
小島 浩之 上田 修一 佐野 千絵 安形 麻理 矢野 正隆 吉田 成 内田 麻里奈 森脇 優紀 冨善 一敏 設楽 舞 野中 治 木部 徹 島田 要
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、記録媒体として紙に次ぐ歴史を有するにもかかわらず、これまで学術的な観点から調査・研究がなされてこなかったマイクロフィルムについて、図書館等への訪問実態調査(33機関)、および図書館と文書館への質問紙調査(大学図書館:1,378、都道府県立図書館:58、国立国会図書館:1、公文書館:75、大学文書館:88、専門図書館:380)を基軸とし、生産・出版・保存・活用・管理等の諸側面から総合的に分析した。
著者
馬場 政道 草野 力 福元 俊孝 野口 靖彦 中野 静雄 森永 敏行 榎本 稔美 田辺 元 吉中 平次 愛甲 孝 島津 久明
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.1970-1976, 1989-08-01
被引用文献数
7

胸部食道癌根治手術142例を3領域郭清70例と2領域郭清72例にわけて,拡大リンパ節郭清に伴う術後合併症を検討した.3領域郭清群の咳嗽反射の出現日は平均5.8日,気管内チューブの抜管日は平均7.7日であった.反回神経麻痺は49%に,誤嚥は13%に認められた.肺炎は27%(19/70例)に認められ,19例中9例(47%)が誤嚥に続発する肺炎で,その出現は術後平均26日と遅いが,いったん発生すると重篤な肺炎に移行しやすい.総ビリルビン4mg/dl以上の86%は直接ビリルビン優位で術後5〜8日に出現し,3領域郭清群に出現頻度が高率であった.なお,3領域郭清群では郭清範囲の拡大にもかかわらず縫合不全の増加は認められなかった.
著者
伊丹 君和 安田 寿彦 豊田 久美子 石田 英實 久留島 美紀子 藤田 きみゑ 田中 勝之 森脇 克巳
出版者
滋賀県立大学
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.11-21, 2006-03-31
被引用文献数
2

背景 高齢化が進む中で人間の基本的な生活行動に看護支援が必要な人々が増加するとともに、看護者の腰痛も多発する状況にある。前報では、下肢の支持性が低下した人に対する移乗サポートロボットを用いての立ち上がり動作実験を行い、サポートを受ける人の身体負担が少ないロボットの動きについて検証を行った。その結果、深く前傾しロボットに伏臥して立ち上がる方法で筋疲労は比較的低く、胸部や腹部など身体に密着する側に改善を加えれば有効にロボット活用できる可能性が示唆された。研究目的 本研究では前報に引き続き、下肢の支持性が低下した人を対象とした移乗動作実験を行い、看護者が移乗動作をサポートする場合に、サポートを受ける側とサポートする側の両者にとって安全・安楽・自立を考慮した方法について検証することを目的とした。方法 1.対象および研究方法2004年10月、以下の実験および調査を実施した。被験者は、健康な平均的体格の20歳代の女子4名とした。実験は、看護現場で移乗方法として広く用いられている患者の両足の間に看護者の片足を入れて移乗する方法(「中足法」とする)と、前報で比較的有効な移乗サポートロボットであると検証されたロボットの動きに近い患者を前傾にして看護者の背部に乗せて移乗する方法(「背負い法」とする)を取り上げて移乗動作を行った。分析は、表面筋電図測定装置(SX230)を用いて各被験筋について筋積分値を算出して両者の比較を行った。また、同被験者に対して、安全・安楽・自立の観点から主観的反応調査を行った。2.倫理的配慮 対象は研究の趣旨に同意した者のみとし、研究参加に同意した後でも、いつでも辞退可能であること。また、プライバシーの保護についても文書と口頭で伝えた。結果 移乗サポートを受けた患者側の実験・調査結果をみると、中足法を用いた場合では、特に上肢に苦痛を感じており、動作時6秒間の筋積分値を比較しても上肢の筋活動が高いことが明らかとなった。一方、背負い法を用いた場合では、苦痛は比較的感じていないものの安全性・安心感・自立性の面では低値を示していた。また、移乗サポートを行った看護者側の結果では、中足法を用いた場合に腰部への負担が大きく、背負い法を用いた場合に上肢・下肢に負担が大きいことが認められた。結論 以上より、下肢の支持性が低下した人に対する移乗動作では、看護現場で広く行われている中足法はサポートを受ける側とサポートする側の両者において身体的負担は大きいものの、安全性・安心感・自立性の面からは有効であると考えられた。一方、背負い法では身体的負担は比較的低いものの、サポートを受ける患者側の安心感は低いことが明らかとなり、それぞれの移乗法の課題が示唆された。
著者
佐々木 元樹 越後 成志 松田 耕策 安藤 良晴 田原 孝之 斎藤 哲夫 森 士朗 飯塚 芳夫 山口 泰 手島 貞一
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.123-129, 1985-12-31
被引用文献数
1

口腔外科領域の重篤な感染症は, 抗生物質の進歩により減少の傾向にあるが, 今回, 口腔底蜂?織炎より頸部にまで炎症の波及した重篤な1例を経験したので報告する。症例は, 25歳男性, 昭和58年9月15日頃より区部歯肉に落痛, 腫脹を自覚し, 9月21日某歯科にて厄を抜歯されたが, 嚥下障害強度なため, 処方された抗生物質を服用できず, また連休にかかったため, 歯科医を転々と受診した後, 9月25日当科を受診した。左側口腔底蜂軍織炎の診断のともに, 左側顎下部および口腔底に切開を加えたが排膿はなく, また, 抗生物質の点滴静注にもかかわらず, 炎症が右側まで拡大したため, 願下部並びに右側の顎下部, 口腔底にも切開を加えたが, 38〜39℃の弛張熱が続いたため, 敗血症を疑い血液培養を行なったが陰性だった。症状が改善しないため右側頸動脈三角への炎症の拡大を疑い, 胸鎖乳突筋前縁部に切開を加えたところ排膿および同部結合組織の壊死を認め, 切開後は次第に症状は緩解した。本例が重篤な症状を呈するに至った原因として, 炎症の急性期における抜歯と, 抜歯後, 処方された抗生物質を服用できなかったこと, 感受性試験で有効と思われた抗生物質が著効を示さなかったことなどが考えられるが, このような重篤な感染症では抗生物質にのみ頼ることなく, 適確な切開排膿の処置を施すことが重要と思われた。
著者
田渕 五十生 池野 範男 草原 和博 秋山 伸隆 大知 徳子 中澤 静男 森本 弘一 西山 厚 吉澤 悟 五島 政一
出版者
福山市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「ESD」は「21世紀における市民教育」(Citezensip Education)である。我々は、「ESD」のツールとして、新しく「世界・地域遺産教育」と云う概念を造り、「何処でも誰でも」実践ができる「教材事例集」を作成した。それは、研究協力者が日本の世界遺産の全てにフィールドワークを行い、授業実践にかけて作成したものである。それを使用すれば「何処でも、誰でも」ESDにアプローチ可能な内容になっている。また、日本の教育現場では、「グローバル・シティズンシップ教育」の概念は未知である。我々は、その概念を紹介して「多文化共生」の実践事例集付きの冊子を刊行した。
著者
梅野 博仁 宮嶋 義巳 森 一功 中島 格
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.1442-1449, 1997-12-20
参考文献数
20
被引用文献数
16 9

1971年1月から1996年7月までの26年間に久留米大学耳鼻咽喉科で治療した腺様嚢胞癌54症例 (一次例44例, 二次例10例) の臨床統計を行った. 原発部位は口腔13例, 口唇1例, 鼻腔11例, 副鼻腔3例, 顎下腺8例, 耳下腺5例, 上咽頭3例, 中咽頭3例, 外耳道3例, その他4例 (眼窩2例, 涙嚢1例, 気管1例) であった. 性差は男性19例, 女性35例と女性に多く, 平均年齢は男性60.8歳, 女性57.5歳であった. 全症例の5年生存率は72%, 10年生存率53%, 15年生存率46%であり, 諸家らの報告と大差はなく, 原発部位別の治療成績に有意差はみられなかった. 病悩期間は1日から13年4カ月までであり, 平均病悩期間は1年5カ月であった. 病悩期間が長い程, 生存率が低下した. 腺様嚢胞癌に対してSzantoらの組織grade分類を行うと諸家らの報告と同様にsolid patternを多く含むgradeでは転移を来しやすく, 予後も不良であった.<BR>死因の解析では, 原病死17症例中遠隔死が10例と最も多く, その10例中8例が肺転移であった. 原発巣死は5例で, 原発巣死全例が癌の頭蓋内浸潤で死亡していた. 頸部リンパ節転移に対しては頸部郭清術で十分制御可能であり, 頸部リンパ節死した症例はなかった. また, 腺様嚢胞癌は従来, 放射線感受性が低いといわれていたが, 術後に放射線療法を行った群が手術単独群より有意に良好な生存率が得られた.
著者
服部 元史 中坊 保則 田所 諭 高森 年 山田 和人
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.66, no.644, pp.1243-1249, 2000-04-25
参考文献数
4
被引用文献数
2

In order to establish method to design humanoid robots' motions with fertile emotions, the authors are analysing the Bunraku puppet's motions which are generated by the experts of puppet's manupulation. The many puppet's motions with some functions and with some emotions are observed. To simplify the observed puppet's motions, each puppet's motions are divided into the motion of the puppet's axes(the main part of the motion)and the relative motion(accompaniment). In this paper, the motions of the puppet's axes are analysed. The graphs of the motions of the puppet's axes consist of same factors if the motions have the same functions even though they have the different emotions. The graphs of the same factors have similar forms, but their time length and amplitudes differ, if they have the different emotions. The above factors are computed from the data of the motions of the axes based on the wavelet coefficients of the data which express the local forms of the graphs. The authors analyse how the time length and the amplitude of the factor changes as its emotion changes. This knowledge is applied to generate humanoid robots' motions with fertile emotions from their motions with no emotion.
著者
中井 誠一 寄本 明 森本 武利
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.540-547, 1992-10-01
被引用文献数
18 7

Deaths and morbidity due to heat disorders during physical activity were gleaned from newspaper reports between 1970 and 1990. The environmental temperatures (dry-bulb temperature and relative humidity) recorded at the closest meteorological observatory at the time of occunence were used to calculate the wet-bulb temperature and WBGT (wet-bulb globe temperature), and the relationship between heat disorders and environmental temperature was analyzed. During the 21-year period, 108cases of heat disorders (91 deaths and 477 casualties) were reported in newspapers. Of the 91 deaths, 9 were in females and 82 were in males, and meanages were 23.3years, females and 19.0 years, males. It was possible to record the environmental conditions at the time of the heat disorder in 99 cases. The results indicated that almost all disorders occurred at ranges higher than 25.5℃, dry-bulb temperature, and 20.0℃, wet-bulb temperature, 40% relative humidity, and 24.0℃, WBGT. The mean WBGT was 28℃ at physiological intensities less than 12-RMR (Relative Metabolic Rate) and 25.8℃ at RMR higher than 15. The seasonal distribution was from April to November. In cases observed in April, May and November, abrupt rises in WBGT in the 1.2〜3.4℃ range were observed on the day of occurrence in comparison with the previous day, suggesting that the degree of heat acclimatization is olso an important factor in preventing heat disorders.