著者
鶴見 友子 大津 敏 池田 修 崎尾 秀彰
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.176-181, 2007 (Released:2007-03-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

待機的胃癌手術に持続硬膜外麻酔併用全身麻酔を行ったところ, 術直後からTh10以下の感覚および運動神経麻痺を呈した症例を経験した. 術後の硬膜外造影で血腫は否定された. MRIおよび脊髄造影の所見から脊髄動静脈奇形 (arterio- venous malformation: AVM) と診断した. 胸髄完全麻痺のため, 外科的治療の適応がなく, 治療はメチルプレドニゾロンの大量投与とリハビリとなった. 2ヵ月後対麻痺が回復することはなく, 合併症の悪化により死亡した. あらかじめ無症候性の脊髄AVMを診断することは困難であるが, 硬膜外麻酔後に対麻痺が出現したときには留意すべき疾患の1つと考える.
著者
池田 浩子 今井 昇 井川 雅子 岩井 謙 道端 彩 高森 康次
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.55-63, 2017 (Released:2019-04-24)
参考文献数
34

症例の概要:72歳男性.咀嚼時の両側咬筋の疲労感・開口障害による咀嚼困難を主訴に口腔外科を受診した.顎跛行,開口障害,複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みなどの症状が認められたため,精査目的に専門施設(神経内科)を紹介した.頸動脈エコー,側頭動脈生検の結果,巨細胞性動脈炎と診断された.ステロイド治療が施行され,速やかに症状の改善が認められた.考察:巨細胞性動脈炎は頭痛以外にも多彩な症状を呈する.顎顔面領域にも顎跛行や開口障害など様々な症状が発現するため歯科を受診する可能性も高いと考えられる.巨細胞性動脈炎が呈する症状のうち,顎跛行,複視,側頭動脈の拡大・圧痛・拍動消失は陽性尤度比の高い症状とされており,そのような症状が認められた場合は速やかに専門施設へ紹介することが重要である.そのためには歯科医師も巨細胞性動脈炎の病態を正確に理解しておく必要性があると考えた.結論:顎跛行および開口障害を主訴に口腔外科を受診し複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みおよびリウマチ性多発筋痛症の合併も考慮された巨細胞性動脈炎の症例を経験した.
著者
鈴木 重人 池田 典子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-45, 1992

わが国には「以上」「以下」という語いがあるが、一般には気軽にまたは不用意に使用されることが多い。本来「以」には「と」とか「ともに」という意味がある。例えば、「5以上」は「more than 5」ではなく「5以下」は「less than 5」ではない。児童は2年生算数の授業で不等号記号を、4年生国語で漢字の「以」を、6年生算数で「以上」・「未満」の併用を学習する。しかし、学校で正しく習得した知識が、彼らの成長の過程でテレビ、ラジオ、雑誌などの影響により、あいまいになりがちとなる。学校教育では「以上」・「以下」の併用は禁物であることを力説する必要がある。児童・生徒は「以上」・「未満」の併用の学習と同時に、実用法律用語にみられる「超」・「以下」の併用をも学習するよう指導されることが望ましい。
著者
光山 和彦 神原 浩平 鵜澤 史貴 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.13-16, 2010-02-10
被引用文献数
4

800MHz帯FPUの高度化を目指した研究を行っている.これまで伝送容量の増大と回線信頼性の向上を目的として,MIMO-OFDM伝送技術とLDPC符号を用いた誤り訂正技術を組み合わせた伝送装置の開発を行ってきた.今回実際の広島駅伝コースや長野マラソンコースの一部区間において,試作装置を用いた移動伝送実験を行い,MIMO検出器として実装したMMSEウェイトを算出するRLSアルゴリズムやLDPC復号の繰返し回数など受信システムの基本パラメータを最適化した.また,受信アンテナ数をパラメータとしてMIMO-OFDM伝送の回線信頼性をビット誤り率の累積確率分布を用いて比較評価したので報告する.
著者
阿美 咲良 東山 和寿 薗部 達哉 池田 直矢 勝又 洋樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.139, no.11, pp.764-767, 2019
被引用文献数
1

<p>1.はじめに</p><p>2018年10月11日,豊洲市場が開場を迎えた。水産物や青果物を取扱う日本最大の市場として,東京のみならず首都圏全体の食生活を支える。</p><p>東京都内には豊洲市場を含め11か所の中央卸売市場が存在する。中央卸売市場のルーツは江戸時代初期まで遡</p>
著者
吉村 寿人 山岡 誠一 平松 戊辰 森島 正彦 蜂須賀 弘久 吉岡 利治 池田 嘉代 立石 睦子 田中 典子 斎藤 晋哉 服部 加代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.230-236, 1961-09-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
14

In order to study the preventive and therapeutic effect of the amino acids administration for the sports-anemia caused by excessive sports trainings, the exercising albino-rats and sports-players in training were administered with amino-acids, and its effect on their blood composition was examined.The results obtained were as follows:When the albino-rats were forced to keep running for 14 days the“sports-anemia” appeared; progress of this anemia could be inhibited by the administration of threonine or its ferrous salt.Sports-players taking hard training can be prevented or recovered from the anemia by the long-period administration of composite amino-acids or threonine ferrous salt.
著者
早川 正祐 竹内 聖一 古田 徹也 吉川 孝 八重樫 徹 木村 正人 川瀬 和也 池田 喬 筒井 晴香 萬屋 博喜 島村 修平 鈴木 雄大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者 概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活か しつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。
著者
三好 甫 吉岡 義朗 池田 正幸 高村 守幸 Miyoshi Hajime Yoshioka Yoshiro Ikeda Masayuki Takamura Moriyuki
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所特別資料 = Special Publication of National Aerospace Laboratory SP-16 (ISSN:0289260X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.99-106, 1991-12

In a few years, a computer which processes CFD programs over 100 times faster than the Fujitsu VP400 and has a main memory capacity of more than 32G bytes will be required for CFD technology to play an important role in aerospace research and development. A distributed main memory parallel processor is free from the memory throughput bottleneck which prevents the implementation of shared memory parallel processors with the necessary speed. In the light of regular characteristics of CFD codes, a distributed memory parallel processor is likely to deliver the above-mentioned processing speed. Its characteristics include a physically distributed main memory which logically provides programmers with global and local memory views, processing elements with high speed RISC scalar units and high speed vector units with large capacity vector registers, and a crossbar network which interconnects a large number of processing elements. Such a processor can be suitably called the "Numerical Wind Tunnel". This paper describes the basic main memory structure, system configuration, processing element, and interconnection network and communication mechanism of the Numerical Wind Tunnel.
著者
鈴木 和博 中村 俊夫 南 雅代 池田 晃子 Suzuki Kazuhiro Nakamura Toshio Minami Masayo Ikeda Akiko
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.22, pp.121-134, 2011-03

Japanese Red foxes (Vulpes vulpes japonica) establish stable home ranges within particular areas or are itinerant with no fixed abode around human habitations. They are popular wild animals and feature prominently in the folklore of human culture. The population, however, was decreased until the beginning of the 1970's, and no fox has been seen since about 1975 in Kodenosawa, a small habitation about 17km NE from the urban area of Toyota City. A fox remains was found from the under floor of the Jizo-temple together with a ragged package of Nissin Chicken-Ramen which was used from 1971 to 1983. The fox's remains is c. 50 cm in body length. The left half of the remains exhibits soft tissues including skin and dried muscle, but the right half facing to the ground is completely decayed. To determine when the fox died, we measured 14C concentration in collagen extracted from a tooth and a rib of the remains. The δ13C (-18±1 ‰) normalized 14C concentrations are 129.2±0.4 pMC for the tooth and 129.0±0.4 pMC for the bone. Although the values intersect the calibration curve at 1962 and 1979, the 1979 age only agrees with the time span supported by the envelope of Chicken-Ramen. Drying of muscle tissue without rotting was likely to take place in cold winter. Thus, the fox's death is reasonably definable in the period from late November 1979 to early January 1980. The δ13C (-18±1‰) values suggest a diet containing a significant amounts of C4 food or protein with higher isotopic values. There is little C4 plants in Kodanosawa, but sizable amounts of cone were constantly brought from outside for cow's and chicken's food. A possible protein source is the herbivore and the omnivorous feeder within the area. An alternative may be marine fish and the derivatives including dog- and cat-food. To test whether the fox took food brought from outside or not, we analyzed the 87Sr/86Sr isotopic ratio of the remains. The 87Sr/86Sr isotopic ratios, 0.709439±0.000016 for the tooth and O.749464±0.000014 for the bone, are distinctly lower than those of wild boar's bone (0.709944±0.000016 and 0.709912±0.000012), river water (0.710079±0.000016) and the granite (0.710218±0.00016) that underlies the wide area of Toyota City. The initial 87Sr/86Sr ratio of 0.7096±0.0001 constrains the lowest isotopic ratio of water, plants and animals within the area. The distinctly lower 87Sr/86Sr values documents that the fox took sizable external food with higher δ13C values. After the disappearance of foxes from Kodenosawa around 1980, wild boars swelled in population. Voracious scavengers dug slope of hills side and paddy fields as they foraged for bulbs, yams, earthworms and grubs, and eventually ate voraciously paddy, sweet potatoes and beans in the field. This triggered the abandonment of cultivation of fields that face mountains. It is likely presumed that foxes were preventing wild boars from invading the human habitation through attacking Uribou, young wild boars. 愛知県豊田市小手沢町にある地蔵堂を建替えるために旧堂を取壊したとき,床下から乾潤びたキ ツネの遺骸が見つかった.遺骸の横に1971年から1983年まで使用されたデザインのチキンラーメ ンの袋があった. 口先から骨盤までの長さが約50cmの成獣である.遺骸の地面に接した右側半分 と尾は骨まで溶けて失われていた.左側半分には耳や皮膚も腐敗することなく保存されていたが, 体毛は全く残っていなかった.骨は白骨化し,前足の付け根の皮膚にのみ黒色の筋組織様のものが 付着していた. キツネの歯と骨から抽出したゼラチンコラーゲンの14C濃度(δ13C=-25‰に規格化)は129.2±0.4 pMCと129.0土0.4pMCである.この較正年代(1962年と1979 -1980) 年)とチキンラーメン袋の 使用期間および腐敗の無いことを総合して,キツネの死亡時期を1979年11月下旬~1989年1月上 旬と特定した.キツネのδ13Cは=-18±1‰である.小手沢地内にはC4植物が殆ど栽培されていない ので, 地域内の植物や小動物のみを食べていたと仮定すると,ほぼ完全な肉食をしない限りδ13C=-18‰にならない.一方,キツネの87Sr/86Sr比は0.70745 であり,分析誤差を超えて小手沢のイノシ シ(0.70993) ・川の水(0.71008) ・花崗閃緑岩の初生値(0.7096)より小さい. δ13C値と87Sr/86Sr比か ら,キツネは外来の餌(残飯を含む人間の食料やトウモロコシ主体の家畜飼料)を相当量摂取して いたと結論した. 地蔵堂の床下から見つかったキツネの死亡時期(1979年)は,小手沢地内でキツネが減少した時期 より約10年後で,イノシシの食害が顕在化する1980年代半ばに近い.人家に近い里山を縄張りと するキツネが,イノシシの人里進出を阻止していた可能性を考察した.第23回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成22(2010)年度報告
著者
池田仲治郎 編
出版者
帝国建築協会
巻号頁・発行日
vol.構造編 下, 1923
著者
池田 昌広
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.47, pp.73-86, 2014-03

大宝令の注釈書である「古記」の佚文都合3条に『漢書』顔師古注の引用を見出せる。「古記」が引用している種々の漢籍は,ほとんど原本系『玉篇』や類書など第2次編纂物からの孫引きだが,くだんの師古注文はそうではなく,『漢書』顔師古本から直接引用されたものと考えられる。また,その引用にあたって吉備真備の教導のあった蓋然性がたかい。この考察結果は,つぎの2つの問題の究明に資する。1つは「古記」の撰者問題。「古記」の撰者については,大和長岡説と秦大麻呂説とが並立しているけれど,真備の教導をうけうる人物であることから長岡説が有利になった。長岡と真備とは,769年に長岡が死去するまで,半世紀にわたり親しい友人関係にあった。最新の『漢書』学を学習し帰朝した真備から知的供与をうけやすい立場に,長岡はいた。もう1つは『日本書紀』の書名問題。「古記」は「日本書紀」の称謂の史料初出である。わたしは,この喚名の由来を真備から「古記」撰者への「正史」観念の伝学にもとめる私案を述べたことがある。真備から「古記」撰者への知的供与が一定の実証性をもっていえることは,私案の蓋然性をたかめる。くだんの知的供与が,ただ師古注にかぎられたとは考えにくく,そのうちに「正史」観念のふくまれていた可能性が十分みとめられるからである。
著者
井上 創造 藤井 達朗 小材 健 池田 大輔
出版者
九州大学附属図書館研究開発室
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.17-22, 2008-10

学術情報リポジトリの未登録コンテンツも含めたアクセス履歴を研究者に提示することで,研究者のリポジトリへの登録の動機づけを目指すシステムを実装した例を紹介する.未登録コンテンツは九州大学研究者情報から得ることができる.研究者情報の文献を閲覧者がたどってリポジトリにアクセスした履歴を,SNS(SocialNetworking Service)の研究者用マイページに表示することで,研究者はリポジトリに未登録の自分のコンテンツにどのくらいのアクセスがあったかを知ることができるようになり,その研究者がコンテンツをリポジトリに登録する動機づけになるばかりでなく,アクセスの多い論文から優先的にリポジトリに登録することにつながるため,真に利用価値の高いコンテンツの蓄積が可能となる.
著者
川上 直人 池田 心 石井 岳史 橋本 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020-GI-43, no.13, pp.1-8, 2020-03-06

世界的に親しまれているチェスと似たようなルールを持ちながら不完全要素のあるボードゲーム『ガイスター』では,駒を交互に動かし 3つある勝利条件のいずれかを目指す.ガイスターでは強い AI プレイヤの研究が盛んにおこなわれている一方,教育,楽しさを目的としたコンテンツ生成の研究もあり,2019年3月には『詰めガイスター問題』が発案された.詰めガイスター問題は,ガイスターにおいて確実に勝てる局面を問題化したものであり,終盤力を上げる教育的コンテンツとなっている.2019年11月には,逆向き生成法と証明数探索により19手問題が生成された.また,別アプローチとして後退解析によって得られた37手問題も紹介され,後退解析によって長手数問題を効率的に生成できるのではないかと考えられている.本研究では,駒数が少ない局面に限定し,『詰めガイスター問題』の後退解析をおこなった.結果,駒数が 2対2の場合において「一般問題」では勝ち191,992局面,負け514,214局面,引き分け654局面,最長勝ち19手,「公開問題」では,勝ち783,232 局面,負け402,822局面,引き分け227,666局面,最長勝ち37手になることを確認し,引き分けの存在を確認できた.また,先行研究で議論されていなかった,問題のカテゴリ分け,解の一意性について定義,実験をおこない,いくつかの知見を得た.
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
北川 晃 成田 晶子 山本 貴浩 池田 秀次 泉 雄一郎 萩原 真清 太田 豊裕 石口 恒男
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.163-168, 2017-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3

四肢は動静脈奇形の好発部位であり,血管内治療の果たす役割は大きい。その理由として,表在(皮下)病変,深部(筋・骨)病変のいずれにも経動脈的,経静脈的あるいは直接穿刺によるアプローチが比較的容易であることがあげられる。また,硬化療法を併用する場合,硬化剤の中枢静脈への流出を防止し,標的血管内に長時間停滞させることがポイントとなるが,そのための血流コントロールを確実に行うことが可能である。病変の解剖,血流動態を正確に評価し,症例に応じた適切な治療方法を選択することが,治療効果の向上と合併症の予防に重要である。