著者
小林 麻子 清水 豊弘 冨田 桂 林 猛 田野井 真 町田 芳恵 中岡 史裕 酒井 究 渡辺 和夫 両角 悠作
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.138-143, 2018
被引用文献数
4

福井県内の生産者や流通業者から高く売れる米への要望が高まっていた。さらに,地球規模での気候変動の影響で,福井県でも高温登熟による玄米外観品質の低下が懸念されていた。寒冷地南部における「コシヒカリ」の高湿登熟耐性は"やや弱"とされており,高温登熟下でも玄米外観品質が安定して良好な品種が求められていた。以上のような状況を背景として,育成地では,福井県の新たなブランド米となりうる良食味で高温登熟耐性に優れる「ポストこしひかり」品種の開発を行ってきた。
著者
ブクタ アッティラ 笹尾 彰 酒井 憲司 渋澤 栄
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.45-53, 1998-07-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

高生産性, 高作業能率を達成するために, トラクタの走行速度向上への要求が強まっている。しかし, トラクタのほ場間における高速度行時に, 作業機ヒッチング部に大きな負荷が作用し, 破損や事故を引き起こす場合もある。本研究では, 3点リンクにおけるフリープレイ (あそび) がトラクタ作業機系の非線形振動を発生させるものを考えた。Collins, 酒井らによって行われた研究結果に基づき, 3点リンクにおけるフリープレイを, 衝突要素とする衝撃加振器としてトラクタ作業機系をモデリングした。得られたモデルを用いて数値実験を実施し, 系の非線形挙動を調べた。起振力の周波数を制御パラメータとする, 周期振動, 倍周期振動, カオス振動の分岐構造を明確にした。
著者
生田 国大 西田 佳弘 酒井 智久 小池 宏 伊藤 鑑
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

NF1は多発する神経線維腫を特徴とする遺伝性腫瘍症候群である。神経線維腫は疼痛、機能障害、醜状をきたし患者QOLの低下につながるが、保険診療による薬物治療は現状ない。本邦の患者数は4万人であり、神経線維腫に対する薬物治療、予防治療の開発へのニーズは高い。本研究では、NF1患者の神経線維腫に対する実現可能な新規治療法の基盤データの構築を目指す。経年的に増大、増加する全身の神経線維腫に対して、drug repositioning法により既存薬剤から腫瘍抑制効果を有する候補薬剤を同定し、神経線維腫培養細胞における薬効メカニズムの確認とpreclinical modelにおける抗腫瘍効果の評価・検討をおこなう。
著者
吉川 博昭 西部 伸一 酒井 大輔 今西 宏和 大野 聖加 小林 克江 北村 晶
出版者
埼玉医科大学 医学会
雑誌
埼玉医科大学雑誌 (ISSN:03855074)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-11, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
18

【目的】脳神経外科術後早期に,不安定な循環動態や疾患の重症度とは関連のない高乳酸血症を経験することがある.脳神経外科予定手術患者を対象とし,術後早期の高乳酸血症の発症要因と術後合併症との関連について後方視的に検討した. 【対象と方法】予定脳神経外科手術患者のうち,麻酔導入後および手術終了直前に,動脈血ガス分析で乳酸値を測定した症例を対象とした.手術終了直前の乳酸値が2 mmol/L以上を術後早期高乳酸血症と定義し,高乳酸血症群と正常乳酸値群に分類した.患者背景,バイタルサイン,術前合併症と術前投与薬剤,手術術式,脳腫瘍の悪性度と大きさ,手術時間,出血量,動脈血ガス分析結果,周術期カテコラミン投与,集中治療室滞在日数,術後人工呼吸,術後合併症について群間で比較し,多変量ロジスティック回帰分析を行った. 【結果】対象患者 225名のうち 49名に術後早期高乳酸血症を認めた.高乳酸血症群では,脳腫瘍手術患者の割合,手術時間,術前乳酸値,出血量が高値であった(P < 0.05).多変量解析から,術前の高乳酸血症(オッズ比 27.83)と脳腫瘍手術(オッズ比 4.806)が術後早期高乳酸血症の発症要因として考えられた.脳腫瘍手術患者 89名のうち38名が高乳酸血症群であった.高乳酸血症群では正常乳酸値群に比較して,腫瘍が有意に大きかった(1016 mm² [四分位範囲:545,1951 mm²] vs. 780 mm² [四分位範囲:3 22,1107 mm²])(P= 0.02).また,2日以上集中治療室に滞在した患者が,術後早期高乳酸血症群で は正常乳酸値群よりも多かった(31% vs. 16%, P<0.05). 【結論】予定脳神経外科手術患者の術後早期高乳酸血症の発症要因は,術前からの高乳酸血症と脳腫瘍手術であった.術後早期高乳酸血症患者は,集中治療室滞在時間が長くなる可能性がある.
著者
佐原 菜桜 佐々木 一雅 中里 恵梨香 木村 由美子 日高 裕介 橋本 好一 酒井 利育 萩原 繁広
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.705-712, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
14

Aeromonas属の中には,染色体上にAmbler分類クラスB2に属するカルバペネマーゼ産生をコードする遺伝子を保有する株が存在する。今回,我々はカルバペネム耐性のAeromonas属の薬剤感受性検査において,自動分析装置であるVITEK2とディスク拡散法(Eテスト)の結果に乖離が生じた例を経験した。そこでAeromonas属のカルバペネム耐性株について自動分析装置の機種間差,および各種カルバペネマーゼ確認試験の検討を行った。当院において検出されたカルバペネム耐性のAeromonas hydrophilaおよびAeromonas veroniiについて,VITEK2,MicroScan WalkAway,RAISUS ANYの3機種を用いて,薬剤感受性検査を実施したところ結果に乖離を認めた。使用した装置の中でVITEK2が最もよくカルバペネム耐性を検出できた。カルバペネマーゼ確認試験を併用することで,薬剤感受性試験でカルバペネム系薬が偽感性になってしまうAeromonas属の見逃しをなくすことが可能となり,治療および院内感染対策に繋がることが考えられた。
著者
浅利 美鈴 名倉 良雄 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.310-319, 2019

災害廃棄物対策において,発災時の支援を含む地域間連携・協調の取り組みには,進展がみられた。指針等での役割や体制の整理に加えて,複数の災害において,支援実績や教訓が蓄積されつつある。たとえば,初動時のプッシュ型支援が効果的に働いてきたこと,支援の内容はさまざまであり支援マネジメントが重要であることなどがあげられる。さらに,特に 2018 (平成 30 ) 年に相次いだ災害への支援の速報的情報から分析すると,今後検討が必要な視点も多い。たとえば,支援内容のミスマッチを避けるための事前受援計画が効果的であること,国による支援マネジメントにおいては拠点をどこに置くかも重要であることなどがあげられる。また,今後は,大規模災害のみならず,同時多発的・連続的な通常災害時においても,現在の体制では対応が不十分となる可能性があり,平時からの人材育成や地域ブロック内・間の連携体制検討に加え,司令塔機能を補完する仕組みも検討する必要がある。
著者
酒井 虹太 野口 悠暉 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210018, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
19

本研究では,幾何学的特徴量に対する偏微分方程式を用いて,型による成形製造の可否を判定する数理モデルを提案する.さらには,提案するモデルとレベルセット法に基づくトポロジー最適化を用いて,型による成形製造を前提としたトポロジー最適化法を提案する.最初に,型による成形製造において要求される幾何学的制約条件を明確化する.次に,法線ベクトルを仮想的な物理モデルによる定式化を行う.さらには,製造性に関する幾何学的制約条件を具体的に定式化する.また,有限要素法を用いたトポロジー最適化の具体的な数値解析アルゴリズムを提案する.最後に,二次元及び三次元の数値解析例を示し,本提案手法の有効性と妥当性の検証を行う.
著者
酒井 啓充 串田 篤彦 奈良部 孝
出版者
The Japanese Nematological Society
雑誌
日本線虫学会誌 (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.19-27, 2019-12-20 (Released:2020-06-16)
参考文献数
47
被引用文献数
1 4

ジャガイモシストセンチュウおよびジャガイモシロシストセンチュウの同定診断において、マルチプレックスPCR検定は重要な診断技術の一つである。従来法では、検定結果が陰性の場合にPCRの失敗か非標的種か不明であった。一方、PCR診断における重大な問題としてキャリーオーバー汚染が挙げられる。本研究では、dUTP/UNG系によるキャリーオーバー防止を取り入れた2ステップのマルチプレックスPCR 診断法を考案し、PCR診断技術の信頼性向上と迅速化を図った。併せて、DNA抽出法を簡素化した。本PCR法の結果、ジャガイモシストセンチュウで150 bp、ジャガイモシロシストセンチュウで287 bp、非標的種でおよそ450 bpの産物を生じ、非特異反応は見られなかった。幼虫またはシストの2種混合サンプルを用いた場合、10:1の比率でも両種を検出した。本手法のPCR反応時間は約1 時間で、従来法よりも迅速である。
著者
尾田 十八 山崎 光悦 坂本 二郎 北山 哲士 酒井 忍 金井 亮 李 鵬 李 鵬
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,自然・生態系と調和した新しい材料,構造,機器,システム等の創生法を,生物に学ぶことによって確立することを目的としている.その方法は多様な生物の中で,特異性を有する生物にまず注目する.本研究では動物の例として繰返し衝撃負荷に耐える「キツツキ」を,植物の例としては,軽量であるが不燃性を示す「桐材」に注目した.そしてこれらの特性がどのようなメカニズムによって生じているのかを,主として力学的視点より明らかにした.これらの結果と,代表者らがすでに行って来ている竹や卵殻の構造・組織分析結果を含め,新しい構造設計および材料設計法の基本原理を提示した.
著者
北田 泰造 口田 征人 林 伸治 酒井 康行 川添 博光
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.253-259, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ディーゼル燃焼計算でパイロットやプレ噴射を行う場合,化学反応計算を使い燃料の低温酸化による発熱を考慮して着火遅れを計算する必要があるため計算負荷が高くなる.そこで,低温酸化反応を考慮すべき条件では化学反応計算を使い,不要な条件では計算負荷が低い化学平衡計算を使う高速化法を独自に開発した.
著者
藤平 保茂 富樫 誠二 藤野 文崇 久利 彩子 小枩 武陛 村西 壽祥 岸本 眞 古井 透 酒井 桂太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.GbPI2458, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】臨床実習は、理学療法士(以下、PT)を目指す学生にとって臨床での理学療法を経験できる重要な学外授業であり、 810時間以上(18単位)を受けなければならない必須科目である。臨床実習に臨む学生(以下、実習生)は、臨床実習指導者(以下、指導者)の指導のもと、さまざまな経験を通して成長していく。その中で、実習生が、指導者から「積極性がない」との指摘を受けることがある。これは、臨床実習評価において、しばしば問題視される点である。しかし、実習生の積極性に対する先行研究では、「積極性とは、自ら進んで物事を行う性質」という概念は一致されているものの、実習生の積極的な行動とはどのような行動であるのかを具体的に示した研究は、我々が文献検索した限りでは見当たらなかった。筆者らは、第50回近畿理学療法学術大会にて、指導者が抱く実習生への「積極性がある」因子を報告した。今回の研究目的は、理学療法臨床実習評価において、指導者が抱く「積極性がない」因子とは何かを調査し、検討することである。【方法】<調査表>独自に作成した調査票で、質問内容は、「臨床実習において、『積極性がない実習生』とはどのような学生であるか」であった。自由記載にて回答を求めた。<対象>本学の臨床実習受け入れ施設に勤務する127名のPTであった。そのうち、指導者経験のある臨床経験2年目以上の90名(男性67名、女性23名、平均臨床経験年数9.7年)の調査表を分析の対象とした。<分析方法>得られた回答をキーワードにて細分化し、KJ法を用いてカテゴリーに分類した。 【説明と同意】本研究は、大阪河﨑リハビリテーション大学倫理委員会規則に従うもので、調査にあたっては、対象者に本研究の主旨を説明し、同意を得た。 【結果】細分化したキーワードは、181語であった。これらをカテゴリー別に分類し、さらに社団法人理学療法士協会による「臨床実習教育の手引き」第4・5版を参考に技術教育から生じる行動での分類を行ったところ、態度面を行動目標とする情意領域と、知識、問題解決面を行動目標とする認知領域にあることがわかった。情意領域に属するキーワードは129語で、全体の71.3%を占めた。これらを構成するカテゴリーには、「行動できない・しない」(35語、全体の19.3%)、「目的意識・意欲がない」(32語、17.7%)、「疑問を持たない・考えない」(20語、11.0%)、「質問しない」(17語、9.4%)、「コミュニケーションがとれない」(14語、7.7%)、「反応がない・乏しい」(7語、3.9%)、「その他」(4語、2.2%)があった。また認知領域に属するキーワードは52語で、全体の28.7%であった。これらを構成するカテゴリーには、「意見を言わない」(20語、11.0%)、「課題が遂行できない」(18語、9.9%)、「自主学習しない」(12語、6.6%)、「自己評価(分析)しない」(2語、1.1%)があった。【考察】PTは、対象者としっかりコミュニケーションをとり、十分な関心と責任を持って理学療法業務に取り組むことが必要不可欠かつ重要であることを認識している。そのため指導者は、実習生に対し、実習への目的意識や意欲・関心が低い、実習を受ける態度が悪い、問いかけに対する反応が悪い、対象者や関係スタッフ以外の方と関わらない、わからないことがあっても質問しない、自分の意見を述べない、自分の考えを基に行動できなく指導者からの指示待ち行動をとる、課題ができないことが、「積極性がない」行動と捉えているものと考えられる。今回の調査にて、指導者は、「積極性がない」とは情意領域に問題があること、つまり、実習への取り組み姿勢や態度が良くないことを重大な因子と捉えていることが明確となった。知識や問題解決能力を身につけることは当然重要であるが、実習生が臨床実習に入る前に十分な心構えが出来ているか、理学療法の専門性を理解したうえでどれだけ自ら進んで対象者のために考え行動するのか、といった実習態度への関心の高さを裏付けている結果となった。養成校の教員は、臨床実習において学生指導が円滑になされるよう、学生への学内教育を強化しなければならない。【理学療法学研究としての意義】臨床実習指導者が抱く実習生の積極性について、実習生の積極的な行動とはどのような行動であるのか、その具体的な行動因子を確認することができた。今回の結果は、臨床実習における学生指導において、積極性を評価する上で参考になるものと考える。さらに、臨床実習における客観的に積極性を測定するための積極性評価尺度の作成を試みようと考えているが、その基盤となる意義のある研究である。
著者
酒井 孝司 小野 浩己 今野 雅
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第5巻 熱負荷・外皮性能・シミュレーション 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.133-136, 2014 (Released:2017-11-15)

本研究では,高精度の実験と各種乱流モデル解析が行われている村上らの水平非等温噴流流れ場を解析対象とし,標準k-eとSST k-wの比較と,浮力生産項モデルの差異が解析結果に及ぼす影響について検討する。また,OpenFOAMの予測精度も合わせて検討する。
著者
酒井 洋 鈴木 文直 小林 国彦 後藤 功
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.671-676, 1993
被引用文献数
2

症例は, 結核性瘢痕性左主気管支狭窄と思われる62歳の女性。労作時呼吸困難で発症し, 左無気肺が進行したため, バルーン拡張術にて狭窄部を拡張し, 直径10mm, 全長30mm, 2連のGianturco-Rosch型self-expandable metallic stentを留置した。無気肺は直ちに改善し, 6カ月後の現在経過は良好であり, 本法の有用性を示した。本法の良性気管・気管支狭窄に対する適応としては, 0.035インチのガイドワイヤーと先端径3mmの拡張用バルーンカテーテルが狭窄部を通過でき, 局所に活動性の感染が無い例であると思われた。また, metallic stent挿入時には, 挿入用シースが咽喉頭部で屈曲することがあり, 最初から挿管チューブを併用すべきであると思われた。
著者
笠松 健太郎 山中 浩明 酒井 慎一
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.265-275, 2015
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;地震動評価で重要となるS波速度構造モデルの構築に資するため,深部地盤の二次元S波速度構造を推定する手法について検討した。本手法では,二次元仮定が成立する伝播経路を対象とした構造推定のため,はじめに観測記録を分析してラブ波伝播特性を調べる。次に,ラブ波がほぼ同じ方向に伝播する測線上の観測記録を用いて,ラブ波を対象とした波形インバージョンを行い,二次元S波速度構造を推定する。提案手法を2011年富士山付近の地震(<i>M</i><sub>J</sub>6.4)を対象とした地震動の三次元シミュレーションによる周期6~10秒の速度波形に適用し,手法の妥当性を確認した。この手法を同地震の相模原と世田谷を結ぶ測線上の地震観測記録に適用し,この断面の二次元速度構造を推定した。観測記録のラブ波成分は良く再現され,推定結果の速度構造は地震調査研究推進本部(2009)のモデルに比べて堆積層が薄く求められた。この結果の妥当性を確認するため,観測記録のcoda部分を用いて水平上下スペクトル比を算定し,理論によるレイリー波の基本モードの楕円率と比べた。観測されたピーク周期は推定結果の方と良く一致しており,構造モデルが妥当であると考えられることを確認した。<br>
著者
中野 孝教 荒矢 大輔 飯田 史哉 石本 達成 伊戸 康清 猪嶋 清文 今村 智子 江川 勇飛 小澤 弘幸 帰山 寿章 片瀬 靖規 酒井 元哉 佐藤 実 澤田 誠司 下島 浩平 野田 博幸 松田 智幸 松本 高志 山田 明弘 山田 佳裕 山下 勝行 岡野 修 岸本 圭祐 勝見 尚也 山中 勝 城間 吉貴 大河内 博
出版者
日本地学教育学会
雑誌
みんなの地学 (ISSN:24356441)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.10-15, 2020-06-30 (Released:2021-12-02)
参考文献数
10

人間社会は岩石や水,生物,大気などの様々な自然資源を開発し利用することで発展してきたが,それに伴い環境は変化し時に汚染や災害など生存にかかわる問題を引き起こしてきた.地学は持続可能な社会を支える必須な学問であるにもかかわらず,高校地学の履修者は少なく,教師も研究者も減少している.人間と自然の関係は複雑だがシームレスにつながっており,共に地域的な多様性に富むという特徴がある.地球環境研究は社会変革につながる学際研究,大学は地域貢献,自治体は地域創生が求められるようになってきた.ここでは健全な水循環の実現に向けて,大学と小学校が連携しながら,地域性が強い水資源を観測・調査している福井県大野市の例を紹介し,生徒の環境リテラシーの向上と地学研究を協働して推進する地学教育の可能性を考えてみたい.
著者
三輪貴信 酒井幸仁 橋本周司
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.3-4, 2014-03-11

4次元空間の主座標軸方向の無限遠点を透視投影すると,3次元空間に主消点となって現れる.主消点は,4次元空間での視点位置や4次元データの平行性・直交性を視覚的に理解する手掛かりとなる.我々は,3次元空間の主消点を操作して,4次元空間の視点移動を簡単に制御できるインタラクティブシステムを開発した.本論文では,4次元データの平行性・直交性の理解が複数の超立方体を組み合わせた4次元立体迷路の探索において十分に役立つことを確認する.