著者
加藤 雪枝 橋本 令子 雨宮 勇
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

現代の社会生活においては、毎日の生活の中に人間が本来求めている方向性を見極め、安らぎのある生活空間を特に必要としている。本研究は最も身近な環境すなわち、生活環境の色、室空間容積と照明や音環境などを整え、日々のストレスを解消していく環境とは何かについて研究するものである。生理学的には刺激に対する人体反応の評価方法として有効な中枢神経活動や自律神経活動の測定方法を用いた。中枢神経活動の測定には脳波計を用い、自律神経活動の測定では心電計を用いた。心理学的にはSD法を実施し、因子分析などの解析法を用いた。生活環境下の光色刺激、室内空間や被服の色などの身近な生活環境の色彩について心理的・生理的影響を調べ、比較検討した。対象が異なっても、心理評価の活動性の因子は刺激の高い色において高まり、その結果、α波含有率が抑制され、HF成分は小値となり、評価性の因子が低下することが確認された。音刺激を受けるとα波含有量が増加する環境音は、小鳥のさえずりと風鈴であり、リラックス状態を示した。また花火は、情景を連想して興奮状態となるが、快適な気分となることが確認できた。ヒーリング音楽は、音楽開始後にα波含有量が増加し、音楽を聴取した場合の影響がわかった。そしてヒーリング音楽は、単調で落ち着く音楽が生理評価と心理的評価においてよい影響を与えることが明らかとなった。好みの音楽は、快適感を得る音楽と明るく元気のでる音楽が生理的、心理的評価によい影響を与えた。空間容積、内装色、照度の違いによる快適感の実験である。空間容積では、天井高が2.3〜2.7mで見ると4種の面積のうち6、12畳の長方形空間が快適感が高く、天井高2.3mに限定すると4,5畳が最も高いことがわかった。照度では、270Lx近辺で快適性の高い範囲があり、これは被験者の自室の大きさに近いことが影響を与えていると考えられる。照度を5Lx〜1500Lxに広げると照度が増す毎にα波出現率が下がることが示唆された。
著者
笹原 祐介 喜多野 征夫 家本 敦子 吉川 良恵 中野 芳朗 森永 伴法 竹内 勝之 川真田 伸 村上 能庸 玉置(橋本) 知子
出版者
兵庫医科大学
雑誌
兵庫医科大学医学会雑誌 (ISSN:03857638)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.95-104, 2007-12

我々は抜去した毛髪の毛包からケラチノサイトの培養を試み,培養法を確立するとともに得られたケラチノサイトの特性を検討した.このケラチノサイトは毛包バルジ部分に存在するバルジ幹細胞に由来するとされている.成人ボランティアよりインフォームドコンセントを与えられ毛髪を抜去することで毛包を採取した.男性10名,女性10名,年齢は20歳代から70歳代であった.各毛包提供者において,初期遊出が観察された率(初期遊出率)は20.0〜100%,平均48.5%であり,毛包提供者の全例で初期遊出細胞が得られた.これにより抜去毛包からの毛包ケラチノサイトの初代培養は性,年齢にかかわらず可能であることが示された.細胞数倍加時間は,対数的増殖を示す継代3〜5代の期間において27〜31時間,平均28.4時間であった.1毛包より最終的には1.4×10^<11>〜7.3×10^<12>の細胞数が得られ,継代2代から平均約26.2回の分裂を経たことになった.細胞数倍加時間や総細胞数は毛包提供者の性,年齢にかかわらずほぼ一定であった.またRT-PCRにより,継代4代までCD34遺伝子のmRNA発現が認められた.このことから得られた細胞は個体のエイジングにかかわらない体性幹細胞であるバルジ幹細胞に由来すると考えられた.このようにヒトバルジ幹細胞は,抜毛により侵襲が少なく採取でき,エイジングに関係せず一定の細胞数を効率よく,確実に得られるため再生医療の細胞材料として有用と考えられた.
著者
橋本 新士 安江 孝道
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.61, pp.19-24, 1998-11-12

We have produced the 'smapling frequency conversion system' to enable to connect directly, as they could remain digital signal, the MD (Mini Disk) system which were induced as a player of sponsor-comment with AES/EBU equipment. By using this system, we will be able to convert the digital audio signal such as MD and consumer CD player output to the signal which digital VTR accept directly. On exploiting this new conversion system, we have thought much of enough performance and reliance as broadcasting equipment, low cost making, and short term producing. Our company has carried out the every process from planning to construction.
著者
菅野 卓治 橋本 裕之 大谷 登蔵
出版者
東北大学
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.53-57, 1978-09-16

The ion-exchange properties of cesium and strontium into zeolite from sodium salt solution has been studied in zeolite A, zeolite X, zeolite Y, mordenite and clinoptilolite. The distribution of cesium into mordenite from about 1〜2 M sodium chloride and sodium hydroxide solutions is considerably larger than that into zeolite A. The distribution coefficient for 2 M solution of sodium salts was about 300. Therefore, the seperation of cesium from sodium salt solution is possible by using mordenite. The distribution of strontium into zeolites from 1〜2 M solutions of sodium chloride and sodium nitrate were in the order of zeolite A>zeolite X>zeolite Y&sime;mordenite. The distribution coefficient of 230 was obtained for 1 M solutions of sodium salts. The anion in solutions had no effect on the distribution of cesium and strontium into zeolite from sodium salt solution.
著者
遠西 昭壽 川上 昭吾 大高 泉 吉田 淳 平野 俊英 楠山 研 森本 弘一 磯崎 哲夫 橋本 健夫 劉 卿美 遠西 昭壽
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アジアの中で発展が急な韓国、中国、台湾、シンガポール4ヶ国、中国については教育特区の北京、上海、香港の理科教育の実態を調査した。アジア各国は例外なく理科教育の充実に努めている。特に、韓国では英才教育院、科学英才教育院において英才教育が進められていること、シンガポールでは2007年に「シンガポール大学附属理数高校」(National University of Singapore High School of Math and Science)、理数教育に特化した高校が開校していることが特記すべきことである。コンピュータ教育の充実も盛んに行われている。特に、シンガポールでは国が力を入れ、コンピュータはインターネット、電子黒板等多面的に利用されている。いじめがあるのは日本で、韓国では問題になりつつある。その他の国ではこの問題はない。3年間の本研究で、韓国、中国(北京、上海、香港)、台湾、シンガポールの研究者との交流を深めることができ、国際シンポジウムを開催することもできて、今後の研究交流の基盤が整備されたことは、大きな成果であった。
著者
赤川 安正 市川 洋一郎 久保 隆靖 相良 正明 永金 幸治 里見 圭一 橋本 正毅 津留 宏道
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.227-234, 1992-12-01
被引用文献数
2

本論文の要旨は平成4年8月2日日本口腔インプラント学会中国四国支部総会において発表した。本論文は,広島大学歯学部附属病院において行われた京セラ株式会社からの受託臨床研究における治験症例の観察結果をまとめたものである。
著者
松本 紘 BOUGERET Jea ANDERSON Rog 小嶋 浩嗣 GURNETT Dona 村田 健史 笠原 禎也 八木谷 聡 臼井 英之 大村 善治 岡田 敏美 筒井 稔 橋本 弘蔵 長野 勇 木村 磐根 BOUGRET Jean-Louis ANDERSON Roger r. GURNETT D.A. BOUGERET J.L ANDERSON R.R
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

平成7年度には、GEOTAIL衛星は、地球から30Re付近の近地球軌道にあり、WIND衛星も主に、昼間側の太陽風の定常観測状態にあった。一方、同年度8月には、ロシアの衛星INTERBALLが、3月には、米国の衛星POLARが打ち上げられ、ISTP衛星による磁気圏の総合観測体制がほぼ整ったといえる。これらの衛星のうち、INTERBALL、POLAR衛星は、打ち上げ後、まもないということで、具体的な共同観測については、来年度に行われる予定であり、本年度は、主に、WIND衛星との共同観測を昨年度までのAKEBONO、Freja,ULYSSES衛星との共同観測に加えて重点的に行った。以下に、交付申請書の調査研究実施計画の項目に従って研究成果を列挙する。1.まず、惑星間衝撃波の観測でGEOTAILとWIND衛星で同時に観測を行った例において、WIND衛星で観測された磁場やプラズマの変化とそのGEOTAILでのある時間遅れでの観測、そしてそれに対応するプラズマ波動の強度の変化について解析を行った。その中には、衝撃波の到来とともにGEOTAILがバウショックを何度もよぎる現象がみられるものがあり、惑星間衝撃波の影響によりバウショックの位置が変化している様子を観測することができた。2.磁気圏昼間側のショック領域全面で発生しているといわれている2fpエミッションの観測をWIND、GEOTAIL両衛星を用いて行い、その発生時間や周波数変化の時間差から、その発生領域がやはりショック全面にあることが確認された。現在その位置的な偏りについても、より多くのデータを集めて解析を行っている。3.GEOTAILによって磁気圏内部で観測された「振幅変調をうけた電子プラズマ波」と同様な波形がWIND衛星によって太陽風中でも観測されていることがわかった。GEOTAILでの観測では、その波動の伝搬方向は外部磁場に対して平行、垂直の両者があることがわかっていたが、現在までのところWINDの方では平行伝搬のみがみつかっている。4.POLAR衛星の打ち上げに伴う共同観測体制を整えるための情報交換をアイオワ大学と行っている。5.POLAR衛星の打ち上げが遅れて本年度の3月になったため、具体的な共同観測は来年に執り行われることになる。6.本研究課題に関連して投稿された論文リストは、本報告書の研究発表欄に列挙する。以上が、交付申請書に書かれていた計画に対応する報告であるが、上述の他に、以下の項目についても共同研究を行った。1.極域で観測されるイオンサイクロトロン波とイオンコニックス分布との相関をAKEBONO衛星とFreja衛星の共同観測で明らかにした。2.極域で観測されるAKRの観測をGEOTAIL、WIND衛星で共同して行い、その観測が衛星の位置によってどのように変化してみられるかの評価をを行い、AKRの伝搬特性についての解析をおこなっている。3.太陽バースト伝搬をGEOTAIL、WIND衛星で同時に観測し、その強度を比較することにより、両者の受信機の較正を行った。
著者
橋本 公雄 徳永 幹雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.121-128, 2000-02-10

本研究はスポーツ競技のパフォーマンスを予測するための分析的枠組みを検討するため,筆者ら(1988a)のスポーツ競技不安モデルに準拠し,競技特性不安,競技状態不安,心理的競技能力,認知的評定,不安対応策などの主要な変数を用い,重回帰分析法によって検証したものである。調査対象は平成2年度第72回高校野球選手権地方大会決勝戦に出場した優秀な高校野球選手284名であった。主な結果を要約すると,つぎに示すとおりである。1) 10項目からなる心理的パフォーマンス尺度得点は実力発揮度と有意な関係がみられたことから,実力発揮度を測定していることが示唆された。2) 心理的パフォーマンスを予測するとき,競技状態不安独自に有意な説明力を持っていたが,これに不安対応策の実施数を加味すると,さらに説明力が高くなり12.2%を説明した。また,心理的パフォーマンスを心理的特性変数から予測するとき,競技特性不安の有効性は認められず,心理的競技能力のほうが高い説明力(24.9%)を持っていることが明らかにされた。3) 競技状態不安尺度得点はあがりの自己評価と有意な関係がみられ,いわゆる「あがり」の状態を測定していることが示唆された。また,その競技状態不安を予測するのに競技特性不安が極めて高い説明力(43.5%)を持っていることが分かった。しかし,認知的評価は期待に反してその有効性は確認されなかった。
著者
中辻 史好 林 美樹 橋本 雅善 丸山 良夫 馬場谷 勝廣 平尾 佳彦 岡島 英五郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1914-1918, 1985-12-20

膀胱原発のMalignant fibrous histiocytoma(以下MFHと略す)は極めてまれであり,本邦では現在までに1例のみ報告されているにすぎない.本症例は排尿困難を主訴として1982年6月4日当科を受診し,膀胱鏡にて頂部右側に直径約2cmの表面平滑な腫瘍と三角部に小豆大の乳頭状腫瘍を認めた.入院時諸検査に異常を認めなかった.膀胱二重造影,膀胱エコー,膀胱CT及び骨盤動脈造影にて頂部の腫瘍は臨床的深達度T_3a,三角部の腫瘍は臨床的深達度T_1の診断のもとに7月28日TURBtを施行した.病理組織学的に頂部の腫瘍はMFH,三角部の腫瘍はInverted papillomaと診断され,頂部の腫瘍に対しては8月10日膀胱部分切除術を施行した.術後vincristine 1mg,peplomycin 10mg,adriamycin 30mgによる多剤併用化学療法を3コース施行し,liniac 4,200radを照射した.術後28カ月現在,再発転移を認めず,経過観察中である.
著者
徳永 幹雄 高柳 茂美 磯貝 浩久 橋本 公雄 多々納 秀雄 金崎 良三 菊 幸一
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

本研究は、スポ-ツ選手に必要な「精神力」の内容を明らかにし、その診断法とトレ-ニング法を明らかにすることであった。3年間の研究成果は、次のとおりである。1「心理的競技能力診断検査」および「心理的パフォ-マンス診断検査」の作成スポ-ツ選手に必要な精神力の内容は、競技意欲を高める能力(忍耐力,闘争心,自己実現,勝利志向性),精神を安定・集中させる能力(自己コントロ-ル,リラックス,集中力),自信をもつ能力(自信,決断力),作戦能力(予測力,判断力)および協調性の5因子(12尺度)であることが明らかにされた。これらの結果、52の質問項目から構成される心理的競技能力診断検査と10項目から構成され、試合中の心理状態をみる心理的パフォ-マンス診断検査を作成した。いずれの調査も精神力の自己評価、実力発揮度の自己評価、競技成積などと高い相関が認められ、その有効性が証明された。また、2つの検査法には高い相関が認められ、心理的競技能力診断検査で高い得点を示す者ほど試合中に望ましい心理状態が作れることが予測された。今後、スポ-ツ選手の心理面のトレ-ニングに活用されるであろう。2心理的競技能力のトレ-ニング心理的競技能力診断検査の結果にもとづいて、それぞれの内容をトレ-ニングする方法をカセット・テ-プにまとめた。その一部は平成2年度国民体育大会福岡県選手に適用した。また、一般のスポ-ツ選手を対象としたメンタル・トレ-ニングの「手引き書」も作成した。3報告書の作成過去3年間の研究成果を報告書としてまとめた。
著者
大場 清 横川 光司 橋本 義武
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

我々は,複素平面上のある種の図形である稲妻対というものを考え,その稲妻対からdipoleを持つリーマン面を構成する方法を利用して,リーマン面のモジュライ空間の位相的な性質を明らかにしていくことを目的として研究を進めた.稲妻対は,深度と呼ばれる非負整数と複素数のあるある条件を満たす列と対称群の対という組み合わせ的データにより与えられるものであり,そのデータからリーマン面の種数が如何に決まるかを決定した.また,リーマン面上の2次微分に關するStrebelの研究を通して,我々の研究がdipoleのみの状況から一般の第2種アーベル微分を持つリーマン面へと拡張できることがわかった.リーマン面は標数0の代数曲線であるが,正標数の代数曲線に関しても,前丹後構造という概念を導入して,小平の消滅定理が成立しない代数曲面をモジュライ空間の中で正の次元をもつほど多く構成することができた.数理物理的側面からは,最も基本的なリーマン面である2次元球面に関連して,5次元Ads Kerrブラックホールの2つの地平線を近づけrescaleして極限をとることにより,2次元球面上の3次元球面束上に可算無限個の新しいEinstein計量を構成することに成功した.また,Killingベクトル場のツイストにより,Gauntlettたちにより構成されたコンパクトな佐々木-Einstein多様体を再構成することも行った.一方,稲妻対のある種の高次元化として,6次元球面にsmoothに埋め込まれた3次元球面たちを考えた.これはHaefliger結び目と呼ばれる高次元結び目であり,我々は(6,3)-型のHaefliger結び目の結び目解消数を定義して,そのすべてを決定した.
著者
橋本 朋広
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

祭りの調査研究によって臨床心理学的象徴研究を進展させたと考えられる。具体的には,各季節の祭りにおける代表的象徴を明らかにし,各象徴を使用した代表的祭りを調査した。そして,祭りにおける人間と象徴の相互作用を考察し,祭りにおける象徴的時空間の構成過程,通過儀礼におけるリアリティ変容の心理学的構造,春の火祭における火のイメージの心理学的構造,象徴的体験を分析する枠組みとしての象徴的現実の構造解析などを行った。
著者
橋本 洋志 坪井 利憲 大山 恭弘 苗村 潔 天野 直紀 石井 千春 小林 裕之
出版者
東京工科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,日常生活で現れる手の動き(箸や鉛筆の使い方,玉遊び等)を時系列データとして取得し,動きの特徴を表す特徴量を抽出して保存する(アーカイブ(archive)と称す)とともにこの特徴量をハンドガイド(写真参照手に装着して自動制御によりワイヤー型アクチュエータで5本の指を動かす)に送ることにより,ハンドガイドを手に装着した人間に,力覚として手の動きそのもののインストラクションを行えるようにすることにある。本年度では,前年度までの実験結果を基にして,次の成果を得た。● 指関節角度の時系列データに対する主成分分析法により,第1主成分が,動きの巧みさの指標となりうること,また,指関節角度の時系列データのうち,箸使いでは,人差し指と中指の間の角度に対する標本分散が,箸使い上手さの指標となりうることがわかった。● 玉回しでは,親指を含めた3本の指先関節が周期的に動くことが上手さの鍵となることがわかった。また,手の動きに関連して,副次的に次の知見を得た。● 手の力覚を用いて,人間の周囲にある障害物環境を認職できるという視覚の代替感覚を実現できることを明らかにした。● 人間がレクリエーションの一環として太極拳の動作を行うとき,手先の動きが重要であることが判明した。これは上手に動こうとするときの指標として,手先でバランスをとったり,スムーズな動作移行のときに手先反動を用いているためで,人間の動作と手の動きとの関連性に注目することが必要であることがわかった。以上の知見をもとに,指先のみならず手先の動きがしなやかになるようなインストラクションディスプレイのプロトタイプを構築し,臨床実験を通してその高い利便性・使用性を立証した。さらに,指先のモーションアシストデバイスを試作し,指の感覚とその動かし方に関する幾つかの知見を示した。
著者
橋本 健二
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,2足歩行ロボットの足部に着目し,砂利道や砂地などの脚接地面が変形するような路面に対する適応歩行の実現を目指し,接地面積が大きく確保でき,路面との接地圧を分散可能な足部機構を開発することを目的とする.しかし,足部機構単体だけではそのような路面すべてに対応することが困難であると考えられるので,歩行を安定化させる制御の開発も必要に応じて行う.計画の前半である平成19年度では,以下の2点について研究を推進した.(1)路面形状保持機構の考案路面の凹凸にならう際に接地面積が大きく確保でき,路面との接地圧を低減させることが可能な路面形状保持機構を考案した.これはスチールボールと永久磁石からなり,路面の凹凸にスチールボールがならい,ロック時にはそこに磁場をかけ,路面形状を保持するというものである.(2)着地衝撃緩和を目指した不整路面適応制御の構築これまでに考案してきている着地軌道修正制御は,そのアルゴリズム上の問題のため,歩行時における着地衝撃が問題となり,継続的な歩行安定性に悪影響を及ぼすという問題点があった.そこで,不整路面に適応しつつ,着地時における衝撃力を緩和する歩行安定化制御のアルゴリズムを考案した.着地時におけるならい動作および着地衝撃緩和に関しては,遊脚中にモータの位置ゲインを下げることにより脚部コンプライアンスを上げ,足底6軸力センサにて測定される力の微分値の立ち上がりにより着地を検知し,運動量保存則に従い,足先速度を0にすることで衝撃緩和を図った.この手法により,従来用いていた着地軌道修正制御においておよそ1000N程度発生していた着地時における衝撃を,およそ400N程度と,自重の30%程度にまで低減させることに成功した.
著者
宗像 恒次 橋本 佐由理 橋本 佐由理
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

がん生存者の効果的なストレスマネジメントのために、Webを用いた電子学習プログラムを開発することを目的とした。研究1で、DVDを用いた電子学習プログラムを開発し、実施前、後、1週間後において、ストレス対処力が有意に高まり、ストレス蓄積性の高い行動特性や抑うつが低下し、免疫力の向上が見られた。研究2では、筑波大学にサーバーを置き、Webで無料配信するeプログラムを構築し、効果を分析した結果、ストレス蓄積性の高い行動特性が有意な低下を示した。がん生存者が自らの感情を過度に抑えず、素直に自分を表現し、必要時に周りに救援を求められる行動特性への変容が考えられ、DVDと同じようなストレスマネジメント効果が確認できた。
著者
安藤 敏夫 上田 善弘 橋本 悟郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-26, 1992-02-25
被引用文献数
5

Petunia属の今後の研究に資する為,Calibrachoa属を含めた広義のPetunia属を記載した文献,71編を集め,最新の記載に従って配列し解析した.文献には,64種類の種名が認められ,それらはFries(1911),Wijsman and de Jong (1985)およびWijsman(1990)に従って7グループに類別できた.そのうち,およそ40種類の種名は,採用可能なものであったが,いずれも今後の検討を必要とした.いくつかの種名に対しては,手続き上の誤りが認められた.ブラジル,ウルグアイ,アルゼンチン,パラグアイ及びボリビアに於けるPetuniaの分布がまとめられ,各国,各州に分布する種数が推定された.それぞれの種に対して,タイプ標本の種類とその存否が検討された.
著者
川合 將義 渡辺 精一 粉川 博之 川崎 亮 長谷川 晃 栗下 裕明 菊地 賢司 義家 敏正 神山 崇 原 信義 山村 力 二川 正敏 深堀 智生 斎藤 滋 前川 克廣 伊藤 高啓 後藤 琢也 佐藤 紘一 橋本 敏 寺澤 倫孝 渡辺 幸信 徐 超男 石野 栞 柴山 環樹 坂口 紀史 島川 聡司 直江 崇 岩瀬 宏 兼子 佳久 岸田 逸平 竹中 信幸 仲井 清眞
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

高エネルギー高強度陽子ビーム場の材料は、強烈な熱衝撃や放射線によって損傷を受ける。衝撃損傷過程と影響を実験的に調べ、その緩和法を導いた。また放射線損傷を理論的に評価するコードを開発した。さらに、損傷に強い材料として従来の材料に比べて強度の4倍高く室温で延性を持つタングステン材と耐食性が4倍高いステンレス鋼を開発した。衝撃実験における応力発光材を用いた定量的な方法を考案し、実用化の目処を得た。
著者
内田 雄三 野川 辰彦 山下 三千年 橋本 茂廣 藤井 良介 畦倉 薫 橋本 芳徳 石川 喜久 小武 康徳 猪野 睦征 日高 重幸 北里 精司 大江 久圀 柴田 興彦 石井 俊世 下山 孝俊 三浦 敏夫 調 亟治 辻 泰邦 関根 一郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.891-900, 1979-12-01
被引用文献数
7

癌浸潤が肉眼的に胃, 十二指腸の両側におよんでいるとみなされた79例について, 臨床的ならびに病理組織学的に検索し, 切除度および術後再発を左右する因子について検討した. 臨床的十二指腸壁に癌浸潤が確認された症例は79例中35例 (44.3%) で, その発生側はほとんどの症例で明らかでないが, 胃癌の十二指腸浸潤と考えるよりは, その進展の態度ならびに臨床的意義から, 胃・十二指腸境界部癌の概念で把握するのが妥当と思われる症例が6例みられた, この概念に該当する症例は肉眼的に Borrmann1, 2, 3型である. 十二指腸壁内先進部は m および sm にあり, リンパ管内蔓延が問題となる. 転移では(8), (12) および (13) 節が第一群リンパ節としての意義を有する.