4 0 0 0 OA 失認症

著者
鈴木 匡子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.216-221, 2009-06-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
10

患者の症状をみる臨床の技の基本は,観察から発症機序に関する仮説を立て,それをさらなる観察により検証していくということである。それに加えて,神経機能画像や神経生理学的検査の所見を得て,神経科学的知見を統合することにより,ヒトの高次脳機能の神経基盤について洞察を深めることができる。失認症の場合も系統的な診察を進めることにより,的確な診断に至ることができる。失認症は「1 つの感覚様式を通してのみ対象が認知できない」ことであり,他の感覚様式を使えば対象を容易に認知できる。この定義に基づいて失認症であることの確認をし,次に失認症の特徴を検討する。類似の症候の鑑別をするためには,常に障害の質的な面に注意を払い,一人一人の患者において障害の本質を見極める努力をすることが重要である。
著者
辻内 琢也 鈴木 勝己 辻内 優子 熊野 宏昭 久保木 富房
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.53-62, 2005-01-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
6

本研究では, クラインマンが提唱した「説明モテル」を鍵概念として, わが国における民俗セクター医療を利用する患者の社会文化的背景に対して, 医療人類学的視点に基づいた質的研究法による解明が試みられた. 対象は東洋医学, 仏教医学, スピリチュアリズム理論に基づく治療実践を行う治療家Aのクライエントらとし, 自由記述式のアンケート調査および聞き取り調査が行われた. その結果, 民俗セクター医療を利用しやすい病態群や受療行動パターンが持定され, 病いの物語りからは, 人々が多元的医療システムの中でそれぞれのライフストーリーに裏づけられた価値観に基づいて, 自分に合った医療を主体的に選択していくありさまが認められた. 研究の背景と目的 「医療」が「人間の病気に対する対処行動の全体系」であると定義されるように, 現代社会には治療の基盤となる根本原理がまったく異なる複数のヘルス, ケア, システムが多元的, 多様的, 多層的に存在しており, そのありさまは「多元的医療システム(pluralistic medical systems)」とよばれる.
著者
志村 渉 鈴木 央一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.505-510, 2021 (Released:2021-03-11)
参考文献数
6

欧米では、高効率な前照灯やオルタネータ等、オフサイクルにおいて燃費向上が見込める技術を積極的に評価しており、日本でも評価制度の導入が検討されている。本稿では、モード走行時に前照灯を点灯した際の燃費影響を評価するとともに、日本市場における前照灯の使用頻度を推定することにより、実燃費への影響を試算した。
著者
鈴木 彌生子 中下 留美子 赤松 史一 伊永 隆史
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1053-1058, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
35
被引用文献数
10 21

We determined the differences in carbon, nitrogen and oxygen isotopic compositions (δ13C, δ15N, and δ18O) between short grain rice samples from 9 locations (Hokkaido, Yamagata, Niigata, Nagano, Ibaraki, Tokyo, Mie, Hiroshima and Okinawa) in Japan to discriminate their geographical origin. Oxygen isotopic composition of brown rice is well correlation with that of ambient water (R2 = 0.69). The δ18O values of rice samples are correlated with an increase in the latitude (R2 = 0.82). The δ13C values of upland rice are higher than those of paddy rice, depending on the water stress. These results suggest that δ18O and δ13C values of Japanese rice samples are reflected the difference in growth condition. The δ15N values of rice depend on the soil nutrition, where the rice is cultivated. Organic rice is characterized by higher nitrogen isotopic compositions (+ 3.0 to + 8.9‰) than conventional rice (−0.4 to + 3.2‰). Thus, δ15N would become a strong tool to discriminate between organic and conventional rice samples. Thus, the δ18O and δ13C values will be potentially useful for the discrimination of organic rice, and the geographical origin of rice within Japan.
著者
岡島 純子 谷 晋二 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.201-211, 2014-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究では、通常学級に在籍し、仲間との関係がうまくもてない自閉症スペクトラム障害(ASD)児に対して社会的スキル訓練(SST)を実施し、般化効果、維持効果について検討した。その際、(1)機能的アセスメントの実施、(2)標的とされた社会的スキルに関する概念的理解を深めるために、ASDの特性に合わせた教示の実施、(3)標的とした社会的スキルを行動リハーサルする機会を十分に設定するために保護者とリハーサルをするためのホームワークを行った。機能的アセスメントから特定された標的スキルは、働きかけに反応するスキル、エントリースキル、主張性スキル、感情のコントロールスキル、問題解決スキルであり、10セッションからなる個別SSTが行われた。その結果、社会的スキル得点が向上し、放課後に友達と遊びに行く割合が増え、1ヵ月後も維持していた。
著者
鈴木 健
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3E3NFC210, 2009 (Released:2018-07-30)

伝播投資貨幣(Propagational Investment Currency SYstem:PICSY)は、価値が伝播する貨幣システムである。売り手は現物出資の投資家となるため、すべてが投資の貨幣といってもよい。取引関係の行列から固有ベクトルを求め、その値を個々人が社会に与えた貢献度と解釈し、購買力を与える。Google PageRankの貨幣版ともいえるこのモデルについて紹介する。
著者
守山 正樹 竹本 泰一郎 柏崎 浩 鈴木 継美 マリーナ ロバートM.
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.33-43, 1985 (Released:2008-02-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

初経発来への年齢,身長,体重の寄与を,1960-64年に出生の女子生徒275名で調査した。初経時の年齢,身長,体重の平均値はそれぞれ12.5 SD 0.89年,151.1 SD 5.7cm,42.3 SD5.8kg であった。初経時年齢と身長は有意な正の相関(r=0.406)を示し,「初経時年齢群別の平均身長は一定値をとる」とした松林(1932)の報告は支持されなかった。初経時年齢と体重の間には関連がないが (r=0.104),初経時の体重は身長よりもはるかに大きな変動を示し,「特定の体重,体構成への到達が引き金となって初経が起こる」とした Frisch と Revelle(1971)の仮説も支持されなかった。さらに,各暦年齢時での初経の有無(1/0)を被説明変数,身長•体重を説明変数として重回帰分析を行なったところ,体重のみが有意な寄与を示した。この結果より,初経発来にかかわる体格の閾値の存在が示唆された。
著者
鈴木 円 田中 章夫 菊池 建太郎 草間 薫 鈴木 正二 坂下 英明
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.54-57, 2010-06-25 (Released:2014-07-18)
参考文献数
10

Cat-scratch disease (CSD) is a zoonosis characterized by lymphadenopathy in a patient with a history of cat contact. CSD is caused by Bartonella henselae infection and is a common cause of regional lymphadenopathy. The manifestations include erythema or papules at the site of injury and regional lymphadenitis in the initial stage of infection.   We report the case of a seven-year-old boy who presented with swelling of the buccal. CT showed extensive lymphadenopathy in multiple lymph nodes in the buccal and submandiblar regions. He had a history of contact with cats. Serologic examinations for IgG and IgM titers to Bartonella henselae were performed by an indirect fluorescence assay. This assay revealed positive serum antibody titers for Bartonella henselae.   On the basis of these results, CSD was diagnosed, and the patient was given an antibiotic for 14 days. After that, the patient recovered, with no recurrence.
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.87-91, 2007-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は31歳の女性.夕食に寿司を食べていた最中, 顔面の痒み, 口唇の腫脹や喉頭の掻痒感, 閉塞感を自覚したため精査目的で当科を受診した.花粉症の既往がある.当初, 寿司の魚肉アレルギーもしくは醤油の原材料である小麦や大豆に対するアレルギーによる口腔アレルギー症候群を疑った.しかし抗原特異的IgE検査で調べた食餌抗原は全て陰性であり, 大豆, 小麦粉など醤油の主要成分は皮膚試験でも陰性だった.そこで実際に摂取した醤油の材料を取り寄せ, 各成分そのもので皮膚試験を行い, カツオ抽出物で強陽性を認め, カツオなど魚肉由来の醤油添加物が口腔アレルギー症候群の原因ではないかと強く疑った.市販の醤油の中には風味付けのため「だし入り」と称し, 魚肉抽出物が添加されている場合がある.小型の個別包装にはアレルギー成分表示義務がないため, こうした添加物の記載がないことも多く, 食物アレルギーの既往がある患者では指導上注意が必要である.
著者
鈴木 孝 中島 明彦 上杉 利明 浅見 令美 佐藤 正則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第39回, no.応用, pp.2268-2269, 1989-10-16

平成4年1~2月期にH-Iロケットで打ち上げ予定の地球資源衛星1号(ERS-1:Earth Resources Satellite-1)はディジタル型の高精度三軸姿勢軌道制御方式を適用した地球観測衛星である。図-1にその外観を示す。本衛星のサブシステムの一つである姿勢軌道制御系(AOCS:Attitude and Orbit Control Subsystem2)は、ディジタル計算機を内臓した姿勢軌道制御電子回路を中心に構成されている。ディジタル計算機はビットスライス型LSI(AMD2901)を用いたマイクロプログラム方式16ビット計算機であり、ハードウェアとファームウェア共に宇宙環境下での放射線による障害の対策を施したカスタムメイドの衛星搭載計算機である。図-2にその外観を示す。諸元は、0.1MIPS、固定小数点演算、命令数74、ROM16KW、RAM2KWである。搭載計算機に格納されるソフトウェアは、計算機インタフェースを介して、センサデータを入力し、AOCSの制御アルゴリズムの計算、フェールセーフアルゴリズムの計算等を行い、再び計算機インタフェースを介して、アクチエータデータ及びコンポーネントオンオフデータを出力する。図-3にその機能ブロック図を示す。軌道上での搭載ソフトウェアのバグが衛星の運用に非常に大きな影響を与えることは明らかであり、このためにもいかに搭載ソフトウェアを設計製造段階で検証し、その品質を保証するかが大きな課題となっている。
著者
河合 将志 日高 薫 鈴木 崇史
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-37, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
51

US President Donald Trump is known for his unique character. However, does the notion imply that his policy is unique? Existing studies on presidents have assumed that Trump's policy significantly differs from that of former President Barack Obama due to extremely biased policies, especially foreign policy. To test the validity of such a common view, the study conducted a quantitative text analysis of executive orders issued by both presidents. Results show that (1) there are systematic differences between Obama's and Trump's policy; (2) tracklessness, rather than deflectiveness highlights the uniqueness of Trump's policy; and (3) the uniqueness of Trump's policy is pronounced in domestic rather than foreign policy.
著者
鈴木 明美
出版者
日本オーラル・ヒストリー学会
雑誌
日本オーラル・ヒストリー研究 (ISSN:18823033)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.154-164, 2006

This paper has a purpose to analyze a collaborative work of Etsu Inagaki Sugimoto. Sugimoto wrote a book called A Daughter of the Samurai in English in 1925. The book received wide recognition both in America and Europe. Although A Daughter of the Samurai classified as an autobiography, we could clarify the book as a work of fiction. I would like to show a collaborator of this book, an American woman called Florence Mills Wilson. Sugimoto and Wilson were life long friends, worked together with their united hearts and minds. Their cross-cultural experiences led to a collaborative work of a life story of a daughter of the samurai, contained full of sympathy.
著者
大平 征宏 齋木 厚人 大城 崇司 鈴木 和枝 龍野 一郎 白井 厚治 秋葉 哲生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.272-277, 2013 (Released:2014-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は減量手術後に体重増加を来した51歳女性。若年時より肥満があり,30歳の時に糖尿病を発症した。45歳時には糖尿病性ケトアシドーシスで入院した。48歳時に過食症の診断も受けており,食事・運動療法では減量困難であった。減量手術を受け,体重は減量手術後6ヵ月で11kg 減少した。しかし,術後7ヵ月頃からリバウンドした。この頃,精神状態も不安定であり,日中は常に何かを食べている状態であった。不安定な精神状態の治療を目的に,抑肝散エキス5g/日を投与した。抑肝散投与後,摂取エネルギーの減少に伴って体重は減少した。患者本人も精神状態の改善を自覚した。また,HbA1c(JDS)も抑肝散投与後に8.7%から7.1%に改善した。本症例では抑肝散が患者の精神的不安定を改善することによって過食を抑える事で,体重減少およびHbA1c の改善が得られた可能性が示唆された。
著者
鈴木 正崇
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.128, pp.447-514, 2012-03

特集 : 社会学 社会心理学 文化人類学投稿論文Mountain Worship is the important element to understand the basic folk culture in Japan. This paper analyzes the mountain worship of Mt. Chōkai (2,236 m) in Tōhoku area under the historical and folkloric perspective and shows the development and the transformation of folk culture. We explore the process of the continuity and discontinuity of folk culture by checking historical documents and oral tradition in detail. This paper writes down the critical comments on these. Some features of mountain worship are the following; supporting on the water supply, praying for fertility of agriculture, calming on the explosion of volcano, consoling the dead spirits, guarding of good life and so on.After the middle age, Shugendō, the religious group of mountain practitioner has been affected the great influence on the folk culture and established the unique ritual system of mountain climbing called "Mineiri" (entering into the peak). Furthermore, we explore the some features of this kind of asterism and make the interpretation of concepts and ideas related to Shugendō and the basic culture. Then we show several climbing routes to Mt. Chōkai and discuss on the religious character of them and Shugendō village on the foot of the mountain.In conclusion, I have made a special reference on the process of how the folk culture of mountain worship has continued and survived under the radical political change. In the end, the new trend to preserve the nature as a cultural property has discussed to clarify the modernization of mountain worship.
著者
加藤 良一 富樫 悠 長根 智洋 鈴木 隆
出版者
山形大学地域教育文化学部附属教職研究総合センター
雑誌
山形大学教職・教育実践研究 = Bulletin of Teacher Training Research Center, Yamagata University
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-8, 2012-03-15

乳糖を分解した牛乳およびノンホモジナイズ牛乳以外の牛乳に, ドリンクタイプのヨーグルトをその牛乳の量の1%加えて撹拌し, それを45℃で24時間培養するとヨーグルトが作製できた。なお, ドリンクタイプのヨーグルトは, 賞味期限内かまたはそれになるべく近いものを用いる。この結果より, 中学校理科3年生, 高等学校「生物基礎」, および中学校技術・家庭科の実験教材としてこれらが提供できることを示した。キーワード:牛乳, 教材, ドリンクタイプのヨーグルト, 培養, ヨーグルトの作製