著者
木原 俊行 野中 陽一 堀田 龍也 高橋 純 豊田 充崇 岸 磨貴子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.157-165, 2014-11-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
6

我が国の教師たちのICT活用に関する熱意に影響を与える要因を実践的な見地からモデル化するために,筆者らは,日本のある小学校の3人の教師に「ICT活用に対する熱意」曲線を描いてもらうとともに,それに影響を及ぼした事象を語ってもらった.3者の共通点を導出するとともに,それらを英国の教師たちの場合と比較検討した.分析の結果,我が国の教師たちのICT活用に対する熱意に影響を及ぼす3つの要因が存在すること,そのうちの1つが我が国の教師たちの場合に固有であることを明らかにし,その構造をモデル化した.
著者
中島 林彦
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.32-41, 2015-04

原子力発電所の再稼働をめぐって,巨大噴火のリスクをどう評価するかが議論になっている。日本では1万年に1回の頻度で,国土のかなりの部分を火山灰で覆うほどの巨大噴火が起きている。
著者
河田 恵昭 奥村 与志弘 越村 俊一 藤間 功司 永井 紀彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.261-265, 2004

2003年十勝沖地震津波は我が国の津波予警報システムの盲点を突いた. 気象庁は地震発生4時間後に警報を解除し, それに同調して沿岸部自治体は避難勧告を解除した. しかし, その後になってエッジ波が最大波に匹敵する波高を伴って来襲した. 本研究では, エッジ波の防災上の問題点に着目し, エッジ波の予測に必要な条件を求めた. また, 北海道太平洋岸で発生し得る巨大地震を想定し, 大陸棚上にエッジ波が発生する場合の津波予警報解除の基準を求めるための基礎資料を得た. 特に, 室蘭-浦河間と浦幌-花咲間の予報区では発震後6時間は津波警報・避難勧告の維持が必要であることが分かった.
著者
葛西 大和
出版者
東北地理学会
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.204-212, 1971

筆者は, 市乳市場から遠隔の地にあって, 低い乳価を強いられる十勝平野の酪農について, その存立基盤, 競合作物との関連による立地, 酪農の発展を支えてきた基本的な要因について考察した。<BR>1 農業経営の分析の結果, 地域的にみれば, 酪農は畑作物に従属的な十勝平野中央部と, 専業的酪農家の成長している十勝平野周辺部に区別される。<BR>2 畑作物と牛乳生産の土地生産性の比較や豆類の投機性, 経営規模の大きさなどを考慮すると, 平年作の時には畑作物が相対的に有利といえるが, 労働生産性や寒冷地という条件を考慮すると牛乳生産の収益性は畑作物の収益性に劣るものではない。<BR>3 従って周辺部の山麓や沿岸部の方が自然条件の影響をより強く受けて, 畑作経営上は不利であり, 相対的に酪農に重点があるといえる。乳価の地域差が小さい十勝では, 周辺部の酪農の地位が重要になっていくと予想される。<BR>4 酪農経営の分析に, 牛乳生産費調査の結果を合わせて考えると, 十勝の酪農生産の発展を支えてきた基本的な要因は「乳価の上昇」と「経営農地の広さ」に帰せられる。
著者
Tim C. Norton Paul A. Oakley Deed E. Harrison
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.71-75, 2022 (Released:2022-01-12)
参考文献数
36

[Purpose] To present the case of a dramatic improvement in the cervical lordosis and relief from chronic headaches and neck pain in a pediatric having a recent neck trauma. [Participant and Methods] A 10 year old male presented with recent neck trauma, neck pain and pre-existing chronic headaches. Cervical range of motion was limited with pain. X-ray analysis showed dramatic loss of cervical lordosis and an acute atlantoaxial rotatory fixation. Chiropractic Biophysics technique methods incorporating spinal manual adjustments, cervical extension traction and corrective exercises were used to restore normal cervical lordosis. Treatments were performed intensively over 6.5-weeks, with a 17-month long-term follow-up. [Results] The pediatric patient responded well to treatment with near complete resolution of cranio-cervical complaints. The cervical lordosis was corrected to age-appropriate magnitude, the coronal symmetry was restored, and both were maintained after nearly 1.5 years. [Conclusion] Chiropractic Biophysics technique which includes the cervical extension traction using the pediatric Denneroll orthotic was effective in restoring lordosis in a pediatric patient with cervical kyphosis and chronic headaches presenting with recent neck pains from a traumatic origin. Routine X-ray of the cervical spine is recommended for patients presenting with craniocervical symptoms as spine alignment is often overlooked as pathognomonic for these conditions.
著者
高橋 永治
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 農學 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.401-419, 1961-03-28

【摘要】 1959年7月29日,大鳥池の北岸で午前7時と午後6時の2回5メートルの綱のついたプランクトンネットを用いて,50センチメートルと3メートルの深さの層から採集したプランクトンと7月30日午前7時間じ北岸の地点で広口瓶で採水した1.5リットルの水の中のプランクトンを観察した結果及び,マロモナス2種とその他3種を電子顕微鏡で観察した結果を報告する.大鳥池沿岸部のプランクトン種数は,35種と珪藻類で,動物性プランクトン15種,植物性プランクトン20種と珪藻類,その他に昆虫幼虫,ミズダニ1種,線虫類1種が採集された.沿岸部のプランクトン群集の構成は,動物性プランクトンでは,Conochilus unicoruisが優占的に多数であり,Polyarthra trigla, Bosmina longirostris, Holopidium yibberumがそれに次いで多数であった.植物性プランクトンではDinobryon cylindricumが優占種で,次いで珪藻類が多数であった.動物性プランクトンについては,湖心部の表層部のプランクトン組成と類似している.しかし,植物性プランクトンは,総個体数の99%以上もあり,Dinobryon cylindricumは60%以上を占めている.沿岸部プランクトンを10リットルの水に生息する個体数に計算すると,約247,000となる.湖心部の結果より可成り多く,沿岸部の方が湖心部より栄養に富んで生産力が高いと思われる.叉その数は当地方の荒沢ダムの夏期のそれの1/4,鶴岡公園堀の1/10であって,大鳥池は貧栄養的であると云えよう.
著者
増位 和也 塚野 雄吉 Masui Kazuya Tsukano Yukichi
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1324, pp.1冊, 1997-04

方程式誤差法に分類される最小二乗法およびTLS法(全最小二乗法)を用いて、クインエア機の縦空力微係数を幾つかの操縦入力に対する飛行試験時歴より直接推定し、周波数応答法による推定結果と比較した。その結果、最小二乗法およびTLS法は、周波数応答法と比較して非常に少ない飛行試験時間で空力微係数を推定することが可能で、特別の入力装置も必要としないことが示された。推定した空力微係数によるシミュレーション計算では、周波数応答法による空力微係数と同程度もしくはそれ以上の精度で飛行運動を再現することができた。また、最小二乗法およびTLS法では、説明変数のそれぞれが十分変化し、かつ、互いに独立となるよう適当な入力波形を組合せ、データ処理において計測誤差をできる限り取り除くことが重要であることが分かった。
著者
高松 道生 柳沢 素子 町田 輝子 松島 松翠 飯島 秀人 中沢 あけみ 池田 せつ子 宮入 健三 矢島 伸樹 佐々木 敏
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.595-602, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

こんにゃくのコレステロール低下作用について検討し, その健康食品としての意義を明らかにする研究を行った。こんにゃくの成分であるグルコマンナンをチップ化して煎餅状に加工 (以下, マンナン煎餅) し, 総コレステロール200mg/dl以上の当院職員と正常範囲内の当院附属看護専門学校寄宿学生を対象に, 脂質代謝への影響を調査した。毎食後に煎餅を摂取し, 試験期間前後に脂質を中心とする血液検査を行ってマンナン煎餅の脂質代謝への影響を評価した。その結果, マンナン煎餅を摂取する事によって総コレステロール値の低下が認められ, 試験前総コレステロール値の高い群ほどその低下の度合いが大きかった。HDLコレステロールや中性脂肪への影響は認められなかった事から, マンナン煎餅はLDLコレステロールを特異的に低下させる作用を有するものと考えられた。血算や生化学などの検査値には変化を認めず, 腹満や下痢などの消化器症状が一部に観察されたものの, 重症なものではなかった。一方, 試験前後の体重に差はないものの試験期間中の総摂取エネルギーや脂質摂取は減少しており, マンナン煎餅を摂取することが食習慣に影響を与えた事が示唆される。以上から, こんにゃく (グルコマンナン) は直接・間接の作用でコレステロール, 特にLDLコレステロールを低下させ, マンナン煎餅が健康食品として意義を有するものと考えられた。
著者
八田原 慎悟 藤井 叙人 長江 新平 風井浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3859-3866, 2008-12-15
被引用文献数
1

脳活動とテレビゲームの関係に注目した関連研究の多くで,テレビゲーム実施時に前頭前野の脳活動が低下することが報告されてきた.テレビゲームに限らず,メディアインタラクションにおいては年齢,熟達度,さらには嗜好や没入の度合いに応じて,ヒトへの影響に違いが生じると考えるのが自然であろう.本研究ではテレビゲームにおける熟達度に焦点を当て,2つのジャンル(シューティング,リズムアクション)のゲームを実施している際のヒトの脳活動を熟達者,中級者,初心者の3種類の条件でfNIRS(機能的近赤外分光法)によって計測し,比較,検討した.その結果,熟達者においては,テレビゲーム実施時に前頭前野の脳活動が上昇するという関連研究とは異なる状況が観測された.またゲームタイトル,ジャンルを変えた場合の熟達者の脳活動を計測した結果,熟達したゲームにおける脳活動が最も上昇するという結果を得た.There are many studies that focused on the relation between playing video games and brain activities. Most of the studies have reported that the brain activity deactivates at the prefrontal cortex in playing video game. However, it is natural to regard that the influence on human varies with player's age, attitude or mastery level. In this paper, we focus on the mastery level of the video game. We measured the brain activity at the prefrontal cortex with fNIRS (functional Near-infrared Spectroscopy) while beginners, intermediate players, and masters playing video games. We observed activation of brain activity at the prefrontal cortex while masters were playing the game that they have mastered. The activation of the prefrontal cortex of the masters was higher when they played their mastered game than those when they played non-experienced games or games of non-mastered genre.
著者
入佐 俊幸 川畑 秋馬
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

火山降灰地域でこれまでに,火山灰汚損によるがいしの漏れ電流の増大が原因と思われる配電線路事故が発生している。本研究では,火山降灰による配電線路事故を軽減させる為に,火山灰汚損がいしの漏れ電流の増加並びにその変動を減少させる為の知見を得ることを試みた。その為にまず火山灰の成分および比電導度,イオン濃度,pHなどの電気的性質を詳細に測定した。次にこの基礎データをもとに,火山灰による種々の汚損条件下において,がいし及び高圧カットアウト、アレスタの汚損状態と漏れ電流の関係について実験的に調べた。その結果,1.漏れ電流はがいし内側のひだ部分にたまった火山灰が湿潤したときのみ増大し,さらにコロナの発生を伴い,その変動は増大する。2.耐張がいしに耐塩用がいしを組合せることにより、火山灰汚損時でもコロナの発生を抑さえられる。これにより、零相電圧の変動を小さくでき、遮断器の動作による停電事故を軽減できる。3.火山降灰により耐張がいしや高圧カットアウト、アレスタの漏れ電流は増大するが、中実ピンがいしの漏れ電流はほとんど増加しない。4.コロナ観測から、耐張がいしの内側ひだ部分の電位傾度が大きいことが予測される。よって、漏れ電流を減少させるために、高圧耐張がいしの形状は耐塩耐張がいしと同様に内側の内筒長を長くしてがいしの沿面距離を長くすることが適している。ことなどが明らかになった。また,漏れ電流を小さくするための最適ながいしの取り付け方向や連結長など事故軽減の為の対策指針が得られた。