著者
黒瀬 にな
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2021-04-28

近代法システムの前提を取り払った時、訴訟は限りなく陳情に近接するものの、すべてが政治に回収されうる訳ではなく、〈法〉に訴えるという行為は多かれ少なかれ「規範的な正しさ」を指向すると考えられる。日本の平安時代~南北朝時代においては、所領支配や職階制に基づく人的・制度的関係をたどって出訴するのが一般的であり、このことは研究上「本所法廷主義」と命名され、裁判管轄原則と捉えられている。その一方で、当時の訴訟では縁故関係が多大な役割を果たしており、正式な帰属関係と非正式な縁故関係の両者の関連性が問題となる。本研究はこの点に着眼し、訴訟手続に係る正当性の日本中世固有のあり方を明らかにするものである。
著者
松尾 梨沙
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

フリデリク・ショパン(1810-49)の創作において、彼が実際に使用していた楽器(ピリオド楽器)の変遷が、その作曲にどう影響し得たかを検証する。とりわけ「強弱設定」に軸を置きつつ、彼の作品における重音連打書法と、彼の愛奏した楽器(特にプレイエル製)の年代や楽器毎のメカニズムとの関係がもたらす効果について考察する。1年目はテレワーク中心でも可能な調査(オンライン資料閲覧、19世紀の楽器構造に関する国内外の書籍の収集・読解)から開始する。2年目はフランスを拠点とした海外での楽器博物館調査を開始する。さらに分析対象をグランドピアノからピアニーノ(縦型ピアノ)にまで広げる。
著者
高橋 勉 吉武 裕美子
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では縦渦リニアドライブ風車の動力特性に影響を及ぼす形状因子の解明を中心に実験的研究を行った.形状因子としては,円柱翼の直径,リング状平板の半径方向への厚さ,円柱翼とリング状平板のすき間が最も重要であった.円柱翼の長さに関しては,後流リングの幅から翼の飛び出し量が大きすぎる場合にはカルマン渦が形成され縦渦による揚力が低減することを見いだし,最適な長さ,飛び出し量を実験により求めた.パワー係数の向上のために多翼化を行い,翼の枚数の増加により回転数が受ける影響は小さいが,トルクが枚数に比例して増加することを見いだした.
著者
富田 眞治 平木 敬 田中 英彦 末吉 敏則 金田 悠紀夫 天野 英晴
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

本年度は,平成5年度までの研究成果を基に,超並列プロトタイプ・システムを実機として実装可能とするため,LSI,プリント基板,システム筐体の設計を行った.さらに,これと平行してシステムの妥当性を評価するための種々のシミュレーション実験や,入出力機構の開発を行った.以下に代表的な研究成果を示す.1.超並列システムのキャッシュ一貫性制御方式の評価ディレクトリ・ベースのキャッシュ一貫性制御法として提案した疑似フルマップ方式を,本重点領域研究の成果として提案した.Recursive Diagonal Torus(RDT)ネットワーク上に実装した場合の性能をシミュレーションにより評価した.その結果,ネットワークの階層構造を活用したマルチキャストや,ACK回収の効果により,フルマップ方式に比べ,約4倍の処理速度が得られた.また,マルチキャスト法として,LPRA(Local Precise Remote Approximate)法,SM(Single Map)法,ならびにLARP(Local Approximate Remote Precise)法を提案しその評価を行った.その結果,無駄なトラフィック軽減の観点から,宛先ノードが少ない場合にはSM法が有利で,宛先ノードが一定数を越すとLPRA法またはLARP法が有利になることが判明した.さらに,LPRA法とLARP法の優劣は,データのマッピングに強く依存することも判明した.2.超並列システムの高速入出力システムの研究入出力専用の高速ネットワークをRDTと独立に設け,仮想FIFOならびにLANを介して接続されたワークステーション群全体の広大なディスク領域を超並列計算機のファイルシステムとして提供する入出力サブシステムを提案した.さらに,仮想FIFOでHDTVを接続することでビジュアルな計算機環境を構築可能とした。また,画像表示機構の実装に際しては,1画面のフレーム・メモリを16分割し並列計算機からの表示データ転送を分散並列的に行うことで,最大250MB/秒の転送速度を実現し,ハイビジョン画質の動画表示を可能とした.
著者
富田 眞治 山口 和紀 岡本 敏雄 美濃 導彦 中西 通雄 永野 和男 今井 慈郎 岡部 成玄 三尾 忠男
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

高等教育機関は独立行政法人化を含めた大学改革の中に在り、「教育」「研究」「社会貢献」の3つの課題に対し、鋭意検討中である。大学教育・研究の高度化・個性化と共に組織の活性化の中で、IT革命への積極的な対応を求められている。これはマルチメディア環境を多用することを念頭に置いており、目指す方向は、我々の研究領域と合致する。本研究組織も現状と今後を眺望し、(1)情報リテラシ教育、(2)専門課程教育、(3)教員養成向け教育、(4)新教育方法、の4つのグルーブを編成し、以下の多くの成果を得た。(1)は工学的な技術論理、情報倫理の基本理念の提言、情報リテラシ教育授業の研究、情報処理教育用適応型教材に関する研究、PC教育教材のDVD試作およびWebベースで行うe-Learningのコース設計・開発・管理を行う統合ソフトに関する研究などの成果を得た。(2)については、学部向け情報リテラシ教育の最適化の研究、学部に適合した高度情報リテラシ教育教材の開発、専門科目の高度教材開発研究をマルチメディア環境の基で行って成果を得た。なお、これらの研究は実践教育の評価を踏まえた統合的な研究である。(3)の分野では、高校の情報教育の目標、担当教師の職能、教師向けの情報教育素材の開発・研究、情報科教員を目指す受講学生の知識と情報教育内容を連携させる知識ベースシステムの開発など、マルチメディア環境を活用した研究成果を得た。(4)の新しい教育方法では、情報教育に止まらず、大学教育全般を対象とした遠隔教育についての研究を推進し、受講対象を大学以外に拡げ、Web環境を活用した講義・個別・探求型・グループなどの学習に適したe-Learning環境の開発、同一大学内におけるWeb環境下での遠隔教育実践に対する評価、他教育機関と連携した所謂バーチャルユニバーシティにおける遠隔連携ゼミでの相互の学生の意識解析。さらにマルチメディア環境を活用した国際的な遠隔双方向講義の実施結果から、受講学生の意識調査に基づく遠隔講義システムの研究・評価などの成果を得た。なお、本研究の一環として、一般情報教育の高度化を目指したテキストを現在作成中である。
著者
中村 和彦
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

海洋生物などに由来する生理活性物質について、環形動物ウミケムシの炎症惹起物質コンプラニンをモデルに機能解明を目的として化学的研究を進めた。また植物成分からコンプラニンに構造が類似したアセチレンアミドを単離し、メラニン生成を阻害することを見出した。またGrubbs触媒によるジオールの開裂反応を見出し、生理活性について考察した。
著者
小椋 康光 八幡 紋子 鈴木 紀行 ENCINAR Jorge ruiz
出版者
昭和薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

セレンは植物にとって非必須であるが、動物にとって必須元素であり、陸域の生物圏では、棲息する生物に毒性を発揮することなく、循環が起こっていると考えられる。そこで動物の排泄形であるセレノ糖が植物に対してどのような影響を与えるのか明らかにすることを目的とし、検討を行った。さらにセレンの代謝過程を明瞭にするため、同属のテルルの代謝との比較を行い以下の成果を得た。
著者
安藤 正規 安藤 温子 井鷺 裕司 高柳 敦
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本国内に生息する大型の草食動物であるニホンジカ(以下、シカ)とカモシカとの生息域や餌資源を巡る種間競争について、 (1)自動撮影装置を用いた両種の土地利用傾向調査、(2)次世代シーケンサーを用いたDNAバーコーディングによる両種の餌植物構成調査、を実施した。(1)の結果より、森林内の利用傾向は両種間で季節的、空間的に異なることが明らかとなった。また(2)の結果より、特定の餌植物種は種間で出現頻度に偏りが見られたものの、餌植物の種構成自体はほぼ差がないため、シカによる下層植生の衰退は両種の餌資源の競合をより強める可能性があることが示唆された。
著者
荒川 健佑
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、乳酸菌の抗真菌性に着目し、真菌をターゲットとした「バイオプリザバティブ(食品保蔵因子)」と「プロバイオティクス(保健機能因子)」の両面で食品利用可能な乳酸菌株の単離・選抜・同定(1年目)、選抜菌株が産生する抗真菌物質の単離・精製・同定(2-3年目)、選抜菌株の効果についてのin vitroおよびin vivo評価(2-4年目)を行う。
著者
金 允姫 橋爪 真弘 本田 靖
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

気温は自殺との関連が高い気象因子として考えられ、気温の上昇と自殺リスクの増加に関する多くのエビデンスが報告されてきた。しかし、正確な気温-自殺の非線形関係を推定する研究は不足していた。本研究は、12カ国341都市・地域の自殺死亡者数と気象データを収集し、同一の統計解析法を用いて気温-自殺の非線形関係について包括的な研究を試みた。結果、気温-自殺の非線形関係は全体的に気温上昇に応じて自殺リスクの増加が観察されたが、非常に高い気温では、自殺リスクがもはや増加せず、水平状態に達したり、わずかに減少することが明らかになった。また、非線形推定曲線を介して自殺リスクが最大となる臨界温度範囲を確認した。
著者
松本 昇
出版者
信州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本プロジェクトは,自伝的記憶の概括化(OGM)が生じるメカニズムおよび記憶の特定性トレーニング(MeST)がOGMおよび抑うつに効果を発揮するメカニズムを明らかにすることを目的とした。いくつかの実験研究を通じて,ネガティブな手がかりに対するOGMの直接検索が抑うつに特に関連するメカニズムとして特定された。このことから,OGMに対するアクセシビリティを変容させる介入が重要であることが示唆された。MeSTによる治療データの二次分析では,OGMの直接検索が抑うつを予測する効果をMeSTが緩和させることが示された。OGMのアクセシビリティに焦点を当てた介入では,抑うつに対する大きな治療効果が示された。
著者
杉山 崇 雨宮 有里 五味 美奈子 伊藤 美佳
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

シアター&スポットライト仮説は心理療法を統合するための理論モデルである。このモデルは認知科学、認知神経科学に基づいて構成されている。研究代表者は、この仮説を理論モデルとして確立するために、包括的な理論研究と次の研究で活用するツールの作成を含めた実証研究を企画した。残念なことに、企画の一部は研究資源の関係で実施できなかった。しかし、企画の一部を見直して新たに立て直すことで、概ね予定していた成果は達成できた。本研究の成果を元に、シアター&スポットライト仮説に基づいたアセスメントツールの原案も策定でき、次の科研費応募にもつながっている。
著者
石澤 啓介 八木 健太 合田 光寛 石澤 有紀 新村 貴博 相澤 風花 座間味 義人 濱野 裕章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

大動脈解離や大動脈瘤は、致死率が高く緊急性を要することから、その発症予防が重要である。近年抗菌薬の副作用として発症することが示唆されている一方、感染症そのものが大動脈疾患発症を惹起する可能性も報告されている。しかしながらその関連性は未だ明らかになっておらず、治療・予防に繋がる病態解明も進んでいない。そこで本研究では、人工知能 (AI) システム・医療ビッグデータ・基礎生命科学データベースを統合的に解析し、疾患モデル動物を用いた基礎薬理学的な検証を行うことで、感染症と大動脈疾患の包括的な連関解明、さらには予防戦略の確立を目的とする。
著者
北村 啓
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年の超高齢化に伴い、老化による運動機能低下が誤嚥を惹起する原因として問題になっている。申請者は献体を対象とした研究から、喉頭蓋谷の粘膜下が舌筋と喉頭蓋軟骨、それらを接合する腱により構成されていることを見い出した。この結果から、『老化による舌筋の器質的な変化 → 舌筋の筋力 低下による喉頭蓋の後傾 → 喉頭蓋谷後壁の平坦化』 という安静時の誤嚥の新たな 発症機序を考えた。本申請課題の目的は、加齢による舌筋ー腱ー喉頭蓋軟骨の形態変化が嚥下機能に与える影響を解明することである。また、喉頭蓋谷の加齢変化を基礎医学的に 解明することで誤嚥防止に貢献をし、健康寿命の延長にも波及効果があると考える。
著者
小野 秀樹 太田 茂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

我々は覚醒剤の構造関連化合物である4-フェニルテトラヒドロイソキノリン(4-PTIQ)が覚醒剤のアミン放出作用を選択的に抑制することを示してきた。本研究においてはまず覚醒剤のドパミン放出作用の作用部位と考えられるドパミントランスポータに対する4-PTIQの直接的な作用について検討した。ラット由来のドパミントランスポータをCOS-7細胞に発現させ、^3H-4-PTIQのドパミントランスポータに対する作用を研究した。^3H-ドパミンの取込実験からNa^+および温度依存性の取込が観察され、COS-7細胞にドパミントランスポータが発現していることが確認された。また、^3H-4-PTIQにおいてもNa^+および温度依存性の取込が観察された。^3H-4-PTIQのドパミントランスポータに対する結合実験をおこなったところ、kd=727nMの特異的結合が明らかになった。以上から4-PTIQはドパミントランスポータに結合して覚醒剤と同様にアミン神経終末に取り込まれるが、覚醒剤が持つアミン放出作用は弱いため、なんらかの機序で覚醒剤のアミン放出作用を抑制するのではないかと考えられた。次に4-PTIQの臨床応用をめざし、覚醒剤慢性中毒のモデルである逆耐性動物を用いた研究を行った。メタンフェタミンを3-4日おきに4回皮下投与すると移所行動増加作用が強くなった。5回目投与前に側坐核にプロプラノロールを投与すると移所行動の増加が抑制されたが、プロプラノロールは覚醒剤の1回目投与では抑制しなかった。4-PTIQは覚醒剤の1回目の投与時でもこれを抑制するため、4-PTIQは逆耐性に選択的とは言えなかった。以上から4-PTIQは覚醒剤慢性中毒モデルには有効ではないと思われ、今後、急性モデルを用いる研究が必要であると考えられた。
著者
原田 達
出版者
追手門学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

今日、さまざまな学問分野で 「知の資本」 概念が多用されている。しかしいまだ統一されたイメージは確定されていない。この概念はおおきく分けて二つの意味で用いられている。ひとつは 「知」 の経済機能に注目したもの (A.シュルツ) 、もうひとつが 「知」 の政治機能に注目したもの (バクーニン以降のアナーキズムの系譜) 。しかし両者は十分な架橋がなされているのではない。その試みは、しかし、いくつか存在している。たとえばA.グールドナーの仕事、さらにI.セレニーの仕事はその例である。ただし、かれらの試みは十分に成功したとはいいがたい。ところで最近注目されているネオ・ヴェーバー主義者 (F.パーキン、R.コリンズ、R.マーフィーら) の 「閉鎖理論」 は 「知」 が一方では経済的機能をもちながらも、他方それを可能にする 「知」 の政治機能を重視して、両者の架橋にかなり成功している。しかも、かれらの理論はバクーニンの影響下にあるW.マハイスキーによって先導されているように思われる。 「知」 を 「権力」 と 「収益」 をめぐる 「閉鎖」 のメルクマールと把握することによってバクーニンからネオ・コンサーヴァティヴまでの 「知の資本 (論) 」 の系譜をたどることができるだろう。以上の研究成果は裏面に記した追手門学院大学文学部紀要 (これは研究成果報告書をかねる) において論じた。
著者
崔 銀姫 友永 雄吾
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、1950年代から2000年代までの凡そ半世紀にわたって日本で放送されたテレビのドキュメンタリー番組における「アイヌ」というエスニシティの言説と表象の考察を通して、日本の現代社会における他者性の構築と変容を考察したものである。特に、本研究は、過去約60年間のドキュメンタリーにおけるアイヌの表象と他者性に関わる変容を,言説的実践や意味の生成,権力的作用といった表象のシステムに注目しつつ、学際的な(メディア研究や歴史学,人類学,民族学等)視座を踏まえたカルチュラルスタディーズの研究方法を用いて、番組を分析・考察するものである.
著者
若林 敬二
出版者
国立がんセンター
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1985

亜硝酸処理により直接変異原性を示す食品は、胃癌の発生に関与している可能性がある。各種野菜及び漬物を亜硝酸処理すると、サルモネラ菌TA100に対する直接変異原性が生ずる。そこで、日本人が頻繁に摂取している白菜に含まれる、亜硝酸処理により変異原性を示す変異原前駆体の分離精製を行った。その結果、4-メトキシインドール-3-アルデヒド(【I】)及び4-メトキシインドール-3-アセトニトリル(【II】)を変異原前駆体として単離した。(【I】)及び(【II】)の亜硝酸処理により生ずる変異原性は、変異原前駆体1mg当たりTA100に対して、-S9uixで、各々156,900及び31,800復帰コロニーであった。(【I】)及び(【II】)は、白菜300gより、各々700μg及び60μg得られ、白菜全体の変異原性の16%及び0.3%を説明することができた。尚白菜中の変異原前駆体として既に報告されているインドール-3-アセトニトリルも、白菜300gより80μg得られた。白菜塩漬け醸成期間中の、亜硝酸処理により生ずる変異原性の経時変化を調べた。その結果、変異原性は生の白菜に最も強く認められ、10日目の塩漬け及び漬け汁には生の白菜の変異原性の33%及び31%に相当する活性が認められた。よって、亜硝酸処理により生ずる白菜塩漬けの変異原性は、醸成期間中に変異原前駆体が生成するためではなく、生の白菜に存在するインドール化合物等の変異原前駆体によるものと考えられる。インドール化合物は環境中に普遍的に存在しており、そのニトロリ化の反応は速い。した員って、亜硝酸存在下におけるインドール化合物の発癌性、特に胃癌誘発の有無を調べることは重要である。
著者
前田 清司 秋本 崇之 下條 信威
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、①睡眠質が競技パフォーマンスに及ぼす影響、②睡眠質が低下する機序、③睡眠質の低下がもたらす競技パフォーマンスの低下を改善する方法を検討した。睡眠質は比較的強度の高い運動中の認知機能に影響を与えることが示された。また、メタボロミクスによる網羅解析にて、睡眠質の低下にはカルノシンやオルニチンなどの代謝産物の低下が関与する可能性が示された。さらに、カルノシン含有のイミダゾールジペプチドの摂取により睡眠改善と競技パフォーマンス向上の可能性が示された。
著者
鷲谷 花 土居 安子 紙屋 牧子 岡田 秀則 吉原 ゆかり アン ニ 鳥羽 耕史
出版者
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、スクリーンへの映写メディアである映画及び幻灯(スライド)を、近現代日本における社会運動組織が、どのように宣伝・教育・記録といった目的に活用してきたかを解明すべく、主に社会運動の一環として自主製作・上映された映画及び幻灯のフィルム・スライド・説明台本といった一次資料の調査に取り組んできた。本研究プロジェクトの3年間にわたる調査研究活動により、第二次世界大戦後を中心とする日本の社会運動と、映画及び幻灯の自主製作・上映活動の連携の実態や、そうした活動に関わった組織及び人物の動向の一端が明らかになった。また、複数の貴重な一次資料を発掘し、修復及び保存、公開を進めることができた。