著者
橋本 三奈子 桑畑 和佳子 青山 文啓 村田 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.139-140, 1994-09-20
被引用文献数
1

「あの人は本の虫だ」の「虫」や「先日の講演会では講師が壇上で涙ぐむ一幕があった」の「一幕」のように、ある名詞がその指されたものの性質・特徴とよく似た.性質。特徴を持つ別のものを表わすことがある。これらは、比喩として使用されたと推測されるが、現代語ではかなり一般的に使われ、一つの用法として定着していると判断してもよいものである。IPAL名詞辞書では、このような名詞の表現を見出し語の持つ一つの用法として認め、項としての用法、連体被修飾語としての用法、述語としての用法などに分けて,情報を記載している。本論文では、このような比喩的な表現について、名詞辞書で記述する際に留意すべき統語的特徴について論じる。
著者
小林 慎一朗 南 恵樹 崎村 千香 山之内 孝彰 林田 直美 江口 晋
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.23-26, 2013-01-25
参考文献数
12

乳房切除後疼痛症候群(PMPS)とは乳癌術後の神経障害性疼痛である.今回われわれはPMPSに対してプレガバリン(PGB)を投与し著効した2症例を報告する.症例1は52歳女性,2008年6月に前医で両側乳癌に対して右腋窩郭清および左乳房部分切除,センチネルリンパ節生検施行した.術直後より左胸部痛を認め,下着など接触時に痛みを感じていた.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与も症状は持続した.その後当科に紹介受診となり,疼痛外来に紹介,PGB投与開始後,症状は著明に改善した.症例2は82歳女性,2011年3月に当科で左乳癌に対して左乳房切除術および腋窩郭清を施行.術後1カ月後から創部痛増悪し,疼痛で不眠の状態であった.NSAIDs投与も軽減傾向なく,疼痛外来に紹介,PGB投与開始後,症状は著明に改善した.PMPSに対し,PGB投与は症状緩和の効果がある可能性が示唆された.
著者
西光 義弘 金水 敏 木村 英樹 林 博司 田窪 行則 柴谷 方良
出版者
神戸大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本研究の各研究分担者の研究の概要をあげ、その後で全体の総括をすることとする。まず西光は日本語は英語と比べて談話構造において繰り返しが多く、多義性が高いことをさまざまな現象で示し、その原因について考察をすすめた。柴谷はパラメ-タ理論による日本語の対照統語論の研究を言語類型論の立場から批判し、日英語だけでなく、世界中の諸言語を考慮に入れる必要を唱えた。また日本語の受身表現を類型論の立場から分析し、世界の諸言語における日本語の受身表現のしめる位置を明らかにした。田窪は文脈のための言語理論を開発し、理論的土台を提供した。田窪と木村は中国語、日本語、英語、フランス語の三人称代名詞の対照研究を行い、日本語の三人称代名詞が未発達であることが文脈依存性によるものであることを考究した。益岡は日本語特有であるといわれ、なかなか本質をとらえ難い「のだ」構文を先行の諸説を踏まえ、独自の機能分析を行った。林は日本語、フランス語、ル-マニア語の遊離構文の対照研究を行った。金水は談話における指示詞の機能と述語の意味層に考察を加え、日本語の文脈依存性による説明を試みた。田窪、益岡、金水はそれぞれ日本語のモダリティの諸側面を考究し、文脈依存性との相関関係を明らかにした。また研究協力者として、中川正之は中国語は文脈依存度において、日本語と英語の中間であることを諸現象の観察によって示した。当初の目的である、諸言語との対照によって、日本語の文脈依存度が高いことを相対的に示すことについては、さまざまの現象について、詳細で微細な考察が進められ、相対度を持ったパラメ-タを各言語に設定するための見通しがたった。さらに考察の対照とする現象と言語の範囲を増やし、パラメ-タ設定を精密化し、最終的な理論体系をうち立てる土台ができたといえよう。特に会話方策と談話構造と語用論に関する対照研究の必要性が大きく注目されるさらなる考究の必要な分野として、本研究の結果、明らかになった。また文脈の理論および文脈依存性のモデル化についても全体像が見えてきた。
著者
安達 町子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.282-286, 1994-11-20
被引用文献数
2

鶏がらスープストックの味やにおいに及ぼす下処理の影響を官能検査、溶出成分、香気成分の分析により調べた。その結果、鶏がらを水洗したストックに比べ、熱湯処理、30分間浸漬、下ゆで等の下処理をすると、鶏がら臭が弱められ、その効果は、下ゆでが最も高く、30分浸漬、熱湯処理の順であった。この結果は、香気成分の分析からも確認された。水洗したストックに比べ、下処理をすると、総窒素量、アミノ酸窒素量が減少し、うま味は多少減少するが、官能検査では鶏がら臭が弱く、スープとして好ましいと評価された。
著者
植野 健造
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2000

博士論文
著者
入交 英雄 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.29-34, 2008-12-12
参考文献数
3

オーケストラの録音において、ミキシング・エンジニアが最も好ましいと判断する残響音レベルを考察するため、 無響室録音のオーケストラ音源を用い電子残響を付加する実験を行った。調整法に準じた方法で残響音を最も好ましいレベルに調整し、そのときに含まれる残響音成分の割合を知るために建築音響で使用される直接音と間接音のエネルギ比の一種である C 値 (クラリティ・インデックス) という物理指標を導入した。その結果、残響音の最適ミキシングレベルにおいて、残響時間、及びモノ、ステレオ、クワドラフォニックという再生方法に関係なく C 値が一定となること、しかし楽曲の要因によって C 値が変動することが判った。The most preferable reverberation level for the recording of orchestra sounds by recording engineers was studied by a psycho acoustical experiment. The most preferable electric reverberation level to the orchestral sounds recorded in an anechoic chamber was measured by a method of adjustment. A physical index of C (Clarity Index) was used to measure the energy ratio between the direct sound and the indirect sound of the adjusted sounds. The obtained values of C from the most preferable reverberation were different among the music pieces. The reverberation time and the reproduction method (monophonic, stereophonic or quadraphonic) did not affect the C value.
著者
金 孝淑 ポター デビット サンパニュエン クンディダ
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.27-36, 2010

本稿では2004年発生したスマトラ沖地震と津波を事例として取り上げ,メディア報道におけるNGOの情報提供者としての役割を分析した.そのために,日本,アメリカ,韓国,シンガポールの4カ国で刊行されている代表的な日刊紙の記事を分析し,NGOによる情報提供の量と内容の比較分析を行なった.その結果,国別,新聞別NGOによる情報は,援助活動と現地状況に関する情報が圧倒的に多く,他組織に関するコメントは少数に留まるという共通の傾向が見られた.一方,NGOの所属と種類には,いくつかの国際NGOを除けば,新聞間でほとんど共通点が見られなかった.NGOによって提供される情報は,津波関連記事の中でより正確な現地状況を把握するための情報を提供するという一定の役割を果たしている.しかし,それはNGOによる情報の中でも少数に過ぎず,これまでの研究が指摘するように,津波関連記事に掲載された情報の多くは政府機関や国際機関に大きく依存していたことを確認した.<br>
著者
岡田 仁孝
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究 (ISSN:18835074)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.15-29, 2013-09

The base of the economic pyramid(BOP)に関して討論が盛んに行われている。以前は、リスクやコストが高く、利益が得にくい発展途上国での貧困層を対象としたビジネスは、ほとんどの多国籍企業にとり興味の対象外であった。では、なぜBOPビジネスが重要になってきたのか。持続可能性の概念が個人や組織に大きく影響を与え、それに一番脅威となる貧困と貧富の差の問題を解決することが、不可欠となってきたからである。その解決策として、富の再分配ではなく、市場原理を基にした価値創造による方法が模索され、開発と企業活動が融合する領域であるBOPビジネスが重要視されるようになってきた。また、持続可能な発展を実現するには、包括的な考え方が必要になり、市民社会は、企業を社会に依存する組織として認識し、社会における合法性と正当性、人権の擁護、そして、公平性.透明性.説明責任等を伴うガヴァナンスの実施を強く要求した。結果、企業市民として、また、これらの要求に沿って行動している証として、企業のBOPビジネスが重要になってきたのである。持続可能性実現への動きの中では、数々の新しい制度が創られ、組織変革を起こした。そして、これらの新しい動きと連携することにより、企業はリスクと取引コストを下げることができるようになり、以前はビジネスとして成立しえなかった領域においてさえも、ビジネス機会が増え、BOPビジネスが可能になってきた。当然、このような変革から、必要とされるビジネスモデルも変わってきた。貧困層が持つ分散知識への理解がBOPビジネスの発掘を助け、そして、彼らの合理的行動を理解することが、彼らをビジネス活動に参画させる方法を見出すのに役に立っている。当然、これらのノウハウは開発関係の諸組織に集積しており、彼らとの協働というクロス・バウンダリー・コラボレーションが重要になり、その手法は、リスクをヘッジさせ、取引コストを下げ得ることから、非常に効果的なビジネスモデルと理解されるようになってきた。このことは、全く新しい考え方、ノウハウ、経験がBOPビジネスに必要になって来たことを意味し、特に、分散知識に基づいた価値観の多様性、分散知識を動員する能力、そして、現地合理性への理解が不可欠になってきた。その結果、企業がこのような動きに対応できる価値観や組織の適応能力を持っているかどうかまで試されるようになってきた。
著者
小内 透
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-22, 1997

戦後の北海道における地域社会は,国家の農業政策,地域開発政策,人々の都会志向の高まりなどによって,大きな変貌をとげた。<BR>戦後の農業政策が推進した「選択的拡大」,農産物の輸入自由化,米の減反は,数多くの農家の離農をもたらし,多くの農村社会を解体させた。しかも,それらの地域の多くは,国家の地域開発政策が農業に代わる産業を生み出しえなかったため,地域社会の経済的基盤を弱体化させざるをえなかった。また,若者を中心にした人々の都会志向の高まりは,大都市地域への人口移動のパターンを作り上げた。<BR>その結果,経済的な基礎構造の再編を基底にして,数多くの市町村で人口が減少する一方,高学歴者や相対的な若年層にシフトした形で札幌市や札幌圏へ人口が集中した。現在,42.9%に及ぶ市町村が国勢調査開始以来最小の人口規模となり,道内人口の30.9%,高等教育修了者の45.4%が札幌市に集中するようになっている。しかも,その過程で,札幌市を含む全般的な生産力(所得)水準の低下も進んだ。そのため,過密地域,過疎地域とも大きな課題を抱えるようになっている。<BR>そこでは,従来の国家の諸政策のあり方を転換し,地域社会を再建する担い手を育て,支えることが必要となる。
著者
稲田 七海 若松 司 蓬莱 梨乃 水内 俊雄
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.406-406, 2008

本報告は、地方都市における社会的条件不利地域を対象に、格差、貧困、社会的排除などの課題について地域がどのように対応し改善への道筋を探っているのか、その福祉実践のプロセスに迫り、新たな地域福祉構築の可能性について検討することを目的としている。そこで、本報告は、Q県R市における貧困層や生活困難者を対象とした包摂型コミュニティ福祉の先駆的な実践に着目し、掘り起こし型の福祉実践のあり方を「見える化」システムと定義し、新たなコミュニティ福祉の創造の可能性について検討を試みる。<BR> 現代社会における福祉ニーズの多様化や高度化によって、公的な福祉では対応しきれていない福祉課題が現われてきている。そのため、地域における身近な生活課題に対応し、支え合いを進めるための地域福祉のあり方を検討することが緊要の課題となっている。従来型の福祉ニーズが複雑化し福祉そのもののあり方が多様化する中で、福祉部門における社会的コストは確実に拡大している。それにもかかわらず、近年の日本の福祉政策は、サービス主体の多元化と市場化の推進によって、福祉における国家の役割を間接的な役割へと縮小させ、地域や家族の役割を増大させる方向にある。福祉における国家の役割が縮小しつつある現在、地域社会におけるローカルな「つながり」の再構築こそが国家に変わる福祉の担い手として要請されているのである。<BR> Q県R市は、主要幹線交通体系から遠く離れたS半島の南東部に位置する。現在の人口約3万3000人、高齢化率が29.4%となっており同一県の市部と比較しても高い値を示している。R市における福祉ニーズは、失業の増加に付随した地域就労支援の問題と、これに付随した若年層、ひとり親、中高年世帯における生活困難現象の深刻化である。R市はいくつかの同和地区を有していることから生活困難者への生活支援課題を古くから有し、隣保事業の拡充に伴いさまざまな支援が独自に行われてきた。しかし、R市における地域経済の不安定化や雇用の流動化は格差の拡大を市民にも認識させ、貧困や生活困窮の問題が同和地区などの特定の地域に限った問題としての認識から、広く一般に浸透した問題として立ち現われてきた。特に重要かつ必要度の高い分野として、地域就労、児童福祉、独居高齢者の生活支援が挙げられるが、それぞれが行政および関係機関ならびに民間の支援者の連携を通じてユニークな実践を始めている。<BR> 子ども会は1972年に同和地区における児童教育の一環として隣保館で開始された。実施にあたり、専任主事が各隣保館に配置され、放課後の児童の学習生活全般にわたる指導を行ってきた。また、子ども会に通ってくる児童・生徒の様子から家庭問題の端緒をいち早く捉え、家庭養育環境の改善に介入することも少なくないことから、生活困難世帯における児童養護を行うことも多い。次に地域就労支援については、2006年より15歳から34歳までの若年層を対象とした就労ナビゲート計画が実施され、2007年よりNPO法人に業務委託して地域就労支援が行われている。NPO法人では就労相談員を1名配置し、窓口対応だけでなくアウトリーチ型の就労相談によって、個別の就労ニーズ、世帯状況、本人のスキルなどを総合的に判断し就労機会の紹介を行っている。また、相談者のケース記録を蓄積しているため、就労相談員は相談者の日常的な生活実態を把握し、就労相談を通した生活全般の見守り、問題解決の支援にもつながっている。地域福祉啓発推進相談事業は、相談業務は窓口対応型ではなく、相談員が高齢者世帯を個別に訪問し、ニーズを拾い上げサービスを届けるデリバリー型の相談業務であるが特徴的である。これらの相談業務は、困窮している独居高齢者が公的な福祉、社会保障へのアクセスすることを容易にしただけでなく、受益者としての負担の義務も啓発する役割も担っている。<BR> R市の福祉実践にみる複雑化した困窮者のニーズを発掘し、人的資源によりネットワーク化されたローカルな調整機能によって問題解決する「見える化」システムは、これからの新たな地域福祉を再構築する上でひとつの手がかりを示すものである。さらに、「見える化」は、地域の不可視化された問題を掘り起こすだけでなく、人的ネットワークによる地域の課題の共通認識を深め、「支えあい」や「つながり」の再構築を促がす装置としても注目すべき福祉実践のシステムであるといえよう。
著者
西原 純
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.168-175, 2009
被引用文献数
1

2008年11月1日(土)に経済地理学会中部支部11月例会として,標記のシンポジウムを中部大学名古屋キャンパスにて開催した.地理学だけでなく地方財政学や社会学の研究者を含めた8人の報告者と61名の参加を得た.平成の大合併の目的,合併のあり方,庁舎の方式や地域内分権制度,山間地域・離島地域での広域な自治体の運営,地域の担い手・組織などについて,合併後の行政実情と問題を報告・討論し,そこから解決すべき課題を共有して,課題の解決に迫った.
著者
大藪 俊志
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.131-145, 2015-03-01

近年,地域社会における課題の発見や解決にその地域に住む市民が主体となって取り組み,行政と協働しながら住みやすいまちづくりを目指す地域内分権の試みが,各地の地方自治体で実施されている。その背景や理由は自治体により様々であるが,住民自治の拡充と併せ,人口減少や財政の逼迫などの社会経済情勢の変化,公共サービスに対する需要の多様化・複雑化,地方自治制度の見直し(地方分権,市町村合併)など,地方自治体を取り巻く様々な環境変化に対応する必要性が指摘される。本稿では,「持続可能な基礎自治体」の確立を目指し,行政の改革と並行して地域内分権を推進してきた愛知県高浜市の取組み事例を検討することにより,今後の地方自治体の運営の課題と方向性を探る。そのうえで,持続可能な地域社会を確立するためには,行政基盤と住民自治の両面を強化する必要があることを指摘する。
著者
渡辺 孝太郎 ワタナベ コウタロウ Watanabe Kohtaro
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-119, 2015-03-31

本稿において科学技術社会論の先行研究を整理したところ、科学技術政策に関する問題は、社会問題の複雑化により科学と政治の領域が交錯し、多くの利害関係者がいる中で、不確実なデータをもとに「今、現在」意思決定を行わなければならないという特徴を有することが示唆された。このような状況を表す概念として、「トランス・サイエンス」や「ポスト・ノーマルサイエンス」といった概念が提唱されている。また、科学と社会の間に生じるギャップは、科学の不確実性や市民・政策立案者の科学に対する過度の期待や信頼、さらには科学者の専門主義などが複雑に絡み合うことで引き起こされることが示唆された。これらの分析を踏まえ、「パブリック・インボルブメントを図りながら政策を形成、実行するために、自治体の技術職はどのような役割を担うべきか」という問いに答えるべく、今後の研究を進める。This paper tried to organize the previous study on science and technology studies. Then it was suggested the feature that to address policy issues related to science and technology we must make a decision "now" under uncertain situation, in which science and politics are crossed each other by complication of social issues, and in which there are many stakeholders. As a concept to represent this situation, concepts such as "Trans-Science" and "Post-Normal Science" have been proposed. In addition, it was suggested that the resulting gap between science and society is caused by complexly intertwined factors including uncertainty of science, excessive expectation and trust to science from citizens and policy makers, professional principle of scientists. Based on these analysis, I advance future research to answer the question "What role should technical staff of local governments play in order to make and carry out the policy while achieving public involvement?"
著者
横関愛造 著
出版者
法政大学出版局
巻号頁・発行日
1956
著者
木村 富美子 萩原 清子
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.49, pp.p105-121, 1993-09

大都市への人、物、金、情報の集中は、世界中で進展している。日本でも都市化が進み、特に最近の10年位は、首都圏、東京圏への一極集中が著しい。本研究では、地域経済構造の変化と環境との関連を検討した。まず東京への一極集中の実態を人口移動、就業構造の変化を中心に検討する。東京圏への人口流入の大きな原因として、就職・進学による人口の地域間移動が挙げられることから、次にこのような人口の社会移動をもたらした背景をさぐる。経済のサービス化やソフト化に伴い産業活動の重点は製造業を中心とする第2次産業からサービス業なとの第3次産業へと移り、業務管理機能や金融機能、情報発信機能などの首都圏集中が進んだ。このように首都圏への集積が進む過程で「事業所サービス」などの新しい都市型産業が発展し、一層の東京集中がもたらされた。人口の集積、経済活動の集中化、過密化などが、環境に与えた影響を検討した。交通公害による窒素酸化物による大気汚染、事業系のごみの増加、産業廃棄物の処分問題など集中による環境問題は、ますます深刻になっており、東京への集中は今後も続くものと考えられる。今後の課題としては、「持続可能な開発」を進めるためにも、経済と環境との調和をはかり、環境資源の適正な利用をはかる必要がある。このような認識から、環境管理の考え方が各地方自治体でも広く採用され始めた。「環境政策における経済的手段の利用に関するOECD理事会勧告」などにみられる考え方に環境と経済の調和をはかる場合の指針としての役割か期待できるであろう。Urbanization is observed all over the world in recent years. In this report,we investigate the relationships between the changes in economic activities and their influences on environmental issues in Tokyo area,where we see an excessive concentration. The concentration is accounted for by the increasing population inflow and the changing industrial structures. The population inflow is triggered mainly by job opportunities and education accommodations. The changes in industrial structure are evidenced through the facts that,first,the share of third industry is increasing both in numbers of working people and in amount of production. Especially community,social and personal services are showing high growth rates. Secondly,the location of main offices and management divisions tends to be settled in Tokyo area,and thirdly,the increase in new industries,such as business services and information processing is remarkable. Next we examine the environmental changes resulted from industrial and economic activities. It is found that serious urban problems,such as overcrowded area,air pollution by traffic jam and increasing waste,have been caused from those activities. Under the circumstances,we are facing the problem to search for environment management concepts in order to maintain "sustainable developments". The OECD report,Guidelines for the Application of Economic Instruments in Environmental Policy,will give a helpful advice.
著者
南木 敏宏
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.172-180, 2016 (Released:2016-06-17)
参考文献数
55
被引用文献数
17

ケモカインは細胞遊走に関わるサイトカイン様分子であり,炎症細胞の遊走により炎症性疾患に関わる.関節リウマチ(RA)の滑膜組織では多数のケモカイン発現がみられ,リンパ球,単球/マクロファージなどの炎症細胞浸潤,さらに,滑膜細胞の活性化,血管新生にも関与していると考えられている.これまでに,関節炎モデル動物ではCCL2, CCL3, CCL5, CCR1, CCR9, CXCL2, CXCL5, CXCL13, CXCL16, CXCR3, CXCR4, CXCR7, CX3CL1の阻害による関節炎抑制効果が報告されている.RA患者への投与も試みられており,CCR1阻害薬,抗CXCL10抗体による関節炎抑制が見られた.しかしながら,マクロファージやT細胞浸潤抑制が期待されたCCL2,CCR2,CCR5の阻害ではRAに効果は認めなかった.さらなる臨床試験の推進が期待される.