著者
梁川 良 平棟 孝志 清水 健 藤田 潯吉 石井 進
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-26, 1960-02-25

体(;コニ12~15gのdd系マウスに,それぞれ100ケのLePlOsPiraicterohaemorThagiae(TR-1株),およびLePtosPiraau/umnalis(佐伯株)を皮下接1111Fし,定められた時期にそれぞれ2匹づつ順次殺処分し,体内のレブトスピラを定量した.その結果を要約すれば次の通りである.1。 レプトスピラを接種されたマウスは,殆んど無症状に経過した.しかし,体内で,レブトスピラの組織だった増殖が認められた.2.佐伯株を用いておこなった実験によれば,感染初期に,マウス体内でレブトスピラの増殖が最初に認められる部位は血液であった.その他の部位,すなわちエキカおよびソケイリンパ節,接種部洗}條液,および肝においては,血液よりもおくれで,しかも血液よりも少数のレプトスピラが認められたにすぎなかった.3.マウスの血液中で,TR-1株は感染後4~91]{1-1,またイ/1-ミ・(白株は3~10日目にかけて,6,7日目を頂点とする相称性の発育曲線を示した.頂点のレフ斗スピラ数は,血液1cc当105(TR-1株)お3よび104(佐伯株)であった.対数的増殖期におけるMcangcncrat10ntimeは,TR-1株が7.2~11時間,佐拍株が6~8時間であった.感染後11日[11以降は両株とも血液から全く検出されなかった.4,感染後8~10日目頃,すなわち抗体がマウスの血液中に出現しはじめた時期に,抗体陽性のマウスの血液から,イ/{ミ・[}(-1株はしばしば検出されたのに反し,TR-1株は殆んど検出されなかった.Scrotypc間のおなにような差が,別のびと組のレプトスピラ,三河島株(LePtosPiraiclerohaemorr/lagiae)および岡IITI株(Leptospiraautumna/is)の間にも認められた。5.マウスの肝におけるTR-1株とイ左仙株の増殖は,それぞれの株の血液における増殖と,時期的にも量的にも略々似ていた.肝ではしかし,血淑におけるよりも1日おくれてレブトスピラが検出されはじめた.6.腎における両株の発育は,同じく血液におけるよりも1日おくれて認められたが,しかしその増殖曲練は,血液や肝における場合と全く異っていた.すなわち感染後7日目または8日目順に最初の頂点(TR-1株では106,佐伯株では105)が,ついで9~11口目,すなわち抗体出現の頃に下阿が認められ,さらにそれ以後に増殖曲線は再び上,11-]′.し,すくなくとも91日目までそれほど下降を示すことなく続く独得の形を呈した.最初の対数的増夕jl′(期におけるMcangcncrationtimcはTR-1株が凡そ6.8時間,佐拍株が6~9.6時間であった.7.尿中へのレブトスピラ排泄は,感染後21日目から頻繁に言忍められるようになった.8.マウスの牌,肺,副腎,お ,あった.11. この実験に用いた2つの型のレプトスピラによるマウスの実験的レプトスピラ病は,その細菌学的な姿が,相互に似ていることが認められた.
著者
清水 一政 尾関 美愛 田中 克典 伊東 佳代 中條 真二郎 浦川 紀元 厚地 幹人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.753-757, 1997-09-25
参考文献数
17
被引用文献数
3 27

東南アジア地域に自生するガガイモ科植物のギムネマ・シルベスタ (Gimnema sylvestre) は古くから糖尿病, リウマチあるいは痛風などの疾病に効果があると伝承されている. しかし, 甘味抑制と苦味を有し問題がある. 本研究は甘味抑制と苦味を示さないギムネマ・イノドラム (Gimnema inodorun) (GI) 葉を用い, モルモット腸管平滑筋の高濃度K^+収縮に対する実験, モルモット回腸の酸素消費量の測定, モルモット回腸の糖輸送電位測定およびラットの糖負荷による血糖値測定試験を行い, GI葉成分の糖利用との関連について検討した. GI葉の抽出・精製物は高速液体クロマトグラフィーで4分画 (F-I〜F-IV) し, これらの各分画成分を用いて実験を行った. その結果, GI葉中には腸管平滑筋の収縮, 酸素消費量の増加, 糖輸送電位の増加あるいは血糖上昇をそれぞれ抑制する効果があることが示された. 従ってこれらの成績より, GIの薬理作用は, 腸管におけるブドウ糖吸収を抑制することにより血糖上昇を抑制している可能性が示唆される.
著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

森林が大気循環に果たす役割について、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は平成8年度は琵琶湖プロジェクトに参加し、平成9年度は埼玉大学、千葉大学、建設省土木研究所との共同観測に参加した。琵琶湖プロジェクトでの観測は、参加者が集中的に観測を行っていた水田の近傍で、もと天神様のお社があった30m【cross product】50m程度の大きさの孤立林で、林内の気温、湿度、風速、日射、地温の観測を行った。平成9年度の共同観測は、つくば市の土木研究所の近傍にある100m【cross product】200m程度の林で、林内の気温、湿度、風速、地温の鉛直分布および日射と、林外での気温、風速、日射の観測を行った。これらの観測を通じて得られた共通の結果は、日中は林外の方が気温が1〜2°C高いが、午後3時〜4時頃からは林内の方が気温が高くなり、その状態は翌朝の6時の日出まで続く。気温のピークの時差は30分程度であり、樹冠部で受けた日射が順次散乱、放射によって下方に伝達されていることが分かるが、一方、強い風を伴う夕立のような急激な気象変化は林内も林外と同様な気温変化となり、外部の変化がそのまま林内に持ち込まれている。つくばでの鉛直分布の観測結果からは、丁度、樹冠から樹冠上に相当する14m〜18mにかけて、気温、比湿ともに勾配が大きく、また14mの付近で極大値をとることが分かった。この結果から2点法を簡略化して時刻を固定して拡散係数を逆算し、その観測期間中の平均値を用いてフラックスの算定を行ってみたところ、顕熱、潜熱の値が熱収支から予想される値の2倍程度となった。したがって推定した拡散係数の値が大き過ぎることが分かるが、得られたフラックスの向き、傾向は従来の知見と矛盾がなく、気温、湿度、風速などの鉛直分布の観測が、正しく行われていることが確認できた。LESモデルを用いてシミュレーションを試みている。
著者
清水 知子
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

現代英国における多文化主義の可能性と限界について以下の知見を得ることができた。1)新自由主義社会においていかに移民が分断され、「国民」が再編されたか、その構造の変化について明らかにした、2)多文化主義の根底にあるリベラリズム、世俗主義の暴力性がどのように主流の見解として社会のなかで機能しているのかをメディアの表象から明らかにした、3)上記1)、2)のなかから高まった他者への不信感と監視社 ・ュ策への傾倒を考察し、現代社会におけるコミュニティの実態がどのように変化しているのかを明らかにした。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 清水 収司 上田 博 渡辺 明 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-91, 2000-02-25
参考文献数
34
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU(VHF帯)・気象(C・X・C / Ku帯)レーダーを用いた梅雨季対流圏の同時観測を行った。MU・C / Ku帯レーダーは風速の3成分と雨雲の鉛直分布をそれぞれ観測した。また、C・X帯レーダーはメソα, メソβスケールの雨雲の水平分布をそれぞれ調べた。この3週間の中で最も激しい降雨が観測された7月4〜5日の期間には、メソαスケール低気圧近傍でいくつかのメソβ, メソγスケールの雲システムが観測された。これらはi)温暖前線、ii)寒冷前線付近の対流雲およびiii)寒冷前線の北西側の層状雲として分類された。i)では、高度14km付近まで発達した降水雲内の顕著な上昇流は高度4〜5kmにおける前面・後面からの吹き込み成分の収束と中部対流圏の強い南風によって生成された。ii)では、寒冷前線の前面にガストフロントを持った狭いレインバンドがみられた。そのレインバンドの前方とその中では、メソγスケールのローター循環がそれぞれ発見された。iii)では、南東風(北西風)は高度9km付近まで延びた寒冷前線面の上側に沿って(その内部および真下で)上昇(下降)していた。その前線面下側には降雨を伴わない乾燥域が存在し、そこでは前線面に沿って下降した西風の一部が雲システムの後方へ吹き出していた。本研究では、晴天・降雨域の両方で観測された詳細な風速3成分を用いることで、上で述べたような特徴的なウインドフローをもったメソβ, メソγスケールの雲システムの鉛直構造を明らかにした。これらの構造は日本中部で観測されたメソαスケール低気圧近傍のクラウドクラスターの階層構造の中のより小さな雲システムとして示された。
著者
山本 裕紹 六車 修二 佐藤 剛 早崎 芳夫 永井 芳文 清水 義則 西田 信夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.37, pp.37-42, 1998-07-03
参考文献数
4

フルカラーLEDパネルを用いた偏光眼鏡式立体ディスプレイを試作した.右眼用と左眼用を入れこにしたステレオ画像の表示は, LEDパネルを用いて160×80(×RGB)の画素数(1.28m×0.64mの大きさ)で行った.LEDパネルを短冊に切った偏光フィルムで1列ごとに右眼用と左眼用とにマスキングした画像を, 偏光眼鏡で右眼用と左眼用の画像に分離して観察する.立体表示における観察距離と指向性の実験を行い, 観察距離をLEDのドットピッチの3000倍程度に設定すればよく, 偏光マスクを設置しても指向性が狭くならないとの知見を得ることができた.
著者
清水 茂雅 堀口 明日香 山崎 浩司 川合 祐史
出版者
北海道大学大学院水産科学研究院 = Research Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.37-42, 2009-08-03

Recovery of heat-injured vegetative cells and spores of Clostridium perfringens was evaluated on selective media, CW Egg-yolk agar with kanamycin (ECW+A), Tryptose sulfite cycloserine agar(TSC+A)and modified Handford agar (mHFA). As a result of heat treatment at 54℃ for 15 min, viable counts of C. perfringens vegetative cells on a selective medium (ECW+A)was significantly less than those on non-selective media. This means C. perfringens vegetative cells should be in an injured state. Comparing of the three selective media, TSC+A was the best growth and recovery of heat-injured C. perfringens vegetative cells. Recovery on ECW+A was 1 log CFU/ml less than that on TSC+A. Supplementation of TSC+A with sodium pyruvate (0.1-0.5%) further enhanced recovery and detection of heat-injured C. perfringens vegetative cells, and its efficacy was the highest on TSC+A supplemented with 0.3% sodium pyruvate. Supplementation of TSC+A with sodium pyruvate did not affect recovery of heat-injured (95℃, 2 or 60 min) C. perfringens spores. These findings suggest that TSC+A is the most favorable medium for enumeration of C. perfringens and supplementation with sodium pyruvate improves recovery and detection of heat-injured C. perfringens.
著者
林 雅弘 松本 竜一 吉松 隆夫 田中 悟広 清水 昌
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.674-678, 2002-09-15
参考文献数
21
被引用文献数
10 9

フィルター法によって全国各地の海水等からドコサヘキサエン酸(DHA)高蓄積性ラビリンチュラ類の分離を試み,12株の分離株を得た。各分離株の脂質含量,脂肪酸組成を分析したところ,脂質含量は乾燥細胞中13.7-23.0%,総脂肪酸中のDHA含量は21.5-55.4%であった。これら分離株を生物餌料用栄養強化飼料として利用するため,水中分散性と生物餌料への給餌試験を行ったところ,多くの株が水中で凝集性を示し,ワムシやアルテミアの斃死が認められた。しかし,分離株のうちKY-1株については高いDHA蓄積性を示し,水中分散性も良好であった。さらにKY-1細胞中のDHAはワムシ・アルテミアに短時間で移行することが確認され,生物餌料用栄養強化飼料として好適な性質を備えていることが示された。

1 0 0 0 OA 訃報

著者
松本 幸夫 清水 忠雄 新谷 晶子
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.40-43, 1991-03

田村一郎先生を悼む/高橋(高木)由美子図書掛長/高橋(高木)由美子さんを悼む/高橋(高木)由美子さんを偲んで
著者
御子柴 道夫 長縄 光夫 松原 広志 白倉 克文 清水 昭雄 大矢 温 加藤 史朗 清水 俊行 下里 俊行 根村 亮 坂本 博
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

18世紀後半から19世紀前半までのロシア思想史を、従来の社会思想史、政治思想史に偏る研究視点から脱し、それらを踏まえたうえで、狭義の哲学思想、宗教思想、文学思想、芸術思想の多岐にわたる面で多面的に研究してきた。その結果、従来わが国ではもっぱら思想家としてしか扱われてこなかったレオンチェフの小説にスポット・ライトが当てられ、逆に小説家としてしか論じてこられなかったプラトーノブやチェーホラが思想面からアプローチされた。またロシア正教会内の一事件としてわが国ではほとんど手つかずだった賛名派の騒動が思想ないし哲学面から解釈された。さらに象徴派の画家やアヴァンギャルド画家が哲学あるいは社会思想史の視点からの考察の対象となった。と同時に、これらの作業の結果、ロシアでは文学、芸術、宗教儀礼、あるいは社会的事件さえもが思想と有機的に密接に結びついているのではないかとの以前からの感触が具体的に実証されることとなった。また、文化のあらゆる領域を思想の問題としてとらえた結果、当該時期のロシア思想史をほとんど遺漏なく網羅することが可能になった。この基本作業をふまえて、いくつかのテーマ--近代化の問題、ナショナリズムとグローバリズムないしユニヴァーサリズムの問題、認識論や存在論の問題などが浮上してきた。分担者、協力者各自の研究の中で当然それらのテーマは咀嚼され発展させられてきたが、今後はこれらのテーマを核に、この4年間で蓄積された膨大な素材を通史的に整理し止揚する作業を継続してゆき、書籍として刊行して世に問うことを目指す。
著者
清水 一彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、課程制大学院における伝統的な研究者養成型大学院のカリキュラムについて、日米の比較視点からこれまでの歴史と運用の実態を調査・研究し、わが国における運用改善の条件を提言することを目的とした。結論として、わが国の課程制大学院の発展のためには、次のような改革が求められる。(1)課程制大学院の実質化は、何よりもまず大学院教育の目標の明確化から始めなければならない。研究者養成と専門職養成の差異をはっきりさせ、授与される学位も明確に区別されるべきである。アメリカの大学におけるグラデュエート・スクールとプロフェッショナル・スクールとの明確な区別は、コースワークや論文、学位等において明白なものとなっている。(2)課程制大学院の実質化のためには、現在のような研究科や専攻、コースといった組織的な枠組みを廃止して、修士号や博士号の学位コースによる教育プログラムとして再構築される必要がある。わが国の場合、組織優先で教員所属組織に重点が置かれ、学生の教育や履修、コース選択といった課程あるいはプログラムの観点が軽視され過ぎている。(3)課程制大学院ではコースワークが重視され、カリキュラムの体系化・構造化が図られなければならない。修士課程2年、博士課程5年の標準年限や修了に必要な単位数については新たな見直しが必要である。修士課程でも博士課程でも30単位という規定は、課程制大学院の実質化を妨げるものとなっている。(4)学生の選択的学習による系統的履修の機会とともに集中的学習による学習効果の向上を図る必要がある。具体的には、GPAや履修アドバイス・システムの導入、サマーセッションを含めた学期制の検討などである。
著者
清水 紀芳
出版者
電気通信大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本年度は,身体性を有するユーザインタフェースに関する研究における最終年度に当たり,初年度及び次年度の研究成果を用い,ユーザインタフェースが身体性を持つことの意義に関する調査と,人型ロボットの動作生成や運動を指示するための操作方法の検討を行った.情報世界内の人と同様の身体性を持つCGアバタを操作する際に,それと同形状のロボットをユーザインタフェースとして用意する.そして,ロボットとCGアバタの動作を同期させることで,ユーザは直感的にCGアバタを操作することが出来る.この身体性を有するユーザインタフェースでCGアバタを操作するシステムを,日本科学未来館にて4ヶ月間展示を行い,ワークショップも数日間開催して一般の人々に体験してもらうことで,人型ロボットをユーザインタフェースとして使用する意義に関して知見を得ることが出来た.また,人型ロボットの動作や運動を指示する操作手法として,カメラ画像内に映るロボットに対して直感的にペン入力で操作を行うシステムを作成した.これは拡張現実感技術を組み合わせる事により,モニタ上にペンで移動方向を指示することにより,実世界のロボットを直感的に指示した方向へ歩行させることや,ペンでのジェスチャ入力を用いることにより座る,立つといった複数の動作指示も可能とした.ロボットは多くの関節を持つため,複数の関節を用いた動作を生成する際には多くの時間が必要となっていた.これに対し,CGキャラクタのモーション作成では,逆運動学を用いることで手先位置や胴体の位置を指示するのみで複数の関節を同時に,容易に指示することが可能である.このモーション作成手法を実世界での人型ロボットに対して利用することで,多関節を持つロボットの動作作成を容易にすることを可能にした.
著者
平野 稔泰 小川 美敬 後藤 仁 清水 亀平次 野呂 新一 桜田 教夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.633-638, 1985-08-15

1980〜83年に, 北海道帯広市の十勝総合食肉流通センターで収集したブタ血清3,701例について, 香港型(H3N2)インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行った. 1980〜82年では抗体陽性率は0.7〜7.4%で, 1980年には7〜8月に集中して陽性血清が認められた. これらのブタは屠殺時に7か月齢であり, 同年1〜3月に帯広地区学童間に確認されたH3N2ヒトインフルエンザウイルス流行時に若齢豚への感染がおこったものと考えられた. 一方, 1983年には3月に抗体陽性例が出現し, 3〜7月を通じて高率(4.8〜53.4%)に陽性例が認められ, 同年1〜3月におこったH3N2ウイルスのヒトにおける流行時に成豚も含めてブタが感染したことが示唆された.
著者
清水 祥一 木方 洋二 塚越 規弘 杉山 達夫 横山 昭 赤沢 堯 S.C Huber 片岡 順 西村 正暘
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1987

別紙(様式5)に記している様に、3年間にわたる共同研究実施期間中、名古屋大学農学部(NU)からはノースカロライナ州立大学(NCSU)に計11名の研究者がおもいた。一方NCSUからNUに12名が来訪した。これらはいづれも比較的短期間の滞在による研究交流ではあったが、主題にかかげたバイオテクノロジー領域における両大学研究者間の科学的知見の交換に益すること大きく、将来にわたる共同研究実施計画に関して有用かつ重要な成果をもたらした。就中NCSUの研究者、Drs.Parks,Thompson,Huber,Petters,Theilの来学の意義は大きい。これがもとになって、NUの若手研究者、及び大学院学生が渡米することとなった。また、NCSUの関連研究者訪問の道も開かれた。たとえば、NUからは三木清史(大学院学生)がDr.Petters研究室に赴いて6ケ月研究した。近く木全洋子(大学院学生)はTheil教授のもとでPh.Dを取得するため渡米する計画である。また、佐々木卓治はNCSUの招へいプログラムによって10ケ月間Food Technology学科においてSwaisgood教授と共同研究を行った。Biochemistry学科のHead,Dr.Paul AgrisがNUにおいて行ったDNA,RNAの生物物理学に関するセミナーもはなはだ高度のものであった。これ等すべてが両大学の研究者に益するところはまことに大きいものであった。直接本研究計画に名を連ねたものに加えてNCSUのJapan Center長、Mr.John Sylvesterは第2年次NUの非常勤講師として来学し、大学院学生に対して特別講義を行った。それは日米の学術交流プログラム、特にNCSU-NUの学術提携の現状並びに将来を展望するものであり示唆に富むものであった。本共同研究が実施される契機になったのは、NCSUのS.Huber教授が外国人客員教授としてNUに6ケ月滞在し、赤沢、杉山等とともに行った共同研究と、また大学院学生に対する指導である。それ等の具体的成果として、別紙に示す様な論文が発表されている。
著者
中村 研一 本田 宏 清水 敏行 佐々木 隆生 遠藤 乾 松浦 正孝 川島 真 宮脇 淳
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、地球市民社会に関する共同研究である。研究の実施過程で、ロンドン大、ケンブリッジ大、ダッカ大、韓国高麗大など各国研究者と研究打合せを実施し、地球市民社会に関する理論枠組をテーマとした研究会を行った。また、地球市民社会研究の基本資料として、市民社会、地球市民社会の二次文献を体系的に収集した。近代史を顧みると、政治的意志を持ち、それを表現する市民/個人、およびそのネットワークと運動体は、国家や地域、そしてそれらの境界を超えた国際的な舞台においても、政治的変革と規範形成の役割を果たしてきた。さらに民主主義が普遍化した今日、市民/個人は、国家や自治体においてのみならず、世界においても、決定的な重要性をもつものである。なぜなら、およそ人間行動に必要とされる統一的な決定や価値配分を正統化しうる主体は、市民あるいは個人の集合としての民衆以外にはないからである。ただし、一九七〇年代頃までは、世界政治は国家政府機構を主体とし、世界経済は営利企業が支配してきた。しかるにこうした趨勢は、二〇世紀末の世界において転換を示し、非国家組織(NGO)および市民運動・社会運動が、政府組織、営利企業に対比し、「第三の力」(アン・フロリーニ)と呼ばれている。さらには、世界政治において、国家アクターからNGOへの「パワーシフトが生じている」(ジェシカ・マシューズ)という大胆な議論まで、現れるにいたった。もはや地球市民社会が無視し得ないことは明瞭である。二一世紀初頭の世界において、市民とその地球的ネットワークが、現実政治のなかでどれほど政治的役割を果たしているのか。また、どれほどの政治的役割を担うことが可能であるのか。さらにどこまで、どのような役割を演じるのが適切なのであろうか。これらの問いに答えることが、本研究の課題となった。また本研究では、韓国、台湾、バングラデシュ、日本など、アジアにおける市民とNGOの考察が、重要な一本の柱となっている。市民という概念が生まれ、また地球市民社会が最初に興隆した西欧と対比して、アジアの政治経済風土においては、市民や個人、そしてNGOの果たす役割は、どこまで類似し、どのように異なっているのであろうか。このような課題に取り組んだ成果の一部である論文と収集資料のリストを報告書にまとめた。
著者
三木 哲志 清水 雄哉 藤井 大輝 田中 秀典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.557, pp.17-20, 2008-03-20
参考文献数
4

近年、電力系統は大規模化・複雑化してきているとともに、自由化が進んできており、大停電が発生する確率が増大してきている。このような状況下において、電力系統におけるハイリスク事象を確実かつ効率的に探索する手法を開発することが強く要請されている。リスクの定義として、電力系統の使命が電力の安定供給にあることを考慮し、それが損なわれる定量的指標である「供給支障量と発生頻度の積」を採用する。本論文では、自然災害に起因して過渡安定度を喪失しために生じた電力系統ハイリスク事象を的確かつ効率的に探索可能な新たに開発した手法について述べている.3台の発電機と9台の母線より構成されるモデル電力系統に本手法を適用したところ、その有効性を確認できた.
著者
清水 真紀
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

我が国の英語学習場面において音読活動は盛んに行われている。しかし、その学習者による音読パフォーマンスがいったいどのような言語技能と関連しているかということについてはこれまでも明らかにされてこなかった。コンポーネント・モデルの観点から、日本人英語学習者の音読パフォーマンスを検証したのが本研究である。この「コンポーネント・モデル」とは、リーディングが複数の互いに独立するコンポーネントから構成されるという仮定にたつものであり、また各コンポーネントが個別にどの程度リーディングに関わっているかを明らかにできるという点で有効なモデルである。本研究では、日本人大学生英語学習者を対象に、一連の課題およびテストを実施した(音読課題、音韻処理課題、正書法処理課題、リーディングスパンテスト、単語認知課題、語彙知識テスト、統語知識テスト、L2[第二言語]リーディング熟達度テスト)。そして、音読パフォーマンスとL2リーディング熟達度との関係、また音読パフォーマンスと各コンポーネントとの関係について相関分析を行った。結果は、音読パフォーマンスは、語彙知識、統語知識、単語認知の3つのコンポーネントとそれぞれ強い関係があり、さらにL2読解熟達度とも中程度の関係があることが示された。このことから、音読課題がこれまで考えられてきた以上に、学習者の語彙・文の意味に関する知識、あるいはそういった意味処理を反映したものであると言うことができる。また、単語認知は、特に音読パフォーマンスの発音・イントネーションに関連するものであり、したがってこのことが音読パフォーマンスの全体的な評価に影響を及ぼすとの可能性を示唆することができた。以上、本研究の結果が一部、第二言語習得のメカニズムの解明に、そしてまた効果的な英語学習指導法の開発につながっていくことが期待される。