著者
加藤 肇 真山 滋志 関根 理江 金沢 英司 泉谷 有香 ウラシマ アルフレド S. 久能 均
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.175-185, 1994-04-25
被引用文献数
2

いもち病菌には, 従来知られていた洋梨型の分生子と同時に, 小型の分生子を形成する菌株がある。気中菌糸に単独または数個が順次分岐してフィアライドを形成する。フィアライドは淡褐色, 花瓶状, 基部は球形ないし楕円球形, 先端部は一端くびれ細くなってから外側に開いてカラー状 (corallette) を呈する。一細胞, 厚膜で基部に隔膜があり, 長さ5.9〜12.5 (平均8.9)μm, 幅3.3〜7.2 (平均4.5)μmである。小型分生子はカラー内の先端の細胞で分化し, 続く小型分生子は別の分岐場所から分化してくる。最初先端の丸い根棒状である。フィアライドの先端部に分化してきた数個の小型分生子が球状の塊を形成する。粘液に包まれた様相を呈する場合もある。個々の分生子はそのまま生長を続け, 新月状になる。細胞壁は薄く, 一細胞からなり, 長さ5〜8 (平均6)μm, 幅0.5〜0.8 (平均0.7)μm, 一核を有する。形成に光は無関係であり, オートミール培地, ジャガイモ煎汁培地は有効であるが, ツァペック培地, ザックス培地は無効である。25℃で移植1日目から形成が始まり交配能力の有る菌株, 特に両性株に多く, 交配型には関係なく, 雌雄性との関係は不明である。シコクビエ (日本, インド, ネパール, ウガンダ産) イネ (ギネア, インド産), コムギ (ブラジル産), Oryza longistaminata (コートジボアール産), クリーピングシグナルグラス(ブラジル産), メヒシバ属 (日本, ブラジル産), レーマンラブグラス (以下日本産), ナルコビエ, ヌカキビからの分離菌株に広く形成された。交配能力のある菌株で形成されないものもある。
著者
林 友直 横山 幸嗣 井上 浩三郎 橋本 正之 河端 征彦 大西 晃 大島 勉 加藤 輝雄 瀬尾 基治 日高 正規
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141-171, 1991-06

M-3SII型ロケットでは, M-3S型と異なり, 新たに装備されたサブブースタSB-735の性能計測等のために, サブブースタにテレメータ送信機を搭載した。また, サブブースタの分離状況を画像伝送するため第2段計器部に画像伝送用テレメータ送信機を搭載し, さらに3号機では新たに開発された第3段モータの性能計測のために, 第3段計器部を設けてテレメータ送信機を搭載する等の大幅なシステム変更がなされている。搭載テレメータ送信機で新規に開発されたのは, 画像伝送用テレメータ送信機で, M-3SII型ロケットの試験機であるST-735ロケットで予備試験を行い, 地上追尾系を含めて総合的に性能の確認を行ったのち, M-3SII型1号機から本格的に搭載された。地上系では, 第2段モータの燃焼ガスが通信回線に大きな障害をもたらす等の問題が生じ, 2号機から高利得の18mパラボラアンテナを使用し, 従来の高利得16素子アンテナに対する冗長系を構成した。また, 第3段目の機体振動計測データ等を伝送していた900MHz帯テレメータは3号機から送信周波数がS帯へ変更されたのに伴い, 地上受信アンテナとしてはこれまで使用していた3mφパラボラアンテナをやめ衛星追跡用10mφパラボラアンテナを使用する事となった。データ処理系では, 計算機によるデータ処理が本格化し, 姿勢制御系, 計測系, テレメータ系のデータ処理のほか, 従来のACOSやRS系へのデータ伝送に加えM管制室へもデータ伝送が出来るようになった。コマンド系では, 1∿2号機は従来と同様であるが, 3号機から第1段の制御項目等を増やす必要からトーン周波数を増し, コマンド項目を3項目から6項目にし, さらに操作上の安全性を向上させた。集中電源は, 充電効率や管理の点等から見直しをはかり, 従来M-3S型で用いられていた酸化銀亜鉛蓄電池に替わりニッケルカドミウム蓄電池が使用されるようになった。
著者
加藤 博一 森長 健太郎 橘 啓八郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.227, pp.29-34, 2001-07-19

本報告では, 我々の開発した拡張現実感技術を用いたビデオ会議システムを紹介し, その有効性に関する評価実験について述べる.拡張現実感環境にいる会議参加者は, 実世界中の紙製のカードの上に会話相手のビデオ映像を見ることができる.また, カメラで撮影された矩形のビデオ映像はそのまま表示されるのではなく, 背景が除去された映像が表示される.これを仮想モニタと呼んでいるが, それは自由に移動させることができ, それにより会話を円滑に行うための空間的手がかりが利用可能となると考えた.評価実験の結果からは, ヘッドマウントディスプレイを装着する影響で目が覆われるという問題があるにもかかわらず, ビデオ映像が効果的に機能していることがわかった.
著者
加藤 盛夫 今井 勝
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.253-259, 1996-06-05

食用カンナの高生産力を解明するための基礎として, 葉面積の形成と個葉光合成速度の葉齢および個体の生育に伴う変化を明らかにするため, 0.5m×1m(群落状態)および3m×3m(孤立状態)の栽植密度下で4月下旬から11月中旬まで筑波大学の実験圃場で栽培を行った. 食用カンナは生育中期には6-9日間隔で大型の葉身を展開するため, LAIが7になる7月下旬, 9になる8月中旬には, 上位4葉までの葉身で全葉面積の約70%を占めていた. 個葉の最大光合成速度は19.1μmol m^<-2>s^<-1>(6月9日)であったが, 生育が進むにつれて低下する傾向があった. 個体群の下位葉では葉面積指数の拡大する7月以降になると主に相互遮蔽により光合成速度は急激に低下した. 上位展開葉の光合成速度は1,000μmol m^<-2>S^<-1>PPFD以上の光強度でも光飽和しなかった. 葉冠内の葉面積構成及び各葉位の光合成速度から判断して, 食用カンナ個体群では生育中期以降, 上位4葉が乾物生産に大きな貢献をしていることが窺われた.
著者
二山 拓也 藤田 憲浩 常盤 直哉 進藤 佳彦 枝広 俊昭 亀井 輝彦 那須 弘明 岩井 信 加藤 光司 福田 康之 金川 直晃 安彦 尚文 松本 雅英 姫野 敏彦 橋本 寿文 劉 逸青 Chivongodze Hardwell 堺 学 丁 虹 竹内 義昭 梶村 則文 梶谷 泰之 櫻井 清史 柳平 康輔 鈴木 俊宏 並木 裕子 藤村 朋史 丸山 徹 渡辺 寿治 原 毅彦 大島 成夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.39-42, 2009-04-06

32nmCMOS製造プロセスを用いて3ビット/セルの多値技術を持った32GビットのNANDフラッシュメモリを開発した。微細化と3ビット/セル技術の導入により、チップサイズ113mm2を実現した。プレスリリースされている32GビットNANDフラッシュとしては世界最小かつ最高密度であり、マイクロSDカードに実装できるNANDフラッシュメモリとしては世界最大容量を実現した。本発表では、最近のNANDフラッシュメモリの技術動向に関してもあわせて紹介する。
著者
加藤 耕一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.600, pp.211-216, 2006

This paper tries to reinterpret the text of Abbot Suger in terms of "colonne en delit" and "colonnette en delit". About "colonne en delit", Suger wrote three times, and he strictly distinguished the word "column (columna)" from "pier (fundamentum)" in his writings. About "colonnette en delit", he wrote nothing but one anecdote. In his anecdote about the tempest, Suger's words "podium" and "suffragia" have been translated as "scaffolding" and "centering" so far, but this paper reveals that the words could be undoubtedly interpreted as "colonnette en delit".
著者
佐々木 全 加藤 義男 SASAKI Zen KATOU Yoshio
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.9, pp.175-190, 2010

高機能広汎性発達障害を含む,いわゆる発達障害のある児者に対する教育や福祉の制度による支援は,充実・発展に向かいつつも,開発の途上にあると思われる.そこにインフォーマルな支援グループが力を発揮する余地がある.その活動分野に関する一例として,放課後・休日活動の提供と支援があるだろう(佐々木,加藤 2007)1). 障害のある児の放課後・休日活動については,一般的にも関心が高まっており,文部科学省委託による調査や研究実践の報告がなされており,今後の開発・普及と拡充が望まれる分野といえる(例えば,NPO法人大塚クラブ,2008 2); 東京学芸大学特別支援教育研究会,2009 3)). 岩手県内では,いわゆる発達障害のある児童に特化した「通所支援教室」が療育を志向しつつはじまり,近年に至り放課後・休日活動を志向するようになった.その先駆けであり, 年以来取組まれている「なずな教室」では,ソーシャルスキルやアカデミックスキルの習得を志向した時期(例えば,佐々木,2000)4);佐々木,2002)5)があったが,近年は放課後活動を志向している(例えば,森山,2008)6)筆者らが1998年以来取組んでいる「エブリ教室」は, 高機能広汎性発達障害(知的障害のない自閉症,アスペルガー障害,特定不能の広汎性発達障害を包括する概念)のある小学生を対象とし,月一回第4土曜日に開催の取組みであるが,ここでも近年は休日活動の充実を志向し始めた.すなわち,エブリ教室では,参加児童にとっての豊かな休日活動をねがう.ここでいう豊かさとは,参加児童にとっての自己実現であり,自立的・主体的な活動の実現である.その実現に向けた実践的課題として,佐々木,加藤(2008a 7))は,以下を指摘している.すなわち,①中心活動(単元化された活動内容)に沿った「一人一人のための支援計画(通称,IEP)」の作成と活用のあり方に関する検討,②ねがいの実現と支援方法の機能の関係性の分析,である.なお,「単元化」とは一定期間同一内容の活動をテーマとして取組む展開方法である.エブリ教室の実践においては,これら①,②を活動の留意点とし,活動計画及び実践とその記録・評価に反映している.
著者
馬渕 充啓 小沢 健史 高田 真吾 豊岡 拓 松井 慧悟 佐藤 聡 新城 靖 加藤 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.179-184, 2009-02-26

組織外部の利用者が持ち込んだPCを用いて組織のネットワークを利用することを許可する場合,利用者の利便性を向上させることと管理者による管理コストを低減することを同時に実現することは非常に難しい.従来の手法では,管理者は,利用者を特定するために利用者登録を行う必要がある.これらの管理作業は管理者しか行うことができないため,管理者が不在の場合に利用許可を得ることができないという問題がある.我々は,この問題を解決するために,利用者に対して利用許可を発行するための管理権限を,管理者から組織内部の利用者へ委譲することを可能にするアクセス制御メカニズム(CaNector)を提案する.提案手法では,管理権限委譲を実現するためにケーパビリティに基づくアクセス制御を用いている.CaNectorに対する全ての操作はWebブラウザから行うことが可能であり,利用者は特別なソフトウェアのインストール等を行うことなく持ち込みPCを用いてネットワークを利用することが可能である.この論文では,CaNectorを筑波大学システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻所属のソフトウェア研究室においてテスト運用した結果について報告する.
著者
宮森 恒 赤峯享 加藤 義清 兼 岩憲 角 薫 乾 健太郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.76, pp.103-108, 2007-07-25
被引用文献数
2

本稿では、情報の信頼性を自然言語処理に基づいて分析する際に必要となる評価用データおよびプロトタイプシステム WISDOM について述べる。われわれは、ウェブ上のテキストを主な対象として、情報信頼性を分析することを目指したプロジェクトを 2006年 4月より進めている。本プロジェクトでは、ウェブ上の情報の信頼性を、情報内容、情報発信者、情報外観、社会的評価といった4つの基準で捉えることを提案しており、これらを述語項構造を単位とする自然言語処理によって論理的に分析・組織化することを目指している。本稿で述べる評価用データは、これら種々の分析処理の学習・検証用データとして構築されたものであり、時事問題、医療問題等の 20 トピックを選定し、各 100 ウェブページを収集して、各評価尺度のデータを人手で付与したものである。また、情報信頼性を多角的に評価するプロトタイプシステム WISDOM を開発した。本システムを用いて上記評価尺度で条件を様々に変化させて情報閲覧することにより、興味のトピックについて、信頼できる情報をより確実に見極めることができるようになる。Evaluation data and a prototype system named WISDOM used for analyzing information credibility based on natural language processing are described. Our group started the Information Credibility Criteria project in April, 2006, mainly to analyze the credibility of information (text) on the Web. The project proposes to capture information credibility based on four criteria (content, sender, appearance, and social valuation) and aims to analyze and organize them logically using natural language processing based on predicate argument structure. The evaluation data were developed as learning and verifying data for these various analysis modules, and were composed of manually-annotated data based on each evaluation criteria about pre-selected 20 topics such as current events and medical issues with 100 pages per topic being collected from the Web . The prototype system WISDOM was developed to provide information credibility from different perspectives. Users will be able to find credible information more reliably by browsing information using different evaluation criteria and conditions provided by the system.
著者
梅尾 寛之 水頭 一壽 武田 瑛 加藤 真平 山崎 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.464, pp.55-60, 2009-02-26

リアルタイム処理用プロセッサResponsive Multithreaded Processorは,スレッド数が8スレッド以内であればコンテキストスイッチを行わずに優先度順に同時実行可能なRMT実行機構を持つ.しかしながら,9スレッド以上を実行する場合,ソフトウェアスケジューラによってコンテキストスイッチを行わなければならない.また周期タスクのリリースの為にはソフトウェアスケジューラを定期的に呼び出し,リリース時間をチェックしなければならない.本論文では,RMT Processorを対象としたハードウェアによるスレッドスケジューリング機構の設計と実装について述べる.本スレッドスケジューリング機構では,RMT ProcessorのプロセッシングコアであるRMT PUが全スレッドの周期を保持し,周期スレッドをハードウェアで起床させる.更に,コンテキストキャッシュ内のスレッドと実行スレッドを比較し,ハードウェアでコンテキストスイッチを行う.本スレッドスケジューリング機構によってソフトウェアによるスケジューリングを不要とし,スケジューリングオーバヘッドを大幅に削減する.
著者
加藤 延夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学史紀要 (ISSN:09155848)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.90-93, 1996-03

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
梅尾 寛之 水頭 一壽 武田 瑛 加藤 真平 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.55-60, 2009-02-26

リアルタイム処理用プロセッサ Responsive Multithreaded Processor は,スレッド数が 8 スレッド以内であればコンテキストスイッチを行わずに優先度順に同時実行可能な RMT 実行機構を持つ.しかしながら,9 スレッド以上を実行する場合,ソフトウェアスケジューラによってコンテキストスイッチを行わなければならない.また周期タスクのリリースの為にはソフトウェアスケジューラを定期的に呼び出し,リリース時間をチェックしなければならない.本論文では,RMT Processor を対象としたハードウェアによるスレッドスケジューリング機構の設計と実装について述べる.本スレッドスケジューリング機構では,RMT Processor のプロセッシングコアである RMT PUが全スレッドの周期を保持し,周期スレッドをハードウェアで起床させる.更に,コンテキストキャッシュ内のスレッドと実行スレッドを比較し,ハードウェアでコンテキストスイッチを行う.本スレッドスケジューリング機構によってソフトウェアによるスケジューリングを不要とし,スケジューリングオーバヘットを大幅に削減するResponsive Multithreaded Processor for real-time processing can execute eight threads simultaneously in priority order without context switching. When over nine threads are executed, context switching is required. A real-time scheduler should be called periodically and release times of all tasks are checked. This paper proposes thread scheduling scheme for RMT Processor. RMT PU, which is processing core of RMT processor, holds the periods of all threads and starts threads by hardware without periodic calls of the scheduler. In addition, threads in context cache are compared with threads in execution, and context switching will be realized by hardware. Our thread scheduling scheme reduces scheduling overheads so that traditional software scheduling can be unnecessary.