著者
野田 航 岡田 涼 谷 伊織 大西 将史 望月 直人 中島 俊思 辻井 正次
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.169-175, 2013-06-25 (Released:2013-09-01)
参考文献数
29
被引用文献数
9 3

The present study examines the relationship among inattentive, and hyperactive-impulsive behavior, aggression, and depression in elementary school and junior high school students. The participants were 3,885 children and their teachers and caregivers. Children’s inattentive and hyperactive-impulsive behavior was rated by their teachers and caregivers (ADHD-RS). Children rated aggression (HAQ-C) and depression (DSRS-C) themselves. Inattentive and hyperactive-impulsive behavior rated by teachers and caregivers were positively related to aggression and depression. Inattention predicted higher levels of aggression and depression. Inattentive and hyperactive-impulsive behavior as rated by teachers was more highly related to depression than those behaviors as rated by caregivers. The relationships among inattentive, and hyperactive-impulsive behavior, aggression, and depression were almost the same for both elementary school and junior high school students. This study suggests the importance of assessing inattentive and hyperactive-impulsive behavior from multiple views to examine the relationship between inattentive and hyperactive-impulsive behavior and mental health problems.
著者
奈良 隆寛 浜野 晋一郎 野崎 秀次 田中 佳子 清水 正樹 野田 洋子 厚川 清美 有田 二郎 堀田 秀樹 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.261-267, 2000-05-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2

例の急性脳炎 (60例)・脳症 (10例) のてんかんの発症について検討した.23例がてんかんに移行した.23例中18例は脳炎発症から平均7カ月間の期間をおいて (潜伏期あり) てんかんを発症した.また, 23例中5例は急性期からそのままてんかんに移行 (潜伏期なし) した症例がみられた.潜伏期を経ててんかんを発症した症例の中では, 髄液のneuron-specific enolase (NSE) 活性が高い症例はてんかんが難治で, てんかんを惹起する病理に神経組織の崩壊が関与することが示唆された.一方, 潜伏期なしでてんかんに移行した症例は急性期の発作の回数が多く, てんかんは難治性であったが, 髄液のNSE活性は正常であった.この一群は, 潜伏期を経ててんかんを発症する症例とは別の機序で, てんかん原性焦点の活動が増強されたものと考えられた.
著者
小野田 亮介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.158-174, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

本研究の目的は,文章産出において書き手が想定する仮想の読み手に着目し,(1)読み手に合わせた文章産出が困難化する原因を解明し,(2)読み手に合わせた文章産出を促す方法について考案することである。研究1では,中学校2年生の1学級に対して,教示した読み手を説得するための文章産出課題を実施し,文章産出時に想定した仮想の読み手の特徴を報告するように求めた。その結果,読み手を教示したにもかかわらず,読み手を漠然と想定していたり,教示と異なる読み手を想定したりする生徒が認められ,具体的に読み手を想定したと報告する生徒であっても,読み手に合わせた文章を産出しない事例が認められた。そこで研究2では,中学校1年生の2学級を対象とし,読み手の想定を求める「対照条件」と,読み手を記述して固定する「可視化条件」との間で,仮想の読み手の特徴や文章の比較を行った。その結果,対照条件に比べ,可視化条件ではより具体的に読み手が想定されており,文章内の情報量や文章の説得力も増加していた。一方,読み手を可視化していても,文章産出前後で読み手の情報が精緻化されたり,質的に変化したりする読み手情報の変動性も認められた。
著者
岡崎 寿美子 秋田 久直 野田 和子 緒形 雅則 相川 貞男 福山 嘉綱
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-17, 1990 (Released:2015-07-08)
参考文献数
14

Although we have many reports about the pain threshold mechanism and the method of objective assessment, there are so many factors which are not yet made clear. To find a tool for pain assessment, the author conducted a survey for the healthy students. In this survey, the author collated the words used describe pain obtained a quantitative measure of pain using a eleven-point scales from 0=free from pain to 10=unbearable pain. In conclusion, it is conjectured in Japanese that the combination of several words and the usages of adjectives and simulation words make it more possible in the expression of pains. The difference on pain expressions between man and woman was shown in only word “cutting-like pain”. There also was no difference about each word of pain expression in “t” exam of five typed YG character test. The same result was found in four factors concerning emotional stability on YG character test.
著者
岩川 眞由美 野田 秀平 鈴木 利弘 大川 治夫 金子 道夫 堀 哲夫 池袋 賢一 雨海 照祥 中村 博史 平井 みさ子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日小外会誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.765-769, 1997
参考文献数
25

幼小児の帯下は,非特異性外陰膣炎が原因であることが多いが膣内異物も忘れてはならない疾患である. 今回,異物による帯下を主訴としながらも,多数の医療機関にて診断がつかず1年半の病悩期間を有した5歳児を経験した. 異物は全麻下にペアン,布鉗子の湾曲を利用しつつ容易に摘出できた. 摘出された異物は,ビー玉3個,人形の靴1足,プラスチックのビーズ7個,菓子包装紙1枚であった. 摘出後は経過良好で帯下も消失した.
著者
久恒 靖人 松下 恒久 野田 顕義 天神 和美 佐治 攻 榎本 武治 民上 真也 福永 哲 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.875-878, 2015

性的嗜好により経肛門的異物挿入で直腸穿孔となった症例を経験した。症例1,64歳男性。以前よりホースを肛門に挿入する自慰行為を行っていた。受傷当日も,ホースを使用した自慰行為を施行していたが,行為後より腹痛を認め,経過観察するも症状悪化したため近医へ救急搬送された。近医で処置困難と診断され当院へ紹介となった。精査にて直腸穿孔を認め,ホースによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。症例2,75歳男性。友人に肛門へソーセージを挿入された。その後,ソーセージの排泄は認めず,腹痛増悪したため近医を受診された。イレウスと診断され,当院紹介受診。精査にてソーセージによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。性的行為による経肛門的直腸異物挿入での直腸穿孔はまれであるため若干の文献的考察を加え報告する。
著者
千葉 達朗 林 信太郎 小野田 敏 栗原 和弘 藤田 浩司 星野 実 浅井 健一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.XXI-XXII, 1997 (Released:2010-12-14)
被引用文献数
1

5月11日午前8時, 秋田県鹿角市の澄川温泉で, 地すべりと石流が発生, 澄川温泉と赤川温泉の16棟が全壊, 国道341号も寸断された. 5月4日頃から水の濁りや道路の変状等が察知され, 適切な警戒避難が行われたため, この災害による死者・負傷者はなかった. なお, 地すべりの最中に末端付近で水蒸気爆発が発生した. ここでは, 5月12日にアジア航測(株)が撮影した空中写真, その後の現地の他, 秋田航空(株)が撮影した水蒸気爆発の瞬間の写真を紹介する.
著者
野田 雅子 後藤 由貴
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-6, 2010-03-31

ウエディングケーキは,古代ローマを起源とする文化的な背景を持ち,宗教的,社会的な食文化を反映している特殊な位置付けの菓子である.日本にも西洋の風習の伝播と共に根付いたウエディングケーキではあるが,現在では日本独自のスタイルを持つウエディングケーキへと発展を遂げている.本稿では,文献調査に加え,日本をはじめ,イギリスとフランスでの現地調査も行ない,各国のウエディングケーキの考察を試みた.日本のウエディングケーキは宗教的意味はないが,披露宴の見せ場のひとつとしての役割を果たしている.結婚式とともに,新郎新婦たちの個性の表現としてウエディングケーキも多様化している.そして結婚産業の発展に伴って,ウエディングケーキを取り巻く人々は,新郎新婦やパティシエのみならず,結婚式のゲスト,新郎新婦の両親,ブライダル・コーディネーター,マスメディア,カメラマンに及び相互の連関を新たに生み出している.他方,イギリスではウエディングケーキがキリスト教的な儀礼文化と結びつき,ウエディングドレスと並んで結婚を象徴するものになっている.フランスでは儀礼的な側面はあまりなく,結婚の祝宴の中で供される食事のひとつとしての役割が大きい.
著者
長光 左千男 野田 真樹子 山肩洋子 中村 裕一 美濃導彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.701-710, 2007-02-15

家電機器が音声によりアドバイスする際,教示内容に加え,教示内容の根拠となる情報をユーザの性格に基づき選定して提示することにより,ユーザに気に入ってもらえるアドバイス文章を構成する手法を提案する.まず,ユーザがどのような情報を教示内容の根拠として期待するかは,ユーザの性格に応じて異なることを明らかにする.交渉学に基づく説得方法について,ユーザが好ましいとした説得方法と,そのユーザの性格分類とは相関があることをアンケート実験により示した.さらにこの結果に基づき,各ユーザが好むと推定される説得項目を性格分類に応じて選んだ調理アドバイスを提示した方が,性格に合わない調理アドバイスを提示するよりも,ユーザに好ましく思ってもらえるシステムとなることを示した.
著者
吉田 陽祐 多田 昌裕 野間 春生 野田 賢
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.20, pp.5-8, 2011-05-20

近年,自動車や道路に対して様々な改良がなされた結果,交通事故件数は減少傾向にあるが,依然として高い水準を保っている.これに対し筆者らは,装着型センサで計測した運転行動データに加え,交差点のもつ地形的特性や周辺交通状況をも考慮した運転技能評価手法により,ドライバーの安全意識の向上を図るアプローチを提案している.今回,予防安全面から見て提案手法による評価がどの程度意味のあるものなのか,その有用性を調べるため,教習所指導員による主観的な技能評価との比較を行った.38人のドライバーを被験者とした公道走行実験の結果,安全運転の専門家である指導員の評価結果と相関係数0.71の関連がある事を示し,提案手法の予防安全面での有用性を確認した.
著者
野田 さおり
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.673-674, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
1
著者
根本 哲也 島本 聡 野方 文雄 松浦 弘幸 野田 信雄 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.137-142, 2005-10-20

生物の機能に学ぶバイオミメティクスは,従来の技術では解決できなかった問題をブレークスルーする方法として近年注目されている.クマムシ(Tardigrada)は極限状態下での生息が確認されており,その機能発現には,トレハロースによる組織安定化等の化学的な作用と体の構造を変化させる等の物理的な作用によると考えられている.本報ではクマムシを極限状態下に晒した場合に見られるtun状態とよばれる特殊な収縮状態へ移行する過程を観察した結果を報告する.その結果,クマムシがtun状態に至る過程で見られる外殻の構造変化,粒状の内容物の変化等の諸現象について観察することができた.
著者
山口 惠三 大野 章 石井 良和 舘田 一博 岩田 守弘 神田 誠 辻尾 芳子 木元 宏弥 方山 揚誠 西村 正治 秋沢 宏次 保嶋 実 葛西 猛 木村 正彦 松田 啓子 林 右 三木 誠 中野渡 進 富永 眞琴 賀来 満夫 金光 敬二 國島 広之 中川 卓夫 櫻井 雅紀 塩谷 譲司 豊嶋 俊光 岡田 淳 杉田 暁大 伊藤 辰美 米山 彰子 諏訪部 章 山端 久美子 熊坂 一成 貝森 光大 中村 敏彦 川村 千鶴子 小池 和彦 木南 英紀 山田 俊幸 小栗 豊子 伊東 紘一 渡邊 清明 小林 芳夫 大竹 皓子 内田 幹 戸塚 恭一 村上 正巳 四方田 幸恵 高橋 綾子 岡本 英行 犬塚 和久 山崎 堅一郎 権田 秀雄 山下 峻徳 山口 育男 岡田 基 五十里 博美 黒澤 直美 藤本 佳則 石郷 潮美 浅野 裕子 森 三樹雄 叶 一乃 永野 栄子 影山 二三男 釋 悦子 菅野 治重 相原 雅典 源馬 均 上村 桂一 前崎 繁文 橋北 義一 堀井 俊伸 宮島 栄治 吉村 平 平岡 稔 住友 みどり 和田 英夫 山根 伸夫 馬場 尚志 家入 蒼生夫 一山 智 藤田 信一 岡 三喜男 二木 芳人 岡部 英俊 立脇 憲一 茂龍 邦彦 草野 展周 三原 栄一郎 能勢 資子 吉田 治義 山下 政宣 桑原 正雄 藤上 良寛 伏脇 猛司 日野田 裕治 田中 伸明 清水 章 田窪 孝行 日下部 正 岡崎 俊朗 高橋 伯夫 平城 均 益田 順一 浅井 浩次 河原 邦光 田港 朝彦 根ケ山 清 佐野 麗子 杉浦 哲朗 松尾 収二 小松 方 村瀬 光春 湯月 洋介 池田 紀男 山根 誠久 仲宗根 勇 相馬 正幸 山本 剛 相澤 久道 本田 順一 木下 承晧 河野 誠司 岡山 昭彦 影岡 武士 本郷 俊治 青木 洋介 宮之原 弘晃 濱崎 直孝 平松 和史 小野 順子 平潟 洋一 河野 茂 岡田 薫
出版者
日本抗生物質学術協議会
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.428-451, 2006-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
37
著者
野田 敏宏 新敷 祐士 安西 恵子 川崎 啓子 栗原 智仁 高市 和之 髙野 紀子 中村 峰夫 西野 健三 山田 和也 平井 みどり 田崎 嘉一 松原 和夫 吉山 友二 井関 健
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.93-98, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

要 旨目的 : 本研究ではサプリメント類の利用に関して来局患者および薬剤師両者の意識および実態を明らかにすることにより, サプリメント類利用における薬剤師の関わり方を検討した. 方法 : 東京都・北海道内の14保険薬局にて来局患者1,253人を対象に, サプリメント類に関するアンケート調査を来局時に実施した. また, 薬剤師289人に対してサプリメント類に関する意識および情報収集の実態について, 保険薬局および北海道薬学大会 (2011年・札幌) においてアンケート調査を実施した. 結果 : 来局患者からの回答数1,253人のうち, 約50%は薬剤師にサプリメント類の安全性や効果についての情報提供を望んでいるものの, 実際には薬剤師が来局患者の疑問に答えている例は7.3%にしかすぎないことが明らかとなった.  一方で, 回答を得られた薬剤師289人のうち67.5%の薬剤師は自身がサプリメント類の情報提供者として来局患者に期待されていると認識しているものの, サプリメント類の情報収集に積極的に取り組んでいる薬剤師は約30%であり, さらにその情報内容もインターネット上の情報に頼っていることが示された. 結論 : サプリメント類の説明に対する患者の期待と薬剤師による説明の実態には, 大きな隔たりがあることが分かった. 来局患者の期待に応えるためにも, 薬剤師はサプリメント類に対し科学的根拠に基づく理解を深め, 医薬品との関連を含めた統合管理の必要性が求められる.