著者
村上 智一 小花和 宏之 河野 裕美 下川 信也 田林 雄 水谷 晃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_766-I_771, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究の目的は,サンゴ礁海域を対象として,SfM(Structure from Motion)による水中3次元計測(水中SfM)の可能性を明らかにすることである.そこで,サンゴ礁海域である西表島網取湾において,枝状サンゴ,塊状サンゴおよび海草であるウミショウブを対象に水中SfMと実施コストが高い従来の測量を同時に行い,これらの結果を比較・検討した. その結果,水中SfMは,サンゴの高さ,長径,短径および枝状サンゴの枝幅を最大誤差4.5 cm,最小誤差0.1 cmの精度で計測でき,サンゴ保全のためのモニタリングなどにおいて有用となることが明らかとなった.一方,ウミショウブは,連続写真撮影中に葉が波や流れによって揺らぐため,SfMによる3次元化が不十分であった.
著者
村上 栄造 河野 仁志 加藤 真示 水野 成治 野口 正弘 堀 雅宏
出版者
Japan Association on Odor Environment
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.146-150, 2004
被引用文献数
1

厨房排気臭は、都市部での代表的な悪臭として認識が高まりつつある。そこで、その対策として光触媒技術の適用を検討した。光触媒フィルターには、3次元網目構造をもつセラミックス多孔体にTiO<SUB>2</SUB>微粒子をコーティングし、さらに、その表面には、化学的に安定したナノサイズの銀を担持して用いた。対象とした臭気は、中華料理店からの厨房排気臭とし、その排気臭に寄与している硫化水素の脱臭性能を確認する基礎的な試験を行い、得られた知見から光触媒脱臭装置を作成した。その結果、中華料理店の厨房排気臭に対してナノサイズの銀を担持した光触媒技術が利用できることが明らかになった。
著者
村上 武則
出版者
広島大学
雑誌
廣島法學 (ISSN:03865010)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.213-241, 1987-03
著者
横山 伸也 小木 知子 小口 勝也 村上 雅教 鈴木 明
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.262-266, 1986
被引用文献数
12

前報では, コナラ木粉およびアルカリ水溶液を高圧反応容器に入れて, 適当な反応条件下で加圧, 加熱することにより, 約50%の収率で液状生成物が得られることを報告した。本報では, この水相における液化法が, コナラ以外の他の樹種, 樹皮, あるいはバガスなどに対しても, 適用でき得るか否かを調べるために11種の木材, 3種の樹皮およびバガスの液化を行い, 液状油の収率と性質を検討した。すなわち, 広葉樹としてコナラ, ドロノキ, ブナ, 針葉樹として杉, ツガ, スプルース, カラ松, 赤松, 南洋材としてレッドラワン, カプール, カメレレを, 樹皮としてカラ松, 赤松, トド松を用いた。この他に比較のため, 砂糖きびの絞りかすであるバガスも用いた。これらの分析値を <b>Table 1</b>に示した。液化は, 前報で最適と考えられた条件, 温度300°C, 初圧2.0MPa, 滞留時間 (設定温度における保持時間) 0分, 木粉/触媒/水比が5/0.1/30で行った。<br>アセトン可溶分として定義した液状油の収率とCHR (CとHの回収率) は, それぞれ以下の式から求めた。<br>収率(%)=(生成油の重量/原料の重量)×100<br>CHR(%)=(生成油中のCとHの重量/原料中のCとHの重量)×100<br>この結果をまとめて<b>Table 2</b>に示した。表から明らかなように, 木材に関しては, 収率は約50%程度であり, カラ松と赤松がやや低い値を示したが, 総体的には樹種による顕著な相違は認められなかった。バガスはほとんど木材と同じ収率であったが, 樹皮の場合は20-27%と低収率であった。収率と原料の組成との関係について, <b>Fig. 1</b>に示すように原料中のリグニンと収率とをプロットすると, 木材のグループと樹皮のグループに大別されたが, それぞれのグループ内では特に一定の傾向は見られなかった。また, 収率と他の成分との間にも特に傾向は見られなかった。<br>樹皮が木材に比べて低収率なのは, 反応性が低いためではなく一度生成した液状油が repolymerization して固体の residue になるからである。<b>Fig. 2</b>に, 原料中のリグニンと発生するガスおよび固体 residue の量との関係を示した。リグニンが増加すると, 固体 residue も増加するがガス量はほとんど一定である。前報では, 反応時間が長くなるにつれて液状油収率が減少してくる現象が観察されたが, これも同じようにrepolymerizationによると考えられる。事実, Boocock ら (文献12) は, リグニンを多く含む樹皮をフラッシュ的に熱分解し急冷した場合, 通常の数10分の加熱による液化に比べてはるかに収率がまさっており, これは primary oil の repolymerization が阻害されるためであると報告している。
著者
倉岡 正高 藤原 佳典 鈴木 宏幸 飯塚 あい 内山 愛子 長畑 萌 村上 深 南 潮
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、こどもの教育・文化的環境づくりと高齢者の健康増進を目的とした囲碁を活用した世代間交流プログラム「iGOこち」を開発し、こどもの対人関係能力や高齢者へのイメージに与える影響、高齢者の認知機能と心理社会的側面に与える影響について検討した。プログラムの内容は、プロ棋士による講義、個人戦、高齢者とこどもが協力し合う練習問題、チーム戦(ペア碁)などである。調査の結果、こどもは高齢者への尊敬と思いやりの心を養い、知的活動に消極的な傾向にある高齢者において注意・実行機能が向上する可能性が示唆された。
著者
村上 明子
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.329-348, 2013-02

1979年の革命以降, イランではイスラームを主体とした独自の社会統合論理が掲げられた。1990年代後半から2000年代初めにかけては自由化が模索されるも, 2005年に発足したアフマディネジャード政権下では, 現在に至るまで革命理念への回帰が謳われている。本稿では2005年以降の同国労働市場の状況について, まずは, 法制度を元に性別役割規範の基本構図を紐解きつつ, 人口圧力の高まりや経済制裁等, 労働市場を取り巻く課題とその対応策のあり方を確認した。加えて, 革命理念が労働現場に与える影響についても注目した。以上について, 現地における雇用者側へのインタビュー調査より, 1)革命後に示された労働者保護方針と労働需給の逼迫とが相まって労使双方が猜疑心を抱く状況を生み出していること, 2)革命後, 内外の変動が激しい同国では社会的紐帯が企業活動においても重視されていること, 3)イスラーム的価値観や同国におけるジェンダー認識が女性への労働需要に寄与する側面を有すること, 4)経済制裁への対応の結果, 取引チャンネルに変化が看取されること, --こうした事実が明らかとなった。今後は, 対外関係の改善と, 企業の公正な競争を担保する制度の拡充が望まれる。
著者
村上 宝久 熊谷 進
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.1370-1380, 1977-12-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
24

注射による三角筋拘縮症は, 三角筋部(主に中央部)に行われた筋肉内注射の影響によつて筋線維に変性(線維化)が起こり, 筋肉の伸張性が減じて拘縮を発生し, 肩の機能に障害をもたらすものである. そして, 三角筋部の主として肩峰部に線維性索状化を発生することが多いため, 肩の外転位拘縮(内転制限)を主徴候とする. 三角筋部は, その解剖学的特殊構造よりみて, 障害を受ければ容易に拘縮が発生する要素を多分に含んでおり, 大腿四頭筋以上に危険な注射部位といえる.今回, 我々は, 昭和41年より51年にかけて, 当科を訪れた注射による三角筋拘縮症の44例55肢について各方向より検討を加え, いささかの知見を得たので報告する. また本症の治療については, 大腿四頭筋拘縮症と同様にいまだ確立されたものがないのが現状であり, その手術適応, 手術時期, 手術方法などについても, 我々の考えを述べてみる.
著者
村上 千秋 高橋 次郎 新保 國弘 丸山 武紀 新谷 〓
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.423-427,460, 1997-04-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

有機培養及び無機培養におけるクロレラの脂質について調べた。1) 中性脂質量は乾物量当たり2~3g/100gであった。これらには両培養方法ともワックスエステルが 80%, トリアシルグリセリンが20%含まれていた。2) リン脂質は有機培養では8.6g/100g, 無機培養では6.2g/100gであった。これらの組成 (PG, PC, PE, PI) は両培養とも類似していたが, 脂肪酸組成は著しく異なっていた。3) 糖脂質は両培養とも5.7g/100gであった。これらの組成 (MGDG, DGDG, SQDG) 及びその脂肪酸組成は両培養で異なった。4) C16 : 4及び C18 : 4 の両脂肪酸は糖脂質及び PG を除くリン脂質で検出されたが, トリアシルグリセリンには検出されなかった。5) C16 : 1のトランス酸は PG のみ含まれていた。その含有量は有機培養で1.6%, 無機培養で2.3%であった。
著者
村上 聡 上之薗 和宏 榎津 秀次 古宮 誠一
出版者
社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.4, pp.124-124, 2004

物語理解過程のシミュレートによる物語テキストの自動要約手法が提案される。その手法は、テキストの命題リスト化、連結ルールによる命題ネットワーク構築、連結パターン照合による重要命題導出から構成されている。
著者
村上 真基 荒井 進 稲葉 裕
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.57-62, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
20

【目的】血液検査のみで構成されたがん患者用生物学的予後スコア(Biological Prognostic Score第2版)を終末期非がん患者の予後予測に応用することの適応と限界を検討した.【方法】後ろ向きに非がん入院患者のコリンエステラーゼ,血中尿素窒素,白血球数より予後スコアを算出し,カットオフ値で3群に分け,予測精度分析,生存解析,回帰分析を行った.【結果】がんと同じカットオフ値・予測生存期間における非がん患者204名の予後予測精度は,生存期間3週で正診率79%,9週で63%であった.特異度,陰性的中率は精度が高く,感度,陽性的中率は低かった.生存解析では3群間の識別は有意(p<0.05)であったが,回帰分析における回帰係数は有意ではなかった(p=0.43).【結論】非がんに対する本スコアを用いた予後予測では,予後良好の場合の予測精度は高く,慎重に用いれば臨床使用も可能であると示唆された.
著者
村上 裕史 内藤 一郎 皆川 洋喜
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 22.48 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.31-36, 1998-09-19 (Released:2017-06-23)

低ビットレート環境で使用されるMPEG4の規格化が最終段階を迎えており、将来この技術を利用したテレビ電話・会議システム等の利用が考えられる。聴覚障害者がこれらを利用して、手話によるコミュニケーションを行った場合、MPEG4の各パラメータ(フレーム速度、転送速度、量子化幅)が手話コミュニケーションに対してどのような影響を与えるか、また、その評価下限値を求める実験を行ったので報告する。
著者
中嶋 大 常深 博 林田 清 鶴 剛 田中 孝明 内田 裕之 堂谷 忠靖 尾崎 正伸 冨田 洋 夏苅 権 上田 周太朗 岩井 將親 廿日出 勇 山内 誠 森 浩二 西岡 祐介 平賀 純子 信川 正順 信川 久美子 村上 弘志 幸村 孝由 馬場 彩 Doty John 他 SXI チーム
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.368-368, 2016

<p>X線天文衛星「ひとみ」搭載CCDカメラ(SXI)は、200μm厚の裏面照射型PチャンネルCCDを完全空乏化させ、0.4-12 keV の軟X線帯域で38分角四方の広い視野をカバーする。SXIは軌道上での立ち上げから、冷却後の天体データ取得に至るまで、期待通りの性能を示した。我々は軌道上データを用いて、線形性・電荷転送効率・応答関数・検出効率などを較正しており、本講演ではその現状について報告する。また、可視光漏れなど軌道上で発生した事象への対策についても報告する。</p>
著者
小南 陽子 相方 浩 平松 憲 田中 未央 苗代 典昭 中原 隆志 本田 洋士 長沖 祐子 村上 英介 宮木 大輔 三木 大樹 河岡 友和 高木 慎太郎 平賀 伸彦 柘植 雅貴 芹川 正浩 今村 道雄 兵庫 秀幸 川上 由育 高橋 祥一 佐々木 民人 茶山 一彰
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.456-464, 2013 (Released:2013-03-05)
参考文献数
24
被引用文献数
1

症例は61歳男性.毎年,検診にて40mm大の肝嚢胞を指摘されていたが,2011年の腹部超音波検査にて肝嚢胞の増大を指摘.造影CT検査などの各種検査を行ったが確定診断に至らず,嚢胞周囲の軽微な胆管拡張の精査目的にてERCPを施行.その際の胆汁細胞診にて多量の肝吸虫卵を認め,肝吸虫症と診断.プラジカンテルの内服により肝嚢胞の縮小と血中肝吸虫抗体価の陰性化が得られ,肝吸虫の駆虫が確認された.
著者
住吉 孝明 中村 有沙 南原 拓弥 村上 将登
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ムスカリン受容体は副交感神経を活性化する神経伝達物質アセチルコリンの受容体である。ムスカリン受容体にはM1-M5の5つのサブタイプがあり、M1受容体の活性化が認知機能を向上させる効果がある。本研究は、作動性と拮抗性を併せ持ち、適度にM1受容体を活性化する部分作動薬を創製し、副作用を低減した新たな精神神経疾患治療薬になりうる化合物を見出すことを目的とする。M1受容体およびM4受容体の両方を作動する化合物の構造を種々変換した結果、ムスカリンM1受容体選択的部分作動性を示す化合物を見出した。これらの化合物はアルツハイマー病等の精神神経疾患の改善薬への応用が期待できる。