著者
押村 光雄 久郷 裕之 清水 素行
出版者
鳥取大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1991

ヒト膀胱がんのがん抑制染色体の同定を目的としてpSV2neo遺伝子で標識した正常ヒト線維芽細胞由来の7,9,11,12番染色体を微小核融合法によりヒト膀胱がん細胞株H-15細胞に移入した。11番染色体移入クロ-ンでは,5回の移入実験によって得られた20クロ-ンにおいては,細胞形態の顕著は変化(Flat)が認められ,そのうち15クロ-ンは早期の段階で老死化した。残る5クロ-ンは,Flatな細胞と親細胞と同様な形態を示す細胞とが混在していた。また,7,9,12番染色体導入クロ-ンの細胞形態は親細胞と同様の形態と増殖速度を示し,クロ-ニング後も老死化することはなかった。現在までに,細胞老死化にかかわる遺伝子はヒト1番および4番染色体に存在することを示す報告がなされているが,上述の結果は,細胞老化にかかわる遺伝子がヒト11番染色体上にも存在することを示す。放射線照射により断片化したヒト3番染色体をヒト腎細胞がん細胞株RCC23に導入した。その結果,D3S22〜H3S30領域(3p25)およびD3F15S2〜D3S30領域(3p21)を含む染色体を導入した場合において,細胞形態の変化ならびに細胞増殖速度の低下が認められ,これらの領域にRCC23細胞の腫瘍形質抑制にかかわる遺伝子(群)の存在が示された。この領域は,ヒト腎細胞がんにみられる特異的染色体欠失領域であった。Kirsten肉腫ウイルス形質転換NIH3T3(DT)細胞の増殖抑制にかかわる遺伝子は1qcenー1q25に存在することが示されているが,RTーAluーPCR法により,この領域に存在し,発現されているDNA断片を2クロ-ン得た。このクロ-ンをプロ-ブとして,コスミッドクロ-ンのスクリ-ニングを行う予定である。
著者
岩清水 伴美 鈴木 みちえ
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

若手保健師が乳幼児虐待ハイリスク家庭を支援するためのチームケア能力を向上させる関連要因は、リフレクションと学習、支援への気持ち等であった。先輩保健師の課題としては、若手保健師に見せる・伝える、先輩のスキルアップ等が明らかになった。新人保健師のチームケア能力向上するためには、ケースの個別支援を展開すること、苦手意識を芽生えさせないため「高い技能を求め、高い挑戦」をさせる教育内容の示唆を得た。
著者
半田 拓也 坂井 忠裕 清水 俊宏 篠田 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.483, pp.13-16, 2013-03-06

筆者らは,3次元形状を視覚障害者にも触覚で伝えられる手法の開発を目指している.従来の点接触型力覚提示装置では,3次元形状の認知に重要な稜線や頂点の触察が困難であるという課題があった.そこで,稜線や頂点の認知のしやすさの向上を目指し,1本の指の腹に5点の刺激点を配置し,それぞれに3自由度の独立した力覚提示が可能な装置を試作した.本装置を用いて,力覚提示する刺激点(力覚刺激点)の数による物体の稜線と頂点のわかりやすさに関し,視覚障害者4名による主観評価を実施した.結果から,従来の1点による場合と比較して,力覚刺激点の数が2点以上で稜線と頂点のわかりやすさに有意な向上がみられ,今回の条件では,力覚刺激点の数が4点のときに稜線と頂点が最もわかりやすくなることが示唆された.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 末松 孝子 有福 和紀 齋藤 剛 井原 俊英 吉田 雄一 久保田 領志 田原 麻衣子 清水 久美子 伊藤 澄夫 山崎 壮 河村 葉子 西村 哲治
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2010
被引用文献数
8 21

天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-<i>d</i><sub>6</sub>ナトリウム塩(DSS-<i>d</i><sub>6</sub>)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-<i>d</i><sub>6</sub>のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
著者
馬原 孝彦 秋元 治朗 羽生 春夫 清水 聰一郎 宮澤 啓介 橋本 孝朗 赫 寛雄 織田 順
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

筋萎縮性側索硬化症脊髄前角細胞での14-3-3白eta isoform発現を確認し、リン酸化TDP43との共局在も確認した。リン酸化TDP-43の細胞質移行と前角神経細胞死関与にeta isoformの関連を指摘。脳梗塞急性期虚血コア周辺神経細胞でのHMGB1の細胞質での局在を確認。新規脳梗塞治療法に寄与できる。対照例29例、アルツハイマー病例84例、パ-キンソン病例8例、DLB例25例の血液中HMGB1濃度をELISA法で測定。順に、5.4, 6.6, 10.7, 8.1ng/mlで有意に増加。オートファジ-関連物質Beclin1の頸動脈病変での発現を確認しオートファジ-の関与を指摘した。
著者
齋藤 一 荒木 正純 吉原 ゆかり イアン カラザース 加藤 行夫 浜名 恵美 清水 知子 南 隆太 日比 嘉高 土屋 忍 佐野 正人 鶴田 学 高森 暁子 中根 隆行 波潟 剛 南 富鎭 齋藤 一 大熊 榮 荒木 正純 吉田 直希
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

国内外の英語文学研究者(日本、韓国、中国、台湾、マレーシア、インド、トルコ、フィリピン、シンガポール)と日本文学研究者が、研究課題について、英語論集(2007年、マレーシア)と日本語論集(2008年、日本)を出版し、国際会議(2008年、台湾)を行うことで、共同作業による英語文学研究を推進する知的基盤を確立することができた。
著者
風間 孝 クレア マリィ 河口 和也 清水 晶子 谷口 洋幸 堀江 有里 釜野 さおり 菅沼 勝彦 石田 仁 川坂 和義 吉仲 崇
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英米起源のクィア・スタディーズを日本の文化・社会において適用する場合の可能性を明らかにするために研究を行った。その結果、(1)ナショナリズムとグローバリゼーションに関わる問題系が、日本におけるジェンダーやセクシュアリティの政治的・文化的な統御と管理とを考えるにあたっても欠かすことのできない問題として急激に浮上しつつあること、(2)セクシュアリティおよびジェンダーが階層・階級、人種・民族、地域、国籍といった軸と交差しながら存在しているとの視座から研究を進めていくことの重要性、を確認した。
著者
平野 誠一郎 伊藤 均 望月 俊直 林 荘太郎 清水 完悦 野呂 忠慈 木川田 隆一
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.318-324, 1985-10-31

激しい運動直後に血圧が下降し,低血圧性失神すら起こるスポーツマンの1例について,その発生機転を追求した。血圧が正常のさいの臥位の循環動態は高分時心拍出量(CO)型を示し,末梢流血抵抗(TPR)の減りを伴った。treadmillによる運動負荷によって運動後低血圧症を誘発したさいの循環動態では,COの著しい減少をみ,そのさいに生じたTPRの増加は不充分で降圧を阻止しえなかった。この運動後低血圧症は静脈緊張を高めるdihydroergotamine服用により改善された。体位変換時や運動時の血漿catecholamineの増しは正常範囲で,降圧機転に交感神経緊張低下が重大に関与するとは思えなかった。運動後低血圧症の発生機転は今なお不明であるが,まず運動後に静脈側に大量の血液がとり込まれてCOを下げること,さらに交感神経β刺激に対する細動脈のhyperreflexia,あるいは運動時に生じたHessのNutritions reflexが運動後に存続したり,運動後の灌流圧減少に対して異常に強いBayliss効果が出現したりするような細動脈のautoregulationの異常がTPRの増加を不充分にすることなどが主な機転と考えられた。
著者
清水 和秋
出版者
関西大学大学院心理学研究科
雑誌
関西大学心理学研究 (ISSN:21850070)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-9, 2014-03

Since factors in common factor space are in generally correlated, two dimensional orthogonal coordinate system on the graphical display of a personal computer is not suitable to present the observed variables in it. The reference axis is defined as the independent vector of the hyperplane constructed the other dimensions. The graphical rotation methods on the reference axis such as the Promax and the Rotoplot are reviewed. The relationships between factor axis and reference axis are also discussed.
著者
清水敬子
雑誌
思春期学
巻号頁・発行日
vol.14, 1996
被引用文献数
1
著者
林 秀美 永渕 尚志 畑辺 康宏 田口 彰 谷口 俊二 竹内 一浩 有可 光宏 仙波 智行 浅野 克彦 河島 巌 寺薗 完一 高祖 聖一 清水 延彦 辰田 昌功 大崎 博之
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.167-174, 2005 (Released:2005-10-28)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

The authors have developed a solenoid model coil to stabilize the power system in superconducting magnetic energy storage (SMES) system with the aim of drastically reducing system cost. The single solenoid model coil is designed with the rated current, maximum magnetic field and coil charge rates equivalent to those of a practical 100 MW/15 kWh-class SMES using multi-pole solenoid coils. In addition, the coil is characterized by the use of a stabilized Al-NbTi CIC conductor that has a graded structure, layered winding and a high magnetic field with a compact design. To verify coil performance, several tests such as a the measurement of rated current and AC loss, high-speed pulse operation, coil quenching, and insulation characteristics were conducted using a model coil at Kyushu Electric's Imajuku testing center. Test results proved that the SMES model coil performs as well as the initially designed coil, while doing so at a drastically reduced cost.
著者
田中 昌一郎 粟田 卓也 島田 朗 村尾 敏 丸山 太郎 鴨井 久司 川崎 英二 中西 幸二 永田 正男 藤井 寿美枝 池上 博司 今川 彰久 内潟 安子 大久保 実 大澤 春彦 梶尾 裕 川口 章夫 川畑 由美子 佐藤 譲 清水 一紀 高橋 和眞 牧野 英一 三浦 順之助 花房 俊昭 小林 哲郎 日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.65-75, 2011-01-30
参考文献数
19
被引用文献数
2

日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会の緩徐進行1型糖尿病分科会(旧日本糖尿病学会緩徐進行1型糖尿病調査委員会)では委員会委員の所属する施設において発症から5年以内の新規受診糖尿病687例を前向き(2004年4月~2009年12月)に登録し膵島関連自己抗体(glutamic acid decarboxylase[GAD]抗体,insulinoma-associated protein 2[IA-2]抗体およびinsulin autoantibodies[IAA])の測定を行った.2型糖尿病と思われる症例で膵島関連自己抗体が一種でも陽性の場合には緩徐進行1型糖尿病:slowly progressive IDDM(以下SPIDDM)と病型区分した.その結果,1)2型糖尿病と思われる症例の10%(49/474, 95%信頼区間:8-13%)にSPIDDMが認められた.2)膵島関連自己抗体陰性の2型糖尿病に比しSPIDDM例の自己免疫性甲状腺疾患の合併頻度,HbA1c値,初診時のインスリン治療の頻度は有意に高く,BMIは有意に低かった.3)SPIDDMではGAD抗体の頻度(69%,34/49)はIA-2抗体の頻度(39%,19/49)やIAA(29%,14/44)の頻度に比し有意に高かった.4)SPIDDMでは急性発症1型糖尿病に比し膵島関連自己抗体の単独陽性例が高頻度だった.以上の結果から2型糖尿病と思われる症例に高頻度にSPIDDM症例が含まれる可能性があること,SPIDDMは2型糖尿病や急性発症1型糖尿病と異なる臨床的特徴を呈することが全国規模調査で明らかとなった.<br>
著者
清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

わが国の礫床河川の多くは低水路の極端な河床低下と植物繁茂した砂礫州との比高増大により,河道内樹林化や砂州・みお筋の固定,水衝部の形成が治水上の問題となっている.本研究では,中小洪水を比高の高い砂州の内部に導く砂州掘削路を設けることにより,洪水撹乱を誘発して,①砂州上の樹木生育基盤の撹乱 (樹林化の抑制),②砂州・低水路河床の大きな高低差(横断比高)の解消,③低水路線形の変更(屈曲した低水路流れによる水衝部形成の是正)をねらい,その効果評価を通じて洪水のダイナミズムを利用した新たな河道管理手法の提案を行うものである.