著者
山田 奨治 梅田 三千雄 川口 洋 柴山 守 加藤 寧 石谷 康人
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、つぎのような成果を得ることができた。1.古文書文字認識手法の基礎的研究古文書文字に特有な文字認識機能と文字切り出し方法について検討した。限定された文字種のデータに対して既存の日本語手書き文字認識技術を適用し、95%を超える認識率が得られることを確認すると同時に、文字切り出し及び正規化に関して新しい手法を開発した。2.古文書文字認識研究のためのデータベース作成古文書文字認識研究を推進するための、25万字に及ぶ古文書文字データベースを完成させ、その一部をすでに公開している。3.古文書解読支援システムのユーザインタフェースの開発古文書解読知識を利用した証文類の翻刻支援システムと古文書翻刻支援のための電子辞書のプロトタイプを実装した。前者はn-gram情報を使って不明文字の正解候補を提示するシステムで、利用試験の結果、その有用性が確認された。後者のプロトタイプには2種類ある。第1は、文字コードからくずし字を検索し、さらに例示された文字と類字した文字をオンラインとオフラインの文字認識技術の応用により検索する機能を持っている。第2のプロトタイプは、タブレット入力された文字と外形が似たくずし字をオフライン文字認識によって検索する機能を持っている。
著者
加藤 尚斗 新谷 和也 吉田 周平 山口 洋平 本田 行佑 山田 健一 長谷川 誠 石田 宏司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集
巻号頁・発行日
no.22, pp.132-133, 2005-08-06

平成16年度採択の文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に基づくプロジェクトとして、学生グループが考案・開発した「空の青さと夕焼け」と題する実験授業の内容及びそこで使用した実験教材を紹介する。アクリル板を組み合わせて製作した簡易水槽の中に様々な水溶液を入れ、これにLED単色光や懐中電灯の光をあてて、色による到達距離の違い(散乱度合いの差)や液体の色の見え方の変化を観察し、それらを通じて日中の空が青く見える理由や夕焼けが赤く見える理由を小学生に理解してもらうことを目的としている。これらは、小学5・6年生の総合的な学書の時間で、実際に演示した。実験に使用する水溶液としては、日常生活の中で箇単に入手可能なものを使用することで、再現実験が容易に実施できるようにした。また、実験の効果を増す目的で、きれいな夕焼け色を実現するために適した水溶液濃度と水槽長さとの関係を調べた。
著者
長田 謙一 木村 理恵子 椎原 伸博 佐藤 道信 山本 和弘 楠見 清 山崎 明子 加藤 薫 木田 拓也 熊倉 純子 藤川 哲 鴻野 わか菜 後小路 雅弘 水越 伸 山口 祥平 毛利 嘉孝 森 司 暮沢 剛巳 神野 真吾 竹中 悠美
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、個別研究およびその総合を通して、以下の知見を獲得するに至った。近代社会において「自律性」を有する独自システムを形成したと理解されてきた芸術は、1980年代以降、アジア諸国、ロシア・旧東欧圏、そしてアフリカまでをも包含して成立する「グローバル・アートワールド」を成立させ、それは非西洋圏に進む「ビエンナーレ現象」に象徴される。今や芸術は、グローバル経済進捗に導かれグローバル/ローカルな政治に支えられて、経済・政治との相互分立的境界を溶解させ、諸領域相互溶融的な性格を強めている。しかし、それゆえにまた、現代の芸術は、それ自体が政治的・経済的等々の社会性格を顕在化させることともなる。
著者
松田 岳士 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、大学生が科目を選択する際に必要となる情報を提供することを目的に、教学IRデータと学生の自己管理学習(SDL)レディネスを用いて科目選択の支援を可能にするシステムを開発し、評価したものである。開発したシステムには、SDLレディネスに関するアンケートの結果・授業で求められるSDLレディネスとのマッチング・同じ授業の過去の成績分布・単位取得確率などが表示される。学生からの評価の結果、各画面で示した情報は、おおむね科目選択に役立つと受け止められたが、表示内容・インターフェースともに改善の余地が指摘された。
著者
加藤 祐介
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.1901-1922, 2012-11-20

This article analyses the relationship between the Minsei party's policy advocating a return to the gold standard and the activities of the party's rank and file, focusing in particular on a political leadership faced with balancing two different demands imposed on it: 1) achieving its policy objective and 2) generating the political strength to keep it in power. By adopting this perspective, the author aims to coherently explain the political situation of the time, by dividing the policy-making process into the four phases of policy formation, development, modification, and ultimate abandonment, centering his attention on the "modification" stage and the role of political leadership in it. There were Minsei party members who were sympathetic to requests from their provincial branches to advocate budgetary measures for expanding public utility projects. However, the Hamaguchi Osachi cabinet's objective was to implement a strict policy of retrenchment centered around cutting or postponing public works projects, resulting in tension arising between the government and its own party's machine. It was Minister of Home Affairs Adachi Kenzo who tried to reconcile the two sides, by increasing the budget for unemployment relief projects ("exceptional" public works) by reclassifying a portion of the "normal" public works projects that had been cut as relief efforts. This is what the author means by the "modification" stage of the policymaking process. Adachi by no means unconditionally acceded to the demands of his party's rank and file, but rather stayed in line with the government's principle of cutting and postponing "normal" public works projects, which was the key measure to the success of retrenchment. In his attempt to balance government principles with the political demands of his party, Adachi resorted to the idea of a return to the gold standard in the two-fold mandate of 1) achieving policy objectives (retrenchment) while at the same 2) preserving his party's strength and loyalty (through more public works projects). In the end, due to Great Britain's international renunciation of the gold standard and the chaotic stalemate over passing the domestic budget for fiscal year 1932, Adachi removed himself as a leading figure in the government, resulting in the failure of his attempt.
著者
三日市 政司 加藤 滋 西塚 典生 高橋 章 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.93, no.280, pp.79-84, 1993-10-21

直線状アンテナにパルスを給電した場合、終電点およびアンテナ素子の先端からパルスが放射される。従って放射電磁界はパルスの幅およびパルスの大きさの両面の考察が必要である。本論は特に、アンテナの素子軸方向の放射特性につき考察を行った。
著者
岡部 万喜 佐藤 啓造 藤城 雅也 入戸野 晋 加藤 礼 石津 みゑ子 小渕 律子 福地 麗 大宮 信哉 李 暁鵬 九島 巳樹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.190-210, 2014 (Released:2014-09-27)
参考文献数
25

近年,医療事故訴訟が絶対数の増加にとどまらず,相対的にも増加している.しかし,どのような事例で刑事責任を問われ,あるいは民事訴訟を提起されるかを,実際の裁判例と医療死亡事故解剖例の両面から分析した報告はみられない.本研究では医療訴訟が提起される確率の高い,医療死亡事故と重い後遺障害が残った事例の判例を分析するとともに,法医学講座で扱われた医療関連死の解剖12例を分析することにより,どのような事例で刑事責任を問われるか,あるいは高額な損害賠償を命じられるか,もしくは低額の慰謝料の支払いにとどまるか,さらに,まったく責任を問われないか,裁判と解剖の実際例の分析をもとに同種の事故発生および訴訟提起を予防することに重点を置いて検討した.その結果,まず判例の分析から,診療を拒否すると民事責任を問われる可能性があること,患者本人に詳細な病状説明が困難な,たとえば末期がんの事例では家族への説明義務を果たさないと民事責任を問われること,昭和末期から平成10年代にかけ癌の告知が家族主体から本人主体へと移行し,時代の変化に対応した告知を行わないと民事責任を問われること,その時点での医療水準に適った医療を行わないと民事責任を問われること,治療に際し,患者は医師に協力しないと損害賠償・慰謝料の支払いを受けられないこと,医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在が証明されなくても,医療水準に適った医療が行われていれば,患者がその死亡の時点で,なお生存していた可能性が証明されるときは医師が不法行為による損害を賠償する責任を負うこと,看護師の薬物誤認が原因の過誤であっても指示した医師も民事責任を問われる可能性のあること,医師の指示自体が誤っていても,それを医師に確認せず,そのまま処置をした看護師にも民事責任が問われること,医療過誤刑事裁判では「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の鉄則が適用されず,被告の過失というより医療機関の設備や医療システムの問題が主因の場合でも直接,医療行為に当たった医師,看護師が刑事処罰される危険性があること,重大な過誤の場合,主治医だけでなく,指導医,さらに診療科長まで刑事処罰される危険性があることなどが明らかとなった.次に,解剖例の分析から,事故および訴訟の予防対策として,医師は看護師から要請があったら必ず真摯に診察すること,医師は常に患者の急変の可能性を念頭におくこと,看護師も患者の病状を常に念頭に置き,当直医に連絡して診察がないときは主治医まで連絡すること,医師は必要でない治療を行わないこと,医師は自分の専門領域の疾患だけにとらわれず,患者の全身,心の中まで診ること,腹痛や頭痛を訴える患者には医師も看護師も特に慎重に対応することなどが挙げられた.以上の結果から,民事訴訟の発生を防ぐには,医師や看護師らの医療従事者は至誠一貫の精神のもと,常に患者および家族に対して誠実に対応するとともに,医療従事者間の壁を取り除き,チーム医療によるダブルチェックシステムを構築することが肝要であると考えられる.
著者
加藤 秀起 津坂 昌利 小山 修司 前越 久
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.615-623, 1998
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

An x-ray spectrum measured by a semiconductor detector is different from the incident x-ray spectrum to the detector, because of distortions caused by energy-dependent responses of the detector and statistical and electrical fluctuations in the signal amplifying process. In this paper, we discuss a method for correcting the statistical and electrical fluctuations of the x-ray spectrum, using the unfolding method with a function based on the Gaussian distribution. Unfolding the measured x-ray spectrum by this method, K-α and K-β characteristic x-rays were clearly separated into two line spectra, and energy resolution was improved. The unfolding method, when used to supplement the stripping method that is generally applied to x-ray spectra correction, will provide enhanced correction of x-ray spectra.
著者
半沢 康 武田 拓 加藤 正信 小林 初夫 本多 真史
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

同一のインフォーマントに同じ方言調査を繰り返し実施した場合,その調査結果はどの程度安定するのだろうか。本研究は方言調査データの「信頼性」(調査データがどの程度安定するのか)を明らかにすることを目的とする。宮城県角田市と伊具郡丸森町および福島県田村郡小野町において実験的調査を実施し,方言調査データの信頼性を把握した。伊具地方の調査では,多くの項目の安定性(2回の調査の一致度)は80%程度との結果が得られた。他のデータについても今後も分析を進め,結果を公表する予定である。
著者
加藤 祥子
出版者
愛知教育大学家政教育講座
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-14, 2010-03-31

3,4,5,6,9,11ページを修正して差し替え(2011/01/25)9,11ページを修正して差し替え(2011/10/03)7,9,10,11,12ページを修正して差し替え(2016/04/15)
著者
増田 弘 佐藤 晋 加藤 陽子 加藤 聖文 浜井 和史 永島 広紀 大澤 武司 竹野 学
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

平成21年度から23年度に至る3力年の研究の具体的成果は、本年9月に慶応義塾大学出版会より刊行が予定されている増田弘編『大日本帝国の崩壊と復員・引揚』にある。本書は、日本が第二次世界大戦に敗北したことで生じた帝国日本の崩壊過程に関して、外地からの民間人引揚と外地に在った日本軍将兵の復員という視座に立った実証研究であると同時に、東アジアにおける冷戦という新局面との歴史的接合点を解明しようとする試論である。
著者
宮崎 仁志 加藤 陽康 加藤 友香里 土山 智之 寺田 久屋
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.151-155, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
2
被引用文献数
7 15

東海地域の一日摂取量に基づいて名古屋市内で食品を購入し,調製したマーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料について,ゲルマニウム半導体検出器付きガンマ線スペクトロメータにより放射性セシウム(Cs)濃度を測定し,被ばく線量を算出した.福島原発事故前の2006年に調製した試料から放射性Csは検出されなかった.事故から5か月後の2011年8月に調製した試料のうち,3群(砂糖,菓子類),8群(その他野菜,海藻,きのこ類)および10群(魚介類)から放射性Csが検出された.1年5か月後の2012年8月に調製した試料では,8群および10群からCs-137のみが検出された.放射性Csによる預託実効線量は,2011年が0.0015 mSv,2012年が0.00016 mSvであった.