著者
鈴木 宏昭 杉谷 祐美子
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.154-166, 2012

本論文では大学生のレポートライティングにおける問題設定に注目して, その援助の可能性を探究した。問題設定は気づき, 洗練, 定式化の3つのプロセスからなり, この各々のプロセスで支援の可能性が存在する。気づきについては文献の批判的読みと直感的判断が重要である。これらを援助することでよりよいレポートが作成される可能性が高まる。洗練の段階では図的にあるいは言語的に自らのアイディアを外化することでレポートの質が向上することを示した。問題の定式化の段階では, 明確化, 普遍化, 相対化の3つが必要となる。協調学習環境下の長期にわたるライティング実践の結果, 明確化と相対化は普遍化に比べて学習されやすいことが明らかになった。
著者
鈴木 道也 謝 国章 小野 光弘 鈴木 道隆
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.63-71, 1988-06-30 (Released:2009-09-04)
参考文献数
12

従来, 降雪片の落下速度に関しては, 雪片含水率, 雪片密度, 雪片質量等をそれぞれ関数とする実験式等が発表されている.降雪時の電波減衰に関連しては, とくにミゾレ, 湿雪のような比較的高密度の雪片に対する落下速度が問題であるが, 雪片密度を関数とした実験式では雪片密度に制約があって, 高密度の雪片についての実測値との適合は無理であった.さきに, 筆者らは2台のカメラを用いて雪片の大きさと落下速度を直接同時に観測する方法を報告したが, この方法による実測データをもとに, 雪片等価半径と落下速度との関係について再考察を加え, さらに粉体工学的手法を参考にして粒子の抵抗係数とレイノルズ数の関係および粒子形状補正の考え方を導入して, 雪片密度に制限を設けることなしに新しい計算法をすすめた。その結果, 高密度雪片に対しても落下速度の実測値にかなり近い計算結果がえられ, 今後の研究の手がかりをうることができた.
著者
小笠原 寛弥 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
ネットワークが創発する知能研究会(JWEIN10)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.4, 2010-08-20

「行為を決定するのは,行為者の属性と自身を取り囲む関係構造である.」これは複雑ネットワーク科学の 研究がなされる以前から社会学等でも扱われてきた,ネットワーク科学における基本的な考え方である.本研究では,こうした関係構造を結合振動子を用いてモデル化し,その性質や構造,成長におけるダイナミクスを明らかにする.更に,ノード間の相互作用とネットワークの成長の関係性について明らかにする.
著者
鈴木 博人
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.805-816, 2004-11-30
参考文献数
12
被引用文献数
2

日本における大雨の出現頻度の経年変化を明らかにすることを目的に,日本全国の気象官署18箇所を対象に1950年から2003年の54年間におけるひと雨の1,3,6,12,24時間降水量及び総降水量の再現期間が2,5,10年以上の大雨の出現頻度の経年変化を分析した.暖候季(5月から10月)における大雨の出現頻度には,大雨の時間スケールや基準によらず,全般的に1950年代から1960年代前半にかけて高く,1960年代後半から1980年代にかけて低く,1990年代以降が最も高いという変動傾向がみられる.ただし,3,6時間降水量の再現期間が2年以上の大雨の出現頻度は1990年代以降だけが高い傾向にあり,特に1990年代後半に高い傾向にある.また,1950年から2003年の期間後半の大雨の出現頻度の増加傾向はほとんどの場合に有意な期間があるが,期間前半の減少傾向に有意な期間がみられるのは一部の場合のみである.梅雨季(5月から7月)及び台風季(8月から10月)における再現期間が2年以上の大雨の出現頻度は,大雨の時間スケールによって変動傾向に違いがみられるが,いずれの季節も1990年代以降は高い傾向にある.
著者
大本 久美子 鈴木 真由子 タン ミッシェル
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

公正で持続可能な社会の形成者としての「消費者市民」を育成するために、リーガルリテラシーを育むことが重要であるという認識のもと、本研究では、リーガルリテラシーを育む消費者市民教育のカリキュラム開発を行い、教員養成のための大学授業シラバスと教材を提案した。海外の先駆的な取組の視察調査などから課題を把握し、子どもの発達段階に合わせた教育課題を明確にした。コンシューマー・リーガルリテラシーの道徳的要素を『配慮、思いやりによって自らの行動に責任を持つ』と『道徳、倫理、社会的正義の判断によって意思決定し、社会の一員として協働し社会参画できる』こととし、それらを育むことができる授業内容と教材を開発した。
著者
鈴木 大介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [プログラミング-言語基礎実践-]
巻号頁・発行日
vol.93, no.97, pp.37-46, 1993-10-29

ポリモルフィズム(多相)はプログラミングの柔軟性と再利用性を向上させるのに必要な道具の一つである.Stracheyは多相をparametricなものとad-hocなものに区分した.これらはプログラム言語において広く用いられているが,実際には両方の多相を備えた言語はほとんど存在しないので,プログラムの再生産性には制限が生じる.我々はparametric多相とad-hoc多相を備えたオブジェクト指向言語のための新しい枠組であるF^<&le;>-Fにsubtyping, bounded qantification, coercion, mergeの機能を追加したもの-を提案する.そして,この計算系が,簡約による合流性,型保存性,強正規性などの性質を満たすことを示す.最後に,この計算系の実際のオブジェクト指向言語へのいくつかの応用例を与える.
著者
鈴木 正朝 高木 浩光
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

特定個人の識別情報(PII)該当性は、情報プライバシー規制で最も中心概念の1つである。個人データ保護法の範囲はPIIに該当するかどうかによって決定される。さらに情報科学は多くの状況では、非PIIであっても特定個人を識別し得ることがあることを示す。PIIは特定個人の識別情報と特定個人の識別可能情報に区分できるが、その区分の有用性を再検討し、新たにPIIを再構成していかなければならない。この理論を検討する一つの素材としてIDに着目し、PIIの従前の考え方が新たな問題にどう対応できるか、立法的検討を行い提案した。
著者
鈴木 晃志郎
出版者
富山大学地域生活学研究会
雑誌
地域生活学研究 (ISSN:21869022)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.3-11, 2013

地域生活学研究会の年報『地域生活学研究』は、大学図書館のリポジトリを活用し、大学の内外、専門のいかんを問わず幅広く寄稿できる実験的な電子ジャーナルとして新たな出発を遂げようとしている。本論文は、当該誌刊行の今日的意義について、特に近年急速に台頭しているメガ=ジャーナルへの批判的検討を踏まえて述べるとともに、メガ=ジャーナルの長所を包含する形で研究機関(とりわけ地方国立大学)における電子ジャーナルのあり方を探り、実践的な地域貢献の実験場として、『地域生活学研究』がもつ可能性についての提言をおこなうことを目的とする。
著者
粕谷 英樹 鈴木 久喜 城戸 健一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.355-364, 1968-11-30
被引用文献数
43

For the purpose of determining the characteristics of phonetic quality of voewls, the trend in the changes of formants and pitch of vowel with age and sex of speaker has been investigated by analyzing a large number of samples of five japanese vowels. Conclusions obtained are as follows. (1) Most of the formants considerably change with the age of the speaker. Principal articulatory factor in the change of formants is the difference in the vocal tract length. On the other hand, the third formant of /i/ which depends mainly upon the front part of oral cavity, and the first and second formants of vowels /o/ and /u/ which constitute comparatively lip-rounded articulatory configuration do not change so much. For each case of children, youth and female adults the ratio of the measured formant of the open and back vowel /a/ to the mean value of the corresponding formant of male adults is approximately constant. Hence we can estimate the vocal tract length of the speaker from the mesured formants, using Eq. (2). (2) The differences between the first and second formants of male and those of female become distinct after 11 years old, while the difference between the third formant of male and that of female becomes distinct after 9 years old. absolute differences of formants, particularly of the third formant, are useful to discriminate the sex of the speaker. This is important in the case of children since pitch is useless in the distinction of the sex of the speaker before 12 years old (the voice change). (3)There is obvious difference between the pitches of children, youth, female adults and male adults, but it is difficult to infer the age of the speaker from his pitch. (4) Generally speaking, there is a correlation between formant and pitch, but there is no correlation if the speech samples are taken from the speakers of the same age. The correlations of formants and pitch come from the correlations between the age and the formants and the correlation between the age and the pitch. (5) Perfect discrimination of the vowels can not be made by the first and second formants only. There are some confusions between certain vowels (/a/ and /o/, /e/ and /u/) on the first and second formant-plane. But, thre is little confusion between the vowels in the three dimentional space composed of the first, the second and the third formants or of the pitch, the first and the second formants. The pitch or the third formant, not to mention the first and second formant, is an indispensable parameter for the discrimination of the vowels regardless of the age and sex of the speaker.
著者
高橋 大地 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.139-145, 2005-01-15

国民的人気を得たプロ野球も,現在その球団経営は大きな岐路に立たされている.プロ野球チームは現在まで親会社の広告塔としての役割が強かった.しかしながら,近年の不況の中,親会社に頼って赤字経営を続けることは難しい立場となり,自立を迫られるようになってきている.このような状況の下,プロ野球界はファンと球団の距離を縮めるためにマーケティングとプロモーションをもっと有効に活用すべきであり,顧客であるファンの要望を把握することが重要であると考えられる.本研究では,従来のサービス品質,顧客満足度,ロイヤルティの研究を踏まえて,プロ野球チームに対するロイヤルティと満足度に関する調査研究を行う.具体的には,ファンの意識や要望を把握するために,特定のプロ野球チームを応援しているファンを対象にアンケート調査を行い,プロ野球チームに対する愛着心(チーム・ロイヤルティ)や満足度にどのような要因がかかわっているのか,また,ファンが球団に対して何を望んでいるのかを,因子分析,共分散構造分析,そしてテキストマイニング手法を用いた解析によって検証する.
著者
平山 匡彦 田中 秀和 鈴木 慎太郎 井上 広平 永富 亜紀 作元 誠司 北原 敏弘 宮﨑 長一郎 吉谷 清光 佐藤 宏樹 堀 里子 三木 晶子 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.8, pp.913-922, 2013 (Released:2013-08-01)
参考文献数
2
被引用文献数
1

This study was conducted among 252 inhabitants aged 16 years or older of small remote islands in Gotoh. The survey was conducted in a direct interview format based on a questionnaire. In the interview, the respondents were asked about the statuses of their Internet usage, purchase/use/storage of nonprescription drugs, acquisition of information regarding nonprescription drugs, as well as regulations pertaining to the sale of nonprescription drugs, including the use of postal services. Among the respondents, 7.5% were Internet users, whereas people who had past experiences in purchasing nonprescription drugs through Internet accounted for as few as 0.8% of the total number of respondents; 63.9% of the inhabitants of small remote islands did not use nonprescription drugs, additionally, most inhabitants of small remote islands did not express any need for nonprescription drugs sold through Internet. Further, the findings suggested that a large number of people felt the need for the presence of pharmacists and experts to provide them with explanations and information regarding nonprescription drugs. However, because a large number of these people were unaware of the existence of pharmacists, it is important that in the future, pharmacists should conduct “consultation meetings and briefings regarding medications.” These meeting may be held in a continuous manner in these small remote islands, such that the inhabitants recognize the difference in a pharmacists' profession. It is essential that “family pharmacies/pharmacists” play a central role in promoting the supply, management, and proper use of pharmaceutical products.
著者
村上 明子 鈴木 秀幸
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

SNSなどのソーシャルメディアで,ある発言がどのくらい拡散されるかを発言の初期の段階で知ることは,マーケティングなどにおいて有用である.ソーシャルメディアではTwitterにおけるRetweetのような情報の再投稿により情報が拡散することが知られている.そのため,本研究では発言の再拡散のされやすさとして,情報そのものの新奇性と情報と再拡散する人との親和性を利用し,最終的な情報拡散の予測を行う.