著者
鈴木 宏子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.518-511, 2012-03

紀貫之は、最初の勅撰和歌集である『古今集』の編纂作業の中で多くの歌を収集し、またそれらの歌を理解し分類・配列することを通して、和歌についての知見を深めていった。そして得られた知見を自分の歌において確認し、『古今集』に随時反映させていったことは想像にかたくない。貫之は表現の〈型〉についてきわめて意識的な文学者であったが、そのような資質は歌集編纂作業の中で培われたものと見ることができる。先に稿者は歌集編纂の問題を念頭において『古今集』四季歌の表現分析を行なったが、本稿では恋歌をとりあげて、万葉相聞歌以来の〈型〉を継承する歌、『古今集』よみ人知らず歌の新たな動向を捉えた歌、紀貫之から始まる新しい〈型〉を用いた歌のそれぞれについて具体例を挙げて論じる。
著者
宮澤 克人 鈴木 孝治
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.577-581, 2004-08

尿路結石の再発予防に対して適切な飲料物を,市販の缶またはペットボトル飲料の成分分析により考察した.また尿路結石の既往がない正常男子6名を対象にビール350ml×3缶飲酒前後の24時間尿の尿生化学検査を行い,ビールの尿路結石形成への影響を検討した.麦茶,ミネラルウォーター,オレンジジュース,ワインは尿路結石形成・再発予防に対して適切な成分を含有していた.ビール飲酒により尿量は有意に増加し,尿浸透圧と尿中クエン酸排泄量は有意に低下したが,尿中尿酸排泄量の有意な増加は認めなかった.ビールに比べプリン体カット発泡酒は容認できる飲料物と考えられるが,尿中クエン酸排泄量低下のリスクがあり,食事同様バランスを考慮した摂取が必要であるThe incidence of upper urinary stones has been increasing since World War II in Japan. One of the causes is the change in dietary habit to a more westernized diet. The consumption of animal protein, fats and oils also correlates with the incidence of upper urinary stones. The results of numerous treatments for preventing formation of calcium stones are not sufficient, and the improvement of daily life habits and dietary advice have been proposed to be important. An increased intake of fluid is of great value for patients with stone diseases, irrespective of the stone composition. We discuss whether or not non-alcoholic and alcoholic beverages, are appropriate for prevention of stone diseases from the viewpoint of the contents of the beverages.
著者
鈴木 万希枝
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.128, pp.179-206, 2012-03

特集 : 社会学 社会心理学 文化人類学投稿論文In recent years, news access in multiple formats on multiple platforms emerged. By taking diary records of graduate students' news exposure in this media environment, this study investigated (1) the pattern of using platforms to acquire news and (2) content preference on news exposure. Results indicated that young generation uses internet (PC) more than TV to acquire news. News diary of the participants showed that they acquire news on various platforms, such as web portal, an online newspaper, RSS, mixi news, and Twitter/Facebook. Some patterns of platforms' usage are recorded. It is suggested that the pattern of news diffusion could change because SNS such as mixi, Twitter and Facebook is the main news source for many cases.The results showed that most youth were exposed only to soft news except for the news about the earthquake. Meanwhile, only a small number of participants acquired hard news such as business or political news. Most hard news readers used RSS.
著者
河野 功 杢野 正明 鈴木 孝 小山 浩 功刀 信
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.49, no.575, pp.432-437, 2001 (Released:2002-04-26)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

Engineering Test Satellite-VII (ETS-VII) is a test satellite to perform in-orbit demonstration of autonomous rendezvous docking (RVD) technology, which will be necessary for advanced space activities in the early 21st century. ETS-VII successfully performed the autonomous RVD by unmanned space vehicle for the first time in the world. For an unmanned space vehicle to perform rendezvous to a manned spacecraft, safe approach is needed. So we paid special attention to designing safe approach trajectory. There are other important points for approach trajectory design, for instance, coordination with guidance and control accuracy, performance of navigation sensors, and operability, etc. In this paper, we introduce the points, and show the result of ETS-VII RVD trajectory design.
著者
鈴木 寿志 石田 志朗
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.9, pp.565-568, 2005 (Released:2006-01-01)
参考文献数
29

The geochronologic units of Palaeogene and Neogene have long been described in Japanese as "Kodaisanki" and "Shindaisanki", which mean old and young Tertiary, respectively. The International Commission on Stratigraphy, however, recently proposes the revised geochronologic chart, demonstrating the subdivision of the Cenozoic Era into the Palaeogene and Neogene Periods instead of the Tertiary and Quaternary. The Japanese wording "Kodaisanki" and "Shindaisanki", therefore, should be reconsidered in terms of derivatio nominis of Palaeogene and Neogene. Here we review the Japanese usages of Palaeogene and Neogene in previous textbooks back to the end of the nineteenth century. It is concluded that the words "Koseiki", "Shiseiki" or "Kyuseiki" for Palaeogene and "Shinseiki" or "Kinseiki" for Neogene have already been proposed and described by Prof. Matajiro Yokoyama. These Japanese terms for Palaeogene and Neogene would be taken into consideration to write geological reports and papers in Japanese.
著者
鈴木 敬明
出版者
静岡県工業技術研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

就労者の生体リズムの乱れの低減を目的として、眼内に入射する光の分光強度をサングラス様のレンズフィルターを装着することで制御するために、生体リズムに影響する波長と視認性を確保するための波長をバランスよく透過するフィルタの開発を行い、その効果を実験的に検証した。生体リズムに影響を与える530nmを中心とする波長の光を遮光し、かつ、サングラスの安全規格を定めたJIS T7331(ISO14889)の規定を満足するレンズフィルターの分光透過率分布を解析的に明らかにした。算出した分光透過率を持つレンズフィルターを誘電体多層膜蒸着にて試作し、メガネフレームに取り付けてサングラスとして被験者が使用できる試作品を開発した。開発品の効果に対する検証実験として、開発品を装着しない場合、装着した場合、開発品と同じ視感度透過率を有するND(Neutral Density)タイプのサングラスを装着する実験を各3日間行い、尿中のメラトニン代謝物、心拍変動、睡眠・活動量を計測した。、その結果、定性的ではあるが開発したフィルタが睡眠に与える影響が確認された。加えて、装着時に問題となる視認性について、交通信号の表示が明確に認識でき、昼間の運転時に使用できる可能性を確認した。色覚特性(色弁別特性)については、色覚特性測定実験を行ったところ、B~G、Y~Rの色域で弁別機能の顕著な低下が認められた。この点については、今後、改善の余地があると考えられる。
著者
磯山 直彦 及川 真司 御園生 淳 中原 元和 中村 良一 鈴木 奈緒子 吉野 美紀 鈴木 千吉 佐藤 肇 原 猛也
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.763-769, 2008 (Released:2008-11-07)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

For the purpose of marine environmental radioactivity monitoring, stable Cs and 137Cs concentrations were obtained from 214 marbled flounder (Pleuronectes yokohamae) samples collected from off the coast of Ibaraki prefecture in Japan in 2005 and 2006. Prior to the investigation, an analytical method for the determination of Cs in muscle of marbled flounder samples by inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS) was seriously considered from the view point of sample preparation (wet way) to a Cs measurement. Since major problems in determining Cs by the ICP-MS is the interference of matrix materials and molecular ions on Cs peak area (m/z 133), a known amount of In (m/z 115) was added to the sample solutions as an internal standard. To check the accuracy of the determination, duplication analysis and standard reference materials were used. Analytical results of Cs in muscles samples by ICP-MS agreed well with duplicated samples, and standard reference materials. The standard length and body weight were obtained from a total of 214 flounder samples. The stable Cs, stable K and 137Cs concentrations in muscle were determined by ICP-MS, flame photometry and radiochemical analysis, respectively. The mean standard length correlates closely with the mean body weight. The stable Cs concentration was in proportion to the body weight, also, the 137Cs concentration correlated closely with the stable Cs concentration in muscle. On the other hand, a stable K concentration was found to be uniform, and unrelated with 137Cs and stable Cs concentrations. The specific activities, the ratio of 137Cs/stable Cs in muscle, was found to be 5.5∼6.7 with an average of 6.2±0.35 (SD) among five different size groups of the standard length of marbled flounder samples. From these results, ICP-MS provided useful tools for the determination of a trace amount of Cs in muscle samples, combined with wet way pretreatment techniques. In addition, marbled flounder proved to be a useful species for comparing the radioactivity of fishes in coastal seas around Japan with each other in the environmental radioactivity monitoring program.
著者
前田 智雄 前川 健二郎 戸田 雅美 大島 千周 角田 英男 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.83-89, 2008-06-01
被引用文献数
2 4

種々の光源の組合せによる補光がブロッコリースプラウトの生育およびポリフェノール含量に及ぼす影響を効率的に検討することを目的として,商業生産システムを模した実験装置を設計,製造した.ブロッコリースプラウトの胚軸長,生重,乾物重および総ポリフェノール含量に及ぼす種々の波長の蛍光管の組合せによる補光の影響を検討した結果,48時間の補光後に,1)白色蛍光管とブラックライト(UV-A);2)赤色蛍光管とブラックライトの組合せにおいて総ポリフェノール含量が暗黒や商業生産レベルの光強度に対して有意に高まった.一方,胚軸長はやや短くなったが乾物重には有意差は認められなかった.このことから,ブラックライトを組み合わせて補光を行うことで,抗酸化能を高めたスプラウトを収量や外観品質を損なうことなく生産できるものと思われる.
著者
矢野 健二 小林 直彦 堀田 順平 清水 明生 松崎 泰裕 谷沢 智史 山下 静雨 吉田 幸二 鈴木 雅人 市村 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.703, pp.1-5, 2005-02-26

インターネットの普及と相俟って遠隔教育は, 企業社員教育や学校教育の場において, 試用から実用の段階に入ろうとしている. これらの教育の対象は論理・科学技術分野である. 学問・教育には, 論理や科学分野以外に芸術・体育・技能等の分野がある. この分野の遠隔教育は現在実用期に入ろうとしている論理・科学分野の次にくる次世代遠隔教育と言えよう. これらでは感覚的な事柄が重要視されるため, その遠隔教育においては, 質問事項のメモ及びその意思伝達が困難である. そこで筆者は, 質問事項のメモ及びその意思伝達を容易にするために, 疑問や質問を思いついたときの前後の環境を保存し, 学習者のコンピュータにアイコン画像を表示, 後にその環境を復元・共有し, 質問・疑問の連想を支援するシステムの設計と実装方法を報告する.
著者
白川 友紀 鈴木 敏明 鴫野 英彦 佐藤 博志 長澤 武 武谷 峻一 加茂 直樹 山岸 みどり 夏目 達也 渡辺 公夫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では各大学における教育目標、教育方針、アドミッションポリシーと中等教育の多様性の適合度を明らかにしたいと考え、入学者受入方針等に関する調査を行うとともに、AO入試の実施状況、オープンキャンパスにおける高校生に対する情報提供の現状と課題、専門高校および総合学科高校出身者の大学受入の現状、ならびに入学者の志望動機等に関するアンケート調査などを実施した。また、専門高校、総合学科高校、SSHと高大接続、総合的な学習と高大接続などの高校での学びの多様化と大学入試について研究会を開催し、話し合った。モデル化も行う予定であったが、この数年でAO入試実施大学が急激に増加し、そのアドミッションポリシーも新たに独白性を持ったものが増えており、今後さらに増加すると予想されるため、静的なモデルではあまり意味がないと考え現状分析を行った。今後、時代の変化に応じた新しい入試や大学進学を扱う、環境適応能力を表現できる動的なモデルを考える必要があると思う。アドミッションポリシー、入学試験や合格者への調査は本研究のメンバーによって大変精力的に行われ、大きな成果があったと考えている。一方、入学後ある程度の時間を経た学生や大学側の満足度のような指標の調査はあまり広く実施できなかった。複数の大学で共通のアンケート調査を実施して卒業研究評価を試み、幸い九州大学と筑波大学の2大学で実施した結果を平成18年度の入研協で報告できることとなったが、このような共同研究は大学間の調整の困難さだけでなく、アドミッションセンターと学部や学科との間の調整がかなり困難であるらしいことも分かった。海外調査はSARSの影響で平成16年度以降に行った。欧州の調査は行えなかったが本研究メンバーが他の研究費で行ったフィンランド等の調査結果について本研究のミーティングで知ることができた。本研究では米国、オーストラリア、中国、台湾の調査を行い、各国で入試の多様化が進んでいることが分かった。「理科離れ」について、理科教育を熱心に行っている教員や学芸員、SSHの教員との研究会を開催してAO入試との関連について話し合った。総合的な学習で理科が好きになる、総合的な学習の時間を減らして理科の時間を増やすべき、などの意見があった。しかし、私見であるが、実践されている授業内容に大きな違いは無いように思われ、また、理科離れは科学振興という社会の要請と生徒や学生の個人の幸福が結びついていないというところにも問題があると思われた。さらなる研究が必要である。本研究の成果は、平成15、16年度中間報告書とシンポジウム論文集ならびに成果報告書の4部に収録した。
著者
笛吹 亘 園田 茂 鈴木 亨 岡本 さやか 東口 高志 才藤 栄一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.184-192, 2008-03-18
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

回復期リハビリテーション病棟での栄養サポートチーム(NST)介入効果をFIMを用いて後方視的に検討した.脳卒中患者304名を対象にNST介入対象者を栄養強化群と減量群に分類し,各々をNST介入非対象者(非NST群)と比較した.FIM利得は栄養強化群17.3±15.9,非NST群16.7±12.5と両群に有意差はなかったが,FIM効率は栄養強化群0.20±0.19,非NST群0.27±0.19と有意差を認めた.入院時FIM得点が54点以下の患者ではFIM利得,FIM効率ともに両群に有意差を認めなかった.入退院時BMI変化とFIM変化の間で一定の傾向を認めなかった.栄養介入を要した栄養強化群は一般的には予後不良の群と判断されるにもかかわらず,非NST群と差がなかった今回の結果は,NSTという栄養介入が有用であった可能性を示唆している.
著者
秋山 雄次 鈴木 輝彦 田中 政彦 小林 厚生 片桐 敏郎 石橋 俊子 北川 秀樹 今井 史彦 原 清 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.542-547, 1990

混合性結合組織病(MCTD)として経過観察中に強皮症(PSS), 全身性エリテマトーデス(SLE), 多発性節炎(PM), シェーグレン症候群(SjS)の重複症候群に進展した1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で18歳より日光過敏症があった.昭和61年レノイー現象, swollen hands, 関節痛が出現し, 抗RNP抗体81920倍, 抗Sm抗体陰性, 血清CPK値上昇を認めたため, MCTDとして経過観察を開始, 昭和63年多関節痛, 節痛の増強を主訴に入院.理学所見では開口制限, 皮膚硬化, 筋力低下, ラ音を認め, 検査所見では節原性酵素の上昇, LE細胞, 抗核抗体, 抗DNA抗体, 抗ENA抗体, 抗SS-A抗体を認めた.又, 皮膚生検でPSSに一致した組織所見, 節電図で節原性変化, 口唇生検で慢性唾液腺炎像, 腎生検にてメサンギウムの増殖性変化を認めた.MCTDの概念, 殊に重複症候群との差異は明確でなく, さらなる症例の蓄積・検討が必要である.MCTDの経過中にPSS, SLE, PM, SjSへ移行した報告は見当たらず, MCTDの研究上, 貴重な症例であると思われた.
著者
葛岡 英明 加藤 浩 鈴木 栄幸 久保田 善彦 山下 淳
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

平成22年度はまず、柏崎中学校において授業を実施した。生徒を、提案システムを利用した実験群と、提案システムからCG映像を削除した統制群に分け、それぞれの群にプレテストとポストテストを実施した。その結果、地球の自転の理解に関して、実験群の点数の上昇が、統制群の点数の上昇よりも有意に高い傾向があることがわかった。しかし、学習の様子を観察した結果、システムには、俯瞰視点(学習者がタンジブル地球儀を見る視点)と地上視点(地上から空を見上げた状況をCGによって合成した映像)を結びつけることが困難であるという問題点があるという知見を得た。そこで、俯瞰視点と地上視点を結びつける補助として、天球映像を提示することを考案した。これは、半球をスクリーンとして利用し、上部からプロジェクタで太陽の動きを投影する装置である。この装置の有効性を確認するために、被験者を、装置を利用した実験群と利用しない統制群の2群に分けて比較実験をおこなった。プレテストとポストテストによって評価をおこなったが、提案した装置の有効性を示すことはできなかった。被験者の感想や実験の様子を観察した結果、天球映像をあまり参照しない学習者が多いことがわかった。この問題を改善するためには、学習課題や学習のためのインストラクションを見直して、それぞれの装置の機能や目的を意識して学習できるようにする必要がある。また、学習の様子をより詳細に分析し、天文学習において何が問題となっているのかということに対する理解を深める必要がある。
著者
和崎 春日 上田 冨士子 坂井 信三 田中 重好 松田 素二 阿久津 昌三 三島 禎子 鈴木 裕之 若林 チヒロ 佐々木 重洋 田渕 六郎 松本 尚之 望月 克哉
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

「グローバル化時代における中下層アフリカ人の地球的移動と協力ネットワーク」現代社会において、グローバライゼーションを生きるのは、北側社会や特別なアフリカ人富裕層だけではなく、「普通の」アフリカ人たちが、親族ネットワーク等を駆使して、地球を広く縦横に生き抜いている姿が、本共同研究から析出された。その事実を基礎にした外交上の政策立案が必用になってくることを、本共同研究は明らかにした。
著者
湊山 梨紗 野池 賢二 鈴木 泰山 徳永 幸生 杉山 精
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.5, pp.1-6, 2010-11-27

本稿ではピアノ譜を対象として適切な譜めくりタイミングの推定法を提案する.音楽演奏では演奏中に楽譜をめくる "譜めくり" が必要となる.この譜めくりを行うタイミングは演奏曲や演奏者によって異なると考える.しかし,具体的にどのような要因が譜めくりタイミングを変化させているのかは明らかでない.そこでまず,楽譜構造における時間軸方向の音符密度に着目した推定法を考案した.本推定法では,楽譜のページ末尾に休符などによって打鍵を行わないときに譜めくりが行われることから楽譜上で時間軸方向に音符の少ない箇所を抽出し,その長さをもとに譜めくりタイミングを推定する.また,本推定法を用いて被験者実験を行い,推定した譜めくりタイミングと演奏者が望むタイミングとを比較し,推定手法の評価と考察を行った.その結果,推定した譜めくりタイミングが演奏者の望むタイミングと概ね一致したことなどから,本推定法が有用である見通しを得た.This paper proposes an estimation method of page-turning point for piano score. Page turning is necessary for performing music, and page turning point varies according to performer and score. However, what influence for page turning point is unapparent. So, we propose an estimation method which considering density of notes on time series based on score structure. We also conducted an experiment to evaluate this method by comparing estimated point with performer preferring point. Results from this experiments showed that proposed method is useful for estimating page turning point.
著者
藤井 博信 梅尾 和則 鈴木 孝至 桜井 醇児 藤田 敏三 高畠 敏郎 溶野 稔一
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

セリウム(Ce)やウラン(U)を含む一連の金属間化合物において、f-電子は配位子のs,p,d-電子との混成効果によって強い電子相関を保ちながら結晶中を偏歴し、低温で重い電子状態を形成する。それと同時に近藤格子型相互作用によって極めて異常な基底状態が出現する。本研究では、基底状態で示す種々の特異な物性が異方的混成効果に起源する現象であると考え、純良単結晶を育成し、それを用いた系統的な物性研究を計画した。まずトリ・アーク溶解炉、赤外線集中加熱炉、高周波溶解炉を整備しチョコラルスキー法による単結晶の育成法の確立に着手した。良質なCeNiSn,CeNi_2Sn_2CePt _2Sn_2,Upd_2などを含め7種類の単結晶の育成に成攻した。これら結晶を用いて、電気抵抗、帯磁率、熱電能、ホール係数、比熱および超音波による弾性定数などの異方性の測定を行った。主な成果を要約すると、(1)CeNiSnは斜方晶(ε-TiNiSi型)のa軸に沿って磁場(H>13T)を印加すると、V字型のギャップが潰れ半導体から金属へ転移し重い電子状態が複活する又圧力(P≧20kbar)を作用することによってギャップが異方的に潰れる、一方同じ結晶構造を示すCePtSnは0.3Kまで金属として振舞う。(2)CePdInとUPdInは同じ結晶構造(ZrNiAl-型六方晶)をとるが、それらが示す物性は極めて対照的な振まい(Pa>Pc:波数ベクトルQ=(0.25,0,0)forCe系とPa<PcQ=(0,0,0.40)forU系)を示し、異方的混成効果がCePdInでは結晶場効果と逆方向へ作用(帯磁率へ対して)し、UPdInでは結晶場効果と増強する方向へ作用する、(3)CeNi_2Sn_2Cept D22 D2 SnD22D2は異常に重い電子状態(γ〜5J/mole)を形成し、極めて異方的な物性を示す。その解析より、結晶場励起エネルギーが低く、近藤効果とRKKY相互作用が競合した新しいタイプの重い電子状態であることなどが明らかにされた。今後は、更に純良な単結晶育成法を確立し、詳細で多面的な研究を行う予定である。
著者
鈴木 直人
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ポジティブ・サイコロジーの出現以来、感情心理学の分野においてもポジティブ感情の機能や存在意義に関する様々な説が提示されるようになってきた。例えば、まず第1に、ポジティブ感情は、ネガティブな感情によって亢進された精神生理学的反応を素早く元に戻す『元通り効果(undoing effect)』を持つという機能的意義も提唱された。さらには、ポジティブ感情は試行の柔軟性をもたらす、社交性を高めたり、健康にもプラスに働くなど、問題への対処というよりは、時定数の長い広範囲の有効な資源の動員を促すというFredricksonらの拡大-形成理論が提唱されるにいたった。しかしながら、一部の研究を除きこれらの存在意義や機能的意義に関して十分な十書的研究は行われておらず、ややもするとアイディアだけが先行している感がある。当初、申請では、主に元通り効果について検討する予定をしていたが、これまでの申請者の研究でも元通り効果と思われる現象が見られたことと、ポジティブ感情が思考などの柔軟性をもたらすという指摘については実証的なデータがあまり見られないことなどを鑑み、補助金を受けた研究では主にポジティブ感情が真に試行の柔軟性や、対処事態での行動の切り替えの柔軟性に効果を持つのかについて検討した。本研究報告では2つの実験についてその結果を報告している。まず、第1の実験パラダイムとしてポジティブ感情状態の実験参加者と、低い実験参加者を用いて問題解決実験を行わせ、その課題の解決方法が途中で急変し、それに対処しなければならない事態を作って研究した。その結果、ポジティブ感情の高低は、事態急変前後の課題遂行成績には影響を及ぼさなかったが、ポジティブ感情が心身への負荷を和らげる効果が示された。第2の実験パラダイムとして、実験参加者にポジティブ感情、ネガティブ感情、ニュートラル感情を歓喜し、その前後で、物事を考えなければ、あるいは発想の転換をしなければ解決できないを拡散課題、物事を考えるというよりは課題に集中しなければならない集中課題を負荷し、その成績を比較した。その結果、ポジティブ感情の喚起は」、拡散課題の成績を上昇させたのに対し、ネガティブ感情、ニュートラル観桜はそのよう奈効果をもたらさなかった。また一方、ネガティブ感情の喚起は集中課題の成績を上昇させたが、ポジティブ感情の喚起では集中課題に対してはなんら変化をもたらさなかった。以上の結果からポジティブ感情の喚起、もしくはおポジティブ感情状態にあるものは、問題解決場面などで、柔軟な考えかたができ、対処ができる可能性が示唆された。先述したように、ポジティブ感情の機能や存在意義に関して実証的データは少なく、本研究の成果、特に題2番目の研究はIsenやFredricksonらの主張を強く支持するデータであり、ポジティブ感情研究、あるいはポジティブ心理学に貢献するものである。