著者
平 智 大場 節子 渡部 俊三
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.437-443, 1992
被引用文献数
3 7

エタノールと炭酸ガスを併用した渋ガキの脱渋に関する基礎的なデータを得るため, '平核無'果実を供試してデシケータを用いた脱渋実験と, 約10tの果実を一度に処理できる大型施設脱渋における果実の品質調査を行った.<BR>大型デシケータを用いた脱渋実験の結果, エタノールと炭酸ガスの脱渋剤を同時に処理すると脱渋はわずかに速まるが, 脱渋効果のほとんどは炭酸ガスの作用によることが明らかであった. ただし, 脱渋中の果肉にはエタノール, アセトアルデヒドとも, 炭酸ガス単用の果実よりも多く蓄積した. エタノール処理と炭酸ガス処理を連続して施した場合も脱渋は主に炭酸ガスの作用によって進行した. この場合, 炭酸ガス単用の場合に比べて果肉硬度の低下を若干促進する効果が認められた.<BR>大型施設でエタノール•炭酸ガス併用脱渋における果実の品質を調査した結果, 脱渋は主に炭酸ガスの作用によっており, デシケータを用いた脱渋実験で得られた結果と同様にエタノールを併用することで果肉硬度の低下が若干促進されるものと思われた.
著者
坂井田 節 横山 義彦 塩谷 栗夫 茶薗 明
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.333-336, 1984

消毒液の噴霧が夏季の鶏舎内温度,湿度の推移,鶏の飲水量,排泄鶏糞中の水分含量におよぼす影響を調査し,夏季における防暑対策としての効果を検討した。1棟3,360羽収容のウインドウレスケージ鶏舎2棟を用い,対照区は消毒液の噴霧を実施せず,処理区は毎日午後1時に180秒間の噴霧を実施した。<br>(1)晴天の日180秒間の噴霧によって鶏舎内温度は,32.6°Cから28.0°Cに低下し対照区に比べて4.6°C低下し,2時間後においても対照区より0.6°C低かった。一方湿度は一時的に63%から90%に上昇し,対照区に比べ27%高くなったが,15分後には73%に低下し対照区と比べて11%高かった。2時間後には3%の差となった。<br>(2)噴霧による鶏舎内温度の低下にともなって,処理区の飲水量は1日1羽当り186m<i>l</i>となり,対照区の215m<i>l</i>を29m<i>l</i>下回り,5%水準で有意差が認められた。<br>(3)糞中水分含量は対照区80.6%,処理区79.0%となり,処理区が1.6%低下し,1%水準で有意差が認められた。
著者
藤目 節夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.235-254, 1997-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

ある特定地域の生活の質 (quality of life, QOL) を評価する場合には,当該地域のみならず隣接する地域のQOLを構成する指標をも考慮する必要があるとの基本的認識から,近接性を考慮したQOLを評価する方法を提案し,これを愛媛県70市町村に適用し,近接性を考慮した場合と考慮しない場合のQOLを求めた.その結果,近接性を考慮した場合のQOLのパターンは,考慮しない場合のそれとはかなり異なること,とくに松山市などの中心都市の周辺地域でのQOLの評価の向上が顕著であること,などが明らかとなった.周辺地域住民が短時間で容易に中心都市を訪問できることを考えると,この結果は,近接性を考慮しない場合に比較し,各地域のQOLをより的確に評価していると考えられ, QOLを評価する対象地域が相互に隣接している場合には,近接性を考慮する必要性があることが示唆された.
著者
伊藤 謙 宇都宮 聡 小原 正顕 塚腰 実 渡辺 克典 福田 舞子 廣川 和花 髙橋 京子 上田 貴洋 橋爪 節也 江口 太郎
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.157-167, 2015-03

日本では江戸時代、「奇石」趣味が、本草学者だけでなく民間にも広く浸透した。これは、特徴的な形態や性質を有する石についての興味の総称といえ、地質・鉱物・古生物学的な側面だけでなく、医薬・芸術の側面をも含む、多岐にわたる分野が融合したものであった。また木内石亭、木村蒹葭堂および平賀源内に代表される民間の蒐集家を中心に、奇石について活発に研究が行われた。しかし、明治期の西洋地質学導入以降、和田維四郎に代表される職業研究者たちによって奇石趣味は前近代的なものとして否定され、石の有する地質・古生物・鉱物学的な側面のみが、研究対象にされるようになった。職業研究者としての古生物学者たちにより、国内で産出する化石の研究が開始されて以降、現在にいたるまで、日本の地質学・古生物学史については、比較的多くの資料が編纂されているが、一般市民への地質学や古生物学的知識の普及度合いや民間研究者の活動についての史学的考察はほぼ皆無であり、検討の余地は大きい。さらに、地質学・古生物学的資料は、耐久性が他の歴史資料と比べてきわめて高く、蒐集当時の標本を現在においても直接再検討することができる貴重な手がかりとなり得る。本研究では、適塾の卒業生をも輩出した医家の家系であり、医業の傍ら、在野の知識人としても活躍した梅谷亨が青年期に蒐集した地質標本に着目した。これらの標本は、化石および岩石で構成されているが、今回は化石について検討を行った。古生物学の専門家による詳細な鑑定の結果、各化石標本が同定され、産地が推定された。その中には古生物学史上重要な産地として知られる地域由来のものが見出された。特に、pravitoceras sigmoidale Yabe, 1902(プラビトセラス)は、矢部長克によって記載された、本邦のみから産出する異常巻きアンモナイトであり、本種である可能性が高い化石標本が梅谷亨標本群に含まれていること、また記録されていた採集年が、本種の記載年の僅か3年後であることは注目に値する。これは、当時の日本の民間人に近代古生物学の知識が普及していた可能性を強く示唆するものといえよう。
著者
岡野 節子 岩崎 ひろ子 Setsuko OKANO Hiroko IWASAKI 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 SUZUKA JUNIOR COLLEGE SUZUKA JUNIOR COLLEGE
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.63-70, 1998-01-01

鈴鹿の庄野地区に伝承される食文化について調べた結果,次のようであった。1.「焼米俵」は丙辰紀行(林羅山著)によると宿場の土産として売られていたが,今では記録に残るのみとなった。2.「毬もち」は名物として,昭和の初期まで売られていたが,今は僅かの家庭でお盆に作るぐらいになった。3.「毬もち」を商品としている店舗(7店舗)を訪ねてみたが,地方により呼び名,作り方あんの種類,もちの大きさ(重量),もちの上面につける糯米の色等が,異なっていた。4.「地蔵盆の土用餅」は20年程前に一旦消滅したのを,年に1回くらいは村の住民が集い,親睦を高めようと復活している。5.「川浚えの鶏飯」は出合い仕事が終わり,夕食でその労をねぎらうために村の衆が一献するのである。しかし,昨今では人気がなくなってきているようである。以上,庄野地区の昔ながらの食習慣も現代の生活感覚にはあわなくなり,消えゆきつつあることを実感した。
著者
青井 節郎
出版者
愛知県医科大学
巻号頁・発行日
1931

博士論文
著者
金田 千秋 加藤 哲弘 島本 浣 山田 俊幸 及川 智早 佐藤 守弘 石田 あゆう 岸 文和 前川 修 中谷 伸生 橋爪 節也 鈴木 廣之 太田 孝彦 石田 美紀
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、大正期に流通していた大衆的な視覚表象に関する2つの課題を、豊かな対話関係において、遂行するものである。すなわち、第1の課題は、大衆的な視覚表象が果たしていたメディア的な機能の多様性を、可能な限り広範な資料に基づいて、美術史学的に明らかにすることである。第2の課題は、「文化遺産」の概念を鍛え上げることによって、何らかの大衆的イメージが後世に継承される/るべきさいの条件・方法などを、美学的に考察することである。
著者
瀧口 吉郎 大川 裕司 宮川 和典 小杉 美津男 鈴木 四郎 久保田 節 加藤 務 設楽 圭一 谷岡 健吉 Park Wug-Dong 小林 昭 平井 忠明
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.57, pp.13-18, 1998-10-22
被引用文献数
1

高感度固体撮像素子を目指して、a-Seのアバランシェ増倍現象を利用したHARP光電変換膜とMOS型トランジスタからなる固体走査部とを多数のInの柱で接合した固体HARP撮像素子の研究が進められている。この固体撮像素子では走査回路の耐圧が60Vであることから、HARP膜の印加電圧が60V以下に、すなわち使用できる膜の厚さが制限される。そこで、この条件下においてもっとも良好な特性の得られるHARP膜の膜厚についての検討を行った。その結果、0.4μmの膜厚とすることで、印加電圧60Vにおいて目標とする4倍の増倍率を暗電流が抑制された状態で実現できることが明らかになった。また、HARP膜のさらなる感度向上を目的として、Te添加による光電変換効率の改善を検討し、シミュレーションと試作の両面からTe添加により緑色光に対する光電変換効率を従来の2倍以上に向上できることを確認した。
著者
福田 節也
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、先進諸国では、世帯内におけるジェンダーの平等性が高いほど出生力が高いという傾向が見られつつある。日本では夫婦間の性別役割分業のあり方と出生はどのように関わっているのであろうか。当該年度における研究では、厚生労働省が実施している「21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)」のデータを用いて、夫婦の性別役割分業と第2子出生との関連についての分析を行い、研究所のワーキングペーパー(http://www.ipss.go.jp/publication/e/WP/IPSS_WPE28.pdf)として刊行した。分析の結果、日本では第1子出生時に妻が専業主婦であった世帯の方が、共働きであった世帯よりも第2子出生確率が高いことが明らかになった。しかし、専業主婦世帯、共働き世帯ともに、夫の育児参加と第2子出生との間には正の関連がみられた。また、妻がフルタイム就業である共働き世帯では、妻の家事頻度と第2子出生との間に強い負の関連が見出され、就業女性の「セカンド・シフト」が出生に対して負の影響をもつことが示唆された。一方で、夫による家事参加は出生に対して全く影響を与えていなかった。ただし、妻が自営業者・家族従業者である場合は、夫の家事参加と第2子出生に正の関連があった。この関連は、夫婦共に自営業である場合に特有のものとみられる。自営業における就業環境、例えば、職場と住居が近接しており、就業時間が柔軟であり、仕事内容における男女差が少ないといった条件が整えば、日本でもジェンダー役割の平等性と出生との間に正の関連が見出される可能性が示唆される。政策的な含意としては、女性の就業と出生との間にみられる負の関連をいかに取り除くかが、引き続き重要な政策課題である。また、長時間労働や長時間通勤といった男性の働き方を含めた改革が日本のジェンダーと出生力の両方を改善する鍵であることが示唆される。

2 0 0 0 IR 菱餅の話

著者
村尾 節三
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.114-114, 1917-03
著者
有川 節夫 渡邊 由紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.200-206, 2014-06-01

科学技術・学術審議会の学術情報基盤作業部会(2010年)及び学術情報委員会(2013年)による「審議のまとめ」をふまえ,主に大学図書館を対象に,図書館員の変わりゆく役割について考察する。現在の日本における大学や大学図書館が置かれている状況を整理したうえで,今後の図書館に起こり得る変革も視野に入れて,大学図書館員に求められる新たな期待と役割について説明する。また,九州大学が2O11年に開設した「教材開発センター」や大学院「ライブラリーサイエンス専攻」等の活動を紹介しながら,図書館員の人材育成・確保のための仕組みを構築する方法について述べ,最後に,図書館員の未来について展望する。
著者
藤目 節夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.132-138, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

市町村合併の目的の一つである地方分権の受け皿整備には,合併による自治体の規模拡大のみならず「小さな自治」の確立が不可欠である.小さな自治は,地域住民が自らの地域に目を向け,地域を調べ,知り,考えることから始まるが,この点に関して地理学の総合的なものの見方・考え方,調査方法はきわめて有効である.合併に伴う小さな自治の確立はいまだ緒に就いたばかりであり,今後における地理学者の地域づくりへの積極的な関与が大いに期待される.
著者
内田 豊昭 足立 功一 青 輝昭 藤野 淡人 横山 英二 小俣 二也 吉沢 一彦 黒川 純 門脇 和臣 庄司 清 真下 節夫 遠藤 忠雄 小柴 健
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.890-896, 1993-05-20
被引用文献数
4 6

1971年8月から1991年7月までの20年間に北里大学病院泌尿器科において経験した経尿道的手術は3,215例であった.その内訳は,前立腺肥大症2,008例,膀胱腫瘍692例,前立腺癌258例,膀胱頸部硬化症167例,尿道狭窄38例,慢性前立腺炎20例,他の泌尿器疾患32例という順であった.このうち下部尿路通過障害を主訴としてTURPを施行した前立腺肥大症2,008例と前立腺癌258例の計2,266例について臨床統計的に検討した.2,266例の年齢は44歳から96歳(平均70.1歳)で,切除時間は最短9分から最長245分(平均73.0分)切除量は最小1gから最大177g(平均27.0g),使用灌流液量は最小4Lから92L(平均25.0L)であった.術後の膀胱カテーテルの留置日数は3日間から44聞間(平均4.1日間),入院日数は最短10日間から最長81日間(平均12.1日間),術中・術後合併症は合計308例(13.6%),輸血症例は305例(13.5%),死亡例は1例(0.04%)に認められた.それぞれの項目につき,疾患別,切除量別,切除時間別に検討したところ,疾患別では前立腺肥大症群が切除量,切除時間,灌流液量,術後カテーテル留置期問,合併症率が高く,前立腺癌群に入院期間と輸血例が多く認められた.また切除時間,切除量が増大するにつれ各項目とも比例増大した.