著者
阿瀬川 孝治 小澤 篤嗣 宮内 利郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.875-877, 1996-08-15

身体疾患による症状性をはじめ脳卒中や頭部外傷などの脳損傷による脳器質性の二次性躁状態は多くはないが,対応が困難なことから,近年リエゾン精神医学の重要な状態像の1つとされている5)。このうち頭部外傷による二次性躁状態の発生頻度は,Jorgeら3)によると9%とそれほど稀でないとされているが,現場からの精神科医への依頼が少ないためか,その報告例は散見するにすぎない。今回我々は,交通事故による頭部外傷(脳振盪)で救命救急センターに搬送された後に,躁状態を呈した1例を経験したので報告する。
著者
伊藤 寿宏 押木 守 小林 直央 加藤 毅 瀬川 高弘 幡本 将史 山口 隆司 原田 秀樹 北島 正章 岡部 聡 佐野 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.III_305-III_313, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
25

本研究では、流入下水中のヒト腸管系ウイルス濃度分布、及びWHOが推奨する許容年間疾病負荷(10-6 disability-adjusted life years per person per year)に基づいて、定量的微生物リスク評価(quantitative microbial risk assessment: QMRA)の手法を用いて下水再生水の利用用途ごとにウイルス除去効率の目標値を算出する手法を構築・提案する。代表的なヒト腸管系ウイルスとしてノロウイルスに着目し、流入下水中のノロウイルス濃度モニタリングデータを使用することで、6種類の下水再生水利用シナリオにおけるノロウイルスの下水再生水中許容濃度及び除去効率の目標値を試算した。本研究で提案した方法により算出したヒト腸管系ウイルス除去効率目標値を使用する際には、下水再生システム稼動後においても未処理下水中のヒト腸管系ウイルス濃度をモニタリングすることが求められる。また、用量反応モデル情報の更新と、下水再生利用が行われる地域の状況に基づいた曝露シナリオとパラメータの更新についても継続して取り組むことが重要である。
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.369, pp.29-71, 2003-03

1920年代後半、オーストリアは不穏な空気に包まれていた。<赤いウィーン>といわれていた首都にかぎっていえば、巨大住居が計画的に建設されて住宅問題の解決に著しい進展があり、医療・教育施設も改善されて乳幼児の死亡率が大幅に低下するなど好ましい面も見られたが、27年ごろから反社会主義を掲げる<護国団>と社会主義を支持する<防衛同盟>というふたつの私設軍隊がたがいに勢力を拡大し、市街地で衝突を繰り返すようになっていた。衝突は多くの場合、前者が後者を挑発・襲撃するというかたちで始まり、特に後者の側に多くの死傷者が出ていたが、<護国団>が裁判所から厳しい処分を受けることはほとんどなかった。27年7月には、そういった<護国団>の殺人容疑者に対して無罪判決が下されたことに激怒した労働者が暴徒化し、鎮圧しようとした警官隊が発砲したために百人近い死者が出るという事件も起こった。
著者
正宗 淳 下瀬川 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1526-1534, 2012 (Released:2012-09-05)
参考文献数
50
被引用文献数
1

アルコールは急性および慢性膵炎の主要な成因である.最近の2007年全国調査では急性膵炎の31.4%,慢性膵炎の64.8%がアルコール性とされる.アルコールによる膵炎発症機序としてアルコール毒性説,蛋白塞栓説など,さまざまな仮説が提唱されているがいまだ確立されていない.膵炎を発症するのは大酒家の一部にすぎない.このため,臨床的に膵炎が成立するためにはアルコールの作用のみならず,喫煙などの生活習慣や遺伝的背景が複合的に関与すると考えられる.アルコール性膵炎の再発や進行予防のため,断酒や禁煙といった生活指導の重要性が再認識されている.
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.474, pp.1-26, 2011-09

よく知られているように,『麗しのサブリナ』(Sabrina, 1954)は『ローマの休日』(Roman Holiday, 1953)でアカデミー主演女優賞に輝き,世界的アイドルとなったばかりのオードリー・ヘプバーンを主役に据えたシンデレラ・ストーリーであり,ロマンティック・コメディーの傑作である。ヘプバーン演じるヒロインは,アメリカの大財閥ララビー家の運転手のひとり娘,サブリナ(実際の発音は「リー」にアクセントを置く「サブリーナ」)だ。彼女は幼いころからララビー家の次男,プレイボーイのデイヴィッド(ウィリアム・ホールデン)に思いを寄せていたが,その思いを告白することすらできなかった。しかし,パリでの料理修業を経て別人のように洗練された姿で帰ってきたサブリナに,デイヴィッドは夢中になる。
著者
瀬川 滋
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.125-132, 2015

今から約40年前にローマクラブから,人口,工業化,汚染,資源等の成長率がそれまでの状態が続くなら,100年以内に地球は破綻するということが報告され,世に大きな反響をもたらしたが,これを我が国の資源の観点から検証している。我が国が経済的権益を有する海域には,石油・天然ガス,海底熱水鉱床,コバルトリッチ・クラスト,メタンハイドレード等資源が眠っており,将来の実用化が期待されている。その実現には時間がかかりそうだが,それまでの間は太陽熱,地熱,燃料電池等の活用と,今まで見捨てられていた都市鉱山,バイオマス発電,CLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)等の利用を図れば破綻は当分考えられそうもない。
著者
中村 和之 小林 淳哉 小田 寛貴 山本 けい子 瀬川 拓郎 八重樫 忠郎 岡 陽一郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

奥州藤原氏は、約百年にわたって東北地方を支配した。その富の源泉は砂金である。世界遺産の中尊寺金色堂は、黄金に輝く建物で有名である。瀬川拓郎は、北海道のアイヌが交易品として砂金を平泉に持って行ったとする仮説を立てた。本研究の目的はその仮説の検証である。まず、北海道と東北地方の砂金を分析した。つぎに藤原秀衡の別邸の柳之御所遺跡から出土した遺物に付着した砂金を分析した。両者を比較することにより、北海道の砂金が平泉にもたらされていたかどうかを確認した。これまでの検討では、平泉から出土した砂金は岩手県産のものである可能性が高い。北海道から砂金が持ち込まれたとする仮説は証明できなかった。

2 0 0 0 OA 商海英傑伝

著者
瀬川光行 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1893
著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
蓑島 栄紀 三上 喜孝 田中 史生 笹生 衛 北原 次郎太 瀬川 拓郎 井上 雅孝 原 京子 奈良 智法 鈴木 和子 藤原 弘明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、古代日本(とくに東北地方)の文化と、同時代の北海道文化・アイヌ文化との関係について、宗教や儀礼の側面から、具体的な比較検討をおこなった。特に、宗教・儀礼にかかわる金属製品や木製品などの分布や形態、機能について検討した。それにより、アイヌ文化における宗教・儀礼の道具の源流が、擦文時代やそれ以前に遡る可能性が指摘できた。また、古代北海道やその隣接地域における宗教・儀礼の痕跡が、交易や交流において重要な場所に多くみられる傾向を指摘することができた。
著者
河原井 瑛子 瀬川 泰伸 牧野 隆 足立 修一
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第52回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.292, 2009 (Released:2010-01-22)

慣性飛行中のロケットの軌道推定を行うため、拡張カルマンフィルタを設計した。さらに、状態量の推定精度を向上させるために、ロケットの状態量のうちオーダが大きく異なる状態量を正規化してオーダを揃え、正規化した状態量を用いて拡張カルマンフィルタを設計する方法を提案する。また、設計した拡張カルマンフィルタの有効性を数値シミュレーションにより確認した。
著者
山本 けい子 寺門 修 竹内 孝 中村 和之 広瀬 義朗 八重樫 忠郎 瀬川 拓郎
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.105-110, 2018 (Released:2018-01-31)
参考文献数
9

Based on the hypothesis that Hokkaido gold dust was contained in the enormous amount of gold that supported the wealth of the Oshu-Fujiwara clan, we analyzed gold dusts which were obtained from relics excavated in Yanagi-no-Gosho Site in Hiraizumi.In this research, we conducted the analysis using statistical methods such as data similarity, principal component analysis(PCA) and support vector machine(SVM). The target data are elemental analysis data sets of gold on relics excavated from Hiraizumi and they are compared to data sets of gold dust picked in Hokkaido and Tohoku region.Through these statistical analysis, we concluded that the gold on relics excavated from Hiraizumi was closer to the elemental constituents of gold dust picked in Iwate Prefecture. About this Hiraizumi sample, we were not able to estimate that its gold might have been brought from Hokkaido. However, we are thinking that these statistical approaches are useful methods to clarify facts of the trade between the Oshu-Fujiwara clan and indigenous people in Hokkaido.
著者
瀬川 高央
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.167-181, 2008-12-11

本稿の目的は,1983年のウィリアムズバーグ・サミットで,中曽根康弘政権が,米ソの中距離核戦力(INF)削減交渉に対し,極東配備のSS-20も交渉対象にすべきだとする立場を貫徹することで,ソ連による日米欧離間を封じていく過程を,日米外交資料の分析から解明することである。本稿は全5節で構成される。1節では,SS-20配備に対する西欧と極東の戦略状況の相違を明確にする。2節では鈴木善幸政権から中曽根政権にかけてSS-20問題での対外交渉姿勢の変化を検討する。3節と4節では,レーガンのゼロ・オプションが危機に直面したことを受け,日本が西側結束に向けて展開した秘密交渉について分析する。5節では大韓機撃墜事件により,東西緊張が再燃する中で,日米欧関係が強化されていく過程を考察する。最後に結語では,中曽根による西側決裂回避という成果を,首相のパフォーマンス外交ではなく,SS-20極東移転やINF暫定案の浮上という外生要因に対して,外相・事務方が行った対外交渉の結果として位置づけ直す。その上で,INF問題に対する中曽根政権の取り組みを契機として,日本の外交的地平が西側全体に拡大したことを論証する。
著者
新宅 純二郎 二又 俊文 吉岡(小林) 徹 許 經明 瀬川 晶子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-60, 2017-02-17 (Released:2017-02-25)
参考文献数
7

本稿は、2016年8月にフィンランドとドイツで実施した調査にもとづいたものである。前半では「ヨーロッパの産学連携」と題して、フィンランドのイノベーション基盤とドイツの産学連携で重要な役割を果たしているフラウンホーファー研究機構について紹介する。後半では「変貌するレガシー欧州企業」と題して、欧州を代表する大企業の戦略転換や組織改革について紹介する。まず、フィンランドのノキアが、端末部門のマイクロソフトへの売却など大規模なリストラの後どのように高収益企業に変貌しつつあるかについて紹介する。また、ドイツのシーメンスが、全社R&D組織を中心にして、Industry 4.0やIoT時代にどのように取り組もうとしているかについて述べる。
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.451, pp.45-57, 2010-01

皆川博子『伯林蠟人形館』(文藝春秋、2006年、以下で引用をおこなう場合は頁数のみを記す)は、<1920年代のドイツ>にフォーカスを当てて書かれた長編である。直木賞作家であり、多彩なミステリー小説を執筆してきたことで知られる皆川は、ナチ時代前後のドイツおよび周辺諸国で物語が展開される耽美的な作品群を断続的に発表しており、『伯林蠟人形館』は、ドイツ南部にある<アーリア人の純潔を守ること>を目的に掲げた産院での悲劇をテーマとする『死の泉』(早川書房、1997)、ナチの幹部養成学校<ナポラ>で学んだ少年たちがたどる過酷な運命を鮮やかに描き分ける『総統の子ら』(集英社、2003)、シュレージェン地方にある僧院での人体実験とワルシャワでの少女監禁劇を中心とする狂気のドラマ『薔薇密室』(講談社、2004)に続く第四作目となる。
著者
瀬川 英吾 塩原 守人 佐々木 繁
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.104, pp.47-54, 1994-11-24

概要動画像処理システムISHTARを用いて、日照変化や影などの環境変化のある高速道路でも車両の通過台数と速度がリアルタイムに計測できるシステムを開発した。日照変化への対処には、車両に多く含まれる水平線のエッジ数によって日照変化を定量化し、エッジ数の変動の影響が少ない車両検出を実現した。また,車両以外の影や車のライトへの対処には,それらの内部にエッジが少ないことを利用して車両認識を行った。ISHTARに本手法を搭載し、昼夜の高速道路画像に対して実験を行ったところ、目視の結果と比べ通過台数では96%以上の認識精度が得られた。速度では、本手法を解析した結果、90%以上の認識精度であることがわかった。We developed real-time traffic flow measuring system using ISHTAR. ISHTAR is a time-varying image processor which we had developed. The purpose of this system is to count the passing cars and to calculate the speed of them under the inconstant condition in real-time. In order to accomplish this purpose we detect cars based on the number of the edge points on the horizontal line which a car usually has. And we can exclude the shadow because there are not edge points inside it. We evaluated this system using the images taken at a highway and the accuracy of the number of cars is better than 96%. And theoretically the accuracy of the speed is better than 90%.
著者
瀬川 典久 澤本 潤 矢澤 正人 美濃 英俊 花田 隆貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.166, pp.185-188, 2014-07-23

低電力、長距離通信が可能な狭帯域スペクトラム拡散通信mad-ssを開発し、運用を行っている。狭帯域スペクトラム拡散通信MAD-SS技術を利用したセンサネットワーク用モジュールMAD-SSシールドを活用して、さまざまなセンサネットワークを構築している。本公演では、MAD-SSシールドの説明、実用システム、および成層圏気球に搭載した実験について報告する。