著者
藤山 淳史 谷尾 澄葉 叢 日超 松本 亨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.91, 2022 (Released:2022-11-30)

近年、太陽光発電設備が大量に導入されているが、近い将来、点検・保守による交換および廃棄によって使用済み太陽光パネルが大量に廃棄されることが予想されており、その回収およびリサイクルシステムを確立することは喫緊の課題となっている。そこで本研究では、福岡県内で排出される廃棄太陽光パネルの回収に対して、情報PFを活用することによって複数の拠点を一度に共同で回収するケースと、同じ拠点を個別に回収するケースを設定し、輸送費用を算出することで、その効果を算出した。なお、リサイクル業者は現在稼働している施設の情報を参考に、北九州エコタウンと大牟田エコタウンとし、そこを拠点にそれぞれ北ルートと南ルートとした。メンテナンス業者は福岡県のデータベースを参考に37社と設定した。その結果、いずれのケースにおいても個別回収ケースに比べ、共同回収ケースを行ったほうが輸送費用の削減につながることがわかった。
著者
土手 裕 関戸 知雄 原田 秀樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.201, 2022 (Released:2022-11-30)

太陽光パネルから分離されたカバーガラスおよび資源回収残渣の混合物をコンクリート用骨材として利用した場合の環境安全性評価を目的として、溶出試験および含有量試験を行った。エッチングと湿式分離を比べると湿式分離の方がPbの基準値超過の程度が小さいため、エッチングよりも湿式分離の方が優れていると言えた。 廃パネル骨材の原料となる湿式分離残渣のPb含有量が基準値を1.5倍超過した。しかし、廃パネル骨材のPb含有量は、カバーガラスと湿式分離残渣の混合による希釈効果により含有量基準を満足した。廃パネル骨材のPb以外の有害物質含有量も基準を満足した。 廃パネル骨材が含有量基準・溶出量基準を満足したことにより、廃パネル骨材を用いて作成された利用模擬試料も両方の基準を満足した。よって、廃パネルをコンクリート用骨材として用いた場合、骨材、利用模擬試料どちらで評価しても環境安全上再利用が可能であると言えた。
著者
原田 秀樹 酒井 紀行 松山 普一 飯島 正広 白間 英樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2022 (Released:2022-11-30)

太陽光発電システムは、再生可能エネルギーの旗手として2010年以降急速に普及し、さらに最近ではカーボンニュートラル政策が後押しとなり、導入に拍車がかかっている。一方でその保証年数である20年を過ぎる2030年頃から廃棄モジュールが大量発生することに対する懸念が社会問題となっている。それに対し我々はモジュール内の重量比で大部分を占めるガラスに対するマテリアルリサイクルの研究を行った。モジュールはガラスと樹脂および太陽電池セルが密着積層された構造となっており、ガラスを割らずにモジュールから回収する「パネルセパレータ」を開発した。またガラスに付着する樹脂残渣量をリサイクル可能なレベルで抑制し、さらにそれを維持する研究を行った。一方、回収したガラスの組成を分析し、含有する元素の把握とそれらに適合する用途の検討を行い、水平リサイクル用途、リユース用途の開拓を行った。
著者
佐藤 和則 井上 正之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.356-359, 2018-07-20 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

加圧を伴わないサリチル酸の合成(コルベ法)の実験教材化を検討した。ナトリウムメトキシドを塩基としてセライト中でナトリウムフェノキシドを調製することで,中和における水の生成を回避しながら二酸化炭素との反応を円滑に進行させた。またセライト中でサリチル酸を遊離させて昇華することで,サリチル酸と残留フェノールとを分離した。得られたサリチル酸は,塩化鉄(Ⅲ)水溶液および炭酸水素ナトリウム水溶液との反応で検出した。
著者
下仲 順子 中里 克治 権藤 恭之 高山 緑
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.138-147, 1998-03-31 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
25 27

本研究の目的は日本版NEO-PI-R作成とその因子的妥当性の検討である.NEO-PI-Rは人格の5因子モデルに基づく人格テストで, 青年から老人までを含む幅広い年齢層に適用するよう作られ, 元はCosta &amp McCrae (1985, 1992b) により公刊されたものである.NEO-PI-Rをバックトランスレーションをふくむ何回かの予備的検討を経て日本版を作成した.次に本テストを学生245名と老人232名からなる対象者に施行した.Cronbachのα係数, 探索的因子分析, プロクラステス法による確認的因子分析から, 本テストが十分な信頼性と妥当性を持つことが示された.結果は比較文化的文脈からも考察された.
著者
宮崎 哲治
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.89-101, 2022-01-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
31

統合失調症患者に併存する強迫症状の有病率は高い。そして、強迫症状を併存する統合失調症患者の場合、重い抑うつ症状、多くの自殺企図、重い社会機能不全、低いクオリティ・オブ・ライフ、長い入院期間を呈する。それゆえ、統合失調症患者に併存する強迫症状の治療は重要である。今回、30歳代前半の女性統合失調症患者に併存するolanzapine誘発性強迫症に対して曝露反応妨害法(ERP)を用いた行動療法を施行した症例を経験した。背景に損害回避がある強迫症状については行動療法により改善を認め、行動療法だけでは改善しないと思われた背景にしっくりこない感覚や不完全さがある強迫症状についてはolanzapineを漸減中止しつつ行動療法を施行することにより改善を認め、強迫症状は寛解に至った。この症例について若干の考察を加え報告する。統合失調症患者に併存する強迫症状に対してERPを施行する際の注意点についても記した。

2 0 0 0 車両と電気

著者
車両電気協会 [編]
出版者
車両電気協会
巻号頁・発行日
vol.20(4), no.229, 1969-04
著者
境 脩 筒井 昭二 佐久間 汐子 滝口 徹 八木 稔 小林 清吾 堀井 欣一
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.116-126, 1988 (Released:2010-10-27)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2

In 1970 a weekly fluoride mouthrinsing program using 0.2% neutral NaF solution was initiated in the elementary schools of Yahiko District, Niigata Prefecture, Japan (F<0.1ppm in drinking water). The same program was started at the juniour high school in 1973 and a daily fluoride mouthrinsing program was started in 1978 at all four nurseries in the district. Therefore at present, such programs start at the nursery school level and continue to the 3rd grade in the junior high school within an individual school system.We investigated the benefits to the permanent teeth from this 17-year school-based fluoride mouthrinsing program. This report presents the effects of ongoing supervised fluoride mouth rinsing program on caries prevalence of permanent teeth according to the age of starting the fluoride mouthrinsing program.A baseline examination for schoolchildren in 1st-6th grades was conducted in 1970, before the mouthrinsing program began. An examination conducted in 1978 presents the data of children who participated in the program since their entrance into the elementary school, that is, at the age of 6. An examination conducted in 1987 presents the data of children who participated in the program since the age of 4 in the nursery schools.The DMF person rate in all grades decreased from 72.8% in 1970 to 41.6% in 1978 and 27.6% in 1987.The DMFT-index in all grades decreased from 2.27 in 1970 to 1.39 in 1978 and to 0.48 in 1987. The differences in caries prevalence were 38.8% and 78.9%, respectively, and were statistically significant (p<0.001).The school-based fluoride mouthrinsing program produced high caries-preventive effects. Especially, the program started from the nursery level provided higher caries prevention when the 1st molar teeth erupted.The younger the children were when they entered the program, the longer that they rinsed, the greater were the accumulated benefits.
著者
岡室 美奈子
出版者
日本演劇学会
雑誌
演劇学論集 日本演劇学会紀要 (ISSN:13482815)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-40, 2003-12-15 (Released:2018-12-14)

“The theatre of the absurd” exerted a siginifincant influence on the works of Minoru Betsuyaku, one of the leading contemporary playwrights in Japan. This paper explores Betsuyaku's insight into Samuel Beckett's En attendant Godot (Waiting for Godot), Fernando Arrabal's Piquenique en campagne, and Eugene Ionesco's La Leçon, the insight which is reflected in his plays and essays. But Beckett's play, in particular, illuminates the structure of Betsuyaku's plays such as Umiyukaba Mizuku Kabane and Nishimuku Samurai. In these plays Betsuyaku makes Beckett's dramaturgical strategy his own in significant respects.
著者
越智 正樹
出版者
西日本社会学会
雑誌
西日本社会学会年報 (ISSN:1348155X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.33-46, 2019 (Released:2020-03-27)
参考文献数
14

今日、全国の様々な観光現象において、非観光業者である住民が参画して個性的な魅力を発揮することが奨励されている。一方で、素人による個性の発揮はトラブルの発生にも繋がりやすく、平準化に向けた規制等が発動される例もある。このような平準化の流れの中で、非観光業者ならではの個性発揮はどのように維持あるいは変質されるものなのだろうか。本論はこの問いについて、沖縄県の教育旅行民泊を対象とし、民泊受入団体と旅行社とがその個性的価値をどのように認識しているか、またその価値がいかに(非)伝達・共有されているか、さらに受入団体側の自己規範化がいかに行われているか、の分析を通じて考察した。結果として、個性的価値が不明瞭なまま措かれている事柄は、価値仲介者(旅行社)との意思疎通の不足が拍車をかけて、その価値を担う主体(受入団体)自らによって平準化が優先され、その価値は矮小化の恐れに晒されていると言わざるを得なかった。これを避けるためには、受入団体側と旅行社側との協働による価値の言語化が必要であり、これを実現するためには第3者がリーダーシップを発揮するしかないことが指摘される。
著者
Hiroyuki Masaoka Keitaro Matsuo Isao Oze Takashi Kimura Akiko Tamakoshi Yumi Sugawara Ichiro Tsuji Norie Sawada Shoichiro Tsugane Hidemi Ito Keiko Wada Chisato Nagata Tetsuhisa Kitamura Ling Zha Ritsu Sakata Kotaro Ozasa Yingsong Lin Tetsuya Mizoue Keitaro Tanaka Sarah Krull Abe Manami Inoue
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20220085, (Released:2022-10-29)
参考文献数
29
被引用文献数
3

Background: Although cigarette smoking is an established risk factor for bladder cancer, assessment of smoking impact on bladder cancer in Asian populations has been hindered by few cohort studies conducted in Asian populations. We therefore investigated the risk of bladder cancer associated with smoking status, cumulative smoking intensity and smoking cessation in Japan.Methods: We analyzed data for 157,295 men and 183,202 women in ten population-based cohort studies in Japan. The risk associated with smoking behaviors was estimated using Cox regression models within each study, and pooled hazard ratios (HR) and their 95% confidence intervals (CI) for the incidence of bladder cancer were calculated.Results: During 4,729,073 person-years of follow up, 936 men and 325 women developed bladder cancer. In men, former smokers (HR 1.47; 95% CI, 1.18-1.82) and current smokers (HR 1.96; 95% CI, 1.62-2.38) had higher risk than never smokers. In women, current smokers had higher risk than never smokers (HR 2.35; 95% CI, 1.67-3.32). HRs in men linearly increased with increasing pack-years. Risk decreased with increasing years of smoking cessation in men with a significant dose-response trend. Former smokers with a duration of more than 10 years after smoking cessation had no significantly increased risk compared with never smokers (HR 1.26; 95% CI, 0.97-1.63).Conclusions: Data from a pooled analysis of ten population-based cohort studies in Japan clearly show an association between cigarette smoking and bladder cancer risk. The risk of smokers may approximate that of never smokers following cessation for many years.
著者
大場 みち子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.675, 2022-11-15

本コラムでは情報分野を中心としたJABEE(日本技術者教育認定機構)の概要とコロナ禍でのJABEE審査と個人的な想いを述べる.JABEEは主に理工系分野の高等教育機関における分野別教育の質保証に取り組んでいる.本会アクレディテーション委員会は,JABEEに協力して,情報専門系教育プログラム(ソウル協定対応),電子情報通信・コンピュータ工学および関連の工学分野の教育プログラムの審査を担当している.コロナ禍では,オンラインでの審査が基本となった.コロナ前の状態には戻らないであろうが,個人的には,もう一度,ともに汗を流した審査団の仲間と深夜の乾杯の気持ちを分かち合いたい.
著者
田中 傑
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.94-99, 2013-04-25 (Released:2013-04-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本論文は、静岡市中心部で1940年と1945年に生じたふたつの大災害のあとの市街地形成の過程を、土地区画整理事業の施行と私的な再建活動の実態の解明を通じて描写している。1940年に開始された復興事業は、土地区画整理事業の手法上の原則を曲げながらも、防空都市の建設という国策に沿うとともに、長年にわたっていだかれていた「横のデパート」という夢を実現するように実施された。1945年の終戦とともに、新たな復興事業がかつて戦中期の復興において夢想された理想的な市街地空間を実現するために開始された。このように、不燃化・共同化など戦前期の静岡において求められた都市計画の方向性は、戦中から60年代にかけて、そのときどきの時代的背景のもとで連続・不連続を繰り返しながら継承されてきたと結論づけられる。
著者
上林 篤幸
出版者
農林水産省 農林水産政策研究所
雑誌
農林水産政策研究 = Journal of Agricultural Policy Research (ISSN:1346700X)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-40, 2022-11-22

1979年の「改革・解放」政策への転換から中国の経済は急速に成長し,現在中国は世界第二位の経済大国であり,豚肉は国民の食生活の中で重要な部分を占めている。中国の豚飼養頭数は世界最大であり,その主要な飼料の主要な原料である大豆はほぼ全てをブラジル,米国などの少数の輸出国からの輸入に依存している。ASF(アフリカ豚熱)は強力な伝染力を持ち一旦感染すると豚はほぼ死に至ることから,殺処分以外の対策はまだ存在しない深刻な豚の伝染病である。2018年に中国で初のASF発生が確認され,その後中国全土に拡散したことから,2019年から大規模な殺処分により豚の飼養頭数が激減した。これにより中国国内で豚肉の供給が著しく減少し国内価格の高騰が発生していることに加え,今後配合飼料の原料である大豆の輸入量の減少が見込まれる。本研究ではこれらのASFショックの影響を評価することを目的とした部分均衡モデルを新たに開発し,中国の養豚業の今後の回復速度に関する2種類の前提シナリオを設定してシミュレーションを行い,今後発生する豚肉や大豆の中国及び国際マーケットへの影響を定量的に考察した。Chinaʼs 1979 policy change toward a market economy led to rapid economic growth, making the country the worldʼs second largest economy. Pigmeat makes up an essential part of Chinaʼs dietary habits and the pig raising business depends almost completely on international imports for its important feed component, soybeans. However, due to the outbreak of African Swine Fever (ASF), China has been carrying out a large-scale nationwide cull, with serious consequences for not only the Chinese pigmeat market but also for the world soybean market. This research consists of a quantitative study on the impacts of the ASF outbreak on the pigmeat and soybean markets by developing a partial equilibrium model with several scenarios for future recovery.
著者
加藤 弘通 大久保 智生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.34-44, 2006-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
38
被引用文献数
8 4

本研究は, 学級の荒れと学級の雰囲気の関係を検討することを目的として行われた。公立中学校8校の37学級の中学生1~3年生 (男子544名, 女子587名, 計1, 131名) を対象に,(1) 向学校感情,(2) 問題行動の経験,(3) 学級の荒れ,(4) 不良少年のイメージをたずねる質問紙を実施した。(2) の問題行動の経験尺度から, 生徒を問題生徒, 一般生徒に分け,(3) の学級の荒れ尺度から, 学級を通常学級と困難学級に分けた。そして, 一般学級と困難学級において, 生徒がもつ問題行動や学校生活に対する意識=学級の雰囲気にどのような違いがあるのかを検討した。その結果, 全体として, 通常学級に比べ困難学級の生徒のほうが, 不良少年がやっていることをより肯定的に評価し, 彼らに対する否定感情および関係を回避する傾向が低く, 学校生活にもより否定的な感情を抱いていた。この結果から, 学級が荒れることには, 問題生徒だけでなく, 一般生徒の不良少年や学校生活に対する意識の違いが関係していると考えられた。したがって, 問題行動の防止・解決には, 問題行動をする生徒だけでなく, 問題行動をしない一般生徒に対しても関わる必要性があることが示唆された。
著者
三上 栄 中村 武寛 池田 英司 住友 靖彦 山下 幸政 織野 彬雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1443-1449, 2009 (Released:2012-07-17)
参考文献数
26

症例は56歳の男性.腹痛を主訴に来院し,小腸イレウスと診断され,入院となった.腹部CTでは骨盤内回腸に限局した腸管の壁肥厚を認めた.イレウス改善後に行った小腸内視鏡では下部回腸に著明な粘膜浮腫と発赤,および浮腫性狭窄を認めた.問診でホタルイカの生食をしていたこと,その後の精査で旋尾線虫幼虫type Xに対する抗体が陽性であったことより本症による感染症と診断した.旋尾線虫幼虫type X感染に関する小腸内視鏡所見の報告は現在までになく,貴重な症例と考えられた.
著者
西岡 敏
出版者
沖縄国際大学日本語日本文学会
雑誌
沖縄国際大学日本語日本文学研究 (ISSN:13429485)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.左1-16, 2015-11

研究ノート