著者
前田 知郷
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1116-1111, 2010-03-20
著者
原田 康也 前坊香菜子 河村 まゆみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.69, pp.1-8, 2007-07-07
参考文献数
12
被引用文献数
5

本発表においては2007年2月17日コンピュータと教育研究会CE-88 (24)『学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告した研究プロジェクトのその後の進捗状況を報告する。本研究プロジェクトでは、2003年5月16日コンピュータと教育研究会CE-69 (3)『エーワンのマルチカードを用いた英語応答練習』にて報告した応答練習を中心とする授業中の学習活動を2005年6月18日コンピュータと教育研究会CE-80 (4)『対面での応答を重視した英語学習活動と発話収録装置の試作と試用』にて報告したマルチトラック・ハードディスク・レコーダにて音声収録するとともにならびにCE-88 (24)『VALIS:学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告したブルートゥース・ワイヤレス・マイクとハードディスク・ビデオカメラを用いて音声画像の収録を進めている。本プロジェクトで収録している音声データはきわめて多量であるため、その大部分を対象とすることは本プロジェクトの期間と予算から不可能であるが、将来的な作業の見通しを付けるために、発話データの書き起こしを試行している。本稿では、これに際して検討すべき事項の整理と現在進めている試行的な書き起こしの途中経過を報告する。The first author has implemented college English classes emphasizing face-to-face oral interactions within small groups of students in class, presupposing and expecting further cultivation of learners' ability to learn for themselves, by themselves and among themselves. Previous experiences confirm such expectations, and the authors are currently working on compiling spoken corpora of learners' interactions with relatively high-quality audio and video recordings of those interactions. In this second installment of interim reports, we touch on our transcription procedures and possible tools, further detailing our recording procedures and project goals. It is interesting to notice, in passing, how introduction of digital audio recorder with cabled microphones and digital hard-disk video cameras with Bluetooth wireless microphones positively affect students' motivations and performances in those practices.
著者
前田 泰
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究から得た結論の概要を示せば、以下の通りである。父母の有する親権は、子の福祉に適した範囲内でしか行使できない。子の利益に適しない代理権の行使は無権代理であり、無効である。そして、子の利益に適した代理権の範囲は、客観的に決定される。子の財産を純粋に減少させる贈与行為は、代理権の範囲外の行為であり、無効である。同様に、親権者の行うべき身上監護も子の利益に適した内容でなければならない。法定代理権の範囲が、子の状況に応じて客観的に決定されるのと同様に、身上監護の内容も客観的に決定される。未成年者に必要な医療を受けさせないことは、身上監護義務の違反である。未成年者に必要な医療行為を拒否する権利は、親権者にはない。未成年者の医療における親権者の同意の意義も、同じ観点から理解しなければならない。意思無能力である未成年者に対する医療行為は、医療機関と親権者との不真正第三者のためにする契約と構成されるが、この契約の締結は、親権者の法定代理権の行使により行われる。契約締結が子の利益に適するかどうかは客観的に決定され、子に必要な医療契約を締結しない権利は、親権者には存しない。医的侵襲を伴う医療行為に対しては親権者の同意が必要であるが、この同意は、親権者の身上監護義務の履行として行われる。身上監護義務の内容は客観的に決定されるから、未成年者に必要な医療行為には親権者は同意する義務がある。これを拒否する権利は親権者にはない。問題は、子の利益の内容であるが、親権者の意図とは関係なく、子の状況に応じて社会通念により客観的に決定するしかない。以上のように、まず、医療行為の可否は、客観的な未成年者の必要性により決定され、これを法律行為(契約)として構成する必要性がある限りにおいて、法定代理が登場する。法律行為以外については、身上監護義務の履行の問題である。
著者
大前 清嗣 根本 和代 黒木 宏之 雨宮 禎子 大森 安恵
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.574-574, 1994-07-25

東京女子医科大学学会第299回例会 平成6年6月9日 中央校舎1階会議室
著者
前田 義信
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

社会問題のひとつである"いじめ"は強者から弱者に対して行われる従来型の一方的な攻撃から,対等な他者との間で加害者と被害者が流動的に入れ替わる双方向の攻撃へとその性質を変容させつつある.当事者はいつ自分が被害者になるか予想することもできない不安を常に持ち,それゆえ対等な他者からの承認を常に必要とする“フラット"な関係が築かれるようになった.また流動性ゆえに,教育者をはじめとする支援者も対策に頭を悩ませている.そこではどのような事態が生じているのか?本研究では,エージェント,価値,エージェントが起こす行動,相互作用で構成される形式的な人工学級モデルを提案し,マルチエージェントシミュレーションによってその現象を調べる.エージェントの一人はヒトが操作可能なプレイヤーに置き換えることができるようにもした.相互作用を繰り返すことによって自分が見出す価値数がゼロになった経験を有するエージェント(いじめ被害者)と,他のエージェントから反感性の行動を連続的に受け続けたエージェント(いじめ被害者の候補=潜在的いじめ被害者)を定義し,その状況を調べた.その結果,交友関係における対立回避やべき乗分布に従ういじめの特性が観察され,支援者によるいじめ発見の困難さとの関連性を考察した.
著者
前 真之
出版者
独立行政法人建築研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

応募時に提出した年次計画に基づき、以下の研究課題を遂行した。(1)実住戸における消費エネルギーの実測調査実住戸6世帯における消費エネルギーの計測関東の6住戸について、電気・ガス・灯油の消費状況を詳細に計測し、消費エネルギーの用途別内訳や住戸差・季節変動について、重要な知見を得ることができた。実住戸3世帯における給湯消費の計測関東の3住戸において給湯の消費状況を詳細に計測し、高齢世帯においては給湯消費が少なくなる傾向などが明らかになった。また、給湯消費については既往の実測データの再整理を行い、その平均や変動について重要なデータを得た。(2)多数の住戸を対象とするアンケートによるエネルギー消費に関する調査全国の4000住戸における消費エネルギーに関するアンケート調査全国の住戸において、消費エネルギーの検針値や生活行動についてアンケートを通して調査を行った。検針値からの消費用途の推定・分離、生活行動と消費エネルギーとの関係の分析を通し、有効な知見を収集することができた。(3)集合住宅における暖冷房要因に関する実験・実測実大の試験用集合住宅における熱移動に関する実験建築研究所に設置されている実大の試験用集合住宅において、上下左右の隣接住戸の空調条件が空調負荷に与える影響を、実験を通し把握した。その結果、隣接住戸の空調状況の変化による影響は大きく、住戸間の断熱は簡易であっても効果が大きいことが示された。上記の研究活動により、1年度の年次計画をほぼ達成することができたと考える。
著者
福本 陽平 岸本 幸広 前田 直人 西向 栄治 金藤 英二 岡田 克夫 内田 靖 河野 通盛 是永 匡紹 池田 弘 藤岡 真一 西野 謙 河野 友彦 辻 恵二 平松 憲 柴田 憲邦 児玉 隆浩 周防 武昭
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.484-489, 2007-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.<br>
著者
大前 敦巳
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.31-47, 1997

小論は,フランスの大学人学資格に相当するバカロレア試験を主題に取り上げ,近年の改革に伴う試験の内容と,その準備のために望ましいと考えられている勉強法について検討する。バカロレア試験の実施過程にはリセの教員が多く動員され,またほとんどの試験は授業内容に関連した論述と口述からなるため,バカロレアの主たる試験準備の方法は,リセの授業で受けた内容の復習を行うことが中心になる。復習のために推奨される最も一般的な方法は,授業でノートに記入したことをカードに整理することである。さらに,模範解答集や模擬試験の問題を解くことを通して,過去に作成したカードを補足・修正することが勧められる。フランスでもバカロレア受験がユニバーサル化したのに伴って,日本の受験勉強に見られるのと同様の問題が指摘されている。今日の進学競争について論じるためには,高等教育の大衆化という多くの国に共通の現象を踏まえた上で,各国に固有の問題を明らかにしていくことが重要であると考える。Le sujet de cet article est l'examen du baccalaureat. En France, comme au Japon, le taux de reussite au baccalaureat a augmente rapidement pendant une dizaine d'annees. En reference a ce changement social, ma recherche a porte sur deux points; premierement sur la facon d'executer des examens d'aujourd'hui, et deuxiemement sur les methodes de travail les plus appropries a la preparation des epreuves. J'ai trouve trois caracteristiques sur le baccalaureat. (1) La plupart des examens consistent en des exposes ecrits et oraux. (2) De nombreux professeurs de lycees participent a la mise en oeuvre du baccalaureat. (3) La preparation la plus importante est la revision des cours de lycee. Une methode de travail que l'on recommande souvent est la redaction de fiches dans lesquelles les eleves ont resume les notes prisent pendant les cours. Ensuite, on leur conseille d'ajouter et de modifier leurs fiches en abordant les sujets des annalles et des examens blancs. Par ailleurs, avec l'<universalisation> des candidats du baccalaureat, on peut trouver les memes problemes qu'a l'examen d'entree a l'universite au Japon; par exemple, le probleme du <bachotage> des eleves, la difference du niveau d'excellence entre des etablissements par les taux de reussite au baccalaureat .... Donc pour comparer les examens de nos jours entre la France et le Japon, il est important de tenir compte des affaires propres a chaque pays, mais aussi du phenomene commun de massification de l'obtention des diplomes.
著者
田口 洋美 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 三浦 慎悟 高橋 満彦 原田 信男 白水 智 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 原田 信男 白水 智 三浦 慎悟 神崎 伸夫 前中 ひろみ 高橋 満彦 岸本 誠司 中川 重年 梶 光一
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究が開始された翌年平成18年度においてクマ類の多発出没が発生し、捕殺数は約5000頭、人身事故も多発した。本研究はこのような大型野生動物の大量出没に対する対策を地域住民の歴史社会的コンテクスト上に構築することを主眼とし、東日本豪雪山岳地域のツキノワグマ生息地域における狩猟システムと動物資源利用を「食べて保全」という市民運動へと展開しているドイツ連邦の実情を調査し、持続的資源利用を含む地域個体群保全管理狩猟システムの社会的位置づけとその可能性を追求した。
著者
前原 なおみ 仲宗根 洋子 新垣 利香 吉川 千恵子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.73-79, 2004-03
被引用文献数
1

背景:テレナーシングは、1995年頃から欧米において看護活動の技法の一つとして研究され、外来看護や在宅看護の分野で患者・家族のケアに応用され、入院や在院日数を半減し、タイムリーな援助が提供できるなど効果をあげている。日本においては医療・保険制度、診療報酬体系の相違もあり開発途上にある。目的:テレナーシングに関する4つの文献から、テレナーシングの概念、世界の看護活動の現状を把握し、必要な能力を考える。 対象:テレナーシングに関する文献(1)D. Kathy Milholland:TELENURSING, TELEHEALTH Nursing and Technology Advance Together (2)Margaret L Larson-Dabn:Tel-eNurse Practice A Practice Model for Role Expansion (3)Margaret L. Larson-Dabn :Tel-eNurse Practice Quality of care and Patient Outcomes (4)Diane L. Huber, Kathleen Blanchfield:Telephone Nursing Interventions in Ambulatory Care 結果および結論:1998年、ICN は新しい概念としてテレナーシングを定義し、看護への応用、コスト効果などをあげてテレナーシングへの関心を喚起している。テレナーシングの技術を看護に活用するには実践、研究、教育、管理の4つの柱がある。安全で質の高いテレナーシングは、看護師の専門的知識と経験、クリティカルシンキング技術、人間関係を確立するためのコミュニケーションとケアリングアプローチを行う能力が必要である。これらの能力は大学教育または継続教育をとおして得られる。Tel-eNurse Practice Model (TNPM) が2000年に発表され、テレナーシング実践に活用されている。テレナーシングは国家の政策として予算化し活動している国もあるが、我が国の看護教育では情報通信を介しての看護師のケア提供技術は体系化されていない。今後、テレナーシングの実践にむけての研究および大学教育・継続教育が必要であると考える。Background: Telenursing has been studied as one of nursing activities in the West since 1995, and it is applied to care of patients and families in ambulatory nursing care or home health care. Telenursing helps reduce the number of hospitalizations and length of hospital stay and provide timely support for patients. Telenursing in Japan is in a developmental stage with its unique health care systems including the insurance and remuneration systems. Purpose: The purpose of this study is to grasp the concept of telenursing and the current telenursing activities practice world wide, and to consider required competencies. Design:Integrated literature of telenursing at home and abroad. (1)D. Kathy Milholland : TELENURSING, TELEHEALTH Nursing and Technology Advance Together (2)Margaret L Larson-Dabn : Tel-eNurse Practice A Practice Model for Role Expansion (3)margaret L. Larson-Dabn :tel-eNurse Practice Quality of care and Patient Outcomes (4)Diane L. Huber, Kathleen Blanchfield: Telephone Nursing Intervention in Ambulatory Care Results and Conclusion: In 1998, ICN defined telenursing as a new concept, and stimulated interest in telehealth for its application to nursing and for cost effectiveness. There are four domains of nursing for the application of telehealth technologies: practice, research, education and administration. To use telenursing optimally and safety, nurses must become competent with clinical knowledge, experience, communication skills, competencies to practice of critical thinking and caring approach for establishing a relationship with caller. These competencies may be acquired through academic or continuing education. The tel- eNurse Practice Model (TNPM) was announced in 2000, is a theoretical framework telephone nurses can use to telenurse practice. Although there are several countries that address telenursing as a national policy and provide financial support, the level of care is not systematized in the nursing activities of Japan. In conclusion, telenursing research and education are required for future telenursing practice.
著者
松村 和則 柳沢 和雄 前田 和司 甲斐 健人 西原 康行 矢崎 弥
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究は、以下のような構成でまとめられた。序:松村和則「白いスタジアムのある風景-「開発とスポーツ研究」序説-」I 鹿島の開発とW杯柳沢和雄「鹿島開発とワールドカップ-外発的発展の必然としてのワールドカップ-」橋本政晴「『地域』へとコンテクスト化されるメディアイベント-鹿嶋市S地区におけるT氏のサポーター活動を事例として-」石岡丈昇「農業退出者の軌道とサッカー開発-地元旅館業者からみたワールドカップと鹿島-」II 「在日」とW杯鈴木文明「2002FIFAワールドカップと在日朝鮮人-大阪生野区・コリアタウンにおけるワールドカップ観戦会を通して-」III 札幌の開発とW杯大沼義彦「五輪開催都市からW杯開催都市ヘ-札幌市におけるメガスポーツイベント誘致と都市開発-」前田和司「2002FIFAワールドカップと都市開発-札幌ドーム建設をめぐって-」IV 招致問題とW杯甲斐健人「ワールドカップキャンプ招致のシナリオと国際交流-三重県鈴鹿市の事例-」矢崎弥「キャンプ誘致と地域づくり・地域活性化-新潟県十日町市クロアチア共和国代表チームキャンプの事例-」西原康行「ワールドカップ新潟開催の遺産-あるボランティアの活動から見えるもの-」調査資料Richard Light"The 2002 FIFA World Cup on Youth sport and Identity石岡丈昇・松村和則「中津江村住民意識調査」
著者
前林 清和
出版者
神戸学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、地雷被害が続くカンボジアにおける地雷回避教育を推進するための研究である。まず、カンボジア北部地域、特にポイペト市において、地雷被害調査と地雷教育の実情を調査し、その不備も含めて明らかにした。そのうえで、実際の地雷回避教育プログラムおよび教材を開発した。開発した「地雷ノート」をポイペト市にある小学校3校の子どもたちに配布し、地雷回避教育を実施し、その効果を明らかにした。
著者
前島 伸一郎 大沢 愛子 林 健 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.187-194, 2013-05-20 (Released:2013-05-24)
参考文献数
21

要旨:【目的】嚥下造影検査(VF)の実施に合わせて,5 mlと60 mlの段階的飲水試験を施行し,誤嚥の検出や経口摂取の可否,選択された食形態との関連について明らかにする.【対象と方法】経口摂取開始時の適切な食材を選ぶことを目的にVFを施行した183名(男性107,女性76)の脳卒中患者を対象とした.平均年齢は66.9±12.1歳で,原因疾患は脳梗塞98名,脳出血49名,くも膜下出血23名,その他の脳血管疾患13名,発症からVFまでの期間は18.0±12.0日であった.方法は,まず,VF実施の直前に段階的飲水試験にて臨床評価を行い,次にゼリーや粥などの模擬食品に加え,5 mlと60 mlの液体にてVFを行った.その後,段階的飲水試験の結果と実際のVF結果との関連について検討した.【結果】臨床所見の異常にて段階的飲水試験を途中で中止したのは46名(第1段階43名,第2段階3名)であった.段階的飲水試験での異常所見はVFの液体誤嚥と有意な関連を認め,VFにて観察される誤嚥に対する段階的飲水試験の感度は85.2%,特異度は41.8%であった.飲水速度(ml/秒)や1回嚥下量(ml)と誤嚥に明らかな関連はなかった.経口摂取の可否や選択された食形態は,VFの液体誤嚥との間に関連を認めたが,段階的飲水試験の臨床評価との間には関連はなかった.【まとめ】段階的飲水試験の臨床評価は液体誤嚥の検出には有用ではあるが,その結果と誤嚥予防のための適切な食形態との間には明らかな関係を見いだせず,経口摂取の開始前には嚥下造影検査などの詳細な評価を合わせて行うべきである.
著者
前田 顕之 大関 悟 有地 榮一郎 出雲 俊之 大鶴 洋 岡部 貞夫 小村 健 川辺 良一 桐田 忠昭 草間 幹夫 迫田 隅男 佐々木 朗 篠原 正徳 田中 陽一 中村 太保 野口 誠 又賀 泉 山城 正司
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 = Journal of Japan Society for Oral Tumors (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-175, 2007-09-15
被引用文献数
1 1

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。<BR>有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。<BR>手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。<BR>一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。
著者
吉田 侑矢 辻 琢己 細田 敦規 河野 武幸 久保 貞也 佐竹 正人 難波 洋 瀬野 智美 前田 定秋
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.288-298, 2012-05-10 (Released:2013-05-10)
参考文献数
3
被引用文献数
2 1

In the future, over-the-counter (OTC) drugs for chronic diseases, such as diabetes mellitus, hypertension and hyperlipidemia, may partly replace prescription drugs, and pharmacists will be required to advise patients on the proper use of these drugs. At present, the curriculum unit “Learn over the counter” is a part of the model core curriculum of the pharmacy practice externship. However, there is a gap between the general instructional objective (GIO) of this unit and the occupational ability of current pharmacists. To fill the gap, it is necessary to create a new instructional program on campus as a part of the 6-year pharmacy education program. We have developed a new approach that includes specific behavioral objectives (SBOs) for OTC, supplements and health consultation. The effectiveness of this approach was evaluated by means of a questionnaire survey and a text-mining approach based on free description. The results indicated that pharmacy students realized the importance of self-medication. In addition, they understood the responsibility of pharmacists in relation to the prevention of disease onset, the provision of advice on appropriate OTC drugs, interaction with the patient and provision of drug information. We consider that our approach will be helpful to educate pharmacists about the need to promote effective self-medication.
著者
滝口 清昭 河野 賢司 前田 一龍 比嘉 良人 神谷 稔
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.299-304, 2011-03-01 (Released:2011-05-28)
参考文献数
6

二輪車において,準静電界における静電結合を利用し,人体を通信経路としたバックモニタシステムを実現した.人体と静電結合を行う送信端末の電極をサドル部,受信端末をハンドル部に設け,電極と人体,人体と車体との静電容量の関係,すなわち,人体と車体との静電結合に対し,人体と端末の電極との静電結合がより大きくなるような電極の形状および配置を考慮した構成とした.本システムは人体通信によって煩雑な配線を排除することが可能となることと,準静電界を利用したことにより,人体表皮と電極への非接触通信が可能という特徴がある.
著者
神田 鉄平 前田 憲孝 井口 亜弥乃 柴田 和紀 野村 千晴 山本 達也 村尾 信義 加計 悟 古本 佳代 古川 敏紀
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6, 2013-04-10 (Released:2013-05-17)
参考文献数
9

肥満はイヌやネコにおいて一般的な健康問題のひとつである。肥満を予防、あるいはコントロールするには、体脂肪の評価を正しく行うことが必須となる。しかしながら、これまで広く用いられているBCS評価法は、観察と触感のみに基づき主観的になりがちである。そこで、BCSによる体脂肪の評価が客観性を担保した適切な方法であるかを確認すべく、我々はイヌにおけるCT撮影によって得られた体脂肪評価とBCSによる評価に相関が認められるかを検討した。実験には体重が2.6から29.3 kgまでの8犬種15頭のイヌを用いた。「アメリカ動物病院協会 栄養評価 犬・猫に関するガイドライン」に従い、9および5段階によるBCS評価(9段階BCS、5段階BCS)を行い、CT撮影により得られたL3およびL5レベルの断層画像から-135/-105HUの範囲を脂肪組織とみなした。体脂肪面積/体幹面積比はL5レベルにおいて、9段階BCSと中等度の相関を示した。また、9段階BCSはL5レベルでは、腹腔脂肪面積/体幹面積比とも中等度の相関を示した。つまり、イヌにおいて9段階BCSはCT撮影により得られた体脂肪評価との相関を示す結果となった。本研究結果は、BCS9がイヌの体脂肪評価法方法として比較的客観的であり、かつ適切であることを支持するものである。