著者
塚本 敏夫 小村 眞理 橋本 達也 初村 武寛 田中 由里
出版者
公益財団法人元興寺文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

小札甲は古墳時代には裲襠式と胴丸式の2型式が存在したとの通説があったが、今回の調査で裲襠式は確認できなかった。それに対して、鉄革併用小札甲が広範囲に流通していたことが明らかになった。また、小札甲が古墳時代から古代、中世にかけて、戦闘用の武具としての機能とは別に、祭祀に利用されている新事実が明らかになった。特に、噴火や火災に関する祭祀に小札片を絶切って利用する実態や人型に転用する事例も明らかになった。律令期の鉄甲から革甲への変換時の文献記述の検証のため、復元模造品による堅固性の比較実験を行った。その結果、革甲が小札甲には劣るが、短甲より堅固性であり、革組より組紐が堅固であることが判明した。
著者
中谷 祥恵
出版者
城西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

中年期に体に脂肪がつきやすいのに対し、骨密度は減りやすい現象の原因は、間葉系幹細胞が脂肪になる力は維持しているのに対し、骨の細胞になる力が先に衰えることが原因の可能性があると考え、そのメカニズムや予防法を明らかにするための研究を行います。本研究は間葉系幹細胞を標的とした生理活性ペプチドを用いて、骨粗鬆症と肥満を同時に予防する方法を開発するための基盤研究となります。
著者
坂本 和靖 森田 陽子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、人間の行動規定要因としての規範意識の在り方が(Akerlof and Kranton2000)、家計行動に与える影響に関する実証分析を行った。ここでは規範として「性別役割分業意識(男性は仕事、女性は家事・育児)」に注目し、それが既婚女性の時間配分に与える影響を計測した。先行研究に倣い、(年齢・学歴・居住地域から推計された)女性の潜在的稼得所得を軸に分析した結果(Sakamoto and Morita 2020)、夫所得よりも潜在的稼得所得が高い女性ほど就業せず、稼得所得を抑制させる傾向が、また夫よりも実際の稼得所得が高い女性は逸脱行為を補うため家事時間が長くなる傾向が確認された。
著者
黒田 純子 林 雅晴 川野 仁 小牟田 縁
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子どもの脳の発達障害の一因として、環境化学物質の影響が懸念されている。本研究では、リスク評価が不十分な農薬ネオニコチノイドの低用量長期曝露の影響を、発達期のラット小脳神経細胞培養を用い、遺伝子発現の変化から発達神経毒性を調べた。ニコチン、ネオニコチノイド2種を低濃度で2週間曝露した小脳培養のmRNAをDNAマイクロアレイで解析し統計処理した結果、複数の遺伝子で1.5倍以上の有意な発現変動を確認した。3種の処理で共通に変動した遺伝子には、シナプス形成に重要なカルシウムチャネルやG蛋白質共役受容体などが含まれており、ネオニコチノイドはニコチン同様に子どもの脳発達に悪影響を及ぼす可能性が確認された。
著者
三輪 美樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

集合体恐怖症トライポフォビアとは、蓮の花托やフジツボ等小さな穴や隆起物の集合体に対して名状しがたい不快や嫌悪を抱く状態を指す。公式の恐怖症ではないが世間の関心は非常に高く、2013年に学術的探索が開始されて以来、加速度的に研究が推進されている。生命を脅かす危険生物や病気・病原体に対する生得的適応反応との説が有力であるが、それを裏付けるようなヒト以外の動物での研究はまだない。またトライポフォビアの特徴である「怖いもの見たさ」についても検討されていない。本研究は、トライポフォビアの機序解明のための非ヒト霊長類モデル作製とトライポフォビアの「怖いもの見たさ」立証を目的として実施する。
著者
最上 晴太 近藤 英治 千草 義継
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

前期破水は早産の主要な原因である。早産は時に出生児に合併症・後遺症を残し、医学的・社会的に大きな問題である。本研究では、①ヒト羊膜において破水前に微細な損傷→修復という細胞外マトリックスのリモデリングが行われ、恒常性の維持機構があるか、②胎仔マクロファージ欠損マウスを用いて、自然免疫による羊膜の修復機構をin vivoで解析、③細胞外マトリックスによる前期破水の治療法の探索を行う。このように前期破水を「卵膜の恒常性の破綻」という新たな観点からとらえて、早産の予防・治療法の開発を目指す。
著者
長田 勇 石井 仁 桜井 均 遠藤 忠
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

「クラス替え」とは、同一学年に複数の学級がある場合に児童の構成を定期的に替えることをいう。これは、行政的制度ではなく、各学校の慣行としての実践である。しかも、我が国に特有の慣行であり、予備調査(栃木県において)に基づくと、戦後に急速に広く浸透したことがらと仮説的に推測された。そこで、この「クラス替え」はいつどういう論理ではじまり、いつごろ広まったのか、ということについて調査を通して確証することとした。初年度(平成11年度)は、調査対象の確定(青森、東京、大阪、広島の四地域の退職校長会構成員、および鹿児島郡部一地域の校長会構成員)、アンケート調査票の作成、調査実施、の諸作業をおこなった。翌年度(12年度)は、調査結果の分析をおこない、「クラス替え」も慣行は、(1)戦後において広まりはじめ、高度経済成長期以後に急速に全国に浸透した、(2)「幅広い人間関係の形成」という論理が表にあるが、児童の学力、担任教員の指導力等の観点からのクラスの均質化という論理が働いている、という傾向が見て取れた。最終年度(13年度)は、事例研究として、「かつてクラス替えはなかった(六年間固定式学級編成)」という報告のあった小学校をピックアップし、そのうちの6校を実際に訪問して古い記録等を点検する形で調査した。その結果、上記(1)の傾向がおおむね実証できた。今後も本件級を継続し、より多くの事例による実証と、最近まで「固定式学級編成」を続けていた長野県の小学校調査をおこない、「クラス替え慣行の当否」の観点での検討に発展させる予定である。
著者
森 源治郎 平井 宏昭 山口 俊彦
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

Apomixisを人為的に誘導することができれば,これを遺伝的にヘテロな植物の新しい繁殖法として利用することができる.ラン科植物およびヒガンバナ植物を材料にして他種あるいは他属との遠縁交雑において花粉刺激によるApomxis誘起の可能性がについて検討したところ,受粉刺激による果実の発達と種子形成が認められた.また,これらの種子を人工培地に無菌的に播種したところ,正常に正常し,発育した苗の形状Zyg.の自家受粉によって得られた苗と全く同様の形質を維持していることが確かめられた.Zygopetalum × Cymbidiumついて発達中の果実の組織観察を行ったところ,受粉3ヵ月後にはいずれにおいても珠心由来の多胚の形成が確認された.また,染色体の観察においても同様の結果が得られ,結局,得られた種子はApomixisによるものであることが明らかになった.一方、Zygopetalumについて無受粉花に生長調節物質の柱頭処理が果実の発達および種子形成に及ぼす影響について検討したところ,1,2%NAAの効果が最大であった.また,Lycoris3種を用いて種間交雑を行った後,受粉後柱頭にNAA処理を施すと着果率と果実当たりの種子数を増加させ,結果としてApomixisによる種子形成の割合を高めることができた.
著者
蘇 智慧 八畑 謙介
出版者
株式会社生命誌研究館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

多足類動物は、分類学上多足亜門(節足動物門)として、ムカデ綱、ヤスデ綱、エダヒゲムシ綱とコムカデ綱の4綱を含む。本研究は3つの核タンパク遺伝子を用いて、多足亜門の綱・目レベルの系統関係の解明および分岐年代と祖先形質の推定を行った。その結果、コムカデ綱が最初に分岐し、その分岐はカンブリア紀初期に遡ることが示唆された。この結果は多足類の初期の分岐は海で行い、複数の系統が独立に陸上進出を果たしたことを示した。ヤスデ綱とムカデ綱内の目間の関係については従来の仮説と一致した。祖先形質の推定の結果、多足類の祖先は半増節変態を行っていたことが示され、体節数と足の数が比較的少なかったことを示唆した。
著者
佐藤 全敏
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

各寺院の歴史書(寺誌)に埋もれていて、これまであまり注目されてこなかった古代文書を発掘し、その集成を行った。また、蔵人(平安時代の天皇の秘書)のマニュアルである『蔵人式』は、現在、さまざまな書物に断片的に引用されて伝わるだけだが、これらの集成を行った。その上で、集成したこれらの史料群を活用して、なかなかおもてに現れにくい、平安時代の朝廷の「政治原理」の展開過程について、さまざまな視角から明らかにした。
著者
加藤 一郎 関口 時正 重川 真紀 西田 諭子 大迫 知佳子
出版者
国立音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究代表者及び研究協力者の関口時正、重川真紀、西田諭子、大迫知佳子は最終年度に『ショパンによるバロック音楽の受容に関する研究』及び『ユゼフ・エルスネル研究』を刊行した。前者は論文集であり、後者はショパンの師ユゼフ・エルスネルの研究書の邦訳書である。代表者はこの他「ショパンとバロックの精神: スティル・ブリゼの応用を通して」北海道ポーランド文化協会,札幌大谷大学,(2016)、「ショパンによるオペラの受容過程に関する実証的研究-ポーランド時代-」国立音楽大学大学院研究年報,28,(2016)、「ショパンによるバロック様式の受容過程に関する研究-ポーランド時代-」同,29,(2017)を発表した。
著者
原 卓志 梶井 一暁 町田 哲 刀田 絵美子
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

地方語史研究とともに、地方史・地方教育史研究に資する文献資料の発掘を通して、当該文献の資料的価値を分析・考察し、当該文献を用いた地方語史・地方史・地方教育史について、以下のような調査研究を行った。まず、徳島県における真言宗寺院である無尽山荘厳院地蔵寺の所蔵文献を用い、教団(高野山)に掌握されつつも、中央寺院を本寺としない無本寺寺院であった無尽山地蔵寺の本末関係の形成過程について、藩や、高野山正智院(法流)との関係とからめながら解明した(町田哲「近世前期阿波国真言宗寺院における本末関係の形成―五番札所・無尽山荘厳院地蔵寺を中心に―」鳴門教育大学研究紀要第37巻)。また、同寺所蔵の縁起関係文書を用いて、資料の少ない中世から近世初頭の同寺住職の修学等の事績について明らかにした(原卓志「無尽山地蔵寺住職に関する覚え書き―中世から近世初頭の住職を中心に―」鳴門教育大学研究紀要第37巻)。また、西本願寺学林(京都)の学籍簿にあたる史料『大衆階次』にもとづいて、徳島県における淨土真宗寺院の修学僧について把握し、修学僧の出身寺院,修学期間,身分などを考察した。また,修学僧を近世私塾の学習者との関係において位置づける視点を提示した(梶井一暁「近世阿波国の修学僧に関する基礎的考察―西本願寺学林の事例から―」岡山大学大学院教育学研究科研究集録179巻)。悉皆調査に関しては、徳島県における新安流の拠点寺院であったと目される正興寺(鳴門市)、童学寺(名西郡石井町)の二ヶ寺で着手した。
著者
日野 輝明
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

糞分析によって,ミヤコザサのある森林内ではササ類を,ドライブウェイ沿いではササ類以外の単子葉類を主に採食していた.シカの個体数は,植物現存量と有意な関係があったが,栄養的には植物の含む繊維量が最も重要であり,カロリーや粗タンパク質の量とは関係がなかった。この結果は,シカのルーメン胃内の微生物共生による採食特性と関係づけられた。一方で,脂肪分の多い広葉樹草本や落ち葉はシカの餌としては好まれないことが分かった。ドライブウェイの法面や路傍に生育するササ以外の単子葉類草本もシカの重要な餌資源となっていたことから,シカの個体数管理においては林内だけでなく林外の植生管理が必要である。
著者
齊藤 稔 青木 孝夫 欒 竹民 幣原 映智 長田 年弘 安西 信一 原 正幸 金田 晋
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は東西の伝統的学芸の価値概念である西洋の自由学芸、日本の芸道、中国の六芸を対象とし、解釈学的に比較することを意図した比較芸術学的共同研究であり、広島市立大学をはじめ広島大学その他の大学の専門家の協力をえて推進した。ヨーロッパにおいては古代から中世を経て近世・近代に至るまで7自由学芸(septem artes liberales)、文法、修辞学、弁証術、数学、幾何学、天文学、音楽はアルス(ars)として、技術・芸術と学問の不可分の領域と見なされ、哲学とともに人間性を探究するための、また教育と教養を培うための学芸であった。古代ローマ時代のキケロはそのような教育と教養が人間存在にとって必要不可欠な徳としての気品(dignitas)を生み出すことを強調し、ルネッサンスにおいてペトラルカは人間社会のためにそのような倫理の必要を説いた。これはまた造形芸術の美質であり目的でもあった。他方レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画を自由学芸と同列に置き、絵画は学問であるとして「絵画学」(scienza della pittura)を主張した。というのは絵画は遠近法や解剖学や光学などを本質的に必要とするからである。日本の芸道は民族的な美的意識であり、芸術の思念と実践を統合する価値概念であった。これはあらゆる美的な生活芸術を貫く芸と術の道としての芸術的営為であり、教化されるべき様式として把握された。また高い徳と美的に教育された人間存在の教養を形成するために求められた。そこでは制作や表現においても、享受や理解においても、つねに帰一すべき根源的自然、あるいは神的超越者を自覚して精進する。芸道は真・善・美を求める人にとって高徳の人間形成のための、また美的形成、美的教養として望まれる必須のアルス(学芸)であった。中国ではさらに古くから六芸として、礼、楽、射、御、書、数の教養思想があり、基本的には人間として修得すべき教養や道徳であり、技芸や学芸であった。その修得は文学や哲学から詩や書・絵画の技術的習練にも結びついた。それは絵画では書画同体、十八画法などの奥義の技法をも含んでいる。本共同研究はこれら3つの概念を比較学的に研究し、それらの類似と相違を明確にするように試みた。それによって3つの美的システムが学芸の領域に属するだけではなく、真・善・美の価値意識の普遍的理念を伴う人間生活全般に深く関わることを理解することができた。そしてこの総合研究の成果は学際的研究への貢献として、それら伝統的学芸とその解釈が美的真実への感性的理性的認識に到達するものであることを示しえたと考えている。
著者
大迫 洋治 由利 和也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究において、一夫一婦制げっ歯類をパートナーと別離させると、炎症時の痛み行動が増悪し、疼痛関連脳領域のうち、前頭前野、側坐核、扁桃体の活動が低下すると同時にこれら脳領域と他の疼痛関連脳領域との機能的結合が変化することが明らかになった。さらに脳内ドーパミン産生ニューロンが豊富に存在する腹側被蓋野における痛み刺激に反応するサブリージョンの興奮パターンが異なることが明らかになった。本研究により、精神的ストレスによる痛みの増悪に脳内ドパミン回路の機能変調が関与する可能性が示唆された。
著者
定金 香里
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

医療現場や家庭、商業施設で使用されている手指消毒薬の有効成分10種について、アトピー性皮膚炎を増悪するかモデルマウスを用いて検討した。炎症を増悪したのは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロサンであった。統計的に有意では無かったが、ポビドンヨード、エタノールも増悪傾向を示した。増悪を認めなかったのはグルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、アクリノール、クロロキシレノール、イソプロピルメチルフェノールであった。増悪には、炎症細胞の活性化や炎症に関わるタンパク産生の亢進が関与していた。
著者
小笹 晃太郎 出島 健司 竹中 洋
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

京都府南部の人口約6000人の町の唯一の公立小中学校の児童生徒を対象として、1994〜98年の5〜6月に質問票と抗原特異的IgE抗体価の血清検査からなる疫学調査を行った(受検率80〜98%)。当該地域のスギ花粉飛散量はダーラム式捕集法により165〜5941個/cm^2であった。スギ花粉特異的IgE抗体(スギIgE抗体)陽性者の割合は43〜56%、スギ花粉抗体陽性で鼻または眼症状のいずれかが3月または4月に3週間以上持続する者(スギ花粉症確定者)は14〜22%で、いずれもスギ花粉飛散量と相関を示した。すなわち、スギIgE抗体CAP-RASTスコア2以上の陽性者でのSpearman's ρ=0.82(p=0.04)、同スコア4以上の陽性者ではρ=0.60(p=0.20)、スギ花粉症確定者ではρ=1.00(p<0.01)であった。また、スギIgE抗体価ごとの有症状者の割合は比較的一定(スコア0で約10%、2で約20%、3で約30%、4以上では約40〜60%にばらつく)であり、スギ花粉飛散量の多い時には、抗体陽性者が多くなるためにスギ花粉症有病率も高くなると考えられた。スギ花粉症状の発現に対する血清中の脂肪酸分画およびサイトカイン活性の関与を評価するために、スギ花粉IgE抗体価高値(CAPスコア4以上)で症状のある者(1群)、抗体価中等度(CAPスコア2-3)で症状のある者(2群)、抗体価中等度で症状のない者(3群)、および抗体陰性で症状のない者(4群)について、各群10人ずつを無作為に抽出して、脂肪酸分画、IFNγ、IL4、IL10およびIL18を測定した。その結果は、いずれの測定値も4群間で有意な差をみとめなかったが、2・3群間の比較から、スギ花粉症中等度陽性の場合には、有症状群の方で飽和脂肪酸、IL4、IL18が高い可能性が示唆された。
著者
福本 学 大野 剛 山本 直樹 鈴木 正敏
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

有害獣として被災地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部被ばく・外部被ばく両方の線量評価を伴った臓器アーカイブを構築し、他研究者へも提供する。アーカイブを用いて被災サルの全身臓器の形態・分子変化を検索し、被ばく線量・線量率との関係を明らかにする。特に甲状腺、水晶体と造血系の変化に留意する。内部被ばく線量率に応じて被災ウシで酸化ストレスが増加しているなど、今までに報告した結果を被災サルで検証し、長期持続被ばくの普遍的な放射線影響を知る。霊長類である被災サルの病理学的解析からヒト放射線防護への直接的な貢献を目指す。
著者
黒岩 政之 阪井 茉有子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【はじめに】深部静脈血栓症予防としての電気的筋肉刺激(以下EMS)の効果を家庭用簡易式電気的筋肉刺激を用い検討した.【方法】健常ボランティア20人を対象にEMS装着前,装着2分後,装着10分後の膝窩静脈と大腿静脈の最高流速を測定した.【結果】EMS装着10分後で膝窩静脈と大腿静脈の最高流速が有意に増加した(p<0.01).【結論】EMSの装着により最高流速が増加し下肢血流が改善することが分かった.
著者
木寺 元 稲垣 浩 小林 悠太 前田 貴洋 林 嶺那
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究の目的は、学歴やジェンダーが個人の職務経験(専門性)に及ぼす影響を解明することを通じて、ジェネラリスト型公務員像を再検討することにある。学術的独自性としては、30年間を超える長期間のデータセットを利用し、日本型雇用の転換期における公務員人事の変容を解明する点が挙げられる。長期間データによる人事分析は、民間部門にはトヨタを対象とする辻(2011)が存在するが、公共部門に関しては行われていない。画期的な大規模データセットを用いることで、大学進学率の向上や女性の社会進出などの日本社会の変動が、公共部門に与えたインパクトを分析可能となる。