著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.16077, (Released:2018-09-20)
参考文献数
43
被引用文献数
2

Development of prosociality and a trajectory in prosocial behaviors have been a major interest among developmental psychologists. The present study investigates age-related changes in prosocial behaviors from middle childhood to early adolescence based on the relational approach, emphasizing relations with the recipients of the prosocial behaviors (i.e., prosocial behavior toward family, strangers, and friends). A total of 1,829 Japanese students (944 boys and 885 girls) from mid-elementary and junior high schools (ages 9―14 at the time of the first measurement) participated in a one-year longitudinal study. This sample consisted of five cohorts: the 4th, 5th, 6th, 7th, and 8th grade samples. The results of the latent difference score model showed a decrease in prosocial behaviors once, as mean level of individual changes; while at the same time, the model indicated a bounce-back in prosociality after the middle of the junior high school period. Additionally, we found unique changes in prosocial behaviors toward family in the form not following the overall developmental trajectory.
著者
南部 拓央 村上 隆亮 松田 優樹 松尾 浩司 米光 新 武呂 誠司 隠岐 尚吾
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.153-161, 2014-03-30 (Released:2014-04-08)
参考文献数
25

Glucagon-like peptide-1受容体作動薬「リラグルチド」で加療した100名の2型糖尿病患者を対象として,長期効果及び使用に適した患者像を検討した.1年間でHbA1c値は8.4±0.2 %から7.4±0.1 %,体重は71.8±1.8 kgから68.1±1.7 kgと改善した.観察期間終了時のHbA1c値が7 %未満の患者(Group A)は,7 %以上の患者(Group B)に比べて治療開始時のHbA1c値,糖尿病性腎症合併率,前治療でのインスリン抵抗性改善薬使用率が高かった.またGroup Aは体重が減少し続けたがGroup Bは体重が一過性に増加した.以上よりリラグルチドによる血糖値及び体重改善効果は1年間持続するが,治療開始時のHbA1c値,細小血管症の合併状況,前治療薬,体重減少の経過により規定されている可能性が考えられた.
著者
村上 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.177, 2018-07-28

<b>【目的】</b> 豆類は,米と並ぶ五穀の一つである。我が国においては,豆の種類や用途に応じた伝統的な調理操作があり,郷土料理や和菓子など多岐にわたって利用されている。豆類は,大豆,落花生,雑豆類の3つに大別されるが,大豆以外の豆類は摂取量が低く,年々減少しているのが現状である。また,近年では、食の洋風化に伴う和食の喫食頻度の減少,および、中食・外食の発展による家庭での調理機会の減少が報告されている。そのため,家庭における調理技術は衰退の一途を辿っており,食文化継承において危惧すべき状況にあると考えられる。そこで,本研究では大学生を対象として豆類の認知度と食嗜好性について調査を行った。加えて,小豆あんに着目し,嗜好性を検討した。<br><b>【方法】</b> 大学生における豆類の認知度や学習経験,小豆あんの嗜好性を把握するためにアンケート調査を行った。対象は静岡大学教育学部学生309人とした。学校における学習状況については,小中高等学校の家庭科の教科書分析を行った。<br><b>【結果】</b> 20種類の豆類の認知度を検討した結果,小豆や大豆やいんげんなどの6種類の豆類は,名前の認知度や実物を見た経験,および,喫食経験が非常に高かった。一方,調理経験についてはいずれの豆類も著しく低く,喫食経験に比べて有意に低かった。小豆あんの嗜好性は高く,特にこしあんは粒あんよりも嗜好性が高かった。また,和菓子の種類によって,好まれるあんの種類に相違が見られた。
著者
村上 一真
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.401-412, 2013-09-30
参考文献数
16

社会からの影響および社会への影響を考慮した個人の節電意図・行動・効果プロセスを,市民アンケート結果を用いた共分散構造分析により明らかにするとともに,多母集団同時分析により地域(東京都,大阪府)と時期(2011 年夏季,2011 年冬季)別の状況の違いが,個人の節電意図・行動・効果プロセスに与える影響の差異を明らかにした。結果,節電目標の理解が節電意図や節電行動を喚起させ節電効果に寄与すること,停電への不安・恐怖が節電意図を高めること,節電目標の理解要因のほうが停電への不安・恐怖要因よりも節電意図を高めることを明らかにした。加えて,地域・時期別の違いとして,東京では節電意図に寄与する節電目標の理解要因と停電への不安・恐怖要因の大きさに有意な差はないこと,2011 年夏季の「節電意図→節電行動」は,東京が大阪よりも有意に大きく,2011 年冬季にはその有意差はなくなったこと,その東京の夏季の「節電意図→節電行動」と冬季のそれとは有意差があることを明らかにした。これらから,東日本大震災に起因する外部要因に影響を受ける節電意図・行動・効果プロセスの確立は確認されたが,時間経過により各要素の水準が低下することで節電効果が低下することを指摘し,中長期における節電意図・行動・効果プロセスの定着・持続の必要性を議論した。
著者
山本 潤二 村上 斉 砥出 勝雄 味岡 廣房 三宅 秀和
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement5, pp.149-158, 1988-10-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

新しいセフェム系抗生物質であるTHR-221の中枢神経系への影響をマウス, ラット, ウサギ, ネコおよびイヌを用いて検討した。THR-221 1500mg/kg, i. v. までの投与において, マウスの自発運動量, hexobarbital睡眠, 電撃・pentylenetetrazolけいれん, 協調運動, 酢酸stretchingおよびラットの正常体温, 条件回避反応に対して影響は認められなかった。また同用量の投与において, ウサギの自発脳波, 音・光刺激反応およびネコの脊髄反射に対しても影響は認められず, イヌにおいて1500mg/kg, i. v. でのみ軽度の嘔吐が観察されただけであった。以上の結果から, THR-221の中枢作用は弱いことが分り, THR-221は中枢神経系への影響が少ない抗生物質であると考えられる。
著者
格内 敏 厳 希哲 坂本 亨 村上 惇 池田 大作 藤原 紘郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集 2000.75 (ISSN:24242756)
巻号頁・発行日
pp._11-53_-_11-54_, 2000-03-16 (Released:2017-06-19)

Various implants are employed to provide osteosynthesis of the trochanteric fracture of femur by providing mechanical fixation. However, pain due to the stress concentration in the bone and new fracture are caused, when the implant does not physically suit the patient. The purpose of this study is to compare the mechanical properties between fixation implant devices of differing design by holographic interferometry.
著者
宮川 英樹 村上 進亮
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

今回の調査では、ELV由来のプラスチックリサイクルフローを整理し、大きく分けて2つに分類した。ELVから主に手解体工程を通じて回収したPPを「ELV-PP」とした。また、ASRから主に高度選別(光学選別・比重選別)工程を通じて回収したPPを「ASR-PP」とした。この二つのフローは、工程ごとのマテリアルフローが異なる。さらに、それぞれのELV由来のプラの物性を比較し、今後のリサイクル方法を明らかにした。
著者
増田 智恵 村上 かおり 平林 由果 永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.165-174, 2009

幅広い年齢の成人女子に適したITを利用した衣服購入用の情報を抽出するため,3次元人体形状イメージ分類を行い,体形イメージおよびサイズの異なる日本人成人女子のほぼ3世代(20-40-70代)の平均的3次元人体モデルを着衣基体として設定した.幅広い年齢の成人女子が評価可能なデザインイメージ評価用語を抽出し,それによる3次元着装シミュレーションによる実際のデザインイメージ評価を一連の研究として試みた.本報では実際の衣服選択のためのデザインイメージの分類と各イメージの特徴を示すデザイン要素,衣生活スタイル,印象などを抽出し,さらに具体的な服のデザイン要素からデザインイメージを予測した.高齢社会での消費者のためのネットなどを利用した衣服選択支援情報の抽出につながる情報が得られた.<br> 1. 3世代の平均的3次元人体モデルによる20種類の合計60のデザイン服のイメージをクラスタ分類した結果,前報で抽出した2つの主成分に対応したA1. レディ・フェミニン・A5. エレガント,A3. カジュアル,A4. スタンダード・レトロ,A2. シャープ・モダンの4つのイメージに分類された.サイズの異なる年代別でのデザイン服による大差はなく,同じデザイン服は同じ分類のイメージになった.<br> 2. 4つのイメージのデザイン要素,衣生活スタイル,印象などの主な特徴は次のようであった.A1&A5イメージ : スカートスーツやブラウススタイルなど,派手な色や無彩色の薄い素材の上衣でフット性の高い下衣など,背が高く体形カバーのあるデザインで,年上,異性,同年代の印象が良く,フォーマルおよびショッピング用の衣服傾向―A3イメージ : 上衣と下衣の組み合わせでキュロットやパンツにTシャツスタイルなど,柄物で柔らかい上衣,派手な色の下衣,若い年代や同性の印象が良く,家庭着で家族で利用可能な衣服傾向,A4イメージ : スカートスタイルに,柄のある袖やえり付きの上衣に派手な色の薄い素材でフット性のあるデザインの下衣など,家庭着でもフォーマルまた家族での利用も可能な汎用性のある衣服傾向一A2イメージ : パンツスーツやジャケットスタイルなど,明るく濃い色の上衣で,下衣は濃い色のミニ丈のものなど,細い体形に見えるデザインで若い年代での印象が良く,ショッピング用衣服傾向,であった.<br> 3. 4つのイメージを具体的なデザイン要素を用いて,2つの式 {<i>Y3</i>(R=0.98) : A1&A5-A3, <i>Y4</i>(R=0.96) : A4-A2} から精度良く予測可能とした.予測精度の高いデザイン要素でまとめると,A1&A5は主にフット性の高い下衣,派手な上衣,スカートスーツのデザインから<i>Y3</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA3は主に鮮やかな色の下衣,柄物やTシャツの上衣で,上衣と下衣の組み合わせなどのデザインから<i>Y3</i>の予測値が小さく予測可能であった.A4は主に袖のある上衣と下衣はスカートのデザインから<i>Y4</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA2は鮮やかな色,濃い色でフット性が高い下衣に対して,同じ濃い色,明るい色,無彩色でえりのあるミニ丈の上衣などで,パンツスーツなどのデザインで<i>Y4</i>の予測値が小さく予測可能であった.
著者
村上 克介 洞口 公俊 森田 政明 相賀 一郎
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.73-79, 1991-06-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
12
被引用文献数
4 8

The seedlings of sunflower (Helianthus annuus L. cv. Russian Mammoth) were hydroponic-cultured in a controlled environment at 25°C and at 70% relative humidity. Using three band fluorescent lamps (5000 K) as the main lighting source, the PPFD (400-700 nm) was kept at 200, μmol⋅m-2⋅s-1, and each additional PFD (700-800 nm) of far-red (FR) irradiation in four experiments, using FR fluorescent lamps, was kept at 107.1, 50.1, 25.6, and 9.3 umol⋅m-2⋅s-1, respectively.According to the additional level of FR irradiation, the fresh weight, dry weight, leaf area and stem length of the seedlings were increased. The stem length was extended greatly by additional FR irradiation, and leaf/stem dry weight ratio was also changed. Eight days after the treatment by FR irradiation, the stem length was extended 3.8 times longer in FR, 107.1, μmol⋅m-2⋅s-1 treatment in comparison with the 9.3μmol⋅m-2⋅s-1treatment, and leaf/stem dry weight ratio was 5.8 to 2.7.It was found that stem extension and leaf/stem dry weight ratio could be controlled artificially by the level of the additional FR irradiation. As a result, it indicates that the evaluation of FR irradiation may be useful in designing the lighting conditions of plant factories or in atria.
著者
田中 方士 渡辺 隆 宮内 義浩 伊良部 徳次 村上 信乃
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-107, 1994-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8

慢性腎不全で内シャントによる血液透析を受けている356例571手術につき, そのシャント閉塞の危険因子につき検討を行った. 検討した因子は, 手術時年齢, 性別, 原疾患, Ht値である.全体での5年開存率は68%, 10年では57%であった. 性別, Ht値は, シャント開存に関係なかったが, 原疾患 (糖尿病), 手術時年齢はシャント開存に影響を与えた.
著者
渡辺 健一 土肥 二三夫 冨田 寛 竹本 律子 村上 弦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.Supplement78, pp.53-62, 1995-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
38
被引用文献数
2

The topographical anatomy of the chorda tympani nerve (CTn) was investigated macroscopically in 45 ears of Japanese adult cadavers, aged 38-88 yr, with special reference to its topographical relationship to critical structures encountered in otorhinolaryngological practice such as the auditory tube and Wharton's duct. Fifteen cases of the “separated type” of CTn running independently along the posterior margin of the lingual nerve, which were noted in our previous study, were included among the 45 specimens. Major findings considered relevant to clinical practice are described below.1. The course of the CTn, passing inferiorly and medially in the petrotympanic fissure, was classified into 2 types: that traveling immediately anterior to and parallel with the auditory tube, and the becoming progressively more distant (inferior and anterior) to the auditory tube.2. Immediately after emerging from the petrotympanic fissure, the CTn cons istently communicated with the sympathetic plexus around the middle meningeal artery, and often issued twigs reaching the otic ganglion area.3. In cases where the CT n was trapped by tendinous tissue around the lateral pterygoid muscle (17.8%), the nerve merged into the lingual nerve from the medial or anterior aspect, and not from the usual posterior aspect, at the level of the mandibular notch.4. The lingual nerve sometimes (20.0%) showed a strongl y curved sigmoid course behind the mandibular ramus. Several buccal branches innervating the oral lining, without containing the CTn element, were issued at the anterior projecting protion of the sigmoid course.5. At the base of the oral cavity, the major CTn element traveled al ong the superior margin of the lingual nerve, therefore the CTn element was located away from the submandibular ganglion.6. A thick communicating branch on both sides of the lingual nerve was rarely observ ed under the mucous lining or in the mucous layers at the tip of the tongue. These findings suggest that morphological variations of the CTn should be considered during surgical procedures and for understanding the nature of related clinical symptoms.

1 0 0 0 OA 耶蘇会年報

著者
村上直次郎 訳
出版者
長崎市
巻号頁・発行日
vol.第1冊, 1926
著者
村上直次郎 訳註
出版者
拓文堂
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1944
著者
村上 恭通
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

当該研究の最終年度に当たり、これまでの復元実験の成果を検討し、木原明(国選定保存技術保持者<玉鋼製造>)との意見交換を実施した。その検討成果を受け、2014年10月、岡山県新見市備中国たたら伝承会実験場において製鉄炉(愛媛大学20号炉)を復元し、銑鉄生産を目的とした操業実験を行った。製鉄生産炉の要が、送風孔の角度・高さ、炉床の堅さであることを反映した最終の実験では、当初の目的である銑鉄を炉外に連続して生産することができた。送風孔の高さをさらに調節すればさらに生産効率があることが判明した。しかし製鉄遺跡の情報から復元した炉で銑押し技術を復元するという当初の目的は達成できた。
著者
木村 あゆみ 寺内 智 村上 義信 穂積直裕 長尾 雅行 小林 和人 西條 芳文 吉田 祥子 Kimura Ayumi Terauchi Satoshi Murakami Yoshinobu Hozumi Naohiro Nagao Masayuki Kobayashi Kazuto Saijo Yoshifumi Yoshida Sachiko
雑誌
【全国大会】平成18年電気学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
pp.141, 2006-03-15

筆者らは以前に、外科手術中に生体組織診断を無染色で行う方法として「フーリエ変換型超音波顕微鏡」の開発を行い、実用化を達成した[1]。しかし、この段階では加工切片の準備が必要であった。さらに、スライスすることにより組織の機能に損傷を与えることも懸念される。これらの理由により筆者らは新しく組織断面の局所的音響インピーダンスを画像化できる音響インピーダンス顕微鏡を提案した.音響インピーダンスは音速と密度の積で与えられるため,密度の分散が大きくないときには音速とよい相関を持つと考えられる.本報告では,音響インピーダンス顕微鏡の概念を述べるとともに,測定精度について検討する.また,応用例の一つとしてラットの小脳組織観察を行う.
著者
田中 愛治 川出 良枝 古城 佳子 西澤 由隆 齋藤 純一 吉川 徹 小西 秀樹 船木 由喜彦 今井 亮佑 品田 裕 飯田 健 井柳 美紀 遠藤 晶久 清水 和巳 Jou Willy 千葉 涼 日野 愛郎 三村 憲弘 村上 剛 山崎 新 横山 智哉 加藤 言人 小川 寛貴 坂井 亮太 中西 俊夫 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

熟慮を経てから市民のニーズを測定するCASI調査と、熟議を通して市民のニーズを探るミニ・パブリックスを比較分析すると、熟議に基づくミニ・パブリックスよりも、熟慮に基づくCASI調査の方がサンプルの代表性は高く、実施のコストが低い点では好ましい。しかし、本プロジェクトの実験・調査を通して、熟慮だけでは難しいが、熟議を通してこそ達成できる効果もあることが分かった。例えば、事実に対する思い込みの是正においては、熟慮ではなく、熟議の効果が確認できた。したがって、CASI調査(熟慮)とミニ・パブリックス(熟議)のどちらにも利点があることが明らかになり、一概に両者の優劣をつけることはできないといえる。
著者
村上 進亮
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.237-244, 2009 (Released:2013-12-18)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本稿では,マテリアルフローアカウンティングの中でも,その基礎情報を与えるものとして重要な位置にある,使用済み製品フローの捕捉について,携帯電話などを事例に検討を行った。より具体的には,携帯電話で良く話題に上る退蔵されているストックも含めた推計手法の整理を行った。それと同時に,家電リサイクル法対象品目を事例に,国際資源循環等のいわゆる見えないフローの捕捉に関しても議論を行った。また,携帯電話のデータについて,そこに含有される金属について資源性の観点からその価値を検討することで,こうした機器に含まれる貴金属類のリサイクルの重要性を再認識しつつ,その価値が消費者の考える価値と乖離している可能性を示唆した。