著者
松浦 清
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

星曼荼羅(北斗曼荼羅)の構成要素と構成原理は仏教の教義とは無縁な天文学の基礎知識に基づいており、仏教はその知識を教義に利用している。星曼荼羅の図像の原型は、現実の天体配置を把握する際に必要な「基礎的天体モデル」とでも称すべき一種のイラストと推測され、それにインドと中国の暦法や西洋のホロスコープ占星術が融合して、星曼荼羅は成立した可能性を研究論文にまとめた。また、星宿信仰の歴史的展開を解明するには、近世の関連作品の分析が重要であることも、他の研究論文において指摘した。
著者
高島 亜理沙
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は、エンターテイメントとして消費されるホモフォビックな表現形態に着目し、こういった表現が①どのように発展・継続してきたか、②どのようにポリティカル・コレクトネスの規制を免れてきたのか、そして③なぜ必要とされるのかを明らかにすることを目的としたものである。差別性が問題化されながらも人気を博しているコンテンツに関して、内容分析やインタビュー調査を行うことで、度々論争を呼んでいる「冗談か差別か」「表現の自由かヘイト・スピーチか」といった問いに一定の方向性を示すことを目指す。
著者
五十嵐 悠紀
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では初心者の着付けを情報技術を用いて支援するシステムを検討・構築した.また半幅帯に注目し,半幅帯の帯結びを1 本のつながったものではなく,パーツの集合体として扱うというアイデアをもとに,(1)帯結びをデータ化して扱うシステム,(2)実世界でパーツの組み合わせによってさまざまな帯結びに変えられる帯「組み替え帯」の提案,(3)帯結びエディタによって作成したデータから組み替え帯を組み立てるための支援ソフトウェア,の3つの提案をした.また,提案システムに対してユーザインタビュー調査を行った.
著者
田中 多佳子 梅田 英春 金子 敦子 沖花 彰 尾高 暁子 田中 健次 塚原 康子 筒井 はる香 寺田 吉孝 横井 雅子 岡田 恵美
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

楽器というモノに込められたわざ学、すなわち意匠と具体的変容の過程に着目してさまざまな角度から観察・分析することによって、今まさに音楽に生じつつある西洋対非西洋および伝統文化と現代化のせめぎあいと伝播と変容の具体的諸現象を確認し、可能な限り資料化し公開した。主な研究成果としては、(1)日本の大正琴とその異形たるアジアの楽器群に関する研究、(2)インドのリードオルガンとその異形に関する研究、(3)ヨーロッパの楽器学と楽器制作の現状に関する研究、(4)19世紀末のインド楽器をめぐる東西交流史に関する研究があげられる。
著者
加藤 美生 木内 貴弘 河村 洋子 石川 ひろの 岡田 昌史 奥原 剛
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

保健医療課題を取り扱ったプライムタイムテレビドラマの研究状況を文献調査から把握した。視聴者の医師像の認知および医師への信頼度の影響を分析したところ、医療ドラマの外科医の描かれ方によって信頼度を左右する可能性があることが明らかになった。テレビドキュメンタリー番組に登場した患者の語りについてはその重要性が近年認識されつつあることがわかったが、公害や薬害の番組数は種類によって制作数の偏りが見られた。エンターテイメント・エデュケーション実施団体や医療ドラマ制作者へのヒアリング調査により、制作者の制作動機や課題を収集し、メディアと医療をつなぐ会を設立し医療ドラマ制作教育プログラムを実施した。
著者
石井 亮 土基 善文 稲場 道明 上原 北斗 島田 伊知朗 木村 俊一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

A型クライン特異点の極小解消上の例外集合に台を持つ連接層の導来圏に関して, Bridgelandの定義した安定性条件の空間を決定し, 特にそれが連結かつ単連結であることを示した. また, ダイマー模型にそれぞれ適当な条件を課すと, 付随する箙の表現のモジュライ空間が, 対応する3次元特異点のクレパント解消になり, 箙の道代数はその非可換クレパント解消であることを示した. 特殊McKay対応との関係も明らかにした.
著者
高橋 宏 正田 純一 柳川 徹
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

胆汁うっ滞症の治療にはステロイドホルモン,フェノバルビタール,コレスチラミンなどが経験的に使用されてきたが,その効果は不安定であり有効性も確立されていない.漢方製剤インチンコウ湯(ICKT)は胆汁うっ滞や黄疸の治療薬に広く使用されている.我々は本剤の生薬成分であるgeniposideとその活性体であるgenipinの急性投与,およびgenipin,ICKTの慢性投与は有機陰イオン輸送蛋白であるmultidrug resistance-associated protein2(Mrp2)を介在した胆汁酸非依存性の強力な胆汁分泌促進(利胆)作用を発揮することが明らかとなった(Hepatology2004,Am J Physiol 2007).すなわち,genipinまたはICKTの長期投与ラットでは対照に比して,胆汁流量と還元型グルタチオン,ビリルビン,胆汁酸分泌量は有意に増加した.肝臓ではMrp2とMrp3のmRNAおよび蛋白発現レベルの有意の増加と,Mrp2の肝毛細胆管膜における発現が増加していた.これらの変化はICKT投与ラットで顕著であった.Mrp3はICKT投与ラット肝の門脈周囲領域で強い発現が認められたが,胆汁酸輸送蛋白であるBsep発現には変化を認めなかった.ビリルビン負荷試験にて,ICKT投与ラットにおける投与2時間後の血中総ビリルビンは有意に低下していた.ヒト肝細胞を有するヒト肝キメラマウスにおいても,ICKT長期投与のマウスでは対照に比して,胆汁流量の増加を反映し胆嚢腫大が認められた.肝輸送蛋白ではラット同様に,ICKT投与マウスでMRP2の蛋白発現量と肝毛細胆管膜における発現に増加が認められた.これらのことより,ICKTおよびその生薬成分であるgenipin(geniposide)の長期投与は,転写・翻訳の増加に加えて,post-transcriptionalメカニズムにてMrp2/MRP2の毛細胆管膜への集約を促進することにより,ラットおよびヒト肝において胆汁酸非依存性に胆汁分泌を強力に促進することが判明した.ICKTは胆汁うっ滞性肝胆道疾患の治療薬として高い有用性が示唆された.
著者
中岡 宏行
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

Yann Palu氏とのextriangulated category(以下、ET圏)を定義した共同研究は改定後論文誌に掲載された。Yu Liu氏とのET圏の余ねじれ対のハート構成を調べた共同研究は改定後論文誌に掲載された。Martin Herschend氏・Yu Liu氏との共同研究で高次数版としてn-exangulated categoryという概念を定義した。現在査読待ち。Osamu Iyama氏・Yann Palu氏との共同研究ではAuslander-Reiten理論をET圏で考察するプレプリントを作成した。他に、gentle多元環の導来不変量に関する単著のプレプリントを作成した。
著者
瀧本 禎之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

摂食障害患者の治療拒否時の対応に関して、文献調査により「最善の益」と「判断能力」の二つが論点として抽出された。この2つの論点に対して、国内の摂食障害の治療専門家の意識を調査した結果、「最善の益」を生命維持と捉えて、生命危機時には強制的治療を選択する一方で、摂食障害患者の「判断能力」は認める傾向が認められた。強制治療に対する考えは、保健行政側も同様に考えていることが明らかなった。国外との比較においても、一定の判断能力を認めつつも生命危機時には強制的治療を選択する傾向は同様に認められた。ただし、日本は、海外に比べて強制治療の根拠を家族の同意におく傾向が強いという特徴が認められた。
著者
合田 美子 山田 政寛 石毛 弓 山本 佐江 田中 洋一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、自身の成長のために有用なフィードバックを誘起するために必要な要因を明らかにし、体系的にモデル化することを目的としている。研究方法は、データ駆動型アブローチとナレッジ駆動型アプローチを組み合わせる。研究範囲は、学習者とフィードバック提供者の1対1の場面、研究会のような学習者と複数のフィードバック提供者がいる1対多の場面とする。また、フィードバックをもらう場面だけでなく、その前後の要因も含め、動的・静的なフィードバック誘起要因を同定する。本研究では、フィードバックの提供だけでなく、学習者からの働きかけにより、より質の高いフィードバックを誘起する手法を提案する。
著者
山中 仁美
出版者
名古屋商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、第1次世界大戦から第2次世界大戦までの期間(以下「戦間期」と記す)のイギリスにおける国際関係学の発展を、ナショナリズムをめぐる議論と関連付けながら歴史的に再検討することを目指した。研究の過程においては、新設されたシンクタンク「王立国際問題研究所(通称「チャタム・ハウス」)」の研究グループの議論に着目し、そこで戦間期の国際関係をめぐる概念や理論が、日々変化する国際政治情勢など経験的な事実と擦り合わされながら発展したことを明らかにした。これにより、国際関係をめぐるさまざまな知的営為が歴史的文脈を離れて抽象的には思弁され得ないことが示唆され、学説史研究に一つの視点を付け加えるに至った。
著者
鈴木 圭輔
出版者
獨協医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

我々はパーキンソン病やアルツハイマー病を含む8つの神経変性疾患患者156例を対象に血清インスリン様成長因子(IGF-1)値と臨床症候との関連を調査した.結果,各疾患において血清IGF-1値に有意差はみられなかった.パーキンソン病患者では血清IGF-1値は年齢および日常生活動作の障害と負の相関を示し,線条体におけるドパミントランスポータースキャンの集積および前頭葉機能と正の相関を示した.またアルツハイマー病患者では血清IGF-1値は年齢,罹病期間,日常生活動作の障害と負の相関を示した.本研究により神経変性疾患における血清IGF-1値の測定が疾患進行の評価に有用である可能性が示唆された.
著者
立入 直紀
出版者
宮城県警察科学捜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

近年若者を中心に急速に広がりをみせている大麻濃縮物は、従来の大麻よりもΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)の含有量が多く、さらにΔ8-THCの含有も確認されている。これらの含有量を明らかにすることは、今後予想される様々な人体への影響、違法な流通ルートを把握するため重要となる。従来のクロマトグラフによる定量では、純度既知の標準品や検量線が必要なため操作が煩雑であったが、本研究では、標準品や検量線の必要がなく純度分析に適した核磁気共鳴装置を大麻濃縮物中のΔ9-THC及びΔ8-THCの定量に適用し、迅速かつ正確な定量法の開発を目指す。
著者
永福 智志
出版者
富山医科薬科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

サルにおける神経生理学的研究から,上側頭溝前部領域には「顔」に選択的に反応を示す「顔」ニューロンが存在し,これら「顔」ニューロンは顔や視線の方向に選択性があり,一部は「声」などの聴覚刺激にも反応性があることが報告されている.しかし,「顔」や「声」に基づいたアイデンティティの認知(その「顔」や「声」の主が誰なのかの認知)における同領域の機能的役割に関する研究はほとんどない.われわれは,アィデンティティ認知における同領域の機能的役割をニューロンレベルで解明するため,「顔」に基づくアイデンティティ認知を要求する遅延見本会わせ課題(I-DMS課題)を用い,課題遂行中のサルの行動と同領域(および下側頭回前部領域)ニューロンの反応を記録・解析した.また,同領域における「顔」ニューロンの分布を組織標本および核磁気共鳴(MR)画像に基づき検索し,同領域内での「顔」ニューロンの反応性の相違を検討した.その結果,上側頭溝前部領域吻側部と尾側部には機能的な差異があることが明確になった.すなわち,(1)顔の方向に対する反応選択性が同領域吻側部と尾側部で異なり,吻側部「顔」ニューロンは斜め向きの「顔」に選択性を有するものが多いが,尾側部「顔」ニューロンは横顔に選択性を有するものが多いこと,(2)吻側部「顔」ニューロンは顔の方向に対して一峰性のチューニングを有するものが多いが,尾側部「顔」ニューロンは左右方向の「顔」に対して鏡像関係のニューロン応答を示し,二峰性のチューニングを有するものが多いこと,(3)吻側部「顔」ニューロンは,尾側部「顔」ニューロンより「顔」のもつ視線の方向による反応の修飾を受けやすいこと,などが示された.したがって,同領域吻側部「顔」ニューロンにはアイデンティティの認知に有利な斜め向きの「顔」が主に表現されており,視線の方向など,「顔」のもつ生物学的意味による反応の修飾を受けやすいこと,一方,尾側部「顔」ニューロンには横顔を含めあらゆる方向の「顔」が表現される一方,単なる「顔」の方向だけでなく,「顔」のパーツの包含関係なども反応性に影響を与えることが示唆された.解剖学的には,同領域吻側部は視覚記憶と密接な関係のある下側頭皮質前部(とくに前腹側部)と強い相互神経結合がある一方,尾側部は下側頭皮質後部,視覚前野(とくにV4野),頭頂間溝および海馬傍回後部(TF/TH野)など,種々の視知覚関連領域から線維投射を受けるなど,入出力様式に違いがあることが知られている.われわれの結果はこのような解剖学的知見と一致するものであり,上側頭溝前部領域吻側部と尾側部における「顔」情報処理に機能的階層が存在する可能性を示唆している.
著者
小松 晃之 木平 清人 森田 能次
出版者
中央大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

赤血球の代替物となる人工酸素運搬体の実現は次世代医療の最重要課題である。これまで多くの化合物が開発されてきたが、副作用や有効性に問題があり、未だ実用化には至っていない。本研究は、組換えヘモグロビン(rHb)と組換えヒト血清アルブミン(rHSA)からなる新しい人工酸素運搬体「組換え(ヘモグロビン-アルブミン)ナノクラスター」(rHb-rHSA3クラスター)を合成し、その構造と酸素結合能を明らかにすることを目的としている。さらにrHbの部位特異的アミノ酸置換により、適度な酸素親和性を有するクラスターも合成する。ヒト血液に全く依存しない量産可能な赤血球代替物の創製に挑戦する。(1)部位特異的アミノ酸置換による酸素親和性の制御:2019年度に得られた成果をさらに展開し、rHbの Leu-β28、His-β63、Cys-β93、Asn-β102を部位特異的アミノ酸置換により、Tyr、Gln、Ser、Alaに変えたrHb変異体を産生し、それらを用いてrHb(X)-rHSA3クラスター(Xは変異箇所を示す)を合成した。いずれも赤血球の酸素親和性(25Torr)に近い適度な酸素親和性を有する人工酸素運搬体となることがわかった。以上の結果を総合し、rHb-rHSA3クラスターがヒト血液に依存しない究極の赤血球代替物となることを実証した。研究成果は、国内学会での発表、国際学会誌への論文掲載により公開した。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同で行った本成果の一部を紹介する動画が、JAXAのウェブサイトに公開された。
著者
寺尾 純二 向井 理恵 中村 俊之
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

フラボノイドに対するプレニル基の導入がその機能性に与える影響を構造活性相関の観点から解明することを目的とした。用いたフラボノイドはケルセチン(Q)とそのプレニル化誘導体である6-プレニルケルセチン(6-PQ)、5'-PQ、8-PQである。プレニル基の位置により疎水性は異なること、疎水性が最も高い6-PQが最も効果的にヒト血管内皮細胞へ取り込まれるとともにヘムオキシゲナーゼ-1の誘導を最も強く促進することを明らかにした。Qはフラボノイドの細胞内標的分子と予想されるカベオリン-1の機能調節作用を有することを証明した。プレニル化フラボノイドの標的分子としてのカベオリン-1の重要性が推定された。
著者
善如寺 俊幸 渡辺 裕司
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

世界の文字教育に関し、教育法を含む各種各様の実態を調査したうえで、非漢字文化圏からの留学生に現在のところ最も有効と思われる教授法に基づいて、漢字教材を開発作成した。世界数カ国の文字教育の実態を調査したところ、結果は予想を裏付ける形となり、非漢字文化圏諸国が多くても50字に届かない数の文字を3カ月から1年の間に学習し終えるのに対し、漢字文化図諸国では発音記号もしくは文字の他に国によって1000から3500に及ぶ漢字の読み書きを6乃至7年に亙って学習し続け、更にこれに続く3年間を読みあるいは熟語の学習を主軸とした1000字から2000字の漢字学習に当てるにもかかわらず、それでも文字習得が完結するわけではないという各々の実態が比較概観できた。こうした実態から翻って留学生の日本語文字教育を見るとき、非漢字文化圏からの留学生が日本語の文字学習別けても漢字学習に臨む際の気の遠くなるような絶望感にも似た無力感の一端が実感できるのである。これら調査結果を礎に、漢字学習が決して漠として杳とした際限のないものではなく、漢字の創成に着目すれば漢字の系統的相関も明解になり、積み上げ式の漢字学習が可能になることを、教材を通して分かりやすく示した。また、非漢字文化圏の留学生に対して、現在考えうる最も有効なコンピュータ教材のモデルも試行的に作成した。これは漢字の字源のイメージ(原像)を記号化する過程、即ち漢字の創成過程を映像として知覚認知させることによって漢字の字形と字義を同時に記憶させる速習法で、対留学生日本語教育は言うに及ばず、広く国語教育にも帰国子女教育にも活用でき、その汎用性は極めて高い。
著者
浅野 毅 中川 慎介 角家 健
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

血液脳脊髄関門保護効果を有する薬剤同定のハイスループットスクリーニング(HTS)方法を確立した。次に、既存薬のスクリーニングによって、候補薬剤を同定し、in vitro血液脳脊髄関門モデル、マウス脊髄損傷モデルによって、候補薬剤が血液脳脊髄関門保護効果を持つことを確認した。また、候補薬剤の1つであるBerberineを脊髄損傷マウスに投与することで、歩行機能が向上し、損傷脊髄の損傷範囲が減少することが明らかになった。これら一連の結果は、今回開発したHTS方法が血液脳脊髄関門機能保護効果を持つ薬剤の絞り込みに有用であり、同定された薬剤が脊髄損傷に対する神経保護効果を持つことを示している。
著者
山本 真行 柿並 義宏 齊藤 大晶 中島 健介 甲斐 芳郎
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

津波防災において重要となる津波規模の予測について、地震規模のエネルギー的指標であるマグニチュードと同様の値を陸上からの遠隔観測のみから準リアルタイムに与えることは既存の手法では困難であった。本研究では、インフラサウンド(超低周波音、微気圧波)の観測網をモデル地域とした高知県内に構築し、観測波形データの特性周期および最大振幅から、共鳴波長となる特性長および特性高を得ることで、津波の要因となる地震直後の海面上昇の領域およびその際の位置エネルギーの変化に相当する情報を陸上のセンサー群によって遠隔把握し、インフラサウンド津波マグニチュードを算出できることを示した。