著者
藤兼 俊明 藤田 結花 辻 忠克 松本 博之 佐々木 信博 清水 哲雄 坂井 英一
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.765-774, 1996-10-20
参考文献数
21
被引用文献数
2

女性肺癌の臨床像について, とくに喫煙歴に注目して男性と比較検討した.女性の喫煙率は男性の1/3以下, 平均喫煙指数も1/2以下であった.女性では男性と比較して腺癌, 無自覚症状者, 臨床病期I期, IV期, PS0, 4が有意に多く, 検診発見者が多い傾向にあった.しかし, 喫煙歴別では, 非喫煙女性で非喫煙男性に比較してPS0が有意に多かったほかに男女間に有意差はなかった.また, 喫煙女性は非喫煙女性と比較し自覚症状発見者, 有自覚症状者が有意に多く, IV期, PS4が多い傾向にあった.予後は, 全症例およびおもな予後因子で層別しても男女間に有意差はなかったが, 腺癌のIV期では女性の予後が有意に良好であった.女性肺癌の臨床像の特徴は男性と比較して喫煙歴が少ないことによる影響が大きいと考えられた.また, 喫煙歴の有無は男性と比較して女性でより大きく臨床像に影響を与えていた.
著者
清水 龍瑩 岡本 大輔 海保 英孝 古川 靖洋 佐藤 和 出村 豊 伊藤 善夫 馬塲 杉夫 清水 馨 山崎 秀雄 山田 敏之 兼坂 晃始
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.69-89, 1994-10-25
被引用文献数
1

企業の活性化,個性化は優れた企業の条件である。企業の活性化とは,企業の全経営過程に好循環が起き,企業内のすべての構成員が新しいことへの挑戦意欲をもやし,創造性を発揮している状態をいう。企業の個性化とは,他社にまねられない強みをたえず強化,拡大していくことである。このうち,企業の活性化については,過去30年間,日本企業について行った実証研究による仮説の構築と検証の繰り返しから,ある程度理論が出来上がってきた。しかしながら,個性化については未だ十分な実証研究が行われていない。そこで今回,「企業の個性化」に焦点を絞って,アンケート調査を行ってみた。我々はまず,個性化指標を作成した。議論の中で,考えうる様々な個性化現象のうち,プラスの太い効果に注目しなければ,意味が消失してしまうことが明らかになった。このような観点で,他社にまねられない幾つかの強みを合成し,指標を作成した。更に,他社にまねられない強みの強化・拡大と業績との関連を考えた。そして"個性化している企業は業績をあげている"という体系仮説を基盤として,個性化を推進する変数(トップマネジメント,人事管理方針,製品開発,主力製品,経営管理方針,財務管理方針)と個性化,業績についての多くの単称仮説を構築し,QAQF(Quantitative Analysis for Qualitative Factors)を用いて分析を試みた。調査の結果,様々な体系仮説の構築が可能になった。たとえば,"大企業では経営者の個性化が企業業績の向上に貢献し,中堅企業では製品の個性化が企業業績の向上に貢献する","現在の日本企業では,技術,市場について個性的な戦略をたて,経営管理を行っている企業は高い業績をあげている"などである。もちろんこれら体系仮説が理論にまでなるには,今後相当期間調査が繰り返され,仮説の構築,検証が必要となるであろう。
著者
山本 克之 浜岡 隆文 川初 清典 工藤 信樹 清水 孝一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,筋組織酸素濃度計測における皮下脂肪層の影響を系統的に解析し,その影響を除去し得る絶対値計測可能な近赤外分光(NIRS)組織酸素モニタを開発して,本装置の最も効果的な適用分野と考えられるスポーツ医学の分野で,その有効性を実証することを目的とした.1.時間分解法を用いたin vivo計測と多層モンテカルロシミュレーションにより,組織の不均一性を考慮して,筋および脂肪層の平均的な光学特性(吸収係数,散乱係数)を決定した.2.光拡散理論を適用し,吸光度変化と吸収係数の非直線的関係をも考慮した組織酸素濃度算出式を理論的に導出し,その具体的な係数を上記光学特性から決定した.3.脂肪層の影響で近赤外分光法の測定感度が大きく減少するので,測定感度を脂肪厚で補正することにより,均質な系を仮定した上記理論式に適用可能な補正式を決定した.また,安静時の筋酸素消費量を磁気共鳴スペクトル法と試作装置で計測・比較し,補正法の妥当性を確認した.4.NIRSの運動能力の評価法として,トップレベルの選手(ノルディック複合ナショナルチーム,13名)を対象に測定を実施し,高地トレーニングにより筋組織酸素濃度回復速度が6日後で11%,11日後で20%程度増加することを見出した.5.NIRSの筋代謝の評価法として,筋収縮・弛緩に伴う血液量変化から局所的血液酸素飽和度を,筋収縮時の酸素濃度低下率から局所的筋酸素消費量を測定する手法を考案し,1収縮ごとに酸素飽和度と酸素消費量を推定できることを検証した.6.当初の計画を進展させ,200チャネルの受光系を有する組織酸素濃度画像化システムを試作し,膝屈曲・伸展運動時の大腿部各筋の酸素化・脱酸素化ヘモグロビン量,血液量の時空間変化をイメージングすることに成功した.
著者
深沢 英雄 本田 雅子 市下 浩子 清水 宏俊
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.251-265, 1978
被引用文献数
3

Blood level profiles of flunitrazepam and its N-desmethyl-metabolite were in vestigated after single and multiple administrations of flunitrazepam to groups of 5 healthy male adult volunteers. Urinary excretion of some major metabolites of flunitrazepam was also examined following oral doses of a single 4 mg.<BR>Following the oral administration, the absorption of flunitrazepam was fairly rapid: the peak times were attained within 1-2 hr with peak levels of 9.6-16.0 ng/ml for 2 mg dose and 20.6-30.3 ng/ml for 4 mg dose. The drug then disappear ed from the blood biphasically. The rate of disappearance was independent of the doses, while the AUC for the unaltered drug was dose-related. Blood levels of N-desmethyl flunitrazepam were always lower than those of the unal tered drug. 7-Amino-flunitrazepam and 3-hydroxy-flunitrazepam were major urinary metabolites, comprising about 9% and 5% of the dose, respectively, in the initial 72-hr urine. During repeated administration of the drug at a daily oral dose of 2 mg, the blood level profiles showed gradual elevation during the first few days, and then the steady-state was attained within 3-5 days.<BR>After i. v. injection of 2 mg, flunitrazepam was eliminated from the blood triphasically. The mean AUC for the unaltered drug obtained after the i. v. injection was about twice as much as that obtained after the oral administration of the identical dose.
著者
岩田 宏美 阿曽 かずき 清水 史子 小川 睦美
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.818, pp.31-34, 2008-12-01

As a step toward detecting the role of resistant starch (RS), the effects of boiled rice or bread intake on evacuation were examined. Ten subjects aged 21-22 were fed two types of prescribed diets of 3 meals per day for 7 successive days. Each type consisted of a different staple food; boiled rice or bread. The subjects were fed the same type of meal for 7 days and the frequency and amount of evacuation was recorded by the subjects. Analyzing the data showed the following results. The estimated total fiber contained in the bread each subject consumed was 6.3 g/day, and the estimated total fiber contained in boiled rice was 1.4 g/day. That is, there was 4.5 times more total fiber in bread than in rice. The frequency and amount of the evacuation tended to increase when boiled rice was ingested compared with the period when bread was ingested. Based on these results, we suggest that the fibers in the boiled rice lead to an increase in the frequency and amount of stools as compared with the fiber found in bread. We speculate that more RS is contained in the boiled rice than in the bread.
著者
阿曽 かずき 岩田 宏美 清水 史子 小川 睦美
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.818, pp.27-30, 2008-12-01

In order to examine and compare the content of resistant starch (RS) under different conditions, the amount of non-starch polysaccharides (NSP) in boiled rice (A. boiled, B. boiled and frozen and defrosted), purchased bread (A. just after purchase, B. frozen and defrosted), and retort rice (A. microwaved, B. microwaved and frozen and defrosted) were measured using the Englyst method. The results were as follows: There was no difference in the content of NSP in the boiled rice A and B. The amount of NSP content in the purchased bread A was lower than that in the purchased bread B. Therefore, we could not calculate the amount of RS. The NSP content of the retort rice B was higher than that of the retort rice A. The RS content of the retort rice was 1.0±0.8 (g/100 g). The NSP content of the purchased bread was significantly higher than that of the boiled rice and retort rice.
著者
岸 映里 油谷 藍子 尾崎 麻子 新矢 将尚 加田平 賢史 大嶋 智子 清水 充
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.111-116, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づき,ホウレンソウのウラン(U)含有量を定量した.はじめに,マイクロ波分解装置を用いる有効性を検討し,マニュアル法と同等の定量値が得られることを示した.短時間で試験溶液が調製できることから,緊急時に対応するためには非常に有効であると考えられた.また,ICP-MS測定の際に2種類の内標準元素(TlまたはBi)が示されているが,低濃度のUを定量する場合は,よりUに近い感度変化を示すTlを用いるほうが望ましいと考えられた.ただし,試料によっては微量のTlやBiを含有するものがあるため,あらかじめ試験溶液中のそれらの量を確認する必要があることがわかった.平成23年4~5月に購入したホウレンソウ9検体のU含有量を定量したところ,いずれも10μg/kg以下であった.
著者
清水 大輔 田中 敏幸 武藤 佳恭 滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集 第16回バイオフィリアリハビリテーション学会予稿集 (ISSN:18848699)
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-02-01)

本研究では、麻痺患者のfMRI画像とfNIRS画像における脳の活性化部位の対応関係と、fNIRS画像の活性化部位の対称性などからリハビリ効果を検証し、患者に効果的なリハビリを提供するシステムを構築することを目的とする。ここでは健常者に対してfMRIとfNIRSによる脳機能計測を行い、画像解析によりそれぞれの活性化部位を求める。活性化部位の対応関係と左右対称性を指標にすることにより、健側と麻痺側の運動能力差を脳機能から分析していく。
著者
清水 優子 牛島 廣治 北島 正章 片山 浩之 遠矢 幸伸
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.388-394, 2009-11-25
被引用文献数
3 3

ヒトノロウイルス(HuNoV)は,未だ細胞培養系が確立されていないため,各種消毒薬のHuNoVに対する有効性について十分な知見が得られていない.そこで,HuNoVに形態学的にも遺伝学的にも類似し細胞培養可能なマウスノロウイルス(MNV)を用い,塩素系およびエタノール系消毒薬の不活化効果をTissue Culture Infectious Dose 50% (TCID<sub>50</sub>)法を指標に評価した.次亜塩素酸ナトリウムおよびジクロルイソシアヌル酸ナトリウム(塩素系消毒薬)は,200 ppm, 30秒間の接触でMNVは99.998% (4.8 log<sub>10</sub>)以上不活化して検出限界以下となり,125 ppmの場合でも30秒間で99.99% (4 log<sub>10</sub>)以上の不活化が認められた.70 v/v%エタノール,0.18 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩含有72 v/v%エタノールおよび0.18 w/v%ベンザルコニウム塩化物含有75 v/v%エタノールは,30秒間の接触で検出限界以下までウイルス感染価を低下させた.<br>   本研究で対象とした2種類の塩素系消毒薬は,いずれも終濃度125 ppmで高いMNV不活化効果を示した.また,3種類のエタノール系消毒薬については,エタノール濃度70 v/v%以上で使用すれば,いずれも短時間でMNVの不活化が達成できることが分かった.以上の結果から,これらの市販の消毒薬はHuNoVに対しても高い不活化効果を有することが期待され,ノロウイルス感染症の発生制御および拡大防止の感染対策を目的とした環境用消毒薬として有用であると考えられる.<br>
著者
酒井 たか子 加納 千恵子 李 在鎬 小林 典子 関 裕子 田中 裕祐 河野 あかね 清水 秀子 加藤 あさぎ 甲斐 晶子 董 然 孫 辰 杜 暁傑 阿部 宥子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多言語背景で日本語を学習している年少者の学習支援に役立つ情報を提供する目的で、教科の学習に必要な語彙調査研究を行った。理科に関しては、小学校3年生から6年生の教科書の分析、教員による重要度判定を行い重要語彙の表を作成した。また学習言語を中心として日本語力診断テスト(SPOT、漢字SPOT、漢字テスト)を作成し、インターナショナルスクールでの縦断的研究、公立小学校での調査を行い、テストの有効性を確認した。
著者
初瀬 龍平 野田 岳人 池尾 靖志 堀 芳枝 戸田 真紀子 市川 ひろみ 宮脇 昇 妹尾 哲志 清水 耕介 柄谷 利恵子 杉浦 功一 松田 哲 豊下 楢彦 杉木 明子 菅 英輝 和田 賢治 森田 豊子 中村 友一 山口 治男 土佐 弘之 佐藤 史郎 上野 友也 岸野 浩一 宮下 豊
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、戦後日本における国際関係論の誕生と発展を、内発性・土着性・自立性の視点から、先達の業績の精査を通じて、検証することにあった。研究成果の一部は、すでに内外の学会や公開講座などで報告しているが、その全体は、『日本における国際関係論の先達 -現代へのメッセージ-(仮)』(ナカニシヤ出版、2016年)として集大成、公開する準備を進めている。本書は、国際政治学(国際政治学、政治外交史)、国際関係論(権力政治を超える志向、平和研究、内発的発展論、地域研究)、新しい挑戦(地域研究の萌芽、新たな課題)に分けた先達の業績の個別検証と、全体を見通す座談会とで構成されている。
著者
佐伯 英明 三浦 邦夫 五十嵐 信寛 小川 弘良 清水 世紀 和田 郁生 鈴木 隆志 原田 忠 森田 隆 加藤 哲郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1058-1062, 1982-08-20

症例は妊娠第15週の36歳の女子で,肉眼的血尿を主訴として当科を受診した。膀胱鏡を施行したところ,膀胱左側壁に巨大な腫瘤を認めたので生検を行ない,移行上皮癌と判明した。患者は既に3子を有しているので,人工流産を施行し,泌尿器科的精査および治療を進めていつた。膀胱造影では左側半分を占める巨大た陰影欠損を認め,骨盤部動脈造影で腫瘍血管に富む腫瘍を認めた。術前に,マイクロカプセル化されたマイトマイシンCを合計40mg使用して2度にわたつて腫瘍支配動脈の化学塞栓を行ない,化学塞栓後の膀胱造影で腫瘍が中等度縮小した時点で膀胱全摘除術および回腸導管造設術を施行した。肉眼的には大小2個の腫瘍が認められ,組織学的にはgrade I, stage Aの移行上皮癌であつた。術後5ヵ月という短い経過ではあるが,転移や再発の徴候はない。妊娠に悪性腫瘍が合併することは稀れであり,殊に尿路悪性腫瘍が合併することは極めて少ない。妊娠に合併した膀胱癌の症例は欧米の文献に7例を認めるが,本邦では最初の報告ではないかと思われた。血尿が認められれば妊娠の有無にかかわらず即時にしかも適切な検索が行なわれなけれぼならないことを強調し,かつ,妊娠中の膀胱癌の治療法および妊娠と悪性腫瘍との関係について若干の考察を加えた。