著者
志水 寛 吉本 晴樹 清水 亘
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.610-615, 1962-06-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4

A sticky paste, prepared by braying fish meat with 2 or 3% NaCl, turns to a tough and elastic gel, “kamaboko”, on cooking processes, such as steaming, boiling, or broiling. It has been experienced that if the processes are unsuccessfully conducted rather fragile gels sometimes yield. In the previous paper, the authors showed that in such cases the paste should be kept for a long time at a temperature range between 50°C and 60°C., the kamaboko gel lost its elasticity and became fragile. In the present study, such phenomenon, the collapse of gel structure during cooking, was observed. Samples used were lizard fish meat paste packed in Kurehalon tubus of diameter 3cm. (Kureha Kasei Co., Ltd.), and the cooking was made in water bathes kept at various temperatures. Gel-strength was evaluated by the magnitude of the tensile strength of a ring-shaped specimen (Fig. 1) and also the score values obtained by an organoleptic test in 10-point scale. Results are summarized as follows: (1) Lowering in the gel-strength during cooking occurred at higher temperatures than 50°C., favourably near at around 60°C. and again at 90°C. (Fig. 2). (2) Washing process on the raw chopped meat, by which a greater part of the water soluble matters was removed, raised the kamaboko-forming capacity of the meat paste, but had little effects on the change in gel-strength at 60°C. (Fig. 3). This may suggest that the water-soluble matters in the paste play a minor role in this phenomenon. (3) Meat pastes brayed of aged meat (stored for 5 days at 4°-5°C.) were more easily subjected to the heat influence at 60°C. than those of fresh meat (Fig. 3). (4) Initial pH of the paste seemed to have no significant influence on the occurrence of the phenomenon (Fig. 4). (5) Stability of the kamaboko gel to heating at 60°C. was quite different with the conditions, under which the paste had been kept prior to the cooking. Gels produced by pre-cooking at 80°C. and 90°C. for 20minutes did not change their strength even after heating for long time at 60°C., while those pre-cooked at lower temperatures than 70°C. were significantly damaged on the gel structure (Fig. 5).
著者
清水 康敬 前迫 孝憲 坂本 昂 高野 綏 森 政弘
出版者
東京工業大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

9.研究成果の概要(最終まとめ) 本研究は, 留学生が日本語を習得するためのCAIシステムの構築を目的としている. すなわち光ビデオディスクに書き込んだ画像を動画教材とし, パーソナルコンピュータによる提示画像とのスーパーインポーズの制御を行っているが, 機器類の操作を学習者が自らの意思でインタラクティブに行うことができるよう構成したことに特徴がある. 本システムにより, 学習者は主体的に学習に取り組むことが可能となった. 本研究により, 書き込み可能な光ディスクをパーソナルコンピュータで制御するためのソフトウェアシステムの構築と改善を行った. また, 世界有数のCAIオーサリングシステムであるPLATOシステムに, 本研究で実現したインタラクティブ制御機能を組み込む実験を行った. そして, これらのCAIシステムの学習コースを作成し, ビデオディスクに付加したインタラクティブな制御機能が, 学習成績と深い相関を持ってょいることを実証するなど, インタラクティブなCAI環境でビデオディスクを利用する際の基本的な要件を明らかにした. また遠隔教育における通信量の適正化を図るため, ビデオテックス・NAPLPSを利用するCAIシステムの可能性を調査し, 色再現性の支持等適切な制御を行うことで高い効果の得られることを確認した. そして入力インタフェースとしての手書き漢字入力装置の可能性について調査研究を行った. 今後は, 本研究の成果に基づき, 学習コースの開発と利用を進めていく予定である.
著者
佐原 寿史 山田 和彦 長嶋 比呂志 伊達 洋至 清水 章
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ブタをドナーとする異種移植は、ドナー臓器不足に対する有力な解決策となる。腎臓や心臓では2か月超える異種臓器の生着が得られる一方、異種肺移植の生着は数時間から数日に留まる。本研究では、ブタ肺をヒト血液で灌流するex-vivoモデルやカニクイザルへ同所性左肺移植を行うモデルによって、GalT-KOブタ肺が超急性期の肺機能不全を回避しうること、ドナーへの一酸化炭素投与による血管内皮保護効果を介して、術後微小血管障害軽減が得られた。しかし異種移植肺は術後3日以内に血栓性微小血管障害による機能不全を呈したことから、長期効果を得るためには新たな遺伝子改変ブタを用いた治療方針の開発が望まれる結果となった。
著者
片山 和俊 尾登 誠一 清水 真一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

第1年次(平成17年度)に中国福建省西南部、第2年次(平成18年度)に広東省北部の客家民居実測および聞き取り調査、第3年次(平成19年度)に広東省深セン市周辺および香港郊外に残る客家民居の実測調査と、東京芸術大学建築科と香港大学建築学科による国際的なワークショップを行った。今回調査対象とした地方各地域に中国の近代化、急激な経済成長の影響が色濃く見られた。中国の主要都市や各地方の中心都市が発展する表の顔とすれば、客家民居が多く残っているような周辺地域は裏の顔の一つであり、人が住ないままに放置された民居や、無造作な建替えによって荒廃が進む住環境が多く見られた。客家民居と集落にかって見られた風土と生活が一体化した風景は、今急速に失われつつある。その一方で例は少ないが、民居や集落を観光資源として集落博物館や民家園として利用する試みも見かけた。宿泊施設として改築中の民居も見られた。文化財の保存という観点からは問題が残る安易な改修もあったが、生活文化遺産を継承する有効な方法の一つとして捉える必要があると思われた。それほどに変貌と荒廃の範囲が広く急激である。このような実測調査プロセスを経て、当初描いた生活文化遺産の物的な記録を残すという客家民居の実測調査に加えて、実態に基づいてこれからの民居と集落の継承を考える必要を感じ、最後のまとめとして香港大学とのワークショップを行った。ワークショップでは、我々がこれまで行なって来た研究調査の成果を発表するとともに、香港大学建築学科松田直則教授の協力を得て、両校の先生と学生たちによる継承に対する様々な提案を行い、客家民居のこれからのあり方についての意見交換を行った。このことを通じて国を越えた生活文化遺産の問題への関心を高め、将来に向けた日中学術交流の礎を築くことができたと考えている。
著者
清水 純一 大江 徹雄 坂内 久
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

米国については、農産物貿易は全般的にNAFTA域内貿易と対アジア、特に対中国貿易、に大きく依存している実態が明らかになった。食肉に関しては、日本を最終消費地とするNAFTA域内の分業体制が構築されている点が明らかになった。ブラジルでは、世界最大級の食肉企業2社に注目して分析した。両企業とも、近年国外で活発にM&Aを行い、短期間で多国籍食肉企業に変貌した。現時点でブラジルにおいては、米国のように、食肉に関する産業内貿易はほとんど認められない。しかし、我々の研究からは国外での加工・輸出拠点の多元化が進展すれば、ブラジルにおいても食肉の産業内貿易が増加する可能性が高いことが明らかになった。
著者
清水 麻記
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

現在、日本には7000館近くの博物館・科学館が存在する。こうした既存のインフラは、施設の維持費が増大こそすれ、これまであまり地域の人々に活用されてこなかった。博物館の教育的役割の重要性がますます高まり、人々のニーズを読み取り、これまでにない教育プログラムの開発・実施や自己収入獲得の有効な方法を見出すことを迫られている博物館にとって、館の自己収入につながり教育プログラムを提供できるバースデー・プログラム(以下BDP)は有効である。このBDPに着目し、事例収集を行った上で、日本の現状に即した日本型のバースデー。プログラムを考案・実施した。得られた結果を以下に要約する。 ・欧米においては、BDPは館の自己収入に有効であり、得られた利益でコミュニティ・アウトリーチ事業を始めるなど、有効な結果も生み出している(家庭へのアウトリーチBDP、館からの招待状などでブランド化)。 ・日本では、個人の来館者のためのお誕生日企画は数例散見されるが、恒常的なプログラム提供にはいたっていない。その理由は、人材不足、館の運営・サービス内容がいまだ多くの通常の来館者へのサービスの充実で精一杯であるという事実に関連している。 ・日本では、公の性質をもつ館が多く、個人的なパーティーを博物館等でもつことが考えにくい傾向があるが、バースデー・コーディネーターの導入が可能になれば新規事業としてのお誕生日企画も可能である。 ・沖縄こどもの国ワンダーミュージアムにおけるプログラム開発・実施より、公共性の高い施設においても、大多数の来館者向けにBDPが可能であることを実証できた。また、お誕生日から連想される「いのち」の大切さをテーマとし、BDPをミュージアムで行う意義があることを核にした教育プログラムを開発し、動物園・水族館には汎用性の高い先行事例をつくることができた。今後も、日本のミュージアムでのお誕生日プログラムの開発に向けて、大人も子どもも含めた来館者がどのようなことを期待しているのか、館側は何ができるのかについて調査・研究していくことが重要である。これにより、博物館が人々の生活に意義のある存在であり続ける方策のひとつが見出せるのではないだろうか。平成4月より、沖縄こどもの国ワンダーミュージアムにおいてお誕生日ワークショップがズタートする。共同研究して頂いた館に、現場で研究成果が引き継がれさらに発展したお誕生日プログラムが開発されていくことは、本研究において最も嬉しい成果である。
著者
清水 宏泰
出版者
大阪医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

メダカのエラ上皮細胞を用いて水生生物に対する化学物質の影響評価方法を確立しようとした。メダカのエラ細胞の分離、パッチクランプ法によりホールセルモードで電流を観察することは容易であったが、いったん化学物質を暴露するとシーリング率が落ち、画一的・再現性のある結果を得ることは難しかった。イオンチャネルを評価する場合、遺伝子破壊メダカ等によるバイオアッセイを組み合わせるのがよいと考えられた。
著者
大清水 裕
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

今年度は研究計画の最終年度であり、これまでの研究をまとめ、公開することに精力を傾けた。他方、研究計画に沿って小アジアの諸遺跡、特にエフェソスやアフロディシアスの調査も行なっている。まず、学会での口頭発表としては、5月の日本西洋史学会第61回大会で「『マクタールの収穫夫』の世界-3世紀北アフリカの都市参事会の継続と変容-」と題した報告を行なった。「マクタールの収穫夫」とは、チュニジア中部の高原地帯に位置する都市マクタールで発見された3世紀後半の墓碑に登場する人物である。この碑文は、現在、ルーヴル美術館の所蔵となっており、2010年5月に行なった実地調査の成果を交えて報告を行なった。従来、「3世紀の危機」を反映したものと扱われてきた有名な碑文だが、その内容だけでなく、碑文の刻まれた石の形状や遺跡のコンテクストも含めてその位置づけを見直し、「危機」とされる時代の再評価を行なっている。次に、雑誌等に発表したものとしては、「マクシミヌス・トラクス政権の崩壊と北アフリカ」(『史学雑誌』121編2号、2012年2月、1-38頁)がある。この論文では、238年の北アフリカでの反乱で殺害された人物の墓碑の再評価を行なった。従来、その文言から、親元老院的な都市名望家とされてきたこの人物を、その石の形状や発見地などの情報をもとに、帝政期の北アフリカ独自の文化環境に生きた人物として描き出している。また、Les noms des empereurs tetrarchiques marteles: lesinscriptions de l'Afrique romaine,Classica et Christiana,6/2,2011,549-570も公表されている。四帝統治の時代の碑文から皇帝たちの名前が削り取られた理由を検討したもので、従来想定されてきた理由とは別に、碑文の刻まれた石の再利用という目的を重視するよう指摘した。遺跡での現地調査としては、今年度は9月にトルコの諸遺跡を訪れた。その成果は、今後何らかの形で公開していきたいと考えている。
著者
福山 栄作 高清水 直美 中井 陽子 昌子 喜信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.260-272, 2008
被引用文献数
2

島根大学では,大学評価情報データベースの教員情報入力システムと連携した学術機関リポジトリシステムの構築を行った。教員情報入力とリポジトリへのデータ登録が双方向で連携することにより,リポジトリへのデータ登録率の向上と入力負荷の軽減が可能となる。両システムの連携の実際を紹介し,現在の運用状況の分析から,コンテンツの持続的収集の可能性を検証する。<br>
著者
長柄 毅一 三船 温尚 清水 康二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

韓国の慶尚南道出土の高麗時代や朝鮮時代に製作されたとみられる銅鋺、匙等、40点の金相評価ならびに成分分析を行った。なお、出土品は現代の鍮器とほぼ同様の組成であり、錫と銅のみで構成される二元系の熱処理型高錫青銅器であった。現代の鍮器では、銅鋺や匙などは鋳造法で作られることが多いが、出土青銅器はその多くが熱間鍛造で成形されたことが判明した。
著者
小野田 正利 佐藤 晴雄 吉川 武彦 野田 正人 古川 治 楠 凡之 松本 剛 和井田 節子 岩切 昌宏 山野 則子 瀧野 揚三 西川 由紀子 新井 肇 小林 正幸 山下 晃一 岩永 定 入澤 充 嶋崎 政男 清水 和夫 清水 和夫 嶋崎 政男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

2000 年代に入ってわが国の学校現場では、教職員と保護者の間に時として激しい対立やトラブルが生じようになり、それらをどのように解決していくか、あるいは減少させていくかという課題が生まれてきた。本研究は、このような問題現象が増加している理由や背景の分析はもちろんのこと、具体的にどのようにすれば、トラブルが大きくならずに解決につながっていくかを考察したものである。このために研究者のメンバーの専門領域をより学際的なものとし、教育学だけでなく、法律学、精神医学、臨床心理学、福祉学などの幅広いものとして構成した。そこで得られた研究成果を、全国の12か所でシンポジウムとワークショップを開催する形で発表したが、これらの成果の多くは、6つの書籍などの成果物として結実した。
著者
清水 裕子 上田 伸男
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

快適性・感性の評価を客観的に行う方法を確立し、衣服の快適性・感性に影響を与える要因相互の関係を明らかにする目的で、客観的指標として脳波を取り上げ、解析を行った。また、衣服だけではなく、食物のおいしさ、好ましさと生理特性との関係を明らかにするために、検討した。結果は以下のとおりである。(1)極端な冷房による不快感と脳波の関係を検討した。冷房が苦手な被験者群と冷房が苦手でない被験者群との間では、主観評価、皮膚温について有意な違いがみられた。脳波については有意差ではなかったが、冷房の苦手な被験者群の方が、全般的にα波の出現は少ない傾向がみられた。(2)人体を圧迫する衣服に関しては、素材の異なる2種類のガードルで、サイズが合ったものと、ワンサイズ小さいものの合計4種類のガードル着用による快適感・覚醒感・圧迫感の調査と脳波の測定を行った。ガードル着用時のα波のパワーの比率は、日常的にガードルを着用していない被験者の方が全般的に減少しており、非着用者にはガードル着用による精神的な緊張がみられ、主観調査と共に、日常の着用状態による違いがみられた。(3)衣服の快適性の客観的な評価に、脳波の時間的空間的相関を検討する武者利光らの感性スペクトル解析法を用いて検討を行った。絹、綿、麻、ポリエステル新合繊を用い肌触りの異なる衣服を作成し、これらブラウスの着心地のよさとの関係を調べた。感性スペクトルは個人による差がかなり大きいが繊維による違いが認められた。(4)好きな食べ物と嫌いな食べ物を被験者に食べさせ、脳波、心電図、皮膚表面温度、鼓膜温度、心理評価を行った。脳波の変化としては、嫌いな食べ物を食べることにより、α波の低下、心拍数の増加がみとめられた。以上のような研究の結果、脳波測定と解析を用いて、衣服や食物に関した快適性の客観的な評価を行うことができることが示唆された。とくに、寒さを防ぐための衣服の効果、衣服による拘束のような不快感、食物の好悪に関した快・不快に直接反映されることがわかった。