著者
伊藤 昭彦
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最近、酵素処理によりIgA腎症の糖鎖不全IgA1を検出する方法が開発され用いられている。そこで、我々は血清タンパクからシアル酸を取り除くために酸処理を行った。これを用いると、血清での異常IgA1の感度がおよそ100倍に上昇した。扁桃では異常IgA1の割合が多く、血清中のaIgAの供給源になっている可能性があると考えられる。シアル酸の除去が反応性を上げるのではなく、異常IgAの複合体が異常IgAの感度上昇に最も関わっていると考えられる。
著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
杉山 淳司 馬場 啓一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

低温ホルダが納入されたことによって、水溶液を直接顕微鏡に持ち込み、観察することができるようになった。予備実験では、酵素分解の相乗効果に加えて、セルロースそのものの構造が、分解プロセスに影響与えることが示唆された。そこで分解過程のセルロース懸濁液を経時的にサンプリングし、高い分解能で観察することを試みた。ところが、低温ホルダと同時に納入された試料汚染防止装置のギャップ間の距離が、既存の電子顕微鏡のポールピースの磁極間距離にあわないことや、その電源から低周波の振動が冷却フィンに伝わることで、まともに高解像度の画像が取れない等の不具合が生じた。このような問題点を克服するためにかなりの時間を浪費し、いまだに未解決の問題もあるものの、現段階では試料ホルダを40度近く傾斜でき、低温の実験に用いることができるようになった。像室については未だに未解決の問題があるが、電子回折を得るには最高の試料観察条件を整えることができた。そこで当初の研究プロジェクトを一部修正して、セルロースが還元末端あるいは非還元末端のいずれから合成されるかを決定するテーマに取り組むこととした。これまでの研究で大きな進展がみられ、セルロースの分子鎖の還元末端が生体の外側に向くように、つまりできあがった分子鎖の非還元末端に、モノマーが付加重合されることを、実験的に初めて証明することができた。
著者
甲賀 かをり
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

妊娠高血圧症候群の病因として、胎盤の形成不全と、それによって胎盤から母体血流へ分泌されるsFlt1などの血管新生抑制因子の関連が知られている。今回の研究により①血栓形成などの際に生成するトロンビンが血管新生抑制因子であるsFlt1の胎盤での産生を刺激すること、②血管新生抑制因子であるsFlt1および血管新生因子であるPlacental growth factor (PlGF)の血中濃度を測定することにより、本症の予知が可能であること、が明らかになった。
著者
大山 智子 (五輪 智子)
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

レジストを用いた軟X線顕微鏡の開発を実現するため、「(1)レジストの放射線化学反応の解明と高感度レジストの選定」及び「(2)撮像試験」を行った。(1)これまでの研究で有力候補となったZEPレジスト(日本ゼオン)について電子線照射後の生成物分析を行った。また、文部科学省の「物質・デバイス領域共同研究拠点共同研究」の支援を受けて大阪大学産業科学研究所のL-band Linacにてパルスラジオリシス実験を行い、塩素含有レジストが複数の経路で高効率に主鎖切断反応を起こすことが分かった。さらに、大型放射光施設SPring8の分光単色X線を用い、各種レジストの感度を測定した。感度は照射波長に依存し大きく変化したが、感度に相当する吸収線量は照射波長に依らずほぼ一定であった。さらに、この値は電子線照射時の吸収線量ともおおよそ一致した。この結果から、レジストの吸収係数とある一つの波長における感度が与えられれば、どの波長での感度も理論的に予測できる。実際に予測感度と実測感度はほぼ等しい値を示した。この感度予測法は、今後の高感度レジストの選択や新規開発に有益な情報を与えるものである。(2)ZEPレジストを用いて、SPring8の分光単色X線で撮像試験を行った。窒化ケイ素ナノ粒子の撮像に成功し、粒子が凝集している様子が100nm以下の高分解能でレジスト上に記録された。さらに、窒素のK殻吸収端前後での像を比較したところ、窒素の吸収が大きい波長のX線を用いた場合、より高コントラストな撮像ができていることが分かった。この結果は近く論文等で発表する予定である。今後撮像条件の最適化などを行い、実用化に向けた検討を引き続き行っていきたい。以上の結果より、レジストの放射線化学反応を利用した高分解能X線撮像と元素マッピングの原理実証に成功し、本研究の目標は達成されたと考えている。本研究の成果は論文や国際学会において社会に還元し、評価を得た。
著者
近藤 文代
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は重大事件ニュースがPOSデータに表れる消費者の行動に与える影響を測定することである。消費者の行動の記録を重大事件に関連した商品の売り上げと捉え、それと報道との関係についてPOSデータを使用してARIMAモデルによる干渉分析を行い、統計的に有意なBSE問題のニュースの影響を確認することができた。さらに、地域差をモデル化するために、階層ベイズ手法によるBayesian Sampling-based ARMA モデルを構築し、モデル間でのPOSデータ分析の比較を行った。
著者
権田 幸祐
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

がん転移は脈管(リンパ管、血管)を通して起こるが、リンパ行性転移は、血行性転移よりも病初期段階において進行が観測されるために、がん転移早期診断の格好の指標となる。本研究では、(1)独自担がんマウスを使ったリンパ節転移機構の解析、(2)異なるイメージングモダリティを利用した転移リンパ節検出法の開発、(3)手術で摘出したがん組織(原発巣や転移リンパ節)の高精度病理診断法の開発、以上の研究を主に行い、がんリンパ行性転移メカニズムの解明とその概念に基づく新たながん転移診断法の開発を目指した。
著者
比嘉 邦彦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

分散環境下でのグループ学習を支援するためのツールであるGroup Memory Support System (GMSS)の活用よる効果的支援方法を調査・提案し、その有効性を検証することを目的として実施し、次のような検証結果を得た:①GMSSログをソーシャルプレゼンスの代理指標として検証した結果、GMSSの機能と代理指標との間には十分な相関が見られなかったが、代理指標と学習移転には中程度の相関が見られた。②GMSSの活用度合と学習に対する満足度の間に相関関係が確認された。③新たに提案した「参加型ファシリテーター」の存在が、発言数や発言階層などから見て議論を活性化させることが確認された。
著者
徳永 正二郎 FRIEDEN Jeff 池間 誠 ANDERSON Kym NOORDIN Sopi EATON Jonath WONG John 大野 健一 中本 悟 PAULEY Louis 中尾 茂夫 DEKLE Robert 高坂 章 UNGER Daniel 花崎 正晴 FRANKEL Jeff ARIFF Mohame PAULY Louis LINCOLN Edwa KIM Chang So 楊 秀吉 桜井 真
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、(1)日本、アジアNIEs、ASEAN、中国へと連鎖したアジア経済のダイナミックな発展とそれに平行して現実性を持ちはじめた太平洋両岸の地域経済圈形成(「北米自由貿易協定」を軸としたアメリカ大陸自由貿易圈形成並びに「東アジア経済協議体(East Asia Economic Caucus)」にみられるアジア経済圏形成)の動きがみられるが、それら両者はどのような相関性および相互作用を持っているか、(2)アジア地域経済において日本・アジアNIEs、ASEAN、中国を中心に相互依存の関係が深化拡大しているが、そのプロセスでアジア諸国、日本、米国において経済・通商政策に変化がみられるかどうか、また発展の程度や立場を異にする諸国経済の経済・通商・投資・金融政策相互の間にいかなる軋轢や収歛(convergence)がみられるか、(3)アジア及び北米における地域主義の台頭が日米の政治・経済関係にどのような影響を及ぼし、日米関係がいかなる方向に変容しつつあるか、という設問の上で、調査研究を進めてきた。この作業は、アジア経済の成長と日米関係の変容という二つの(複眼的)分析視角のもとで、ポスト冷戦期の世界経済秩序を展望することを意図している。初年度(1993年度)には、アジアと北米の地域主義に焦点を当て、その問題を軸に(1)地域経済の発展とアジア太平洋地域経済秩序、(2)アジア太平洋経済における日本と米国、(3)アジア太平洋地域経済の発展-課題と展望という3つのセッションに分かれて調査研究した(九州大学にてワークショップを開催し、Asian Economic Dynamism and New Asia-Pacific Economic Orderとして刊行)。次年度(1994年度)には、東南アジアにおける実態調査を行い、ポスト冷戦期という政治的経済的世界システムの再編過程で発生している通商・金融・援助等多岐にわたる日米間の経済的摩擦がアジアの成長とどのように関係しているか、またアジアにおける地域主義の実態について分析した(タイ王国チュラロンコン大学経済学部及び国際経済研究所の協力で、本プロジェクトの共同研究者とチュラロンコン大学、タマサート大学その他研究機関の研究者とが一堂に会してワークショップを開催した)。本年度(1995年度)の研究テーマは、初年度と次年度の研究成果を踏まえて、「アジアにおける経済成長、社会経済的変容及び地域主義」を日米双方の立場から調査研究した。この調査には、アジア金融市場及びアジア域内資金フローの研究に業績をあげている奥田英信(一橋大学講師)、ベトナムやラオスなどインドシナ半島の社会経済問題のエキスパートであるモンテス(Manuel F.Montes;ハワイ東西センター研究員)、日本研究のエキスパートであるモリソン(Charles Morrison;ハワイ東西センター)、韓国の対外経済研究の第一人者であるリ-(Lee H.Chun;ハワイ大学韓国研究所所長)及び米国における日本研究の先導者モチヅキ(Michael M.Mochizuki;ブルッキングズ研究所主任研究員)を研究協力者として招き、ハワイ東西センターでワークショップを開催した。これは、角度を変えてみれば、アジア地域の社会経済的発展を日米関係を通して調査研究することであり、アジア太平洋の新しい経済秩序を構成する二つのファクター(すなわち、「アジアの成長・社会経済の変容・地域主義」という古いシステムを破壊するファクターと「日米基軸」という伝統的ファクター)の相関性と相互作用について認識を深めることにつながった。1994年度及び1995年度の研究成果は、初年度同様公刊の予定である。
著者
岸本 寛史 斎藤 清二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は次の4点である。(1)バウムテストの創始者であるKarl Kochの基本姿勢をドイツ語原著に基づいて明らかにする。(2)『英訳版』とその本訳である『邦訳版』の問題点を明らかにする。(3)我が国へのバウムテストの導入過程を検討する。(4)バウムテストを臨床的に発展させるために事例研究のスタイルについて検討する。結果の概要は次の通りである。(1)コッホはバウムテストを心理診断の補助手段として位置づけようとしていたが、意味論的分析をという手法を用いて、コッホが意図していた「心理診断」を明らかにした。その結果、コッホは判別診断を最終目標としていたのではなく、それも組み込んだ形での総合診断、バウムと描き手とを重ねる形での見立てを目指していたことが明確になった。(2)コッホが示している事例解釈の部分を、ドイツ語原著、英訳版、邦訳版を対比させながら翻訳の問題点を明らかにした。コッホはバウムのイメージを持ち続ける中で開けてくる直感を大切にする、優れた描写はそのまま解釈になる、バウムのイメージを各種の指標を使いながら外からみると同時に、イメージの中に入り込んで内側から見る、被験者への責任感、といった基本姿勢が理解されていないために、邦訳版ではそこで示されている解釈が読者には理解できないものになってしまったと思われた。(3)バウムテストの導入過程については、文献的検討により、邦訳者はコッホの原著の中でも主として発達診断的側面と空間象徴に基づく解釈仮説を盛んに紹介していたが、上記のようなコッホの基本姿勢が紹介されないため、これらの指標や仮説が一人歩きしていることが懸念された。(4)臨床的発展のためにバウムテストの事例研究を行うことが不可欠であるが、そのスタイルについては、従来の全経過を検討するようなスタイルだけでなく、ワンセッションにフォーカスを当てた事例研究が必要だと思われた。
著者
一宮 慎吾 氷見 徹夫 佐藤 昇志
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)は高親和性抗体の産生に重要で、また可塑性を示す一方、ヒトTfh細胞の機能制御機構や疾患との関連については未だ不明な点が多い。本研究では臨床検体を用いてヒトTfh細胞の医学的意義や機能制御機構を探ることを目的とした。研究の結果、Tfh細胞は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因である肥大扁桃に多く含まれ、またアレルギー性鼻炎や気管支喘息患者の末梢血液中のTfh細胞サブセットの構成比が健常人と比較して異なっていた。不均衡な分化を示すTfhシフトあるいはTfh2シフトに、ALOX5関連脂質メディエーターやPOU2AF1転写制御因子が関係している可能性が見出された。
著者
加藤 幹郎 田代 真
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

21世紀の日常生活は、ヴァーチュアル・リアリティ化され、それがインタラクティヴィティと呼ばれる、主体と客体との間の「柔らかい」相互干渉性である。この環境は、人間の身体/精神になんらかの回復不可能な傷痕を残し、新たな身体/精神機制を構築することになる。そこではデカルト的二元論によって規定されてきた近代心身二元論がきわめて希薄化される。
著者
豊川 秀訓 鈴木 昌世
出版者
(財)高輝度光科学研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

半導体放射線検出器の電子等価雑音は電子・正孔密度(n_e,n_h)に支配され、指数関数的な温度依存性n_e=n_h∝exp(-E_<th>/kT)を示す(E_<th>:活性化エネルギー、T:温度、k:ボルツマン定数)。E_<th>=1.1eVであるシリコンではT=25℃に於ける電子・正孔密度が10^<10>cm^<-3>程度となり、室温動作が可能になる。一方、E_<th>=0.7eVであるゲルマニウムでは、同温度で、10^<13>cm^<-3>となり冷却動作が必須で、放射線計測の常識として液体窒素温度に冷却して使用されている。しかし、近室温領域(T=-65℃)ではゲルマニウム中の電子・正孔密度も室温に於けるシリコンのそれと同程度に減少する事が予想される。更に、この熱雑音電流は、Ge結晶中に一様に存在し、素子体積に比例し、本研究で最終的に想定するピクセルサイズ100μm角程度の微小空乏層に関しては、熱雑音電流が100nA以下に減少することが予想される。一方、入射放射線励起の電子正孔対は、体積には依存せずに、入射放射線の持つエネルギーに比例し、かつ数100μm角程度の微小領域で発生する。この事実は、数100μm角サイズのGe検出器では、暗電流が著しく軽減され、近室温で動作する可能性を示唆する。上記の趣旨に基づき、単素子1mm角の単素子微小Geセンサーを製作した結果、熱雑音電流が室温(22℃)でさえも10μA程度に抑えられ、近室温の-73℃ではさらに2桁程度減少する事を確認した。この結果は、ピクセル化した際の基本的なサイズ、0.2×0.2×0.3mm^3では、約30nA程度になる事を意味し、本課題の目的である近室温で動作が可能である事を示唆する。ただし、印加電圧10V以上では、表面電流の影響と考えられる暗電流の増加が問題となった。この表面電流の影響を防ぐ為に、最終的に、ガードリング付き単電極素子(素子サイズ5mm×5mm×0.5mm、電極面積2mm×2mm)、ガードリング付き多電極型素子(素子サイズ5mm×5mm×0.5mm、電極面積0.75mm×0.75mm、電極数2×2個)を製作した。本研究の結果は、2003年春季応用物理学会(「ゲルマニウム検出器の温度特性」、神奈川大学)、日本物理学会2003年秋季大会(「微小ゲルマニウム検出器の温度特性」、岡山大学)、及び、同学会第59会年次大会(「微小ゲルマニウム検出器の温度特性II」、九州大学)に於いて口頭発表を行った。また、国際会議SRI2003に於いてポスターセッション発表を行った。
著者
飯田 克弘
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,平成9年度において(1)駅での乗り換え行動の把握,(2)移動手段別の負担感の比較,(3)乗り換え行動の負担の算出について調査および分析を行った.平成10年度では,これらの成果を踏まえた上で,分析対象とする行動を自宅を起点とした外出行動に拡大し,検討項目を追加した.そして2箇年の成果を総合化することで公共交通機関を利用した移動環境の評価を試みた.具体的にはまず,大阪府豊中市全域を対象として,市民の外出行動の状況を訪問回収方式のアンケート調査により把握した.この調査の中では,個人の社会的属性以外に,公共交通利用環境(例えば,主に利用する経路,利用交通機関,交通費など)を調査すると同時に,現在の経路を選択する理由,代替経路の有無,現状の施設整備・運賃制度・情報提供に対する不満・問題点を調査した.そして,これらの調査結果を分析することで,乗り換え行動に影響を及ぼす施設面の問題に加えて,金銭的な負担や情報収集の問題と外出行動との関係を明らかにした.さらに,施設利用面,金銭負担面,情報収集面からの評価指標の相互関係を考慮した上で外出行動(主として外出頻度)との関係をモデル化することで,総合的な公共交通機関利用環境評価を行った.
著者
新井 豊子 富取 正彦 村田 英幸
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、独自開発した電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光法(Biasnc-AFM/S)を発展させ、試料表面上の原子と探針先端原子との間の結合形成の過程・電子状態の変化を明らかにすることを目的とした。このために高感度力センサーの開発、電子回路の高感度化により探針試料間相互作用力、電流、エネルギー散逸の高感度同時計測を実現した。シリコン-シリコン原子間の共有結合力は、局所電子状態密度に強く依存していることを明らかにした。
著者
井上 義一 中田 光
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

我々は、抗GM-CSF自己抗体を基盤とした肺胞蛋白症(PAP)診断のアルゴリズムを確立し、国内PAP患者の集積を行った。新潟大学と国立病院機構近畿中央胸部疾患センターで症例データベースを作成(248例)、米国シンシナテイ子供医療センター等と国際共同疫学調査として解析を行った。わが国初、世界最大規模の特発性PAP(多くは自己免疫性PAP)の疫学データを発表し臨床像を明らかにした。更に欧米と共同で国際登録及び比較を開始するに至った。
著者
関口 正司 清水 靖久 鏑木 政彦 木村 俊道 井柳 美紀 竹島 博之
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、今後の日本における市民型教養のあり方を探るために、日本、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカにおける<教養>の思想を歴史的に解明した。研究に際しては、思想を比較の視座から立体的に捉えることに留意するとともに、政治的教養という点を強く意識した。研究の結果、抽象的知識ばかりでなく実践的な行為や所作のあり方までを教養に取り入れようとする興味深い企てが、様々な歴史的文脈の中で息づいていたことが確認できた。
著者
赤間 啓之 仁科 喜久子 清水 由美子 三宅 真紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グラフ理論に新しい計算手法を導入し、1)文献資源のトピックスを対象としたオントロジーの半自動生成と2)日英の双方に関し、連想概念情報検索システム-連想作文支援システムの開発(教育・学習資源の構築)に同時に適用する試み、3)日英双方の辞書資源(学研国語大辞典、WordNet)の意味ネットワークを介したシソーラスの自動生成や、4)様々な文献資源、特にフランス語の思想書(カバニス、メスメル)、小説(サンティグチュペリ)のトピックスの潜在的な意味分析を行った。特にグラフクラスタリング技術であるMCLを改良し、その結果をRMCLnet(グラフクラスタリング表示検索システム)、ACSS(連想作文等創造的発想支援システム)という、Web情報検索システムの形で公開した。また、国語辞典の意味ネットワーク形成にも応用すべく、形態素解析の後の人手によるチェック、特にひらがなに開かれた同音異義語の選定作業を行った。これらの成果は、国内外の学会(LREC2006, ICALT2006、 PACLIC21、 PACLNG-2007、 ED-MEIDIA2007など)で発表されている。RMCLは、収束段階で非連結になったMCLのクラスター結果を再入力し、クラスタリングの計算段階で過去に記録された隣接関係を復元して、それをもとに潜在的な隣接関係を復元したうえで、MCLを反復しておこなうものである。また、ハブ語のまわりにサイズの大きすぎるコアクラスターが生成したり、1クラスター1語というシングルトン・クラスターが生成したりする場合に、事後的にサイズ調整を行なうため、潜在隣接の概念を導入し、それをもとにしたBMCL(潜在隣接クラスタリング)という方法を編み出した。
著者
菊田 健作 木庭 淳
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有限グラフ上の探索問題において、探索者の初期位置が特定されていない場合の数理的解析を行い最適戦略やゲームの値を求めた。また、同じグラフ上の複数の探索問題を総合的に考えて、協力ゲームのコアを応用する事により、統合による探索費用の節約額の再分配を考えた。費用が非加法的であるような探索問題の解析を新しく始めた。一方、分散システムにおける故障発見への応用をもつ偵察問題を輸送船とテロリストの間の多段階2人ゼロ和ゲームとして定式化した.輸送船は偵察ボートを備えていて機雷を発見・除去できるが,費用が小さくなるように偵察ボートを出す時期を決定する.テロリストの機雷の仕掛け方を二通り想定しそれぞれを考察した。
著者
西島 博樹 山口 夕妃子 岩永 忠康 柳 純
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東アジア地域における小売行動と小売構造の動態分析を実施した。グローバリゼーションにおける小売行動の実態調査として、東アジア地域に進出している日系小売企業にインタビュー調査を実施した。また、消費者行動の変化を調査する目的で中国地方都市の商店街において現地消費者を対象としたアンケート調査を実施した。国際化という大きな波は東アジア地域の小売行動に大きな影響を及ぼしているが、同時に、地域の独自性への対応もまた必要であることが明らかとなった。