著者
清尾 康志
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究では独自に開発した人工核酸の特性を活用した新しいmiRNA検出技術の開発を、有機合成化学と核酸検出技術を融合して開発した。まず、既に開発していた人工核酸dAChcmPNAの短鎖RNA選択的結合能をさらに高めるために化学構造を改変した第二世代の修飾核酸の開発を行い新規RT-PCR法への応用を目指した研究を行った。また、蛍光残基で修飾した人工核酸の合成法の開発と蛍光特性の評価を行い、短鎖RNAの蛍光イメージングプローブとしての開発を目指した研究を行った。さらにではdAChcmPNA をスライドグラスに固定化した短鎖RNA選択的microarrayを開発するための基礎技術の開発を検討した。
著者
島田 周平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アフリカ各地で起きている地域紛争は、地域の歴史や文化を反映した特殊性を持っている。しかしそれらは、最近のグローバルな経済社会変動の中で起きているという同時代性も持っている。アフリカ諸国の多くは、1980年代に、債務問題から脱却するために構造調整計画を実施した。ベルリンの壁崩壊は、西側諸国のアフリカ地域に対する関心を低下させたものの、アフリカの政治的民主化を推し進める効果をもっていた。そして2001年9月11日以降の対テロ戦争は、アフリカ諸国に一層の民主化と市場自由化を迫った。本研究で私は、ニジェール・デルタ地域の歴史と最新の地域紛争の実情に関する研究を行った。その結果、長期に及ぶ政府による無視や圧政がこの地域の人々、とりわけ若者達に絶望的感情を抱かせてきた経緯が明らかになった。また、日常生活を破壊された農漁民は、脆弱性を増大し、そのことが一層多国籍企業や政府に対する反撥を強めてきたことも明らかとなった。そして、人々の不満のはけ口は、地元の伝統的権威や政治家にも向けられるようになってきた。伝統的権威や政治家は、人々の苦しみを和らげるために仲介者としての役割を期待されたがうまく機能しなかった。時あたかも、シエラレオーネ、リベリア、コートジボワールで内戦が終熄し、西アフリカで大量の武器が流通する事態が生じ、これが紛争をより過激なものとした。以上の結果は、ニジェール・デルタで頻発する「新しい紛争」が、地域的要因とグローバルな要因との相互作用や相乗作用の結果起きてきていることを示している。2009年に開始された(停戦のための)恩赦政策の成否も、このような地域的および国際的要因の両方から判断する必要があると思われる。
著者
川人 貞史 増山 幹高 山田 真裕 待鳥 聡史 奈良岡 聰智 村井 良太 福元 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この研究では,政治制度と政治アクターの相互作用のダイナミックスを,民主政治の機能に焦点を当てて分析する.共通する研究課題として,(a)政治制度は民主政治の機能にとってどのような影響・効果を持つか,(b)政治制度がどのようにして形成・創設されたか.それが,政治制度の効果にどのような関連性を持つか,を設定して,明文,不文の政治制度ルールを分析する.
著者
阿久津 昌三 青木 澄夫 梅屋 潔 小泉 真理 澤田 昌人 阿部 利洋 ウスビ サコ
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本調査研究の目的は、現代アフリカにおける独裁者の虚像と実像に関する民族学的研究という研究課題のもとに、(1)軍事独裁、2)一党独裁(3)個人独裁という3つの政権の実態があることを探究することである。現代アフリカの7カ国、6独裁者(為政者)について現地調査を実施した。具体的には、ンクルマ(ガーナ)、セク・トゥーレ(ギニア)、ケニヤッタ(ケニア)、ニエレレ(タンザニア)、アミン(ウガンダ)、モブツ(コンゴ)である。本調査研究は、権威主義的政権及び指導者を探究することによって、通時的、共時的な独裁の包括的分析を提示した。
著者
大城 房美 ジャクリーヌ ベルント 中垣 恒太郎 吉原 ゆかり
出版者
筑紫女学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アメリカ女性コミックス、つまり、欧米を起点とした本研究は、3年間の研究期間で、欧米・日本・アジアと、順調に研究者のネットワークを拡げた。先行研究が殆ど存在しないため、調査を進めると同時に、研究の場を作ることを重視し、1年目には京都、2年目にはシンガポール、3年目にはハノイで、多国籍の参加者による国際会議を企画開催した。研究者・作家・読者という3面からののアプローチを実現した国際会議/展覧会/ワークショップを通して、女性とマンガ/コミックスの関係に、日本を越えグローバルに多様な文化を結びつける新しいメディアとしての可能性を示した。
著者
重田 晴生
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

海難事故を中心とする運輸事故の原因調査体制と調査手法につき、主要な海運国3 カ国計4つの行政機関を直接訪問調査し改革の実態を確かめ、近時現行制度の改革を積極的に進めるわが国の参考に資する目的の下で2 年間にわたり研究を行なった。申請研究は当初の計画とは研究機関と補助金額の点で結局2 カ国3 機関の調査と縮小されたものの、研究の成果としては期待通りのものとなった。その理由としては、第一に、本研究は 申請者がこれまで5 年余にわたり所轄官庁の研究会や自らの関心に基づいて研究を積み上げてきたものであること、第二に、実態調査の実施を2 年目に繰り下げた結果、事前の調査と訪問の準備が十分にできたこと、第三に、結果的にわが国の制度改革と訪問時期が重なることになり、訪問国との相互の意見、情報交換がスムーズに運べたことが挙げられる。
著者
門上 希和夫 柳 哲雄 高尾 雄二 安井 英斉
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国大陸から河川経由で排出される化学物質の日本周辺海域への影響を検討するため,長江河口域で2012年度に2回河川水を採水し,網羅分析とターゲット分析を組み合わせて約1270物質を分析した。検出物質数は167物質,検出濃度は0.79~7.26 ug/Lであった。検出濃度と河川流量を用いて東シナ海へ排出される年間排出量を計算した結果,最低でも1年間に4460トンが流出していると推計された。東シナ海において長江の影響が最も大きいと考えられる地点では,河川水が1/11を占めていると計算され,本調査で得られた濃度では生態影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。
著者
茂木 一司 福本 謹一 永守 基樹 森 公一 直江 俊雄 原田 泰
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

3年間の本研究の成果として、以下の3点に整理できる。(1)表現が重要性を増す情報ネットワーク時代のイメージや感性を大事にした新しい学びの創出を目的として企画された本研究は、学校教育における総合学習や美術館・博物館において活用できる学習環境のデザインを踏まえた「(アート)ワークショップ型の学び(学習方法)」の有効性を理論的・実践的に初めて実証し、具体的な装置・教材として発表、完成できた。(2)実践的研究では、3つのワークショップを実施、分析した。1)「あさひdeアート2003」(実践研究I)、「あさひdeアート2004」(同III)では、「コミュニケーションの可視化」「身体性や感覚の拡張と変換」などを目的にした世界的にも類例をみない重度障害児に対するメディアアート・ワークショップを実施し、メディアアートを活用したワークショップの構造を明らかにした。2)「あの時あの場所色図鑑@ちるみゅー」では、「色によるコミュニケーションの発生や協同学習」を検討した。その結果、ワークショップ型学習のデザイン(作り方)と問題点を明らかにした。(3)(2)に基づいて、メディア活用型ワークショップのデザインを理論的に検証した。特に、従来ワークショップ型学びが無視されてきたその評価に関し、ファシリテーターと参加者(子ども)の発話記録分析を実施し、相互の特性や成果について考察し、その結果、構成主義的教育論に立脚したワークショップ型学習の学習と評価の関係を明らかにし、体験型の教育方略が参加者の認知的社会的発達を促すことを究明した。以上、広義の造形(色や形の発生)をメディアとして捉えた表現型の学びは、従来の作品制作主体の美術教育を超えて、総合的な学習の基盤となることがわかった。同時に、そのようなイメージ・感性開発型の学びは情報メディア時代にふさわしいものであることを証明できた。
著者
村岡 倫 森田 憲司 佐藤 智水 桂華 淳祥 渡邊 久 舩田 善之 渡辺 健哉 井黒 忍 櫻井 智美 松川 節 宮澤 知之 松田 孝一
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

研究期間中に、ニューズレター『13,14世紀東アジア史料通信』の第16号~第22号および別冊の計8冊を刊行し、研究代表者および研究分担者・連携研究者の石刻史料に基づく研究成果を掲載した。本科研費で購入した『西安碑林全集』に関して、奈良大学図書館では「『西安碑林全集』を見る」という企画展を開催し、ニューズレター別冊は、その展示に関連して刊行したものであり、研究成果を一般に還元した。第19号、第20号も『西安碑林全集』研究の成果として刊行したものである。そのほか、特筆すべき研究として、新たに発見された漢文・パスパ文合璧碑文の研究、元代のモンゴル高原における地方行政制度の研究などが挙げられる。
著者
加 三千宣 山本 正伸 中村 有吾 竹村 恵二 守屋 和佳 谷 幸則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地球温暖化に伴って、数十年スケールで大変動する太平洋のイワシ資源は、今後どのような変動を示すのか。中世温暖期におけるイワシ存在量の数十年スケール変動の振幅変化とそのメカニズムの解明を試みた。マイワシには過去1000年間において300年スケールの変動が見つかり、中世温暖期とそれにつづく小氷期という汎地球規模の気候変動に対して応答しないことがわかった。一方で、マイワシ存在量の300年スケール変動の背後には太平洋とその東西陸域を含む空間規模を持つ気候変動と関連している可能性が示唆された。日本マイワシ資源変動の環境要因として、北西太平洋の餌環境が重要である可能性が示唆された。
著者
中村 昌彦 小寺山 亘 柏木 正 梶原 宏之 山口 悟 兵頭 孝司
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年全地球規模における環境変化の予測、環境保全に関する研究がますます盛んになってきている。これらの研究を行うためには地球環境に大きな影響を及ぼす海洋の時間的・空間的な観測データが必要であり、係留ブイシステムを利用した観測が行われてきた。しかし、空間的なデータを得るためには、数多くの係留ラインとセンサーが必要であり、莫大な設置コストが必要となる。また、設置海域によっては漁船の曳航網等によって係留ラインが切断され、データの回収が不能になる場合もある。そこで、本研究では、係留ラインを用いることなく、定められた範囲内に留まる(バーチャルモアリング)ことで空間的な海洋環境計測が可能な高機能自律型海中ビークルの開発を目指す。初年度はまず水中ビークルによるバーチャルモアリングシステムの計測アルゴリズムを検討し、水中ビークルに要求される仕様を決定した。また、CFDによりビークル形状を検討するとともに、小型モデルを製作し、流体力計測を行い、得られた流体力係数を用いて運動計算シミュレーターを作成した。次年度は、センサー・データ記録装置を搭載した模型によるグライディング試験を水槽で行い、シミュレーターの精度が良好であることを確認した。さらに、ビークルに内蔵した重錘を移動することにより、安定した運動制御が可能であることをシミュレーションにより確認のうえ、制御アルゴリズム検証用水中ビークル模型"LUNA"を製作し、動作確認を水槽で行った。最終年度は異なるタイプのアクチュエーターを製作し、シミュレーション・水槽試験を実施し、重心の移動によりグライディング中の円盤型ビークルの針路制御が可能であることを示した。以上により、円盤型海中グライダーを用いたバーチャルモアリングシステムが海洋環境計測に有効に利用できることがわかった。
著者
篠田 晴男 中田 洋二郎 軍司 敦子 井上 祐紀 北 道子
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、思春期〜青年・成人期を中心に発達障害者の支援の課題として重要視される自己理解の深度化と、その実現に欠かせない自己制御力を左右する実行機能の成熟について、臨床応用が期待されるNIRSの長所を活かした評価手法の確立を試みた。主な内容は、1.自己理解について:(1)自己理解の成熟にかかわる健常舎及び発達障害舎の評価に関する文献研究(2)試行版評価尺度の臨床事例への適用(3)評価手法の試行と臨床事例への適用上の課題を整理し、体系的・多元的な面接手法と介入効果を検討した。2.実行機能の評価について:(1)CPTを用いた注意集中・抑制制御能力を客観的に評価しうる認知神経科学的指標を見出した。特に前頭前野の脳血流動態は、思春期〜成人期おいて一定の活性水準に到り、課題の達成水準を反映しうるものであった。また、発達障害特性に関連したスペクトラム性によって個人差が生じうることも示唆された(2)ERPを用いた衝動特性の検討:認知葛藤課題事態において、エラー関連電位の出現様相から前頭-頭頂間での抑制性の機能を併せて評価しうる可能性が示唆された。3.実行機能評価にかかわる自己制御能力と自己理解:(1)これら情報を当事者にフィードバックし、自己の特性に基づいて援助希求を求めるチーム支援を実施した(2)就労支援につながるSST的な援助技法を試行し、自己の特性についての理解と対処スキルの向上に取り組んだ。臨床的には、感情制御の難しさも評価に組み込み、自己理解を深めつつ就労を目指す中で自己理解の深度化の厳しさとそれを支える人的・物的支援の枠組みの重要性が確認された。4.思春期に到るまでの幼児期段階からの準備的な評価と介入も生涯発達の視点から重要なことが確認された。
著者
出口 雅久 松本 博之 吉垣 実 本間 学
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、国際訴訟法学会(パリ大学第一大学法学部・Prof.Dr.Loic Cadiet理事長[http://www.iaplaw.org])をはじめてとする民事訴訟法学に関する国際的な学術会議に参加している世界の民事訴訟法学者・実務家のアドバイスを受けながら、アルゼンチン、ギリシャ、中国、韓国、ハンガリー、オーストリア、フランス、ドイツ、ロシアなどの主要国の最近の民事司法制度の状況について学説・判例・立法状況について現地調査し、民事訴訟原則におけるシビルローとコモンローの収斂」について海外調査を行い、2019年に予定されている世界訴訟法会議での準備資料として研究成果を公表してきた。
著者
小野塚 知二 市原 博 禹 宗? 榎 一江 木下 順 清水 克洋 関口 定一 松田 紀子 オムネス カトリーヌ オリヴァー ボビー
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、人が他の人の働き方を管理して、より効率的に成果を得るという近現代産業社会に特有の営為(すなわち労務管理)が、いかに誕生し、終焉を迎えつつあるかを、比較史の観点から明らかにした。労務管理は産業社会の初発の段階にはほとんど発生せず、自律的な集団作業に委ねられていたのに対して、そうした集団を可視化し、統御し、解体しようとする発想が19世紀末に登場するとともに、労務管理は生成した。仕事における集団の重要性の低下とともに労務管理の必要性も低下しつつある20世紀末以降の現状の歴史的な位置付けを試みた。
著者
藤谷 秀雄 福住 忠裕 崔 宰赫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

制振ダンパーとして、履歴型ダンパーと粘性型ダンパーを研究対象とした。平成17年度の各種ダンパーの単体載荷実験から得られた、制振ダンパーの必要なエネルギ散逸特性や特定した数学モデルに基づき、平成18年度は、履歴ダンパーで連結された連結制振構造物の必要なエネルギ散逸特性や接続された構造物群の制振効果を確認するため、エネルギ散逸要素に対する載荷実験をオンラインで結合した地震応答実験によって行った。まず、低降伏点鋼を用いたせん断パネル型履歴ダンパーについて、パネル部の厚さが薄い場合,パネル部の面外座屈による局所的な耐力低下が全体連結構造物に及ぼす影響を調べ、その影響が少ない既存のスケルトン・シフトモデルを用いた応答解析結果を準用することが出来ることが判明した。また、梁間方向の伸縮と上下動、桁行き方向の水平変位に対して履歴減衰を付加することが可能な多方向ダンパー(鋼管ダンパー)を製作し、地震時の挙動を調べた。鋼管ダンパーの形状の特性によって、鋼管ダンパーの亀裂進展による耐力低下は入力振幅の大きさ及び入力波形によって極めて大きく変動することを示し、等価単調載荷曲線を用いてスケルトン・シフトモデルの適用範囲を提案した。そして摩擦ダンパーについて、連結制振部材としての適用可能性を検討した。せん断型摩擦ダンパーを完全弾塑性モデルでモデル化して地震時の応答挙動を制度良く追跡できることを示し、卓越する変位低減効果を有することが明らかになった。更に、上のいずれの履歴型ダンパーに対しても、連結制振性能曲線を作成し、これからの連結制振構造物の設計時に有効な指標(ダンパーの剛性と耐力)や制振効果の予測に関する情報を確認した。粘性型ダンパーについては、オイルダンパーと粘弾性ダンパーを適用し、17年度に実施した単体特性試験の結果から得られたダンパーのモデルを用いて、地震応答解析を実施した。17年度は、構造モデルは弾性であったが、より現実の建築物への適用性を高めるために、弾塑性系の構造物、および多質点系の構造物に適用した解析を行った。その結果、新設S造の固有周期が短い(ブレースの設置などによって剛性が高い)場合は、新設S造の質量を既存RC造の0.25倍以上となるようにし、既存RC造の重量1000kNあたり、粘性減衰係数C_d=5〜20kNs/cm程度のオイルダンパー、または等価粘性減衰係数C_<dVE>=8.5kNs/cm以上の粘弾性ダンパーを設置すれば、既存RC造の変位を低減できるということが明らかになった。
著者
渡部 重十
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

熱圏電離圏を飛翔するサウンディングロケットにより,熱圏電離圏内に人工的に中性大気雲とプラズマ雲を同時に発生させ,可視化することによって,その運動をモニターし,大気・プラズマ結合過程の本質を世界に先駆けて解明する.地球の大気・プラズマ雲だけでなく,太陽風と金星・火星・彗星の大気・プラズマ,イオトーラス,タイタン大気・プラズマ,恒星風と系外惑星大気・プラズマ等に内在する素過程の理解にも繋がり,本研究が,惑星大気・プラズマ研究に与えるインパクトは極めて高い.NASA/ワロップスのロケット発射場とJAXA/内の浦宇宙空間観測所で実施するロケット実験にリチウムガス放出機器を搭載し人工雲を生成する.地上の3観測点から人工雲の運動を観測する.人工雲の運動から,高度100km~300kmの大気密度・温度・風速を求める.本研究により,リチウムガス放出機器と狭帯域フィルターを用いた高感度カメラを開発し観測研究を実施した.
著者
齋藤 滋規 鞠谷 雄士 高橋 邦夫
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,曲面や粗さのある壁や天井に自由に凝着し,移動することが可能なヤモリの指先の微細構造に着想を得て,静電誘導ファイバーによる凝着・離脱デバイス(ファイバー型静電チャック)の開発を行った.具体的には,コンプライアンス(柔かさ)を持ち先端に静電力を発生することのできる静電誘導ファイバーを開発し,それを集積することにより曲面の曲率や表面の粗さを吸収して凝着・離脱が容易にできる新たな静電チャックの(潜在的な)有用性と実現可能性を理論・実験の両面から示した.
著者
平田 大二 斎藤 靖二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

46億年にわたる地球史・生命史に関する情報を収集し、地球史・生命史イベントと地球システムの相互作用を理解するための総合年表の作成を進めた。当館が所蔵する標本や画像など各種資料のデータベースを再構築するとともに、それを補完する標本と資料の収集を進めた。それらを活用した地球史学習プログラムとして、常設展示の展示標本と解説資料を活用した、地球の歴史の中でおきた現象と地球システムについて理解できる双方向形式の連続講座を実施した。参加者が地球史・生命史について理解を深め、現在および未来の地球について考えることができ、地球科学リテラシーの涵養を図ることが出来る環境を提供できた。
著者
安田 二朗 黒﨑 陽平 浦田 秀造 Uche Sonny Unigwe
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ラッサウイルスによって引き起こされるラッサ熱は致死性の高い感染症であり、西アフリカ、特にナイジェリアでは深刻な問題となっている。本研究では、他の地域よりも高い致死率が報告されている南東部で2012年から2016年にかけてラッサ熱疑い患者から血清121検体を採集し、解析した。RT-PCR検査の結果、32検体がラッサウイルス陽性であった。ウイルス遺伝子の分子遺伝学的解析からこの地域においてウイルスは抗体等の選択圧力を受けることなく遺伝学的に高度に保存された状態で長期間維持されていることが明らかになった。また、病態の重篤化に腸管出血性大腸菌O157:H7の感染が関わっている可能性も示唆された。
著者
根来 龍之 國領 二郎 木村 誠 森田 正隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラットフォームビジネス・サービスについて、理論追求と事例研究の双方について成果を発表した。前者については、メディア機能型PFBと基盤機能型PFBの概念的区分とその融合に関する研究を行った。同時に、上記の理論的研究に基づきながら、事例研究も進めた。具体的には、電子マネー、ソフトウェアビジネス、ゲームビジネス、ネットプロモーションについて、事例研究を発表した。同時に、研究の背景となる情報システムと競争優位に関する研究も進めた。