著者
早川 正祐 竹内 聖一 古田 徹也 吉川 孝 八重樫 徹 木村 正人 川瀬 和也 池田 喬 筒井 晴香 萬屋 博喜 島村 修平 鈴木 雄大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者 概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活か しつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。
著者
陳 福君 中島 登 木村 郁子 木村 正康
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.115, no.6, pp.476-482, 1995-06-25
被引用文献数
17

Averaged blood glucose levels were 400 mg/dl in nonfasted mice, and 250 mg/dl in fasted mice in 4 weeks after injection with streptozotocin (STZ, 150 mg/kg, i.v.). These mice were used for experiments. Hypoglycemic effects of hot water extracts (W) from Folium Mori (Mulberry leaves, Morus alba L., China and Japan) or Cortex Mori Radicis (Morus alba L., China) were observed in fasted and nonfasted STZ-induced diabetic mice at a single dose of 200 mg/kg (i.p.). The W from Folium Mori exhibited most potent hypoglycemic effects. The most potent fractions of Folium Mori and Cortex Mori Radicis were ethanol-insoluble extracts (A2). These A2 fractions demonstrated a fall in blood glucose levels of 24.6±6.0% and 60.5±9.1% at nonfasted STZ-mice, and 81.4±7.9% and 77.3±5.8% at fasted STZ-mice, respectively. The increase in glucose uptake was a mechanism of hypoglycemic actions by W and A2 of Folium Mori.
著者
木村 正信
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.25-38, 2016 (Released:2016-07-13)
参考文献数
10

この論文は不完全競争と財政政策が生産と経済厚生に与える効果との関係を再検討する。そのため、2つのケインズ的特徴(名目賃金の硬直性と非弾力的労働供給)を示す独占的競争モデルを展開する。そして、生産物市場の競争が完全競争になるにつれて、均衡予算乗数と政府支出乗数が1に接近することを示す。
著者
小島 正美 川添 良幸 木村 正行
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.263-264, 1996-09-04

インド仏教は、1200年近くに亘ってチベット文化の主流を形成し、チベット人固有の文化に大きな影響を及ぼしてきた.この間に蓄積されたチベット文献資料は、膨大な量の遣産として今日我々に残されている.これらの文献の一部は既に活字化されて再出版されており、その自動認識もインド原典、チベット訳文献、漢訳文献などの研究者の注目を集めている.活字版チベット文字認識において、誤認識の多くは類似文字間で起きている.この問題を解決するために、我々は文字認識の大分類にヒストグラムによる文字構造情報を適用し、次に本稿で提案する「差分重み付きユークリッド距離法」を用いて文字認識実験を行なった.本手法は、コンピュータにより類似文字を自動判別し、さらに類似文字同士がお互いに文字間の特徴を捉えて判別する.これらの認識システムを現在オブジェクト指向設計法でデザインしており、原理的にチベット類似文字以外の他の類似文字の認識にも適応可能である.本認識手法は、特に「含む含まれるパターン」による類似文字に対して有効であることを確認したので報告する.
著者
中島 孝則 岩田 政則 縄田 修一 齋藤 博 中村 有貴 小林 靖奈 山元 俊憲 松田 佳和 木村 正幸
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.702-707, 2012-11-10 (Released:2013-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

We tried to optimize the formulation for the hospital preparation of mianserin hydrochloride (MS) suppositories. MS as the raw material for the preparation was obtained from Tetramide tablets (MS-T), which were ground. The physicopharmaceutical properties of MS suppositories with bases of Witepsol H15 (H15), Witepsol W35 (W35) and Witepsol S55 (S55) were compared to choose the optimal base for the suppositories. The preparation strength correlated negatively among the three bases. The heat of fusion of MS-H15 suppositories was significantly low relative to MS-W35 and MS-S55 suppositories. The average drug release rate of MS-H15 suppositories exhibited the highest level on moment analysis. Comprehensive evaluation of the properties of MS suppositories, including the heat of fusion due to the solubility of the preparation and the drug release rate indicated that H15 was the optimal base for MS suppositories. Additionally, we examined the optimal mixing rate of ground MS-T and H15. The preparation strength positively correlated with an increased mixing rate of ground MS-T. The mean dissolution time (MDT) of suppositories was reduced with an increased mixing rate of ground MS-T. These results suggested that 0.10 g ground MS-T combined with 0.8 g H15 as the base was the optimal formulation for the hospital preparation of MS suppositories.
著者
堀野 敬 木村 正美 西村 卓祐 松下 弘雄 井上 光弘 鶴田 豊 川田 康誠 廣松 賢治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.186-191, 2007-02-01
被引用文献数
4

症例は53歳の男性で,右季肋部痛を主訴に近医を受診した.血液検査で肝機能障害を認めたため精査加療目的で当科紹介となった.腹部CTおよびMRIで膵頭部に約3cmの腫瘤と腹腔動脈根部リンパ節の腫大を認めた.腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)は陰性であったが,magnetic resonance cholangiopancreatographyで膵内の総胆管に狭窄を認め膵頭部癌が強く疑われたため幽門輪温存膵十二指腸切除術を施行した.経過は良好で術後第38日に退院となった.切除標本の病理組織学的検査所見では悪性所見はなく,好酸球性肉芽腫であったことから寄生虫症が疑われ,アニサキス特異的抗体を利用した血清免疫学的検査が陽性であったため膵アニサキス症が強く疑われた.消化管外アニサキス症はまれであり剖検例などで偶然発見される場合が多く,特に膵アニサキス症はほとんど報告されていない.自験例に若干の文献的考察を加え報告する.
著者
木村 正人 野矢 茂樹 早川 正祐 竹内 聖一 吉川 孝 古田 徹也 池田 喬 河島 一郎 星川 道人 島村 修平 筒井 晴香 八重樫 徹 萬屋 博喜
出版者
高千穂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

分析哲学者を中心に昨今注目を集めている共同行為論の諸理論について紹介・検討し、さらに現象学、社会学理論等による知見を加えて、共同行為の構成要件、共同行為特有の意図性の諸原理、還元主義アプローチの当否、共同行為論における因果的解釈の射程などについて明らかにした。若手研究者を中心として組織された「行為論研究会」は学問分野を越える各学会等で注目を集め、一般公開の研究大会において報告されたその成果は、雑誌『行為論研究』にまとめられた。
著者
郭 軍 孫 寧 根元 義章 木村 正行 越後 宏 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.835-842, 1993-04-25
被引用文献数
12

手書き文字認識の高精度化を妨げている大きな障害の一つに,筆記者それぞれの書き方による文字パターンの不規則な変形が挙げられる.手書き文字の個人差の影響を軽減するために,特徴量抽出やマッチング時にパターンをぼかす手法が提案されている.しかし,これらの手法は文字の変形が大きい場合,有効な手法となり得ず,限界があることは一般的に知られている.本論文では,手書き文字の個人差による変形を矯正し,高精度に認識する新しい手法として余弦整形変換を利用した手書き文字認識アルゴリズムを提案する.提案する余弦整形変換は,入力パターンに対し,余弦関数の部分的な非線形特徴を利用することによって,文字が上下左右のどちらかに偏っている場合に整形する機能と,最も情報量が集中している文字の中心部分を拡張する機能をもっている.提案アルゴリズムの有効性を検証するために,ETL9Bを用いて認識実験を行った.実験では,100次元程度の低次元特徴量を用い,約60万字について認識実験を行った.その結果,学習データセット(奇数セット)では93.24%,未学習データセット(偶数セット)では91.63%,平均で92.44%と高い認識率が得られた.余弦整形変換を使用しない場合に比べ,平均して5%以上認識率が高くなっていることおよび品質の悪いデータセットほど認識率の上昇度が大きいことから,提案する余弦整形変換は手書き文字認識において極めて有効であることがわかった.
著者
木村 正行
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.619-622, 1971-04-20 (Released:2008-04-17)
参考文献数
6
著者
木村 正人 平井 喜幸
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.489-495, 2001 (Released:2009-01-31)
参考文献数
17
被引用文献数
8 12

カザリショウジョウパエのオスは交尾のためアサガオの花になわばりを形成する。今回, 我々はスカラミ(インドネシア・スマトラ島)において本種の日周期活動となわばり制について調べた。スカラミでは,アサガオの花の寿命は約半日でほぼ日の出時に開き、午後から夕方にかけてしぼむ。本種はオス,メスともしぼんだ花内で夜を過ごし,翌日,朝から夕方にかけ出ていく。一方,新しく開いた花の上の個体数は,朝から夕方にかけ増加する。新しく聞いた花において,オスは,午前中は普通なわばりを保持しているが,午後,花上の個体数が増えてくると,なわばりを守ることができなくなる。新しく開いた花においてなわばりを保持しているオスとしぼんだ花に留まっているオスを朝に採集し,その体サイズを比べたところ,前者の方が大きかった。このことは,大型のオスはなわばり争いに有利であり,新しく開いた花になわばりを保持するため,より早くしぼんだ花を離れることを示している。実際,大型のオスの方がなわばり争いに有利であることが,室内実験により示された。一方,メスにおいては,体サイズと日周期活動にはなんら関係が見られなかった。夕方には,オス,メスともほとんど活動せず,花上に静止していた。メスは朝から夕方にかけ,その日に開いた花にのみ産卵する。花間の卵の分布はほぼランダムであった。
著者
木村 正子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.65-73, 2017-03

本稿はフロレンス・ナイチンゲールの自伝的エッセイ「カサンドラ」(1852)をフェミニズムの視座から読み解き、彼女が提示する「女性救済者」と「瀕死の女性」の二つのヴィジョンが意味するものを読み解くものである。 研究方法としては、まず「カサンドラ」における女性の苦境とその原因、そこからの救済の希求について考察し、次に彼女と同時代の作家、エリザベス・ギャスケルおよびジョージ・エリオットの作品に見られる女性の救済(者)のモデルを傍証として検証する。最後に、「女性救済者」および「瀕死の女性」のヴィジョンのゆくえを探るため、ナイチンゲールの「クリミア」以後の作品『看護覚え書』(1860)の中に「カサンドラ」の主張からの影響を吟味する。これによって、「カサンドラ」でのヴィジョンは本作品単体で完結するものではなく、以後の作品の布石となっている点が明らかになる。 『看護覚え書』でのナイチンゲールが精力的かつ能動的な姿勢を示すのに対し、「カサンドラ」での彼女は悲観的であり受身的な姿勢に甘んじている。彼女はヴィクトリア朝の社会慣習に縛られる女性たちの内なる叫びを代弁し、女性が「情熱、知性、道徳的行動」という資質を持ちながらもそれを活かせる場がないこと、そして女性を男性の支配下におく当時の社会システムを批判しつつも、他者による救済(女性救済者の登場)を希求している。だがその願いもむなしく、「カサンドラ」は唐突に「瀕死の女性」のヴィジョンを提示して作品を終えてしまう。<死>のヴィジョンの導入は救済の放棄を意味するのか、あるいはこの<死>は救済に結びつくのかという疑問が生じるが、彼女は明確な答えを示していない。そこでギャスケルとエリオットの作品から女性の救済(者)モデルを傍証として、ナイチンゲールのヴィジョンを考察すると、<死による救済>という解釈によって前述の二つのヴィジョンが繋がることがわかる。そして「カサンドラ」と『看護覚え書』との間テクスト性から、「カサンドラ」の<死>は、ナイチンゲールのクリミアでの活動の布石となるべきもの、すなわち因習に縛られた過去の自己の崩壊を表象するとも考えられ、後に彼女は『看護覚え書』に見られるような力強いボイスを得たといえる。
著者
安井 眞奈美 中本 剛二 遠藤 誠之 倉田 誠 松岡 悦子 澤野 美智子 伏見 裕子 木村 正
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の概要は、現代の妊娠・出産・産後を危機的状況にあると捉え、医療、女性の身体、子供の命といったさまざまな切り口から、妊娠・出産・産後の現状を総合的に解明することである。現状を変えていくための処方箋を提示する、緊急を要した実践・応用人類学の研究と位置づけられる。現代の妊娠・出産・産後の現状をインタビューも含めた文化人類学の参与観察によって解明し、エスノグラフィーを作成する点に特徴がある。
著者
中村 和正 鹿間 直人 栂尾 理 佐々木 茂 篠田 充功 國武 直信 木村 正彦 渡辺 哲雄 佐々木 智成 寺嶋 廣美 増田 康治
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.79-82, 2001-06-25 (Released:2011-07-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

放射線治療後の味覚障害に対し亜鉛含有胃潰瘍治療薬ポラプレジンクを投与し, そあ効果を検討した. 舌を含む照射野にて放射線治療を施行した悪性腫瘍症例22例を対象とした. 舌の一部または全てに対する照射線量は25, 5Gyから46.0Gy (平均37.9Gy) であった. 放射線治療終了後0-1,561日 (平均305.3日) に, ポラプレジンクー回75mg, 一日2回の投与を行い, 投与期間ば25日から353日 (平均96.9日) であった. 20例 (90, 9%) に自覚的味覚障害の改善を認めだ放射線治療後の味覚障害の回復に亜錐製剤は有効と考えられた.