著者
坪内 優太 髙橋 兼人 兒玉 吏弘 井上 仁 池田 真一
出版者
公益社団法人 大分県理学療法士協会
雑誌
大分県理学療法学 (ISSN:13494783)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-45, 2021 (Released:2021-05-14)
参考文献数
15

世界ではCOVID-19と呼ばれる新型コロナウイルス感染症2019のパンデミックが発生しており,日本も例外ではない.COVID-19患者の中には,重度の運動機能障害を呈する症例も報告されていることから,理学療法士には十分な感染予防対策と適切なリハビリテーションの提供の両立が求められる. 我々は2020年4月,COVID-19患者の受け入れを想定し,事前にリハビリテーション実施基準および介入方法に関する規定を作成した.その後,当院でExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO) 導入に至った重症COVID-19患者を受け入れ,当部にもリハビリテーション実施の依頼があった.多職種・多部門間での連携を積極的に取りながら,医師・看護師を介して早期から非直接的にリハビリテーションを提供した.Polymerase chain reaction (PCR) 検査の陰性確認後は直接的介入を開始し,運動療法だけでなく,直接飛沫に十分注意を払いながら呼吸理学療法も実施した.多職種が連携することで,院内での感染拡大を防ぎつつ,シームレスなリハビリテーションを提供することができ,スムーズに自宅復帰へとつなげることができた. この報告が今後のリハビリテーション実施医療施設におけるCOVID-19対策の一助になれば幸いである.
著者
河内 彩香 村田 晶子 長谷川 由香 竹山 直子 池田 幸弘
出版者
法政大学
雑誌
多文化社会と言語教育 (ISSN:24362239)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.30-45, 2021 (Released:2021-05-10)

2020 年度、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの大学がオンライン授業に移行し、所属大学の日本語教育プログラムにおいても春学期と秋学期の授業が全面的にオンラインで行われ、LMS(Learning Management System)とオンライン会議システム(Zoom)による双方向授業を組み合わせて教育活動を行った。これまで、日本語教育におけるこれら二つを組み合わせた授業の詳細の分析はまだ十分にはなされていない。地理的な境界線を越えて実施することができるオンライン教育はコロナ収束後も発展していくことが予想されており、この実践を一過性のものとしてとらえるのではなく、実践を記録し、その効果や問題点を発信していくことが今後の言語教育の発展のために重要である。こうした点を踏まえて、本稿では、日本語教育プログラムにおいて実施した Zoom による双方向授業と LMS(Google Classroom)を組み合わせたオンライン教育の実施状況を記述し、レベル別、技能別の教育におけるオンライン教育のメリットと課題を分析した。
著者
安岡 孝一 山崎 直樹 二階堂 善弘 師 茂樹 Wittern C. 池田 巧 守岡 知彦 鈴木 慎吾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

古典漢文における動詞の作用域、すなわち「動詞の後に置かれる項」のまとまりを、自動抽出する手法の開発をおこなった。具体的には、Universal Dependenciesと呼ばれる文法記述手法を用いて、いわゆる四書(『孟子』『論語』『大學』『中庸』)の係り受けコーパスを制作し、これを用いて、古典漢文の形態素解析と依存文法解析(係り受け解析)をおこなうツールUD-Kanbunを作成した。さらに、このツールを発展させて、動詞の作用域を元に返り点の自動生成をおこない、日本語の活用語尾と助詞を自動で付加することで、自動的に訓読をおこなうツールUD-Kundokuを試作した。
著者
池田 健雄
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of studies on humanities and public affairs of Chiba University (ISSN:24332291)
巻号頁・発行日
no.40, pp.22-41, 2020-03

[要旨]1938 年 5 月に近田良造(ちかだりょうぞう)医師は東京に生まれ、医学専門学校卒業後、市内の医院に内科医として勤務中に、善隣協会の「対蒙古民族のへ医療に貢献」に賛同、転職した。翌月、善隣協会本部から中国内蒙古・包頭(ほうとう)市勤務を命じられ、善隣協会包頭診療所に単身赴任する。彼は外来以外にも回民、蒙古族の居留地に出かけ、内科以外の眼科、性病科等の治療を行う。彼は日本人学校の校医・保護者会長など歴任し 1945 年 9 月まで包頭で過ごす。1945 年 10 月、医師一家は北京経由で帰国できず、山西省太原(さんせいしょうたいげん)に到着した。閻錫山(えんしゃくざん)が日本軍・住民を引入れ「山西王国」を建設中であった。近田医師は現地の太原共済医院副院長の職を得た。知識人として「山西王国」の要職に就いた為、1949 年、閻錫山軍の敗戦により、山西残留の幹部として逮捕される。1956 年、彼は 70 歳で日本に帰国したが、再び「医師免許」取得に挑戦し、72 歳で合格した。その後、彼は埼玉県で近田医院を開業し、84 歳まで一医師として生涯現役を全うした。
著者
池田 真利子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

世界においてナイトライフ研究への注目が2010年代以降高まりつつある.地理学においても,イギリスの学術誌Urban Studiesで「都市の夜間に関する地理」(2014)が特集号として発表されるなど,都市間競争の苛烈化と24時間経済の覚醒を背景に,夜間時間Night timeと夜間経済Night-Time Economiesへの注目が増している.国内ではナイトライフを体系的に論じた従前の研究が少な,ナイトライフ観光がインバウンド・アウトバウンド観光双方において欧米系旅行者に特有のものと認識されてきたが,ナイトライフ空間の地理的特性や観光行動の具体性などは吟味されてこなかった.しかし近年では,日本人の若者の観光行動との関わりも顕著となりつつあり,観光のみならず,社会・経済的側面等からのアプローチも求められつつある.そこで本発表では,国内におけるナイトライフ研究の可能性を模索すべくナイトライフ観光に焦点を当て,それら資源の具体性や研究可能性を探る.こうした世界の都市における夜間経済への動きのなかで,東京では既にプレ・オリンピック,ポスト・オリンピックの文脈において,実社会で変化の兆しが窺える.前者はナイトライフ観光の資源化であり,後者は夜間経済への注目である.例えば東京都は2017年度初頭に発表した『PRIME観光都市・東京-東京都観光産業振興実行プラン』において,ナイトライフ観光推進の必要性を明文化した.後者は世界的な流れでもあるが,例えば2012年のオリンピック開催都市であるロンドンでは,金曜・土曜の夜間地下鉄Night Tubeの就航が2016年以降開始されるなど,特定の大都市においては夜間経済活性化の動きがみられる.日本でもナイトクラブ運営などに適用されていた法律である風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下,風営法)の改正(2016年6月23日施行)が,東京都港区・渋谷区を中心に活性化するなど,夜間経済の合法化への動きもみられる.こうした動きは,ポスト・オリンピックにおける変化の要因と成り得る「特定複合観光施設の整備の推進に関する法律」(2016年12月15日成立)を見据えた動きとしても理解できる.こうした状況において,渋谷区は伊藤園,観光協会および國學院大學との協働で2017年6月より「渋谷ナイトマップ」の配布を開始するなど,都内一部地域では観光資源化の動きが強まっている.同事業は先述した風営法改正1周年記念イベントとして行われた官民協働事業であり,ナイトライフを資源化した動きとしては国内初のものであるという<sup>2)</sup>.こうした動きの中で,夜間時間特有の観光形態や観光資源への注目が今後より一層,求められると推測される.
著者
高良 倉吉 狩俣 繁久 赤嶺 政信 山里 純一 豊見山 和行 池田 栄史 真栄平 房昭
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

歴史学分野では戦後のアメリカ統治期の約5年間に与那国島を南の拠点とし、口之島を北の拠点とする密貿易・密航ルートが先島諸島・沖縄諸島・奄美諸島・トカラ列島そして九州にまたがって形成されていたことから、トカラ列島の問題を前近代史に限るのではなく、現代史にも位置づけ直す必要がある点が確認された。沖縄県立博物館所蔵の古図の分析を本格的に行ない、同図が15世紀中期に朝鮮で作成された琉球国之図に近似していること、原図作成者と見られる中世の九州海商がすでに九州・トカラ・奄美そして琉球に至るネットワークを形成し、彼らの活動舞台に関する詳細な情報を入手していたことなどが明らかとなった。この古図の分析結果は中世日本史の分野に対する十分な問題提起になりうると思う。トカラ列島中之島を対象とする民俗学的調査では過疎化や住民の交替などにより古層を伝える伝承者がすでに存在せず、むしろ能動的な民俗変容こそ問題とすべき段階にあることが葬墓制の事例研究などから明らかとなった。言語学的にみてトカラ方言が九州方言と琉球方言をつなぐ重要な位置にあり琉球方言形成史解明のための手がかりを与える方言であることが確認された。研究の最終作業として行なわれた2度にわたるワークショップでは、トカラ列島の位置づけをめぐって薩摩・九州からの視点と奄美・沖縄からの視点だけでなく、中国をふくめた環東シナ海における位置づけが重要であるなどの論点と今後の主要な課題が確認できた。
著者
池田 伸 宋 龍平 来住 由樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.347-354, 2019-03-15

はじめに 近年の人工知能(artificial intelligence:AI)技術の発展には目を見張るものがある。「第3次AIブーム」とも言われ,産業や科学のみならず,芸術,金融,行政,司法,軍事など人間社会のおよそあらゆる領域において,その利活用が模索され始めている。 医療も当然ながらこの趨勢と無縁ではない。国内では,厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」(2017年6月27日)6)において,6つの重点領域として,①ゲノム医療,②画像診断支援,③診療・治療支援,④医薬品開発,⑤介護・認知症,⑥手術支援が挙げられており,精神科領域についても,AI技術を用いることで診療の精度が向上し得る可能性があると言及されている。 では,現在の精神科医療において,実際どの程度までAI技術の利活用が進んでいるのであろうか。試みにPubMed上でAI関連のキーワードを用いて検索を実行してみると,ヒットする論文の数は年々増加しており(図1),精神科においてAI技術の活用が確かに浸透しつつあることが窺える。 本稿では,まず精神科におけるAI活用の現状を把握する目的で,PubMedにおいて2017年に公開された論文のうち,精神科領域におけるAI活用に関連するものを選別し,扱われている臨床事象,解析対象となったデータの種類,AI活用の目的,活用されたAI技術などについて分類と集計を行う。次いで,AI活用に関連する現在の諸課題と今後の展望についても考察する。
著者
池田 健一 葛西 弘 合田 愛 村上 教介 仲村 華人 石原 竜 澤畠 拓夫
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = MEMOIRS OF THE FACULTY OF AGRICULTURE OF KINDAI UNIVERSITY (ISSN:21896267)
巻号頁・発行日
no.53, pp.46-70, 2020-03-31

[Synopsis] There are no reports of the ant fauna at the Kindai University Faculty of Agriculture, and there is a lack of records for the ant fauna in Nara Prefecture. Therefore, we surveyed them around the campus and searched the past records in literature in Nara Prefecture. As a result, 66 species including 9 rare species and 4 alien species were recorded. The ant fauna had larger species number than the surrounding area and it was species composition including species living diverse habitat. This result suggests that the ant fauna is influenced by the unique environment of the campus that includes Satoyama forest and artificial environment.
著者
一幡 良利 浅賀 久美 池田 尚弘 木村 佳代 竹谷 恵美
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.269-272, 1999-03

皮膚表面に常在する細菌に対するエタノールの消毒効果と持続性を検討した。消毒回数と生菌数の減少ならびに出現は一致しており、消毒回数の多いほど生菌数の減少が著しく、持続性も長かった。皮膚表面から分離した表皮ブドウ球菌の消毒薬に対する効果を形態学的に観察したところ、細胞壁の断裂ならびに細胞質内のタンパク変性が顕著で確実に死滅していた。以上の事実から、消毒用エタノールの細菌に対する効果は、殺菌的に働く故に的確に用いれば、持続性もあり有効な薬剤であることが判明した。
著者
岩崎 貴也 阪口 翔太 横山 良太 高見 泰興 大澤 剛士 池田 紘士 陶山 佳久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.183-199, 2014-11-30 (Released:2017-05-20)
参考文献数
97
被引用文献数
1

生物地理学は、歴史的側面や生態的側面などの観点から、生物の分布パターンや分布形成プロセスの解明を目指す学問であり、進化生態学や群集生態学、保全生物学などの分野とも強い関連をもつ学際的領域である。1990年代以降、遺伝解析技術の恩恵を受けた系統地理学の隆盛によって、生物地理学は大きな発展を遂げてきた。さらに近年では「地理情報システム(GIS)」や、それを利用した「気候シミュレーション」、「生態ニッチモデリング」といった新たな解析ツールが、生物地理学分野に新しい流れを生み出しつつある。その基礎的な活用例として、現在の生物種の分布情報と気候要因から生態ニッチモデルを構築し、気候シミュレーションから得られた異なる時代の気候レイヤに投影するというアプローチが挙げられる。これにより、過去や現在、未来における生物の分布を予測することが可能となり、時間的な分布変化を推定することができる。さらに、GISを活用して、モデル化された生態ニッチや系統地理学的データを複合的に解析することで、近縁種間でのニッチ分化や、分布変遷史を考慮に入れた種分化要因の検証、群集レベルでの分布変遷史の検証なども可能となる。本総説では、最初に基礎的な解析ツールについて解説した後、実際にこれらのツールを活用した生物地理学とその関連分野における研究例を紹介する。最後に、次世代シークエンシングによって得られる膨大な遺伝情報や古DNAデータの有用性について紹介した後、それらの情報を用いた生物地理学や関連分野における今後の展望について議論し、GIS技術がその中で重要な役割を果たしうることを示す。
著者
太田 増美 池田 孝雄 安達 詩季 難波 隆夫 朝田 芳信
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.474-481, 2011-12-25 (Released:2015-03-14)
参考文献数
26

第一大臼歯の異所萌出は第一大臼歯の近心位への萌出により近接した第二乳臼歯の歯根吸収を引き起こし,後継永久歯の萌出余地不足を招来する。そのため,早急な第一大臼歯の正常な位置への誘導が必要である。今回,著者らは上顎第一大臼歯さらに上下顎第一大臼歯の異所萌出が認められた2 例においてバンド,エラスティックチェーン,リンガルボタンを利用したHalterman の装置とその改良型装置により第一大臼歯の遠心への萌出誘導を行った。これらの治療の結果以下のことが示された。1 .Halterman とその改良型装置は萌出誘導期間が2~3 か月と比較的短く,装着中に痛みや違和感を示すことはなかった。2 .Halterman 改良型装置は上顎だけでなく下顎の症例に対しても有効な装置であった。このことより,上下顎第一大臼歯の異所萌出に対してHalterman とその改良型装置は比較的容易に第一大臼歯を遠心に誘導することが可能であり,さらに短期間で行えることから患者に負担が少ない有効な治療法であることが示唆された。
著者
玉利 正人 池田 まどか 久冨 貴子 青山 佐和子
出版者
長崎大学教育学部
雑誌
長崎大学教育学部自然科学研究報告 = Science bulletin of the Faculty of Education, Nagasaki University (ISSN:0386443X)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.75-82, 1994-05-31

We wish to report on the effect of cooking on the properties and amounts of eicosapentaenoic acid (EPA) and docosahexaenoic acid (DHA) in fish, Pasific Saury. Change of EPA and DHA contents by cooking was investigated by gas chromatography. The contents of EPA and DHA of pacific saury were reduced by cooking. The most profound decreases in EPA and DHA contents occurred when pacific saury was broiled and boiled. The EPA and DHA were decreased to about 36% and 37% of the initial values by cooking of broil for 2 min., respectively. The EPA and DHA were decreased to about 30% and 36% by cooking of boil for 2 min., respectively. The EPA and DHA were decreased to about 52% and 49% by cooking of steam for 2 min., respectively. The EPA and DHA were decreased to about 81% and 77% by cooking of fry for a min., respectively. The EPA and DHA were decreased to about 72% and 67% by cooking of oven range for a min., respectivily. It has been demonstrated the stability of the EPA and DHA to cooking methods.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.554-565, 2006

【目的】第2世代抗ヒスタミン薬7剤について,スギ花粉症に対する初期療法の有効性ならびにcost qualityの比較を行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において初期療法に関するアンケート調査を行った.【結果】単剤療法を受けていた症例は,アゼラスチン15例,セチリジン15例,エバスチン36例,エピナスチン16例,フェキソフェナジン16例,ロラタジン群60例,オキサトミド群17例であった.無治療群510例を対照群とし,比較を行ったところ,全般症状改善度,くしゃみ,鼻汁および眼の痒みの程度に8群間で有意差が認められた.一方,7薬剤間に有意な有効性の差は認められなかった.各薬剤について「有効例1例を得るために必要な薬剤費」を算出したところ,cost qualityに優れる上位3剤は,アゼラスチン,ロラタジン,フェキソフェナジンであった.【結語】第2世代抗ヒスタミン薬7剤の有効性に明らかな差はなく,そのcost qualityには薬価が大きく関連していた.
著者
池田 宗平 藥師寺 祐介 江里口 誠 藤井 由佳 石束 光司 原 英夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.499-504, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

症例は51歳男性である.49歳時の脳梗塞発症1年半後に進行性の認知機能低下,易怒性,幻覚を契機に前医精神科病院へ医療保護入院となった.精神症状以外に小脳性運動失調をみとめ,当科へ転院した.頭部MRIで両側側頭極皮質下にT2高信号域をみとめ,髄液での炎症所見より辺縁系脳炎と考えた.その原因としては梅毒反応が血清と髄液で陽性であることを確認しえたことから神経梅毒と判断した.ペニシリンG大量療法を施行し,精神症状と小脳性運動失調,髄液所見,画像所見はいずれも改善した.若年者において,脳梗塞発症,または慢性進行性の精神症状,小脳性運動失調をきたす原因疾患の一つとして神経梅毒を鑑別にあげておく必要がある.
著者
神前 暁 八木 啓介 池田 克夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第58回, no.人工知能と認知科学, pp.41-42, 1999-03-09
著者
久我 むつみ 池田 稔 久木元 延生 安孫子 譲
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.1321-1327, 1998-11-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
12
被引用文献数
4 5

本研究は顔面神経麻痺の発症と肉体的および精神的ストレスの間に,何らかの関連性が存在するか否かを検討することを目的に行われた.対象は発症7日以内に日本大学医学部附属板橋病院耳鼻咽喉科外来を受診した顔面神経麻痺患者55例(男性23例,女性32例):Bell麻痺32例,Ramsay Hunt症候群23例である.初診時に麻痺発症前の1週間に肉体的あるいは精神的ストレスが存在していたかを問診した.また精神的ストレスに関して,新名の心理的ストレス反応尺度(Psychologi-cal Stress Response Scale 50 Items Revised:以下PSRS-50R)に従った問診も行った.肉体的あるいは精神的ストレスの有無についての問診では52例の症例で回答が得られた.麻痺発症前の1週間に肉体的疲労を感じていた症例は76.9%(40/52例)と高く,肉体的ストレスと顔面神経麻痺の発症の間には何らかの関連性が存在する可能性が推察された.一方精神的ストレスを有していたと回答した症例は51.9%(27/52例)であった.またPSRS-50Rによる精神的ストレスに関する問診の結果では,顔面神経麻痺患者の発症前の心理的ストレスレベルが非常に高いという結果は得られなかった.初診時の麻痺の程度と麻痺の経過および予後に影響を与える因子について,肉体的•精神的ストレスに関する問診結果を含めて重回帰分析を行った.その結果,発症前に肉体的疲労を有していたと回答した症例の方がNETが異常値を示しやすく,神経障害程度が高度であるという結果が得られた.
著者
村田 功二 富田 夏生 仲村 匡司 秋津 裕志 大崎 久司 浦上 晃 池田 真一
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.44-49, 2021-01-25 (Released:2021-01-30)
参考文献数
10

これまでの研究で国産材であるダケカンバ(Betula ermanii)が野球バットとして利用できることが分かった。ダケカンババットについて打音に関係するだろうと考えられる繊維傾斜角とバットの振動特性の関係を調べ,タモバットおよびメープルバットと比較した。また,反発性能としてボール・バット反発性能(BBCOR)を測定し,振動特性との関係を調べた。その結果,縦振動の固有振動数は繊維傾斜角と関係し,直交異方性弾性体として導かれた弾性率の換算式とよく適合した。打音は繊維傾斜角と関係し,バットの性能の指標となりうることが確認できた。各種バットに球速120km/hで衝突させたときのBBCORを測定した結果,ダケカンババットは最も優れた反発性能を示した。またBBCORはバットの内部摩擦と負の相関がみられ,衝撃によるエネルギー損失が反発性能と関与する可能性がある。