著者
田口 雄一郎 服部 新 栗原 将人 斎藤 毅 玉川 安騎男 安田 正大 平之 内俊郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ガロア表現のモジュライ空間の構成やその性質について研究し、幾つかの基本的な成果を得た。また、これに関連して、ガロア表現についての幾つかの結果を得た。即ち、(1)かなり一般の完備離散附値体のガロア表現のガロア固定部分空間の消滅定理(今井の定理の一般化)とその岩澤理論への応用、(2)ガロア表現の合同に関する結果とその Rasmussen-玉川型の非存在定理への応用、(3)代数体の幾何学的なガロア表現のヘッケ体が、多くの(例えば或る場合には密度1の)有限素点について、そのフロベニウスの跡で生成される事の証明、(4)ガロア表現の像のザリスキー閉包の連結成分の個数の上からの評価、等を得た。
著者
高城 徳子
出版者
日本薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

脂質過酸化反応において、産生される反応産物は酵素による生体反応とラジカルや活性酸素による酸化ストレスで生じる反応産物も同じものとして測定している。そこで、これらを区別することが、抗酸化剤による酸化ストレス防止には重要であると考えられる。リポキシゲナーゼによる酵素的反応と、ラジカル発生剤による化学的反応、紫外線照射による物理的反応において産生される物質と生体内のアミノ酸等との反応で産生される反応産物で相違があるか検討を行った。結果としては、酵素反応、化学的反応および物理的反応で生じる反応中間体、反応産物に相違は認められなかった。
著者
八木 直樹
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、戦国大名大友氏と室町幕府・朝廷との関係を明らかにすることである。成果として、戦国期の大友氏当主が室町幕府・朝廷から獲得した守護職などの幕府官職と官位などの栄典について、彼らがいつ何を獲得したのかを明確にした。大友義長は3つ、大友義鑑と大友義鎮は8つの幕府官職と栄典を獲得していた。これらには、大友氏が申請のもの(主に守護)と幕府側より与えられたもの(主に栄典)があった。戦国大名大友氏と室町幕府・朝廷との交渉の頻度は、保守的なイメージとは異なり多くはなかった。本研究により遠国の戦国大名と室町幕府・朝廷との関係のあり方を提示することができた。
著者
佐々木 朝子
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

旧制下での林学に関する高等教育は、農学部を設置する帝国大学及び高等農林学校が担っており、これらの高等教育機関では学生・生徒の実習を目的として演習林を設置していた。そして、卒業生の多くは、専門知識を活かして森林行政や林産業に従事した。本研究では、1880~1940年代における林学に関する高等教育の実態を明らかにするため、各高等教育機関のカリキュラムや演習林を利用した実習の内容に関する調査を行う。また、在学中の教育が卒業後の職業生活にどのような影響を与えたのか明らかにするため、学生・生徒が卒業後に従事した職務等を調査する。以上の調査に基づき、林業における教育と産業の連関を考察する。
著者
内田 麻理香
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、申請者が所属している東京大学・科学技術インタープリター養成部門において、1.アクティブ・ラーニング型の科学随筆ライティングの授業と、2.様々な研究分野の科学者による対談イベントの両方を実施することにより、グループ討論を通じた科学随筆ライティング教育プログラムを開発する。さらに、他の授業担当者もそれを実施可能にするために、その授業方法を取りまとめて公開することを目的とする。授業とイベントの企画を設計する際に、1950年代から科学随筆を継続的に発表し、日常生活の中で出会う科学の面白さを広く読者に伝えた物理学者の同人会、ロゲルギストの活動を調べ、その活動方法を参考にする。
著者
大谷 弘 古田 徹也 一ノ瀬 正樹 片山 文雄 石川 敬史 乘立 雄輝 青木 裕子 佐藤 空 野村 智清
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

現代のように多様な価値観や情報が溢れる時代においては、我々の実践的文脈を離れた理性の明証性に訴えるような(通俗的な)個人主義的啓蒙思想は説得力を欠く。個人主義的啓蒙思想の理念に訴えるのでもなく、また権威に盲従するのでもなく、我々の実践に根差した形で思考し行為することの意義を徹底的に考える哲学としての常識哲学は、今日ますますその重要性を高めている。本研究の目的は、これまで十分に検討されてこなかったこの常識哲学の展開を哲学と思想史の両面から明らかにし、その洞察と限界を見極めるとともに、それを通して現代の我々が様々な問題について思考する際に常識の果たすべき役割を明らかにすることである。
著者
高橋 裕介
出版者
北海道大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
巻号頁・発行日
2018

大気再突入時に高温プラズマに包まれた宇宙機が、地上局やデータ中継衛星との通信途絶現象(通信ブラックアウト)に陥ることは大きな問題である。その一方で、再突入機近傍のプラズマ諸量分布や電磁波挙動の正確な予測が難しく、通信ブラックアウト低減に繋がる知見の探索が困難な状況である。したがって、この問題を回避・緩和するために通信ブラックアウト低減化技術は必要である。いま表面触媒性を用いた宇宙機後流プラズマ密度低下を利用することによる通信ブラックアウト低減が提案されている。本研究では表面効果による通信ブラックアウト低減化メカニズムおよび低減化技術の指針を見出すことを目的とする。本年度では、ドイツ航空宇宙センター(DLR)に滞在し通信ブラックアウト低減化の研究を実施した。DLR研究者との議論の中で、これまで取り組んできた表面触媒性とは別のメカニズムを利用した新しい通信ブラックアウト低減化手法を提案した。これは冷却ガスを再突入機表面から噴出して空力加熱低減する技術(フィルムクーリング)を応用したものである。とくにここではフィルムクーリングによる低減化の実現可能性を数値解析的手法によって調べた。本課題の基課題となる研究課題 (若手研究B17K14871)では表面触媒性による通信ブラックアウト低減化の実験的実証を行った。このメカニズムを本研究課題では数値解析的手法によって次の通り明らかにした:(1)表面触媒によって生じる分子が再突入機後流に流出する。(2)後流において分子の増加が原子種の不足を招く。(3)原子種を補う方向に電子の再結合反応が促進することで、電子が低減する。(4)電子の低減によって通信電波の伝播が緩和される。
著者
青木 尊之 吉田 正典 奥村 晴彦 矢部 孝 塙 雅典 野澤 恵
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

昨年度導入した20台のプレイステーション2 Linux kitで、並列の数値流体シミュレーションを行った。非圧縮性流体の場合、大量のネットワーク通信を伴うポアソン方程式の解法が最も大きな課題となる。並列化が容易なSOR法で2次中心差分法による離散化式と、局所補間微分オペレータ法による4次精度の離散化式を解いた。Linux kitに付属するGNUのコンパイラは、プレイステーション2のCPUであるEmotion Engine(EE)の高速化アーキテクチャを利用する最適化が行えず、インライン・アセンブラにより直接EEのベクトル・レジスタVU0を利用することにした。ベクトル・レジスタVU0を4並列で効率よく実行する必要があるが、メモリーからデータをロードするのに時間がかかり、その間はVU0が休んでしまう結果となった。これを回避するために、VU0の演算スケジュールを工夫し、データのロード・ストアを含めて450MFlopsの計算速度を達成した。プレイステーション2が高速のRAMBUSメモリーを用いているために、CPUキャッシュに入りきらないデータに対するアクセスに対しても余り速度が低下しないことが明らかになった。EEのもう一つの問題点として指摘されている「VU0が単精度演算しか行えないこと」を解決する必要がある。倍精度計算に対しては浮動小数点演算プロセッサが働かなくなり、計算速度は100分の一以下に低下してしまう。単精度計算で直接従属変数からポアソン方程式を計算すると桁落ちが生じてしまうので、残差から修正方程式を導出し修正量を求めて従属変数に加算・減算して修正する方法を開発した。修正方程式を解く際に桁落ちなどの誤差が入るが、反復ごとに修正値が小さな値に移行し、従属変数の精度範囲をまかなえることが明らかになった。非圧縮性流体の移流部分や圧縮性流体に対しては局所補間微分オペレータ法が少ないメモリーに対して高精度な計算を行うことができ、プレイステーション2に適していることが分かった。また、ルンゲクッタ時間積分を行うことにより安定な計算ができることが明らかになった。
著者
五十嵐 由里子
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

古人類集団の人口構造を推定する際に要となるのが、古人骨の年齢推定である。古人骨において比較的残りやすい部位である腸骨耳状面を用いた年齢の推定方法は、Lovejoy et.al(1985)、五十嵐(1990)らによって掲示されている。今回は、東京慈恵会医科大学所蔵の近代日本人骨格標本のうち、生年月日と死亡年月日の記録があり、年齢の信憑性が極めて高い資料(男性30体、女性8体、年齢は25歳から85歳)を用いて、耳状面の形態による年齢の推定方法を新たに作った。新たな方法による年齢の推定値は、従来の方法による値と完全には一致しないことがわかった。縄文時代には地域によって人口構造が異なっていた可能性が、五十嵐(1990)によって示唆されている。今回は国立科学博物館所蔵の、蝦島貝塚(岩手県)人骨(縄文時代後・晩期、男性16体、女性30体、不明16体)を対象として、この集団の人口構造を推定した。年齢推定には今回新たに設定した方法を用いた。結果は以下の通りである。蝦島集団では、30歳代後半から40歳代前半での死亡率が最も高かった。蝦島集団の死亡率は、10歳代後半から30歳代前半では、他の本州集団(福島県三貫地遺跡、愛知県伊川津遺跡、吉胡遺跡、岡山県津雲遺跡)より高いが北海道集団より低く、30歳代後半以降では他のどの集団よりも高い。妊娠痕が判定できた全ての女性個体に妊娠痕が認められた。妊娠回数が多かったと判定した個体は40歳代後半以上の個体の60%を占める。この割合は、他の本州集団より高いが北海道集団より低い。以上の結果から、蝦島集団は、他の本州集団より多産多死傾向にあったが、北海道集団ほどではなかったという可能性が示唆できる。日本大学松戸歯学部で解剖された女性遺体6体について、骨盤上の妊娠痕の観察を行った。今後遺族へのアンケートによって、生前の妊娠出産に関する情報を収集する予定である。
著者
田中 一義 大澤 映二 千々和 一豊 吉田 孝紀 横尾 俊信 伊藤 彰浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は海外調査研究として、現地・ロシア連邦カレリア共和国のオネガ湖北西部付近の下部原生界Karelian Super Group中のシュンガイト鉱石産出地Shungaほかにおいて採取した鉱石試料の分析を行うものである。一般にこの鉱石群は黒色、細粒かつ緻密な岩石で、最大98wt%もの炭質物を含む。平成16年度は前年度に引き続いて、約20億年前(先カンブリア時代)に堆積した炭素富裕鉱物層中でフラーレン分子が存在していることを確認したType Iシュンガイト(75-98wt%C)に加えて、上記オネガ北岸地域および西北地域Shunga, Zazhogino, Maksovoで産出される、Ludicovian Groupでの低炭素含有鉱石(タイプII-V;10-75wt%C)の産状と周辺の岩石層の研究の纏めを行った。Karelian Super Groupは層序的下位より、Jatulian, Ludicovian, Kalevian, Vepsianの各グループに区分されている。Ludicovian Groupの玄武岩のSm-Nd年代は1.98Gaである。16年度に得られた結論として、低炭素含有シュンガイトは初生的に有機物に富む硅質な堆積岩を起原とすると考えられ、Type IIIシュンガイト(20-35wt%C)などの中程度の炭素含有量を示すものは、初生的に炭素質な堆積岩と火山岩類の反応によって富化された結果による可能性がある。Type I-II(35-98wt%C)シュンガイトは何らかの状況で濃集した炭質物が流体として再移動した結果の産物と考えることができる。しかしながら、堆積物中に本来存在した炭質物の起源や、火山岩類を伴わない大量のType III-IV (10-35wt%C)シュンガイトの起原は現時点では不明であり、なお調査を要すると考えている。さらに12月3日京都大学において、海外共同研究者のナタリアN.ロシュコワ博士を招いて西側諸国としては初のシュンガイトシンポジウムを開催し、化学的・鉱物的・地質学的な各視点からの活発な討論を行った。
著者
原田 浩二 小泉 昭夫 皆田 睦子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

環境汚染物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)はヒト体内に蓄積しやすい。成人の血清中濃度はPFOAより炭素鎖の長い化合物が急速な増加が認められた。動態パラメータを算出し、一般集団での曝露量を与えて、血中濃度シミュレーションを行った。動物実験ではリン脂質輸送分子MDR2の発現量とPFOA胆汁濃度が相関する。MDR1欠損マウスでは腎臓からのPFOA排出量が低下し、MDR1分子がPFOAの排出に関与することを示した。マイクロアレイの結果MDR1が誘導されていることが分かった。
著者
鈴木 拓児
出版者
自治医科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2017

呼吸に必須な肺サーファクタントは、肺II型上皮細胞と肺胞マクロファージによるその産生と分解のバランスによって恒常性が維持されている。肺胞蛋白症とは肺サーファクタント由来物質が肺の末梢気腔内に異常に貯留し呼吸不全に至る疾患群であり、その原因から自己免疫性、遺伝性、続発性などに分類され、その大部分は肺胞マクロファージの機能異常が原因である。申請者らはこれまで、ヒト遺伝性肺胞蛋白症の原因探索、診断、病態解明および新規治療法開発の研究に従事してきた。遺伝性肺胞蛋白症はGM-CSF受容体遺伝子(CSF2RAあるいはCSF2RB)変異によって生じるが、いまだ有効な疾患特異的な治療法はない。そこでマウスモデル(Csf2rbノックアウトマウス)を用いて、肺マクロファージ移植法という細胞治療および遺伝子治療を提唱してきた(Suzuki. et al. Nature. 2014)。同治療法は骨髄移植の際に必要な放射線照射や化学療法などを行わずに、マクロファージを一回、直接肺へ移植する方法であり、長期間にわたる移植細胞の生着と疾患の改善および安全性が確認されており、有効な治療法と考えられる。しかしながら、ヒトで患者数の多い(約9割を占める)CSF2RA遺伝子変異による疾患に相当するCsf2raノックアウトマウスはこれまで存在しなかったために、病態の解析や治療法の検討といった基礎的な研究が困難であった。そこで今回新たにCsf2raノックアウトマウスを作成し、同マウスの病態解析を行っている。さらに同マウスを用いて上記の新規治療法の開発研究をおこなっている。
著者
坂田 明子
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

● 研究目的リトドリン塩酸塩の添付文書には、新生児低血糖症が重要な基本的注意及び副作用として記載されているが、頻度などの詳細は不明である。そこで、リトドリン母体投与後の新生児低血糖症発現状況について調査し、リトドリン投与量・投与期間・投与中止後から分娩までの期間などとの関連性を検討した。● 研究方法母体にリトドリン持続点滴投与を受け投与中止後1週間以内に分娩となった新生児を対象とし、電子カルテを用いて調査を行った。児は正期産(37週以降)・後期早産(36週以降に限る)の正常新生児とし、出生時体重2000g未満の例は出生直後から点滴開始となるため対象から除外した。● 研究成果2013年8月~2016年7月の3年間で調査を行った。リトドリン投与群の新生児低血糖症発現率は61.5%、非投与群の低血糖症発現率は8.2%であり、母体リトドリン投与により新生児低血糖症の発現率が明らかに高くなった。リトドリン投与群の新生児低血糖症発現群における投与中止後から分娩までの期間は平均4.3時間(標準偏差7.61)、リトドリン投与群の低血糖症非発現群では平均37.7時間(標準偏差46.00)であり、有意な差が認められた。低血糖症発現群の67.2%が投与中止後から分娩まで3時間以内であった。リトドリン投与中止後から分娩までの期間が新生児低血糖症発現に関与していることから、計画的にリトドリン持続点滴投与を中止することにより新生児低血糖症を回避できる可能性を示唆した。また、リトドリン投与中止後から分娩までの期間により新生児低血糖症発現のリスクが予見でき、確実な予防対策を講じることができると考えられた。
著者
千葉 満
出版者
弘前大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

NASHは不可逆的な病態である肝硬変や肝癌への進展リスクがあり,初期の段階での発見が病態進展予防に不可欠であるが,これまで炎症による肝細胞傷害や線維化の兆候を同時に捉えることのできる初期NASHの診断に有用なバイオマーカーはいまだ開発されていない。エクソソームは血中にも存在しており,様々なリボ核酸を内部に安定的に保持しているため様々な病態のバイオマーカーとして注目されている。本研究課題では血中エクソソームに着目し,肝硬変への進展リスクのあるNASHを初期状態で発見できる新たなRNA診断バイオマーカーの発見を目指す。
著者
梶田 秀司 金子 健二 阪口 健 三平 満司 伊吹 竜也
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

人間型ロボットがさまざまなドアを人と同程度の速度と信頼性を持って通過するための制御理論を研究しこれを実現する。ドア通過では、ロボットが手先や体の一部を環境に接触させ、力を及ぼしつつ歩行を継続しなくてはならない。これは従来の歩行制御理論では困難な課題であった。本研究では、提案者らが近年考案した「空間量子化ダイナミクス」と呼ぶ新しいモデル化手法、および近年注目をあびるリーマン計量に基づいた軌道生成・制御技術を融合することによりこの問題をスマートに解決する。さらに研究の過程で得られた知見を一般化することにより、ヒューマノイド以外の一般的なロボットで利用できる形への理論の拡張と整備を行う。
著者
廣内 大助 竹下 欣宏 松多 信尚 杉戸 信彦 藤田 奈津子 石山 達也 安江 健一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では糸魚川ー静岡構造線活断層帯における過去の活動履歴や活動性について,精密な古地震調査や変動地形調査に基づいて明らかにした.とくに従来の予測よりも一回り小さな地震であった2014年地震の発生を受け,同断層帯がどのような活動を示すのかを調査し,活断層の活動特性を明らかにすることを目指した.その結果2014年と同様の一回り小さな地震が1714年にもあった一方,約1000年前にはこれよりも大きな断層活動を示す巨大地震もあり,同断層はタイプの異なる地震を相補的に発生しながら,繰り返してきたことが明らかとなった.