著者
稲葉 昭英
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.144-156, 2021-10-31 (Released:2021-11-17)
参考文献数
24

貧困・低所得の定位家族で育つことが子どもの内面に与える影響を検討するために,等価世帯所得によって定義される「世帯の貧困」と子ども(中学3年生)のメンタルヘルス(心理的ディストレス)との関連を計量的に検討する.内閣府「親と子の生活意識に関する調査」(2011年)を用いて,対象を有配偶世帯に限定して分析を行った結果,(1)男子では貧困層にディストレスが高い傾向は示されなかったが,女子では貧困層で最も高いディストレスが示された.(2)女子に見られるそうした貧困とディストレスの関連は親子関係の悪さや,親や金のことでの悩み,といった家族問題の存在によって大きく媒介されていた.この結果は貧困世帯において女子に差別的な取り扱いがあること,および女子は男子よりも家族の問題を敏感に問題化する,という二つの側面から解釈がなされた.
著者
藤田 昌英 中野 陽典 太田 潤 熊西 康信 木本 安彦 大道 道大 薄金 眞雄 上田 進久 塚原 康生 藤原 彰 下妻 晃二郎 杉山 龍平 飯田 透志 梁 昌熙 稲葉 秀 奥山 也寸志 阪本 康夫 石井 泰介 田口 鐵男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.187-192, 1986

わが国で大腸癌が急増しつつある現在,信頼性が高く,かつ検診効率のよい集団検診法の確立が急がれる.われわれは昭和52年以来試みてきた3種の検診結果に基づき,.昭和57年4月から2年間,地域団体,職域団体,個人の3グループの計12,520名に対し,グアヤックスライド(シオノギ)にて制限食下に3日間便潜血を調べる方法と問診とを併用した大腸癌集団検診を実施した。要精検は3,434名(27.4%)であり,その内訳は,便潜血が1枚以上陽性であった者2,602名,3親等以内の家族に大腸癌のみられたハイリスク者524名,大腸癌を疑う症状を訴えた者308名であった。要精検者の64.4%(2,214名)が直腸指診,直腸鏡検査をうけた.注腸X線検査は1,397名,大腸ファイバースコピ一は187名に実施した.728名は消化管に何らかの異常所見がみられ,大腸癌は18名(0.14%),カルチノイドは1名,大腸ポリープは303名にみられた.大腸癌18名中17名は便潜血陽性で,残る1名はハイリスクでスクリーニングされた.腫瘍の局在ではS状結腸が10名と多かった,Dukes Cの進行癌は3名にすぎず,Dukes Bは4名であり,早期癌は10名をかぞえた.この集検法は無症状のかなりの大集団に実施でき,大腸癌をより早期に発見しうる信頼度の高い方法であると考えられた.
著者
日本 PDA 製薬学会 電子記録電子署名委員会 クラウド CSV グループ 荒井 健太郎 荒木 澄江 石川 明水 稲葉 光治 荻本 浩三 杉浦 明子 坪田 浩之 峠 茂樹 西山 宇一 平野 勝久 古市 正 前田 豊
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.25-122, 2016 (Released:2016-12-20)
参考文献数
7

It could be worthwhile to make proposals related to practical methods for CSV of cloud-based GxP business systems, given that any guidelines for CSV of those systems have not yet been issued by the Ministry of Health, Labor and Welfare. In this study, we will show development activities, verification activities and a supplier audit, all of which our group experienced, for a SaaS-type electric document management system for GxP businesses, leading to an attempt to share the best practices in CSV of cloud-based GxP business systems. The feasibility of our proposal related to the CSV life-cycle management of cloud-based GxP business systems at the previous PDA Japan Annual meeting will also be discussed in this study.
著者
稲葉 利江子 高比良 美詠子 田口 真奈 辻 靖彦
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45085, (Released:2022-01-12)
参考文献数
16

2020年度新型コロナウィルス感染拡大防止のため,大学教員は否応なくオンライン授業に取り組むことになった.オンライン授業において授業効力感を得られた場合,多くの授業が対面授業に戻った後も,部分的にオンライン授業やICTツールを継続的に利用していく可能性がある.そこで,本研究では,大学教員のオンライン授業における授業効力感に着目し,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT利用量」の3要因からの効果を明らかにすることを目的とした.具体的には,2020年7月〜8月に大学教員向けに実施したアンケート調査を基に,オンライン授業における授業効力感が,「指導方略」,「学生の状況把握」,「学生の活動促進」の3因子からなることを明らかにした.その上で,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT利用量」の影響を検証するため,階層的重回帰分析を行った.その結果,講義,演習・実習,ゼミ・セミナーという授業形式に依らず,「学生の受講態度」が教員のオンライン授業における授業効力感の向上に全般的に影響を及ぼすことが明らかとなった.
著者
稲葉 ナミ 大村 彰子 佐藤 緋佐子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.112-116, 1966

東京都立の高校生について、平常時・後期試験日程発表後の試験前・試験実施の中間日の3回、授業終了後、自覚的疲労調査を行なった結果、次のような結論を得た。<BR>1.高校生の疲労感は産業労働者より全般的に多く、そのうちでも精神的症状が最も多く、各症状間に相関関係が認められた。<BR>2. 全日制と定時制とには本調査に関する限り、予想したような差はあらわれなかったが、定時制の環境が特に恵まれているためであろう。<BR>3. 全日制・定時制ともに男女共学であるが、男女の疲労感には有意差が認められなかった。<BR>4. 睡眠時間が短いと疲労感が多い傾向がみられる。<BR>5. 試験の影響をみると、調査時が放課後であったためか、試験中間期より試験直前のほうが疲労感が多い。<BR>6. 通学所要時間の影響は全般的に近距離のためか、殆んど差が認められなかった。
著者
穴見 江梨子 坂本 豊伸 磯尾 優子 德山 智治 塚本 賢児 興津 暁子 天方 奉子 稲葉 一郎 宮野 恭彰 木戸 宏幸 湯川 栄二
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.135-142, 2021-11-30 (Released:2021-12-14)
参考文献数
14

Objective: Soon after two massive earthquakes in Kumamoto, Japan, on April 14 and 16, 2016, the Shirakawasuigen pharmacy located in the Minamiaso village received prescriptions for disaster medications. Since prescriptions for disaster medications are typically used at temporary emergency shelters, pharmacies usually do not receive requests for them. On checking the content of these prescriptions, we found numerous prescription errors and queries. This study aimed to assess issues with dispensing medications after disasters.Methods: We reviewed all disaster medication prescriptions received by the pharmacy from April 20 to May 28, 2016 and the medication histories of these patients. We confirmed each patient’s data and medical and medication histories. Furthermore, we classified disaster prescription errors and queries into five categories according to their content and summed them in each category.Results: We obtained patients’ medical and medication histories from 100 (77.5%) of the 129 prescriptions received. Of the 129 prescriptions, a total of 158 prescription errors and queries pertaining to 96 (74.4%) prescriptions were confirmed: 88 (55.7%) for unclear medication usage and dosages, 22 (13.9%) for incorrect medication names, 34 (21.5%) for pharmaceutical queries, 8 (5.1%) for exceeding fixed prescription days (within seven days), and 6 (3.8%) for other issues.Conclusion: Nearly 80% of the prescriptions for disaster medications had prescription errors and queries. Therefore, we evaluated that the prescription’s format and entry method can be improved. Furthermore, to ensure a smooth drug supply and to reduce prescription entry deficiencies and formal prescription queries, pharmacists need to effectively manage disaster prescriptions.
著者
野田 桂子 稲葉 治彦 山根 明臣 岩田 隆太郎 森下 加奈子 岡本 徳子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P3059, 2004

1.はじめに ヒメヨコバイ科昆虫は農業害虫として知られている種が多いが,樹木害虫としてはあまり知られていない。本科に属するトチノキヒメヨコバイAlnetoidea sp.は,トチノキAesculus turbinata Blumeの葉裏に寄生する体長3mm程度の吸汁性昆虫である。トチノキは日本の暖温帯都市部において街路樹や学校・公園の緑化樹として広く植えられている落葉樹であるが,近年首都圏において早期退色・落葉の症状を呈している。本種がその原因となっている可能性が高く,薬剤散布により本種の防除を行った木と無処理木とでは,処理木のほうが明らかにトチノキ葉の葉緑素数が高いという結果が出ている。そこで防除の基礎として,トチノキヒメヨコバイ(以下「ヨコバイ」)の性比および越冬調査を行った。2.試料と方法2.1.試料 性比調査に使用したヨコバイ成虫は,2002年12月から2003年12月にかけて,神奈川県藤沢市亀井野日本大学湘南校舎図書館前のトチノキより採集した。また,2003年6月25日に捕虫網を使用して,同校舎図書館前トチノキ近辺を飛翔していたヨコバイ成虫を捕らえ,これも性比調査の試料とした。2.2.方法 ヨコバイの雌雄は,成虫の尾端部で見分けられる。♂は尾端が二裂し,二裂部よりも短い陰茎が突出するのに対し,♀は尾端に体長の1/4前後の長さの産卵管を有する。多数捕獲したヨコバイ成虫を,キーエンス社製デジタルHDマイクロスコープを使用して♂♀をカウントし,その性比を調べた。 ヨコバイの越冬形態や越冬場所を確認するため,2002年12月に近辺の常緑樹を対象としたビーティングネットによる越冬調査を行った。その際,リュウノヒゲ(ジャノヒゲ)およびオカメザサからヨコバイ成虫を発見し,常緑樹の葉裏で成虫越冬をすることが確認できた。 また,2003年7月に予備調査として,日本大学構内のトチノキ以外の樹木やその下生えにおいて,ビーティングネットを使用してのヨコバイ捕獲を試みた。しかしヨコバイは捕獲できず,宿主はトチノキに限られることが示唆された。 以上を踏まえて,2003年12月_から_2004年1月にかけて,日本大学構内の常緑植物を対象としてビーティングネットによるヨコバイ成虫の捕獲を行い,越冬場所とする常緑樹および多年生草本を記録した。また,ヨコバイ成虫が越冬場所を探す際,主宿主樹であるトチノキからどの程度の距離まで移動するのかを知るため,捕獲場所から最も近いトチノキまでの距離を測定した。3.結果 全体的に♀は♂よりも数が多く,捕獲したヨコバイ成虫1196頭のうち,♂nm = 422頭,♀nf =774頭で,性比nm / (nm+nf) = 0.35となった。 2003年6月25日にトチノキ近辺を飛翔していたヨコバイ成虫は,捕獲した47頭のうち,♂38頭,♀9頭と♂が多く,性比は0.81となった。また2003年7月30日の雨上がりには,多数のヨコバイ成虫が敷石や地面に張り付くという現象がみられた。この敷石に張り付いていたヨコバイは,捕獲した143頭のうち♂114頭,♀29頭とやはり♂が多く,性比は0.80であった。 越冬調査により,ヨコバイはリュウノヒゲ(ジャノヒゲ),オカメザサ,オオムラサキ,サツキ,ハナゾノツクバネウツギ,サザンカ,イヌツゲ,シラカシ,ヤマモモなど,主宿主樹であるトチノキの近傍に生える植物の葉裏を越冬場所として利用していることが判明した。移動距離は最長が52m,最短が3mであった。4.考察 トチノキの葉裏から採集したヨコバイの性比が0.35だったのに対し,飛翔中および敷石に張り付いていたヨコバイの性比はそれぞれ0.81と0.80であった。♂成虫は♀成虫よりも活発に活動するように思われた。 越冬調査では,直接道路に面している部分より,ほかの植え込みの陰や壁際などの風当たりが弱い部分に数多く見受けられた。日本大学構内にはトチノキ付近に常緑植物が多く植栽されており,それほど移動しなくとも越冬場所を見つけられる状態にあった。トチノキ付近に常緑植物がない場合は,さらに遠くまで移動するものと思われる。
著者
川嶋 琢幹 嵐 紀夫 稲葉 敦 本下 晶晴
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第7回日本LCA学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.184, 2011 (Released:2012-02-16)

プラスチックと炭酸カルシウムを主成分とする「ストーンペーパー」が森林資源並びに水資源を保護するものとして着目されている。通常のパルプ紙は、カーボンニュートラルと考えられるので、ストーンペーパーはCO2排出量を主とする地球温暖化の観点からは通常のパルプ紙よるも環境影響は大きいと考えられる。本研究では、森林資源並びに水資源の評価も含めてスt-ンペーパーの環境影響を考察する。
著者
野津田 雄太 高橋 健一 稲葉 通将
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.83-92, 2015-12-09

1990年頃から国内で理系離れが問題視されている.しかし,理系離れの要因として明確なものは存在しない.その分析に寄与するため,文系・理系の大学生の日常生活の習慣や科目の得意・不得意などの状況を調査した.本研究では,著者が所属する大学の学生を対象にアンケート調査を実施し,データマイニング手法を用いて,科目の履修・嗜好などの傾向から文系・理系への進路選択と相関のある要因と,学生の生活習慣から文系・理系学生の日常の傾向について考察を行う.用いたデータマイニング手法は決定木,主成分分析,ベイジアンネットワークである.分析の結果,小学校・中学校からの得意・不得意科目や日常生活における学生の嗜好と学生の文理に相関があることが分かった.From around the 1990s, undergraduate students majoring in sciences have decreased, and indifference to sciences has been spread. However, specific factors of the indifference to sciences are not clear. In order to contribute to the analysis, investigation on lifestyle and subjects studied in schools by students majoring in humanities and sciences is done. This paper describes experimental results to extract features of undergraduates majoring in humanities and sciences respectively to show factors that correlate with their course, i.e., humanities or sciences. In the research, data are collected through questionnaires to undergraduates. The questionnaire includes questions such as the lifestyle, subjects studied in schools. Then the data are analyzed by using data mining methods, namely decision trees, Principal Component Analysis, and Bayesian network. The analysis shows a correlation between students in sciences and humanities and lifestyle and a correlation between those students and subjects studied in elementary and junior high schools.
著者
稲葉 俊哉 長町 安希子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.1020-1026, 2019

<p>魑魅魍魎たるモノソミー7も,最初の報告から半世紀が経ち,ようやく本態が見えてきた。理解の鍵は,ハプロ不全(haploinsufficiency)による,複数の発がん抑制遺伝子の機能喪失である。マイクロアレイCGH法と次世代シーケンサにより,<i>Samd9</i>と<i>Samd9-like</i>(<i>Samd9L</i>),<i>Ezh2</i>,<i>MLL3</i>,<i>CUX1</i>の5責任遺伝子候補が同定され,遺伝子改変マウスなどにより立証された。<i>Samd9</i>と<i>Samd9L</i>は,片アレルの喪失でマウスに老年期MDSを起こす一方,その機能更新型の変異は小児の骨髄機能不全をもたらし,高率に小児MDSが発症する。モノソミー7にとどまらず,難解なMDSを理解する上でも鍵となる遺伝子として注目される。一方,エピゲノム調節因子である<i>Ezh2</i>と<i>MLL3</i>は,p53やRas経路の異常を伴い,腫瘍化が運命付けられた造血細胞の中で,病状の進展に寄与すると考えられる。</p>
著者
長澤 市郎 佐藤 道信 小野寺 久幸 三浦 定俊 真貝 哲夫 稲葉 政満 信太 司
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

明治期彩色彫刻の制作技法、彩色技法を解明することを目的とし、作品の保存方法、修復技法の開発などを研究目的とした。作業は構造調査と制作技法の解明から始めた。目視及び現状記録のため、数種のカメラによる撮影を行った。彩色層の浮き上がりを記録する側光撮影も行った。内部構造解明のため、技芸天像、神武天皇像のX線透視撮影を行った。撮影にはイメージングプレートを用い撮影の迅速化、画像処理の便を図った、X線フィルム撮影も行った。結果を16bit出力とし画像ソフトを用いて処理し、構造を解明しディジタル出力で画像にした。その結果、技芸天像は江戸の制作技術を用いず、室町時代以前の木寄せ法を用い、釘、鎹も同時代の形のものを大量に使用している事、これはシカゴ万国博覧会出品を意識して強固に制作したものであろう。像の内部構造には傷みも無く、金具類に錆も見られず健全である。問題は表面彩色層の傷みの原因である。傷みの原因調査と強化処置のテストを行った。クリーニング作業に水が使えないので、数種類の混合液でテストを行った。剥落止め作業でもアクリルエマルジョンに代えて、アクリル樹脂を用い、時間差を利用して洗浄と固定を行う方法を見つけた。彩色顔料の調査に携帯形蛍光X線器機を用い、非接触で短時間に結果を知る事が出来た。顔料に含まれる微量タンパク質(膠)の含有量を算出する研究を行った。彩色下地技法の調査を行い今回の傷みとの関連を調べた。高村光雲が使った木寄せ図面から模型を造り江戸期造仏技法を検討した。日本の仏像修理の歴史を検証し、美術院修理方法を近世文化財修理へ応用が可能かを調べた。修理の資料として立体を計測する実験を3Dレーザースキャニングを用いて行い好成績を収めた。
著者
山内 直人 赤井 伸郎 石田 祐 稲葉 陽二 大野 ゆう子 金谷 信子 田中 敬文 樽見 弘紀 辻 正次 西出 優子 松永 佳甫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」の定量的把握および統計的分析からその経済社会的効果を分析し、政策的意義について検討・評価することを目的としたものである。 研究の成果を通じて、抽象的概念であるソーシャル・キャピタルの定量的把握に関する手法を開発、新しいソーシャル・キャピタル指標を提示し、それを用いた実証分析を行うことが可能となった。また、これまで十分に解明されてこなかったソーシャル・キャピタルの日本的特徴を把握し、多様な政策対象とソーシャル・キャピタルとの関係性に関する理論的、実証的示唆を得るとともに、ソーシャル・キャピタルの社会的意義や政策的インプリケーションに関する検討課題や論点を整理した。
著者
朝比奈 彩 稲葉 浩久 新谷 恒弘
出版者
南江堂
雑誌
胸部外科 (ISSN:00215252)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1032-1034, 2009-11
被引用文献数
1
著者
武村 裕之 守川 恵助 今岡 泰憲 稲葉 匠吾 楠木 晴香 天白 陽介 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.131-135, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
14

【目的】本研究は急性期呼吸器疾患患者における筋力トレーニングの回数が筋肉量に及ぼす影響について調査する.【対象と方法】対象は介入時に病棟ADLが自立していた急性期呼吸器疾患患者20名を介入時期により低回数群(以下L群)12名,高回数群(以下H群)8名に分類した.L群が修正Borg scale 3,H群は修正Borg scale 5 に達するまで筋力トレーニングを実施した.【結果】筋力トレーニングの回数は上肢がL群で54.5回,H群が182.6回,下肢においてもL群で69.0回,H群が182.0回で有意差を認めた.介入前後の筋肉量の比較では上肢がL群で介入時 4.4 kg,退院時 3.8 kg,H群で介入時 3.8 kg,退院時 3.6 kgと有意差を認めなかった.下肢においてもL群で介入時 13.8 kg,退院時 13.4 kg,H群で介入時 10.9 kg,退院時 11.0 kgと有意差を認めなかった.【結語】急性期呼吸器疾患患者に対する筋力トレーニングの回数は退院時の筋肉量に影響を及ぼさなかった.
著者
稲葉 佳奈子
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.53-67,124, 2005-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
33

本稿は、日本のスポーツとジェンダー研究の新たな視角を提示することを目的とする。日本のスポーツとジェンダーを問題にしたいくつかの研究をとりあげ、それらがスポーツの何を問題にし、それをどのように分析し、スポーツのどこに変容の可能性を見出しているのかという点に注目しながら、これまでの議論を整理した。このとき理論的に依拠しているのは、バトラーの『ジェンダー・トラブル』[1990=1999]におけるジェンダー論である。したがって、本稿が用いるジェンダーという語には、社会的・文化的な「性」のみならず、身体レベルでの「性」が含まれる。これまでの研究によって、スポーツによる/における「男/女」の構築や、それを支えるのが異性愛主義であることなどが明らかにされてきた。それらは日本のスポーツとジェンダー研究の大きな成果である。しかし一方で、本稿がとりあげた先行研究の検討から、それらが異性愛主義の問題性をいかに認識するかという点においていくつかの課題をもっていること、それゆえに、模索されているスポーツの変容の可能性においても、ある「限界」が内包されているということが明らかになった。そうした状況の乗り越えを図るために、以下の結論を示した。変容の可能性は、異性愛主義体制において「男/女」が構築されるときの「失敗」に見出せる。したがって、今後の研究に向けて想定され、日本のスポーツとジェンダー研究におけるもう一つの視角として提示されるのは、異性愛主義体制の「内部」からの「攪乱」である。そのような視角からの理論的検討は、スポーツによる/における「『男/女』の完璧な構築」プロセスでつねにすでに起きているはずの「失敗」を、あるいはその瞬間を、そして「失敗」を生みださずにはいられない体制の非本質性を、理論的に可視化して示してみせることになる。
著者
竹下 健二 高橋 秀治 稲葉 優介
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.39-44, 2016-01-25

福島第一原子力発電所事故による1〜3号機の燃料のメルトダウンにより発生した燃料デブリからの崩壊熱を除去するために現在1日約320m^3の冷却水が循環され,そこにほぼ同量の地下水が混入して大量の汚染水が発生している.これまでにCs吸着装置やALPS(多核種除去設備)の開発により62の放射性核種を回収できるようになった.しかし処理水にはトリチウム(T)が含まれ,海洋放出ができない状況にある.70万m^3に及ぶ汚染水からのT回収法として水・水素同位体交換反応プロセスを取り上げ,必要なプラントの規模を検討した.多段型交換反応塔と電解槽を組み合わせたプロセスを用いて7年で汚染水からのT回収を行うこととし,プロセスに供給する汚染水のT濃度を1000Bq/cm^3,廃棄流中のT濃度を60Bq/cm^3以下に減損させると仮定すると,塔径6.3m,高さ9mの多段型交換反応塔が必要とされ,電解に要するエネルギーは117MWと評価される.T回収にはエネルギー多消費型の大型プラントが必要になる.