著者
岡部 卓 副田 あけみ 矢嶋 里絵 稲葉 昭英 和気 純子 堀江 孝司 槇野 葉月
出版者
首都大学東京
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.53-82, 2008-03

生活保護において、2004年度より、生活保護制度の運営実施機関が組織的に生活保護受給世帯の自立を支援する制度に転換することを目的とする自立支援プログラムが導入された。そこで、全国に先駆け首都大学東京と官学連携し自立支援プログラム・個別支援プログラムの策定とその評価事業に取り組んだP自治体の各種プログラムの概要、評価結果と課題、今後の展望について明らかにする。
著者
川田 三四郎 神藤 修 落合 秀人 飯野 一郎太 宇野 彰晋 深澤 貴子 稲葉 圭介 松本 圭五 鈴木 昌八
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.619-622, 2015-07-31 (Released:2015-10-31)
参考文献数
8
被引用文献数
2

今回われわれはPress Through Package(以下,PTP)誤飲による消化管穿孔の2症例を経験した。【症例1】87歳女性。心窩部痛を主訴に受診。腹部CTで十二指腸にPTPと思われる高吸収構造と遊離ガス像を認めた。PTP誤飲による十二指腸穿孔を疑い,上部消化管内視鏡検査で,十二指腸水平脚にPTPを確認,摘出しクリップで閉鎖したが治癒に至らず,第48病日に十二指腸・空腸部分切除術を施行した。【症例2】60歳女性。上腹部痛で発症し,CTで遊離ガス像を認め消化管穿孔の診断で当院に搬送された。当院で再検したCTでも異物を指摘できず,穿孔部の同定も困難であった。緊急手術で,Treitz靱帯から240cmの回腸に穿孔部を認めPTPの一部が露出していた。【考察】消化管穿孔の原因としてPTPの誤飲も念頭におく必要がある。PTPは材質によりCTで描出されない場合があることを考慮し,画像診断すべきである。
著者
CHO Heeryon 稲葉 利江子 石田 亨 高崎 俊之 森 由美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.110, pp.1-8, 2006-10-25
被引用文献数
3

絵文字メッセージをやり取りして人間同士が意思疎通するには,コミュニケーションに参加している人間たちが同じ絵文字解釈(意味理解)を持たなければならない.絵文字コミュニケーションシステムの潜在利用者である日本と米国の子供たちが,同じ絵文字解釈を持つかを調べるために,システムで利用される120個の絵文字の意味を問うアンケート調査を行った.結果,ジェスチャー,色と性別,時間,空間,馴染みのもの,顔/表情の六つの領域に関係する19個の絵文字に対して,両国の子供が異なる解釈を持つことが分った.ここでは,多様な解釈を持つ絵文字を,絵文字コミュニケーションシステムでうまく利用するための方法として,絵文字の解釈語リストと頻度情報を利用し,たくさんの絵文字の中から検索語に関連する絵文字を検索する方法を提案する.提案手法は,絵文字の意味的なあいまい性を考慮した検索を実現し,文化的な解釈の差を扱う検索システムの土台となる.In order to establish mutual understanding during pictogram communication, humans exchanging pictogram messages must share common interpretation of pictograms that compose pictogram messages. Interpretations of pictograms may vary, however, according to individuals and sometimes according to culture. Through a comparative analysis of U.S.-Japan pictogram survey result on 120 community-created pictograms, we found that differences in interpretation exist between two countries on 19 pictograms with regard to gesture, color and gender, time, space, familiar things, and facial expressions. We address the retrieval of semantically ambiguous pictograms by proposing a pictogram retrieval method that utilizes interpretation words and their frequencies collected from the pictogram survey. Solving semantic ambiguity in retrieval is necessary prior to solving cultural ambiguity in retrieval.
著者
天白 陽介 守川 恵助 今岡 泰憲 武村 裕之 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.327-333, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
22

近年,サルコペニアと摂食嚥下機能障害の関連性について注目されており,骨格筋量の減少は摂食嚥下機能障害の要因となると報告されている.本研究は骨格筋量の指標である骨格筋量指数(以下 SMI)が高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子となるかを検討することとした.対象は肺炎の診断名で当院に入院した101名(84.3±9.5歳 男性/女性:63/38)とした.普通食経口摂取の基準は退院時Functional-oral-intake-scale(以下 FOIS)6以上とした.評価項目は言語聴覚士介入時に合わせて評価した.対象を退院時FOISの値で2群に分類し,検討した.群間比較の結果では体重,Body mass index,Mini-Mental State Examination,除脂肪量,SMIにおいてFOIS6以上群が有意に高い結果であった.ロジスティック回帰分析ではSMIが独立した因子として抽出された. Receiver Operatorating Characterristic curveでは男性 5.8 kg/m2,女性 4.3 kg/m2がカットオフ値として算出された.SMIは高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子である可能性が示唆された.
著者
横山 智哉 稲葉 哲郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.92-103, 2016-11-30 (Released:2016-11-30)
参考文献数
54
被引用文献数
1

Recent studies find that political talk influences political participation. However, as of yet, there has been no clear demonstration of how political talk translates into increased political participation. This study proposes a bridging effect, which reduces the perceived psychological distance between citizens and politics. In order to test this explanation, we collected panel data on an online national volunteer sample in November 2012 and January 2013. Findings suggest that the direct relationship between political talk and participation in governmental politics may be mediated through perceived psychological distance to politics. These findings support the bridging effect explanation.
著者
根本 裕太 倉岡 正高 野中 久美子 田中 元基 村山 幸子 松永 博子 安永 正史 小林 江里香 村山 洋史 渡辺 修一郎 稲葉 陽二 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.719-729, 2018-12-15 (Released:2018-12-27)
参考文献数
35

目的 本研究では,若年層(25-49歳)と高年層(65-84歳)における世代内/世代間交流ならびにそれらの組み合わせと精神的健康との関連について検討することを目的とした。方法 2016年に地域住民を対象とした質問紙調査を実施した。有効回答を得た若年層3,334人(回収率24.6%)および高年層3,116人(回収率46.0%)を本研究の解析対象者とした。精神的健康については,WHO-5を用いて,合計点数が13点未満もしくはいずれかの設問に対し1点以下の回答をした者を「不良な健康状態」と判定した。世代内/世代間交流については,親族や仕事関係の人を除いた者との交流頻度を調査した。若年層においては「20-40代」,高年層においては「70代以上」との交流を「世代内交流」,若年層における「70代以上」,高年層における「20-40代」との交流を「世代間交流」とした。また,これらの組み合わせとして両世代との交流がある者は「両世代交流あり」,両世代とも交流がない者を「交流なし」とした。統計解析においては,精神的健康を目的変数,世代内/世代間交流を説明変数,性別,年齢,最終学歴,婚姻状態,同居者,主観的経済状況,地域活動への参加,就労,健康度自己評価,手段的日常生活動作能力を調整変数としたロジスティック回帰分析を行った。結果 若年層3,334人のうち,精神的健康が良好な者が61.5%,「世代内交流あり」は51.3%,「世代間交流あり」は21.9%,「両世代交流あり」が16.5%,「交流なし」が42.7%であった。一方,高年層3,116人のうち,精神的健康が良好な者は65.8%,「世代内交流あり」は67.9%,「世代間交流あり」は34.3%,「両世代交流あり」は29.9%,「交流なし」は21.1%であった。ロジスティック回帰分析の結果,いずれの世代においても「世代内交流あり」,「世代間交流あり」は交流していない者と比較して精神的健康状態が良好であった。世代内/世代間交流の組み合わせと精神的健康との関連では,両世代において,「世代内交流のみ」と比較して「交流なし」は精神的健康が有意に劣り,「両世代交流あり」は良好であることが示された。結論 若年層と高年層において世代内交流ならびに世代間交流が良好な精神的健康と関連し,両世代と交流している者はさらに精神的健康が良好であることが示唆された。
著者
鎌田 東二 島薗 進 津城 寛文 河合 俊雄 永澤 哲 井上 ウィマラ 鶴岡 賀雄 野村 理朗 倉島 哲 稲葉 俊郎 古谷 寛治 奥井 遼 林 紀行 町田 宗鳳 棚次 正和 篠原 資明 齋木 潤 金 香淑
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本科研研究プロジェクトは、「こころの荒廃」から抜け出るための手がかりを瞑想や修行や儀礼や芸能などの「身心変容技法」という宗教的リソースに求め、その意味・意義・機能・はたらき・諸相を明らかにしようとするものである。2017年度は、9回の定例公開研究会(第56回身心変容技法研究会~第63回身心変容技法研究会)、2回のフィールドワーク(2017年5月の東北被災地追跡調査(第12回目目)と2018年2月の天河大辨財天社の鬼の宿・節分祭・立春祭調査)、多摩美術大学芸術人類学研究所との特別合同シンポジウム「大地の記憶を彫る」、毎月1度の定例分科研究8「世阿弥研究会」を行ない、その成果をHP:http://waza-sophia.la.coocan.jp/と、2018年3月発行の科研成果報告書『身心変容技法研究第7号』(全272頁)に掲載し、社会発信した。そこで問いかけた諸問題は、①オウム真理教事件を事例とする霊的暴力や魔や悪魔の問題、②身心変容(技法)と芸術・芸能との関係、③身心変容(技法)の科学、④身心変容(技法)の哲学、⑤身心変容(技法)と教育、⑥身心変容(技法)と聖地ないし場所などなどの諸問題である。こうして、「身心変容(transfomation of body & mind)」や「霊的暴力(spiritual violence)」や「霊的虐待(spiritual abuse)」の概念を明確にしつつ、その負の局面を分析・考察した。カトリックや禅や瞑想「悪魔」や「魔境」やバランスの崩れの問題を問いかけるとともに、縄文時代の身心変容や古代の洞窟(洞天)が果たした象徴機能や役割やそこにおける諸種の身体パフォーマンスについて考察の目を向け、理論的研究と事例的研究と認知神経科学的な実験的研究の突合せと整理を行ない、認知神経科学における「畏怖・恐れ」の問題の実験的研究に一歩踏み込んだ。

5 0 0 0 OA 清朝全史

著者
稲葉君山 著
出版者
早稲田大学出版部
巻号頁・発行日
vol.上卷, 1914
著者
星 秋夫 稲葉 裕 村山 貢司
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3-11, 2007 (Released:2007-07-02)
参考文献数
22
被引用文献数
5

東京都と千葉市における 2000~2004 年の熱中症発生について解析した.熱中症発生率は東京都(人口 10 万対:4.4 人)よりも千葉市(9.4 人)で高かった.年齢階級別熱中症の発生は両都市共,5~19 歳と 65 歳以上とに,発生のピークを示す二峰性を示した.5~19 歳における熱中症発生は東京都,千葉市共に平日よりも日曜日,祭日で多かった.千葉市において,スポーツ時の発生は大部分が 5~19 歳であった.高齢者(65 歳以上)では大部分が生活活動時に発生した.熱中症の発生した日の日最高気温分布は東京都よりも千葉市で低温域にあった.日最高気温と日平均発生率との間に東京都と千葉市にそれぞれ異なる有意な相関関係を認め,千葉市で急勾配であった.日最高気温時 WBGT 分布は東京都と千葉市で同様であり,東京都と千葉市における日最高気温時 WBGT と日平均発生率との間に有意な相関関係を認めた.多重ロジスティックモデルの結果,日最高気温時 WBGT,日平均海面気圧,日照時間,降水量の因子について有意性を認めた.
著者
梶原健吾 鳥海不二夫 大橋弘忠 大澤博隆 片上大輔 稲葉通将 篠田孝祐 西野順二
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.597-598, 2014-03-11

近年の人工知能の技術の発展により、チェスや将棋等の完全情報ゲームでは人工知能が人間のプロを相手に勝利するようになった。一方で、不完全情報ゲームについての研究は多くはない。そこでコミュニケーションゲーム“人狼”に着目し、人工知能が目指すべき新たな目標として設定する。本研究ではこのゲーム内で使用される主な言葉をプロトコル化し、各エージェントがそのプロトコルで会話をすることでゲームが進行される。過去の会話内容やプレイヤー数等を環境とし、発言内容や能力者の行動等の戦略をQ学習により学習させ、最適戦略を解析する。
著者
山田 裕司 小泉 彰 宮本 勝宏 稲葉 次郎
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.283-289, 1994 (Released:2010-02-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Decontamination Factors (DFs) of HEPA filter were measured against 239Pu oxide aerosols. Collection performance of HEPA filter media was investigated using monodisperse NaCl aerosols at various air flow face velocities. From the penetration curves the most penetrating particle size, MPPS, and the maximum penetration, Pmax, were obtained in each face velocity. The MPPSs at 0.8-11cm s-1 flow were not found in 0.3μm size range but in 0.1-0.15μm size range. The reciprocal of Pmax, which means the minimum of decontamination factor, DFmin, linearly increased with decreasing face velocity in a logarithmic paper. Experimental DFs against Pu aerosols in the MPPS range were nearly equal to the DFmin, and the others were always larger than the DFmin. This means that there are no differences between Pu and NaCl aerosols in terms of filtration. The DFmin estimated from the nonradioactive test aerosols is important for evaluating the performance of HEPA filters in the radiation protection field.
著者
大久保 忠利 稲葉 洋平 原 泰子 内山 茂久 欅田 尚樹
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.84-90, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2

Objective: Some Japanese smokers imported Japanese cigarette brands from other Asian countries for personal use because of the increase in tobacco tax in 2010, which meant that privately importing the cigarettes was cheaper than purchasing them in Japan. We assumed that the health hazards of locally made cigarettes were different from those of privately imported cigarettes, despite the brands being the same. In this study, we carried out a comparative toxicological analysis of domestic and privately imported cigarettes. Methods: Privately imported cigarettes of five brands and domestic cigarettes of the brand named “MILD SEVEN ORIGINAL” were selected for the study. The level of polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) in mainstream smoke was determined by high-performance liquid chromatography using fluorescence detection. The mutagenicity of mainstream smoke was assessed using the Salmonella typhimurium strains TA100, TA98, and YG1024 with the metabolic activation system (S9mix) by preincubation assay. The levels of heavy metals in cigarette fillers were determined by inductively coupled plasma-mass spectrometry. Results: The level of PAH in the mainstream smoke from the privately imported cigarettes was higher than that in the smoke from the domestic cigarettes. However, the mutagenic activity of the mainstream smoke from the privately imported cigarettes was equivalent to that from the domestic cigarettes. The levels of nickel and cadmium in the fillers of the privately imported cigarettes were higher than those in the domestic cigarettes. Conclusion: The levels of constituents in the fillers and mainstream smoke from the privately imported cigarettes were higher than those in the fillers and mainstream smoke from the domestic cigarettes. The majority of Japanese smokers are unaware of these findings. The guidelines regulating tobacco products recommend that articles 9 and 10 of the World Health Organization (WHO) Framework Convention on Tobacco Control should be fully implemented in Japan.
著者
稲葉 次郎
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.335-349, 2015-05-15 (Released:2015-05-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

環境に放出された放射性核種による被ばく評価にあたっては,放射性核種の動きを正しくモデル化し,適切なコンパートメント間移行パラメータを用いることが重要である。ここでは,①土壌から農作物へ,②飼料から畜産物へ,③環境水から水生生物への3種類の移行パラメータに注目し,それぞれの定義,これまでに報告されているパラメータ値とその測定法,パラメータ値に対する影響因子等について紹介する。福島原発事故により環境汚染の事態が生じたが,そこからもできる限りの移行パラメータの抽出が望まれる。