著者
岡田 守人 伊藤 彰彦
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

がん浸潤部において高発現が確認されたNotch2とSix1について機能解析を行い、Notch2-Six1転写カスケードとして2分子が協調的に一連の遺伝子群の発現を活性化し、肺上皮細胞においてepithelial-mesenchymal transition, EMTや核の腫大を促進させることにより肺腺癌の悪性化が進展する可能性を明らかにした。新たにGGO/ Solid混在の肺腺癌症例において2分子の免疫組織染色による発現パターンと臨床データとの関連性の検討を行い、2分子が浸潤部で高発現を認める肺腺癌症例は浸潤部で高発現を認めない症例よりも悪性度が高い可能性が示唆された
著者
副田 義也 樽川 典子 嶋根 克己 藤村 正之 牧園 清子 小高 良友 株本 千鶴 樫田 美雄
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

社会的行為としての死の研究。医師、看護師、メディカル・ソーシャル・ワーカー、近親者などと死にゆく者との相互作用のなかで、死を観察、分析、研究した。とくに、緩和ケアのありかた、医師と看護師の役割分担、医療スタッフと近親者とのコミュニケーションに焦点をあわせつつ、聞きとり調査をおこない、事例研究をおこなった。制度としての葬儀の研究。国内では、高度成長期以降の葬儀業界のありかたを、葬祭業者の専門職化と資格の制度化を中心に、調査、研究した。また、創価学会で近年注目される友人葬の事例を収集し、研究した。外国では、フランスにおける葬祭業の成立と展開にかんする歴史社会学的研究、中国の客家人の葬儀と死生観の事例研究をおこなった。文化としての追悼の研究。太平洋戦争時における市民から出た大量の死者を追悼する施設の調査・研究に主力を集中した。東京・沖縄・広島における戦争博物館の比較考察、対馬丸記念館の調査・研究がおこなわれた。ほかに、沖縄の陸軍病院壕、周南市回天記念館は、軍人戦死者の追悼施設として追加調査された。死の社会学の全体構想の研究。以上の3部門の研究をふまえ、内外の死の社会学的研究文献の分析・総括をあわせて、死の社会学の体系化が試みられた。全体社会、組織・集団、相互作用、社会制度、文化、パーソナリティ、社会的行為の7つの主要概念の有機的連関を利用して、死の社会学の7部門が構成された。(研究成果報告書、11ページ参照)。
著者
盛田 健彦 杉田 洋 磯崎 泰樹 吉野 正史 松本 眞 岩田 耕一郎 川下 美潮 滝本 和広 須川 敏幸 仲田 均
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

初年度は、繰り込まれたRVZ誘導変換に対して、代表者の先行研究で既に得られていた局所型中心極限定理を、応用上重要な関数を含むクラスに拡張した。2008年度以降に予定していたタイヒミュラー計量に付随した自然な拡散過程の構成については、当初予測していなかった難点にぶつかったが、幸いにしてディリクレ空間の方法によりタイヒミュラー空間のブラウン運動と思しき拡散過程の候補に至ることができた。
著者
小松 彦三郎 清水 克彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

この間の精力は、ほとんど2008年8月に東京で開催した関孝和三百年祭記念数学史国際会議の組織とこの会議録編集に費やされた。研究代表者自身は、関による連立代数方程式の未知数消去の理論(1683)及びその後の日本人数学者による研究の詳細とその独自性を明らかにした。これらは、従来、江戸時代の関流数学の伝統と、これをほぼそのままに受け入れた近代の数学史家の解釈によって理解されてきたが、今日の目では批判に堪ええない。この他、ケルビン卿(1855)とヘヴィサイド(1887)の電信方程式に対して新しい解法を与えることができた。
著者
山岡 道男 浅野 忠克 阿部 信太郎 高橋 桂子 樋口 清秀 稲葉 敏夫 真野 芳樹 樋口 清秀 稲葉 敏夫 淺野 忠克 阿部 信太郎 高橋 桂子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の高等学校の経済教育内容と大学のそれとの不連続の現状を明らかにし、大学生の経済学習を効果的かつ効率的に行わせるための課題を、日本の大学のカリキュラムに見られる特徴から指摘した。また高校生と大学生のパーソナル・ファイナンスに関する知識の程度を調査するためのテストを実施して結果を分析した。さらに大学生の経済リテラシーついて、日本・米国・韓国・フィリピン・ニュージーランドで共通問題を使ってテストを実施し、その結果の国際比較から日本の大学生の経済理解の実態を明らかにした。
著者
服部 範子 名須川 知子 岩崎 雅美 角田 万里子 黒川 衣代 加納 光子 畑野 裕子 黒川 衣代 加納 光子 畑野 裕子 角田 万里子 太田 まさこ
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

南アジアは世界的にみて最貧地域とされ、ジェンダー差が著しいことが指摘されている。本研究は南アジア女性の現状を現地調査に基づき明らかにした。第一に、南アジア諸国では最近、女子教育施策(女児の就学促進策や成人女性への識字教室など)が積極的に推進されていること、第二に、南アジアのジェンダーに関して、女性の日常生活の実態やライフコースの多様性や問題点を、国別、地域別、宗教別などにより明らかにした。
著者
栗本 陽子
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

雍正2年(1724)に来朝したチャンキャ三世は,主に乾隆年間に清朝のチベット仏教政策を牽引し乾隆帝の最も信頼するチベット仏教政策顧問として大きな足跡を残した人物として有名である。その来朝の経緯を明らかにするとともに,彼が招請され,前世の地位を継承したことが後の清朝のチベット仏教管理制度である扎薩克喇嘛制度にもたらした変化を以下のように具体的に明らかにした。(1)チャンキャ二世の時代から清朝はチャンキャを重用していたが,康煕年間にはチャンキャと同じアムドのグンルン寺系の転生僧に対する重視が始まったに過ぎず,チャンキャの地位は定まっていなかった。雍正年間にチャンキャ自身の転生者が来朝してその地位を継承したことで,初めて後代に受け継がれる慣例ができた。(2)チャンキャ三世招請が決定されたのは清朝による青海平定の最中で,雍正2年正月のグンルン寺との交戦後であった。当初の予定になかった幼いチャンキャ三世の招請によって,清朝とアムドの寺院勢力の間の紐帯となりうるチャンキャ三世の存在感が高まり,その後双方によってチャンキャと清廷の因縁が随所で強調され,利用されていった。(3)雍正12年にチャンキャ三世が大国師を継承するにあたり,清朝とアムド寺院勢力双方の思惑により,チャンキャ縁の複数の転生僧が禅師としてその脇を固めることとなった。これにより,札薩克喇嘛制度がチャンキャ体制ともいうべき形へと整えられていく。チャンキャ三世が前世の地位を継承したことで,このチャンキャ体制も転生相続制度によって代々継承されていくシステムができていった。雍正年間のこれらの決定は,その後のチャンキャの地位を安定的且つ絶対的なものとし,またそれまで方向が定まっていなかった清初からの扎薩克喇嘛制度そのものを大きく転換させるなど,後世に大きな影響を及ぼすものであった。
著者
武末 純一 桃崎 祐輔 松木 武彦 橋本 博文 坂 靖 亀田 修一 高久 健二 重藤 輝行 山本 孝文 田中 清美 七田 忠昭 禰宜田 佳男 角田 徳幸 梅木 謙一 庄田 慎矢 浜田 晋介 寺井 誠 李 健茂 安 在晧 池 賢柄 李 弘鍾 朴 升圭 権 五栄 李 盛周 金 武重 金 昌億 宋 満栄 李 暎徹 李 東煕 河 眞鎬 金 権中 金 奎正 李 宗哲 朴 栄九 李 亨源 鄭 一 朴 泰洪 兪 炳〓 孔 敏奎 河 承哲 尹 昊弼 李 基星 裴 徳煥 李 昌煕 千 羨幸
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

この研究では、日本と韓国の弥生・古墳時代集落研究を、集落構造論の立場から検討し、最終報告書(650頁)を発刊した。日韓の環溝集落の様相や海村の様相、日韓それぞれの地域の国際交流港での渡来人集落が明らかになった。日韓の首長層居宅の比較や、日本人による韓国の集落分析、韓国人による日本の集落分析もなされた。そのほか、日韓の金属器生産遺跡や馬飼集団の集落も解明できた。全体として日韓の集落研究者の絆を深め、両地域の弥生・古墳時代集落研究を活性化できた。
著者
田中 重好 藤田 弘夫 熊田 俊郎 友枝 敏雄 堀川 三郎 横田 尚俊 田中 重好
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「生活公共性」という新しい社会学的な概念を検討し、都市環境や都市空間の実証的な研究に援用可能であることを確認した。その概念を用いて、日本、中国、イタリアやドイツの都市空間の実証的な研究を行った。公共性という概念は、実証的な国際比較研究において重要な鍵概念であるばかりではなく、危機にある社会学理論の今後の再建においても重要な概念であることを検討してきた。本研究の研究成果は、『東アジアにおける公共性の変容』(慶応大学出版会、2010、日本語)、『地域から生まれる公共性』(ミネルヴァ書房、 2010、日本語)、 The Comparative Study of the Publicnee(中国社会科学出版社、2013、英語)、科学研究費報告書『都市環境における生活公共性の比較社会学的研究』としてまとめ、公刊した。とくに、我々としては、国際比較社会学の研究成果を英文で出版しえたことは、重要であったと考えている。また、 2012 年日本社会学会大会において「生活公共性と比較社会学」という特別セッションを海外から 6 名の研究者を招聘して開催し、研究報告をおこなった。本セッションの全体は、科学研究費報告書『都市環境における生活公共性の比較社会学的研究』に収録した。
著者
石井 浩二郎
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、これまで未解明であったセントロメア新生反応機構について、分裂酵母の卓越した遺伝学を用いた新たに分子的な解剖を試み、セントロメア生来の必須機能の分子的な本質の理解を行ってきた。セントロメア機能傷害の発生に際して、染色体上の別座位に新たにセントロメア機能(ネオセントロメア)が獲得される現象は既に高等細胞で見出されているが、その出現を偏りなく人為的に誘導する実験系はこれまで報告がない。私たちは、高等生物と同等の分子構造を示す分裂酵母セントロメアに人為操作を加え、細胞内で条件的にセントロメアを染色体から切除するシステムを構築し、セントロメア欠失という致死的な傷害を既定の細胞集団に誘発する系を確立した。ネオセントロメアの新生をこの致死的細胞集団からの復帰生存株の出現という細胞応答として検出し、その反応素過程を分子生物学的に解析した。昨年までの解析により、分裂酵母第一染色体および第二染色体からのセントロメア欠失はネオセントロメア獲得細胞を再現性よく生成し、そのネオセントロメア形成領域として染色体両端のテロメア近傍が集中して選ばれていることが判明していた。テロメアの重要性を探るため、本年度はまずテロメア末端を欠失した染色体でのセントロメア欠失を行った。その結果、テロメアを欠く細胞ではいかなる復帰生存株も生まれないことを見出した。テロメア構造は染色体再編成に必須なことが示唆された。また、ネオセントロメア形成後の遺伝子発現の変動を人為的発現誘導によって解析し、セントロメアの転写に対する柔軟性がさらに明確に示された。
著者
石田 美紀
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、CGIと実写映像の融合を推進するがゆえに、21世紀初頭のスペクタクル映画をもっとも象徴するモーション・キャプチャーについて、以下を明らかにした。1・その歴史的起源が1880年代の前映画史的時代にあること。2・視覚性の優位として批判されるCGI表現が演出技法としても成立していること。3・従来映画の主流であると考えられてきた実写物語映画は動画の領域の一部でしかないこと。以上の結果から、物語叙述の中心である俳優身体がCGIを纏うことによって物語映画にもたらす変容について、さらなる考察が必要であることが判明した。
著者
鈴木 一成
出版者
愛知教育大学附属名古屋小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1 校内・校外体育授業研究会の実施校内体育授業研究会(隔週開催)や校外体育授業研究会(10月と3月に開催)では,校内の体育科の教諭だけでなく,大学の先生や公立学校の現職の教諭も加え,健康関連体力の考え方や体力テストの活用法,授業と業前・業間の関連を図る方法を検討し,必要充足における体力の高め方の指導方法(主に授業づくり)について理解を深めることができた。2 1日50分運動しよう(戸外に出よう)の指導の展開(1) 運動したくなる環境づくり○ 各学級に「体育グッズ(大縄,ストップウォッチ,ノーパンクボール,スポンジボール,フリスビー)」を配布し,体育学習,業前・業間の運動遊びに活用した。○ ジャンピングボードや鉄棒の補助具を常時設置した。体育の授業と業前・業間との関連を図るようにした。これらを活用して運動遊びをする姿が見られた。(2) 運動したくなる仲間づくり○ 体育委員会主催のスポーツ集会(マラソン)や学年行事のスポーツ大会を開催し,学級の仲間やいっしょに運動する仲間と共に運動する姿が見られた。○ 全校に「なわとびカード」を配布した。目指す技を明確にして,めあてをもって運動ができるようにした。授業と業前・業間との関連を図った。また,技の教え合いにより,異学年の交流も生まれた。
著者
平野 勝也 和田 裕一 森田 直子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究により,街並みメッセージが,場所単独のイメージのみ成らず.係留効果を通じて,場所が展開する場合において,大きく場所のイメージに影響することも明らかにした.そのことにより,既に明らかになっている場所単独のイメージと,表通りから裏通りに入ると言ったような場面展開のパタン整理を,様々な繁華街において調査を実施することを通じて,繁華街を創り上げていくデザインボキャブラリーとしての取り纏められた.
著者
藤原 均 野澤 悟徳 前田 佐和子 三好 勉信 品川 裕之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

地表から大気上端(~700km高度)にいたる領域の気温、風速、組成変動を計算可能な数値モデルが研究代表者らのグループによって世界で初めて開発された。この数値モデルシミュレーションとレーダー観測データから、下層大気に起源を持つ高度300 km付近の超高層大気変動のいくつかを明らかにした。特に、極冠域では従来認識されていた以上の激しい大気変動を観測、シミュレーションの双方から明らかにすると伴に、低緯度領域では、これまではシミュレーションでは再現不可能であった真夜中の温度極大の再現に成功した。
著者
池添 隆之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

一つの細胞が分裂し、全く同じ二つの細胞が創られることで細胞は増殖を続ける。この分裂の過程は分裂期キナーゼという酵素群によって精密に制御されている。これらキナーゼの機能破綻により細胞が無秩序に増殖しがん化が引き起こされていることが予想される。この度我々は分裂期キナーゼの一種であるポロ様キナーゼに注目しその白血病化への関与について検討を行った。ポロ様キナーゼは正常の造血細胞と比べて、急性白血病細胞で異常にその発現が亢進していた。そしてこのキナーゼを阻害剤を用いて不活化すると白血病細胞の増殖は抑制された。これらのことから、ポロ様キナーゼは白血病細胞の増殖に関与しており、格好の治療標的分子となり得る可能性が示唆された。
著者
家田 章正
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オーロラ爆発上空では、磁力線に沿った電流(沿磁力線電流)が観測される。この沿磁力線電流が、東西電流ペアであるのか、南北ペアであるのか、あるいは両者の競合であるのかを明らにすることが、オーロラ電流系の駆動源を理解するために重要である。本研究では、地磁気データとオーロラデータを用いた地磁気逆計算法により、沿磁力線電流を面でスナップショット推定し、その成分を分解した。その結果、西向きジェット電流の南北で、推定した沿磁力線電流の、ホール成分とペダーセン成分が反相関していた。この結果は、東西ループ電流に関係した電場が、南北方向の分極電場を生成したことを示唆している。
著者
長廣 利崇
出版者
和歌山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、日中戦争期の高等商業学校と社会移動の関係について、1922年に設立された和歌山高等商業学校の事例に基づき考察した。具体的には、1932年に設立された就職相談部が生徒の社会移動にどのような効果を与えたのかを検討した。
著者
長谷川 博俊
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、高機能性蛍光・磁性ビーズ(FFビーズ)に上皮細胞で発現している抗原に対する抗体を固定し、血液中や便中の上皮細胞を効率よく磁気回収を行い、回収した細胞を用いての診断を行うことを目的とした。抗EGFR抗体固定化FFビーズとA431(EGFR高発現株)を用い、細胞回収率の検討を行った。回収した細胞を用いてのタンパク質発現や遺伝子異常の検索、癌細胞の同定は臨床検体を用いるには至らなかった。また、大腸癌担癌患者における血清bFGFと、大腸癌細胞の上皮細胞および血管内皮細胞に発現しているPLGFの検討を行った。静脈侵襲および術前CEA値との間に有意な相関を認めた。
著者
安藤 裕友 宮田 修 山口 良隆 高橋 千織 増田 光俊
出版者
独立行政法人海上技術安全研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

乱流中にポリマーを添加するにより摩擦抵抗低減が生じることは、トムズ効果として知られている。しかし、実際に摩擦抵抗低減を生じさせるメカニズムに関しては、まだ、十分に解明されていない。我々は、今までの研究成果よりポリマー同士がある一定の大きさに会合することによって効果が生じることを推定できている。そこで、ポリマー分子同士が積極的に会合するようなユニットをポリマーに導入・最適化することで、比較的低分子量のポリマーでも超高分子量に匹敵する会合体を形成させて、ポリマー会合形状と摩擦抵抗低減効果の関係を解明することを目的とする。本研究では、PEO(ポリエチレンオキサイド)、PAAM(ポリアクリルアミド)を用いて、会合が誘起するポリマーに対して二重円筒試験での抵抗低減効果を確認した。また、それぞれのポリマーの会合状態についてGPC-MALSやDLSを用いて測定を行った。その結果として、ポリマーの会合による摩擦低減効果の有効性を実証することが出来た。
著者
太田 隆英
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

Rhoファミリータンパク質の制御分子であるRhoGDIβ(Rho GDP-dissociation inhibitor β)は癌の悪性進展に関わることが知られているが、その役割は依然として不明である。本研究では、免疫蛍光染色法やGFP 標識RhoGDIβを用いてRhoGDIβの細胞内局在を明らかにするとともに、RNAiによりRhoGDIβをノックダウンした時の影響を詳細に観察し、RhoGDIβがcentrosomeの機能の制御や細胞極性の制御を通じて癌悪性伸展に関与することを示した。