著者
小林 直樹 大久保 隆 大野 光平 伊丹 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.35-38, 2009
参考文献数
2
被引用文献数
2

地上波デジタル放送の一形態であるワンセグ放送は,移動受信に強いがマルチパスによってディップが存在するところでは受信困難となる.この問題を解決するために,アンテナダイバーシティ技術の適用が考えられるが,ワンセグ放送受信機は小型なものが多いため,ダイバーシティ利得を十分に得られるほどアンテナ間隔を離して配置するのは不可能である.この問題を解決するために有効な方法として,協調受信がある.しかし,協調受信をすると端末間の共有信号が膨大になってしまう.そこで,本論文において,協調受信を行う際の共有信号を減らす手法を考える.提案方式では,端末間での協調受信を行い,共有信号とし他端末のシンボル判定後の信号を用い,自端末において再変調を行った後,最適な値を導く.得られた最適値で重み付けすることで受信性能の改善を図る.
著者
小川 浩司 松崎 道男 宮下 裕子 本村 茂樹 伊藤 章 大久保 隆男 丸田 壱郎 児玉 文雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.398-410, 1987-05-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

白血病治癒の主要薬剤であるDaunorubicin (DNR) の代謝, 分布, 排泄を知るために, 白血病患者にDNR 40 mgを3分間で静注し, 血中濃度 (血漿中, 赤血球中濃度), 尿中排泄を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いて測定した。 同時に3コンバートメントオープンモデルを用いて血中濃度の薬物動力学的解析を行ない, 以下のような結果を得た。1. DNRの血漿中, 赤血球中濃度のピーク値は5分後にあり, 各々228.00±204.00ng/ml, 237.00±111.00ng/gであった。 血中濃度曲線は, α, β, γの3相を呈した。 血漿DNRの半減期は, α相0.0351±0.0157 hr (約2分), β相1.83±2.01 hr, γ相15.8±8.4 hrであった。2. DNRの主要代謝物は, Daunorubicinol (DNR-OL) であり, その血漿中, 赤血球中濃度のピーク値は, 96.50±62.90 ng/ml, 205.00±115.00 ng/gであった。 2時間値で, DNRの血漿中濃度は20.00±15.80 ng/ml, DNR-OL 41.40±27.20 ng/mlで, 赤血球中濃度は40.00±19.50 ng/g, 40.20±13.60 ng/gであり, 2時間以後では, DNRよりDNR-OLの濃度が高値となることが示された。3. 3コンパートメントオープンモデルの解析結果では, DNRの体循環コンパートメントから組織コンパートメントIIおよびIIIに対する移行速度定数K12, K13は大きく, 逆に組織II, IIIから体循環コンパートメントへの移行速度定数K21, K31は小さく, DNRは速やかに組織に移行し, 組織に高濃度に保持され, 放出は緩やかであることが考えられた。 また, 体循環コンパートメント分布容量V1は, 組織コンパートメント分布容量V2+V3に比べ極めて小さく, 投与されたDNRの多くが組織に分布することが示唆された。4. 尿中排泄率は, 24時間においてDNR 6.33±2.93%, DNR-OL 5.30±2.48%で, 総排泄率は, 11.8±5.1%で尿中への排泄は少ないことが示された。
著者
山脇 加奈子 吉川 峰加 津賀 一弘 久保 隆靖 田地 豪 赤川 安正
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.179-184, 2015 (Released:2015-04-18)
参考文献数
19

症例の概要:患者は73歳男性で脳血管性認知症を有しており,認知症病棟に入院中である.唾液や食物を飲み込みにくいという主訴の下,摂食観察を行ったところ多量の口腔内食物残留および喫食率の低下を認めた.また,嚥下造影検査(Videofluoroscopic examination of swallowing: VF)では,舌搾送運動の不良,嚥下反射の惹起遅延,ならびに口蓋から咽頭部にかけての食物残留を認めた.そこで,従来からの口腔機能リハビリテーションに加え,飴を舐める機能を応用したリハビリテーションを6カ月間行い,訓練介入前後および介入期間中の嚥下機能,口腔機能,口腔内環境,体重および摂食状況を観察したところ,舌搾送運動の改善,最大舌圧値,体重,喫食率の増加,口腔内の食物残留量や細菌数の減少を認めた.考察:中等度認知症患者に対し,従来のリハビリテーションに加えて,複雑な指示理解を必要としない飴を舐めるリハビリテーションを継続することにより,口腔内および口腔周囲筋の廃用防止と口腔内環境の改善につながったものと考えられた. 結論:6カ月間の本口腔機能リハビリテーションにより,口腔の機能と環境に改善を認めたことより,中等度認知症患者において,飴を用いたリハビリテーションが有効である可能性が示唆された.
著者
石井 宏一 久保 隆太郎 柴田 斉宜 酒井 孝司 石原 修
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.12, no.24, pp.213-218, 2006-12-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
14

Authors have so far experimented to indoor air flowing in into a wall. As a result, it has reported that indoor air flows in into a wall even from openings with a slight wall socket. In this report, filling-up thermal insulation wall model using inorganic fiber insulating materials packed in polyethylene bag which has spread most in the warm area was used. The wall socket assumed to be openings was installed on the interior wall, and the experiment was conducted using house wrapping sheet and plywood for structures as wall composition material. As a result, the dew condensation situation in a wall was confirmed. In addition, by making a hole in plywood for structures, vapor resistance of a wall was reduced and the method of construction which decreases the quantity of dew condensation in a wall was examined. Furthermore, even if indoor wet air flows in into a wall, a measure method of construction with the effect which controls generating of dew condensation is proposed. Morevoer, comparison examination of the conventional method of construction and the new measure method of construction is carried out.
著者
大久保 隆 伊丹 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 32.33 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.5-8, 2008-07-31 (Released:2017-09-20)
参考文献数
2

Bluetoothは携帯電話などに搭載されていることが多いため,協調受信には他端末との協調手段としてBluetoothを用いる事が有用である。協調受信ではBluetoothを使いキャリア情報を共有することでダイバーシティを実行する。しかし,Bluetoothを用いて協調受信を行うと,伝送速度の制約からすべてのキャリアでデータを共有することが出来ない。特に伝送路情報は膨大なデータ量になる。そこで,本論文では伝送路情報を遅延時間と振幅のパラメータを渡すことで受け渡し,データ量の削減を検討する。また,伝送路情報を渡すことで,自端末のシンボル判定前の信号と他端末のシンボル判定後の信号を合成する方式も検討してみる。
著者
Shiba Kumar RAI 久保 隆 中西 守 住 勝実 柴田 宏 松岡 瑛 Hari Govinda SHRESTHA
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.625-630, 1994-05-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

ネパールにおいて土壌媒介性蠕虫の感染状況を8年間 (1985~1992) にわたり経年的に調査した. 調査はネパールトリブウァン教育病院の病理学教室寄生虫検査室により行われ, 毎年平均6,573件の糞便検体からの種々の腸内寄生虫を検出した. その結果, 土壌媒介性蠕虫全体の検出率は一様でなく, 18.0~36.6%の範囲で経年的に減少した. この傾向は性別に関係なく, 成人・小児両方に見られた. 検出された蠕虫の中では回虫 (roundworm) の検出率が最も高く, 続いて鉤虫, その他の順であった. 本調査期間を通じて回虫の検出率が一定であったのに対し, 他の寄生虫では検出率が低下するという注目すべき事実が認められた.
著者
青木 昭子 萩原 恵里 白井 輝 石ケ坪 良明 谷 賢治 大久保 隆男 横田 俊平 清水 広子 松山 秀介
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.729-735, 1990-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
22

結核患者の高免疫グロブリン血症を血清クラス別に検討するとともに, BCG菌体成分を抗原としたELISA法にて特異的血清抗体を測定した. 成人患者では血清IgG, IgAの上昇は認められたが, IgMの上昇は認められなかった. 血清IgG型抗BCG抗体価は, 結核患者血清が健常人血清に比べて有意に高値を示した. 活動性患者ではとくに高値を示し, 治療によって抗体価の低下が見られた. この抗体価の測定は結核症の診断や経過観察に有用と考えた. ついで血清抗体の認識するBCG抗原分画をイムノブロット法にて解析した. 65KDa分画は健康人血清でも高頻度で認識され, 他の一般細菌抗原との交差反応性によると考えた. 65KDa蛋白による感作が感染症の病態や自己免疫反応に影響を与えている可能性について考察した. 血清抗体に認識されたBCG抗原分画の中で, 16KDa分画は結核患者に有意に高頻度で認識された. この分画が特異性, 感受性に優れた診断法やコンポーネント・ワクチンの開発に有用ではないかと考えた.
著者
高安 亮紀 大石 進一 久保 隆徹 松江 要 水口 信
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

世の中の自然現象を数学問題にモデル化すると偏微分方程式と呼ばれる未知関数の微分に関する関係式が頻出する。これを数学的・数値的に解いて未知関数を特定することが自然科学の分野での研究対象となる。本研究では、固体燃料の燃焼理論や生物増殖の数理モデルなどで現れる非線形放物型方程式と呼ばれる偏微分方程式のクラスに対して、その初期値境界値問題の解が数値計算で得られた近似解の近傍に存在する、あるいは存在しない事を、数値計算によって証明する計算機援用手法を開発した。これは精度保証付き数値計算と呼ばれ、微分方程式の数学解析に対する現代的なアプローチとして注目を集めている。
著者
鷲崎 弘宜 夏 天 鎌田 夏実 大久保 隆夫 小形 真平 海谷 治彦 加藤 岳久 鹿糠 秀行 田中 昂文 櫨山 淳雄 山本 暖 吉岡 信和 吉野 雅之
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2018-SE-198, no.25, pp.1-7, 2018-03-02

セキュリティパターンとは,セキュアなソフトウェアシステムの開発運用における特定の文脈上で繰り返されるセキュリティに関する問題と解決を一定の抽象度でまとめたものである.1990 年代後半からこれまでに 500 近くのセキュリティパターンの特定と蓄積,共有がなされている.それに伴い,それらの適用や抽出といった技術研究も進められているが,その傾向や全体像,技術的課題および展望は明らかではない.そこで我々は最初に,セキュリティパターン研究を分類整理する際の基本的な用語間の関係を整理した概念モデルを提案する.さらに我々は同モデルに基づいた研究の分類体系 (タクソノミ) を提案し,同分類体系に基づき 200 を超える文献の内容を分類した結果を報告する.
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
久保 隆 深澤(赤田) 朝子 藤村 泰樹 山道 和子 神田 由起
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.379-384, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1

大果で高品質なオウトウ品種を育成するため,種子親を‘紅秀峰’,‘サミット’を花粉親として交雑を行い,新品種‘ジュノハート’を育成した.本品種は1998年に交配後,2004年に35個体の実生のなかから選抜された.成熟期は育成地で満開57日以後の7月上旬で‘佐藤錦’の約5日後である.果実は大きく,果重は約11 gである.果形は短心臓形で,果皮色は濃赤である.果肉は硬く,糖度は19.1°で甘味が多く,酸含量は0.53%で酸味は少ない.核は大きいが,離れやすく食べやすい.S遺伝子型はS1S6で,‘佐藤錦’,‘紅秀峰’,‘南陽’および‘サミット’と交雑和合性で,紅さやか’および‘北光’と交雑不和合性である.‘佐藤錦’の受粉樹としての利用が可能である.‘ジュノハート’は見栄えが良く食味も優れることから,贈答用あるいは観光果樹園での普及が期待される.
著者
青木 光 高金 弘 萬谷 嘉明 藤岡 知昭 久保 隆 大堀 勉
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.1503-1512, 1987-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
17

18歳~21歳 (平均19.8歳) の健康成人男子ボランティア5名により, 勃起時に露出型関電極酸素電極法による静脈洞内脱分極電流値変動と陰茎周径変化を同時記録し, 勃起各相における両者の関係を確認した後, 以下の2つのイヌ実験モデルを用いた検討をおこなった.第1番目のイヌ実験モデルでは, 静脈洞内に各種注入速度で血液を灌流し, この際に生じる脱分極電流値変動を露出型関電極 (八木式) で記録し, 脱分極電流値が, 静脈洞内へ流入する動脈血の流入速度に対応した変動を示すことを確認した. 次いで, 第2番目のイヌ実験モデルでは, 陰茎モデルを作製し, ヒト陰茎において確認された勃起各相の静脈洞内脱分極電流値変動と陰茎周径変化の関係を陰茎モデルにて再現した. これら, 再現時の陰茎モデル血液流出路および血液流入路の状態は, ヒト陰茎における勃起各相の血流動態に一致すると考えられ, 以下の結果が得られた.1) 弛緩状態にあるヒト陰茎海綿体静脈洞内には, 少量の血液が流入しているにすぎなかった.2) ヒト陰茎勃起 tumescence phase では, 陰茎海綿体静脈洞への流入血液量が急激増加した. またこの phase では, 流入血液量の増加にともない, 静脈洞からの流出血液量も増加した.3) ヒト陰茎勃起 erection phase では, 血液流出路の受動的閉塞による流入血液量への抵抗が静脈洞への流入血液量を徐々に減少させた. しかし流入血液量と流出血液量が等しくなった時点で安定し, この値は非勃起時よりも高値であった.4) ヒト陰茎勃起 detumescence phase は, 陰茎海綿体静脈洞への流入血液量の減少が生じるとともに, 血液流出路に生じた閉塞が解除され, 流出血液量が増加した.
著者
山本 昭夫 野上 博志 大久保 隆志
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.73 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.37-42, 1997-11-28 (Released:2017-06-23)

地上デジタル放送方式として検討されているOFDM方式では、パイロット信号を用いた周波数軸上の等化が可能である。本報告では、パイロット信号を用いた周波数軸上の伝送路応答の補間手法として、sinc関数形のインパルス応答を持つFIRフィルタ、ステップ補間、線形補間、乗算器を用いない簡易形線形補間の各方式について、等化器出力信号のS/Iを比較した。欧州DVB-Tシステムの2Kモードを対象に、D/U=10dBの2波の時不変マルチパス伝送路のシミュレーションを行った結果、FIRフィルタを用いた方式が最も優れた特性が得られたが、ハードウエア規模を考慮した簡易形線形補間方式も、11μSの遅延波に対してS/I=26dB(受信C/N=30dB)の良好な性能が得られ、民生用機器への適用を考えると有効であることがわかった。また、FFT時の窓位置のずれの影響についても検討し、ガード期間方向へのずれに対しては、簡易形線形補間を用いた場合でも20サンプルずれ(FFT2Kモード時)程度まではほとんどS/Iの劣化がないことが明らかとなった。
著者
大久保 隆男 柴田 寛彦 高橋 寛 斉藤 芳晃 野村 武男
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.373-379, 1977-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

To investigate the buffer mechanism of cerebrospinal fluid in acute hypercapnia in vivo, we have studied the acid-base status of CSF in 14 mongrel dogs, changing their inspiratory CO2 concentration, from room air to 6% and then to 12%. Each condition was maintained for two hours, and at the end of each CO2 loading, arterial and CSF samples were taken anaerobically for the determination of PO2, PCO2, pH and [HCO3-] by electrode and Van Slyke-gas chromatograph system. Buffer values, Δ[HCO3-]/ΔpH were calculated for blood and CSF between room air and 6% CO2 breathing and also between 6% and 12% CO2 breathing.As results, followings were concluded:1) The buffer values of CSF in vivo in acute hypercapnia were significantly higher than those of arterial blood.2) The buffer values of CSF increased significantly with increases of CSF PCO2.3) An active transport system is presumably necessary for the explanation of this PCO2 dependent buffer mechanism, in which the participation of carbonic anhydrase would be suggested.
著者
久保 隆太郎 斉藤 郁雄 酒井 孝司 石原 修
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.72, no.619, pp.33-38, 2007
参考文献数
22
被引用文献数
4 5

Many of studies aiming at grasp of the actual condition of heat-island phenomenon in recent years are the moving observations which need time correction and the fixed point observation with few measuring points. In consideration of these situations, the long-term fixed point observation which can acquire data which is high resolvable in time and spatially is performed in this study. In previous study, the measuring method of the long-term fixed point observation of the temperature and humidity observed at about 160 points in Kumamoto city was explained in full detail. While the temperature and the humidity distribution obtained from the measurement result were shown, the characteristic of temperature change of each measuring point was clarified by using the principal component analysis about temperature change etc. In this study, the feature of the climate of Kumamoto city is solved based on the observation result of summer heat day and chill day. And, in Kumamoto-city where temperature and humidity is high, the influence the strength of a wind has on temperature distribution is considered. Furthermore, the feature of moving observation of the temperature distribution and the long-term fixed point observation adopted by this study is shown. Based on each measurement result, the actual condition of the heat-island phenomenon in Kumamoto city is solved.
著者
片瀬 雅彦 柴田 忠裕 Gaspard Jerome T. 水久保 隆之
出版者
日本線虫学会
雑誌
Nematological research (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.45-47, 2009-06

千葉県の植木産地では、伝統的な樹芸技術によって多数の造形樹が生産されている。近年、EU諸国における日本庭園ブームや中国における造形樹の需要拡大により、植木の輸出量は拡大傾向にある。ところが、出国時の植物検疫において植木の土壌から規制の対象となる植物寄生性線虫が検出されると、その植木を輸出することができない。さらに、輸出相手国の植物検疫において規制の対象となる植物寄生性線虫が検出されると検疫措置を課せられ、植木の廃棄または返送処分を被る場合もあることから、輸出上の大きな障害になっている。日本の樹木類に寄生する土壌線虫に関して、これまで林業苗畑、森林樹木、花木類を対象とした調査報告があり、庭木樹種ではイヌマキ、イヌツゲにおいて線虫検出記録があるものの、造形樹となる植木を対象とした組織的な調査は行われていない。そこで、植木に寄生する土壌線虫の種類を明らかにするために、千葉県下の植木生産圃場において線虫調査を行った。
著者
小林 英男 川久保 隆
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.757-765, 1988-10-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
34
被引用文献数
1 6
著者
吉野 浩一 深井 穫博 松久保 隆 高江洲 義矩
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.92-97, 2002-04-30 (Released:2017-12-15)
参考文献数
30

喫煙と歯周病や口腔がんとの関連はよく知られているが,生活習慣と関連が深い歯の喪失についての研究はきわめて少ない。本調査は,喫煙習慣および口腔保健行動と歯の喪失との関連について5年間のコホート調査を行うことを目的とした。対象は某銀行の従業員の男性129人とし, 1992年から5年間追跡調査した。その結果,20〜39歳群の喫煙者は一人平均0.40歯喪失歯が増加し,非喫煙者の0.13歯に比べて多い値であった(p<0.01)。40〜59歳群では,喫煙者は0.75歯,非喫煙者は0.51歯と多い傾向を示したが有意な差はみられなかった。口腔保健行動と歯の喪失との関連をみると,40〜59歳群ではかかりつけの歯科医院のある者に歯の喪失する者の割合が高かった(p<0.05)。さらに,単純ロジスティック回帰分析を行った結果,20〜39歳群では喫煙習慣が歯の喪失に有意な関連を示し(p<0.001),オッズ比は8.08(信頼区間1.83〜35.72)であった。以上の結果から,20〜39歳群の若年成人では,喫煙習慣が歯の喪失に強く関連していることおよびコホート調査の重要性が示された。
著者
大久保 隆
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.279-286, 1981
被引用文献数
3

瀬戸内海の表面水中の<SUP>228</SUP>Raの濃度を測定した. 瀬戸内海中央部の燧灘や備後灘で採水した表面海水は655-811 dpm/1000 lの<SUP>228</SUP>Raを含んでおり, 太平洋の表面水と比べて100倍も高濃度であった. この高い<SUP>228</SUP>Ra濃度は, 0.16dpmcm<SUP>-2</SUP>y<SUP>-1</SUP>以上と見積もられる堆積物からの<SUP>228</SUP>Raフラックスに支えられているものと考えられる. 海水中の<SUP>228</SUP>Ra濃度は, 塩分の増加及び瀬戸内海中央部からの距離の増加と共に著しく減少していた. 紀伊水道や豊後水道では, <SUP>228</SUP>Ra濃度は約18dpm/1000であった. <SUP>228</SUP>Raを使って瀬戸内海に単純な箱モデルを適用した結果, 瀬戸内海の海水の平均滞留時間は少くとも10年以下, おそらく数年程度と推定された.