著者
佐々木 宣介
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究はコンピュータプログラムによる自動プレイにより大量のゲームのデータを採取するという手法で、将棋の変種、特に「中将棋」と呼ばれる変種のように大きな盤でプレイされる変種において、各種ルールがゲームの性質にどのような影響を与えているか評価を行うものである。平成22年度は、昨年度に引き続き機械学習および自動プレイに関する改善を目指してきた。また、それらの結果を利用し、中将棋の特殊ルールについて考慮した計算機実験を行っている。特に、中将棋における特徴的なルールである、獅子という駒に関する特殊ルール群に着目をし、それらのルールの有無によって、自動プレイによるゲームのデータがどのように異なってくるか自動プレイによる計算機実験を行い、評価を進めている。前述の機械学習等の計算機実験の改善と並行して実施していたこともあり、これらの計算機実験は完全には終了しておらず、現在も実験は継続中であるが、現時点までに得られたデータについての評価を進めている。さらに、将棋類の変種間の類似度評価を行うための数値的な評価尺度について検討を行っている。計算機実験によって得られたゲームのデータについて、ゲームの長さ、合法手の数などといった各要素を個別に比較する他に、いくつかの要素を組み合わせた指標化を行うことを目指している。いくつかの指標化について検討を行い、その指標を用いた変種間の質的類似度の比較を行っている。これらの実験・評価結果については、今後学会等への発表を行っていく予定である。
著者
藤井 守男 佐々木 あや乃
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、神秘主義の発展過程からみて重要性が際立つ3つのペルシア語説教テクストの特徴を明らかにするため、独自の検索機能を設定した「ペルシア語説教テクスト文例対比データベース」を構築した。これを活用することで、13世紀の後半に頂点を迎えるペルシア神秘主義文学の形成過程に、ペルシア語説教テクストが果たした役割の学問史的位置づけを実証的に提示することが可能となった。
著者
津村 紀子
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1998年7月27日から9月15日まで北海道日高衝突帯で地震の臨時観測を行いデータを収集した.観測点は衝突域の先端部と考えられる日高主衝上断層付近から北東方向に3〜5kmの間隔で6点配置した.いずれも商用電源のない地域であるため,バッテリで駆動するレコーダで波形データをDATに連続収録した.刻時にはGPSを利用した.また,地震計の設置・保守時に同地点の岩石について簡単な記載も行った.得られたデータはDATからパーソナルコンピュータ(PC)のハードディスク上に再生した.データ再生用の装置には当初自作のPCを用いる予定だったが,既存のPCを改造する方が費用が削減されることがわかったため,そちらを採用した.この観測期間中北海道大学の微小地震観測網により震源決定された地震は1205個である.この震源データをもとに収録された連続波形データから地震波形データを切り出した.データの再生,切り出しの結果,観測網中央部分の1観測点は機器の不良によりデータが収録できなかったことが判明した.しかし他の観測点では概ね良好な記録が得られている.まず,観測網直下で起こった地震11個について解析を行った.まだ,解析は途中であるが,少なくても1観測点では東西と南北の水平動地震計でS波の着信に差がみられる傾向があることがわかった.今後この差を定量的に評価するため,波形の相互相関を取って調べる予定である.得られた11個の地震はいずれも震源が35〜50km前後で深さ方向への広がりに欠けている.しかし,観測期間中に日本の近傍だけでも数個のM5〜6クラスの深発地震が発生している.これらの地震のScS波を用いることにより浅い部分と深6部分の異方性を分離できる可能性がある.
著者
川那部 浩哉 MKUWAYA Gash KULUKI Kwent 谷田 一三 幸田 正典 桑村 哲生 堀 道雄 柳沢 康信 MKUWAYA Gashagaza Masta KULUKI Kwentenda Menga
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

タンガニイカ湖の沿岸魚類群集は競争的であると同時に協調的な側面を持つ,極めて複雑な種間関係のもとに成立していることが,これまでの調査で明らかになっている。世界の他の淡水域で類をみないまでの魚類群集の多様さは,この湖の地質学的な古さとともに群集の主流を占めるカワスズメ科魚類の可塑的な資質に負っている。固有種によって構成されているこの魚類の系統関係は,以前から継続しーいるアロザイム分析によって求めた。同湖に生息する56属170余種のうち,これまで46属70種について分析を終え,この魚類が少なくとも7つの系統群から構成され,それらが互いに300万年以上も前に分化したものであるという結果を得た。また,同湖の系統群が東アリカ全体のカワスズメ科魚類の「進化的なたまり場(evolutionary reservoir)」になっていることも指摘した。南北に600km近くも延びるタンガニイカ湖では,各魚種の諸形質が湖内で地理的に変異するのみならず,群集の種類組成も地理的に大きく異なる。これまで北部(ザイ-ル国ウビラ周辺)と中部(タンザニア国マハレ周辺)で群集の比較を行ってきたが,昭和63年度および平成元年度に,ザンビア水産庁タンガニイカ湖実験所と共同で,始めて南部(ムプルング周辺)での調査を実施した。岩礁域3ケ所に観察ステ-ションを設け,主にスキュ-バ潜水によって魚類の個体数調査と繁殖・摂食等の行動観察を行った。典型的な岩場の魚類相は,種数で25%,個体数で50%以上が南部固有であり,種数は北部・中部の同じ生息場所に比べて10種以上多く,密度は35%〜50%も少なかった。北部・中部に生息しながら南部にいない数種のニッチは同一の食性ギルドの別種によって占められていた。南部のひとつの特徴は,貝殻を繁殖の巣として利用する特異な1系統群が生息していることである。野外実験の結果,この魚たちは巣の利用に関し寄主一寄生関係にあることが明らかになったが,これは繁殖に関する種間関係の従来の見方について再検討を迫るものである。われわれはこれまでの調査から,摂餌に関する協同的,相互依存的あるいは偏利的な種間関係が重要な群集の構成原理になっていることを強調してきた。今回の調査によってこの仮説を捕完し発展させる2・3の成果を得ることができた。そのうち最も重要なのは,摂餌に関与した形質の個体群内の多型が相当数の種に生じていることの発見である。魚食魚Lepidiolamprologus profundicolaでは,個体群内に6つの固定的あるいは可変的な体色パタ-ンが認められ個々の個体は体色に対応した1・2の限られた狩猟方法を長期間持続して用いた。また,鱗食魚Perissoaus miuolepis plecodus straeleriにおいても,4つまたは2つの色彩多型が存在し,やはり各個体は体色に応じた攻撃方法を用いた。さらに鱗食魚では色彩多型と同時に顎の非対称性も見い出された。この非対称性は,他の魚を襲う時の攻撃方向を決定している。すなわち,右利きの顎をもつ個体は常に他の魚の左体側を,左利きは常に右体側を襲う。これら多型の存在は,被食者側の逃避行動を攪乱する効果をもち,各型が相互に密度依存的な協同的関係にあると推定された。このことは,協同関係が種間のみならず,種内レベルに下がっても重要な原理であることを示唆している。群集内での資源分割が調整的であるのか否かについても,2・3の新らしい知見を得ることができた。共存する藻類食魚数種を実験的に除去しその後の回復過程を観察すると,かつてある種が占めていた場所を同じ種が再び占める傾向が強かった。また,岩場の基質を産卵・保育場所とするLamprolagin族12種の繁殖個体の1年以上にわたる連続除去実験においても,同一場所は同一の種によって繰り返し用いられ,繁殖場所の使用に関する種特異性が極めて高いことが判明した。微小生息場所利用に関する限り,各種が適応している幅は小さく,種間での重なりはほとんどなく非調整的である。大部分が湖内で分化した種によつて構成されているタンガニイカ湖の魚類群集は,既存種の寄せ集めでできた群集とは大幅に異なる原理で編制されている可能性が高い。現地調査で得た資料の解析を現在進めているが,近日中にある程度まとまった説を提示できると考えている。
著者
江 東林
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本年度では、デンドリマールテニウムポルフィリン錯体中心のルテニウム上で、赤外照射により酸素分子の活性化が触媒的に起こるという特異な現象を見いだした。一連のサイズの異なるデンドリマールテニウムポルフィリン錯体をピリジンと共存させ、系内に酸素をバブリングしながら、赤外線を照射した。その結果、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリン錯体の系では、酸素添加反応が起こり、触媒的にピリジンオキシドを与えました。これに対して、サイズの小さなデンドリマールテニウムポルフィリンを用いた場合、ピリジンオキシドの生成は全く観察されなかった。また、基質として、ジメチルスルファイドを用いた場合も、上述と同じ現象が観察された。詳しい検討から、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリンは赤外線捕集アンテナとして機能し、吸収した赤外線エネルギーをコアに送り込み、化学反応を引き起こすということが分かった。これは、今まで全く利用されることのなかった赤外線を用いた分子状酸素活性化のアプローチであり、新しいタイプの人工光合成と言える。
著者
有馬 淑子 畑谷 麻子(三浦 麻子) 行廣 隆次
出版者
京都学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の研究組織は、京都学園大学では新しくネットワークゲームを開発して実験研究にあたり、大阪大学では既存のネットワークゲームを使用した応用研究を分担するものとして構成された。実験研究の主な目的は、仮想世界の中で相互作用を行わせるネットワークRPGの特質を生かして、新しい共有表象の形成過程を検討することであった。平成13年度はネットワークの構築と予備実験が実施された。平成14年度は本実験を行い、情報分配の初期条件とその共有過程が課題表象の形成に及ぼす影響を検討した。実験の結果、情報が早く伝達されるほど正解の認知を促進させるものの、集団の課題解決には結びつかないことが示された。また、2人条件と3人条件の集団過程には差異があり、3人条件の方が集団としての同調行動が発生しやすい傾向が見いだされた。他に、敬語や絵文字の使用傾向は集団内で同期しやすい、私的自己意識が高いほど操作しているキャラクターの外観に合わせた役割行動を取りやすい、などの結果が示された。さらに、各発話に対人関係・課題関連・場依存の3軸で重み付けを行う会話分析方法が開発して、対人認知との関連性が検討された。実験研究の成果としては、情報の共有だけでなく、場を共有しようとする集団過程が課題表象の共有に必要であることが示された。この結果は、社会的共有認知には、視覚的世界と言語的情報の双方が必要であることを示唆している。参与観察研究の結果、現実場面での社会的スキルは低いと認知していても、RPGゲーム場面では積極的に参加できた被験者が存在し、積極的に参加した被験者の自己評価は上がることが示された。この結果は、ネットワークRPGが社会的スキルトレーニングとして応用的な価値があることを示唆するものである。
著者
木内 幹 田中 直義 村橋 鮎美 三星 沙織
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

醗酵食品の嗜好性に対する食文化の一端を明らかにすることを目的として、東南アジア各地で大豆醗酵食品の製造・利用方法を調査し、試料中の風味物質を分析した。食品中に存在する細菌のフロラを解析して、それらの風味物質が生産される過程を推測し、応用の可能性を検討した。調査地は、カンボジア東北部(平成18年2月)、ミャンマー・シャン州東北部(18年10月)、ラオス北部(19年10月)であった。カンボジアには「シエン」と称される大豆醗酵食品が製造・利用されている。シエンは醗酵させた大豆を高濃度の食塩水に入れて1週間以上熟成させる方法で製造される調味料である。これまでの文献にシエンの報告は認められない。ミャンマーには「ペーポ」と、ラオスには「トゥアナオ」と称される大豆醗酵食品が製造されている。いずれも醗酵させた大豆に食塩とトウガラシを主成分とする調味料を添加し、熟成させることで製造されている。調査と分析により、カンボジアとラオスとの間に製造、利用方法に大きな差異のあることが明らかになった。今後は、この地域を詳細に調査したい。ペーポから分離された細菌を用いて新規糸引き納豆の開発を行った。採集した試料29点から同定によりBacillus subtilisを得て、そのうちの42株を蒸煮大豆に生育したコロニーの糸引きから納豆菌として選別した。分離菌の生育最適温度は33℃〜45℃まで広範囲であった。納豆製造試験で10株を選別した。それらの菌株を用いてわが国の納豆は異なる軟らかい納豆などを作ることができた。カンボジアのシエンから134株を分離してスクリーニングを行い、さらに納豆の製造試験を行って10株を選抜した。Bergey's Manual of Systematic Bacteriology第2巻に準拠した同定の結果、白色を呈しコロニー表面がしわ状で、好気性有胞子桿菌であり、それらはいずれもBacillus subtilisであった。
著者
狩野 豊
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

高強度のエキセントリック運動は筋組織の損傷を引き起こす.損傷した組織の筋細胞は浮腫や壊死などを起こしていることが観察される.その一方で,微小循環網を形成している毛細血管の形態的な損傷はほとんど起こらないことが光学顕微鏡による形態観察によって明らかにされた(平成13年度研究実績).しかしながら,毛細血管を形成する血管内皮細胞の微細構造や微小循環血流量などの機能的な能力がエキセントリック運動によって受ける影響については不明である.そこで今年度はラットの運動誘発性の筋損傷モデルにおいて,骨格筋毛細血管の超微細構造を電子顕微鏡によって観察し,さらに運動負荷後(運動1,3,7日後)に見られる安静時の筋血流量の変化について検討した.血流量はマイクロソフェア(Microsphere : MS)法によつて調べた.その結果,光学顕微鏡観察と同様に損傷筋の毛細血管内皮細胞はエキセントリック運動によって構造的なダメージを受けていないことが観察された.また,筋血流量機能については,運動後7日までの安静時筋血流量が対照脚と比較して運動脚では有意に高い結果が示された.そして運動脚の血流量は運動後1,3,7日の順で経時的に低下することが示された.損傷した筋組織では運動3日後までに白血球の浸潤などが活発に見られることから,筋組織内における微小循環血流の高い状態が続いていることが考えられる.以上のように,本研究では損傷筋において毛細血管は正常な形態と機能が保たれていることが明らかにされた,これは運動負荷後に観察される筋血流量の確保に貢献しているものと推察できる.
著者
日合 文雄 中村 美浩
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

本研究は作用素環上の非可換確率論と非可換力学系を解明することを目的とした。非可換の確率論・積分論は通常Von Neumann環(以下、V.N.環)上で定式化され、確率測度または測度に相当するものとして正規な状態または荷重が用いられる。状態または荷重がトレースとなる場合は従来より盛んに研究されている。通常の古典的確率論はV.N.環が可換な場合として非可換確率論に包含される。以下に本研究で得られた主要な成果を述べる。1.行列論、作用素論において、固有値と特異値(s-number)の概念は重要であり、これらを用いて定義されるmajorizationと呼ばれる順序は作用素のノルム不等式や作用素から各種の空間の研究に有用である。これらのs-numberとmajorizationの理論はトレースをもつ一般のV.N.環上で定式化できる。日合はV.N.環上でmajorizationとstochastic写像の関係を解明した。行列の和と積のs-numberに関して基本的なmajorizationが知られているが、日合・中村はこれらをV.N.環に付随する可測作用素の場合に拡張して証明し、これからいくつかのノルム不等式を導いた。2.古典的確率論において重要な条件付期待値とマルチンゲールの理論は非可換確率論でも大きなテーマである。日合・塚田はV.N.環上の状態または荷重に関する非可換【L^p】空間において条件付期待を考察し、【L^p】ノルムでのマルチンゲール収束を確立した。3.作用素環の間の写像に対しては、完全正値性に基づく順序が最も自然である。これまで線形な完全正値写像が考察されていたが、安藤・ChoiおよびArvesonは非線形な完全正値写像の表現定理を最近与えた。これを発展させて、日合・中村は非線形完全正値写像の表現問題と拡張問題を解明した。
著者
河東 泰之
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

作用素環論と,共形場理論,量子3次元トポロジーなどとの関連のうち,本年度は,quantum doubleとの関連,およびorbifold constructionの関数解析的側面について研究を行った.Drinfel′dの創始した,quantum doubleと呼ばれる構成法は,量子群の理論において基本的なものである.これは,Hopf algebraに対して適用されるが,Ocneanuは,彼が1987年に導入した,asymptotic inclusionという構成が,(有限次元Hopf algebraの拡張である)paragroupniに対するquantum double constructionと見なせるということを主張した.彼は例によって論文を書かなかったので,この主張の正確な意味と証明について,彼の講演に基づいてEvansと共同研究し,その成果を論文とした.3次元位相的量子場の理論との関連もそこに書かれている.次に,私とEvansが創始したsubfactor理論におけるorbifold constructionに現れるflatnessのobstructionについて研究した.これについては,最初私の1990年の代数的研究があり,その後Xuによって,共形場理論における共形次元との関連がわかっていた.私は,今度これを作用素環論における伝統的な超積の方法と組み合せ,Jonesが1980年に導入したκ不変量の相対比との関係を明らかにした.すなわち,最も典型的なWenzl seriesと呼ばれるsubfactorの場合orbifold constructionにおけるflatnessのobstructionが消えることと,もとのsubfactorno相対κ不変量が消えることが同値になるのである.これには,私が1992年に導入した相対Connes不変量χを用いる.さらに,相対Jones不変量κの一般論も研究した.
著者
町田 千代子 小島 晶子 町田 泰則
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

植物の重要な器官の一つである葉の発生分化の制御機構を解明することは、植物の形づくりとその多様化の仕組みを理解する上で極めて重要である。葉は、扁平であり、葉身の中央にある太い中肋を中心として左右相称である。本研究は、このような特徴をもつ葉状器官の左右相称的発生分化の分子機構を解明することを目的とした。そのために、シロイヌナズナの葉の左右相称的形成に異常を示すasymmetric leaves1(as1)とasymmetric leaves2(as2)変異体の分子遺伝学的解析を行った。すでに、我々は、AS1、AS2は、葉の分化過程において、幹細胞の維持に関わると考えられているホメオボックス遺伝子KNAT1,KNAT2,KNAT6の発現を葉で抑制することを明かにし、完全な中肋の分化に必須であり、左右の協調的細胞分裂をコントロールする機能をもつ可能性を示唆した(Semiarti et al.,2001)。さらに、AS2遺伝子をクローニングした結果、AS2遺伝子は、cysteineに富む特徴的な配列(C-motifと命名)とLeucine zipper様配列をもつ新奇なタンパク質をコードし、これらの配列を含む約100アミノ酸の領域は植物で広く保存されていた(AS2ドメインと命名)。また、AS2ドメインをもつ新奇なタンパク質ファミリーをAS2ファミリーと命名した(Iwakawa et al.,2002)。一方、AS1はMybドメインをもつ転写因子をコードしていることが報告されている。さらに、我々は、遺伝学的解析結果からAS1、AS2が同じ経路で機能していること、また、in vitroではAS1、AS2タンパク質が会合しているという結果を得た。このように、AS1、AS2が葉状器官の発生の初期過程で共同して機能し、葉の細胞を分化状態に保つことが、左右相称的で扁平な葉の形成において重要であると考えられる。
著者
亀田 貴之
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

テフロンフィルター上に保持させた黄砂上のピレンとNO_2との気-固不均一反応を検討した。その結果,生成物として1-ニトロピレン(1-NP)を検出した。生成1-NPの濃度は,反応時間1~2時間で最大となり,その後徐々に減少した。一方,反応開始4時間後からジニトロピレンの生成も確認され,その濃度は8時間の反応後最大に達した。これらニトロピレンの生成は,黄砂粒子の触媒作用により加速されたものと推察される。
著者
荒井 正之
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

TCP/IPにおけるアプリケーションプロトコルの学習を目的とした可視化システムを開発した.本システムは以下の特徴をもつ.(1)アプリケーションプロトコルに特化した可視化システム(2)新しいアプリケーションプロトコルや既存のアプリケーションプロトコルのバージョンアップに適用可能(3)アプリケーションプロトコルのメッセージをリクエスト/レスポンス,付加情報,添付ファイルの別に表示可能(4)アプリケーションプロトコルの通信手順の表示可能(5)リクエスト/レスポンスや付加情報の説明が可能
著者
古賀 沙絵子
出版者
明光学園中学校・高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

1.研究目的本研究は、卓上実験(マクロな視点)と分子運動のアニメーション(ミクロな視点)を連動させてリアルタイム表示できるバーチャルラボラトリーを開発することを目的とする。2.研究方法(1)気体の状態変化実験装置の作成200mlの注射器内に高度計測センサーを取り付け、気体の温度と圧力を測定できるようにした。またセンサーのコードは注射器の先端から取り出せるようにし、電子計測装置と接続した。(2)バーチャルラボラトリーの作成(1)の卓上実験装置から得られる圧力データと温度データとを電子計測装置を用いてデジタル化し、実験用ノートPCに取り込んだ。実験データから分子の運動をリアルタイムに表示できるシミュレーションプログラム(バーチャルラボラトリー)を作成した。(3)授業実践と評価今後、これまで行ってきた卓上実験と分子運動のアニメーションを別々に用いる授業と、二つをリアルタイムに連動させて表示するバーチャルラボラトリーを用いる授業を行う予定である。そして作成したバーチャルラボラトリーの有効性を評価し、その結果に基づいたバーチャルラボラトリーの改良を検討する。3.研究成果本研究によって、シリンダー中の気体というマクロな視点と、分子運動というミクロな視点をつなぎ、気体の圧力・温度・体積の関係などの熱力学的理解を促進できる教育システムを開発することができた。本教育システムを活用することは、生徒が熱力学現象に興味を持ち、エネルギー概念を身につけるという教育的意義を有するものである。
著者
西川 喜良 藤原 儀直 北川 重太郎 木村 吉武 友近 理郎
出版者
甲南大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

概念チャートDBと教育評価DBを統一したMY・DBのマニュアルを作成した. また, UNIXマシンのCシエルコマンドを利用した概念チャートDBを作成すると共にそのシステムの使用説明書を作成した. 概念チャートDBを教育に活用し, その結果は, 物理概念のDB, 経営情報(処理)DBとそれぞれ別々に国際学会に報告する. 教育評価DBについては, 実際に教育に活用した結果をも報告する. 上記マニュアル類, 論文などを集めて別冊の報告書を作成したので, その詳細についてはこの別冊の報告書を参照されたい.
著者
稲田 有史 中村 達雄
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究はそれを末梢神経の痛みを伴う患者に適応したとき、偶然に発見した驚くべき事実、即ちこれまで不可逆と考えられていたCRPSが、局所の障害を受けた神経を切除して、健全な末梢神経を再生されることによって、治癒するという事実を解明した。本研究ではこの局所の再生治癒機転を病理的に解明することから開始した。こういうアプローチは臨床では従来されてこなかったものであり、これまで治のみならず世界的にもかつて例がない。平成22年度に行った研究とその成果は下記の如くである。1) 局所の末梢神経損傷が周囲に与える影響を病理組織学的に検討した。臨床的に我々が初めて確認したカウザルギーの範囲に一致して損傷部位の神経からsproutingが生じるという事実を動物実験で検証した。2) 再生する末梢神経が中枢に与えるメカニズムを解明した。脊髄神経管の活動電位を測定し、神経線維、特にC fiberの再生を評価した。併せて神経の活動電位の回復も調べた。3) ビーグル犬のperoneal nerveの浅枝に微小電極を刺入して、単位感覚神経の活動電位を記録できるシステムを構成した。再生神経が触覚、熱覚、機械刺戟に対してどのように反応するか検討した。またマンシェット圧迫やエタノール注入によりA線維を遮断してCNAPがどのように変化するか、交感神経ブロックにより再生神経の活動電位がどのような影響を受け、これは正常の神経の回復の各時期においてどう違うか調べた。これらの研究の結果より新しい理論として「総和仮説」を提唱した。この理論は運動器疼痛に対する外科治療の新たな地平を切り拓くものとして注目されている。
著者
松田 尚樹 工藤 崇 中山 守雄 井原 誠 岡市 協生 吉田 正博
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

放射性ヨウ素による内部被ばくの影響を検出する新しい評価系の開発をin vitro、in vivoの両面から試み、その結果を住民とのリスクコミュニケーションを通して不安緩和に随時応用した。In vitroではI-131を取り込んだラット甲状腺培養細胞の生存率、DNA損傷、シグナル系が急性照射とは異なる応答を示す結果を得た。In vivoでは、I-131を用いるSPECTの実現可能性は確認されたものの、内部被ばく検出とその健康リスク評価については、さらに複数の核種、プローブを駆使して開発を進める必要が残された。このような実験結果は、リスクコミュニケーションを進める上での重要な素材となった。
著者
高木 彰彦 遠城 明雄 荒山 正彦 島津 俊之 中島 弘二 山野 正彦 源 昌久 山本 健児 熊谷 圭知 水内 俊雄 久武 哲也 山野 正彦 源 昌久 山本 健兒 熊谷 圭知 水内 俊雄 内田 忠賢 堤 研二 山崎 孝史 大城 直樹 福田 珠己 今里 悟之 加藤 政洋 神田 孝治 野澤 秀樹 森 正人 柴田 陽一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

公共空間と場所アイデンティティの再編について、地理思想史、理論的研究、経験的研究の観点から検討を行った。研究成果として、『空間・社会・地理思想』10(2006)、『空間・社会・地理思想』11(2007)、『空間・社会・地理思想』12(2008)を毎年刊行したほか、英文報告書として『Reorganization of public spaces and identity of place in the time of globalization : Japanese contribution to the history of geographical thought(10)』(2009)を刊行した。
著者
池田 和彦 額田 敏秀 池田 研二
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

3年研究の初年度、米国スタンレー財団精神疾患脳バンクより分与された疾患(統合失調症・双極性障害・大うつ病)・対照脳の前頭葉および側頭葉組織の遺伝子発現をDNAチップおよびTaqMan法でしらべたところ、ニューロペプチドY遺伝子の発現は、統合失調症(精神分裂病)の前頭葉で有意に減少していることを見いだした。次年度は、理研・加藤忠史氏との共同研究で同スタンレー試料前頭葉60検体について60個のDNAチップを用いて個別に比較検討し、統合失調症前頭葉でニューロペプチドY遺伝子の発現が低下することを確認した。ニューロペプチドY遺伝子の発現低下は、検索対象の年齢、性別、死後時間、服薬量とは関係しないことから、ニューロペプチドY遺伝子発現の低下が統合失調症の病態と関連している可能性が考えられた。そこで最終の本年度は、ニューロペプチトY遺伝子をターゲットとして、統合失調症患者と健常者に差がみとめられるかとうかをしらべた。ヒトのニューロペプチトY遺伝子の9カ所に1塩基置換の多型もみつけた。このうち7つはデータベースに存在しない新規のものであった。統合失調症群と健常者群のあいだでこれららの多型の出現頻度がことなるかどうかをしらべた。この結果、-485C>T多型は統合失調症の遺伝子リスクファクターであることか明らかになった。
著者
神森 眞 天野 定雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

テロメア長測定による正常細胞と癌細胞の鑑別法(特願2005-55726)(2005/3/1)に基づき、食道癌および食道組織で、組織切片上でQ-FISH法により細胞ごとのテロメア長を比較する方法を確立し,これを報告した(Oncology,Kammori, et al)。この方法を利用し、甲状腺乳頭癌では、腫瘍径が20mm(T2)を超え内深頚リンパ節領域まで転移を示す進行癌で他の正常組織と比較し有意にテロメア短縮が出現していた。また、正常濾胞細胞は老化に伴い有意にテロメア短縮を示したが、その他の正常細胞(線維芽細胞等)では有意差をみとめなかった。(下記、学会発表)甲状腺乳頭癌の未分化転化には、老化と腫瘍の増大が関与していると推測される。腫瘍径に依存してテロメア短縮が起きていることとその背景因子である濾胞細胞が老化によるテロメア短縮を認めることは、これらを支持する結果である。甲状腺未分化癌の培養細胞であるOCUT-1を用いた実験(IntJMol Med,Kammori, et al)では、未分化癌はテロメラーゼ活性を維持しつつも他の正常細胞と比較して有意に短いテロメア長を有していた。また、正常な染色体以外に特異的にsubtelomereの欠損を認める11番染色体の増加を認め、テロメア-subtelomere機構が甲状腺癌の未化転化と関係している可能性が示唆された。今後、上記の研究成果を踏まえて、甲状腺分化癌の未分化転化への進展の究明を継続していく予定である。