著者
村上 克尚
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.27-36, 2010-11-10 (Released:2017-08-01)

本稿は、竹内好の国民文学論に対する武田泰淳の位置を、『風媒花』の分析を通じて確定する試みである。国民文学論は、朝鮮戦争を糧とした経済成長への抵抗運動として規定できるが、「国民」や「民族」といった概念を用いたことで、新たな抑圧への可能性を残す。これに対して、『風媒花』は、外部・内部に複数的な差異を探し求め、それらを介した緩やかな連帯のあり方を風媒花の形象で示した。それは、文学作品と読者のあり方への深い洞察から生まれたヴィジョンだと考えられる。
著者
村上 和雄 掛本 道子 原田 敏勝 山田 約瑟 小川 裕康
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.343-348, 1992-07-05
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

球状シリカビーズ表面にグルコースオキシダーゼ(GOD)とグルコアミラーゼ(GAM)を共有結合で固定化し,ミニカラムに充てんしてミクロなバイオリアクターをつくり,高速液体クロマトグラフの分離カラムの後に接続した.グルコースはGODの触媒作用により過酸化水素とグルコノラクトンを,マルトースはGAMによりグルコースを生じ,更にこのグルコースがGODにより過酸化水素を生じる.生成した過酸化水素を電気化学検出器でアンペロメトリックに測定し,グルコースとマルトースの間接定量を試みた.本方法の検出感度は,GOD固定化カラムを用いた化学発光-FIA法やGOD・GAM固定化カラムを用いた化学発光-FIA法とほぼ同等であり,示差屈折率検出器を用いるHPLC法よりも約500倍高かった.最小検出量は絶対量でグルコースが10ng,マルトースが15ng(いずれも<I>S</I>/<I>N</I>=3)であった.本法は酵素の触媒作用,電気化学検出器の選択的で高感度な検出を利用しているため,前処理が極めて簡略化でき,試料を希釈するだけでよかった.市販の麦芽飲料,麦芽入り豆乳,ノンアルコールビール中のグルコースとマルトースの定量に応用し,良好な結果が得られた.
著者
松平 浩 川口 美佳 村上 正人 福土 審 橋爪 誠 岡 敬之 Bernd Löwe
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.931-937, 2016

<p><b>目的</b> : Somatic Symptom Scale-8 (SSS-8) は, 身体症状による負担感を評価する自記式の質問票である. 今回, SSS-8をわが国へ導入するため, 原作の英語版を翻訳し, 言語的妥当性を担保した日本語版を作成した.  <b>方法</b> : 原作者から日本語版作成の許可を得た後, 言語的に妥当な翻訳版を作成する際に標準的に用いられる手順 (順翻訳→逆翻訳→患者調査) に従って日本語版を作成した.  <b>結果</b> : 日本語を母国語とする2名の翻訳者が, それぞれ日本語に翻訳し, 一つの翻訳案にまとめた [順翻訳] . 英語を母国語とする翻訳者が日本語案を英語に翻訳し直した [逆翻訳] . 次に, 原作者との協議を通じ, 原作版と日本語案の概念の整合性を確認し, 日本語暫定版を作成した. 筋骨格系疼痛および身体症状の経験を有す患者5名 (男性2名, 女性3名 ; 平均年齢54.4歳) に調査を行った結果, 全体として, 日本語暫定版の表現に問題はないと判断した.  <b>結論</b> : 一連の過程を経て, 言語的妥当性が担保された日本語版SSS-8を確定した.</p>
著者
村上 環 曹 美枝子 富田 香 田中 靖彦 植村 恭夫
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.61-64, 1993-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
6

近視を伴う後天内斜視と診断された男性7例,女性11例計18例の臨床像について検討した.発症年齢は9歳から40歳までの平均17歳で,思春期に発症が多くみられた.屈折度は-3.0D以上が75.0%にみられ,平均-4.47Dであった.斜視角は屈折矯正下にて,遠見16Δから50Δ平均32Δの内斜視,近見16Δから50Δ平均30Δの内斜視で,遠見と近見の斜視角の差が10Δ以上の症例は認められなかった.治療法としては大部分の症例に手術を行い,手術施行例15例中14例は10Δ以下の正位または内斜視となり良好な眼位矯正効果を得た.術後の再発例は2例で,1例は35Δの内斜視が残っており,他の1例は初回手術から10年後に再発したために,再手術を施行し,その後内斜位を保っている.また自然治癒例も1例に認められた.発症要因については,近業の増加と精神的要因の関与を推測している.
著者
山田 学 中川 徹 北川 一 村上 勝彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.239-240, 1992-02-24

ソートはコンピュータサイエンス,エンジニアリングにおいてもっとも基本的な操作の一つである。しかし従来からのシーケンシャルなアルゴリズムでは,問題の規模(n)に対する計算時間のオーダは最速のものでもO(nlogn)になると言われている。TakefujiとLeeはHopfield型ニューラルネットワーク(以下,NNと略す)でO(n^2)個のニューロンを用い,問題の規模に関わらず2ステップすなわちO(1)で解を得る並列処理ソートアルゴリズムを示した。しかし,このアルゴリズムは多入力のアナログ加算器を必要とした。今回,このTakefujiらのアルゴリズムとバイナリ結合のニューラルネットワークSDNNを基礎として加算器を1つも必要としないモデルを新たに考え,実験を行った。またNNでソータを作ろうとする場合,実際にハードウェアとして実現できることが重要であり,今回,4要素ソータの試作および,そのハードウェア量の定式化を行った。
著者
村上 祥子
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.101-121, 2018-02-20

巫俗儀礼で巫堂が口承する「バリ公主」は,死霊祭で語られる女神の始祖物語である。内容は捨てられた七番目のバリ公主が,両親の病気を治すために薬水を求めて冒険,帰ってきて両親の病気を治癒し,家族と共に神として祀られる話である。ここでは次の二点を考察した。①「バリ公主」の内容は,世界的な英雄譚と共通の要素を持つことを八つの項目について考察し,一致することを確認した。この物語が死霊祭で語られるのは,死者が祖先神への転換のために必要な儀礼であり,祖先神は現在に生きる子孫の繁栄と平安を守ると信じたからである。②長く「バリ公主」が儒教の規範で規制されたにもかかわらず,消えることなく信仰されたのは,女性の力があったからである。儒教の世界観は人間が生きていく価値観と規範は教えたが,死への恐れやあの世への不安,現実の苦悩や苦痛について語ることはなかった。だから女性は儒教では語ることのない信仰を守ってきた。それを可能にしたのは,高麗時代から続いた輪回奉祀と男女均分相続である。輪回奉祀とは息子や娘が祖先の祭祀を交代で担当・挙行するものであり,朝鮮王朝時代も続いた。男女均分相続は内容的に変更点があるが,朝鮮王朝時代の『経国大典』(1485年)に男女均分相続すると記されている。女性は婚姻に関係なく個人の財産を持ち,運営に当たった。以上,「バリ公主」は英雄譚的要素をもち,祭祀権と経済的な権利を有する女性により,今日まで信仰の対象として継承されてきたといえる。
著者
村上 紀夫
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 = Memoirs of Nara University (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.45, pp.188-177, 2017-03

西大寺では豊心丹という薬を製造販売していた。近世の医薬は受容する側の意識としては効能を神仏によって保証されていた 「呪物」 でもあった。安永七年 (一七七八) に奈良の老舗菊岡家が販売する豊心丹について、西大寺が訴えを起こした。販売差留めを求めるが、菊岡家は豊心丹創始者の西大寺叡尊が菊岡家出身であり、菊岡家が豊心丹を製造することは当然であると主張し、菊岡家の主張は認められて製薬継続が許される。ここでは調合法などが問題になることはなく、西大寺は宗教的な製薬過程を重視し、菊岡家は由緒の確かさを主張する。宗教的威光を背景に呪物として薬を囲い込もうとする西大寺に対し、由緒を梃子に自らの商品としてきた菊岡家の論理のぶつかり合いであり、奈良奉行は西大寺の 「威光」 独占を否定する。一八世紀段階の世俗権力がかかる判断をしたことは、当該期における宗教的 「威光」 を寺院が独占することを奉行所が否定したといえるだろう。
著者
丸山 厚吉 堀 清鷹 村上 哲明
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, 2017

<p> ハラタケ科のいわゆる<i>Lepiota</i>類に属する日本では未報告の<i>Macrolepiota mastoidea</i>を東京都・山梨県・神奈川県で,<i>Echinoderma</i> <i>echinaceum</i>を山梨県富士山麓で採集し,核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.和名としてそれぞれトガリカラカサタケ,コオニタケを提案した.</p>
著者
村上 裕一 小磯 修二 関口 麻奈美
出版者
北海道大学公共政策大学院 = Hokkaido University Public Policy School
雑誌
年報 公共政策学 (ISSN:18819818)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-137, 2017-03-31

This paper is one of the first and most comprehensive studies to investigate the meaning of the Abe II administration’s ‘Local Revitalization Policy’ and to review local governments’ reactions in Hokkaido. Based on our survey of all the local governments in Hokkaido during October and November 2016, this paper concludes that the policy has provided a chance for farsighted governments, especially for those experiencing a sharp decline in young people, to realise the emerging problems of a shrinking society and to work on a solution. However, the policy has also been so sudden and almost arbitrary that the local governments’ respective conventional systems were forced to work hard applying for unwieldy grants and following the detailed directions given by the central government. The results of our survey imply that the Central and local governments in Japan share discretion. The Central government maintains discretion in deciding nationwide policies and provides administrative guidance to the respective local governments, whether big or small and rich or poor, allowing them to formulate policies suitable to their own requirements. This is done while maintaining the Central government’s overall policy design through the use of informational, budgetary, and regulatory tools.
著者
村上 英吾
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.14-26, 2003

本論では、横浜国立大学で大学院生を対象に実施したアカデミック・ハラスメントに関する調査をもとに、アカデミック・ハラスメントに関する先行研究を再検討した。主な論点は2 つある。ひとつは、アカハラの背景として「大学社会の二重性」にもとづく権力性の問題があるという点であり、もうひとつは、アカハラを性差別に限定するべきかどうかという点である。第1 の論点については、博士課程在籍者の最も深刻な被害経験をみると、学年が高まるほど被害の割合が高まることから、アカハラの背景として研究室の「風土」が問題であるという「疫学的」解釈に対して、権力性の問題がより重要であるという社会学的解釈を支持している。第2 の論点については、セクハラ型以外のアカハラ被害に関しては男女間の被害経験の有無に統計的有意差がないこと、加害者の女性比率が低いとはいえないことから、アカハラ被害は「性差別」問題としての側面に加えて、「性差別」にとどまらない問題を内包していることが看過されるべきではないことを指摘した。
著者
山川 雄司 遠山 渉 黄 守仁 村上 健一 石川 正俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00364-17-00364, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Human motion is very flexible for performing various tasks but has low speed and low precision; therefore, support and assistance of human motion by robots is desirable in some situations. In this study, in order to achieve such functions, we developed a new portable module for accurately controlling the position of a human hand and constructed a high-speed, high-accuracy positioning control system using image tracking via a high-speed vision system. In order to evaluate its performance, we executed tracing tests of constant position, circular or linear trajectory. Finally, we performed the task of catching a falling small ball, as a significantly difficult positioning task. Although this task was nearly impossible to perform with the human hand alone, the success rate was dramatically improved by using the proposed method.
著者
今泉 和彦 立屋敷 かおる 滝澤 裕治 村上 晴久 直原 幹
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.161-177, 1997-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
29
被引用文献数
5

The difference between the dominant hand and the non-dominant hand in overarm throwing motions and ball-throwing distances were studied in student women. The subjects were divided into a trained group and an untrained group. A switch thrower, categorized in the training group, was also examined. The throwing time, moving distance and mean velocity of the ball in the overall throwing phase, back-swing phase and acceleration phase were determined by a high-speed video analysis system. Seven empirical parameters estimated from the overall throwing motion were also introduced. These physical quantities and parameters were compared between the dominant and non-dominant hands. The ball-throwing distances in the trained and untrained groups were 2.58 and 1.73 times higher for the dominant hand than for the non-dominant hand, respectively. The difference in these values for both the hands of the switch thrower, however, were very small. The throwing time, moving time, and mean ball velocity in the back-swing phase in the trained group were 1.16, 1.65 and 1.35 times higher for the dominant hand than for the non-dominant hand, respectively. These phenomena were not observed in the untrained group and the switch thrower. The mean ball velocities in the acceleration phase for the trained and untrained groups were 2.0 and 1.5 times higher for the dominant hand than for the non-dominant hand, respectively. These values were more highly correlated with the ball-throwing distance in the trained group than in the untrained group. Significant correlations between seven parameters and ball-throwing distance were all observed for the dominant hand. However, only three of these parameters showed significant correlations for the non-dominant hand. These results show that the relationship between ball-throwing distance and throwing motion is closer for the dominant hand than for the non-dominant hand. In the present paper, possible roles of the dominant and non-dominant hands in the relationship between throwing motion and ball-throwing distance are also discussed.
著者
伊藤 美加 長井 誠 早川 裕二 小前 博文 村上 成人 四ッ谷 正一 浅倉 真吾 迫田 義博 喜田 宏
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.899-906, 2008-09-25
参考文献数
39

2007年8月,石川県金沢競馬場において馬インフルエンザが発生した.感染馬の症状は主に発熱(38.2-41.0℃)および鼻汁漏出で,呼吸器症状を示した馬はわずかであった.全ての競走馬は不活化ワクチンを接種しており,ワクチンにはH3N8馬インフルエンザウイルス,アメリカ系統のA/equine/La Plata/93株,同じくヨーロッパ系統のA/equine/Avesta/93株,およびH7N7馬インフルエンザのA/equine/Newmarket/1/77株が含まれていた.鼻腔スワブ材料からH3N8馬インフルエンザが分離され,A/equine/Kanazawa/1/2007と命名した.系統樹解析では,A/equine/Kanazawa/1/2007株はアメリカ系統のフロリダ亜系統に属した.さらに,HA1サブユニットのアミノ酸解析を行ったところ,同じアメリカ系統のワクチン株であるA/equine/La Plata/93株と比較して,BおよびEの抗原決定部位に4アミノ酸の置換が認められた.また,回復期の馬16頭から採材した血清を用いて赤血球凝集抑制反応を実施したところ,A/equine/Kanazawa/1/2007株とワクチン株間に1〜3管の差が認められた.これらの結果から,流行株とワクチン株に抗原性状の差が示唆されたが,わが国の現行市販ワクチンは罹患率の低下や発症期間の短縮に貢献したと思われた.
著者
長井 誠 源野 朗 村上 俊明 高井 光 上地 正英 明石 博臣
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.487-490, 1998

牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 2の石川県における浸潤状況を, 成牛1, 625頭, 2歳未満牛217頭, 豚298頭, あん羊57頭, 山羊12頭および鹿19頭について血清学的に調査した. BVDV 2; KZ-91株に対する抗体は成牛の1.1%にのみ認められ, 1986年以降の保存血清 (約1歳牛) では, 1988年の70例中1例, 1998年の51例中2例, 1994年の27例中1例が陽性であった. 1990-1997年に分離されたBVDV 10株について, 5'非翻訳領域を標的としたRT-PCRにより制限酵素 (<I>Pst</I> I) 切断パターンを調べたところ, 1990年に分離された2株がBVDV 2に分類された
著者
石井 明子 橋井 則貴 松本 真理子 香取 典子 新井 進 粟津 洋寿 磯野 哲也 井上 友美 永座 明 大山 幸仁 奥村 剛宏 梶原 大介 田熊 晋也 丹下 浩一 塚原 正義 筒井 麻衣子 寺島 伊予 中川 泰志郎 服部 秀志 林 慎介 原 芳明 松田 博行 村上 聖 矢野 高広 巌倉 正寛 大政 健史 川崎 ナナ 広瀬 明彦
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.15-29, 2017 (Released:2017-12-21)
参考文献数
17

The use of single-use systems has been getting more popular in biologics manufacturing. Utilization of this novel technology enables the efficient manufacturing, including prevention of cross contamination, flexibility to manufacture multiple products, and elimination of the need for cleaning and steam sterilization including those validations. In order to ensure the quality and stable supply of biologics, appropriate risk management considering the characteristics of the system is necessary. However, there is no regulatory document describing the examples or recommendations on it. In 2015, we published the White paper of “Approaches to Quality Risk Management When Using Single-Use Systems in the Manufacture of Biologics” in AAPS PharmSciTech, which was a fruit of discussion in the research group consisting of Japanese pharmaceutical manufacturers, single-use suppliers, academia and regulatory agencies. This review introduces the contents of the White paper with some revision reflecting the comments on it as well as the discussion in our research group after publishing the paper. The basic concept is consistent with ICH guideline on quality risk management. Here we describe the points to consider in risk assessment as well as in risk control when single-use systems are used in biologics manufacturing.
著者
千島 雄太 村上 達也
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese Journal of Educational Psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-12, 2016
被引用文献数
4

本研究では, 現代青年に顕著なキャラを介した友人関係について, 中学生と大学生の比較から検討が行われた。本研究の目的は, キャラの有無による心理的適応の相違に加えて, キャラの受け止め方とキャラ行動が心理的適応に及ぼす影響を明らかにすることであった。中学生396名と大学生244名に質問紙調査を行った。分析の結果, 大学生は中学生よりもキャラがある者の割合が多く, キャラがない者よりも自己有用感が高いことが示された。因子分析の結果, キャラの受け止め方は, "積極的受容", "拒否", "無関心", "消極的受容"の4つが得られた。得点とパス係数の比較を行った結果, 学校段階で違いが見られた。中学生では, 友人から付与されたキャラを受容しにくく, キャラに合わせて振る舞うことが, 心理的不適応と関連することが明らかになった。一方で, 大学生ではキャラ行動と適応には有意な関連が見られず, 付与されたキャラを消極的にでも受け容れることが, 居場所感の高さと関連していた。以上の結果から, 中学生におけるキャラを介した友人関係の危うさについて議論された。