著者
澄川 喜一 長澤 市郎 小野寺 久幸 岡 興造 寺内 洪 小町谷 朝生 田淵 俊雄 坂本 一道 佐藤 一郎 大西 長利 増村 紀一郎 稲葉 政満 前野 尭 BEACH Milo C FEINBERG Rob 杉下 龍一郎 新山 榮 馬淵 久夫 中里 寿克 ROSENFIELD J 原 正樹 小松 大秀 中野 正樹 手塚 登久夫 浅井 和春 水野 敬三郎 海老根 聰郎 辻 茂 山川 武 福井 爽人 清水 義明 平山 郁夫
出版者
東京芸術大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

本研究プロジェクトは、広く海外所在の日本・東洋美術品の保存修復に係る調査研究の一環として、在米日本・東洋美術品の日米保存修復研究者による共同研究である。我が国の美術品は、固有の材料・技法をもって制作されるが、異なる風土的環境下でどのような特質的被害を生ずるかは従来研究されていなかった。たまたま米国フリーア美術館所有品に修理すべき必要が生じ、本学を含む我が国の工房で修復処置を行った。その機会に保存修復に関する調査研究が実施された。本プロジェクトの目的は、とくに絵画、彫刻、工芸についての保存修復の実情を調査することにあった。具体的には、本学側においては米国の美術館等の保存修復の方法、哲学、施設的・人員的規模等を調査し、フリーア美術館側は我が国の最高レベルの修復技術(装こう)とその工房の実態、すなわち施設、用具、手法、人員等を調査し、相互の研究結果を共同討議した。3年度間の研究成果概要を以下箇条書きで示す。1)フリーア美術館付属保存修復施設をはじめ6美術館(ナショナルギャラリー、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ゲティー美術館、ロード・アイランド・スクール・オブデザイン付属美術館)の保存修復施設、及び3大学の保存修復教育課程(ニューヨーク大学保存修復センター、デェラウェア大学保存修復プログラム、ニューヨーク州立大学バッファロ-校)を調査した。2)美術館及び収蔵庫並びに付属の研究室、工房は、一定範囲の温湿度(フリーア美術館の場合は温度68〜70゜F、湿度50〜55%、ただし日本の美術品に対しては湿度65%で管理する等、その数値は美術館により若干変化の幅がある)にコントロールされる。我が国の修復は自然な環境下で行われるから、そのような点に経験度の関与が必要となる一つの理由が見いだされる。しかし、完全な人工管理環境下での修復が特質的な材料・技法を満足させるものであるか否かの解明は、今後の研究課題である。3)CAL(保存修復分析研究所)やGCI(ゲティー保存修復研究所)のような高度精密分析専門機関は我が国にも必要である。4)米国の美術館は保存修復施設並びに専門研究者を必備のものと考え、展示部門ときわめて密接な関係をもって管理運営し、コンサバタ-の権威が確立されている。その点での我が国の現状は、当事者の間での関心は高いが、配備としては皆無に近い。5)大学院の教育課程は科学な計測・分析修得を主としながら、同時に物に対する経験を重視する姿勢を基本としており、その点で本学の実技教育に共通するところがある。米国の保存修復高等教育機関のシステムを知り得たことは、本学で予定している保存修復分野の拡充計画立案に大変参考になった。6)保存修復に対する考え方は米国内においても研究者による異同があり、修復対象作品に良いと判断される方向で多少の現状変更を認める(従来の我が国の修理の考え方)立場と、現状維持を絶対視する立場とがある。現状維持は、将来さらに良い修復方法が発見された場合に備える、修復箇所の除去可能を前提とする考え方である。保存修復の理想的なあるべき姿の探求は、今後の重要な国際的な研究課題である。7)それは漆工芸等においてはとくに慎重に検討されるべき課題であり、彼らには漆工芸の基礎的知識不足が目立つ。そのような我が国固有の材料、技法面についての情報提供、技法指導などの面での積極的交流が今後とくに必要であろう。逆に建築分野は彼らが先進している。8)米国研究者は我が国の工房修復を実地に体験し、深く感銘した。それは装こう技術が脳手術のようだという称賛の言葉となって表れた。9)ミーティングにおける主要話題は、保存修復は現地で行われるべきであり、それを可能とする人材養成が必要である。保存修復教育には時間がかかることはやむを得ない、期間として6年位が目安となろう。科学教育は大学で行われるべきだが、日本画に限れば工房教育がよい、などであった。
著者
清水 洋平 舟橋 智哉
出版者
大谷大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

今まで調査が手薄であったタイ国中部地域の王室寺院が所蔵する貝葉写本について、従前の科研プロジェクトから継続的に調査を行い、第一級王室寺院をはじめとする5ヶ寺の所蔵貝葉写本集成を軸とした約1, 700套(一套の中に複数の文献が所収されることが多い)を超える写本文献の情報を取りまとめ、所在目録を作成した。加えて、まだ貝葉や折本紙写本でしか存在しない東南アジア撰述の仏教説話文献に関わるテクストの多くを、デジタル画像資料として入手することに成功した。これにより、現在まで殆ど実態が不明であったタイ国中部地域の王室寺院が所蔵する収蔵文献について、その特徴を明らかにした。
著者
持田 灯 富永 禎秀 佐藤 洋 吉野 博 高橋 正男 青木 泰伸 清水 敬二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、産業廃棄物(酸性白土から石鹸等の化学製品を製造する過程で生成される土塊(粒径5〜30mm)。無害)を散布することにより、地表面の粗度長を大きくして地表面付近の風速を減じ、飛砂発生を制御するという新しいタイプの飛砂防止対策の実用化を図った。(1)沿岸部の飛砂の実態調査・沿岸部の砂地における飛砂の現状を、風速・風向・飛砂量等の長期測定等により調べた。(2)飛砂に関する風洞実験・風洞内に砂を敷き詰め、風速を段階的に増加させることにより、限界風速・限界摩擦速度等に関するデータを採取した。・次に、風洞床面上に砂を敷き詰め、産業廃棄物の土塊を散布し、その飛砂防止効果を確認した。(3)CFDによる飛砂メカニズムの解明・CFDにより、上部風速と地表面の粗度及び砂面限界摩擦速度等の関係、周辺の地形や建物の影響等について系統的に検討した。(4)飛砂防止工法の最適化・上記(2)、(3)の結果をもとに、本飛砂防止工法で散布する土塊の粒径、散布密度、散布位置の最適化を行った。(5)現場測定による本工法の有効性の検証・実際の砂地造成地に、産業廃棄物である土塊を散布し、風速・飛砂量の測定結果により、本工法の飛砂防止効果を確認。また砂地緑化の効果を確認するために、砂地や砂浜に種子を植え、生育状況を観察した。(7)効率的な施工方法の検討・今回の飛砂防止方法では、土塊をいかに均一に安価に散布するかも重要な問題となる。ここでは建設工事用のクローラダンプを応用した施工方法を開発し、試験施工によりその有効性を確認した。
著者
清水 芳男
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1)メチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染後腎炎の原因候補抗原の組換え蛋白を作製し、培養メサンギウム細胞と反応させたところ、メサンギウムの増殖に関し、正・負の両者のシグナルをToll-likeレセプターを介して伝達することを見出した。(2)Fcα/μレセプター(Fcα/μR)は、IgA・IgMに対する高親和性Fcレセプターである。Fcα/μRトランスフェクタントにより、患者血清中の多量体IgAを捕捉し、ヒンジ部O-結合型糖鎖を標識レクチンで染色し、フローサイトメトリーにて解析する系を開発した。
著者
浪川 幸彦 黒木 哲徳 三宅 正武 真島 秀行 清水 美憲
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は,学校数学教育カリキュラム策定における数学リテラシー概念の応用に基づき,教員養成数学カリキュラムの開発を行う。先行研究における教員養成数学カリキュラムモデル例の提案を踏まえ,本研究では教員養成数学カリキュラム教材の開発を行うことを主目的とし,事例研究を進めた。また(数学および一般)教員の持つべき数学リテラシー像策定に向けて,大学での数理科学参照基準策定,大学数学基礎教育でのコンピテンシー研究など関連する研究から,数学リテラシー概念の深化を図った。さらに教科内容学会の設立にもつながった。
著者
浜田 弘明 金子 淳 犬塚 康博 横山 恵美 森本 いずみ 平松 左枝子 清水 周 橋場 万里子
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「鶴田文庫」は、博物館学者・故鶴田総一郎旧蔵の博物館及び博物館学に関する蔵書・資料群で、その総量は段ボール箱約250箱に及び、桜美林大学図書館が所蔵している。本研究では、最も公開が望まれている国内外の書籍に重点を置き、約13,000点に及ぶ資料の目録化を実現した。合わせて、鶴田の業績を明らかにしつつ、日本における戦後博物館学の発展・展開過程を検討した。目録化された資料は、桜美林大学「桜美林資料展示室」の「鶴田文庫コーナー」で公開している。
著者
西村 美東士 福留 強 清水 英男 齋藤 ゆか 谷川 彰英
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

現代青少年に関する諸問題については、「個性尊重」による個人の充実のための支援とともに、望ましい社会化を支援するための理念が形成されてきた。しかし、それは次の理由から、不十分な結果に終わっていたと考える。第1に、「一人でも(よりよく)生きられるようになる」ことを望む「個人化」欲求を社会化とは二項対立的にとらえたため、「個人化」支援と統合された社会化支援理念の構築が不十分であった。第2に、「仲間と(よりよく)生きられるようになる」ことを望む萌芽的な「社会化欲求」に対して、魅力的な方策を示し、さらには社会参画につながる展望を示すという点で不十分であった。本研究では、これまで蓄積してきた「青少年問題ドキュメンテーション」等を活用した文献分析等によって、支援理念の変遷過程を検討した。キーワードに関しては、文脈まで含めて細部にわたり分析し、社会化支援理念が、青少年個人の即自、対自己、対他者、対社会の気づきにどう対応しようとしてきたかを検討した。その結果、その変遷過程に一定の特徴を見いだし、より効果的な支援方策のための知見を得た。家族問題に関しては「ひきこもり」等の問題について、職業・就職支援に関してはフリーターやニート等の問題について検討した。その結果、個人化と社会化の統合的支援や、自己形成と社会形成の一体化の実現に向けた有益な知見を得た。青少年対策行政機関や青少年教育機関等が発行する関連文献については、社会化支援理念を共有し、発展させるための意義を明らかにした。同時に、社会化効果の測定や、より効果的な施策・事業展開のための計画策定の指標について、また、経験知としての側面の大きい社会化支援実践に関する他メディアの活用等について、成果公開の内容と方法の改善に関する知見を得た。(成果公開ホームページ:http://mito.vsl.jp)
著者
周 立波 清水 淳 尾嶌 裕隆 山本 武幸 江田 弘 神谷 純生 岩瀬 久雄 山下 輝樹 田代 芳章 田 業氷
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,超高速光通信用可変分散補償器のコア要素である単結晶Siエタロンの加工技術を確立することを目的に,独自に開発したSiと化学反応するCMG加工技術を用いて,大口径Siウエハを高精度・高品位に加工できるOne-stop加工システムを開発し,CMG砥石およびプロセスの最適化を行い,固定砥粒加工だけでGBIR<0.3μm,加工変質層のない15μmの極薄Siウエハを実現した.
著者
瀬野 悍二 清水 信義 佐藤 弘毅 西本 毅治 西島 正弘 花岡 文雄
出版者
埼玉県立がんセンター
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1984

細胞増殖において染色体DNAが複製を完了した後正しく娘細胞に分配される際、染色体凝縮は必須の反応である。この染色体凝縮の調節遺伝子を変異株の利用によってヒトDNAからクローン化し、さらに同cDNAをクローン化した。その結果、本遺伝子は421アミノ酸からなる蛋白質をコードし、約55アミノ酸を単位とする7回繰返し構造を含むユニークなものであった。同遺伝子座をヒト第1染色体に決定した。DNA複製の主役を担うDNAポリメラーゼαの温度感受性変異株を高温にさらすと、M期において高頻度の染色体異常及び姉妹染色分体交換が誘発された。このことは、DNA複製の阻害がDNA2重鎖切断を介して染色体の不安定性を引き起し細胞死につながることを明確に示す。ヒトチミジル酸合成酵素mRNAの5'側非翻訳領域は28塩基を基本単位とする3回反復構造からなり、3通りのstem-loopを形成しうる。本構造を改変し翻訳活性との対応をみたところ、上記stem-loop構造が翻訳を抑制することが示唆された。高温にさらすと染色体異常や姉妹染色分体交換を誘発する変異株を14株分離したが、同条件下に外来遺伝子を移入すると形質転換頻度が正常値より40-70倍高いもの、あるいは低いものがあった。この結果は、染色体不安定性が遺伝子組換えと関連することを示す。また、遺伝子組換えのin vitroの測定系の樹立に関し、基礎検定を終えた。ホスファチジルセリン(PS)要求変異株を分離しPSが細胞増殖に必須であること、PSはホスファチジルコリンを前駆体としてリン脂質・セリン交換酵素によって生合成されることを解明した。また、Sindbisウイルス感染に際してPSがウイルスとエンドソーム膜との融合過程に必須の膜成分であることを示唆した。
著者
嶋津 岳士 田崎 修 清水 健太郎 松本 直也 藤野 裕士 田崎 修 清水 健太郎 松本 直也 藤野 裕士
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

研究成果の概要:危機管理に関する医学・医療領域からの新しい取り組みとして「緊急事態対応医学」という概念を提唱した。「緊急事態対応医学」はall-hazard approach、cross-sectoral function、lessons-learned approach、service continuity planningを4原則として体系化することが可能で、具体的な緊急事態や災害事例の検証ならびに諸外国の状況に関する調査を通じて有用性が示された。
著者
大山 将城 名野 響 近藤 信行 清水 尚彦 星野 民夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.477, pp.49-53, 2004-11-24

昨今のSoC開発においてハードウェア,ソフトウェアの協調エミュレーションは盛んに行われている.しかし,エミュレーション環境はベンダツールへの依存度が高いケースが多く標準的といえるものはまだ無い.したがって,構築したエミュレーショシ環境が使用しているベンダツールに縛られているのが現状である.これに対しaccellera[1]は2003年に標準協調エミュレーションモデリングインターフェースSCE-MIを策定した.SCE-MIは披試験デバイス(以下DUT)に対するテストベンチの設計/使用を容易にすることを目的にハードウェア/ソフトウェア間のインターフェース(以下IF)仕様を定義するものである.IFのソフトウェア側はC++のAPIとして,ハードウェア側はTransactorと呼ばれるモジュールとして定義される,ただし,これらの実装仕様については定められておらず実装者に任されている.そこで標準的エミュレーション環境の実装試行として,SCE-MI仕様にのっとったIF開発とFPGAボードへの実装を行った.
著者
小倉 振一郎 佐藤 衆介 田中 繁史 菅原 英俊 松本 伸 阿部 國博 清水 俊郎 小寺 文
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.153-159, 2008-07-15

近年、わが国の養蚕業の衰退にともない遊休桑園が急速に増加している。その対策の一つとして、肉用牛による桑園の放牧利用が注目されている。桑は草食家畜に対して高蛋白かつ高消化性であることに加え、生産力が高いことから、飼料資源としてきわめて有用である。また、牛放牧による遊休桑園利用は、省力的に荒廃地の植生管理ができるほか、未利用資源が家畜生産に貢献するというメリットがある。電気牧柵による小規模放牧方式の導入により、省力的にかつ低コストで桑園の畜産的利用が可能である。すでに福島県では、電気牧柵による黒毛和種の放牧とマクロシードペレットを組み合わせることにより遊休桑園を牧草地化できることを実証している。宮城県においては、気仙沼・本吉地域一帯が、かつて東北地方の中でも福島県阿武隈地域、宮城県丸森地域と並んで養蚕業が盛んな地域であったことが知られている。しかし近年、遊休桑園が急速に増加し、荒廃化が急速に進行しているため、その対策が喫緊の課題となっている。こうした背景から、地域環境の保全および農林業の活性化を図るため、2005年秋に同地域内の南三陸町の遊休桑園において、黒毛和種の放牧が開始された。桑園放牧の普及にあたっては、桑の生産性と化学成分、ならびに放牧牛の行動、健全性といった基礎的知見の集積が不可欠であるが、こうした知見はこれまでにほとんど得られていない。そこで、南三陸町の遊休桑園における桑葉の現存量および化学成分、ならびに放牧牛の行動と血液性状からみた健全性について実証試験を行ったので報告する。
著者
永田 知里 清水 弘之 武田 則之 藤田 広志
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

乳がんリスクの指標としての血中・尿中エストロゲン値と生活環境要因の中からサーカディアンリズムに関わる睡眠・夜間照明・夜勤・生活リズム等、サーカディアンリズムの指標である尿中メラトニン値との関連性を成人女性、妊婦、幼児を対象に評価した。成人女性において、夜間照明への暴露あるいはサーカディアンリズムの乱れが内因性エストロゲン値を変化させ、ひいては乳がんリスクに影響を及ばす可能性を示唆した。
著者
弘末 雅士 鈴木 信昭 唐沢 達之 貴堂 嘉之 高橋 秀樹 荷見 守義 石川 禎浩 清水 和裕 土田 映子 大石 高志 疇谷 憲洋 佐々木 洋子 遠藤 正之 久礼 克季
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

地中海世界・イスラーム世界・欧米・中南米・南アジア・東南アジア・東アジアにおける奴隷の歴史を比較検討することができ、地域相互間の奴隷取引や奴隷をめぐる観念の展開を広域的に解明できた。また移住者の広域ネットワークの形成に果たす役割とともに、移住先の社会の秩序構築に積極的に関わったことが明らかとなった。そうした移住者を迎えた現地人妻妾のアジアにおける事例が比較検討され、彼女らやその子孫が、前近代において商業活動や港市の社会統合に重要な役割を担ったことが解明された。さらに近現代社会における新たな仲介者や媒体の存在に注目する必要性を認識した。
著者
奥 直人 浅井 知浩 清水 広介
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

花粉症などのアレルギー疾患では脱感作療法などが行われているが、根本的治療法はない。本研究では、アレルギーの基となる免疫細胞の活性を恒久的に抑える根本的治療法を開発する。すなわち薬物送達システムを利用し、特定の薬物を運ぶキャリアーに抗原を結合することで、抗体産生細胞に特異的にキャリアーを認識させ、特定の細胞のみに薬物を送達し細胞の活性を抑える新たな治療戦略を確立する。
著者
笠井 久豊 川口 香 村林 由紀 佐久間 隆幸 森谷 勲 清水 敦哉
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.577-582, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
14

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG) 施行後30日以内の早期死亡を予測できる指標を明らかにするため本研究を行った。【対象及び方法】2003年5月から2005年12月までにPEGを施行した170例につき年齢、術前の血清アルブミン値、トランスサイレチン値および総リンパ球数と早期死亡率との関連を検討した。【結果】PEG施行170例のうち早期死亡例は18例 (10.6%) であった。血清アルブミン値が2.5g/dl以下の症例の早期死亡率は有意に高率であり、特に90歳以上の症例では50%と極めて高率であった。多変量解析では血清アルブミン値が最も予後に相関する因子であった。【結論】PEG施行後の早期死亡の予測には、血清アルブミン値が最も適しており、本測定値が2.5g/dl以下の症例には、PEGの適応決定には慎重であるべきと思われた。
著者
島内 節 清水 洋子 福島 道子 佐々木 明子 中谷 久恵 河野 あゆみ 田中 平三 亀井 智子 林 正幸 丸茂 文昭
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度〜12年度にかけて「在宅ケアにおける基本的な日常生活行動の自立支援のためのケアプランと評価方法」について研究を行った。平成10年度に日常生活行動の自立を可能にする条件を分析した。結果は2ヵ月で改善可能な内容は着替え、服薬行動、痛み、介護者の心身の疲労であった。同年にケアプランの実施の有無とプラン修正によるニーズ解決を分析した。その結果、ニーズ解決率の高い順位は(1)ケアプランを必要に応じて修正し実施、(2)ケアプラン実施、(3)実施しない、の順であること、ケアプランの修正要因は利用者条件、サービス提供条件、ケアマネージャーの順であった。平成11年度には日常生活行動変化のアウトカム項目をアメリカ合衆国のメディケア機関で義務化されていたOASIS(The Outcome Assessment Information Set)を中心に我々が開発していた日本版在宅ケアアセスメント用紙を組み合せて、在宅ケアの評価を行い、それに基づきケアプランを5機関で行った。平成12年度にはアウトカム項目を確定し、自立度変化とケアプロセスの内容、満足度を評価し、プランを立てて実施後に再度アウトカムとプランを評価する方法の開発、サービス提供者の能力開発と組織力向上の評価方法を開発し、マニュアル化した。なお、利用者アウトカムに関しては、フィンランドとの共同研究を行った。
著者
清水 宏幸
出版者
山梨大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

中学校数学の教材の中に潜むかかわりを教材研究で顕在化し,それを授業の中で活動させながら生徒につかませることをねらう授業づくりを研究するものである。研究のねらいは次の2点である。(1) 生徒が自らかかわりを見いだすことができるような活動を授業で仕組むために,中学校3年間を見直し,教材研究を行い課題開発をする。(2) かかわりを見いだす活動を重視した授業を行い,生徒の反応,思考の様相をとらえカリキュラム作成に向けて実践を積み重ね,その成果を蓄積していく。平成19年11月10日の山梨大附属中の公開研究会では「一次関数の利用」の単元で「太陽光発電は損か得か」という授業研究を公開した。この授業では,10ケ月までの電気使用量から12ケ月の合計の電気使用量を予想するために,棒グラフを使い,本来直線となっていないグラフを直線と見るということを生徒に作業をさせながら見いださせた。その上で,太陽光の設備を自宅に設置したら,何年後に設備費が償還できるかを考えさせる授業である。また,平成20年2月28日には自主公開研究会を行い,「円周角の定理」の単元で授業を行った。この授業では,グラウンドに出て,40人の生徒みんなでメガホンでサッカーゴールをのぞいてどのような位置にみんなが立つのだろうかという授業を行い,円周角と弧の関係に着目しながら円周角の定理を見いだすという授業を行った。いずれの授業もビデオで授業と研究協議会を録画し,そのプロトコールをおこし分析することで,協議会で指導をしていただいたことと共に授業について検証した。そして授業中の生徒の作業の様子を観察し,授業後の学習感想を書かせ授業評価をおこなった。その結果,生徒たちが教材の中に潜む関係を見いだし,興味深く学んだ様子が,ビデオのプロトコールや学習感想から明らかとなった。