著者
青柳 正規 岸本 美緒 馬場 章 吉田 伸之 越塚 登 大木 康 長島 弘明 今村 啓爾 田村 毅
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1999

本研究プログラムは、人文科学の基礎となる「原資料批判の方法論」に関する再評価と情報科学と連携した新たな資料学の構築を目的としている。この目的遂行のために象形文化資料のデジタル画像とその記載データに基づく象形文化アーカイブを構築する一方で、積聚された文書資料による研究を併用し、歴史空間の復元とその解析について、以下のような成果をあげた。A.古代ローマ文化および日本近世文化を中心とした象形文化アーカイブを構築した。特に、ポンペイとローマに関するアーカイブの完成度の高さは、国際的に注目されている。B.アーカイブ構築過程に置いて、その媒介資料となるアナログ写真とデジタル画像の比較研究を行い、資料の色彩表現に関してはアナログ写真が優れていることを明らかにした。C.象形文化資料の記載について、多言語使用の可能性を研究し、複数の言語システムを活用し、成果をあげた。D.稀覯本などの貴重文献資料のデジタル化を行い、資料の復元研究を行った。たとえば、1800年ごろに活躍した版画家ピラネージの作品をデジタル化し、そこに表された情景を現代と比較し、新古典主義の特質を明らかにした。E.こうした象形文化アーカイブを活用し、共時的研究を行った。特にポンペイに関するアーカイブ構築によりポンペイ遺跡内における地域的特徴を明確にし、新たな社会構造に言及するまでに至った。F.日本近世文化に関しては、回向院周辺の広場的空間復元研究を行った。上記した数々の実績を基礎として、今後も古代ローマに関する象形文化資料を中心とした収集・公開を進め、研究を推進する予定である。このため、現在の研究組織を継続させるのみならず、象形文化研究拠点のハード・ソフトの両面で改善をはかり、国際的な「卓越した研究拠点」として成長させることが期待されよう。
著者
豊島 弘道 並木 脩 林 美代子 市原 健一 小口 茂樹
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.626-626, 1980-07-25

東京女子医科大学学会第46回総会 昭和55年9月27日 東京女子医科大学本部講堂
著者
馬渕 浩司 瀬能 宏 武島 弘彦 中井 克樹 西田 睦
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-12, 2010-04-26

琵琶湖に生息するコイの中には、ユーラシア大陸のコイとはミトコンドリア(mt)DNAの塩基配列で明瞭に異なる個体が存在することが、2005年に明らかにされた。これらの個体が保有するmtDNAは、当初は琵琶湖固有のハプロタイプと考えられたが、その後の研究で、近縁あるいは同じハプロタイプが国内の他の水域からも発見され、現在では、日本在来のハプロタイプ(在来型ハプロタイプ)の一つであると考えられている。在来型ハプロタイプの存在は、「日本のコイはすべて中国から移殖したものである」としたJordan and Fowlerへの強力な反証であり、古琵琶湖層からの咽頭歯化石の発見や、縄文遺跡からの咽頭歯の出土と併せて、日本には有史以前から在来のコイが分布し、現在もそれに由来するコイが生息することの明白な証拠となっている。本研究では、琵琶湖内における在来系統の分布状況を知る第一歩として、湖内の各所から採集された750個体以上のコイについてmtDNAの型判別を行い、各生息場所における在来型、導入型ハプロタイプの出現頻度を調べた。また、2004年に猛威をふるったKHVの在来系統への影響を評価するため、蔓延時に湖岸で斃死していた100個体を超えるコイのmtDNA型判別も行い、上の結果と比較した。
著者
高木 彰彦 遠城 明雄 荒山 正彦 島津 俊之 中島 弘二 山野 正彦 源 昌久 山本 健児 熊谷 圭知 水内 俊雄 久武 哲也 山野 正彦 源 昌久 山本 健兒 熊谷 圭知 水内 俊雄 内田 忠賢 堤 研二 山崎 孝史 大城 直樹 福田 珠己 今里 悟之 加藤 政洋 神田 孝治 野澤 秀樹 森 正人 柴田 陽一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

公共空間と場所アイデンティティの再編について、地理思想史、理論的研究、経験的研究の観点から検討を行った。研究成果として、『空間・社会・地理思想』10(2006)、『空間・社会・地理思想』11(2007)、『空間・社会・地理思想』12(2008)を毎年刊行したほか、英文報告書として『Reorganization of public spaces and identity of place in the time of globalization : Japanese contribution to the history of geographical thought(10)』(2009)を刊行した。
著者
三河 一夫 上島 弘嗣 犬塚 勉 立澤 惇 相模 嘉夫
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.314-319, 1992-12-15

貧血や肝障害がなく比較的栄養状態が良好な場合でも,飲酒者では何らかの機序を介して平均赤血球容積(MCV)が増大することがこれまでの研究報告より知られている。一方,MCVの増大に喫煙が関与しているとする報告もある。そこで本研究では、大同生命大阪診療所の成人病検診を受診した35歳以上の男子255名の成績を基に,飲酒と関係の深いγ-GTPをMCVと対比させつつ,喫煙習慣を考慮のうえMCVと飲酒の関連について検討した。分析の結果,喫煙習慣を考慮してもなお,飲酒はMCVと有意な正の関連を示した。貧血や肝機能障害がないにもかかわらず,一日当たり日本酒換算で2合以上の多量飲酒者では,ほとんど飲酒しない者に比べて喫煙の有無を問わずMCVが有意に大きかった。また,MCVはγ-GTPに劣らず飲酒と強く関連していた。以上より,断面的調査の範囲内ではあるが,飲酒の指標としてのMCVの有用性が示唆された。
著者
宮崎 知 坂本 嗣郎 桑田 圭司 山崎 芳郎 山崎 元 森本 芳和 貴島 弘樹 種村 匡弘 宮田 正彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.2003-2008, 1993-07-01
被引用文献数
9

過去5年間に上部消化器造影を施行した12,321例を対象とし, 十二指腸憩室の発見頻度, 部位ならびに個数を検討した. また同5年間の良性胆道疾患手術症例467例につき傍乳頭憩室の合併頻度, 憩室径, 胆管径ならびに結石の種類を検討した. 十二指腸憩室の発生頻度は男性4.9%, 女性9.1%であり, 加齢とともに増加した. 憩室の92.2%は十二指腸第II部に存在し, 単発例が95.6%であった. 胆道疾患別の憩室合併頻度は胆嚢ポリープ15.7%, 胆嚢結石15.8%, 胆管結石45.2%, 再発結石87.5%であり, 胆管結石症例は胆嚢結石症例に比べ有意に高かった. 憩室径では胆管結石ならびにレンメル症候群は胆嚢ポリープ症例に比べ有意に大であった. 憩室径 20mm 以上の症例は, 10mm 未満に比べ総胆管径が有意に大であった. 胆管結石症例では憩室合併群は非合併群に比べ色素系結石の頻度が有意に大であった. 以上の成績より傍乳頭憩室 (とくに憩室径が 20mm 以上) は胆汁流出障害, 胆管結石の生成に関与することが推察された.
著者
島 弘 シマ ヒロム
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.1-25, 1954-07-15

研究
著者
飯島 弘
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.10-19, 1962-04-30

Kawamata Dam is a very slender type arch dam 120m high. The left bank of this dam have many problems for the supporting foundation of arch dam. They are poor topography and grography and groups of fault or seam. Transmitting wall of arch thrust and rock pre-stressing system are wost important treatments of this bank. This paper reports on the process of these foundation treatments from the most primitive idea to the latest design. All geological data which is gained through the investigations and mode tests are translated to mechanical data and they introduced us to the above plan.
著者
岡村 智教 上島 弘嗣 門脇 崇 森山 ゆり
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

勤務者男性約250人の上下肢血圧比(ABI)、上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。同時に血中の直接的・間接的抗酸化ビタミンであるα-トコフェロール、葉酸、ビタミンB12、炎症反応指標であるCRP(C反応性蛋白)、喫煙や飲酒などの生活習慣を測定し、ABI、baPWVとの関連を検討した。各血液検査指標の平均値は、α-トコフェロール;38.9μmol/、葉酸;15.4nmol/L、ビタミンB12;295pmol/L、CRP(geometric mean);0.47mg/Lであった。下肢の動脈閉塞症が示唆されるABI0.9未満の者は3名に過ぎず統計学的な解析は不可能であった。baPWVは年齢によって大きな差があるため、対象者のうち50歳代で循環器疾患の既往歴がなく、ABIが正常かつCRPの上昇を伴う急性・慢性炎症を持つ者を除外した178名を解析対象とした。baPWVの平均値は1468cm/sec(標準偏差;221)であり、単変量解析では、年齢、CRP、収縮期と拡張期の血圧値、心拍数、空腹時血糖値がPWVと有意な正の関連を示し、逆に血清脂質、BMI、葉酸、ビタミンB12、α-トコフェロール、喫煙、飲酒は関連を示さなかった。線形重回帰分析で危険因子相互の関連を調整すると、年齢、血圧値(収縮期または拡張期)、心拍数、CRPのみがbaPWVと有意な正の関連を示した。共分散分析で他の危険因子を調整した場合、CRP四分位別のbaPWVは、1431、1436、1507、1508cm/secであった。baPWVの増加は大動脈の早期の動脈硬化性病変の存在を示唆していると考えられるため、CRPの測定は動脈硬化の早期発見に有用と考えられた。一方、抗酸化ビタミンはbaPWVとは関連せず、より進行した動脈硬化プラークの形成抑制等に関連している可能性がある。
著者
長島 弘明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

3年間にわたる研究の最終年として以下の知見を得、また上田秋成の作品の新目録や秋成の新年譜、新出の資料等を、成果報告書にまとめた。1.秋成の和歌については、これまた新出の『毎月集』(二本)を、従来知られる断簡類と詳細に比較し、自撰歌集『藤簍冊子』以後の、晩年の歌風を明らかにした。2.狂歌については、『海道狂歌合』の現存する全ての稿本、および多数の版本を調査し、諸稿の成立順を明らかにした。また、試みに、序跋を含む『海道狂歌合』の校本を作成し、秋成の狂歌や文章の推敲時における様々な特徴を明らかにした。3.俳諧については、俳諧活動を年次順に整理し、秋成と当時の俳壇との関係を考察した。その結果、若い頃は都市風の俳諧グループと関係が深く、特に小野紹廉やその門人たちとはもっとも深い交流を結んでいること、また、中年期の、蕪村およびその門人たちとの交友が、画賛制作に手を染める大きな契機となっていることを明らかにした。4.随筆については、晩年の一見国学的著述と見られる『神代がたり』が、晩年の秋成の意識に即す限り、国学研究書ではなく、歴史随想とでも呼ぶべきものであることを『胆大小心録』等との比較を通じて明らかにした。5.伝記に関しては、秋成の書簡を網羅的に収集・検討し、それぞれの書簡の年次を考証して明らかにするとともに、今まで書簡の年次が未詳であったために年譜に記載できなかった事項を、相当数、年譜に書き加えることができた。また、最晩年の山口素絢あて書簡2通を新たに発見し、晩年の転居の理由を知ることができた。
著者
河島 弘美 土谷 直人 牧野 陽子 劉 岸偉 橋本 順光 平川 祐弘 土谷 直人 牧野 陽子 劉 岸偉 橋本 順光 平川 祐弘
出版者
東洋学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

異文化理解と偏見のあらわれた具体的なケースについて、各研究者がそれぞれ考察した。その対象は、ハーンを中心にウェーリー、シュレイデル、周作人、新渡戸稲造、モース、リーチ、柳宗悦、ピアソン等、多岐にわたるものである。そして、異文化体験には西洋と非西洋の関係にとどまらない様々の場合があり、理解と偏見の諸相は個人の問題であると同時に文化的社会的背景の影響が大きく深いという事実立証された。
著者
長島 弘明 増保 安彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.49-54, 2010-01-01 (Released:2010-01-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

Monoclonal antibodies are being used as therapeutics for a number of cancers, such as leukemia, breast and colon cancers, and a lot of monoclonal antibodies specific for tumor-related antigens have been on clinical trials. Antibody-dependent cellular cytotoxicity (ADCC) is one of the major mechanisms by which antibodies exert anti-tumor effects. ADCC occurs through interaction between the Fc domains of IgG antibodies bound to target cells and Fcγ receptors on the surface of effector cells. In our study, a chimeric antibody, designated M-Ab, was constructed with the V regions from mouse anti-CD20 mAb 1F5 and the C regions from human IgG1 and κ chain. Two or three Fc domains were tandemly repeated downstream of the C-terminus of the M-Ab to give D0-Ab (Fc dimer Ab without a linker), T0-Ab (Fc trimer Ab without a linker), and T3-Ab (Fc trimer Ab with a (GGGGS)3 linker in front of the second and third hinge regions). Here, we show that Fc tandem repeat antibodies bind to all the low-affinity Fcγ receptors with very potent avidities and have greatly enhanced ADCC activity. T3-Ab is about 100 times more potent than the parental 1F5 chimeric antibody in terms of both Fcγ receptor binding and exerted ADCC activity at a 50-100 times less concentration as compared with the parental antibody. Thus, Fc tandem repeat antibodies are anticipated to be candidates for anti-tumor therapeutics and useful tools to elucidate the biological roles of Fcγ receptors.