著者
篠田 孝祐 鳥海 不二夫 片上 大輔 大澤 博隆 稲葉 通将
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

コミュニケーションゲームである人狼ゲームを人工知能における標準問題として考えた場合、どのような課題があり、必要とされる技術要素を検討する。また、この人狼ゲームを、人工知能プログラムが参加してゲームを行う競技会を開催することで、発展が期待できる分野を考察する。
著者
藤井 康彦 稲葉 頌一 稲田 英一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.27-32, 2012-01-01 (Released:2012-07-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

輸血後移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)は免疫不全の患者にのみ発症すると考えられていたが,原病に免疫不全のない患者でも,human leukocyte antigen(HLA)一方向適合を主要な条件として発症することが明らかになった。日本人はHLAの多様性が少ないため,輸血後GVHD発症のリスクが高い。日本輸血・細胞治療学会は1992年に初めて「輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドライン」を公表し,2010年に4度目の改訂を行った。2000年以降,放射線照射血液製剤による輸血後GVHDの確定症例は確認されなくなった。しかし,2007年と2010年に日本輸血・細胞治療学会が実施した「輸血業務に関する総合アンケート調査」では,放射線未照射製剤を使用した施設が少なからず存在した。放射線照射ガイドラインによる予防対策は効を奏しているが,輸血後GVHDの重篤性や予防の必要性に対する認識が薄れる懸念があり,認識不足による予防の不徹底からの輸血後GVHDの発症は回避されるべきである。
著者
稲葉 智之
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.93-100, 1999 (Released:2018-05-05)
被引用文献数
1

骨格標本は, 現在まで多くの方法で作製されてきている。しかし, 交連標本も容易に作製できる, カツオブシムシに蚕食させて作る方法の概要についてはほとんど知られていない。頸椎以降の骨格も数多く残され, 貧弱な日本の標本が充実されるように, ムシを用いた骨格標本作製法の実際を紹介した。さらに, 骨格研究の参考資料となるよう, 哺乳動物のみであるが著者の所蔵する骨格標本目録を作成した。
著者
吉場 史朗 加藤 俊一 大谷 慎一 小原 邦義 前田 清子 南 睦彦 寺内 純一 渡会 義弘 金森 平和 稲葉 頌一 絹川 直子
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.48-57, 2009 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

目的: 人間が一生の間にどの程度,輸血を受けるのかを知ることは,献血の際に,ボランティア·ドナーに説明するための必要なデータの一つである. 方法: 輸血回数を求めるに当たって,1.年齢別·性別人口,2.供給された献血本数,3.輸血を受けた患者の性別と年齢,を2つの県で集めた.第一は2002年の福岡県で,もう一つは2005年の神奈川県であった.各年齢の輸血回数の計算は,[Page=nage/Nage×T/t]の式で求めた.{Page:nage:各年齢の輸血患者実数,各年齢(Nage)ごとの輸血回数,T: 一年間に供給された血液本数,t: 病院で輸注された血液本数} 結果: 1)福岡県の2002年の全人口は,5,034,311名であった(男性2,391,829; 女性2,642,482).地域の赤十字血液センターは福岡県で輸血されるすべての血液をカバーしていた.2002年の血液供給本数は226,533本であった.一つの大学病院で輸血された患者数は,1,190名(男性646,女性544)であった.これらの患者に使用された血液は13,298本(男性7,210,女性6,088)であった.2)神奈川県の2005年の人口は,8,748,731名であった(男性4,420,831; 女性4,327,900).地域の赤十字血液センターは福岡県と同様,県内使用血液のすべてをカバーしていた.2005年の供給本数は297,592本であった.5つの大学病院と1つのがん専門病院で輸血を受けた患者の総数は3,744名(男性1,673,女性2,071)であった.これらの患者に使用された血液は57,405本(男性31,760,女性25,645)であった.男性の寿命を79歳とすれば,福岡県で0.420回,神奈川県では0.297回輸血を受けていた.女性の平均寿命を87歳とすれば,福岡県では0.344回,神奈川県では0.275回輸血を受けていた. 結論: 我々のデータから,日本人は一生の間に男性は1/3,女性は1/4が輸血を受けると考えられた.さらに,輸血の可能性は80歳以上で男性,女性ともに急増していた.
著者
清水 基之 田中 英夫 高橋 佑紀 古賀 義孝 瀧口 俊一 大木元 繁 稲葉 静代 松岡 裕之 宮島 有果 高木 剛 入江 ふじこ 伴場 啓人 吉見 富洋 鈴木 智之 荒木 勇雄 白井 千香 松本 小百合 柴田 敏之 永井 仁美 藤田 利枝 緒方 剛
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.271-277, 2023-08-31 (Released:2023-09-21)
参考文献数
22

目的:日本の新型コロナウイルス第6波オミクロン株陽性者の致命率を算出し,これを第5波デルタ株陽性者と比較する.方法:2022年1月に7県3中核市3保健所で新型コロナウイルス感染症と診断され届出られた40歳以上の21,821人を,当時の国内での変異型流行状況からオミクロン株陽性者とみなし,対象者とした.死亡事実の把握は,感染症法に基づく死亡届によるpassive follow up法を用いた.2021年8月~9月にCOVID-19と診断された16,320人を当時の国内での変異株流行状況からデルタ株陽性者とみなし,同じ方法で算出した致命率と比較した.結果:オミクロン株陽性者の30日致命率は,40歳代0.026%(95%信頼区間:0.00%~0.061%),50歳代0.021%(0.00%~0.061%),60歳代0.14%(0.00%~0.27%),70歳代0.74%(0.37%~1.12%),80歳代2.77%(1.84%~3.70%),90歳代以上5.18%(3.38%~6.99%)であった.デルタ株陽性者の致命率との年齢階級別比は,0.21,0.079,0.18,0.36,0.49,0.59となり,40歳代から80歳代のオミクロン株陽性者の30日致命率は,デルタ株陽性者のそれに比べて有意に低かった.また,2020年の40歳以上の総人口を基準人口とした両株の陽性者における年齢調整致命率比は0.42(95%信頼区間:0.40-0.45)と,オミクロン株陽性者の致命率が有意に低値を示した.結論:日本の50歳以上90歳未満のCOVID-19第6波オミクロン株陽性者の致命率は,第5波デルタ株陽性者に比べて有意に低値であった.
著者
稲葉 昭英
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.4, pp.61-76, 2007-06-23 (Released:2012-09-24)
参考文献数
24

ソーシャル・サポート研究の概要を紹介しつつ,その理論的な再構成を行い,社会関係資本研究にむけて提言を行うことが本稿の目的である. ソーシャル・サポートは有害なライフイベントが個人に及ぼす影響を緩衝する対入関係的要因として概念化され,経験的研究の中でそれが探索された.サポートと関連を有するニーズには受け手の想定するニーズ,送り手の想定する「受け手の」ニーズ,「受け手の福祉に貢献する」ニーズの3者が存在し,それぞれの重なりの中に従来のサポート研究を位置づけることができる.こうしたソーシャル・サポート研究は,事実上ケアの経験的研究といいうる側面を持つ.また,サポート研究において大きな効果が検証されてきた「サポートの利用可能性」は,ケアによるニーズの充足可能性と考えることが可能であり,ケアによるケイパビリティの重要性を示したものと整理することができる.ソーシャル・サポート研究は,健康やメンタルヘルスに関連した分野での対人関係資源の研究であったため,他の分野への広がりは大きくなかったが,中範囲レベルでの研究の蓄積が進んだ.分析単位を個人におく社会関係資本の概念は,ソーシャル・サポートとの接点を大きく持つ.社会関係資本研究は,分析単位を集合体レベルに置くことで様々な可能性をもちうると思われるが,マクロな事象間の関連を説明する理論として分析単位を個人に置くモデルを用いることが有効であると思われる.
著者
稲葉 利江子 坂東 宏和
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.342-346, 2022-06-15

第84回全国大会において,情報処理教育にかかわる企画セッションが開催された.本稿では,3月5日に開催された情報入試委員会が主催した「情報入試 -共通テストと個別試験」と初等中等教育委員会が主催した「初等中等教育研究発表セッション」について報告する.
著者
伊藤 敦彦 羽田 勝征 高橋 尚彦 犀川 哲典 山下 武志 安喰 恒輔 速水 紀幸 稲葉 秀子 浅田 健一 村川 裕二
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.640-644, 2002-11-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7

心房細動を有する患者ではしばしば心房粗動 (AFL) を合併する, 発作性心房細動 (PAF) の薬物治療において, Ic群薬は他のI群薬に比べAFLの出現率が高いか否かを検討した.重篤な器質的心疾患や心機能低下を欠く患者179人 (平均年齢58±11歳) の薬物治療中19人にAFLが認められた, 性別, 年齢, 左房径, あるいはβ遮断薬やカルシウム拮抗薬の併用はAFLが記録される割合と関連はなかった.Ia, b群薬とIc群薬では統計的には有意ではないが, 後者の投与中に多くのAFLが記録された (8%対15%) , 投薬前にすでにAFLが記録されている症例で治療中にAFLを認める頻度は52% (12/23) と高く, AFLの既往がない患者での4% (7/156) を大きく上回っていた (p<0.0001) .また, AFL既往例に限れば, Ic群薬投与中はIa, b群薬投与中よりAFLを認める症例が多かった (36%対78%) .以上より, PAF治療中のAFLの出現には治療前のAFLの既往が大きな要因であるが, Ic群薬投与中により多くの症例でAFLが出現する傾向があった.
著者
中島 明日佳 船山 道隆 小嶋 知幸 稲葉 貴恵 川島 広明 青木 篤美
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.439-448, 2011-12-31 (Released:2013-01-04)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

語義失語は, 井村 (1943) が, 日本語の特性を考慮した上で超皮質性感覚失語を捉え直した失語型であり, (1) 良好な復唱能力, (2) 言語理解障害, (3) 語性錯語を伴う発話障害, (4) 特徴的な漢字の障害, などを特徴とする。近年, 前頭側頭葉変性症の 1 亜型である意味性認知症 semantic dementia (SD) に伴う失語型として論じられることが多いが, 語義失語と意味記憶障害との関連は十分には調べられていない。今回われわれは, 静脈性の脳梗塞によって左側頭葉を前方から広範に損傷した後, 語義の理解障害と喚語困難を中核とする語義失語 (超皮質性感覚失語) を呈した 1 例について, 意味記憶の検討を行った。その結果, われわれが調べ得た範囲で, 意味記憶障害を示唆する所見は認められなかった。以上より, (1) 語義失語=SD ではないこと, (2) 記号である語彙項目とリファレントである意味記憶との間の相互の記号変換 (coding) の障害が存在すれば, 語義失語の定義を満たす失語像が出現することを指摘した。
著者
稲葉 昭英
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.69-84, 2002-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

社会的属性とディストレス (抑うつ) の関連, および婚姻上の地位とディストレスとの関連を全国確率標本データから検討した.分析の結果, 若年層, 女性, 無配偶者, 低所得者にディストレスが高い傾向が示され, さらに配偶者の有無は男性のディストレスと大きく関連していた.婚姻上の地位をさらに細分化した分析では, 男性は無配偶者一般に高いディストレスが示されるのに対して, 女性の未婚者のディストレスは総じて低かった.また, 離別経験者を対象にした分析の結果, 男性の再婚者のディストレスが低いのに対して, 女性の再婚者はきわめて高いディストレスを経験していた.全般的には結婚は男性に大きな心理的メリットをもたらしていたが, 女性においてこの傾向は小さかった.この差異は女性によるケアの提供という社会的な性別役割分業によって生じているものと解釈された.
著者
宮原 祥吾 原田 健次 新海 陽平 稲葉 泰嗣 荒牧 勇
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.111_1, 2017

<p> 近年、脳の局所的な構造が運動・認知スキルと関連するという報告が相次いでいるが、スポーツ選手を対象とした報告は少ない。そこで本研究は、野球熟練者の投球コントロール能力と関連する脳部位の構造的特徴を明らかにすることを目的とした。C大学野球部のピッチャー9名(右利き)に対し、的の中心点を狙った右投げ投球、左投げ投球をそれぞれ30球ずつ行わせた。それぞれの条件について的中心からの平均距離を計算した。すべての被験者のT1強調MRI脳画像を計測し、Voxel Based Morphometry解析により、それぞれの投球条件において、的中心からの距離と脳灰白質容積の相関のある脳部位を同定した。その結果、いずれの条件においても、的中心からの平均距離と右頭頂葉の灰白質容積に有意な正の相関関係が認められた。頭頂葉は、空間的な運動制御に重要な役割を果たす脳部位であり、投球コントロール能力に頭頂葉の構造的発達が重要であることが示唆された。</p>
著者
泉川 孝一 稲葉 知己 水川 翔 河井 裕介 榊原 一郎 石川 茂直 三好 正嗣 和唐 正樹 河合 公三
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.1096-1104, 2014-06-05 (Released:2014-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1

症例は,ダビガトラン開始1カ月後より胸焼けを自覚した67歳男性と薬剤開始数日後より心窩部痛を自覚した81歳女性である.内視鏡所見は近似しており,食道に白色あるいは暗青色の膜様物が付着した浅い潰瘍を多数認めた.いずれの症例もダビガトラン投与は継続し,服薬指導のみで症状は消失し潰瘍は改善した.食事中に薬剤を大量の水で服用し座位を保持するという服薬指導は,ダビガトランによる食道傷害の予防に有効である.

4 0 0 0 OA 家族と少子化

著者
稲葉 昭英
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.38-54, 2005-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

未婚化・晩婚化だけでなく, 夫婦出生率の低下も少子化の一因であることが近年の研究から明らかにされている.本研究は, この夫婦の出生率の低下に家族的要因がどのように関与しているのかを検討する.まず, これまで指摘されてきた社会経済要因説, 価値意識要因説, ジェンダー要因説の3つの仮説の論理的な関係を検討し, 子ども数の選好の変化が論理的に重要であることを示す.ついで, 先行研究および出生動向基本調査の結果を検討したが, ジェンダー要因説を支持する結果はほとんど得られなかった.むしろ, 夫婦の出生率の低下は, 子どもの福祉を追求するために子ども数を制限するという選好の変化から生じている可能性が示唆された.最後に行ったNFRJ98 データを用いた乳幼児をかかえた女性の家族役割負担感などについての分析からも, ジェンダー要因説は支持されなかった.育児期には性別役割分業が顕在化するが, そうした課題が夫婦ではなく親族を中心としたネットワーク内で分担されるために, ジェンダー要因説が成立しないことが示唆された. 夫婦出生率の低下は, 家族の新たな変化の帰結というよりは, 性別役割分業にもとづいて子どもの福祉追求を行うという, これまでの家族のあり方に根ざした動向と考えられる.
著者
増田 和央 原 太智 茅野 昭 稲葉 敦
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第5回日本LCA学会研究発表会(会場:東京都市大学)
巻号頁・発行日
pp.200, 2009 (Released:2010-02-15)

近年、地域の自然や文化に触れることを目的としたエコツーリズムが盛んになって来ている。エコツーリズムはまた、地域の活性化にも役立つことが期待されている。一方で、運輸部門のCO2排出量が年々増加していることが指摘されており、旅行の際に使われる自動車や飛行機などの二酸化炭素排出量の削減が求められている。したがって、エコツーリズムと運輸部門のCO2排出量削減が調和する方策が必要である。
著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.149-165, 2003-12-20

本稿では, ファイアマークの図案を分析し, その由来や意図を検証することを目的とする。ファイアマークとは火災保険契約の証として, 被保険者宅に取り付けられたプレートのことであり, わが国では1887年に設立された東京火災のファイアマークが最古のものである。ファイアマークの役割は, 消防組織が消火活動を行う際の目印また保険会社の広告・宣伝という実益的な機能がクローズアップされるが, そのデザインには「水」や「魔除け」といった図案が多用され, 防火の「お守り」としての側面も見られる。こうしたファイアマークの歴史的・文化的価値を評価し, わずかに現存するファイアマークを保存していく必要がある。