著者
加藤 聖子 内田 聡子
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

我々は以前ヒト正常子宮内膜よりSide Population細胞を分離しSP細胞が長期増殖能を持ち内膜腺上皮や間質細胞への分化能を有すること、このSP細胞の割合は月経期内膜に最も高いことを報告した。子宮内膜症の発症を月経血逆流説から検討するため、インフォームドコンセントを得た患者から月経血を採取し内膜細胞を分離培養しSP細胞を分離しその増殖能を解析した。月経血中の内膜細胞にはSP細胞が存在した(n=5,平均0.704%)。このSP細胞およびnon SP細胞を分離培養し、増殖能を解析したところ、SP細胞の増殖能が亢進されていた。また、コラーゲンプレートに500 cells/cm^2の細胞を播種したところ、SP細胞のみでコロニーが形成され、このコロニーより分離された細胞は同様にコラーゲンプレート上にコロニーを形成した(自己複製能)。また、昨年度ラット子宮内膜細胞のSP細胞とnon SP細胞を用いたマイクロアレイによりSP細胞で有意に発現の高かった受容体蛋白を蛍光免疫染色で解析すると、月経血中子宮内膜のSP細胞にnon SP細胞に比べ陽性細胞数が多かった。以上より、月経血中の子宮内膜細胞に、増殖能の高い、コロニー形成能、自己複製能を有する細胞が存在することが明らかになった。この細胞群が異所性に増殖する性質を持っ子宮内膜症の発生機構に関与する可能性が示唆された。内膜症からの癌化機構を検討するため、内膜症と卵巣癌(明細胞腺癌)が共存する組織切片を用いて、子宮体癌SP細胞で発現が増加していた蛋白の発現を免疫染色法で解析した。この蛋白発現は卵巣癌近傍の子宮内膜症に強く発現されていたが、離れた部位の内膜症組織や正常内膜には発現していなかった。
著者
鹿嶋 恵 KASHIMA Megumi
出版者
三重大学国際交流センター
雑誌
三重大学国際交流センター紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.83-95, 2006

The 2nd open-class workshop was held on July 12, 2005. This is the report on itsmain contents and results of a questionnaire asking participants for comments about it. The workshop was held at the strong request of local people supporting Japaneselanguage education. Specifically, one basic level Japanese class ( 1 unit, 90-min.) at theCenter for International Students, Mie University,which the writer of this report is incharge of, was open to the applicants (hereafter referred to as "participants"). In orderto make the class more meaningful for participants, 50-min. "preliminary briefing" and55-min."workshop on the class" were provided before and after the class respectively. At the end of "the workshop on the class", a questionnaire was conducted,asking participants for comments. Results showed high satisfaction of participants'expectations about the class, good evaluations of both "the preliminary briefing" and"the workshop on the class" and much demand for further workshops of this kind.
著者
岡本 一枝 松尾 邦江 中林 和彦 奥平 進之
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1077-1082, 1997-12-15
被引用文献数
1

冬暖かいとうたわれ, 脱脂綿を医療用ガーゼで包んだ, 3層構造の特殊シーツに着目し, 睡眠中の生理反応および寝床内気候に及ぼす影響を検討した. 年齢20〜26歳の健康な成人女性4名を対象に実験を行った. 実験条件は, 特殊シーツ使用時(条件P)と, 一般に普及している綿100%平織りシーツ使用時(条件C)とした. 寝室内は18〜19℃, RH50〜55%に保った. 終夜睡眠脳波記録, 直腸温, 皮膚温, 寝床内気候は連続測定し, 主観申告(温冷感, 快適感, 湿潤感, 睡眠感)は入床時と起床時に, それぞれ申告してもらった. 睡眠変数, および各睡眠段階の出現時間に有意差は見られなかった. 条件Pでは, 大腿, 下腿, 足背, 胸の皮膚温上昇が速く条件Cよりも高いレベルを保つ傾向であった. 胸の寝床内温度は, 条件Pで有意に高かった. 入床時, 起床時の快適感, 温冷感は条件Pで快適側, 暖かい側の傾向にあった. 睡眠感は有意に条件Pで高かった. 特殊シーツは, 睡眠構築および生理反応に影響を与えずに, 主観的睡眠感を良くすることが示唆された.
著者
石原 哉
雑誌
科学研究費補助金研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-5, 2010-05-29

本研究は、構成的逆数学のための形式体系の調査・提案・評価・改良を目的として行われた。型概念に基づいた体系、および集合概念に基づいた体系、それぞれに対して様々な原理(例えば、連続性原理)、および位相空間・一様空間の定理を対象に調査を行った。その結果、集合概念に基づいた体系としては、構成的集合論(CZF)およびその部分体系が、有力な候補であることが分かった。また、型概念に基づいた体系としては、単調完備定理を詳細に分析することにより、構成的解析体系(EL)の部分体系を構成的逆数学のための形式体系として提案した。 : The project aimed at research, proposal, evaluation, and improvement of formal systems for constructive reverse mathematics. Formal systems based on the notion of a type, and formal systems based on the notion of a set were examined by case studies on principles (such as a continuity principle), and theorems in topological and uniform spaces, respectively. It appeared that the constructive set theory (CZF) and its subsystems, as formal systems based on the notion of a set, work well for our purpose. By carefully examining the monotone completeness theorem, we proposed a subsystem of elementary analysis (EL) as a formal system based on the notion of a type.
著者
谷川 喜美江
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.193-221, 2002-12-31

給与所得の持つ独特の性質のため当該所得を得るために必要とした経費の客観的な測定は困難とされており,現在我が国所得税法に認められている給与所得控除は,「手厚い保護」であるとか「過大な控除」であると悪評を高めるほどの控除が認められるに至る。そこで,所得税全体における必要経費の意義と給与所得控除のあり方,給与所得控除の沿革と性格,過去の給与所得に関する主な判例,諸外国における給与所得に関する控除の現状,評価の問題を検証することにより,給与所得控除の実額控除制度化の可能性について検証した。上記検証から,理論上は給与所得の必要経費実額控除の制度化は達成されるべきであることが理解できるが,実際は必要経費について家計費との厳密な区分や客観的な数値による測定の困難性が存在し,さらに給与所得に対する必要経費の実定法上の規定がないことから困難を要する。よって,給与所得控除の「把握控除」としての側面を考慮し「給与所得実額特別控除」として一定額の控除と,現行において給与所得の必要経費として客観的な数値の測定が可能であるとされている「特定支出控除」の5項目とを組み合わせたものを給与所得控除として認めるべきである。そして現行の給与所得控除の額を「手厚い保護」であるとか「過大な控除」とならない程度への引き下げを行い,上記控除との選択適用を認めることも同時に認めるべきである。このような制度を設けることで給与所得者と事業所得者等の公平もある程度是正され,給与所得者の確定申告を行う機会を増大させることにより政治への参加意欲を向上させることも可能となろう。
著者
森田 圭亮
出版者
京都学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、個々の事例を包括的に捉える形で、租税回避行動のメカニズムや租税回避の抑制方法に関する分析を行った。また、租税知識に焦点を当てながら、従来の研究ではあまり分析の対象にされていなかったループホールを活用した租税回避行為に関する分析を行った。得られた研究成果は次のとおりである。第1に、所得階層ごとに租税回避を実行する動機が異なることを示した。第2に、新たな租税回避抑制手段として税の前納制度を提案した。第3に、従来各国で行われている租税執行政策の問題点を指摘し、改善策を提案した。第4に、ループホールを活用した租税回避行為に対する税務行政の在り方について提言を行った。
著者
成田 伸 大原 良子 鈴木 幸子 遠藤 俊子 齋藤 益子 吉沢 豊予子 野々山 未希子 水流 聡子 跡上 冨美 矢野 美紀 西岡 啓子 加藤 優子 森島 知子 齋藤 良子 角川 志穂 段ノ上 秀雄 黒田 裕子 工藤 里香
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

望まない妊娠や性感染症罹患の予防を専門的に支援する避妊・性感染症予防カウンセラー育成プログラムを構築した。プログラムは6日間の集合教育と専用のウエブサイトを活用した自己学習からなり、2008年度と2009年度の2回にわたって助産師を対象に開催した。育成プログラムの成果を評価するために、受講者と非受講の比較群で学習成果を比較した結果、受講者に知識の増加や態度の変容がみられた。また受講者のカウンセリング能力が向上した。今後は、育成されたカウンセラーの実践自体を評価する研究が必要である。
著者
高椅 克巳 松尾 礼三 熊 正昭 野口 英太郎 藤原 音晃 東 房之
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.8-17, 1966-03

1965年,2月16日より同12月20日迄の間,長崎県下,諌早,有川,福江屠畜場において,ほぼ定期的に採血した肥育屠殺豚(生後6~8ケ月),合計2344頭の血中HI陽性率,及びそのHI価分布の季節的消長を調査し,その変動を指標として各被検豚生産地別にJEVの撤布汚染状況を推測し,次の所見を得た.1)調査地区の中で,島原地区産被検豚に5月24日採血の47頭中,7頭のHI陽性豚が認められた事は,その前後のHI陽性率と,その抗体価分布より見て,この年最初のJEV感染豚の出現を示唆するものがあり,注目された.2)確実にJEVの自然界撤布開始を示すと思われる屠場豚のHI陽性率上昇期は,島原,諌早地区の6月22日で,以後引続き県本土南部地域より北部地域に向って北進的に汚染地区の浸透拡大が認められた.五島地域は本土より時間的に2~3週間遅れて,その屠場豚HI陽性率の上昇が始まったが,その上昇速度は遅く,且,100%代に達せぬまま推移する傾向が見られた.3)県本土南部地域で観察された屠場豚のHI陽性率とその抗体価分布の変化より見て,この地区におけるJEV感受性豚のJEV感染の進行期間は,概ね6月下旬より7月下旬迄の約1ケ月間であり,8月上旬にはこの地区の豚感染はほぼ終了したと推定された.For the purpose of learning the dissemination period of Japanese encephalitis virus (JEV) in the various parts of Nagasaki prefecture in 1965, a survey for the seasonal fluctuation of hemagglutination inhibition (HI) antibody response against JEV as an in
著者
小達 恒夫 野元掘 隆 宮岡 宏
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.251-290, 2008-07-30

第48次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第48次隊は総勢62名で構成され,このうち越冬隊は35名,夏隊は27名であった.他に同行者として,南極観測船「しらせ」で行動した4名,ドームふじ基地において行動した2名,日独共同航空機観測を行った11名,及び航空機により昭和基地へ入り湖沼生態調査を行った3名が参加した.「しらせ」は2006年11月14日に晴海を出港し,また,観測隊本隊は11月28日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで「しらせ」に乗船した.「しらせ」は12月3日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ12月16日に氷縁に到着した.12月19日に昭和基地第1便が飛び,2007年2月16日の最終便までの間に,第48次越冬隊成立に必要な物資約1000 tの輸送と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.沿岸露岩の湖沼域の生態学的調査,氷河地形調査,地震観測,氷・水・土壌・生物等の試料採集,内陸での気象,電波,GPS等の無人観測などの夏期観測調査はほぼ予定通り実施できた.設営系では,昭和基地夏作業として予定された基地建物,施設の新設や改修工事はすべて実施した.特に,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の3年目として,主に第47次隊が用意した200 tを上回る廃棄物を持ち帰り,また島内一斉清掃によって飛散していた廃棄物の回収に努めた.往復の航路上では,海洋観測を実施し,シドニーに3月21日に到着,観測隊は航空機で3月28日に帰国した.一方,ドームふじ基地支隊は11月5日に成田を出発し,ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月3日に「ARP2」地点で第47次隊と合流した.その後,雪上車でドームふじ基地に12月12日に到着した.ここで,第47次越冬隊と協力して,1月26日までに3025.22 mの掘削に成功したのち,航空機により2月20日に帰国した.また,日独共同航空機観測に参加した夏隊1名は,12月3日に成田空港から出国した.ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月8日にノイマイヤ基地へ到着した.同基地付近での航空機観測を実施した後,1月6日にはS17航空拠点へ移動し,昭和基地付近での航空機観測を実施した.1月27日にS17を離れ,2月8日帰国した.
著者
会田 雅樹 石橋 圭介 巳波 弘佳 栗林 伸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.56, pp.25-30, 2003-05-09
被引用文献数
1

NTT DoCoMoのi-modeサービス(携帯電話端末を用いたIPデータ通信サービス)は急激にユーザ数を増やし,サービス開始から約4年後の2003年2月16日現在で契約者数が約36,773,000に達している.このような爆発的に広まった希有な通信サーービスの普及過程は,ヒット商品に対するユーザの挙動を知る上で興味深いサンプルである.人間関係の構造は,エンジニアリングによる設計や形成が行なわれる対象ではなく,多くの人々が個々に活動することよって形成される.他の社会的現象やインターネットでも同様な過程で形成されるネットワークが存在し,それらはしばしばスケールフリーネットワークとなることが知られている.本報告は,i-modeのユーザ数とトラヒック量の関係に関する非常に簡単な分析から,i-modeのpotential customerである非常に大きな人間の集合に対して,人間関係のネットワーク構造がスケールフリーとなることを示す.また,ユーザの振舞いに関する傾向についても考察する.
著者
竹内 典之 野中 理伸 中島 皇
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究によって開発された撹拌型融雪雨量計は従来の溶液型融雪雨量計の溶液を低温・降雪時に撹拌することによって凍結を防ぎ、降雪の融解を促進させる機能を持たせた独創的なものである。また、太陽電池+バッテリ-仕様の観点からは太陽エネルギーを直接融雪に利用できるような機器の先駆的役割をなすものである。この試作機は従来の貯留式雨量計、ヒーター付き雨量計に比べれば、それぞれデータが短いインターバルで取れる点、AC100Vが供給できない場所(山地域や森林地帯)でも観測可能な点などが優れている。京都大学芦生演習林において、1995年から1997年にかけての二冬の野外長期稼動試験の結果、新撹拌型転倒マス雨量計と撹拌型貯留雨量計は約1000mmの期間総降水量、降雪強度50mm/日の降水も確実に記録し、撹拌型融雪雨量計の有効性が確かめられた。また、北海道演習林での野外試験によって、この試作機は暖地のみならず寒地の積雪地帯でも使用できる可能性が出てきた。現段階では撹拌器に市販のバスポンプが用いられているが、今後の課題として効率の良いモーターの選定(作成)及び太陽電池とバッテリ-の組み合わせの駆動電源装置システムの小型化・計量化が挙げられる。また、その実用化が図られれば、アメダスの観測所等などでも広く採用されるようになり、冬期の精度の良い降水量データが場所に制約されることなく得られる。冬期の降水量が正確に把握されれば、積雪地域おける降雪・融雪のメカニズムやその流域の流出特性の解明など、森林水文学の分野に大きく貢献することになる。それのみならず、冬期の降水量は夏期の渇水に大きく関与していると思われ、精度の高い降水量の見積と流出特性の把握は水資源という面にも有用なデータを提供することになる。
著者
酒井 治孝 瀧上 豊 酒井 英男 谷村 好洋 豊田 和弘 百原 新 桑原 義博 山中 寿朗 藤井 理恵
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒマラヤ山脈上昇史の鍵を握る変成岩ナップは, 約1440万年前に地表に露出・急冷し, 年間3-4cm の速度で南南西に前進し, 約1100 万年前に運動を停止した.冷却は先端から北方へ向け年間約1-1.5cm の速度で進行した.古カトマンズ湖の泥質湖成堆積物の堆積開始は約100 万年前まで遡り, 寒冷期には化学的風化が進まず, 堆積速度が遅く, 温暖期には化学的風化が促進され, 堆積速度が速かったことが判明した.
著者
佐藤 啓文
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

1.分子内の構造揺らぎを扱うためには、相互作用点モデルに基づく記述が便利である。しかしながら、このモデルは距離空間(Distance Geometry)内での表現であるために、現実の三次元空間との対応が必ずしも容易ではない。このために相互作用点モデルを用いると直感的な理解がしばしば困難になる。典型的な例は溶媒和構造を表す動径分布関数である。これは一次元方向への射影であるために、実際に「どんな水和構造か」という視覚的な理解と常に単純に結び付けられる訳ではない。そこで、我々は相互作用点モデルによる結果(動径分布関数の組)を、通常の三次元空間内の分布関数へ変換する新しい方法を提案した。この方程式では、溶質分子を構成する各原子を中心とした球面調和関数等の角度依存する基底関数系で分布関数を展開する。その結果、単純な線型方程式を解けばよく、従来の類似法で必須となる繰り返し計算等を避けて、簡便に三次元分布関数を決定できる特長がある。また、液体の積分方程式理論はもちろんのこと、分子シミュレーションや散乱実験の解析にも利用できる可能性がある。2.典型的な量子化学的立場では、分子間相互作用は、波動関数・電子分布に基づいて議論される。一方、分子シミュレーションなどの古典的描像では、分子を構成する原子間の相互作用として捉えるほうが一般的であり、直感にも直接訴える。そこで、量子化学的な多体相互作用をMulliken近似に基づいて分解することで、量子化学的な分子間相互作用を原子を単位とした新しい表式を導いた。この方法は、今後構造揺らぎを扱う積分方程式理論を構築していく上で、重要な礎になると考えている。3.キサンチンオキシダーゼによる酸化反応について、量子化学計算や、周辺残基の効果を取り入れたQM/MM型の計算を行い、反応機構を解明した。その結果、従来理論計算によって提案されている機構は、計算手法や実験事実との整合性に問題があることが明らかとなった。
著者
麻生 武 吉良 尚子 倉中 晃子 覚前 未央 滝田 景子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

4つの研究を行った。1つは、夢をめぐる親子の会話の研究である。幼稚園児・小学校1年生・3年生の親子53組に夢について会話してもらった録音データを分析した。2つ目は、幼稚園児の夢理解についての研究である。年少・年中・年長計90名の夢理解に関して現象学的な研究を行った。3つ目は、大学生が覚えている一番幼いときの現実の記憶と夢の記憶に関する研究である。4つ目は、大学生の夢理解に関する研究である。それらを踏まえて夢を大切にする文化の創出の重要性を指摘した。
著者
境田 清隆 榊原 保志 高橋 日出男 榊原 保志 高橋 日出男
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

仙台市においては海風、長野市においては山風という局地循環がヒートアイランドを緩和している実態を観測結果から捉えようとした。仙台では春季から夏季にかけての海風吹走日に、3~5℃の気温低下が観測されるが、その効果は都心でも低減しなかった。長野においては、北西方向の裾花川から吹き出す山風が都心を冷却している実態が明らかになった。また東京都心では海風を含む南風吹走時に新宿などの風下に強雨が発現することが明らかになった。
著者
本多 芳子 臼井 節夫 児玉 亨
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生後40日までLD12:12(通常の環境)およびLD1:1(1時間ごとに明暗を繰り返す環境)で飼育すると成熟後、新奇場面で多動性を示した。この多動性は脳内のドーパミンの増加に関連し、かつメチルフェニデート投与により改善される。また、ドーパミンD5受容体のmRNA発現が基底核で正常に比べ減少していた。さらにドーパミン輸送因子のmRNA発現を調べたところ正常環境下で生育したラットでは見られない3週齢の前頭葉において発現していることがわかった。