著者
森 茂雄 後藤 眞二 荒井 郁男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.637, pp.33-38, 2001-02-16

震災時に倒壊した家屋や瓦礫に埋もれた生存者を早期に発見するために, 生存者の存在だけでなく存在位置も推定できる一方法を提案する。本方法はパルスドップラ方式のシステムにより, 生存者の呼吸などによる身体のわずかな動きを探知し, 距離を測定する。複数の地点から生存者までの距離を測定し, 生存者の位置を推定するもので, 試作機による実験結果を示す。
著者
後藤 道彦 植松 裕子 斎藤 英雄 仙田 修司 池谷 彰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.28, pp.1-6, 2010-05-06

Augmented Reality(AR)技術を利用した作業支援は,ユーザに対して直感的な支援が可能である.一般に,ARシステムを構築するためには,重畳するコンテンツを用意する必要があり,従来はそのコンテンツを用途に合わせてCGなどで新たに作り出していた.本論文で提案するARシステムでは,そのコンテンツを新たに作るのではなく,既に多く存在しているビデオをお手本となる教師ビデオとして利用し,ユーザの視点に合わせて教師ビデオを変換して重畳表示することで,情報提示を行う.このとき,ユーザの作業と教師ビデオ映像が視覚的に混同しやすい問題を解決するために,教師ビデオに対して透明度変化や輪郭線の強調表示などの様々な加工を施す.また,作業内容に合わせて教師ビデオをいくつかの手順に分割し,ユーザ側の作業が完了してから次の手順へと進めるようなインタラクティブ性を持たせることで,ユーザが各自のペースで作業を行うことのできるシステムとなっている.本システムの有効性を検証するためのユーザ評価実験では,折り紙を折る作業とブロックを配置する作業の2つの状況を想定し,本システムでの教師ビデオの提示方法について評価を行った.その結果,本システムで提案するようにユーザの視点に合わせてビデオを提示することで,ユーザの視認性が向上するということが分かった.また,教師ビデオに施すエフェクトについての評価では,作業内容ごとに適したエフェクトを分類することができ,今後さらに他の作業へと適用する際の指標を得ることができた.
著者
内田 直 宝田 雄大 渡邉 丈夫 宮崎 真 宝田 雄大 後藤 一成 関口 浩文 宮崎 真
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年、国民の健康に対する関心の高まりとともに身体運動への関心も高まっている。しかしながら、このような関心は、身体的な健康が主体となっている。一方で、精神的なあるいは脳の健康も同様に重要であることは疑い。このような、精神的なあるいは脳の健康と、これに対する身体運動の効果についての研究は、いまだ十分に行われているとはいえない。本研究では、身体運動と精神活動あるいは脳活動の関連について焦点をあて、これについて健康科学的な側面から実証的な研究を行った。このような研究は、身体活動と身体の健康に関連した研究に比べると新しいものであり、今後うつ病や認知症予防のための運動療法としての活動につながるものである。研究は、以下の5つのテーマ(方法)によって行った。すなわち(1)身体運動が睡眠に及ぼす影響について、(2).睡眠中の代謝活動についての予備的研究、(3)朝行う身体運動が、その後の認知機能に及ぼす影響について、(4)身体運動と児童の発達の関連について、(5)観察学習の効果とスキルの転移、である。(1) 身体運動が睡眠に及ぼす影響については、二つの実験を行った。昼寝により人工的に作成した不眠状態への運動の影響をみたが、これは大きな影響が観察されなかった。次に睡眠直前に高強度の運動を行わせ、これが睡眠にどのような影響を及ぼすのかを観察した。これまでの研究では、ストレス反応により睡眠が悪化すると言う説があったが、我々の研究では変化無く、悪化は無かった。しかしながら、睡眠中の体温が睡眠中期で運動後運動しないときよりも有意に高いという興味深い結果が得られた。(2) はヒューマンカロリーメータを用いた睡眠中の代謝の連続測定と言う新しい分野の研究であり、今後運動後の代謝の変化など興味がもたれた。(3) 朝の運動については、日常的に行われる健康運動と似たパタンであるが、これが日中の活動にどのように影響を及ぼすのかを見た。しかしながら、結果としては一過性の効果は認められたが、一日の中での変化は無かった。このような運動を習慣的にした場合の影響が今後の課題として残った。(4) 小学生を対象とした研究のまとめが一部完成した段階である。現状では、認知機能のうち、判別と抑制の発達パタンが小学生年代では異なっている可能性が示唆された。(5) 観察学習は、運動学習の一部であるが、観察学習により獲得された手続き記憶は、必ずしも転移しないことが示唆される結果であった。全体として基礎研究と応用研究の両方から成果が得られ、身体運動が脳と心に及ぼす効果の解明と健康科学への応用についての業績がえられた。期間は終了しているが、この結果を国際論文として発表している作業を持続して行っている。
著者
田丸 徳善 石井 研士 後藤 光一郎 孝本 貢 井上 順孝 柳川 啓一 島薗 進 浜田 哲也 金井 新二 ヤン スインゲドー 西山 茂 藤井 健志 林 淳
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

昭和61年度と昭和62年度の二年間にわたり, 現代日本における教団の総合調査を行った. 対象教団は, 神社神道, 仏教教団(浄土真宗本願寺派, 日蓮宗, 臨済宗妙心寺派, 曹洞宗, 真言宗智山派), キリスト教(日本キリスト教団, カトリック)および新宗教教団(金光教, 天理教等)である. これらに関してはできる限り統計処理の可能な資料を収拾し統計分析を行った. これに関しては報告書に掲載されている. また, 地域における教団組織と教勢を把握するために, 銀座と大阪梅田を選び, 都市化の問題をも含めた総合調査を行った. 神社神道は, 既成教団として, 変動がないように考えられてきたが, 内容は大きく変化しているように思われる. とくに都市化が神社神道に及ぼした影響はとくに顕著である. 仏教教団に関しても, 都市と農村の寺院の格差は著しく, 根底から寺院の質を変えようとしている. 都市化が都市と農村の寺院の経済的基盤に変化を与えており, そのことが寺院の世襲化を生む土壌となっている. キリスト教団は, これらに対して比較的変動のない歴史を送っている. そのことは同時に大規模な発展のなかったことをも意味している. 新宗教教団は, 通常の認識では最も変化の激しく, 現代社会に適応した形態をとっていると考えられるが, 実質的にはかなりの程度既成化が進み, 社会的認識との間にはずれがある. この点に関しては, 新宗教教団の詳細な歴史年表を作成することによって, 新宗教教団の歴史的経緯も考察した. 地域研究では, 都市化の顕著な銀座と大阪梅田の比較調査を行うことによって, 各宗教教団の組織的問題を考察した. また, 各教団の製作しているビデオテープを収拾し, 映像に関する考察をも取り入れた.
著者
中野 倫靖 緒方 淳 後藤 真孝 平賀 譲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.41, pp.45-50, 2004-05-07
被引用文献数
1

本稿では,人がドラムの音を真似て口ずさんだ音声(口ドラム)を認識し,それに対応するドラムパターンを検索する手法を提案する.従来,実際のドラム音(楽器音)を対象とした認識は研究されてきたが,口ドラムは研究されていなかった.口ドラム認識では,音質とドラム音表現の両方の個人差への対処が問題となるため,従来のドラム音認識手法は適用できない.そこで本手法では,擬音語を中間形式として採用することでこの問題に対処する.擬音語の各音素を口ドラム音のスペクトル構造へ対応付けるために確率モデルを用い,音質の個人差を吸収する.また,各ドラム音に対応する擬音語の辞書を用意して、表現の個人差に対処する.200発話の口ドラムデータに対して実験した結果,91.5%の認識率を得た.This paper proposes a method of recognizing voice percussion )simulated drum sound by voice) and retrieving the corresponding drum pattern from a database. Although drum sound recognition has been the topic of existing work, there has been no previous attempt that dealt with the problem of voice percussion recognition. This problem is difficult because of individual differences inherent in voice spectrum characteristics and also in how the intended drum sounds are articulated. We solve this problem by utilizing phonemic sequences of onomatopoeia as internal representation. The sequences are estimated from the input power spectrum with a stochastic model, and are flexibly matched with dictionary entries representing typical drum patterns. This two-level scheme is intended to deal with the two types of individual differences mentioned above. In an experiment with 200 utterances of voice percussion, our method achieved a recognition rate of 91.5%.
著者
後藤 博三 嶋田 豊 引網 宏彰 小林 祥泰 山口 修平 松井 龍吉 下手 公一 三潴 忠道 新谷 卓弘 二宮 裕幸 新澤 敦 長坂 和彦 柴原 直利 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.471-476, 2008 (Released:2008-11-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

無症候性脳梗塞患者に対する桂枝茯苓丸を主体とした漢方薬の効果を3年間にわたり前向き研究により検討した。対象は富山大学附属病院ならびに関連病院を受診した無症候性脳梗塞患者93名で男性24名,女性69名,平均年齢70.0±0.8才である。桂枝茯苓丸エキスを1年あたり6カ月以上内服した51名をSK群,漢方薬を内服せずに経過を観察した42名をSC群とし,MRI上明らかな無症候性脳梗塞を認めない高齢者44名,平均年齢70.7±0.7才をNS群とした。3群間において,開始時と3年経過後の改訂版長谷川式痴呆スケール,やる気スコア(apathy scale),自己評価式うつ状態スコア(self-rating depression scale)を比較した。また,SK群とSC群においては自覚症状(頭重感,頭痛,めまい,肩凝り)の経過も比較検討した。その結果,3群間の比較では,自己評価式うつ状態スコアにおいて開始時のSK群とSC群は,NS群に比べて有意にスコアが高かった。しかし,3年経過後にはNS群は開始時に比較し有意に上昇したが,SK群は有意に減少した。さらに無症候性脳梗塞にしばしば合併する自覚症状の頭重感において桂枝茯苓丸は有効であった。以上の結果から,無症候性脳梗塞患者の精神症状と自覚症状に対して桂枝茯苓丸が有効である可能性が示唆された。
著者
阪本 直人 釋 文雄 堤 円香 春田 淳志 後藤 亮平 前野 哲博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.2-8, 2019-03-20 (Released:2019-03-28)
参考文献数
19

目的:健診受診者を対象に,かぜに対する認識の現状と受診信念との関連を明らかにすべく調査した.方法:2012年8月~9月,茨城県X市健診受診者に対し,かぜに対する認識や対処行動について無記名自記式質問紙で調査した.結果:1079名(有効回答率74.5%)が調査対象となり,かぜをひいたら「点滴や注射を受けると早く治る」に75.9%が賛成し,42.0%が「ウイルスが原因のかぜは抗生物質が効かない」に反対した.また,同項目で28.6%が「分からない」と回答.また「かぜ薬を早めに飲むと早く治る(OR:1.61)と「点滴や注射を受けると早く治る(OR:1.86)」が受診信念に関連する要因であった.結論:かぜに対する認識,そして,抗生物質の効果や医療機関で行われる治療に対する理解が不十分なことが分かった.また,かぜ薬や点滴・注射が治癒期間を短縮するという認識が,受診信念と関連することが示された.
著者
静 貴生 樋口 和秀 富永 和作 後藤 昌弘 紀 貴之 山口 敏史 宮本 敬大 島本 福太郎
出版者
大阪医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

炎症性サイトカインであるinterleukin-6(IL-6)は、がん細胞の増殖・浸潤・転移に関わり、また抗がん剤による殺細胞効果に対して抵抗性を示すことが知られている。一方で臨床上問題となる悪液質も、がん組織から産生されるIL-6により惹起されることから、腫瘍-宿主の相互作用におけるIL-6が中心的役割をになっていることが理解される。IL-6調整作用を有する漢方薬(補中益気湯)は、病状改善の候補薬として十分に期待される。本研究では、がん患者に対する漢方薬併用と、腫瘍増殖抑制の付加的効果、化学療法継続期間の延長、悪液質の抑制など、治療からQOLの側面に到るまでを、IL-6の血中動態と共に評価し、漢方薬の有効性を解き明かしエビデンスを構築する。膵癌および大腸癌を対象に漢方投与群と非投与群へランダムに分け、使用薬剤:[(補中益気湯7.5g分3+牛車腎気丸7.5g分3)+桂枝茯苓丸7.5g分3]を登録日より上記用法にて一次化学療法終了まで連日投与を行う。治療開始前、治療開始2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の合計6回採血を行いIL-6の測定を行う。本年度は研究経過に基づき、対象患者へのリクルートおよびIL-6の採血を行い、SRL社に依頼しIL-6の測定を行った。
著者
後藤 純一
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.35-60, 2015-07-30 (Released:2016-02-03)
参考文献数
10

本稿の目的は, 一般均衡論的フレームワークを用いて, 日本における外国人労働者の特徴を明らかにし, その経済的インパクトを考察することである。「定住移民」と「出稼ぎ的外国人労働者」を峻別した分析により, 以下の3点が明らかになった。①日本における外国人労働者の大多数は, 軸足が本国にある出稼ぎ労働者である, ②出稼ぎ労働者の受入れは, きわめて大規模(ハリケーン)でない限り受入国の厚生を減少させる, ③定住移民の受入れは出稼ぎ労働者よりも受入国にとって好ましい。
著者
後藤 哲久
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.57-62, 2016-01-31 (Released:2016-02-16)
参考文献数
18

Aspergillus section Flavi にはアフラトキシン産生菌,非産生菌が含まれていることが知られている.しかし,アフラトキシン産生菌と,非産生菌あるいは分類的には産生菌でありながら産生能を持たない(失った)菌との関係,あるいはカビは何故アフラトキシンを産生するのか,という疑問にはまだ明確な答えは見つかっていない.
著者
後藤 喜広
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_245-2_259, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
44

目的:総合病院に勤務する男性看護師が経験するセクシュアル・ハラスメント(以下SHと略す)の内容の類型,およびSHに対する対処行動について類型,分析し,その特徴を明らかにする。方法:A団体に所属する総合病院で働く男性看護師9名を対象に,半構造化面接で得られたデータを質的に分析した。結果:男性看護師が経験するSHの内容は【看護業務が発生に起因する】【男性性が意識されて発動する】【身体が軽々に扱われる】【経過のなかで加害者が複数化する】の4つのカテゴリー,SHに対する対処行動は,【個人のみで行う対処行動】【他者が介在する対処行動】の2つのカテゴリーに分類された。結論:看護師の業務の特殊性および権力構造を背景としたSHが発生していたことから,看護の職場環境においては,性別および被害者,加害者という一義的な立場ではなく,双方的,多面的な立場の理解が得られるような倫理教育の必要性が示唆された。
著者
末廣 健児 石濱 崇史 後藤 淳
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.7-11, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
2

Toilet activity, which is done every day attended with the physiological phenomenon of "excretion", has high necessity in the activities of daily living (ADL). We analyzed it in terms of "sense", and describe how to guide a person who has difficulty in this activity, with some specific approaches. It is important to carry out all of the activities of daily living not only in the rehabilitation room but also in a practical environment, and we need to take it into consideration in the physical therapy.
著者
河野 啓子 武澤 千尋 後藤 由紀
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2023-018-A, (Released:2023-08-03)

目的:わが国において今まで行われてきた「産業看護に関する研究」の推移を概観し,今後どのような研究の強化が求められるのか,その方向性を見出すことを目的とした.対象と方法:医中誌Webを用い,キーワードを「産業看護」and「研究」とし,1903年以降に発行されたすべての文献を対象とした.全760件の中から,商業誌を除外した483件とハンドサーチにより追加した3件を加えた486件について,その種類及び年代別の発行数を集計した.研究内容の分類は,原著・総説論文に該当する194件について行い,実践方法と実践能力の側面から分類した.結果と考察:486件の文献全体を種類別に見ると,会議録230件(47.3%)であり,全体の5割近くを占めていた.原著・総説論文は194件(39.9%)であり,ほぼ4割を占めていた.原著・総説論文のうち,実践方法の側面からの分類では,総括管理107件(55.2%),健康管理86件(44.3%),作業環境管理1件(0.5%)であり,作業管理,労働衛生教育はともに0件であった.実践能力の側面からの分類では,知識125件(64.4%),技術23件(11.9%),コンピテンシー46件(23.7%)であった.年次推移をみると,論文数ではいずれの種類の論文も年代区分が進むにつれて増えていた.また,全486件中,会議録が最も多く,1992年までは8割を超えていたが,次第にその割合は減少し,直近では5割を下回っていた.一方,原著論文は当初2割を下回っていたが,年代区分が進むとともにその割合が増加し,直近では4割を超え,数も会議録を上回り,よい経過をたどっていると考える.論文の内容についてみると,実践方法に関する論文では,作業環境管理,作業管理,労働衛生教育に関する研究がほとんどみられなかった.また,実践能力に関する論文では,知識に関する研究が最も多く,技術ならびにコンピテンシーに関するものもある程度なされてはいるものの,産業看護職にとって重要と考えられるにもかかわらず,まだ手がつけられていない領域があることが浮き彫りにされたと考える.結論:わが国の産業看護に関する論文については,1980年に初めて会議録が発表されて以来,論文数は着実に増えていることが明らかになった.論文の内容について,実践方法の側面からの分類では,総括管理が最も多く,そのうち産業看護管理が8割近くを占めていたことから,研究を通して産業看護の発展を目指した努力がうかがえた.一方で,作業環境管理に関する研究は,ごく少なく,作業管理,労働衛生教育に関する研究は0件であったことから,今後,これらに関する研究の必要性が示唆された.実践能力の側面からの分類では,知識に関するものが全体の6割を超え,産業看護職としての成果を上げるために必要なコンピテンシーに関する研究は2割強であった.また,コンピテンシーの内訳についても数の少ない領域があり,これについても今後の強化の必要性が示唆された.
著者
関矢 信康 引網 宏彰 古田 一史 小尾 龍右 後藤 博三 柴原 直利 嶋田 豊 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.811-815, 2004-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

難治性の気管支喘息の3症例に対して咽喉不快感, 動悸, 自汗を目標として清暑益気湯を投与した。目標とした症状および所見は速やかに改善した。さらに発作の回数が著明に減少あるいは消失した。そのほか3症例に共通していた事柄は中年期であること, 発作が通年性であること, 心窩部不快感, 心下痞〓, 臍上悸を認めることであった。これまで清暑益気湯は夏やせ, 夏まけに対して用いられることが多かったが中年期の気管支喘息の長期管理薬 (コントローラー) としても認識されるべき処方であると考えられた。
著者
及川 大輔 岩崎 圭音 後藤 文彦 青木 由香利
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00348, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
22

橋梁の振動特性を把握することは,橋梁全体の剛性の評価などの観点から重要である.しかし,橋梁の振動測定で用いられるサーボ型速度計などの測定機器は高価なものが多く,点検目的や研究目的で誰もが容易に入手して使用できるものではない.そこで,本研究では加速度計が搭載されている安価なタブレット端末を用いて,木歩道橋に対して十分な精度の振動測定が行えるかどうかを検討した.最も卓越する鉛直逆対称モードに関しては,雑音の影響も少くタブレット端末による測定値と数値解析との誤差は−4.0%程度となり,加速度計を搭載したタブレット端末による振動測定の有用性が確認された.また,固有振動数や減衰定数の値を,鋼・コンクリート橋に対する概算式から得られる値と比較することで,測定した木歩道橋の振動特性について考察した.
著者
光多 長温 後藤 和雄 宍戸 駿太郎
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.705-719, 2011 (Released:2012-03-07)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

This paper analyzes trends in demographic shift from regional areas to large metropolitan areas, and economic factors resulting from this demographic shift. First, we analyzed the status of demographic shifts between the large metropolitan areas of Tokyo, Osaka and Aichi Prefectures, and then other individual prefectures for 5-year periods starting from 1970, 1980, 1990 and 2000, and for age segments of 5-14, 20-24, 25-64 and over 65 years. As a result, we observed population inflow from regional areas to the large metropolitan areas in Tokyo and Osaka Prefectures for the age segments up to 24 years old and population outflow from large metropolitan areas to regional areas for the age segments of 25-64 years, except for the period starting from 1970. As for Aichi Prefecture, the trends of population inflow from regional to metropolitan areas was observed since 1990 for the age segments above 25 years as well as the age segments up to 24 yearsNext, we extracted “inflow populations to Tokyo, Osaka and Aichi Prefectures from other individual prefectures” as the ratio of inflow/outflow populations to each prefecture's population and “regional economic factors constituting the regional economy” as the ratio of each prefecture's factors against Tokyo, Osaka and Aichi Prefectures for the above-mentioned periods, and conducted attribution analyses with a multiple regression analysis approach. As for regional economic factors, we adopted 13 factors including industrial composition ratio, administrative investment, academic background index, sales turnover in retail industry that resulted in the economic factors attributing to demographic shifts for each period. The factors affecting the three large metropolitan areas most were the “tertiary industry ratio” , “industrial shipment value”, “administrative investment value” and “retail sales value”. To control population outflows from regional areas to large metropolitan areas in the future, upgrading industrial structure, turning from a reliance on public works and improving intellectual levels should be important.JEL Classification: R00, R1