著者
渡辺 恵 嶌本 樹 渡辺 義昭 内田 健太
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2127, (Released:2022-10-20)
参考文献数
34

近年、野生動物への餌付けは、個体の行動や生物間相互作用の変化を引き起こすなど、生態系への影響が危惧され始めた。そのため、生物多様性保全の観点から、一部の地方自治体では、餌付け行為を規制する動きが見られる。しかし、国内において餌付けが与える影響を調べた研究は、大型の哺乳類を始めとした一部の生物に限られているなど、未だ限定的である。本調査報告では、滑空性の哺乳類であるエゾモモンガへの餌付けの捕食リスクへの影響を明らかにすることを目的に、北海道網走市の餌台が設置された都市近郊林におけるルートセンサスにより、 1.餌台の利用頻度と、 2.自然由来の餌と人為由来の餌を利用する場合の行動の比較(採食中の滞在高さと一か所の滞在時間)、 3.聞き取り調査も加えてイエネコやキタキツネなどの捕食者の出現と捕食事例について調査を行った。調査の結果、エゾモモンガは餌台を頻繁に利用していた。人為由来の餌を利用する場合は、自然由来の食物を利用する場合よりも、採食中の滞在高さが有意に低く、一か所の滞在時間が有意に長かった。また、聞き取りから調査した冬に餌台周辺でイエネコによる捕食があったことがわかった。餌台を介した餌付けは、エゾモモンガの採食行動を変化させ、捕食リスクを高めることに繋がると考えられる。今後は、餌付けによる生態系への影響を評価するために、餌台のある地域とない地域での比較など、更なるモニタリングが必要だろう。
著者
内田 育恵
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.155-162, 2021-04-28 (Released:2021-05-19)
参考文献数
25

要旨: 脳内に病的な変化を有していても, 臨床的に認知症を発症せずに機能を保つ能力として, 認知予備能 (cognitive reserve), 脳予備能 (brain reserve), 脳の維持 (brain maintenance) などの概念がある。脳の衰えへの耐性を想定する予備能仮説で, 予備能の代理尺度として用いられる指標には, 比較的測定が容易な脳容積や頭囲, 脳重量という形態学的パラメーター, 教育 (教育年数や教育の質), 職業内容の複雑さ, IQ や識字率, 精神的活動, 社会的活動, 身体的活動などがある。難聴があると, 脳容積萎縮速度, より高度な学業達成率, 就労の継続, 社会交流などの側面で不利であることを示す多種の研究報告がある。認知症発症を遅らせる可能性のある予備能の強化にとって, 難聴や, 難聴が関与する事象が妨げとなるとすれば, 難聴対策はこれまで以上に重要になると考える。
著者
山本 陽二郎 萩原 亨 足達 健夫 加賀屋 誠一 内田 賢悦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.709-715, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

本研究では、歩行者の方向感覚を阻害する存在として、地上と地下を繋ぐ階段での進行方向の回転に着目した。地上から地下への階段の曲がり数とその後の地下歩行空間における歩行者の方向定位と経路探索時への影響を分析するため人の空間認知プロセスにおける視覚情報について具体的に検討した。階段通過時の進行方向の回転をシミュレートした室内実験を行った。被験者に対し情報提供を行い、それらの経路探索への影響を分析したその結果、階段の曲がり数が要因となって方向定位と経路探索が困難になった。また、情報提供内容によって方向定位を改善できる可能性を示唆した。
著者
内田 麻理香 原 塑
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.208-220, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

牛海綿状脳症(BSE)問題や遺伝子組み換え作物問題を契機とし,1990 年代後半以降イギリスやヨーロッパで科学技術に対する信頼の危機が生じた.この危機への対応策として,科学技術理解増進活動の推進から一般の市民との双方向コミュニケーションの重視へと政策が転換された.この転換を根拠づけるために科学技術理解増進活動で主流の一方向コミュニケーションは欠如モデルと一体であるとする見方がとられるようになった.欠如モデルの有効性には疑いがもたれているため,一方向コミュニケーションは批判され,欠如モデルを免れた双方向的手法が科学技術コミュニケーションの実践ではとられるべきだとする見解(欠如と対話の双極的価値判断)が広がった.この論文では欠如モデルと一方向コミュニケーションは区別されるべきであること,欠如と対話の双極的価値判断は一方向コミュニケーションと双方向コミュニケーションの機能や価値を誤解させ,科学技術政策をミスリードする問題をもつことを明らかにする.最後に,科学技術コミュニケーション活動を,欠如モデルの有無と一方向コミュニケーション/双方向コミュニケーションの二つの観点によって区別する四分類法を提案する.
著者
大戸 夢木 坂上 嶺 日比野 友亮 松重 一輝 内田 和男 望岡 典隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.21-00043, (Released:2022-03-16)
参考文献数
39
被引用文献数
2

ニホンウナギの成長や降海時の順応の場である汽水域のハビタットの劣化は著しい。本研究では,このハビタットの創出・復元を目標に,本種がどのような浮石間隙構造を好むかを生活史段階ごとに検証した。汽水域において異なるサイズの石(大,長軸30 cm;中,20 cm;小,10 cm)を詰めた石倉カゴ(研究用漁具)の利用状況を比較したところ,未成熟のクロコや黄ウナギは間隙が細かい「小」を好むが,海へ産卵に向かう銀ウナギは「大」,「中」のみで出現した。これは,間隙構造の多様性が河川生活を完結する上で重要であることを示唆している。
著者
田上 恵子 内田 滋夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.277-287, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
26
被引用文献数
6

キノコは放射性セシウム(Cs)を濃縮しやすいと報告されているが,キノコの種類及び生育環境の違いにより移行の程度が異なると考えられる。しかし,東電福島第一原発事故に起因する放射性Cs濃度の汚染レベルが地域により著しく異なるため,キノコ中の濃度だけで種類別に移行程度を比較できない。そこで,グローバル・フォールアウトに起因するキノコ中の137Cs濃度に着目し,自然環境下にて生育した43種類の野生キノコについてランク付けを行い,放射性Cs濃度が低い種類を推定した。今後の野生キノコ採取の再開に向けて有意義な推定ができた。
著者
西田 圭吾 内田 亮太
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.675-679, 2018 (Released:2018-07-01)
参考文献数
16

亜鉛は生命活動に必要とされる必須微量金属元素の1つであり、1960年代に相次いで報告された亜鉛欠乏症が契機となって様々な生体機能における亜鉛の関与が示されている.亜鉛の恒常性は亜鉛トランスポーターやメタロチオネインによって制御されており、主として遺伝子ノックアウトマウスを用いた一連の研究によって哺乳類の初期発生、全身成長、生体防御機能などにおける亜鉛の恒常性の意義が分子レベルで明らかになりつつある.一方、外傷や感染症で皮膚の表皮層が壊されると、止血と炎症から始まる極めて複雑な一連の生体反応が起こる.その治癒にいたるまでの過程を皮膚創傷治癒という.この皮膚創傷治癒に、亜鉛がポジティブに制御していることは古くから知られていた.しかしながら、具体的に亜鉛が皮膚創傷治癒の過程にどのような役割を担っているか十分に理解されていなかった.今回、マスト細胞が放出する亜鉛が皮膚創傷治癒を制御する新しい機序に関して、著者らの研究グループで得られた知見を中心に紹介する.
著者
内田 佳那 丹治 敬之
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.13-25, 2023-05-31 (Released:2023-11-30)
参考文献数
20

本研究は、漢字の読み書きに困難のある小学6年生の発達性読み書き障害児1名を対象に、 遠隔形式による漢字の読みと意味、漢字形態の想起を促す書字指導プログラムの効果を検討することを目的とした。また、学習の定着を目指した家庭学習を実施し、学習効果の長期維持を検討した。その結果、漢字書字の正答数の向上と、おおむね介入から2か月後までの学習効果の維持が認められた。社会的妥当性では、学習方法の適合度、母親の負担度、参加児の学習意欲の変化に対し、肯定的な評価が得られた。本研究の成果から、漢字の読字と書字の困難、語彙の低成績を示す子どもには、漢字の書字指導に加え、漢字の読みと意味の指導の有効性が指摘できた。さらに、学習の定着には、不十分な学習内容の反映、子どもが意欲的に学習に取り組める方法での家庭学習機会の設定が効果的であると考えられた。
著者
岡 明彦 天野 祐二 内田 靖 香川 幸司 高取 健人 北嶋 直人 園山 浩紀 多田 育賢 楠 龍策 福庭 暢彦 大嶋 直樹 森山 一郎 結城 崇史 川島 耕作 石原 俊治 木下 芳一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.1804-1813, 2013 (Released:2013-10-07)
参考文献数
30
被引用文献数
1

保存的加療にて軽快した餅による消化管障害(イレウス,潰瘍)の8例を報告した.既報を含めた検討では,餅による消化管障害には,次のような特徴がある.(1)イレウス,穿孔,潰瘍がある.(2)50~60歳代の男性に多く,義歯や早食いが誘因となる.(3)発症数は10月から増え1月に最も集中.(4)イレウスでは腹膜刺激症状,穿孔をともないやすい.(5)硬くなった餅はスネアで破砕可能.(6)餅のCT像は「均一」な「高濃度」であり,CT値は145HU前後である.

29 0 0 0 OA 新刀押象集

著者
加島勲, 内田疎天 著
出版者
大阪刀剣会
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1935
著者
内田 龍史
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.139-153, 2007-10-31 (Released:2008-01-08)
参考文献数
25
被引用文献数
3

近年、フリーターの増加が社会問題となっているが、学校から職業への「移行」(Transition)に関する研究からは、性別では女性が、また、学歴・家庭背景などが相対的に低い状況にある若者がフリーターになりやすいことが指摘されている。しかし、若者のフリーター「選択」に影響を与える要因についての量的な検討は多くはない。 本論文は、フリーター選択と近年着目されている社会的ネットワークとの関係に着目し、高校3年生を対象とした質問紙調査から、限定された社会的ネットワークがフリーター選択に影響を与えているかどうかについて検討を行った。その結果、高校生のネットワーク構造は「安定・ホワイトカラー」「不安定・ブルーカラー」ネットワークの2つに分類され、「安定・ホワイトカラー」ネットワークに組み込まれている高校生はフリーターを選択せず、逆に「不安定・ブルーカラー」ネットワークに組み込まれている高校生はフリーターを選択する傾向が見られた。高校生が組み込まれている社会的ネットワークの存在が、若者たちの進路分化に影響を与えていることが示唆されたのである。
著者
内田 大貴 上手 雄貴 上手 奈美
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-55, 2023-07-11 (Released:2023-07-11)
参考文献数
36

木曽川水系に連なる岐阜県のあるため池において,2022 年に国外外来種であるチョウセンブナMacropodus ocellatus が採集された.本種は, “木曽川水系” としての確認記録が残されているものの,都道府県についての記載はなく,岐阜県内と特定可能な本種の移入記録は無い状況であった.したがって,今回の記録は岐阜県初記録かつ,木曽川水系における約60 年ぶりの採集記録と言える.当県における本種の由来の詳細は明らかでないが,国内では生息数を減らしている一方,希少魚として流通している.生息地の状況やこれらの社会的背景から,確認されたチョウセンブナは個人や養殖業者による意図的な放流個体の可能性が考えられた.さらに,この個体群の周辺地域への拡散も懸念されることから,生息状況だけでなく,拡散状況の把握や早期の駆除が必要である.

25 0 0 0 OA 輿地誌略

著者
内田正雄 編訳
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.巻8 亜非理加洲, 1880
著者
内田 彩子 山口 直子 伊藤 瑞香 〓谷 要 Ayako UCHIDA Naoko YAMAGUCHI Mizuka ITO Kaname KATSURAYA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-12, 2014-03

現代の日本人は洋服で生活することが一般的になっており、和服は冠婚葬祭等の儀式的な場面で用いられたりまたは夏のお祭りに用いられるゆかたがほとんどである。そのため、今日ではきものは日本の民族服と言われているにも関わらず、ほとんどの人が和服から離れた生活を送っている。和服を所持していない、所持していても自分で着ることが出来ない、着崩れが生じ易く着崩れた際に自分で直すことが出来ない等の問題が指摘されており、また、少しの着崩れでもだらしがない、みっともないなどと見られてしまうことが着物を着るということに対しての障害となっている。 着崩れの要因は多岐にわたると考えられているが、今回は時代の流れと共に着崩れの要因、着崩れの形態が変化しているのかという点に着目した。それにより、日常的に着物を常用していた時代の方が着装しやすかったのか、着装していても着崩れにくかったのかを検証することを目的とした。 まず、現在の着物の形態が完成されたと考えられる江戸時代後半から、ほぼ洋服の着用が主流となる現代までの標準寸法を、裁縫書および教科書から抽出し、身丈、袖丈、前幅、後幅、衽幅、合づま幅等の変遷を追い、身丈、袖丈は時代により変化するが、幅に関する仕立て上がり寸法には大きな変化がないことを示した。 次に、着物が日常的に着用されていた「江戸」、「明治」、「戦前」、洋服が日常着になる「戦後」の4時代の試験衣を製作した。その試験衣を用いて、着装状態を再現し、動作前後の着崩れの比較検証を行った。 その結果、着装状態では、戦後はほとんど現在の着装形態と変わらないことが分かった。また、時代をさかのぼるほど衿合わせ位置が下がる傾向が認められた。明治時代は全体的な印象としては現在と大きな変化はないが、衿合わせ位置は明確に下がっていることが分かった。結果として、着崩れは時代による顕著な変化は認められず、どの時代でも同様の着崩れ方、着崩れ量を示した。さらに、長襦袢とひとえ長着を比較すると、長襦袢の方が着崩れ量が大きく、長襦袢が緩衝機構となっていることが示された。
著者
内田 力
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.195-213, 2018-11-30

日本中世史家の網野善彦(生没年一九二八~二〇〇四年)は、一九七〇年代ごろから新しい歴史学の潮流(「社会史」)の代表的人物として注目されるようになり、のちに「網野史学」・「網野史観」と称される独自の歴史研究のスタイルを打ち立てた人物である。かれの歴史観は、とくに大衆文化の実作者への影響が大きく、映画監督の宮崎駿や小説家の隆慶一郎、北方謙三の作品にその影響がみられる。 では、網野はなぜこれほどまで個性的な歴史研究者になったのか。そう考えて網野の自伝を読むと、一九五三年の夏に左翼政治運動から離脱したことが重大な転換点として語られている。本論文では、網野自身が研究上の重大な転換点として語っていた一九五〇年代の網野の活動を、同時代の左翼政治運動の潮流とつきあわせて検証した。 本論文ではまず、日本の敗戦直後における網野と共産党の関係について確認した(第一節)。そのうえで、一九五三年以降の共産党分裂期を対象として、網野をとりまく政治的状況を分析するとともに(第二節)、網野が歴史をめぐっていかなる活動を展開していたのかを分析した(第三節)。最後に、一九五〇年代後半、つまり網野が左翼政治運動から離脱したあとに、いかなるかたちで歴史研究を再開したのかを検討した(第四節)。 以上をとおして本論文では、一九五〇年代前半の一時期、国際共産主義運動の一部分に組み込まれて翻弄されていた網野善彦が、左翼運動離脱後に、政治的に否定された学説の検証に向かったことを示した。くわえて、一九五〇年代の段階ですでに、歴史を表象するメディアの問題に接していたことを指摘した。
著者
上地 香杜 加藤 一晃 野村 駿 太田 知彩 内田 良 KAMIJI Koto KATO Kazuaki NOMURA Hayao OTA Kazusa UCHIDA Ryo
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 教育科学 (ISSN:13460307)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.97-107, 2019-03-31

The purpose of this paper is to clarify how the existence of family for a teacher affects the way he/ she works, revealing gender differences. Recently in Japan a “work style reform” has been suggested in the hopes of alleviating overly long working hours as well as to better appreciate the diversity of working styles. This movement also includes adopting a more open attitude toward balancing childcare, nursing care, and career, so the reform also includes a focus on the family members of workers. This reform talk has encouraged active discussion about teachers’ work styles. However, where previous research has clarified the situation of long working hours and the resultant mental health of teachers, there are few studies focusing on diversity among teachers. In particular, there are few studies that focus on gender differences or on differences in family relationships among teachers. This paper, which focuses on gender differences in teaching takes into consideration the family style of teachers and the effect it has on the actual condition of teachers’ working styles. The following three has been clarified. (1) Working time commitment is shorter when a teacher has their own children. In addition, working hours tend to be shorter for female teachers. (2) Wheras women teachers express they feel busier when they have their own children, this tendency was not seen among male teachers with children. (3) Analyzing work hours and busyness, in general, teachers with children feel busier than teachers without children, with female teachers feeling four times busier than male teachers. This paper suggests a necessity to discuss the existence of teachers’ families when discussing the “work style reform” that will affect them.
著者
内田 良
出版者
東洋館出版社
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.201-221[含 英語文要旨], 2010

本稿の目的は,「リスク」の理論と分析手法を用いて,学校管理下における各種事故の「実在」,とくに事故の発生確率を比較することから,学校安全に関する今日的な「認知」のあり方を批判的に検討し,エビデンスにもとづいた学校安全施策を提唱することである。今日,学校安全の名のもと不審者対策に多くの資源が投入されている。いっぽう,学校における多種多様な事故を広く見渡して,事故の発生件数や確率を調べようとする試みは少ない。そこで本稿では多義的なリスク概念を手がかりに,次のように分析を進めた。まず社会学のリスク論から,リスクは社会的に構築されるという視点を得た。事故は「認知」に左右される。次に自然科学の方法から,事故の「実在」に注目して各種死亡事故の発生確率を算出した。その結果不審者犯罪よりも発生確率が高い事故が多くあることが明らかとなった。学校事故の特殊性は,管理するという「決定」に,多くの主体(国,自治体学校,保護者,地域住民)が容易に関与できる点である。このとき,「決定」はリスクをめぐるコミュニケーションを活性化させ,リスクに対する人びとの認知を敏感にさせていく。本稿が提唱したいのは,危機感が増幅し始めた早い段階においてエビデンスが参照されることである。事故を管理しようとする意志が多くの主体に増幅していく前に,「決定」の大きな権力を有する教育行政が,エビデンスにもとづいた「決定」をなすべきである。
著者
花岡 茉利子 原田 弘美 大野 耕一 玉本 隆司 内田 和幸 坪井 誠也 庄司 亜香 辻本 元
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.16, no.Suppl, pp.Suppl_34-Suppl_35, 2013-07-03 (Released:2013-09-27)
参考文献数
2

我々は、市販の総合栄養食を給餌されていたにもかかわらず、黄色脂肪症の発症を認めた2症例を経験した。総合栄養食として販売されている猫用のフードを用いた場合でも、若齢猫の食事管理においては黄色脂肪症の発生に関する注意が必要と考えられる。