著者
福土 審 遠藤 由香 金澤 素
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.46-54, 2019-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

慢性便秘症においては,偏食,食事量のアンバランス,夜食,睡眠不足,運動不足ならびに心理社会的ストレスが症状の増悪因子であるため,これらの除去・調整を実施する.これらで不十分であれば,食事療法を基本とし,運動療法を加えるが,治療効果が確実なのは適切な薬物療法である.近年,使用可能となった2種類の上皮機能変容薬及び1種類の胆汁酸トランスポーター阻害薬の3種類の薬物は,それぞれ異なる分子を標的としており,エビデンスレベルも高い.それぞれの特性を知り,便秘患者の診療に役立てることが望まれる.
著者
金 鍾元 渡辺 賢治 金 成俊 全 修亨
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.251-267, 2014 (Released:2015-03-30)
参考文献数
29

本研究は日本人を対象とした四象体質の分類と体質による疾病及び症状の関連性について検討する上で,参考となる情報を得る目的で行った。慶應義塾大学医学部漢方医学センター(以下「慶應大学漢方センター」と略)外来受診患者を対象に設問票を用い,四象体質診断を行い,また患者のカルテより疾病と症状を分類した。四象体質設問票は韓国のSSCQ-Pを改良したSSCQ-Jを用いた。慶應大学漢方センターの四象人分布は韓国人の四象人分布と異なった結果であり,少陰人の比率がかなり高かった。疾病分類においても,「Ⅴ.精神及び行動障碍」,「ⅩⅠ.消化系統の疾患」,「ⅩⅤ.姙娠,出産及び産後期」,「ⅩⅧ.別途分類できない症状,兆候と臨床及び検査の異常所見」の冷症疾患において少陰人の有病率が統計的に高かった。
著者
相馬 雄輔 藤田 淳 遠山 周吾 金澤 英明 福田 恵一
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.3-7, 2020-08-01 (Released:2020-09-10)
参考文献数
12

我々はiPS細胞を用いてヒト再生心室筋細胞を作出することに成功した。また,細胞のエネルギー代謝の差を利用して未分化幹細胞と非心筋細胞を除去し,心筋細胞の純度を99%以上に精製する代謝的純化法を開発した。さらに,再生心筋細胞から微小心筋組織(心筋球)を作製し,特殊な心筋球移植デバイスを開発することで心筋球移植法を確立した。免疫不全動物を用いた心筋細胞移植の造腫瘍性試験ではiPS細胞由来心筋細胞による腫瘍形成は観察されなかった。これらの基礎研究の結果から臨床応用へと進む準備が整ってきたと考え,今後ヒトを対象とした臨床研究を予定している。本稿にて再生医療の現状と将来展望を解説する。
著者
金丸 祥平 新垣 晋 芳澤 享子 西山 秀昌 程 珺 小林 正治
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.423-428, 2018-07-20 (Released:2018-09-20)
参考文献数
21

Sarcomatous transformation of fibrous dysplasia (FD) is an extremely rare event. We report a case of low-grade central osteosarcoma (LGCO), which arose secondarily from FD of the mandible. A 35-year-old woman, who had regularly been followed up for a 19-year period for a diagnosis of FD, presented with a painful swelling in right mandibular body. On computed tomographic images, the right mental area was prominently expanded with the eroded cortex, and its inner part was entirely filled with an inhomogeneously enhanced lesion. Since a biopsy specimen taken from the anterior lesion was diagnosed to be LGCO, a segmental mandibulectomy and reconstruction with a fibula free flap was performed. There has been no sign of recurrence or metastasis as of 7 years after surgery. It is important to make a diagnosis and a treatment plan in patients with FD because malignant transformation of FD occurs rather infrequently.
著者
古川 康一 金城 啓太 澤井 啓吾
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第18回全国大会(2004)
巻号頁・発行日
pp.215, 2004 (Released:2006-02-11)

チェロ演奏における運弓動作には、下げ弓と上げ弓があるが、演奏する弦によってそれらの動作が異なると思われる。本論文では、実験を通して、それらの相違点を明らかにし、合理的な運弓動作の原理を明らかにすることを目的とする。また、これらの運動と、テニスなどの動きとの関連性についても論じる。また、基本動作のエネルギー効率について考察し、疲労度が少ない奏法を提案する。
著者
金原 均二
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.513-525, 1957-06-20 (Released:2013-05-16)
参考文献数
1

本報は殆んど日本全国に亘って産出する天然ガスの地質学的産出状況, 埋蔵量, ガスの品質開発利用の現状などについて詳細に述べている。従来わが国の天然ガスは主として燃料に使用されてきたが, 最近ではメタノール, 硫安などの合成用化学原料としての利用も盛んになりつつある。これらの天然ガス化学工業の今後の発展のためには, 天然ガスの地下における賦存状況をさらに地質鉱床学の立場から明らかにする必要がある。
著者
田坂 厚志 沖 貞明 田中 聡 島谷 康司 長谷川 正哉 金井 秀作 小野 武也 大塚 彰 坂口 顕
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.577-580, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕超音波療法の客観的な有効性を明らかにするために,動物実験を行った。〔対象〕実験には10週齢の雌Wistar系ラットを16匹用いた。〔方法〕右足関節をギプス固定し,1日1回固定を除去して超音波照射後にトレッドミルで走行を行わせる超音波群(8匹)と1日1回固定を除去し超音波を照射せずにトレッドミル走行を行わせる対照群(8匹)の2群に分けた。〔結果〕個々のラットにおける実験開始前と実験開始1週間後の足関節背屈角度の変化をもって2群を比較したところ,超音波群では42.5±6.0度,対照群では51.2±11.7度となり,超音波群は角度変化が有意に少なかった。〔結語〕関節拘縮発生抑制効果に関する超音波の有効性が確認できた。
著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
大塚 宜明 金成 太郎 飯田 茂雄 長井 雅史 矢原 史希 櫻井 宏樹
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.100, pp.83-99, 2016-10-01

本論では,置戸黒耀石原産地における先史時代の人類活動解明のための基盤構築を目的として,置戸黒耀石原産地調査で採集した黒耀石原石・黒耀石製石器の観察結果と,黒耀石原産地推定分析の結果を報告し考察を行った。 検討の結果,置戸黒耀石原産地を構成する所山・置戸山の黒耀石は,原産地においてはそれぞれ独立して分布することが詳細に明らかになった。人類活動については,(1)置戸黒耀石原産地内で採取可能な黒耀石原石を原料とした石器製作が個々の原産地で行われていること,(2)置戸山2遺跡採集の所山産黒耀石製石器の存在から,置戸黒耀石原産地を構成する個々の原産地が全く無関係ではないこと,(3)遠隔地産黒耀石がみとめられる置戸安住遺跡が石器や原料の搬出入の拠点である可能性,を明らかにした。 以上の検討結果から,置戸黒耀石原産地には,置戸黒耀石原産地と遠隔地を結ぶ大規模な人類の動き,置戸黒耀石原産地と直近の生業地である常呂川中・下流域を結ぶ中規模な動き,そして置戸黒耀石原産地内の原産地間を結ぶ小規模な動きといった,黒耀石をめぐる先史時代人の様々な活動痕跡が刻まれていることが明らかになった。
著者
木村 学 金川 久一 木下 正高 山田 泰広 荒木 英一郎 山口 飛鳥
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本研究では、これまで紀伊半島沖熊野灘において実施されてきた南海トラフ地震発生帯掘削研究(超深度掘削は海底下約3,000mまで掘削済みでプレート境界断層まで残り約2,200m)の総仕上げとして、プレート境界断層貫通掘削までの掘削時孔内検層、孔内設置受振器による3次元鉛直地震探査、断層試料の摩擦実験、近傍からの繰り返し周回地震探査を実施する。もって断層上盤の応力場・主応力と間隙水圧、プレート境界断層の摩擦強度を解明し、それらを総合して地震・津波発生切迫度を定量的に評価することを目的とする。第2年度は、これまでの掘削によって得られたデータをまとめ上げ、モデル化し、上盤プレート上部の応力場、間隙水圧を解明した。概要は以下の通りである。1)3次元反射法データの最新技術による再解析。特に地震発生プレート境界断層から分岐断層にかけて実施。詳細な構造の実態解明、速度構造の変化が予測された。2)既存データの解析、実験的分析の蓄積、完了。海底下3,000m下までの摩擦特性計測実験を完了し、深度方向の変化が予察的に得られた。3)掘削孔内に設置してあった圧力計などの回収を実施した。10年間の記録の回収に成功した。2016年4月1日には70年ぶりに起こった南海プレート境界地震の世界初の孔内観測に成功、結果の迅速な公開を実施した。4)最終的な科学掘削目標達成のための慎重な技術的検討を掘削実施主体である海洋研究開発機構と適宜進めた。
著者
金井 美惠子 安谷屋 倭子 深作 貴子 大迫 早苗
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2019年度大会(一社)日本調理科学
巻号頁・発行日
pp.160, 2019 (Released:2019-08-26)

【目的】乳製品,食肉加工食品,魚肉練り製品の安全を踏まえた品質管理法は既に確立されているが,真空調理の安全性についての科学的な報告は少ない。多分,真空調理を開発した当初のシェフの興味は,食品の味覚等にあったと推察される。真空調理食品は食中毒細菌であるボツリヌス菌やウエルシュ菌の増殖があると厳しい結果をもたらす可能性があるので,ウエルシュ菌等を用いて微生物学的な検討を行った。【方法】真空調理の適切な加熱温度を明らかにするために,次の検討を行った。第1:ウエルシュ菌を魚すり身に接種・混和し,種々の温度で湯煎加熱した。第2:生の鶏肉および加熱調理後の微生物汚染について検討した。第3:ホテルレストランで提供されている牛肉ステーキ,カキの真空調理食品,ついて実験し,残存菌をどのようにコントロールするかを考察した。【結果および考察】1)生活型ウエルシュ菌は一般的な真空調理温度である60℃の加熱で検出されなくなった。2)ウエルシュ菌芽胞は80℃,60分の加熱後も残存した。3)0℃のチルド冷蔵庫に7日間保存後の残存芽胞数の変化はなく,二次加熱による菌数変化もみられなかった。4)真空調理した鶏肉からは,大腸菌,大腸菌群,低温細菌は検出されなかった。5)食肉の焼き色と風味づけのための事前加熱は汚染菌を減らすのに効果的であった。6)ホテルレストランにおけるビーフステーキ,カキの調理食品および調理過程での実験成績も同様の傾向であった。7)低温真空調理食品はチルド保存をすることが望ましい。8)真空調理過程における香辛料の利用はウエルシュ菌など,芽胞形成菌の汚染をもたらすと考えられた。

2 0 0 0 OA 6.抗菌薬

著者
千田 金吾
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1143-1148, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7

抗菌薬は日常診療で多用されるため,常に副作用を念頭に置く.ミノサイクリンやST合剤や抗結核薬の使用では,比較的頻度が高い.ペニシリン系薬剤のようにペニシリウムなどの環境真菌に曝露されていたり動物の飼料に配合されている薬剤に感作されていると,速やかに反応が起きる.初めての使用では2週間程度で感作が成立する.薬剤がハプテンとしてペプチドと共有結合し,主要組織適合複合体分子を介してT細胞に抗原提示されることが多い.主要組織適合複合体分子は各個人で異なるため,発症にも個人差がみられる.