著者
高田 靖司 植松 康 酒井 英一 立石 隆
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.89-94, 2014-06-30 (Released:2014-06-30)
参考文献数
24

隠岐諸島をはじめ,本州から九州におけるカヤネズミ(Micromys minutus)の12集団について,下顎骨の計測値にもとづき,多変量解析(主成分分析,正準判別分析)をおこない,地理的変異を分析した.その結果,下顎骨について,全体的な大きさ(第1主成分)には集団間で差は認められなかったが,形(第2–第3主成分)には集団間で有意な差が認められた.特に,第2主成分は島の面積との間に有意な相関が認められたので,何らかの要因が形態変異に作用した可能性がある.正準判別分析では,隠岐諸島の集団間で形態変異が認められた.この変異には島の隔離に伴う遺伝的浮動が働いたと考えられた.しかし,下顎骨の大きさ(第1主成分)について集団間で差がみられず,また,遠く離れた地域の集団間で形態的な違いがみられなかった.これは,Yasuda et al.(2005)が明らかにしたように,日本列島におけるカヤネズミの低い遺伝的多様性を反映しているかもしれない.
著者
中野 正大
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.40, pp.81-104, 2012-03

本稿は1920~30年代にかけてシカゴ大学出版会から次々と出版されたいわゆるシカゴ・モノグラフに翔太ンをあてて、そこで駆使された調査法、多角的調和法についてこうさつする。そこではまずシカゴ・モノグラフの代名詞ともなっているエスの具ラフィーの代表例としてゾーボー『ゴールド・コーストとスライム』を取り上げて実際にどのような調査法が用いられているかをみる。また参与観察を用いた代表的モノグラフといされるクレッシー『タクシー・ダンスホール』をみることによって、そこでのちょうさほうとしての参与観察の占める位置を考察する。ついでフィールドワークを伴わないモノグラフとしてマウラー『家族解体』の場合を考察する。最後にこうしたシカゴ・モノグラフで用いられた調査法の問題点を検討する。
著者
横畑 泰志 横田 昌嗣
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 : Wildlife conservation Japan (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-12, 2000-07-19

Uotsuri-jima Island in the Senkaku Islands, southwestern Japan is a small island characterized by very valuable biota with high endemicity which has formed over a long period of isolation. The ecosystem on this island is under the risk of total destruction because of the presence of domestic goats, Capra aegarus, were introduced in 1978 by a private political party in Japan and increased to more than 300 individuals. This problem is made more difficult due to the territorial conflicts over the Islands by Japan, China and Taiwan.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.284, pp.22-25, 2008-05

いきなり優勝か——。プロゴルファーとして活躍を始めた石川遼選手は、国内ツアーのデビュー戦でファンや関係者の期待を一気に膨らませた。 4月第3週に開催された「東建ホームメイトカップ」。石川選手は初日が暫定7位タイ、2日目に単独首位に躍り出る。こうなるとファンやマスコミの目は石川選手にくぎ付け。その期待に応え3日目には首位を守った。
著者
坂田 亮一 岡谷 友三 アレシヤンドレ
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.125-128, 2008

本実験では,蒸し加熱で試作したソフトソーセージの破断特性および微生物学的品質を調べた。最大荷重,破断荷重,破断応力,破断歪率,破断エネルギーのすべてにおいて,調理当日の試料の値が低く,冷蔵試料,凍結試料の順で値が上昇し硬くなることが分かった。また,当日試料はほぼ平坦な波形を示し,冷蔵試料,冷凍試料は破断後,上昇したり,下降したりする波形を示した。当日試料に比べて冷蔵試料,凍結試料が硬くなったのは,冷蔵,凍結のせいではなく,蒸し加熱と重曹によってケーキの様に膨らんだ生地が真空包装によって締まったからだと思われる。また,調理当日測定のソフトソーセージはつみれ(いわし,ほっけなどを原料)と非常に類似した破断特性を示した。 微生物学的品質では,大腸菌群,黄色ブドウ球菌,サルモネラは検出されず,生菌数も指導基準の菌数限度を大きく下回る値となった。これは80℃で30分間の加熱処理によるものと考えられる。Soft sausages prepared by steam-cooking were investigated to measure their rheological nical properties and microbial quality. Maximal force, breaking strain and other property values are lower in the fresh soft sausage but were found to increase with refrigeration and freezing. The fresh sausage showed a flat wave pattern, but those of the refrigerated and frozen samples rose and fell, which caused hard structure in the sausage. The fresh soft sausage showed to have similar rheological properties to tsumire (fish meatball). With regard to microbial quality, E. coli, Staphylococcus aureas and Salmonella were not detected, and the aerobic bacterial counts were observed to be below the standard guideline level in Japan. This seems to be the effect of steam-heating at 80 ℃ for 30 min.
著者
玉懸 元
雑誌
文学部紀要 = Journal of Faculty ob Letters
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.248-233, 2016-03-15

4 0 0 0 OA 不思議の鍋

著者
井本 英一
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-29, 1999-01-30

Sun Yat-sen, Chinese revolutionary, gave a miraculous pot to Tatsukichiro Horikawa, Japanese nobleman, when he departed from China for Japan after the completion of the revolution. When one rubbes the handles of the pot with water in up to 70 per cent height, a large quantity of mist gushes forth. The pot is kind of the cornu copia which supplies inexhausted food and drink. This kind of pot was considered not as a pot of this world but as that of the world beyond. Loaves and fish of Jesus (Matt. 14. 13-21) were cooked in this pot. The large bronze 'sea' in front of Solomon's temple and the Holy Grail of King Arthur were of the same origin. A miraculous pot belonged to the god of the underwater or the underground world so it was laid out at the entrance of the cave tomb. Ancient blacksmiths needed carbon in melting metals. They sacrificed a human being and put it into the melting pot. The story of the miraculous pot is often connected with the body or the head of the victim. The kingship was represented by the miraculous pot. When the kingship was lost the pot sinked to the depth of the water and was guarded by a dragon god, and anyone who got it out of the water became a new king.
著者
福島 二朗 西片 守
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.289-294, 1985-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
25

本研究は、大化改新から江戸時代までの東山道をとりあげ、その果たしてきた役割を時代ごとに明らかにすると共に、地方の地域社会発展にどのような影響を及ぼしたかを、栃木県足利市を例としてとりまとめたものである。今回は第一回目の報告として、大化改新から平安時代までをとりあげたが、この時代における東山道は国家統一・中央集権的支配体制の確立を目的としたものであり、その機能は次の3項目に大別することができる。1. 東国以東の地域を中央支配体制の中に組み入れるための軍事的目的2. 中央の経済基盤を固めるための物資 (調庸) 輪送3. 精神的支配を目的とした仏教の普及本稿では、この3つの機能についての裏付けを、古代政治・制度等との関わりから明らかにすると共に、中央と地方との媒介としての東山道によって、その経路に位置した足利がどのような変貌を遂げていったかを述べた。
著者
煎本 孝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.320-343, 2001-12-30
被引用文献数
2

北海道阿寒湖畔において50年間続けられてきたまりも祭りは、アイヌの伝統的送り儀礼の形式を取り入れて創られた新しい祭りである。当初、この創られた伝統は、アイヌ本来の祭りではない、あるいはアイヌ文化を観光に利用しているという批判を受けることになった。しかし、祭りを主催するアイヌの人々は、この祭りは大自然への感謝祭であると語る。本稿では、まりも祭りの創造と変化の過程、それをめぐる語り、阿寒アイヌコタンと観光経済の関係、さらに現在行われているまりも祭りの分析から、アイヌの帰属性と民族的共生の過程を明らかにする。その結果、(1)アイヌの民族性の最も深い部分にある精神性の演出により、新しいアイヌ文化の創造が行われていること、(2)この祭りの創造と実行を通して民族的な共生関係が形成され、それが維持されていること、(3)そこでは、アイヌとしての民族的帰属性が、アイヌと和人とを含むより広い集団への帰属性に移行していること、が明らかになった。さらに、最後に、民族的共生関係の形成を可能にするのは、経済的理由や語りの技術によるだけではなく、異なる集団を越えて、それらを結び付ける人物の役割と人間性が重要であることを指摘した。
著者
井上 史雄
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.51-63, 2008-08-31

本稿では敬語と経済の関係について,社会言語学の観点から分析を試みる.言語の経済性を,言語内,言語外の二つの観点から考える.二言語使い分けDiglossiaでの概念,High-Lowのスケールが,社会言語学の扱う多くの分野に共通に働くことをみる.言語内の経済については,世界の敬語を言語類型論と経済発展論から位置づける.また敬語の長さと敬意の度合いを分析し,相関関係を見出した.敬意低減の法則とポライトネス理論についても論じた.さらに現代敬語が一定方向に変化しつつあることを指摘し,敬語3分類が経済的なことを挙げた.言語外の経済に関しては,世論調査結果を分析し,職業と敬語については関連性が認められた.これを中間項として敬語と経済の関係を論じた.言語外の条件にもHigh-Lowのスケールが働くことをみた.
著者
吳 炫錫
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.29-41, 2018

本稿は、戦後韓国の社会でサッカーを通じ、どのようなナショナルな言説が構築してきたのかを検討したものである。戦後、韓国の社会でのナショナルな言説の特徴は、北朝鮮に対する敵対感の表出である「反共ナショナリズム」、植民地経験による日本に対する敵対感から構築された「反日ナショナリズム」と言える。このようなナショナリズムは、サッカーにもそのまま反映されており、サッカー中継の視聴を通じてナショナリズムの構築がなされてきた。しかし、2002 年W 杯以後にはサッカーを通じるナショナルな言説が大きく変化してきた。これは、既存のサッカーを通じて構築されるという単純なイデオロギー的機能ではなく、消費社会の到来と多様性に基づき、新な形態のナショナルが言説が構築されたのである。このような時代的な変化とともに、サッカーを通じた新な形態のナショナルな言説が構築された。それは、グローバリゼーションという時代的な流れとともに、サッカー選手個人がセレブリティ化されていくことである。すなわち、セレブリティに関する言説がナショナリズムの構築につながっている。本稿ではパク・チソンとソン・フンミンを中心にサッカー選手のセレブリティとナショナリズムとの関係について考察した。サッカー選手のセレブリティとナショナリズムとの関係において、新たな形態のナショナルな言説の生産、サッカーファンダム文化との節合、資本主義との交錯などが発生する。すなわち、サッカー選手のセレブリティ化は、より多様で、複雑な言説を生み出しており、そこではナショナリズムの変容が生じているのである。
著者
Kazunari Takahashi Yu Fukasawa
出版者
The Mycological Society of Japan
雑誌
Mycoscience (ISSN:13403540)
巻号頁・発行日
pp.MYC563, (Released:2022-02-14)
被引用文献数
1

The bark of live trees provides an important microhabitat for corticolous myxomycetes. However, the association between the presence of myxomycetes and health of host trees has not been studied in detail. In this study, we aimed to investigate the relationship between tree vitality and myxomycetes on the bark of Cryptomeria japonica trees in a montane forest in western Japan. The vitality of trees was categorized into four grades based on the visual assessment of tree shape and leaf density in the upper branches. Myxomycetes on the bark surface were examined using the moist chamber culture method. A decline in tree vitality increased bark pH and decreased electrical conductivity of the bark exudates. Seventeen myxomycete species were recorded in 74 C. japonica trees. The structure of myxomycete communities varied between healthy and unhealthy trees, and species diversity increased as the vitality declined. The relative abundance of Cribraria confusa decreased as the vitality declined, while that of Paradiacheopsis solitaria increased. The results showed that acidophilic myxomycetes grew on healthy C. japonica bark, but changes in bark pH associated with vitality decline led to the weakening of acidity and shifted the community structure; thus, corticolous myxomycete diversity was enhanced as tree vitality decline.

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1929年12月05日, 1929-12-05